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特開2024-76191シート欠陥位置検出方法、情報処理装置、シート欠陥位置検出システム、電子部品の生産方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076191
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】シート欠陥位置検出方法、情報処理装置、シート欠陥位置検出システム、電子部品の生産方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 13/00 20130101AFI20240529BHJP
【FI】
H01G13/00 361Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187630
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】渡部 明生
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AA01
5E082AB03
5E082FF05
5E082FG06
5E082FG26
5E082MM26
5E082MM32
(57)【要約】
【課題】後工程においてキャリアフィルム及びセラミックグリーンシートの欠陥位置を適切に検出可能なシート欠陥位置検出方法を提供すること。
【解決手段】シート欠陥位置検出方法は、グリーンシートフィルムGの欠陥情報を取得する欠陥情報取得工程(ステップS13)、キャリアフィルムC及びセラミックグリーンシートの少なくとも一方にマークを付与するマーク付与工程(ステップS14)、グリーンシートフィルムGに熱履歴を付与する乾燥工程(ステップS22)、熱履歴付与後それらからマーク情報を取得するマーク情報取得工程(ステップS31)、グリーンシートフィルムGの欠陥位置を決定する欠陥位置決定工程(ステップS32)を含み、欠陥位置決定工程(ステップS32)は、欠陥情報に基づく欠陥位置情報とマーク情報に基づく読取マーク間距離情報とに基づきグリーンシートフィルムGの欠陥位置を決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型工程と、
前記キャリアフィルム及び前記キャリアフィルム上に成型された前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得工程と、
前記セラミックグリーンシートの成型後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の上に所定の間隔で複数のマークを付与するマーク付与工程と、
前記セラミックグリーンシート及び前記キャリアフィルムに熱履歴が付与される熱履歴付与工程と、
前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に付与された前記複数のマークから、前記マーク付与工程によって付与された前記複数のマークの情報を取得するマーク情報取得工程と、
前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する欠陥位置決定工程と、を含み、
前記欠陥位置決定工程は、前記欠陥情報取得工程で取得された前記欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、前記マーク情報取得工程で取得された複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する、シート欠陥位置検出方法。
【請求項2】
前記熱履歴付与工程は、加熱工程である、請求項1に記載のシート欠陥位置検出方法。
【請求項3】
前記マーク付与工程と、前記マーク情報取得工程の間に、層状部材を前記セラミックグリーンシート上に形成する層状部材形成工程を有する、請求項1又は2に記載のシート欠陥位置検出方法。
【請求項4】
前記マーク付与工程と、前記マーク情報取得工程の間に、前記セラミックグリーンシートが成型された前記キャリアフィルムをロール状に巻き取る巻き取り工程と、ロール状の、前記セラミックグリーンシートが成型された前記キャリアフィルムを巻き出す巻き出し工程と、を有する、請求項1又は2に記載のシート欠陥位置検出方法。
【請求項5】
キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型部と、前記キャリアフィルム及び前記キャリアフィルム上に成型された前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得部と、前記セラミックグリーンシートの成型後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の上に所定の間隔で複数のマークを付与するマーク付与部と、前記セラミックグリーンシート及び前記キャリアフィルムに熱履歴を付与する熱履歴付与部と、前記熱履歴付与部により熱履歴が付与された後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に付与された前記複数のマークから、前記マーク付与部により付与された前記複数のマークの情報を取得するマーク情報取得部と、を備える電子部品の生産システムの情報処理装置であって、
前記熱履歴付与部により熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する欠陥位置決定部を備え、
前記欠陥位置決定部は、前記欠陥情報取得部が取得した前記欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、前記マーク情報取得部が取得した複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、前記熱履歴付与部によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する、情報処理装置。
【請求項6】
キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型部と、
前記セラミックグリーンシート及び前記キャリアフィルムに熱履歴を付与する熱履歴付与部と、を備える電子部品の生産システムに用いられるシート欠陥位置検出システムであって、
前記熱履歴付与部により熱履歴が付与される前に、前記キャリアフィルム及び前記キャリアフィルム上に成型された前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得部と、
前記熱履歴付与部により熱履歴が付与される前に、前記セラミックグリーンシートの成型後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の上に所定の間隔で複数のマークを付与するマーク付与部と、
前記熱履歴付与部により熱履歴が付与された後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に付与された前記複数のマークから、前記マーク付与部により付与された前記複数のマークの情報を取得するマーク情報取得部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記熱履歴付与部により熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する欠陥位置決定部を備え、
前記欠陥位置決定部は、前記欠陥情報取得部が取得した前記欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、前記マーク情報取得部が取得した複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、前記熱履歴付与部によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する、シート欠陥位置検出システム。
【請求項7】
キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型工程と、
前記セラミックグリーンシート及び前記キャリアフィルムに熱履歴が付与される熱履歴付与工程と、を含む電子部品の生産方法であって、
前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与される前に、前記キャリアフィルム及び前記キャリアフィルム上に成型された前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得工程と、
前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与される前に、前記セラミックグリーンシートの成型後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の上に所定の間隔で複数のマークを付与するマーク付与工程と、
前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に付与された前記複数のマークから、前記マーク付与工程によって付与された前記複数のマークの情報を取得するマーク情報取得工程と、
前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する欠陥位置決定工程と、
前記欠陥位置決定工程によって決定された前記欠陥の位置に基づいて、電子部品の生産に利用する前記セラミックグリーンシートの領域を決定する利用領域決定工程と、を含み、
前記欠陥位置決定工程は、前記欠陥情報取得工程で取得された前記欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、前記マーク情報取得工程で取得された複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する、電子部品の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート欠陥位置検出方法、情報処理装置、シート欠陥位置検出システム、電子部品の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グリーンシート上に電極を印刷する印刷装置を含む積層セラミック電子部品製造装置が知られている。例えば特許文献1には、グリーンシート上にターゲットマークを印刷し、このターゲットマークの画像処理によって、電極印刷位置決めを行う装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-167544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セラミックグリーンシートやセラミックグリーンシートが成型されるキャリアフィルムには、その製造工程中に欠陥が生じる場合がある。しかしながら、特許文献1の装置は、キャリアフィルムやセラミックグリーンシートに欠陥が発生する可能性があることについて考慮されていなかった。よって、キャリアフィルムやセラミックグリーンシートに欠陥が発生した場合に、キャリアフィルムやセラミックグリーンシートに対して行われる工程を考慮した上でどのように対応すべきかについてはさらに考慮できていなかった。
【0005】
本発明は、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートの少なくとも一方に欠陥が発生した場合に、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに対して行われる工程を考慮し、後工程においてキャリアフィルム及びセラミックグリーンシートの欠陥位置を適切に検出することが可能なシート欠陥位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシート欠陥位置検出方法は、キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型工程と、前記キャリアフィルム及び前記キャリアフィルム上に成型された前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得工程と、前記セラミックグリーンシートの成型後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の上に所定の間隔で複数のマークを付与するマーク付与工程と、前記セラミックグリーンシート及び前記キャリアフィルムに熱履歴が付与される熱履歴付与工程と、前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に付与された前記複数のマークから、前記マーク付与工程によって付与された前記複数のマークの情報を取得するマーク情報取得工程と、前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する欠陥位置決定工程と、を含み、前記欠陥位置決定工程は、前記欠陥情報取得工程で取得された前記欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、前記マーク情報取得工程で取得された複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する。
【0007】
