(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076184
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】ウエハ体収納装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
H01L21/68 T
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187622
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】591009705
【氏名又は名称】株式会社 東京ウエルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】小島 智幸
(72)【発明者】
【氏名】吉沢 誠二
(72)【発明者】
【氏名】稲田 憲昭
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA04
5F131BA52
5F131BA54
5F131CA70
5F131DA13
5F131DA32
5F131DA42
5F131DA52
5F131DA62
5F131FA02
5F131FA19
5F131FA33
5F131GA03
5F131GA33
5F131GA43
5F131GA44
5F131GA64
(57)【要約】
【課題】ウエハ体ラック内にウエハ体を垂直方向に収納することができ、かつウエハ体ラック内でウエハ体を位置決めする。
【解決手段】鉛直方向に対して45°傾いた受け体42にウエハ体ラック50を装着する。ウエハ体ラック50の収納溝51内に収納されたウエハ体11Aも鉛直方向に対して45°傾く。収納溝51内に位置決め部品45を進入させ、収納溝51内でウエハ体11Aを位置決めした後、受け体42とウエハ体ラック50を揺動させて、ウエハ体11Aを鉛直方向に向ける。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートと、前記シート上に設けられ、予め複数のチップ状ワークに分割されたウエハと、前記シートの外周を保持するシートリングとを有するウエハ体を収納するウエハ体収納装置において、
本体と、
前記本体に対して揺動自在に設けられた受け体と、
前記受け体内に装着されるとともに、前記ウエハ体を収納する複数の収納溝が多層に形成された収納溝を有するウエハ体ラックと、
前記受け体に設けられ、前記ウエハ体ラックの前記収納溝内に下方から進入して前記収納溝内の前記ウエハ体を位置決めする位置決め部品と、前記本体に対して前記受け体を揺動させる駆動部とを備え、
前記駆動部は、前記収納溝内の前記ウエハ体が鉛直方向に対して40°~50°傾斜する位置から鉛直方向を向くよう、前記受け体を揺動させる、ウエハ体収納装置。
【請求項2】
前記位置決め部品は、前記収納溝内の前記ウエハ体を前記収納溝の一方の壁面に押し付ける、請求項1記載のウエハ体収納装置。
【請求項3】
前記位置決め部品は、前記ウエハ体と直交する断面において、前記収納溝側先端にテーパ部が形成されている、請求項1記載のウエハ体収納装置。
【請求項4】
前記位置決め部品は、前記ウエハ体に直交する方向からみて、ウエハ体の中央部下端に設けられている、請求項3記載のウエハ体収納装置。
【請求項5】
前記本体に、所望の前記収納溝内の前記ウエハ体を上方へ持ち上げるプッシャーを設けた、請求項1記載のウエハ体収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はシートと、シート上に設けられ予め複数のチップ状ワークに分割されたウエハと、ウエハの外周を保持するシートリングとを有するウエハ体を収納するウエハ体収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、このようなウエハ体収納装置としてはウエハ体を水平方向に向けて収納するウエハ体収納装置が知られている。ウエハ体収納装置から取り出されたウエハ体は移動テーブル上に鉛直方向を向くよう配置され、鉛直方向を向くウエハ体からチップ状ワークがピックアップ装置により一つずつ吸着されて排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらウエハ体収納装置内にウエハ体を水平方向に向けて収納する場合、水平方向に配置されたウエハ体を水平方向に引き出すスペースが必要となる。また水平方向に引き出されたウエハ体をその後鉛直方向へ90°方向転換する必要があり、この方向転換装置も大掛かりのものが求められる。
