(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076186
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 73/16 20060101AFI20240529BHJP
H01H 73/20 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H01H73/16
H01H73/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187624
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕明
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030CA03
5G030XX20
(57)【要約】
【課題】簡便な構成にて、複数の電力線の接続状態をそれぞれ区別して表示可能な回路遮断器を提供する。
【解決手段】連結部40は、可撓性を有すると共に、非伸縮性の部材によって構成される。連結部40を構成する部材は、可撓性を有するため、複雑な機構を設けなくとも、出力部30と表示部50との位置関係に応じて互いを連動させることができる。また、連結部40を構成する部材は、非伸縮性の部材であるため、出力部30が移動した分に応じて、正確に表示部50を移動させることができる。そのため、複雑な機構や部品の寸法精度を要することなく、正確に表示部50が複数の電力線の接続状態を区別して表示できる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動することで複数の電力線の接続状態を変更する複数の端子と、
前記複数の端子の動きに連動する出力部と、
前記端子の状態を視覚的に表示する表示部と、
前記出力部と前記表示部とを連結する連結部と、を備え、
前記連結部は、可撓性を有すると共に、非伸縮性の部材によって構成される、回路遮断器。
【請求項2】
前記表示部は、前記連結部とは別部材によって構成される、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記出力部は、前記連結部とは別部材によって構成される、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記出力部がスライドする第1の方向と、前記表示部がスライドする第2の方向とは、互いに交差し、
前記連結部は、前記出力部と前記表示部との間で湾曲する、請求項1に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電力線の接続状態を視認可能な回路遮断器が知られている。特許文献1に記載の回路遮断器は、表示窓が設けられた筐体と、筐体に対して移動可能な複数の端子と、端子体を有し、上下にそれぞれ設けられた2つの切替つまみと、表示手段と、表示手段を付勢する表示駒スプリングとを備える。表示手段は、ケース体に回動可能に軸支された軸部と、軸部から径方向に突設された表示部及び作用部とを有する。200Vの接続状態では、作用部に力が加わっていない状態であり、表示部が表示窓に臨み、表示部が外部から赤く見えるようになっている。100Vの接続状態では、上側の切替つまみの端子体が上側に回動して中性極の導電バーが挿入されており、端子体が表示駒スプリングの付勢力に抗して作用部を押動し、表示部が表示窓から外れ、表示部が外部から白く見えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力線に接続する複数の端子の位置の組み合わせ(以下、「電力線の接続状態」と記載)を変えることで、回路遮断器の電源側において電力を流す電力線を変えることができる。特許文献1に記載の回路遮断器では、電力線の接続状態が異なっていても、電路における電圧値が同一の電圧値を示す場合がある。複数の回路遮断器において同一の電力線の接続状態が採用されることで、複数の回路遮断器の電源側において、同一の電力線にのみ電力が流れるようになる。これにより、例えば、同一の電力線の接続状態が採用された回路遮断器の数が所定の数以上に多くなれば、回路遮断器の電源側に設けられた主幹ブレーカがトリップする可能性がある。
【0005】
このため、主幹ブレーカのトリップを抑制するため、電力線の接続状態の偏りを抑制することが求められている。しかしながら、特許文献1の回路遮断器では、電路において同一の電圧値を示す2以上の電力線の接続状態に対しては同一の表示形態となるため、作業者は、何れの電力線の接続状態が採用されているのか容易に判別できない可能性がある。その一方、複数の電力線の接続状態を区別するために、複雑な機構や構造を採用した場合、構造部品の寸法精度の問題が生じ、部品点数、組立工数、及びスペースが増加するという問題が生じる。
【0006】
本開示は、簡便な構成にて、複数の電力線の接続状態をそれぞれ区別して表示可能な回路遮断器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る回路遮断器は、移動することで複数の電力線の接続状態を変更する複数の端子と、複数の端子の動きに連動する出力部と、端子の状態を視覚的に表示する表示部と、出力部と表示部とを連結する連結部と、を備え、連結部は、可撓性を有すると共に、非伸縮性の部材によって構成される。
【0008】