本発明の情報処理装置は、キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型部と、前記キャリアフィルム及び前記キャリアフィルム上に成型された前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得部と、前記セラミックグリーンシートの成型後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の上に所定の間隔で複数のマークを付与するマーク付与部と、前記セラミックグリーンシート及び前記キャリアフィルムに熱履歴を付与する熱履歴付与部と、前記熱履歴付与部により熱履歴が付与された後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に付与された前記複数のマークから、前記マーク付与部により付与された前記複数のマークの情報を取得するマーク情報取得部と、を備える電子部品の生産システムの情報処理装置であって、前記熱履歴付与部により熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する欠陥位置決定部を備え、前記欠陥位置決定部は、前記欠陥情報取得部が取得した前記欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、前記マーク情報取得部が取得した複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、前記熱履歴付与部によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する。
【0008】
本発明のシート欠陥位置検出システムは、キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型部と、前記セラミックグリーンシート及び前記キャリアフィルムに熱履歴を付与する熱履歴付与部と、を備える電子部品の生産システムに用いられるシート欠陥位置検出システムであって、前記熱履歴付与部により熱履歴が付与される前に、前記キャリアフィルム及び前記キャリアフィルム上に成型された前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得部と、前記熱履歴付与部により熱履歴が付与される前に、前記セラミックグリーンシートの成型後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の上に所定の間隔で複数のマークを付与するマーク付与部と、前記熱履歴付与部により熱履歴が付与された後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に付与された前記複数のマークから、前記マーク付与部により付与された前記複数のマークの情報を取得するマーク情報取得部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記熱履歴付与部により熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する欠陥位置決定部を備え、前記欠陥位置決定部は、前記欠陥情報取得部が取得した前記欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、前記マーク情報取得部が取得した複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、前記熱履歴付与部によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する。
【0009】
本発明の電子部品の生産方法は、キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型工程と、前記セラミックグリーンシート及び前記キャリアフィルムに熱履歴が付与される熱履歴付与工程と、を含む電子部品の生産方法であって、前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与される前に、前記キャリアフィルム及び前記キャリアフィルム上に成型された前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得工程と、前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与される前に、前記セラミックグリーンシートの成型後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の上に所定の間隔で複数のマークを付与するマーク付与工程と、前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に付与された前記複数のマークから、前記マーク付与工程によって付与された前記複数のマークの情報を取得するマーク情報取得工程と、前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する欠陥位置決定工程と、前記欠陥位置決定工程によって決定された前記欠陥の位置に基づいて、電子部品の生産に利用する前記セラミックグリーンシートの領域を決定する利用領域決定工程と、を含み、前記欠陥位置決定工程は、前記欠陥情報取得工程で取得された前記欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、前記マーク情報取得工程で取得された複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートの少なくとも一方に欠陥が発生した場合に、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに対して行われる工程を考慮し、後工程においてキャリアフィルム及びセラミックグリーンシートの欠陥位置を適切に検出することが可能なシート欠陥位置検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品の生産システムを示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係るグリーンシート成型装置を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係る内部電極層印刷装置を示す模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係る積層装置を示す模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係るカット装置を示す模式図である。
図6】キャリアフィルムに付与されたマークの一例を示す模式図である。
図7】本発明の一実施形態に係る制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図8】本発明の一実施形態に係る制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
図9】熱履歴付与工程前のマークと欠陥位置との関係を説明するための模式図である。
図10】熱履歴付与工程後のマークと欠陥位置との関係を説明するための模式図である。
図11】欠陥位置情報に基づく後処理の一活用例を説明するための模式図である。
図12】欠陥位置情報に基づく後処理の別の活用例を説明するための模式図である。
図13】シート作成工程の流れを説明するためのフローチャートである。
図14】内部電極形成工程の流れを説明するためのフローチャートである。
図15】積層ブロック作成工程の流れを説明するためのフローチャートである。
図16】シート作成工程において制御装置が実行する欠陥マーク連携処理を説明するためのフローチャートである。
図17】積層ブロック作成工程において制御装置が実行する欠陥位置決定処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の積層セラミック電子部品の生産システムSについて、図1~9を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品の生産システムSを示す模式図である。図1で示される矢印は、積層セラミック電子部品の生産システムS内におけるグリーンシートフィルムGの流れる方向を示す。以下の説明において、セラミックグリーンシートが成型されたキャリアフィルムCをまとめてグリーンシートフィルムGとして説明する。
【0013】
積層セラミック電子部品の生産システムSは、電子部品を製造する。具体的には、積層セラミック電子部品の生産システムSは、例えば積層セラミックコンデンサを製造する。積層セラミックコンデンサは、例えば積層された複数の誘電体層としてのセラミック層と積層された複数の内部電極層とを含み、複数の内部電極層同士が高さ方向に誘電体層を介して対向するコンデンサ有効部としての有効層部が構成される積層体を有する。コンデンサ有効部において、容量が形成され、コンデンサの特性が発現する。なお、電子部品は、積層セラミックコンデンサに限らない。
【0014】
積層セラミック電子部品の生産システムSは、第1の装置としてのグリーンシート成型装置1と、内部電極層印刷装置2と、第2の装置としての積層装置3と、カット装置4と、シート欠陥位置検出システムS1と、を含む。
【0015】
<グリーンシート成型装置>
グリーンシート成型装置1について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るグリーンシート成型装置1を示す模式図である。グリーンシート成型装置1は、例えば図2に示されるようにキャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型する。グリーンシート成型装置1は、キャリアフィルム供給部10と、搬送部11と、シート成型部12と、乾燥部13と、欠陥情報取得部14と、マーク付与部15と、巻き取り部16と、を有する。言い換えると、巻き取り部16は、第1の装置としてのグリーンシート成型装置1に設けられている。
【0016】
キャリアフィルム供給部10は、ロール状に巻かれたキャリアフィルムCを巻き出して、キャリアフィルムCを装置内部に供給する。キャリアフィルムCとしては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムが用いられる。
【0017】
搬送部11は、複数のローラ110を備える。キャリアフィルム供給部10から巻き出されたキャリアフィルムCは、搬送部11を構成する複数のローラ110によって所定のテンションがかけられながら、シート成型部12に搬送される。その後、後述のシート成型部12によりキャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートが成型される。セラミックグリーンシートが形成されたキャリアフィルムCであるグリーンシートフィルムGは、搬送部11を構成する複数のローラ110によって所定のテンションがかけられながら、シート成型部12から、乾燥部13、欠陥情報取得部14、マーク付与部15を経由して巻き取り部16に搬送される。
【0018】
搬送部11は、移動量検出部としてのロータリーエンコーダ111をさらに備えている。ロータリーエンコーダ111は、キャリアフィルムC又はグリーンシートフィルムGの搬送と連動して、キャリアフィルムC及びグリーンシートフィルムGの移動量を検出する。
【0019】
シート成型部12は、キャリアフィルムC上にセラミック材料を含むスラリーを塗布し、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型する。本実施形態においては、例えばドクターブレード法により、キャリアフィルムC上にセラミック材料を含むスラリーを塗布する。
【0020】
乾燥部13は、グリーンシートフィルムGを乾燥させる。言い換えると、乾燥部13は、キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートを乾燥させる。乾燥部13は、加熱手段を有する。乾燥部13は、例えば乾燥炉であってもよい。
【0021】
巻き取り部16は、グリーンシートフィルムGをロール状に巻き取り、回収する。言い換えると、巻き取り部16は、キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートをロール状に巻き取り、回収する。
【0022】
ここで、本実施形態においては、上述のようにグリーンシート成型装置1に欠陥情報取得部14及びマーク付与部15が設けられている。欠陥情報取得部14及びマーク付与部15については、後述のシート欠陥位置検出システムS1の中で説明する。
【0023】
なお、本実施形態のグリーンシート成型装置1は、ドクターブレード法による成型装置であったが、これに限らない。
【0024】
<内部電極層印刷装置>
次に、内部電極層印刷装置2について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る内部電極層印刷装置2を示す模式図である。内部電極層印刷装置2は、グリーンシート成型装置1により成型されたセラミックグリーンシート上に内部電極層用の導電性ペーストを印刷する。内部電極層印刷装置2は、巻き出し部20と、搬送部21と、層状部材形成部としての内部電極層印刷部22と、熱履歴付与部としての乾燥部23と、巻き取り部24と、を有する。
【0025】
巻き出し部20は、ロール状に巻かれたグリーンシートフィルムGを巻き出して、グリーンシートフィルムGを装置内部に供給する。
【0026】
搬送部21は、複数のローラ210を備える。巻き出し部20から巻き出されたグリーンシートフィルムGは、搬送部21を構成する複数のローラ210によって所定のテンションがかけられながら、内部電極層印刷部22、乾燥部23を経由して巻き取り部24に搬送される。
【0027】
搬送部21は、移動量検出部としてのロータリーエンコーダ211をさらに備えている。ロータリーエンコーダ211は、グリーンシートフィルムGの搬送と連動して、グリーンシートフィルムGの移動量を検出する。
【0028】