【0005】
他方、ウエハ体収納装置内で鉛直方向にウエハ体を収納することも考えられるが、ウエハ体収納装置内でウエハ体を鉛直方向に配置した場合、自重により水平方向に配置する場合に比べてウエハ体の位置決めがむずかしくなる。
【0006】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、ウエハ体を鉛直方向に収納することができ、かつウエハ体の位置決めを確実に行うことができるウエハ体収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、シートと、前記シート上に設けられ、予め複数のチップ状ワークに分割されたウエハと、前記シートの外周を保持するシートリングとを有するウエハ体を収納するウエハ体収納装置において、本体と、前記本体に対して揺動自在に設けられた受け体と、前記受け体内に装着されるとともに、前記ウエハ体を収納する複数の収納溝が多層に形成された収納溝を有するウエハ体ラックと、前記受け体に設けられ、前記ウエハ体ラックの前記収納溝内に下方から進入して前記収納溝内の前記ウエハ体を位置決めする位置決め部品と、前記本体に対して前記受け体を揺動させる駆動部とを備え、前記駆動部は、前記収納溝内の前記ウエハ体が鉛直方向に対して40°~50°傾斜する位置から鉛直方向を向くよう、前記受け体を揺動させる、ウエハ体収納装置である。
【0008】
本開示は、前記位置決め部品は、前記収納溝内の前記ウエハ体を前記収納溝の一方の壁面に押し付ける、ウエハ体収納装置である。
【0009】
本開示は、前記位置決め部品は、前記ウエハ体と直交する断面において、前記収納溝側先端にテーパ部が形成されている、ウエハ体収納装置である。
【0010】
本開示は、前記位置決め部品は、前記ウエハ体に直交する方向からみて、ウエハ体の中央部下端に設けられている、ウエハ体収納装置である。
【0011】
本開示は、前記本体に、所望の前記収納溝内の前記ウエハ体を上方へ持ち上げるプッシャーを設けた、ウエハ体収納装置である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、ウエハ体ラック内にウエハ体を鉛直方向に収納することができ、かつウエハ体ラック内でウエハ体を精度良く位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1はチップ状ワークの搬送システムを示す平面図。
【
図2】
図2はウエハ体を作製する前処理工程を示す図。
【
図3】
図3はウエハ体を作製する前処理工程を示す図。
【
図4】
図4は受け体にウエハ体ラックを装着する状態を示す側面図。
【
図5】
図5は位置決め部品が収納溝内に進入した状態を示す側断面図。
【
図6】
図6は受け体にウエハ体ラックを装着する状態を示す拡大図。
【
図7】
図7は位置決め部品が収納溝内に進入した状態を示す拡大図。
【
図8】
図8は受け体が揺動してウエハ体が鉛直方向を向く状態を示す側面図。
【
図9】
図9はウエハ体ラックの収納溝内で位置決め部品により位置決めされるウエハ体を示す正面図。
【
図10】
図10はウエハ体ラックの収納溝内のウエハ体がプッシャーにより持ち上げられる状態を示す正面図。
【
図11】
図11はウエハ体ラックの収納溝内のウエハ体がプッシャーにより持ち上げられる状態を示す斜視図。
【
図13】
図13はチップ状ワークの搬送装置の押圧装置を示す概略図。
【
図17】
図17はチップ状ワークの分離装置を示す概略斜視図。
【
図18A】
図18Aはチップ状ワークの分離装置の円筒体と支持テーブルの関係を示す図。
【
図19】
図19は鉛直方向に対して45°傾いたウエハ体ラックを示す概略図。
【
図20】
図20は鉛直方向を向くウエハ体ラックを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本開示によるウエハ体収納装置の実施の形態について説明する。
【0015】
ここで
図1乃至
図20は本開示によるウエハ体収納装置の実施の形態を示す図である。
【0016】
まず
図1によりウエハ体収納装置40が組み込まれたチップ状ワークの搬送システムについて説明する。
【0017】
ここでチップ状ワークの搬送システムで処理される対象となるのは、粘着テープ(シートともいう)11と、粘着テープ11上に設けられ予め複数のチップ状ワークWに分割された半導体ウエハ(ウエハともいう)W1と、粘着テープ11の外周を保持する保持リング(シートリングともいう)15とを有するウエハ体11Aである(