この回路遮断器は、複数の端子と、出力部と、連結部と、表示部と、を備える。少なくとも1つの端子が移動することで、電力線の接続状態が変更される。少なくとも1つの端子の移動により出力部が連動し、連結部を介して当該出力部に連結された表示部も連動する。これにより、表示部は、変更後の端子の状態を視覚的に表示することができる。端子の移動に合わせて複数の端子の状態の表示が変化する。したがって、この回路遮断器は、複数の端子の状態、すなわち回路遮断器と電力線との複数の接続状態をそれぞれ区別して表示できる。ここで、連結部は、可撓性を有すると共に、非伸縮性の部材によって構成される。連結部を構成する部材は、可撓性を有するため、複雑な機構を設けなくとも、出力部と表示部との位置関係に応じて互いを連動させることができる。また、連結部を構成する部材は、非伸縮性の部材であるため、出力部が移動した分に応じて、正確に表示部を移動させることができる。そのため、複雑な機構や部品の寸法精度を要することなく、正確に表示部が複数の電力線の接続状態を区別して表示できる。以上より、簡便な構成にて、複数の電力線の接続状態をそれぞれ区別して表示可能することができる。
【0009】
表示部は、連結部とは別部材によって構成されてよい。この場合、表示部を構成する部材として、複数の端子の状態の表示に適した部材を選択することが可能となる。これにより、表示機能の信頼性を向上することができる。
【0010】
出力部は、連結部とは別部材によって構成されてよい。この場合、出力部を構成する部材として、複数の端子の動きとの連動に適した部材を選択することが可能となる。これにより、表示機能の信頼性を向上することができる。
【0011】
出力部がスライドする第1の方向と、表示部がスライドする第2の方向とは、互いに交差し、連結部は、出力部と表示部との間で湾曲してよい。この場合、回路遮断器が特定の方向に大きくなることを抑制し、回路遮断器の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る回路遮断器によれば、簡便な構成にて、複数の電力線の接続状態をそれぞれ区別して表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る回路遮断器の右側ケースが外れた状態の一例を示す側面図である。
【
図2】実施形態に係る収容部及び複数の端子の一例を示す斜視図である。
【
図3】実施形態に係る複数の端子、出力部及び回動部の一例を示す斜視図である。
【
図4】導電バーに対して第1の接続位置に設けられた複数の端子及び出力部の一例を示す正面図である。
【
図5】導電バーに対して第2の接続位置に設けられた複数の端子及び出力部の一例を示す正面図である。
【
図6】導電バーに対して第3の接続位置に設けられた複数の端子及び出力部の一例を示す正面図である。
【
図7】第1の接続位置に設けられた複数の端子に対する表示部の一例を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示す状態の出力部、表示部、及び連結部を斜め下方から見た斜視図である。
【
図9】第1の接続位置に設けられた複数の端子に対する表示部の状態の一例を示す概略側面図である。
【
図10】第2の接続位置に設けられた複数の端子に対する表示部の状態の一例を示す斜視図である。
【
図11】第2の接続位置に設けられた複数の端子に対する表示部の状態の一例を示す概略側面図である。
【
図12】第3の接続位置に設けられた複数の端子に対する表示部の状態の一例を示す斜視図である。
【
図13】第3の接続位置に設けられた複数の端子に対する表示部の状態の一例を示す概略側面図である。
【
図14】変形例に係る回路遮断器の出力部、連結部、表示部を示す概略側面図である。
【
図15】変形例に係る回路遮断器の出力部、連結部、表示部を示す概略側面図である。
【
図16】変形例に係る回路遮断器の出力部、連結部、表示部を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」「下」「左」「右」「前」「背」等の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0015】
図1は、実施形態に係る回路遮断器の右側ケースが外れた状態の一例を示す側面図である。図中のX方向及びY方向が水平方向であり、Z方向が垂直方向である。X方向、Y方向及びZ方向は、3次元空間の直交座標系における互いに直交する軸方向である。以下では、XY平面に沿った方向を水平方向、Z方向を上下方向ともいう。
【0016】
図1に示される回路遮断器1は、電源と負荷装置との間を結ぶ電路に介在する装置であって、後述の接点部80の接触及び離間を制御して、電路の開閉を制御する。ここで、回路遮断器1は、電路の開閉状態として少なくとも開状態及び閉状態の2つの状態を取りうる。開状態とは、作業者が操作する等の外的な動作を含む作用により接点が離間し、電路に電流が流れない状態である。閉状態とは、作業者が操作する等の外的な動作を含む作用により接点が接触し、電路に電流が流れる状態である。回路遮断器1は、トリップ状態を電路の開状態として取ってもよい。トリップ状態とは、電路における過電流、短絡、漏電等の異常状態を検知して、回路遮断器1内の構造の作用により接点が離間し、電路に電流が流れない状態である。
【0017】
回路遮断器1は、例えば、単相三線式の分電盤(不図示)に設けられる。回路遮断器1は、分電盤内に設けられた主幹ブレーカ(不図示)の2次側に設けられる。主幹ブレーカは、その2次側において、3つの導電バー(導電体の一例)が接続可能である。導電バーは、例えば、ブスバーである。分電盤は、3本の板状の導電バーN,L1,L2のうち少なくとも2本備えている。回路遮断器1は、中性極の導電バーN及び一方の電圧極の導電バーL1と接続する場合、並びに、中性極の導電バーN及び他方の電圧極の導電バーL2と接続する場合には100Vの電力を通電可能な回路遮断器として利用可能である。また、回路遮断器1は、両電圧極の導電バーL1及び導電バーL2と接続する場合には200Vの電力を通電可能な回路遮断器として利用可能である。
【0018】