内部電極層印刷部22は、セラミックグリーンシート上に内部電極層用の導電性ペーストを印刷する。即ち、内部電極層印刷部22は、層状部材としての内部電極層をセラミックグリーンシート上に形成する。本実施形態においては、スクリーン印刷により、セラミックグリーンシート上に内部電極層用の導電性ペーストが所定のパターンで印刷される。内部電極層用の導電性ペーストは、後述のマーク付与部15により付与されたマーク等を用いて位置合わせを行いながら印刷される。
【0029】
ここで、内部電極層印刷部22によりセラミックグリーンシート上に内部電極層用の導電性ペーストを印刷する工程は、層状部材としての内部電極層をセラミックグリーンシート上に形成する層状部材形成工程に対応する。内部電極層印刷部22は、層状部材形成部に対応する。
【0030】
乾燥部23は、グリーンシートフィルムG上に印刷された内部電極層用の導電性ペーストを乾燥させる。乾燥部23は、加熱手段を有する。乾燥部23は、例えば乾燥炉であってもよい。従って、乾燥部23は、セラミックグリーンシートに熱履歴を付与する。
【0031】
ここで、乾燥部23による乾燥工程は、セラミックグリーンシートに熱履歴を付与する熱履歴付与工程に対応する。乾燥部23は、熱履歴付与部に対応する。
【0032】
なお、乾燥部23は、内部電極層印刷装置2に設けられていてもよく、内部電極層印刷装置2とは別体の装置として設けられていてもよい。
【0033】
巻き取り部24は、内部電極層用の導電性ペーストが印刷された後のグリーンシートフィルムGをロール状に巻き取り、回収する。
【0034】
なお、本実施形態の内部電極層印刷装置2は、スクリーン印刷法による印刷装置であったが、これに限らない。例えば、グラビア印刷法による印刷装置であってもよい。
【0035】
<積層装置>
次に、積層装置3について、図4を用いて説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る積層装置を示す模式図である。積層装置3は、内部電極層が印刷されたグリーンシートフィルムGを所定のサイズに切り抜き、切り抜いたグリーンシートフィルムGを積層する。積層装置3は、巻き出し部30と、搬送部31と、マーク情報取得部32と、シート切抜・積層部33と、巻き取り部34と、を有する。言い換えると、巻き出し部30は、第2の装置としての積層装置3に設けられている。
【0036】
巻き出し部30は、ロール状に巻かれたグリーンシートフィルムGを巻き出して、グリーンシートフィルムGを装置内部に供給する。
【0037】
搬送部31は、複数のローラ310を備える。巻き出し部から巻き出されたグリーンシートフィルムGは、搬送部31を構成する複数のローラ310によって所定のテンションがかけられながら、マーク情報取得部32、シート切抜・積層部33を経由して巻き取り部34に搬送される。
【0038】
搬送部31は、移動量検出部としてのロータリーエンコーダ311をさらに備えている。ロータリーエンコーダ311は、グリーンシートフィルムGの搬送と連動して、グリーンシートフィルムGの移動量を検出する。
【0039】
シート切抜・積層部33は、搬送部31により搬送されたグリーンシートフィルムGを所定のサイズに切り抜く。グリーンシートフィルムGは、後述のマーク付与部15により付与されたマーク等を用いて位置合わせを行いながら切り抜かれる。シート切抜・積層部33では、複数のグリーンシートフィルムGが切り抜かれ、切り抜かれたグリーンシートフィルムGは、金型内に積層され、仮圧着される。これにより積層シートが作製される。その後、積層シートが不図示の静水圧プレス等の圧着手段により圧着されることにより、図5に示される未焼成の積層ブロックBが作製される。図5において、積層ブロックBは、複数の層が積層されて構成されるが、説明の便宜上表示していない。積層ブロックBは、積層セラミックコンデンサの有効部となる部分Eと、非有効部であるギャップとなる部分GAと、が交互に配置された状態となっている。なお、仮圧着を行う積層装置3と不図示の静水圧プレスは別構成である。
【0040】
巻き取り部34は、シート切抜・積層部33により切り抜かれた後のグリーンシートフィルムGをロール状に巻き取り、回収する。なお、回収されるグリーンシートフィルムGは、キャリアフィルムC上に梯子状のセラミックグリーンシートが残った状態のものである。
【0041】
ここで、本実施形態においては、積層装置3にマーク情報取得部32が設けられている。マーク情報取得部32については、後述のシート欠陥位置検出システムの中で説明する。
【0042】
<カット装置>
次に、カット装置4について、図5を用いて説明する。図5は、本発明の一実施形態に係るカット装置を示す模式図である。カット装置4は、例えばダイサである。カット装置4は、積層装置3から供給された積層ブロックBをチップサイズにカットする。カット装置4は、テーブル40と、カット部41と、を備える。テーブル40には、積層装置3で作製された積層ブロックBが載置される。カット部41は、テーブルに載置された積層ブロックBを所定のチップサイズにカットする。
【0043】
カット部41は、テーブルの上方に配置されたカット刃410と、カット刃410を固定するホルダ411と、カット刃を切断方向に案内するガイド412と、ホルダ411を移動させてカット刃410を積層ブロックBの厚み方向に移動させるための不図示の駆動手段と、を備える。駆動手段によって移動するカット刃410によって積層ブロックがカットされ、積層チップが切り出されていく。
【0044】
<その後の工程>
その後、積層チップが焼成されることにより、積層体が作製される。さらにその後、積層体に外部電極が形成さる。このような製造工程により、電子部品としての積層セラミックコンデンサが製造される。
【0045】
<シート欠陥位置検出システム>
次に、シート欠陥位置検出システムS1について、図1、2、4、6を用いて説明する。図6は、キャリアフィルムCに付与されたマークの一例を示す模式図である。
【0046】
シート欠陥位置検出システムS1は、欠陥情報取得部14と、マーク付与部15と、マーク情報取得部32と、制御装置5と、を有する。
【0047】
本実施形態の欠陥情報取得部14は、グリーンシート成型装置1に設けられている。欠陥情報取得部14は、キャリアフィルムC及びキャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の欠陥情報を取得する。欠陥情報には、ピンホール、スジ、傷、異物等の欠陥の種類の情報や搬送方向や幅方向における欠陥の位置情報等が含まれる。なお、以下、セラミックグリーンシートに欠陥が発生した場合についての説明を行うが、キャリアフィルムCのみに欠陥が発生した場合や、キャリアフィルムC及びセラミックグリーンシートに欠陥が発生した場合にも、後述する作用効果を同様に得ることができる。また、本実施形態に係る欠陥の位置情報は、後述するマーク付与部15によりキャリアフィルムCに付与されるマークを基準とした位置情報である。このため、欠陥の位置情報は、基準となるマークを特定するための後述の欠陥識別情報IDに関連付けられる。欠陥情報取得部14は、例えばカメラである。欠陥情報取得部14としてのカメラは、搬送されるグリーンシートフィルムGを連続的に撮像し、ピンホール、スジ、傷、異物等の欠陥の情報を含むグリーンシートフィルムGの画像を取得する。本実施形態に係る欠陥情報取得部14は、図2に示すようにカメラユニット140と、照明ユニット141と、により構成される。
【0048】
本実施形態のマーク付与部15は、グリーンシート成型装置1に設けられている。マーク付与部15は、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与する。本実施形態に係るマーク付与部15は、図6に示すようにキャリアフィルムCの幅方向の一端側に所定の間隔P1で複数のマークを付与する。また、マーク付与部15は、グリーンシート成型装置1の搬送部11に設けられたロータリーエンコーダ111から出力される移動量情報に基づき、所定の間隔P1で複数のマークを付与する。複数のマークは、等間隔で付与されることが好ましい。所定の間隔P1は、例えば200mm以上1000mm以下であってもよい。
【0049】
本実施形態のマーク付与部15は、インクジェット方式である、ただし、インクジェット方式に限らない。マーク付与部15は、レーザーマーカ等、他のマーク付与手段であってもよい。マークは、円形状等の単純な幾何学形状であってもよい。マークは、記号、文字、バーコード、二次元コード等の識別情報を含んでいてもよい。
【0050】
本実施形態に係るマークは、連続した記号でIDの役割を持つ。具体的には、マークは、図6に示すようにピッチ計測用の表示Aと、リール番号情報RNと、欠陥識別情報IDと、を含む。
【0051】
ピッチ計測用の表示Aは、マーク間のピッチと実際の送り量を補正するための表示である。リール番号情報RNは、それぞれのグリーンシートフィルムGのロールRを特定するための表示である。リール番号情報RNは、例えば10進数や16進数の数字が用いられる。欠陥識別情報IDは、それぞれのグリーンシートフィルムGのロールRにおける欠陥の位置を特定するための表示である。IDは、例えば10進数や16進数の数字が用いられる。
【0052】
マーク付与部15は、図6に示すようにキャリアフィルムCのロールR側から端側に向かって、ピッチ計測用の表示A、リール番号情報RNと、欠陥識別情報IDと、をこの順に1つのマークとして、複数のマークを所定の間隔P1を空けて印字する。
【0053】
本実施形態のマーク情報取得部32は、積層装置3に設けられている。マーク情報取得部32によるマーク情報取得工程(ステップS31)は、内部電極層印刷装置2による内部電極層印刷工程(ステップS21)及び乾燥工程(ステップS22)の後に行われる。
【0054】
マーク情報取得部32は、マーク付与工程において付与された複数のマークの情報を取得する。マーク情報取得部32は、例えばカメラである。マーク情報取得部32としてのカメラは、搬送されるグリーンシートフィルムGを連続的に撮像し、マークの情報を含むグリーンシートフィルムGの画像を取得する。また、マーク情報取得部32は、乾燥部23により熱履歴が付与された後のグリーンシートフィルムGから、マーク付与部15により付与された複数のマークの情報を取得する。
【0055】
次に、情報処理装置としての制御装置5の構成例について図7を用いて説明する。図7は、本発明の一実施形態に係る制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。制御装置5は、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な汎用のコンピュータである。例えば、制御部の各種機能は、記憶部に格納されたプログラム(アプリケーション)を実行することで実現される。プログラム(アプリケーション)は、ネットワークを介して提供されてもよいし、CD-ROM(Compact Disc Read only memory)又はDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(computer readable storage medium)に記録されて提供されてもよい。しかし、制御装置5は、汎用のコンピュータに限らない。即ち、制御部の各機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0056】
制御装置5は、図7に示すように、プロセッサ50と、ROM(Read Only Memory)51と、RAM(Random Access Memory)52と、バス53と、入出力インターフェース54と、入力部55と、出力部56と、記憶部57と、通信部58と、電源部59と、を備える。
【0057】
プロセッサ50は、例えば、制御装置5の動作に必要な各種の演算及び制御等の処理を行う。プロセッサ50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、SoC(System on a Chip)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等やこれらの組合せである。また、プロセッサ50は、これらのプロセッサにハードウェアアクセラレーター等を組み合わせたものあってもよい。
【0058】
プロセッサ50は、ROM51又はRAM52等に記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェア等のプログラムに基づいて、制御装置5の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサ50は、プログラムに基づく後述の処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサ50の回路内に組み込まれていても良い。
【0059】
プロセッサ50、ROM51及びRAM52は、バス53を介して相互に接続されている。このバス53にはまた、入出力インターフェース54も接続されている。入出力インターフェース54には、入力部55、出力部56、記憶部57、通信部58、電源部59が接続されている。
【0060】
記憶部57は、ROM、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は着脱可能なメモリカード等の記録媒体で構成される。記録媒体としては、一時的でない有形の媒体(non―transitory tangible media)が挙げられる。記憶部57は、例えば、不揮発性メモリであるROMや、揮発性メモリであるRAM等によって構成される主記憶装置と、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等で構成される補助記憶装置と、によって構成される。記憶部57には、例えば欠陥情報、リール番号情報RNや欠陥識別情報ID等のマークに関する情報等が記憶される。
【0061】
入力部55及び出力部56は、有線又は無線により電気的に入出力インターフェース54に接続されるユーザインターフェースである。入力部55は、例えばタッチパネルやキー等で構成され、操作者の指示操作に応じて各種情報を入力する。出力部56は、例えば画像を表示するディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