図2および
図3参照)。
【0018】
ここで
図2および
図3はウエハ体11Aを作製するための前処理工程を示す図である。
【0019】
粘着テープ11は上述のように複数のワークWが配置され、ワークWを保持するものであり、基材層12と、基材層12上に設けられ、ワークWを接着して保持する紫外線硬化型接着層13とを有している(
図13および
図14参照)。そして粘着テープ11の基材層12および紫外線硬化型接着層13は、いずれも透明体からなり、基材層12側から紫外線が照射されると、紫外線硬化型接着層13が硬化し、その接着力が低下してワークWを粘着テープ11から剥離することができる。
【0020】
このような紫外線硬化型接着層13としては、例えばアクリルのような材料を用いることができる。また基材層12としては、例えばポリオレフィンのような材料を用いることができる。
【0021】
また粘着テープ11上に配置された複数のチップ状ワークWは、後述のように予め粘着テープ11上に配置されて保持された半導体ウエハW1をダイシングブレード1により個々のチップ状に切断することにより得られる(
図2および
図3参照)。このとき、粘着テープ11は、保持リング15により固定される。
【0022】
そして、上述のように、粘着テープ11と、粘着テープ11上の複数のチップ状ワークWと、粘着テープ11の外周を保持する保持リング15とによりウエハ体11Aが構成される(
図12参照)。
【0023】
このようなウエハ体11Aを処理するチップ状ワークの搬送システムは、
図1に示すように、ウエハ体11Aを収納する本実施の形態によるウエハ体収納装置40と、ウエハ体収納装置40に隣接して設置されウエハ体11Aから個々のチップ状ワークWを分離するチップ状ワークの分離装置10と、チップ状ワークの分離装置10で分離された個々のチップ状ワークWを吸着するピックアップ装置20と、ピックアップ装置20により吸着された個々のチップ状ワークWを吸着して搬送する回転テーブル60とを備えている。
【0024】
図1はチップ状ワークの搬送システムを示す平面図である。このうち回転テーブル60は水平面上に配置され、その外周に吸着ノズル61を有している。そして後述するピックアップ装置20により吸着された個々のチップ状ワークWが回転テーブル60の外周に設けられた吸着ノズル61に受け渡される。そして回転テーブル60の回転に伴って吸着ノズル61により吸着されたチップ状ワークWも回転し、その後チップ状ワークWは回転テーブル60から外方へ排出される。
【0025】
なお、本実施の形態において、ウエハ体収納装置40、チップ状ワークの分離装置10、ピックアップ装置20および回転テーブル60はいずれも制御部35により駆動制御される。
【0026】
次にウエハ体収納装置40について
図4乃至
図12により説明する。
【0027】
図4乃至
図12に示すように、ウエハ体収納装置40は本体41と、本体41に対して揺動自在に取り付けられた受け体42と、受け体42内に装着されるとともに、ウエハ体11Aを収納する多層に形成された複数の収納溝51、例えば25個の収納溝51を有するウエハ体ラック50とを備えている。またウエハ体ラック50に形成された収納溝51は所定のピッチで配置されている。
【0028】
受け体42は本体41に対して回動軸43を介して揺動自在に取り付けられており、この回動軸43は駆動機構43Aにより駆動される。そして回動軸43を駆動する駆動機構43Aは制御部35により駆動制御される(
図9および
図10参照)。
【0029】
本実施の形態において、ウエハ体ラック50の収納溝51は、ウエハ体11Aの厚みL1に比べて3~4倍の大きさの厚さL2をもつ(
図19および
図20参照)。このためウエハ体ラック50の収納溝51内においてウエハ体11Aは厚み方向へ移動可能となっているが、後述する位置決め部品45により収納溝51内においてウエハ体11Aは厚み方向に位置決めされる。
【0030】
また、受け体42は回動軸43により揺動する。この場合、受け体42および受け体42に装着されたウエハ体ラック50はウエハ体ラック50の収納溝51内に収納されたウエハ体11Aが鉛直方向に対して40°~50°、好ましくは45°傾斜する位置から鉛直方向を向くよう揺動する。
【0031】