回路遮断器1は、複数の端子20と、出力部30と、表示部50と、連結部40と、を備える。回路遮断器1は、収容部10をさらに備える。回路遮断器1は、例えば、漏電を検出する零相変流器5と、電磁引き外し装置7と、プリント基板9と、複数の負荷側端子70と、複数の接点部80と、接点移動部85と、複数の負荷側係合部90とをさらに備え得る。プリント基板9は、漏電が発生したら電磁引き外し装置7を引き外し動作させる漏電検出回路を組み付けている。なお、プリント基板9に搭載されている素子は省略してある。回路遮断器1は、例えば、3箇所に配置可能な2つの端子20A,20Bと、2つの負荷側端子70と、2つの接点部80とを備える。
【0019】
収容部10は、複数の端子20、出力部30、表示部50、及び連結部40の少なくとも一部を収容する。
図1に示す例では、収容部10は、2つの端子20A,20Bの一部、出力部30、表示部50、及び連結部40、零相変流器5、電磁引き外し装置7、プリント基板9、複数の負荷側端子70、複数の接点部80、接点移動部85の一部、及び、負荷側係合部90の一部等の構成を収容する筐体である。収容部10は、これらの構成を収容する空間を内部に形成している。収容部10は、例えば、筐体の長手方向がX方向に沿って延在している。
【0020】
収容部10は、例えば、右側ケース10A(
図2参照)と、左側ケース10Bとを有する。Y方向の正方向(左側)に向かって、右側ケース10A、左側ケース10Bが順に配置されている。左側ケース10Bは、右側ケース10Aの左側(Y方向の負方向)において右側ケース10Aと嵌合する。左側ケース10Bと右側ケース10Aとが嵌合することで2つの端子20の一部及び後述の解除レバー93の一部を除く各構成物が収容部10内に収容される。右側ケース10A及び左側ケース10Bは、例えば、ピン等の係止部材によりそれぞれ係止され、嵌合する。右側ケース10Aと左側ケース10Bとは、例えば、略対称の構成を有する。
【0021】
収容部10には、前側(X方向の正方向)を向く面において、負荷装置から延在する負荷側電線LLを差し込むことが可能な複数の電線差込口11が設けられる。本実施形態の収容部10には、2つの電線差込口11が設けられる。各電線差込口11は、後述の右側ケース10A及び後述の左側ケース10BをそれぞれX方向に向かって貫通している開口である。収容部10において、Y方向の左側に向かって、2つの電線差込口11が配置されている。
【0022】
図2は、実施形態に係る収容部及び端子の一例を示す斜視図である。
図1及び
図2に示すように、収容部10は、後述の表示部50の一部を外側から視認可能な表示窓12を有する。表示窓12は、上面視にて矩形状を有する開口である。表示窓12は、例えば、収容部10の上部を上下方向に貫通し、収容部10の内部の空間と収容部10の外部の空間とを連通している開口である。
【0023】
2つの端子20A,20Bは、移動することで複数の電力線の接続状態を変更する。電力線の接続状態は、電力線に接続する複数の端子の位置の組み合わせである。2つの端子20A,20Bは、例えば、電源側端子である。2つの端子20A,20Bは、3本の導電バーN,L1,L2の接続状態を変更する。2つの端子20A,20Bは、電源に電気的に接続可能な端子である。本実施形態の2つの端子20A,20Bは、収容部10においてX方向の負方向を向く面(背面)に配置される。2つの端子20A,20Bが設けられた背面は上下方向に沿って延在する面で形成される。例えば、収容部10の背面側の上部において、端子20Aが配置され、収容部10の背面側の下部において、端子20Bが配置されている。収容部10において、上下方向に沿って、端子20A,20Bが並んで配置されている。
図1及び
図2に示す例では、端子20Aは、中性極の導電バーNと接続可能な位置、端子20Bは一方の電圧極の導電バーL1に接続可能な位置にそれぞれ設けられている。以下、2つの端子20A,20Bの位置を第1の接続位置という。2つの端子20A,20Bの詳細については後述する。
【0024】
再び
図1を参照する。複数の負荷側端子70は、負荷装置に電気的に接続可能な端子である。2つの負荷側端子70は、収容部10においてX方向の正方向を向く面(前面)に配置され、Y方向に沿って整列して配置されている。2つの負荷側端子70が設けられた前面の一部は負荷装置から延在する負荷側電線LLの接続操作がしやすいように傾斜して形成されている。一方の負荷側端子70は、端子20Aと電気的に接続可能である。他方の負荷側端子70は、端子20Bと電気的に接続可能である。
【0025】
2つの接点部80は、電源と負荷装置とを電気的に接続可能な電路の開閉を接点移動部85の動きに合わせて切り替え可能な構成である。一方の接点部80は、端子20Aと、一方の負荷側端子70とをそれぞれ電気的に接続する。他方の接点部80は、端子20Bと、他方の負荷側端子70とをそれぞれ電気的に接続する。2つの接点部80は、X方向において、2つの端子20と2つの負荷側端子70との間に配置される。2つの接点部80は、収容部10において、Y方向に沿って整列して配置されている。
【0026】
各接点部80は、電源側接触子81と、負荷側接触子82と、板状部材83とを有する。各電源側接触子81は、端子20A,20Bとそれぞれ電気的に接続している。各負荷側接触子82は、各負荷側端子70と電気的に接続している。各接点部80において、電源側接触子81と負荷側接触子82とが電気的に接続可能である。
【0027】
板状部材83は、接点移動部85に接続され、接点移動部85の開閉動作に合わせてその前端部(X方向の正方向の端部)が上下方向に移動する。電源側接触子81は、板状部材83の前端部であって下面に配置され、下方に向かって露出している。電源側接触子81は、接点移動部85によりそれぞれ負荷側接触子82に対して相対的に移動し、互いに接触又は離間が可能である。負荷側接触子82は、収容部10内において位置が固定されている。負荷側接触子82は、例えば、収容部10の下部において、上方に向かって露出するように後述の端子座91に設けられる。