【0062】
通信部58は、積層装置3が有するマーク情報取得部32やグリーンシート成型装置1が有する欠陥情報取得部14やマーク付与部15との間で通信を行うための装置である。通信部58は、グリーンシート成型装置1の欠陥情報取得部14及びマーク付与部15と、積層装置3のマーク情報取得部32と通信可能に接続されている。通信は、例えば、インターネットや、LAN(Local Area Network)や、携帯電話網の何れか又はこれらを組み合わせたネットワーク等を介して行われる。なお、通信部58は、ネットワークを介さない近距離通信を行うための装置でもよい。
【0063】
通信部58には、例えば、欠陥情報取得部14が撮像した欠陥の情報を含むセラミックグリーンシートの画像情報やロータリーエンコーダ111から出力されるグリーンシートフィルムGの移動量情報やマーク情報取得部32が撮像したマークの情報を含むグリーンシートフィルムGの画像情報やロータリーエンコーダ311から出力されるグリーンシートフィルムGの移動量情報が送信され入力される。
【0064】
電源部59は、不図示の電源に接続されることにより、制御装置5の各部に電力を供給可能に構成される。
【0065】
次に、図5を参照して制御装置5の制御部500が実現する機能について説明する。図8は、本発明の一実施形態に係る制御装置5の機能的構成を示すブロック図である。図8に示すように、本実施形態の制御部500は、入力処理部(入力制御機能)501と、出力処理部(出力処理機能)502と、通信処理部(通信処理機能)503と、欠陥位置検出部(欠陥位置検出機能)504と、マーク間距離検出部(マーク間距離検出機能)505と、欠陥位置補正部(欠陥位置補正機能)506と、を有する。
【0066】
入力処理部501は、作業者による入力部55への操作を受け付ける処理を実行する。例えば、入力処理部501は、作業者による入力部55へのシート欠陥位置検出システムS1の管理操作を受け付ける処理を実行する。
【0067】
出力処理部502は、出力部56の画面に画像を表示するための処理を実行する。例えば、出力処理部502は、シート欠陥位置検出システムS1の管理画面を出力部56の画面に表示する処理を実行する。
【0068】
通信処理部503は、通信部58を介して外部の機器と通信するための処理を実行する。例えば、通信処理部503は、通信部58を介してグリーンシート成型装置1や積層装置3と各種の情報を送受信するための処理を実行する。
【0069】
欠陥位置検出部504は、熱履歴付与部としての乾燥部13により熱履歴が付与される前の、グリーンシートフィルムG上の欠陥の位置を検出する。
【0070】
具体的には、欠陥位置検出部504は、欠陥情報取得部14としてのカメラが撮像したグリーンシートフィルムGの画像情報に対して画像処理を行い、グリーンシートフィルムG上のピンホール、スジ、傷、異物等の欠陥を検出する。そして、欠陥が撮像された撮像タイミングを含む情報と、グリーンシート成型装置1の搬送部11に設けられたロータリーエンコーダ111から出力される移動量情報とに基づき、セラミックグリーンシートの搬送方向における欠陥の位置を検出する。
【0071】
より具体的には、欠陥位置検出部504は、移動量検出部としてのロータリーエンコーダ111から出力される移動量情報に基づき、マーク付与部15により付与されたマークの位置を示す付与時マーク位置と、欠陥情報取得部14が取得した欠陥の情報に基づく欠陥の位置との間のセラミックグリーンシート搬送方向の距離を示す第1距離L1を検出する。
【0072】
例えば、図9の例で説明する。図9は、マークと欠陥位置との関係を説明するための模式図である。図9には、グリーンシートフィルムG上に成型されたハッチング領域で示されるセラミックグリーンシートと、セラミックグリーンシートが形成されていないキャリアフィルムC部分の幅方向の一端側に付されたマークM1~3と、セラミックグリーンシート上に不規則に生じた欠陥D1~7と、が示されている。
【0073】
欠陥の位置は、対象の欠陥に隣接するマークのうちグリーンシートフィルムGの巻き出し側のロールR側にあるマークのピッチ計測用の表示Aを基準として、表示Aからの搬送方向で規定される。幅方向における位置は、画像処理により把握される。
【0074】
例えば、図9において、欠陥D1、D2については、隣接するマークのうちグリーンシートフィルムGのロールR側にあるマークはマークM1となる。従って、欠陥D1の位置は、マークM1のピッチ計測用表示Aを基準として、マークM1の表示AからグリーンシートフィルムGのロールRの搬送方向にL1aの位置にあるとして算出される。また、欠陥D2の位置は、マークM1のピッチ計測用表示Aを基準として、マークM1の表示AからグリーンシートフィルムGのロールRの搬送方向にL1bの位置にあるとして算出される。
【0075】
同様に、欠陥D3~5の位置については、それぞれマークM2のピッチ計測用表示Aを基準としてグリーンシートフィルムGのロールRの搬送方向にL1c、L1d、L1eの位置にあるとして算出される。欠陥D6、7の位置については、それぞれマークM3のピッチ計測用表示Aを基準として、グリーンシートフィルムGのロールRの搬送方向にL1f、L1gの位置にあるとして算出される。
【0076】
マーク間距離検出部505は、図10に示すように熱履歴付与部としての乾燥部23により熱履歴が付与された後のキャリアフィルムC上のマーク間距離P2検出する。
【0077】
図10は、熱履歴付与工程後のマークと欠陥位置との関係を説明するための模式図である。図10において、マークM1’は、熱履歴付与工程後のマークM1のピッチ計測用表示Aを示す。マークM2’は、熱履歴付与工程後のマークM2のピッチ計測用表示Aを示す。なお、説明の便宜上マークM1、M1’、M2、M2’のリール番号情報RN及び欠陥識別情報IDは省略している。また、図10において、欠陥D’は、熱履歴付与工程後の欠陥Dを示す。L2は、熱履歴付与により搬送方向におけるマークM1と欠陥Dとの間の距離が熱履歴付与後に延びた場合の搬送方向におけるマークM1と欠陥D’との間の距離を示す。マーク間距離P2は、熱履歴付与により所定の間隔P1で付与したマークM1、M2のマーク間距離が伸びた場合の搬送方向におけるマークM1’とマークM2’との間のマーク間距離を示す。
【0078】
具体的には、マーク間距離検出部505は、マーク情報取得部32としてのカメラが撮像した、複数のマークが付与されたグリーンシートフィルムGの画像情報に対して画像処理を行い、キャリアフィルムC上の複数のマークを検出する。そして、複数のマークが撮像された撮像タイミングを含む情報と、積層装置3の搬送部31に設けられたロータリーエンコーダ311から出力される移動量情報とに基づき、複数のマーク間のキャリアフィルムCの搬送方向の距離を示す読取マーク間距離P2を検出する。なお、上述のように、マーク付与部15は、マーク間距離を所定間隔P1となるようにマークの付与を行うが、乾燥部23によるグリーンシートフィルムGの伸び縮み等によって、マーク間距離がP2に変化している。
【0079】
例えば、図9の例で説明する。マーク間距離検出部505は、マーク情報取得部32としてのカメラが撮像した、複数のマークM1~3が付与されたグリーンシートフィルムGの画像情報に対して画像処理を行い、キャリアフィルムC上の複数のマークM1~3を検出する。そして、複数のマークM1~3が撮像された撮像タイミングを含む情報と、積層装置3の搬送部31に設けられたロータリーエンコーダ311から出力される移動量情報とに基づき、複数のマーク間のキャリアフィルムCの搬送方向の距離を示す読取マーク間距離P2を検出する。
【0080】
欠陥位置補正部506は、欠陥位置検出部504によって検出された欠陥の位置情報を補正することにより、乾燥部23によって熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する。具体的には、欠陥位置検出部504により検出された第1距離L1と、マーク付与部15によるマーク付与工程時における複数のマークの間のキャリアフィルムCの搬送方向の距離を示す付与時マーク間距離P1と、マーク間距離検出部505により検出された読取マーク間距離P2と、に基づいて、乾燥部23によって熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥位置を決定する。
【0081】
より具体的には、マーク情報取得工程でマーク情報取得部32により取得されたマークの情報に基づくマークの位置と、乾燥部23によって熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置との間の距離を示す第2距離L2が、L2=L1×P2/P1に基づいて算出され、算出された第2距離L2に基づき、熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する。即ち、熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置は、熱履歴付与工程によって熱履歴が付与される前の欠陥の位置が上述の式に基づいて補正されることにより決定される。
【0082】
次に、制御装置5の制御部500は、欠陥位置補正部506により補正された位置情報と所定のマークのID情報とを関連付けて記憶部57に記憶させる。このため、欠陥情報に含まれる欠陥の位置情報は、補正後に現物に則したものとなり、後工程での品質の異常管理に効果的に活用することができる。以下に、図11、12を用いて、欠陥の位置情報の活用例を説明する。図11は、欠陥位置情報に基づく後処理の一活用例を説明するための模式図である。図12は、欠陥位置情報に基づく後処理の別の活用例を説明するための模式図である。
【0083】
制御装置5は、欠陥位置決定部により決定されたセラミックグリーンシートの欠陥の位置情報を以下のように活用することができる。
【0084】
例えば、制御装置5は、出力部56のディスプレイに欠陥位置決定部により決定されたセラミックグリーンシートの欠陥の位置に応じた情報を出力させてもよい。例えば、制御装置5は、欠陥情報に関連付けられたリール番号情報RNや欠陥識別情報IDに基づいて欠陥を含む電子部品、又は欠陥を含む半製品としての積層チップ、積層シートにおいて何層目のどの位置に欠陥があるかを表示することができる。
【0085】
また、制御装置5は、セラミックグリーンシートの欠陥の位置に応じた情報としての欠陥位置情報に基づき、欠陥を含む電子部品、又は欠陥を含む半製品としての積層チップ、積層体を特定してもよい。また、制御装置5は、出力部56のディスプレイに特定された電子部品等を出力させてもよい。この場合、ディスプレイを見た作業者等が特定された電子部品等を製造ラインから除いてもよい。また、図11の例のように、制御装置5によって積層体内の層LA1、LA2、LA3のうちのLA3に欠陥があることを特定し、非破壊でCT解析にて特定された層を解析してもよい。このように、本実施形態はセラミックグリーンシートの成型工程で得られた欠陥情報を維持したまま内部電極層の印刷、積層工程を行い、内部電極層の印刷、積層工程後に欠陥箇所を回収可能にする方法を提供する。このため、セラミックグリーンシートの欠陥が積層チップ、積層シートの何層目のどの位置にあるか明確になり、また、積層装置において回収した現物は半製品のまま解析、又は完成品後に解析可能になる。
【0086】
また、制御装置5は、図12に示されるように、利用領域決定工程として、欠陥位置補正部506により補正されたセラミックグリーンシートの欠陥Dの位置に応じた情報としての欠陥位置情報に基づき、後の製造工程に投入しないセラミックグリーンシートの領域Aを決定してもよい。後の製造工程は、積層装置3のシート切抜・積層部における切り抜き工程(ステップS33)であってもよいし、カット装置4におけるカット工程であってもよい。
【0087】
具体的には、制御装置5は、通信部58を介して、後の製造工程に投入しないグリーンシートフィルムGの領域Aの情報を積層装置3に送信する。積層装置3は、後の製造工程に投入しないグリーンシートフィルムGの領域Aの情報を受信した場合に、図12に示すように当該領域Aの加工を行わないようにしてもよい。図12においては、グリーンシートフィルムGの領域Aの情報に基づいて、積層装置3によって切り取りが行われた部分Sと、切り取りが行われなかった領域Aが表示されている。
【0088】
なお、上述の欠陥位置検出部(欠陥位置検出機能)504、マーク間距離検出部(マーク間距離検出機能)505及び欠陥位置補正部(欠陥位置補正機能)506は、欠陥位置決定部として機能する。欠陥位置決定部は、乾燥部23により熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する。欠陥位置決定部は、欠陥情報取得部14が取得した欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得部32が取得した複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、乾燥部23によって熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する。
【0089】
なお、別の観点では、キャリアフィルムCにも欠陥が発生する場合があることを考慮すると、欠陥位置決定部は、内部電極層が形成された後のキャリアフィルムC及びセラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の位置を決定するといえる。また、欠陥位置決定部は、欠陥情報取得部14により取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得部32で取得された複数のマークの位置情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、内部電極層により覆われた領域内のキャリアフィルムC及びセラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥位置を決定するといえる。