すなわち、ウエハ体ラック50の収納溝51内に収納されたウエハ体11Aは、本体41の回動軸43と平行に延び、このため、受け体42およびウエハ体ラック50が揺動して収納溝51内のウエハ体11Aが鉛直方向に対して45°傾斜した場合、ウエハ体ラック50の収納溝51内のウエハ体11Aは、収納溝51の一方の壁面51aに当接する(
図19乃至
図20参照)。
【0032】
ここで
図19はウエハ体ラック50の収納溝51内のウエハ体11Aが鉛直方向に対して45°傾斜する状態を示す図であり、
図20は受け体42およびウエハ体ラック50が回動軸43を中心に揺動して収納溝51内のウエハ体11Aが鉛直方向を向く状態を示す図である。
【0033】
図19に示すように、収納溝51内のウエハ体11Aが鉛直方向に対して45°傾斜して、収納溝51の一方の壁面51aに当接した際、受け体42に設けられた位置決め部品45が収納溝51内に下方から進入して収納溝51内のウエハ体11Aを収納溝51の一方の壁面51aと位置決め部品45との間で挟持する。このことにより収納溝51内において、ウエハ体11Aは位置決めされる。
【0034】
次に
図20に示すように、受け体42およびウエハ体ラック50が回動軸43を中心として揺動して収納溝51内のウエハ体11Aが鉛直方向を向く。この間、収納溝51内のウエハ体11Aは位置決め部品45により位置決めされた状態を保つ。
【0035】
その後、本体41に設けられたプッシャー48により、ウエハ体ラック50の所望の収納溝51内に収納されたウエハ体11Aが上方へ持ち上げられる(
図9および
図10参照)。
【0036】
その後、ウエハ体ラック50の所望の収納溝51から上方へ持ち上げられたウエハ体11Aは、その保持リング15上部がハンドラ65により把持されてチップ状ワークの分離装置10まで搬送される。
【0037】
このように受け体42およびウエハ体ラック50が回動軸43を中心に回動し、収納溝51内のウエハ体11Aは鉛直方向に対して45°傾く位置から鉛直方向へ向きを変える。この間、ウエハ体ラック50の収納溝51内のウエハ体11Aは位置決め部品45により位置決めされている。
【0038】
このためウエハ体ラック50の所望の収納溝51内のウエハ体11Aをプッシャー48に対して精度良く位置決めすることができ、ウエハ体11Aをプッシャー48により確実に持ち上げることができる。その後、収納溝51から持ち上げられたウエハ体11Aをハンドラ65により確実に把持してチップ状ワークの分離装置10まで搬送することができる。
【0039】
次に、受け体42に設けられた位置決め部品45および本体41に設けられたプッシャー48について更に述べる。
【0040】
上述のように受け体42に設けられた位置決め部品45は、ウエハ体ラック50の各収納溝51内に下方から進入自在となっている。そして各収納溝51内に進入する位置決め部品45は、ウエハ体11Aの厚み方向に延びる支持体45Bにより支持されている(
図4乃至
図7および
図19乃至
図20参照)。
【0041】
また支持体45Bには収納溝51に対応して複数の位置決め部品45が支持されており、位置決め部品45はウエハ体ラック50の収納溝51と同数、例えば25個、収納溝51と同一ピッチで配置されている。
【0042】
本実施の形態において、各収納溝51内に進入する位置決め部品45と、各位置決め部品45を支持する支持体45Bとにより位置決め機構45Aが構成されている。
【0043】
また受け体42には駆動機構46が設けられている。そして位置決め部品45を有する位置決め機構45Aは全体として受け体42に設けられた駆動機構46によりウエハ体ラック50に向けて駆動され、このことにより位置決め機構45Aの位置決め部品45はウエハ体ラック50の収納溝51内に進入可能となっている。
【0044】
また各収納溝51内に進入する位置決め部品45は、ウエハ体11Aと直交する断面において、収納溝51側の先端にテーパ部45aが形成されている。
【0045】
このため各収納溝51内に位置決め部品45を進入する際、テーパ部45aによりウエハ体11Aを収納溝51の一方の壁面51aにより確実に当接させることができる。
【0046】
なお、ウエハ体ラック50の各収納溝51内に進入する位置決め部品45は、ウエハ体11Aに直交する方向からみて、ウエハ体11Aの中央部下端に設けられている(
図10参照)。
【0047】
また、
図10および