【0028】
各接点部80において、電源側接触子81と負荷側接触子82とが接触しているとき電路が形成される閉状態となる。2つの接点部80の少なくとも一方において、電源側接触子81と負荷側接触子82とが離間しているとき、電路が形成されていない開状態又はトリップ状態となる。電源側接触子81及び負荷側接触子82において、それぞれの接触又は離間状態が接点移動部85の開閉動作により切り替えられる。閉状態においては、電源と負荷装置とを電気的に接続する電路が形成される。
【0029】
接点移動部85は、収容部10に対して相対的に移動可能に支持され、複数の接点部80における開閉動作を制御する。接点移動部85は、操作レバー86と、板状部材83に接続する開閉機構部87と、を有する。操作レバー86は、電路に対して開閉操作、すなわち通電(オン)操作及び遮断(オフ)操作可能な治具である。操作レバー86が作業者に把持されて回動軸を中心に一方に回転されることで、開閉機構部87が下方に移動することで各板状部材83をそれぞれ下方に移動させ、各電源側接触子81を各負荷側接触子82に接触させ、電路を閉状態にする。操作レバー86が作業者に把持されて回動軸を中心に他方に回転されることで、開閉機構部87が上方に移動することで各板状部材83をそれぞれ上方に移動させ、各電源側接触子81を各負荷側接触子82から離間させ、電路を開状態にする。開閉機構部87は、例えば、セパレータを有する。
【0030】
複数の負荷側係合部90は、負荷側電線LLと係合するユニットである。回路遮断器1は、例えば、2つの負荷側係合部90を有する。2つの負荷側係合部90は、収容部10において、X方向の前面側に配置され、Y方向に沿って整列して配置されている。各負荷側係合部90の一部は、各負荷側端子70を構成する。各負荷側係合部90は、例えば、端子座91と、板ばね92と、解除レバー93とを有する。
【0031】
端子座91は、負荷側電線LLの端部と係合可能な構成である。回路遮断器1において、負荷側電線LLが係合していても負荷側電線LLが係合していなくてもよい。端子座91は、回路遮断器1に接続される負荷側電線LLと負荷側接触子82とを電気的に接続する。端子座91は、板ばね92と共に負荷装置と接続可能な負荷側電線LLと係合し、当該負荷側電線LLと負荷側端子70とを電気的に接続する。端子座91内に挿入された負荷側電線LLの端部は、例えば、X方向に沿って延在する。端子座91は、例えば、1枚の金属板を折り曲げて形成された部材である。端子座91において、板ばね92を内部に収容可能な収容空間と、電源側接触子81と負荷側接触子82との開閉動作が可能な開閉空間とがそれぞれ画成される。
【0032】
板ばね92は、端子座91において負荷側電線LLと係合する。板ばね92は、例えば、金属板が湾曲して形成された部材である。板ばね92は、その主面が上方を向き、当該主面の幅方向がY方向に沿っている。板ばね92は、端子座91の収容空間内に収容される。板ばね92は、端子座91の一部と係合して負荷側電線LLを挟み込んで保持する。
【0033】
解除レバー93は、回路遮断器1の収容部10内に挿入された負荷側電線LLの係合を解除するために用いられる。解除レバー93は、例えば、電線差込口11より背面側に設けられ、収容部10内に一部が収容される。端子座91において負荷側電線LLが係合している場合には、解除レバー93が回転軸を中心にX方向の背面側に向けて回転するという機能を発揮することで負荷側電線LLの係合が解除される。
【0034】
以下、収容部10、2つの端子20A,20B、出力部30、表示部50、及び連結部40について説明する。
図3は、実施形態に係る複数の端子、出力部、表示部及び連結部の一例を示す斜視図である。
図2及び
図3に示す収容部10には、端子20A,20Bを上下方向に案内可能なガイド部13を有する。ガイド部13は、一対のガイド部材13A,13Bを有する。収容部10において、一対のガイド部材13A,13BがY方向に沿って並んで配置されている。一対のガイド部材13A,13Bは、例えば、上下方向に沿って延在するガイドレールである。ガイド部材13Aは、例えば、Y方向の負方向に向かって窪み、上下方向に沿って形成された溝部を有する。ガイド部材13Bは、例えば、Y方向の正方向に向かって窪み、上下方向に沿って形成された溝部を有する。
【0035】
収容部10の左側ケース10Bには、壁部14を形成する。壁部14は、Y方向及びZ方向に延在している。右側ケース10Aにおいても、Y方向において壁部14と対称の位置に壁部が設けられる(不図示)。Y方向において、右側ケース10Aの壁部と、左側ケース10Bの壁部14との間には隙間が形成されている。
【0036】
2つの端子20A,20Bのそれぞれは、端子本体部21、移動体22、端子金具23、導体板24を有する。端子本体部21は、収容部10の背面側の外部に設けられる。端子本体部21は、箱状の形状を有し、X方向の背面側及びY方向に向かって開口している開口21pが形成されている。端子本体部21のX方向の背面側において、上部と下部とが開口21pを挟んで対向している。当該上部と当該下部は、X方向の前面側において一体的に接続されている。
【0037】
端子本体部21のX方向の前面側の面には、移動体22が設けられる。移動体22は、ガイド部13に対して上下方向に移動可能に係合する。移動体22は、例えば、Y方向及びZ方向に沿って延在する板状の部材である。移動体22は、一対のガイド部材13A,13Bにそれぞれ形成された溝部に移動可能に嵌合する。
【0038】
端子本体部21には、端子金具23が設けられる。端子金具23は、例えば、端子本体部21のうち、開口21pに露出する部位に設けられる。端子金具23は、例えば、弾性変形可能かつ導電性を有する金属板を折曲又は湾曲して形成されている。端子金具23は、X方向の背面側及びY方向に向かって開口している。端子金具23は、例えば、略C字状の形状を有する。端子金具23は、分電盤内に配設された導電バーN,L1,L2の何れか1本を挿入するだけで接続されるプラグイン式の端子として形成されている。