【0090】
また、別の観点では、キャリアフィルムCにも欠陥が発生する場合があることを考慮すると、欠陥位置決定部は、巻き出し部30により巻き出されたグリーンシートフィルムGのキャリアフィルムC及びセラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の位置を決定するといえる。また、欠陥位置決定部は、欠陥情報取得部14により取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得部32で取得された複数のマークの位置情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、巻き出し部30により巻き出されたグリーンシートフィルムGのキャリアフィルムC及びセラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥位置を決定するといえる。
【0091】
<電子部品の生産方法>
次に、本発明の一実施形態に係るシート欠陥位置検出方法が適用される電子部品の生産方法について、図13~15を用いて説明する。図13は、シート作成工程の流れを説明するためのフローチャートである。図14は、内部電極形成工程の流れを説明するためのフローチャートである。図15は、積層ブロック作成工程の流れを説明するためのフローチャートである。本実施形態に係る電子部品の生産方法は、シート作成工程と、内部電極形成工程と、積層ブロック作成工程と、を含む。
【0092】
<シート作成工程>
シート作成工程について、図13を用いて説明する。シート作成工程は、供給工程(ステップS10)と、シート成型工程(ステップS11)と、乾燥工程(ステップS12)と、欠陥検査を行う欠陥情報取得工程(ステップS13)と、マーク付与工程(ステップS14)と、巻き取り工程(ステップS15)と、を含む。なお、本実施形態に係るシート欠陥位置検出方法は、マーク付与工程(ステップS14)と、後述するマーク情報取得工程(ステップS31)の間に、グリーンシートフィルムGをロール状に巻き取る巻き取り工程(ステップS15)を有する。
【0093】
まずは、供給工程(ステップS10)では、キャリアフィルム供給部10は、キャリアフィルムCを装置内に供給する。キャリアフィルム供給部10により供給されたキャリアフィルムCは、搬送部11のローラ110によりシート成型部12に搬送される。
【0094】
次に、シート成型工程(ステップS11)では、シート成型部12は、搬送されたキャリアフィルムC上にセラミック材料を含むスラリーを塗布し、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型する。シート成型部12により成型されたセラミックグリーンシートは、搬送部11のローラ110により乾燥部13に搬送される。
【0095】
次に、乾燥工程(ステップS12)では、乾燥部13は、搬送されたセラミックグリーンシートを乾燥させる。乾燥部13により乾燥させられたセラミックグリーンシートは、搬送部11のローラ110により欠陥情報取得部14に搬送される。
【0096】
次に、欠陥情報取得工程(ステップS13)では、欠陥情報取得部14は、搬送されるグリーンシートフィルムGを照明ユニット141により照射してカメラユニット140により撮像を行いつつ、取得した画像の画像処理を行い、欠陥情報を取得して欠陥検査を行う。言い換えると、欠陥情報取得工程(ステップS13)では、キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートの欠陥の情報を取得する。なお、別の観点では、キャリアフィルムCにも欠陥が発生する場合があることを考慮すると、欠陥情報取得工程(ステップS13)は、後述する内部電極層印刷工程(ステップS21)において内部電極層が形成される前に、キャリアフィルムC及びキャリアフィルムC上に形成されたセラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の情報を取得するといえる。また、別の観点では、キャリアフィルムCにも欠陥が発生する場合があることを考慮すると、欠陥情報取得工程(ステップS13)は、巻き取り工程(ステップS15)により巻き取られる前に、キャリアフィルムC及びキャリアフィルムC上に形成されたセラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の情報を取得するといえる。欠陥情報取得部14により欠陥検査されたグリーンシートフィルムGは、搬送部11のローラ110によりマーク付与部15に搬送される。
【0097】
次に、マーク付与工程(ステップS14)では、マーク付与部15は、搬送されたキャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与する(ステップS14)。
【0098】
また、別の観点では、マーク付与工程(ステップS14)は、後述する内部電極層印刷工程(ステップS21)において内部電極層が形成される前に、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与する。また、別の観点では、欠陥情報取得工程(ステップS13)は、巻き取り工程(ステップS15)により巻き取られる前に、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与する。
【0099】
なお、本実施形態に係る制御装置5は、ステップS13で取得した欠陥情報と付与したマークのリール番号情報RN及び欠陥識別情報IDとをリンクさせる欠陥マーク連携処理を実行する。欠陥マーク連携処理については、後述する。マークが付与されたグリーンシートフィルムGは、搬送部11のローラ110により巻き取り部16に搬送される。
【0100】
次に、巻き取り工程(ステップS15)では、巻き取り部16は、セラミックグリーンシートが成型されて搬送されたグリーンシートフィルムGをロール状に巻き取り、回収する(ステップS15)。言い換えると、巻き取り工程(ステップS15)は、グリーンシートフィルムGをロールに巻き取る。巻き取り工程(ステップS15)が終わると、シート作成工程が終了する。
【0101】
<内部電極形成工程>
内部電極形成工程について、図14を用いて説明する。内部電極形成工程は、巻き出し工程(ステップS20)と、層状部材形成工程としての内部電極層印刷工程(ステップS21)と、熱履歴付与工程としての乾燥工程(ステップS22)と、巻き取り工程(ステップS23)と、を含む。なお、熱履歴付与工程は、加熱工程である。また、本実施形態に係るシート欠陥位置検出方法は、マーク付与工程(ステップS14)と、後述するマーク情報取得工程(ステップS31)の間に、層状部材としての内部電極層をセラミックグリーンシート上に形成する内部電極層印刷工程(ステップS21)を有する。
【0102】
まずは、巻き出し工程(ステップS20)では、巻き出し部20は、シート作成工程においてロール状に巻き取られたグリーンシートフィルムGを巻き出して、グリーンシートフィルムGを装置内部に供給する(ステップS20)。巻き出し部20により供給されたグリーンシートフィルムGは、搬送部21のローラ210により内部電極層印刷部22に搬送される。
【0103】
次に、内部電極層印刷工程(ステップS21)では、内部電極層印刷部22は、搬送されたグリーンシートフィルムG上に内部電極層用の導電性ペーストを印刷する(ステップS21)。また、内部電極層印刷工程(ステップS21)は、マーク付与工程(ステップS14)で付与された複数のマークが露出するように、内部電極層をセラミックグリーンシート上に形成する。内部電極層印刷部22により内部電極層用の導電性ペーストが印刷されたグリーンシートフィルムGは、搬送部21のローラ210により乾燥部23に搬送される。
【0104】
次に、乾燥工程(ステップS22)では、乾燥部23は、搬送されたグリーンシートフィルムG上に印刷された内部電極層用の導電性ペーストを乾燥させる(ステップS22)。これにより、乾燥工程(ステップS22)において、セラミックグリーンシート及びキャリアフィルムCに熱履歴が付与される。乾燥部23により内部電極層用の導電性ペーストが乾燥させられたグリーンシートフィルムGは、搬送部21のローラ210により巻き取り部24に搬送される。
【0105】
巻き取り部24は、内部電極層用の導電性ペーストが印刷されて搬送されたグリーンシートフィルムGをロール状に巻き取り、回収し(ステップS23)、内部電極形成工程が終了する。
【0106】
<積層ブロック作成工程>
積層ブロック作成工程について、図15を用いて説明する。積層ブロック作成工程は、巻き出し工程(ステップS30)と、マーク情報取得工程(ステップS31)と、欠陥位置決定工程(ステップS32)と、切り抜き工程(ステップS33)と、積層工程(ステップS34)と、ブロック取り出し工程(ステップS35)と、を含む。なお、本実施形態に係るシート欠陥位置検出方法は、上述のマーク付与工程(ステップS14)と、マーク情報取得工程(ステップS31)の間に、ロール状のグリーンシートフィルムGを巻き出す巻き出し工程と、を有する。
【0107】
まずは、巻き出し工程(ステップS30)では、巻き出し部30は、内部電極形成工程によりロール状に巻かれた内部電極層用の電導性ペーストが印刷されたグリーンシートフィルムGを巻き出して、グリーンシートフィルムGを装置内部に供給する。巻き出し部30により供給されたグリーンシートフィルムGは、搬送部31のローラ310によりマーク情報取得部32に搬送される。
【0108】
次に、マーク情報取得工程(ステップS31)では、マーク情報取得部32は、搬送されたキャリアフィルムCにマーク付与工程において付与された複数のマークの情報を取得する。言い換えると、マークの位置を読み取るマーク読取工程としてのマーク情報取得工程(ステップS31)は、熱履歴付与工程として乾燥工程(ステップS22)によって熱履歴が付与された後のキャリアフィルムCに付与された複数のマークから、マーク付与工程(ステップS14)によって付与された複数のマークの情報を取得する。
【0109】
また、別の観点では、マーク情報取得工程(ステップS31)は、内部電極層が形成された後のキャリアフィルムCに付与された複数のマークから、マーク付与工程(ステップS14)によって付与された複数のマークの情報を取得する。また、別の観点では、マーク情報取得工程(ステップS31)は、巻き出し工程(ステップS30)によって巻き出されたキャリアフィルムCに付与された複数のマークから、マーク付与工程(ステップS14)によって付与された複数のマークの情報を取得する。
【0110】
次に、欠陥位置決定工程(ステップS32)では、制御装置5は、乾燥工程(ステップS22)によって熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する。なお、別の観点では、キャリアフィルムCにも欠陥が発生する場合があることを考慮すると、欠陥位置決定工程(ステップS32)は、内部電極層が形成された後のキャリアフィルムC及びセラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の位置を決定するといえる。また、別の観点では、キャリアフィルムCにも欠陥が発生する場合があることを考慮すると、欠陥位置決定工程(ステップS32)は、巻き出し工程(ステップS30)によって巻き出されたキャリアフィルムC及びグリーンシートフィルムGの少なくとも一方に発生した欠陥の位置を決定するといえる。
【0111】
また、具体的には、欠陥位置決定工程(ステップS32)は、欠陥情報取得工程(ステップS13)で取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得工程(ステップS31)で取得された複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、乾燥工程(ステップS22)によって熱履歴が付与された後のキャリアフィルムC及びセラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の位置を決定する。
【0112】
なお、別の観点では、キャリアフィルムCにも欠陥が発生する場合があることを考慮すると、欠陥位置決定工程(ステップS32)は、欠陥情報取得工程(ステップS13)で取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得工程(ステップS31)で取得された複数のマークの位置情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、内部電極層により覆われた領域内のキャリアフィルムC及びセラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥位置を決定するといえる。
【0113】
また、別の観点では、キャリアフィルムCにも欠陥が発生する場合があることを考慮すると、欠陥位置決定工程(ステップS32)は、欠陥情報取得工程(ステップS13)で取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得工程(ステップS31)で取得された複数のマークの位置情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、巻き出し工程(ステップS30)によって巻き出された後のキャリアフィルムC及びセラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥位置を決定するといえる。
【0114】