図11に示すように、プッシャー48は本体41に設けられ、ウエハ体ラック50の収納溝51内に収納されたウエハ体11Aの下端部の両側に2個設けられている。また本体41に駆動機構49が取り付けられており、各プッシャー48は本体41に設けられた駆動機構49により駆動されて収納溝51内に収納されたウエハ体11Aを下方から持ち上げるようになっている。またプッシャー48の駆動機構49はウエハ体ラック50の各収納溝51内に収納されたウエハ体11Aの厚み方向に延びる移動軸62に沿って移動可能となっている。このため、移動軸62に沿って駆動機構49を移動させることにより、プッシャー48により所望の収納溝51内に収納されたウエハ体11Aを上方へ持ち上げることができる。
【0048】
次にチップ状ワークWを個々のチップ状ワークWに分離するチップ状ワークの分離装置10と、チップ状ワークの分離装置10により分離された個々のチップ状ワークWを吸着するピックアップ装置20と、ピックアップ装置20により吸着された個々のチップ状ワークWを吸着して搬送する回転テーブル60の構成を説明する。
【0049】
図13乃至
図17に示すように、チップ状ワークの分離装置10は、支持テーブル本体30Aと、支持テーブル本体30Aに取り付けられるとともに、ウエハ体11Aを支持する支持テーブル30と、ウエハ体11Aの粘着テープ11上のチップ状ワークWを押圧する押圧装置17とを備えている。
【0050】
また支持テーブル30は、
図17に示すようにそのピックアップ装置20側端部に設けられた固定リング31を有し、この固定リング31の右側に、固定リング31に対して左右方向へ移動する可動リング32が設けられている。そして粘着テープ11を保持する保持リング15が固定リング31と可動リング32との間で挟持され、このようにして保持リング15を介してウエハ体11Aを支持テーブル30により保持することができる。
【0051】
本実施の形態において、支持テーブル30は鉛直面上に配置され、支持テーブル30の右側端部に設けられた固定リング31と、固定リング31の右側に設けられた可動リング32との間で保持リング15が挟持され、ウエハ体11Aは鉛直面上に保持される(
図17参照)。
【0052】
この場合、支持テーブル30に保持されたウエハ体11Aの粘着テープ11はそのピックアップ装置20側が紫外線硬化型接着層13となり、そのピックアップ装置20と反対側が基材層12となり、チップ状ワークWは紫外線硬化型接着層13に接着されている(
図13参照)。
【0053】
ところで、ウエハ体11Aを保持する支持テーブル30は、支持テーブル本体30Aに移動自在に取り付けられている(
図17および
図18A乃至
図18C参照)。すなわち、支持テーブル30は、支持テーブル本体30Aに支持体71を介して左右方向に移動自在に取り付けられている(
図17参照)。また、支持テーブル本体30Aには、ウエハ体11A側に延びるとともに、ウエハ体11Aの保持リング15の内径より小さな外径をもつ円筒体70が設けられている。
【0054】
通常時には、支持テーブル30は、円筒体70に対してピックアップ装置20側へ離間しており、このため、円筒体70は支持テーブル30により支持されるウエハ体11Aに対して作用しない(
図18B参照)。次に支持テーブル本体30Aに取り付けられた支持テーブル30を支持体71とともに支持テーブル本体30A側へ移動させることにより、円筒体70がウエハ体11Aの保持リング15内に入り込む(
図18C参照)。このことにより、円筒体70がウエハ体11Aの粘着テープ11を半径方向外方へ向かって伸張させることができる。このように粘着テープ11が半径方向外方へ向かって伸張することにより、粘着テープ11上の複数のチップ状ワークWは互いに離間した状態で粘着テープ11上に配置されることになる。
【0055】
このため、粘着テープ11上の特定のチップ状ワークW2のみを後述する押圧装置17により、ピックアップ装置20側へ押圧し、押圧されたチップ状ワークWをピックアップ装置20により吸着することができる。
【0056】
なお、支持テーブル本体30Aは、鉛直面上で回転方向および/または上下方向および左右方向に移動可能となっている。このため、支持テーブル本体30Aに取り付けられた支持テーブル30も、鉛直面上で回転方向および/または上下および左右方向に移動可能となっている。
【0057】
また押圧装置17は支持テーブル30に保持されたウエハ体11Aのピックアップ装置20と反対側に配置されている。この押圧装置17はウエハ体11Aの粘着テープ11を押圧するニードルピン17aと、ニードルピン17aを駆動するピン駆動シリンダ17bとを有する。また、ピン駆動シリンダ17bは駆動シリンダ保持体18により保持されている。このような構成からなる押圧装置17は鉛直面上で上下および左右方向に移動可能となっている。