【0039】
端子20A,20Bの端子金具23,23には導体板24,24が延設されている。導体板24は、X方向及びZ方向に延在する板状の部材である。導体板24,24は、収容部10の右側ケース10Aの壁部と左側ケース10Bの壁部14との間に形成されている隙間に挿通され、壁部14よりX方向の前面側に延在している。
【0040】
再び
図1を参照する。回路遮断器1は、2つのバイメタル片25、2つの可動電磁片26及び引き外し部材27を更に備え得る。2つのバイメタル片25及び2つの可動電磁片26のそれぞれは、収容部10において、Y方向に沿って整列して配置されている。各導体板24は、導体板24のX方向の前面側において、電線を介して各バイメタル片25及び各可動電磁片26と接続している。各バイメタル片25は、過電流を検知する。各可動電磁片26は、短絡を検知する。各バイメタル片25及び各可動電磁片26は、Z方向の上方に向けて配置され、過電流又は短絡電流を検知した際に上方に変形或いは回動動作するよう取り付けられている。なお、各バイメタル片25と各可動電磁片26は、電磁引き外し装置7と合わせて電路の異常を検知する異常検出部を構成している。引き外し部材27は、電磁引き外し装置7、バイメタル片25及び可動電磁片26の動作を接点移動部85に伝達し、接点移動部85のラッチを解除して遮断動作させる。
【0041】
図4は、導電バーに対して第1の接続位置に設けられた複数の端子及び出力部の一例を示す正面図である。
図4に示すように、各端子本体部21は、突起部28を有する。すなわち、複数の端子20A,20Bは、それぞれ突起部28A,28Bを有する。突起部28は、各端子本体部21の上下方向の移動に合わせて移動する。突起部28は、X方向及びY方向に延在する板状の部材である。突起部28は、例えば、端子本体部21の下部のX方向の前面からX方向の前面側に向かって突出する。例えば、突起部28Aの下端面28b及び突起部28Bの下端面28dは、それぞれ端子本体部21,21の下端面に沿って設けられる。例えば、突起部28Aの上端面28a及び突起部28Bの上端面28cは、それぞれ突起部28Aの下端面28b及び突起部28Bの下端面28dに沿って設けられる。
【0042】
出力部30は、複数の端子20A,20Bの移動を表示部50及び連結部40に伝達する機構を有する。
図4に示す例では、出力部30は、例えば、1つの板状の部材から形成されている。出力部30は、複数の端子20A,20BのX方向の前面側であって、壁部14のX方向の背面側に設けられる。出力部30は、壁部14に沿ってZ方向に移動する。出力部30は、例えば、出力本体部31と、出力係合部32とを有する。
【0043】
出力本体部31は、Y方向及びZ方向に沿って延在する板状の部位である。出力本体部31は、複数の端子20A,20Bに設けられた各移動体22の前面に設けられる。出力本体部31は、例えば、一対のガイド部材13A,13Bとの間において、上下方向に移動可能な構成である。出力本体部31は、例えば、一対のガイド部材13A,13Bに設けられた溝部には嵌合していない。
【0044】
出力本体部31には、突起部28Aの少なくとも一部を内部に挿通可能な開口31Aと、突起部28Bの少なくとも一部を内部に収容可能な開口31Bとが形成されている。開口31A及び開口31Bは、それぞれX方向に貫通している。開口31A及び開口31Bは、例えば、それぞれ矩形状の開口である。開口31AのY方向の幅及びZ方向の長さは、それぞれ突起部28AのY方向の幅及びZ方向の長さより大きい。開口31BのY方向の幅及びZ方向の長さは、それぞれ突起部28BのY方向の幅及びZ方向の長さより大きい。
【0045】
出力係合部32は、出力本体部31に設けられ、複数の端子20A,20Bに設けられた突起部28A,28Bの少なくとも一方と係合する。出力係合部32は、突起部28A,28Bの少なくとも一方が上下方向に移動するとき、突起部28A,28Bの少なくとも一方が出力係合部32に当接する。
【0046】
出力係合部32は、第1当接部33、第2当接部34、第3当接部35及び第4当接部36を有する。第1当接部33、第2当接部34、第3当接部35及び第4当接部36は、Y方向に沿って延在している。第1当接部33及び第2当接部34は、開口31Aに面している。Z方向において、第1当接部33と第2当接部34とは、開口31Aを挟んで対向する位置に設けられる。第1当接部33は、出力本体部31の上部に設けられ、開口31Aの上端を構成する部位である。端子20Aの突起部28Aの上端面28aは、第1当接部33に対して下方から当接可能である。第2当接部34は、出力本体部31の中央部に設けられ、開口31Aの下端を構成する部位である。端子20Aの突起部28Aの下端面28bは、第2当接部34に対して上方から当接可能である。
【0047】
第3当接部35及び第4当接部36は、開口31Bに面している。Z方向において、第3当接部35と第4当接部36とは、開口31Bを挟んで対向する位置に設けられる。第3当接部35は、出力本体部31の中央部に設けられ、開口31Bの上端を構成する部位である。第2当接部34及び第3当接部35は、例えば、それぞれ開口31Aと開口31Bとの間に位置する出力本体部31の部位における上端部及び下端部である。端子20Bの突起部28Bの上端面28cは、第3当接部35に対して下方から当接可能である。第4当接部36は、出力本体部31の下部に設けられ、開口31Bの下端を構成する部位である。端子20Bの突起部28Bの下端面28dは、第4当接部36に対して上方から当接可能である。
【0048】
以下、導電バーの接続状態ごとの2つの端子20A,20Bと出力部30との係合について説明する。