ステップS32において、マーク情報取得部32により取得された複数のマークの情報に基づいた欠陥位置決定処理を実行する。欠陥位置決定処理により欠陥の位置が決定される。欠陥位置決定処理については、後述する。なお、シート欠陥位置検出方法は、欠陥位置決定工程(ステップS32)の後に、利用領域決定工程として、決定された欠陥の位置情報に基づき電子部品の生産に利用するグリーンシートフィルムGの領域を決定する利用領域決定工程を含んでもよい。マーク情報取得部32によりマーク情報が取得されたグリーンシートフィルムGは、搬送部31のローラ310によりシート切抜・積層部33に搬送される。
【0115】
次に、切り抜き工程(ステップS33)では、シート切抜・積層部33は、搬送部31により搬送されたセラミックグリーンシートを所定のサイズに切り抜く。
【0116】
次に、積層工程(ステップS34)では、切り抜かれたセラミックグリーンシートはシート切抜・積層部33が有する不図示の金型内に積層され、これにより積層シートが作製される。なお、作製された積層シートは、不図示の静水圧プレス等の圧着手段により圧着されることにより、焼成前の積層ブロックへと加工される。
【0117】
次に、ブロック取り出し工程(ステップS35)では、加工された積層ブロックを取り出して、積層ブロック作成工程が終了する。なお、積層ブロック作成工程により加工された積層ブロックは、上述のカット装置4により、チップサイズにカットされ、積層チップが作製される。その後、カットされた積層チップは、焼成され、外部電極の塗布、焼き付け、めっきの工程を経て、電子部品へと加工される。
【0118】
<欠陥マーク連携処理>
次に、シート作成工程において本実施形態に係る制御装置5が実行する欠陥マーク連携処理について、図16を用いて説明する。欠陥マーク連携処理は、欠陥情報取得部14が取得した欠陥情報と、マーク付与部15が付与したマークのリール番号情報RN及び欠陥識別情報IDと、を連携させる処理である。図16は、シート作成工程において制御装置5が実行する欠陥マーク連携処理を説明するためのフローチャートである。欠陥マーク連携処理は、シート作成工程のステップS14のタイミングで実行される。
【0119】
まず、制御装置5は、通信部58を介してグリーンシート成型装置1からシート交換情報を取得する(ステップS100)。次に、制御装置5は、通信部58を介してグリーンシート成型装置1からシート搬送開始情報を取得すると(ステップS101)、記憶部57に記憶されたシート交換情報に基づいたリール番号情報RNと欠陥識別情報IDとを読み込む(ステップS102)。次に、制御装置5は、通信部58を介してグリーンシート成型装置1のマーク付与部15に、ステップS102において読み込んだリール番号情報RNと欠陥識別情報IDとを含むマークを、キャリアフィルムCに付与させる(ステップS103)。
【0120】
次に、制御装置5は、通信部58を介してグリーンシート成型装置1から欠陥情報取得部14が取得した欠陥情報を受信する(ステップS104)。次に、制御装置5は、ステップS104においてグリーンシート成型装置1から受信した欠陥情報と、ステップS102において読み込んだリール番号情報RN及び欠陥識別情報IDと、を連携させて記憶部57に記憶させ(ステップS105)、処理を終了させる。
【0121】
<欠陥位置決定処理>
次に、積層ブロック作成工程の欠陥位置決定工程(ステップS32)において本実施形態に係る制御装置5が実行する欠陥位置決定処理について、図17を用いて説明する。欠陥位置決定処理は、欠陥情報取得部14によって検出された欠陥の位置を補正することにより、乾燥工程(ステップS22)によって熱履歴が付与された後のキャリアフィルムCセラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の位置を決定する処理である。図17は、積層ブロック作成工程において制御装置5が実行する欠陥位置決定処理を説明するためのフローチャートである。欠陥位置決定処理は、積層ブロック作成工程のステップS32のタイミングで実行される。
【0122】
まず、制御装置5は、通信部58を介して積層装置3からシート交換情報を取得する(ステップS200)。次に、制御装置5は、通信部58を介して積層装置3から定量間欠搬送開始情報を取得する(ステップS201)。次に、制御装置5は、通信部58を介して積層装置3からマーク情報取得部32が読み取ったマークの情報を受信する(ステップS202)。
【0123】
次に、制御装置5は、連続する2つのマーク間距離を算出する(ステップS203)。次に、グリーンシートフィルムGの伸び縮み量、歪の算出を行う(ステップS204)。即ち、制御装置5は、付与時マーク間距離P1でマーク情報取得部32により読み取った読取マーク間距離P2を除する。次に、マークに対する欠陥位置の補正と記憶部57への記録を行う(ステップS205)。マークに対する欠陥位置の補正は、欠陥情報取得部14により検出した第1距離L1にステップS205で算出したP2/P1を乗ずることで行う。制御装置5は、欠陥位置の補正後に記憶部57への記録を行い、処理を終了させる。
【0124】
以上説明した本実施形態に係るシート欠陥位置検出方法によれば、以下の効果が得られる。
【0125】
従来、シート成型工程において得られたセラミックグリーンシート及びセラミックグリーンシートが成型されたキャリアフィルムの欠陥情報は、シート成型工程においては品質の異常管理に活用することができた。しかし、シート成型工程後にキャリアフィルム及びセラミックグリーンシートは巻き取られてリール状に切り離されるため、欠陥情報の活用はシート成型工程に留まり、後工程への繋がりが欠けてしまうという問題がある。
【0126】
このため、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに、成型時から熱履歴等を経て伸びや縮みといった変形が生じてしまった場合に、搬送方向の欠陥位置情報に累積誤差が生じるおそれがある。累積誤差が生じた場合、欠陥情報を品質の異常管理に用いることが難しくなる。例えば、乾燥工程により、PETフィルムが0.1%程度伸びてしまった場合、何もしないと誤差が累積するため、1000mで1m伸びることにもなりうる。
【0127】
また、品質の異常管理で後工程において欠陥位置情報を現物と合わせ込むためには起点情報が必要になるが、フェールセーフの観点においては起点が複数必要になるため品質の異常管理が複雑になるおそれがある。
【0128】
これらの課題に対して、本実施形態の構成を採用する。即ち、グリーンシート成型装置内にマーキング機能を追加して、定間隔に目盛となるマークを刻印し、後工程でそのマーク間隔を計測と同時に誤差補正する。また、当該目盛を毎回異なるIDとなるものを刻印することで、どの部分が起点になっても欠陥情報と照合が可能になる。
【0129】
即ち、本発明はセラミックグリーンシートの成型工程で得られた欠陥情報を維持したまま内部電極層の印刷、積層工程を行い、内部電極層の印刷、積層工程後に欠陥箇所を回収可能にする方法を提供する。このため、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートの欠陥が積層チップ、積層シートの何層目のどの位置にあるか明確になり、また、積層装置において回収した現物は半製品のまま解析、又は完成品後に解析可能になる。また、電気的手法の初期故障試験とは異なった観点で、不良解析手法が確立できる。また、源流から川下まで欠陥を追うことで、何を重点に管理すべきかがわかる。また、事前に不良個所を回収することで、不良の流出防止に繋がる。
【0130】
以上のように構成されるシート欠陥位置検出方法は、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型工程(ステップS11)と、キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートに発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得工程(ステップS13)と、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与するマーク付与工程(ステップS14)と、セラミックグリーンシート及びキャリアフィルムCに熱履歴が付与される乾燥工程(ステップS22)と、乾燥工程(ステップS22)によって熱履歴が付与された後のキャリアフィルムCに付与された複数のマークから、マーク付与工程(ステップS14)によって付与された複数のマークの情報を取得するマーク情報取得工程(ステップS31)と、乾燥工程(ステップS22)によって、熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する欠陥位置決定工程(ステップS32)と、を含み、欠陥位置決定工程(ステップS32)は、欠陥情報取得工程(ステップS13)で取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得工程(ステップS31)で取得された複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、乾燥工程(ステップS22)によって熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する。
【0131】
これにより、乾燥工程のような熱履歴付与工程によりグリーンシートフィルムGが熱変形した場合であっても、後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0132】
また、シート欠陥位置検出方法においては、乾燥工程(ステップS22)は、加熱工程である。
【0133】
これにより、グリーンシートフィルムGを加熱した後の工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0134】
また、シート欠陥位置検出方法は、マーク付与工程(ステップS14)と、マーク情報取得工程(ステップS31)の間に、内部電極層(層状部材)をセラミックグリーンシート上に形成する内部電極層印刷工程(層状部材形成工程)(ステップS21)を有する。
【0135】
これにより、グリーンシートフィルムGの欠陥が内部電極層のような層状部材によって隠れてしまっても、後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0136】
また、シート欠陥位置検出方法は、マーク付与工程(ステップS14)と、マーク情報取得工程(ステップS31)の間に、セラミックグリーンシートが成型されたキャリアフィルムCをロール状に巻き取る巻き取り工程(ステップS15)と、ロール状の、セラミックグリーンシートが成型されたキャリアフィルムCを巻き出す巻き出し工程(ステップS30)と、を有する。
【0137】
これにより、セラミックグリーンシートの巻き取り、巻き出しによりグリーンシートフィルムGが塑性変形した場合であっても、後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0138】
制御装置5(情報処理装置5)は、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型部12と、キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートに発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得部14と、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与するマーク付与部15と、セラミックグリーンシート及びキャリアフィルムCに熱履歴を付与する乾燥部23(熱履歴付与部23)と、乾燥部23(熱履歴付与部23)により熱履歴が付与された後のキャリアフィルムCに付与された複数のマークから、マーク付与部15により付与された複数のマークの情報を取得するマーク情報取得部32と、を備える積層セラミック電子部品の生産システムS(電子部品の生産システムS)の制御装置5(情報処理装置5)であって、乾燥部23(熱履歴付与部23)により熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する欠陥位置決定部(欠陥位置検出部504、マーク間距離検出部505、欠陥位置補正部506)を備え、欠陥位置決定部(欠陥位置検出部504、マーク間距離検出部505、欠陥位置補正部506)は、欠陥情報取得部14が取得した欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得部32が取得した複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、乾燥部23(熱履歴付与部23)によって熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する。
【0139】
これにより、乾燥工程のような熱履歴付与工程によりグリーンシートフィルムGが熱変形した場合であっても、後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0140】