【0058】
さらにまたピックアップ装置20は、支持テーブル30と回転テーブル60との間に配置されている。ピックアップ装置20は水平方向に延びる回転軸25aを中心として回動する回転体25と、回転体25の外周に取り付けられた8本の保持体22と、各保持体22に伸縮自在に設けられ、チップ状ワークWを吸着して排出する吸着部21とを有する(
図15参照)。
【0059】
本実施の形態において、ピックアップ装置20は固定され、このピックアップ装置20に対してウエハ体11Aを保持する支持テーブル30が鉛直面上で回転方向および/または上下および左右方向に移動するようになっている。
【0060】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0061】
まず、ウエハ体11Aの粘着テープ11に対して予め紫外線照射装置(図示せず)により、紫外線が照射され、粘着テープ11の紫外線硬化型接着層13が硬化して、その接着力を低下させておく。次に、
図2および
図3に示すように、ウエハ体収納装置40の受け体42が本体41に対して、鉛直方向に関し40°~50°の間の角度、例えば45°だけ傾いている。次に鉛直方向に対して傾く受け体42内にウエハ体11Aが収納されたウエハ体ラック50が装着される(
図4および
図6参照)。
【0062】
この場合、ウエハ体ラック50の収納溝51内に収納されたウエハ体11Aも鉛直方向に関し、45°傾いており、収納溝51内のウエハ体11Aは収納溝51の一方の壁面51aに当接した状態で配置される。この状態から受け体42を回動軸43を中心として揺動させ、鉛直方向に起こして、ウエハ体11Aを鉛直方向に向けると、収納溝51内でウエハ体11Aが自由に厚み方向へ移動することも考えられる。
【0063】
本実施の形態においては、次に受け体42に設けられた駆動機構46により、位置決め部品45を有する位置決め機構45Aを全体としてウエハ体ラック50に向かって移動させる。このことき、位置決め機構45Aの位置決め部品45がウエハ体ラック50の収納溝51内に進入する(
図5および
図7参照)。
【0064】
このように位置決め部品45が収納溝51内に下方から進入することにより、収納溝51内のウエハ体11Aを収納溝51の一方の壁面51aと位置決め部品45との間で挟持することができる(
図19参照)。このようにしてウエハ体ラック50の収納溝51内において、ウエハ体11Aを確実に位置決めすることができる。
【0065】
この場合、位置決め部品45の収納溝51側の先端にテーパ部45aが形成されているため、収納溝51内に位置決め部品45をスムーズに進入させることができ、この位置決め部品45により収納溝51内のウエハ体11Aを一方の壁面51a側へ確実に押し付けて位置決めすることができる。
【0066】
なお、上記実施の形態において、予め受け体42が本体41に対して鉛直方向に、例えば45°だけ傾いていて、この45°だけ傾いている受け体42内にウエハ体11Aが収納されたウエハ体ラック50を装着する例を示したが、これに限らず、鉛直方向近傍に待機する受け体42内にウエハ体ラックを装着し、ウエハ体ラック50が装着されたことを図示しない近接センサで検知しても良い。近接センサからの信号は制御部35に送られ、その後、制御部35により受け体42が回動軸43により揺動して、本体41とウエハ体ラック50を鉛直方向に関し、45°だけ傾く位置までもっていってもよい。その後は、上述した実施の形態と同様に、ウエハ体ラック50の収納溝51内に位置決め部品45が進入する。
【0067】
次に
図8に示すように、受け体42が回動軸43により揺動して、本体41とウエハ体ラック50が鉛直方向を向き、同様に収納溝51内のウエハ体11Aも鉛直方向を向く(
図20参照)。
【0068】
なお、本体41に対して受け体42を回動軸43を中心として揺動させる際、回動軸43は駆動機構43Aにより駆動される。
【0069】
この間、収納溝51内のウエハ体11Aは位置決め部品45により位置決めされた状態を保つ。
【0070】
その後、
図9および
図10に示すように、本体に設けられたプッシャー48が駆動機構49により駆動され、ウエハ体ラック50の所望の収納溝51内に収納されたウエハ体11Aが上方へ持ち上げられる。
【0071】
その後、ウエハ体ラック50の所望の収納溝51から上方へ持ち上げられたウエハ体11Aは、その保持リング15上部がハンドラ65により把持されて、チップ状ワークの分離装置10まで搬送される。