図4に示す例では、第1の接続位置に2つの端子20A,20Bが位置するとき、端子20Bの突起部28Bの上端面28cが第3当接部35に当接する。Z方向において、出力部30の下方への移動が、突起部28Bによって規制される。このとき、端子20Aの突起部28Aは、第1当接部33及び第2当接部34に当接していない。開口31Aにおいて、突起部28Aは、第2当接部34より第1当接部33側に位置する。以下、突起部28Aの上端面28aと第1当接部33との距離を距離D1という。以下、このときの出力部30の位置を、第1の移動位置という。
【0049】
図5は、導電バーに対して第2の接続位置に設けられた複数の端子及び出力部の一例を示す正面図である。
図5に示す例では、端子20Aは、中性極の導電バーNと接続可能な位置、端子20Bは他方の電圧極の導電バーL2に接続可能な位置にそれぞれ設けられている。以下、2つの端子20A,20Bの位置を第2の接続位置という。
図5に示す例では、第2の接続位置に2つの端子20A,20Bが位置するとき、端子20Aの突起部28Aの上端面28aが第1当接部33に当接すると共に、端子20Bの突起部28Bの下端面28dが第4当接部36に当接する。Z方向において、出力部30の上方及び下方への移動が、突起部28A,28Bによって規制される。以下、このときの出力部30の位置を、第2の移動位置という。2つの端子20A,20Bが第1の接続位置から第2の接続位置に変化するとき、出力部30は、第1の移動位置から第2の移動位置まで距離D1だけ下方に移動する。
【0050】
図6は、導電バーに対して第3の接続位置に設けられた複数の端子及び出力部の一例を示す正面図である。
図6に示す例では、端子20Aは、一方の電圧極の導電バーL1と接続可能な位置、端子20Bは他方の電圧極の導電バーL2に接続可能な位置にそれぞれ設けられている。以下、2つの端子20A,20Bの位置を第3の接続位置という。
図6に示す例では、第3の接続位置に2つの端子20A,20Bが位置するとき、端子20Aの突起部28Aの下端面28bが第2当接部34に当接する。Z方向において、出力部30の上方への移動が、突起部28Aによって規制される。このとき、端子20Bの突起部28Bは、第3当接部35及び第4当接部36に当接していない。以下、突起部28Bの下端面28dと第4当接部36との距離を距離D3という。以下、このときの出力部30の位置を、第3の移動位置という。2つの端子20A,20Bが第2の接続位置から第3の接続位置に変化するとき、出力部30は、第2の移動位置から第3の移動位置まで距離D3だけ下方に移動する。
【0051】
次に、表示部50及び連結部40の構成について
図7~
図13を参照して詳細に説明する。
図7は、第1の接続位置に設けられた複数の端子に対する表示部の状態の一例を示す斜視図である。
図8は、
図7に示す状態の出力部、表示部、及び連結部を斜め下方から見た斜視図である。
図9は、第1の接続位置に設けられた複数の端子に対する表示部の状態の一例を示す概略側面図である。
図10は、第2の接続位置に設けられた複数の端子に対する表示部の状態の一例を示す斜視図である。
図11は、第2の接続位置に設けられた複数の端子に対する表示部の状態の一例を示す概略側面図である。
図12は、第3の接続位置に設けられた複数の端子に対する表示部の状態の一例を示す斜視図である。
図13は、第3の接続位置に設けられた複数の端子に対する表示部の状態の一例を示す概略側面図である。
【0052】
図8に示すように、表示部50は、出力部30のZ方向における上方に配置される。表示部50は、XY平面に平行な矩形の板状部材によって構成される。表示部50は、出力部30の上端部30aから、Z方向における上方へ離間した位置に配置される。連結部40は、出力部30と表示部50とを連結する部材である。連結部40は、Y軸方向に幅方向を有するシート状の部材である。
【0053】
連結部40は、出力部30と表示部50との間で湾曲するように配置される。連結部40は、出力部30側においてZ方向に延びる。当該部分は、X方向に厚み方向を有する。連結部40の出力部30側のZ方向の下側の端部40a付近は、出力部30の上端部30a付近に接合される。連結部40の端部40aは、出力部30のX方向の前側の面30bに接合される。連結部40は、表示部50側においてX方向に延びる。当該部分は、Z方向に厚み方向を有する。連結部40の表示部50側のX方向の後側の端部40b付近は、表示部50のX方向の後側の端部50a付近に接合される。連結部40の端部40bは、表示部50のZ方向の下側の面50cに接合される。
【0054】
出力部30は、第1の方向SD1にスライドする。前述のように、出力部30は、端子20A,20Bの移動に応じてZ方向にスライドするため、第1の方向SD1は、Z方向と平行である。表示部50は、第2の方向SD2にスライドする。表示部50は、出力部30の移動に応じてX方向にスライドするため、第2の方向SD2は、X方向と平行である。連結部40は、出力部30の第1の方向SD1の駆動力を第2の方向SD2に変換して、表示部50に伝達する。
【0055】
連結部40は、可撓性を有すると共に、非伸縮性の部材によって構成される。可撓性を有する部材とは、表示部50と出力部30との間で折れ曲がることなく湾曲するようにたわみ、表示部50及び出力部30が移動した場合に、当該移動に応じて湾曲箇所が移動できる程度の弾性力を有する部材である。非伸縮性を有する部材とは、端子20の移動時に発生する力では、連結部が平面方向に伸びることなく、且つ縮むことがない部材である。このような部材として、樹脂性のシートを採用してよい。樹脂性の材料として、例えば、バルカナイズドファイバー,ノーメックス,ルミラー(ポリエステルフィルム)などの耐熱絶縁シートを採用してよい。
【0056】