シート欠陥位置検出システムS1は、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型部12と、セラミックグリーンシート及びキャリアフィルムCに熱履歴を付与する乾燥部23(熱履歴付与部23)と、を備える積層セラミック電子部品の生産システムS(電子部品の生産システムS)に用いられるシート欠陥位置検出システムS1であって、乾燥部23(熱履歴付与部23)により熱履歴が付与される前に、キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートに発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得部14と、乾燥部23(熱履歴付与部23)により熱履歴が付与される前に、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与するマーク付与部15と、乾燥部23(熱履歴付与部23)により熱履歴が付与された後のキャリアフィルムCに付与された複数のマークから、マーク付与部15により付与された複数のマークの情報を取得するマーク情報取得部32と、制御部500と、を備え、制御部500は、乾燥部23(熱履歴付与部23)により熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する欠陥位置決定部(欠陥位置検出部504、マーク間距離検出部505、欠陥位置補正部506)を備え、欠陥位置決定部(欠陥位置検出部504、マーク間距離検出部505、欠陥位置補正部506)は、欠陥情報取得部14が取得した欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得部32が取得した複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、乾燥部23(熱履歴付与部23)によって熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する。
【0141】
これにより、乾燥工程のような熱履歴付与工程によりグリーンシートフィルムGが熱変形した場合であっても、後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0142】
電子部品の生産方法は、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型工程(ステップS11)と、セラミックグリーンシート及びキャリアフィルムCに熱履歴が付与される乾燥工程(ステップS22)と、を含む電子部品の生産方法であって、乾燥工程(ステップS22)によって熱履歴が付与される前に、キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートに発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得工程(ステップS13)と、乾燥工程(ステップS22)によって熱履歴が付与される前に、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与するマーク付与工程(ステップS14)と、乾燥工程(ステップS22)によって熱履歴が付与された後のキャリアフィルムCに付与された複数のマークから、マーク付与工程(ステップS14)によって付与された複数のマークの情報を取得するマーク情報取得工程(ステップS31)と、乾燥工程(ステップS22)によって熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する欠陥位置決定工程(ステップS32)と、欠陥位置決定工程(ステップS32)によって決定されたセラミックグリーンシートの欠陥位置に基づいて、電子部品の生産に利用するセラミックグリーンシートの領域を決定する利用領域決定工程と、を含み、欠陥位置決定工程(ステップS32)は、欠陥情報取得工程(ステップS13)で取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得工程(ステップS31)で取得された複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、乾燥工程(ステップS22)によって熱履歴が付与された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する。
【0143】
これにより、乾燥工程のような熱履歴付与工程によりセラミックグリーンシート及びキャリアフィルムCが熱変形した場合であっても、後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0144】
なお、上述の本実施形態に係るシート欠陥位置検出方法は、層状部材形成工程を経て層状部材により覆われた領域内のグリーンシートフィルムGに発生した欠陥位置を適切に決定可能である。この観点におけるシート欠陥位置検出方法は、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型工程(ステップS11)と、キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートに発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得工程(ステップS13)と、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与するマーク付与工程(ステップS14)と、内部電極層(層状部材)をセラミックグリーンシート上に形成する内部電極層印刷工程(層状部材形成工程)(ステップS21)と、内部電極層(層状部材)が形成された後のキャリアフィルムCに付与された複数のマークから、マーク付与工程(ステップS14)によって付与された複数のマークの情報を取得するマーク情報取得工程(ステップS31)と、内部電極層(層状部材)が形成された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する欠陥位置決定工程(ステップS32)と、を含み、欠陥位置決定工程(ステップS32)は、欠陥情報取得工程(ステップS13)で取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得工程(ステップS31)で取得された複数のマークの位置情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、内部電極層(層状部材)により覆われた領域内のセラミックグリーンシートの欠陥位置を決定する。
【0145】
これにより、セラミックグリーンシートの欠陥が内部電極層のような層状部材によって隠れてしまっても、後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0146】
また、本発明の一実施形態に係るシート欠陥位置検出方法は、層状部材形成工程は、内部電極層印刷工程(ステップS21)である。
【0147】
これにより、内部電極層印刷工程があるような積層セラミック電子部品の製造でも、内部電極層印刷工程よりも後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0148】
また、本発明の一実施形態に係るシート欠陥位置検出方法は、内部電極層印刷工程(層状部材形成工程)(ステップS21)は、マーク付与工程(ステップS14)で付与された複数のマークが露出するように、内部電極層(層状部材)をセラミックグリーンシート上に形成する。
【0149】
これにより、内部電極層印刷工程の後のマーク情報取得工程において撮像によりマーク画像を取得でき、簡便に層状部材形成工程よりも後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0150】
制御装置5(情報処理装置5)は、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型部12と、キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートに発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得部14と、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与するマーク付与部15と、内部電極層(層状部材)をセラミックグリーンシート上に形成する内部電極層印刷部22(層状部材形成部22)と、内部電極層(層状部材)が形成された後のキャリアフィルムCに付与された複数のマークから、マーク付与部15により付与された複数のマークの情報を取得するマーク情報取得部32と、を備える積層セラミック電子部品の生産システムS(電子部品の生産システムS)の情報処理装置であって、内部電極層(層状部材)が形成された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する欠陥位置決定部(欠陥位置検出部504、マーク間距離検出部505、欠陥位置補正部506)を備え、欠陥位置決定部(欠陥位置検出部504、マーク間距離検出部505、欠陥位置補正部506)は、欠陥情報取得部14により取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得部32で取得された複数のマークの位置情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、内部電極層(層状部材)により覆われた領域内のセラミックグリーンシートの欠陥位置を決定する。
【0151】
これにより、セラミックグリーンシートの欠陥が内部電極層のような層状部材によって隠れてしまっても、後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0152】
シート欠陥位置検出システムS1は、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型部12と、内部電極層(層状部材)をセラミックグリーンシート上に形成する内部電極層印刷部22(層状部材形成部22)と、を備える積層セラミック電子部品の生産システムS(電子部品の生産システムS)に用いられるシート欠陥位置検出システムS1であって、内部電極層(層状部材)が形成される前に、キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートに発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得部14と、内部電極層(層状部材)が形成される前に、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与するマーク付与部15と、内部電極層(層状部材)が形成された後のキャリアフィルムCに付与された複数のマークから、マーク付与部15により付与された複数のマークの情報を取得するマーク情報取得部32と、制御部500と、を備え、制御部500は、内部電極層(層状部材)が形成された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する欠陥位置決定部(欠陥位置検出部504、マーク間距離検出部505、欠陥位置補正部506)を備え、欠陥位置決定部(欠陥位置検出部504、マーク間距離検出部505、欠陥位置補正部506)は、欠陥情報取得部14により取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得部32で取得された複数のマークの位置情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、内部電極層(層状部材)により覆われた領域内のセラミックグリーンシートの欠陥位置を決定する。
【0153】
これにより、セラミックグリーンシートの欠陥が内部電極層のような層状部材によって隠れてしまっても、後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0154】
電子部品の生産方法は、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型工程(ステップS11)と、内部電極層(層状部材)をセラミックグリーンシート上に形成する内部電極層印刷工程(層状部材形成工程)(ステップS21)と、を含む電子部品の生産方法であって、内部電極(層状部材)が形成される前に、キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートに発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得工程(ステップS13)と、内部電極層(層状部材)が形成される前に、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与するマーク付与工程(ステップS14)と、内部電極層(層状部材)が形成された後のキャリアフィルムCに付与された複数のマークから、マーク付与工程(ステップS14)によって付与された複数のマークの情報を取得するマーク情報取得工程(ステップS31)と、内部電極層(層状部材)が形成された後のセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する欠陥位置決定工程(ステップS32)と、欠陥位置決定工程(ステップS32)によって決定されたセラミックグリーンシートの欠陥位置に基づいて、電子部品の生産に利用するセラミックグリーンシートの領域を決定する利用領域決定工程と、を含み、欠陥位置決定工程(ステップS32)は、欠陥情報取得工程(ステップS13)で取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得工程(ステップS31)で取得された複数のマークの位置情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、内部電極層(層状部材)により覆われた領域内のセラミックグリーンシートの欠陥位置を決定する。
【0155】
これにより、セラミックグリーンシートの欠陥が内部電極層のような層状部材によって隠れてしまっても、後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0156】