【0072】
この場合、ウエハ体ラック50の収納溝51内のウエハ体11Aは鉛直方向の姿勢をとりながら、上方へ持ち上げられ、ウエハ体11Aは鉛直方向の姿勢を保ちながら、ハンドラ65によりその保持リング15上部が把持される。次にハンドラ65により保持リング15上部が把持されたウエハ体11Aは鉛直方向の姿勢を保ちながらチップ状ワークの分離装置10の支持テーブル30上方へ達する。次に鉛直方向の姿勢をもつウエハ体11Aはハンドラ65により下方へ移動して、支持テーブル本体30Aに取り付けられた支持テーブル30へ受け渡される。
【0073】
次に支持テーブル30に受け渡されたウエハ体11Aに対する処理作用について述べる。
【0074】
まず
図13乃至
図17に示すように、個々のチップ状ワークWを保持した粘着テープ11を有するウエハ体11Aが、その外周に設けられた保持リング15を介して支持テーブル30に支持される。
【0075】
この場合、ウエハ体11Aの保持リング15が支持テーブル30の固定リング31と可動リング32との間に挿入され、次に可動リング32を固定リング31側へ駆動体により移動する。このようにしてウエハ体11Aの保持リング15を固定リング31と可動リング32との間で挟持して、ウエハ体11Aを支持テーブル30により保持することができる。
【0076】
次に粘着テープ11上に設けられた押圧装置17が鉛直面上で、回転方向および/または上下および左右方向に移動して、ピックアップ装置20に対向する位置に位置決めされる。
【0077】
次に制御部35により、支持テーブル30を支持する支持テーブル本体30Aが、鉛直面上で回転方向および/または上下および左右方向に移動して、支持テーブル30に保持された複数のチップ状ワークWのうち、ピックアップ装置20により吸着して排出するワーク(対象ワーク)W2をピックアップ装置20の直近までもってくる。
【0078】
このとき、、支持テーブル30は、円筒体70に対してピックアップ装置20側へ離間しており、このため、円筒体70は支持テーブル30により支持されるウエハ体11Aに対して作用しない(
図18B参照)。次に支持テーブル本体30Aに取り付けられた支持テーブル30を支持体71とともに支持テーブル本体30A側へ移動させることにより、円筒体70がウエハ体11Aの保持リング15内に入り込む(
図18C参照)。このことにより、円筒体70がウエハ体11Aの粘着テープ11を半径方向外方へ向かって伸張させることができる。このように粘着テープ11が半径方向外方へ向かって伸張することにより、粘着テープ11上の複数のチップ状ワークWは互いに離間した状態で粘着テープ11上に配置される。
【0079】
次に押圧装置17のニードルピン17aがピン駆動シリンダ17bにより駆動され、このニードルピン17aにより、ピックアップ装置20の直近にきた対象ワークW2のみを押圧する。このことにより対象ワークW2が粘着テープ11から剥離され、ピックアップ装置20側へ押し出される。
【0080】
このようにニードルピン17aにより対象ワークW2をピックアップ装置20側へ押し出した後、ピックアップ装置20の吸着部21の吸着作用により対象ワークW2を吸着して粘着テープ11から剥離して取り出す。
【0081】
その後、ピックアップ装置20の吸着部21により粘着テープ11から剥離して取り出された対象ワークW2は、回転体25の回転に伴って、90°回転して、ピックアップ装置20のウエハ体11A側の位置から上方位置まで搬送される。ピックアップ装置20の上方位置まで対象ワークW2が達すると、ピックアップ装置20の吸着部21の吸着作用が停止する。
【0082】
このときピックアップ装置20の吸着部21から対象ワークW2が回転テーブル60の外周に設けられた吸着ノズル61に受け渡され、回転テーブル60の吸着ノズル61に吸着された対象ワークW2は、回転テーブル60の回転に伴って、回転テーブル60とともに回転移動して、その後外方へ排出される。
【0083】
このような作用を繰り返すことにより粘着テープ11上のチップ状ワークWを順次、粘着テープ11から分離して、ピックアップ装置20を介して回転テーブル60へ送ることができる。
【0084】
その後、後工程においてチップ状ワークに対して検査工程が行われる。
【0085】
またピックアップ装置20の吸着部21により対象ワークW2を吸着する間、ピックアップ装置20の回転体25に接続された吸着力測定装置28により、対象ワークW2を吸着する吸着時の吸着部21の吸着力を測定してもよい。吸着力測定装置28により測定された吸着時の吸着部21の吸着力は制御部35へ送られる。