表示部50は、連結部40とは別部材によって構成されてよい。出力部30は、連結部40とは別部材によって構成されてよい。別部材とは、連結部40と一体的に形成された状態となっておらず、別部品として構成されたものを機械的接合方法、または接着剤等の接合方法によって接合した部材である。出力部30及び表示部50は、材質が連結部40と異なっていてもよく、厚みや幅(Y方向の寸法)が連結部40と異なっていてもよい。なお、表示部50及び出力部30の材質として、連結部40と異なる樹脂などを採用してもよいが、連結部40と同じ材質を採用してもよい。
【0057】
表示部50は、複数の端子20A,20Bの状態を視覚的に表示する。
図7に示すように、表示部50は、表示窓12を通じて外部に向かって露出している。表示部50の上方の面50dには、第1表示部51と、第2表示部52と、第3表示部53とが形成される。第1表示部51、第2表示部52及び第3表示部53は、表示部50のスライド方向に沿って、X方向の負方向に向かって順に配置されている。すなわち、面50dにおいて、第2表示部52は、第1表示部51と第3表示部53との間に配置されている。第1表示部51と第2表示部52と第3表示部53とのそれぞれの境界は、Y方向に沿って延在している。
【0058】
第1表示部51、第2表示部52及び第3表示部53は、例えば、外周面44において、互いに異なる色に塗装されて形成されている。第1表示部51、第2表示部52及び第3表示部53が、互いに異なる形態で表示されていることを外部から認識可能であれば、形態の相違は色の相違に限定されず、文字又は図形等であってもよい。
【0059】
第1表示部51は、2つの端子20A,20Bが第1の接続位置に位置していることを表示する。第1表示部51は、例えば、外周面44が黒色に塗装されている部位である。第2表示部52は、2つの端子20A,20Bが第2の接続位置に位置していることを表示する。第2表示部52は、例えば、外周面44が白色に塗装されている部位である。第3表示部53は、2つの端子20A,20Bが第3の接続位置に位置していることを表示する。第3表示部53は、例えば、外周面44が赤色に塗装されている部位である。
【0060】
収容部10に設けられた表示窓12は、第1表示部51、第2表示部52及び第3表示部53のそれぞれの少なくとも一部が露出するような大きさに開口している。作業者は、表示窓12を介して第1表示部51、第2表示部52及び第3表示部53のそれぞれの表示(色)を視認できる。表示窓12のX方向に沿った方向の幅は、例えば、第1表示部51、第2表示部52及び第3表示部53のそれぞれの幅(X方向の寸法)以下に設定される。表示窓12のY方向に沿った方向の長さは、例えば、表示部50のY方向の寸法以下に設定される。
【0061】
図9に示すように、収容部10は、表示窓12から外部に向けて表示部50が露出するように表示部50を収容すると共にガイドするスライド収容部60を有する。なお、
図9は、構造の理解を容易とするために、連結部40の厚みや表示部51,52,53の厚みを強調して示している。それに伴い、収容部10の形状も簡略化して記載している。スライド収容部60は、上壁部61と、下壁部62と、前壁部63と、後壁部64と、ガイド部66と、を備える。上壁部61は、表示部50を上側から覆い、表示窓12を有する。下壁部62は、表示部50を下側から覆う。下壁部62は、出力部30よりも前側に配置される前側部分62Aと、出力部30よりも後側に配置される後側部分62Bと、を備える。前側部分62Aは、表示部50を下側から支持する。後側部分62Bは、表示部50から下方へ離間した位置に配置される。ガイド部66は、湾曲した連結部40の移動をガイドするように、当該湾曲形状に対応して湾曲する内部空間を有する。
【0062】
次に、出力部30、連結部40、及び表示部50の動作について説明する。まず、第2の接続位置または第3の接続位置から、第1の接続位置へ移行する場合について説明する。
図9に示すように、第1の接続位置に2つの端子20A,20Bが位置するとき、出力部30はZ方向の上側へ移動する。これに伴い、連結部40の出力部30側の端部40aは、Z方向の上側へ移動する。また、連結部40の表示部50側の端部40bは、X方向の後側へ移動する。これにより、表示部50が、X方向の後側へ移動する。表示部50のX方向の後側の端部50aは、後壁部64と当接する。これにより、表示部50のX方向の後側への移動が規制される。当該位置では、表示部50の第1表示部51が表示窓12の下方に配置される。従って、表示窓12には、第1表示部51の色が表示される(
図7参照)。
【0063】
次に、第1の接続位置から第2の接続位置へ移行する場合について説明する。
図11に示すように、第2の接続位置に2つの端子20A,20Bが位置するとき、出力部30はZ方向の下側へ移動する。これに伴い、連結部40の出力部30側の端部40aは、Z方向の下側へ移動する。また、連結部40の表示部50側の端部40bは、X方向の前側へ移動する。これにより、表示部50が、X方向の前側へ移動する。当該位置では、表示部50の第2表示部52が表示窓12の下方に配置される。従って、表示窓12には、第2表示部52の色が表示される(
図10参照)。
【0064】
次に、第2の接続位置から第3の接続位置へ移行する場合について説明する。
図13に示すように、第3の接続位置に2つの端子20A,20Bが位置するとき、出力部30はZ方向の下側へ移動する。これに伴い、連結部40の出力部30側の端部40aは、Z方向の下側へ移動する。また、連結部40の表示部50側の端部40bは、X方向の前側へ移動する。これにより、表示部50が、X方向の前側へ移動する。表示部50のX方向の前側の端部50bは、前壁部63と当接する。これにより、表示部50のX方向の前側への移動が規制される。当該位置では、表示部50の第3表示部53が表示窓12の下方に配置される。従って、表示窓12には、第3表示部53の色が表示される(
図12参照)。
【0065】
次に、本実施形態に係る回路遮断器1の作用・効果について説明する。
【0066】
本実施形態に係る回路遮断器1は、複数の端子2Aと、出力部30と、連結部40と、表示部50と、を備える。少なくとも1つの端子2が移動することで、電力線の接続状態が変更される。少なくとも1つの端子2の移動により出力部30が連動し、連結部40を介して当該出力部30に連結された表示部50も連動する。これにより、表示部50は、変更後の端子2の状態を視覚的に表示することができる。端子2の移動に合わせて複数の端子2の状態の表示が変化する。したがって、この回路遮断器1は、複数の端子2の状態、すなわち回路遮断器1と電力線との複数の接続状態をそれぞれ区別して表示できる。ここで、連結部40は、可撓性を有すると共に、非伸縮性の部材によって構成される。連結部40を構成する部材は、可撓性を有するため、複雑な機構を設けなくとも、出力部30と表示部50との位置関係に応じて互いを連動させることができる。また、連結部40を構成する部材は、非伸縮性の部材であるため、出力部30が移動した分に応じて、正確に表示部50を移動させることができる。そのため、複雑な機構や部品の寸法精度を要することなく、正確に表示部50が複数の電力線の接続状態を区別して表示できる。以上より、簡便な構成にて、複数の電力線の接続状態をそれぞれ区別して表示可能することができる。
【0067】
表示部50は、連結部40とは別部材によって構成されてよい。この場合、表示部50を構成する部材として、複数の端子2の状態の表示に適した部材を選択することが可能となる。これにより、表示機能の信頼性を向上することができる。例えば、表示部50の部材として、各表示部51,52,53を形成するのに適した部材が選択される。シールを用いて各表示部51,52,53を形成する場合、シールを貼り付け易い部材が選択される。
【0068】
出力部30は、連結部40とは別部材によって構成されてよい。この場合、出力部30を構成する部材として、複数の端子2の動きとの連動に適した部材を選択することが可能となる。これにより、表示機能の信頼性を向上することができる。
【0069】
出力部30がスライドする第1の方向SD1と、表示部50がスライドする第2の方向SD2とは、互いに交差し、連結部40は、出力部30と表示部50との間で湾曲してよい。この場合、回路遮断器1が特定の方向に大きくなることを抑制し、回路遮断器1の小型化を図ることができる。
【0070】
[変形例]
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、本開示は、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。例えば、回路遮断器1の他に、電源及び負荷装置の少なくとも1つを備える回路遮断器システムを一体的に形成してもよい。
【0071】
例えば、回路遮断器1において、接点部80、電源側端子及び負荷側端子70の数は限定されない。接点部80は、1又は3以上の電源側端子を有していてもよく、1又は3以上の負荷側端子70を有していてもよい。この場合、電源側接触子81及び負荷側接触子82の数も限定されない。
【0072】
例えば、
図14に示すように、表示部50が、連結部40と同一の部材で形成されてもよい。表示部50は、連結部40と一体的に構成されている。連結部40のシートをX方向の後側へ延ばすことで、表示部50が形成される。表示部50のシートの上面には、各表示部51,52,53が形成される。
【0073】
例えば、
図15に示すように、出力部30が、連結部40と同一の部材で形成されてもよい。出力部30は、連結部40と一体的に構成されている。連結部40のシートをZ方向の下側へ延ばすことで、出力部30が形成される。
図15に示す形態では、表示部50、連結部40、及び出力部30が一体的に構成されている。
【0074】
例えば、
図16に示すように、表示部50にスリット57が形成され、スライド収容部60の下壁部62の上面に各表示部51,52,53が形成される。X方向の後方へ向かって、第3表示部53、第2表示部52、第1表示部51の順で配置される。また、上壁部61には、各表示部51,52,53全体に対応する広さの表示窓12が形成される。この場合、第1の接続位置の状態でスリット57が第1表示部51の上方に配置される。これにより、スリット57に第1表示部51の色が表示される。第2の接続位置の状態でスリット57が第2表示部52の上方に配置される。これにより、スリット57に第2表示部52の色が表示される。第3の接続位置の状態でスリット57が第3表示部53の上方に配置される。これにより、スリット57に第3表示部53の色が表示される。
【0075】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[形態1]~[形態4]に記載する。
【0076】
[形態1]
移動することで複数の電力線の接続状態を変更する複数の端子と、
前記複数の端子の動きに連動する出力部と、
前記端子の状態を視覚的に表示する表示部と、
前記出力部と前記表示部とを連結する連結部と、を備え、
前記連結部は、可撓性を有すると共に、非伸縮性の部材によって構成される、回路遮断器。
[形態2]
前記表示部は、前記連結部とは別部材によって構成される、形態1に記載の回路遮断器。
[形態3]
前記出力部は、前記連結部とは別部材によって構成される、形態1又は2に記載の回路遮断器。
[形態4]
前記出力部がスライドする第1の方向と、前記表示部がスライドする第2の方向とは、互いに交差し、
前記連結部は、前記出力部と前記表示部との間で湾曲する、形態1~3の何れか一項に記載の回路遮断器。
【符号の説明】
【0077】
1…回路遮断器、2…端子、30…出力部、40…連結部、50…表示部。