【0086】
制御部35は吸着力測定装置28により測定された吸着時の吸着力に基づいて、紫外線硬化型接着層13の接着力低下の程度を判断する。そして吸着力測定装置により測定された吸着力低下の程度に基づいて、制御部35はピン駆動シリンダ17bを制御して、ピン駆動シリンダ17bによるニードルピン17aの押圧力を調整することができる。
【0087】
以上のように、本実施の形態によれば、ウエハ体収納装置40の受け体42を本体41に対して鉛直方向に関し、例えば45°だけ傾ける。この状態で受け体42内にウエハ体11Aが収納されたウエハ体ラック50を装着する。この場合、ウエハ体ラック50の収納溝51内に収納されたウエハ体11Aも鉛直方向に関し45°だけ傾いており、収納溝51内のウエハ体11Aを収納溝51の一方の壁面51aに当接させることができる。次に位置決め部品45をウエハ体ラック50の収納溝51内に進入させることにより、収納溝51内のウエハ体11Aを収納溝51の一方の壁面51aと位置決め部品45との間で挟持して位置決めすることができる(
図19参照)。
【0088】
その後、受け体42およびウエハ体ラック50を回動軸43を中心として揺動して収納溝51内のウエハ体11Aが鉛直方向を向く。次にウエハ体ラック50の所望の収納溝51内に収納されたウエハ体11Aをプッシャー48により上方へ持ち上げ、このウエハ体11Aをハンドラ65によりチップ状ワークの分離装置10まで搬送することができる(
図20参照)。
【0089】
この間、収納溝51内のウエハ体11Aは位置決め部品45により収納溝51の所定位置、すなわち収納溝51の一方の壁面51aに当接する位置において位置決めされる。このため、収納溝51内のウエハ体11Aをプッシャー48に対して精度良く位置決めし、その後、ウエハ体11Aをプッシャー48により確実に持ち上げることができる。またプッシャー48により持ち上げられたウエハ体11Aの保持リング15上部をハンドラ65により確実に把持してチップ状ワークの分離装置まで搬送することができる。
【0090】
またウエハ体11Aを収納したウエハ体ラック50を鉛直方向に関し45°だけ傾斜した受け体42内に装着し、受け体42を鉛直方向まで揺動させた後、ウエハ体ラック50から鉛直方向を向くウエハ体11Aの保持リング15上部を上方へ取り出してハンドラ65によりチップ状ワークの分離装置10まで鉛直方向の姿勢を保ちながら搬送している。このため例えばウエハ体ラック内でウエハ体を水平方向に向けて収納し、ウエハ体ラックからウエハ体を水平方向へ引き出し、その後ウエハ体を鉛直方向へ向きを変えた後チップ状ワークの分離装置まで搬送する場合に比べて、ウエハ体ラック内に水平方向に収納されたウエハ体を水平方向に引き出す機構および配置エリアを設ける必要がないため、全体の設置面積を小さくすることができ、かつ装置全体の構成を簡略化することができる。とりわけ、本実施の形態において使用されるウエハ体は、例えば165mm程度の直径をもっている。そしてこのような大型のウエハ体をウエハ体ラック内に水平方向に収納しておき、水平方向に収納されたウエハ体を水平方向へ引き出した後、ウエハ体を水平方向から鉛直方向へ方向転換する場合、大掛かりな構造および設置面積が必要となる。
【0091】
これに対して本実施の形態によれば、ウエハ体ラック50内に鉛直方向に配置されたウエハ体11Aを、この鉛直方向の姿勢を保ったまま、ハンドラ65によりチップ状ワークの分離装置10まで搬送するため、全体の構造を簡略化することができ、かつ全体の設置面積を抑えることができる。
【符号の説明】
【0092】
1 ダイシングブレード
10 チップ状ワークの分離装置
11 粘着テープ
11A ウエハ体
12 基材層
13 紫外線硬化型接着層
15 保持リング
17 押圧装置
17a ニードルピン
17b ピン駆動シリンダ
18 駆動シリンダ保持体
20 ピックアップ装置
21 吸着部
22 保持体
25 回転体
28 吸着力測定装置
30 支持テーブル
30A 支持テーブル本体
31 固定リング
32 可動リング
35 制御部
40 ウエハ体収納装置
41 本体
42 受け体
43 回動軸
43A 駆動機構
45 位置決め部品
45a テーパ部
45A 位置決め機構
46 駆動機構
48 プッシャー
49 駆動機構
50 ウエハ体ラック
51 収納溝
51a 一方の壁面
60 回転テーブル
61 吸着ノズル
70 円筒体
71 支持体
W ワーク
W1 半導体ウエハ
W2 対象ワーク