また、上述の本実施形態に係るシート欠陥位置検出方法は、キャリアフィルムCの巻き取り工程(ステップS15)、巻き出し工程(ステップS30)を経てもグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に決定可能である。即ち、本発明の一実施形態に係るシート欠陥位置検出方法は、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型工程(ステップS11)と、前記キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートに発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得工程(ステップS13)と、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与するマーク付与工程(ステップS14)と、グリーンシートフィルムGをロールに巻き取る巻き取り工程(ステップS15)と、ロールに巻き取られたグリーンシートフィルムGを巻き出す巻き出し工程(ステップS30)と、巻き出し工程(ステップS30)によって巻き出されたキャリアフィルムCに付与された複数のマークから、マーク付与工程(ステップS14)によって付与された複数のマークの情報を取得するマーク情報取得工程(ステップS31)と、巻き出し工程(ステップS30)によって巻き出されたセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する欠陥位置決定工程(ステップS32)と、を含み、欠陥位置決定工程(ステップS32)は、欠陥情報取得工程(ステップS13)で取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得工程(ステップS31)で取得された複数のマークの位置情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、巻き出し工程(ステップS30)によって巻き出された後のセラミックグリーンシートの欠陥位置を決定する。
【0157】
これにより、セラミックグリーンシートの巻き取り、巻き出しによりグリーンシートフィルムGが塑性変形した場合であっても、後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0158】
また、本発明の一実施形態に係るシート欠陥位置検出方法は、巻き取り部16は、第1の装置1に設けられ、巻き出し部30は、第1の装置1の後工程に用いられる第2の装置3に設けられている。
【0159】
これにより、本実施形態のように、電子部品の生産システムSが複数の装置により構成されている場合であっても、巻き取り、巻き出し工程よりも後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0160】
また、本発明の一実施形態に係るシート欠陥位置検出方法は、第1の装置はグリーンシート成型装置1であり、第2の装置は積層装置3である。
【0161】
これにより、本実施形態のように、グリーンシート成型装置1と積層装置3とが別体であるような積層セラミック電子部品の生産システムでも、巻き取り、巻き出し工程よりも後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0162】
制御装置5(情報処理装置5)は、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型部12と、キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートに発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得部14と、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与するマーク付与部15と、グリーンシートフィルムGをロールに巻き取る巻き取り部16と、ロールに巻き取られたグリーンシートフィルムGを巻き出す巻き出し部30と、巻き出し部30により巻き出されたキャリアフィルムCに付与された複数のマークから、マーク付与部15により付与された複数のマークの情報を取得するマーク情報取得部32と、を備える積層セラミック電子部品の生産システムS(電子部品の生産システムS)の制御装置5(情報処理装置5)であって、巻き出し部30により巻き出されたセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する欠陥位置決定部(欠陥位置検出部504、マーク間距離検出部505、欠陥位置補正部506)を備え、欠陥位置決定部(欠陥位置検出部504、マーク間距離検出部505、欠陥位置補正部506)は、欠陥情報取得部14により取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得部32で取得された複数のマークの位置情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、巻き出し部30により巻き出されたセラミックグリーンシートの欠陥位置を決定する。
【0163】
これにより、セラミックグリーンシートの巻き取り、巻き出しによりグリーンシートフィルムGが塑性変形した場合であっても、後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0164】
シート欠陥位置検出システムS1は、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型部12と、グリーンシートフィルムGをロールに巻き取る巻き取り部16と、ロールに巻き取られたグリーンシートフィルムGを巻き出す巻き出し部30と、を備える積層セラミック電子部品の生産システムS(電子部品の生産システムS)に用いられるシート欠陥位置検出システムS1であって、巻き取り部16により巻き取られる前に、キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートに発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得部14と、巻き取り部16により巻き取られる前に、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与するマーク付与部15と、巻き出し部30により巻き出されたキャリアフィルムCに付与された複数のマークから、マーク付与部15により付与された複数のマークの情報を取得するマーク情報取得部32と、制御部500と、を備え、制御部500は、巻き出し部30により巻き出されたセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する欠陥位置決定部(欠陥位置検出部504、マーク間距離検出部505、欠陥位置補正部506)を備え、欠陥位置決定部(欠陥位置検出部504、マーク間距離検出部505、欠陥位置補正部506)は、欠陥情報取得部14により取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得部32で取得された複数のマークの位置情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、巻き出し部30により巻き出されたセラミックグリーンシートの欠陥位置を決定する。
【0165】
これにより、セラミックグリーンシートの巻き取り、巻き出しによりグリーンシートフィルムGが塑性変形した場合であっても、後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0166】
電子部品の生産方法は、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型工程(ステップS11)と、グリーンシートフィルムGをロールに巻き取る巻き取り工程(ステップS15)と、ロールに巻き取られたグリーンシートフィルムGを巻き出す巻き出し工程(ステップS30)と、を含む電子部品の生産方法であって、巻き取り工程(ステップS15)により巻き取られる前に、キャリアフィルムC上に成型されたセラミックグリーンシートに発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得工程(ステップS13)と、巻き取り工程(ステップS15)により巻き取られる前に、キャリアフィルムC上に所定の間隔P1で複数のマークを付与するマーク付与工程(ステップS14)と、巻き出し工程(ステップS30)により巻き出されたキャリアフィルムCに付与された複数のマークの情報を取得するマーク情報取得工程(ステップS31)と、巻き出し工程(ステップS30)により巻き出されたセラミックグリーンシートの欠陥の位置を決定する欠陥位置決定工程(ステップS32)と、欠陥位置決定工程(ステップS32)によって決定されたセラミックグリーンシートの欠陥位置に基づいて、電子部品の生産に利用するセラミックグリーンシートの領域を決定する利用領域決定工程と、を含み、欠陥位置決定工程(ステップS32)は、欠陥情報取得工程(ステップS13)で取得された欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、マーク情報取得工程(ステップS31)で取得された複数のマークの位置情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、巻き出し工程(ステップS30)により巻き出されたセラミックグリーンシートの欠陥位置を決定する。
【0167】
これにより、セラミックグリーンシートの巻き取り、巻き出しによりグリーンシートフィルムGが塑性変形した場合であっても、後工程においてグリーンシートフィルムGの欠陥位置を適切に検出できる。
【0168】
<その他の実施形態>
なお、熱履歴付与工程は、内部電極層印刷後の乾燥工程に限らない。熱履歴付与工程は、乾燥工程を含む加熱工程であってもよい。グリーンシートが熱膨張又は熱収縮するような熱履歴付与工程がある場合において、本実施形態の効果を適切に得ることができる。また、層状部材形成工程は、内部電極層印刷工程に限らない。セラミックグリーンシートを覆うように層状部材を形成する場合において、本実施形態の効果を適切に得ることができる。
【0169】
なお、上述の実施形態では、制御装置5の制御部500は、上述のように複数の機能ブロックにより構成されているが、各機能ブロックは必ずしも物理的に分かれている必要は無く、1つのCPUが、複数の機能ブロックの機能を実現してもよい。また、制御部は、2つ以上に場所に分かれて配置されていてもよい。また、制御部は、その全部又は一部が不図示のサーバに設けられていてもよい。
【0170】
なお、本実施形態に係るシート欠陥位置検出システムS1では、上述のようにグリーンシートフィルムGのうちキャリアフィルムC部分にマークが付与されるが、これに限らない。例えば、セラミックグリーンシート部分にマークが付与されてもよいし、セラミックグリーンシート部分及びキャリアフィルムC部分にマークが付与されてもよい。本実施形態に係るシート欠陥位置検出方法は、いずれの態様でも、乾燥工程のような熱履歴付与工程によりセラミックグリーンシートが熱変形した場合、又は、グリーンシートフィルムGの欠陥が内部電極層のような層状部材によって隠れてしまった場合、又は、セラミックグリーンシートの巻き取り、巻き出しによりセラミックグリーンシートが塑性変形した場合であっても、後工程においてセラミックグリーンシートの欠陥位置を適切に検出できる。
【0171】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0172】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0173】
<1>
キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型工程と、
前記キャリアフィルム及び前記キャリアフィルム上に成型された前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得工程と、
前記セラミックグリーンシートの成型後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の上に所定の間隔で複数のマークを付与するマーク付与工程と、
前記セラミックグリーンシート及び前記キャリアフィルムに熱履歴が付与される熱履歴付与工程と、
前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に付与された前記複数のマークから、前記マーク付与工程によって付与された前記複数のマークの情報を取得するマーク情報取得工程と、
前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する欠陥位置決定工程と、を含み、
前記欠陥位置決定工程は、前記欠陥情報取得工程で取得された前記欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、前記マーク情報取得工程で取得された複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する、シート欠陥位置検出方法。
<2>
前記熱履歴付与工程は、加熱工程である、<1>に記載のシート欠陥位置検出方法。
<3>
前記マーク付与工程と、前記マーク情報取得工程の間に、層状部材を前記セラミックグリーンシート上に形成する層状部材形成工程を有する、<1>又は<2>に記載のシート欠陥位置検出方法。
<4>
前記マーク付与工程と、前記マーク情報取得工程の間に、前記セラミックグリーンシートが成型された前記キャリアフィルムをロール状に巻き取る巻き取り工程と、ロール状の、前記セラミックグリーンシートが成型された前記キャリアフィルムを巻き出す巻き出し工程と、を有する、<1>から<3>のいずれか1つに記載のシート欠陥位置検出方法。
<5>
キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型部と、前記キャリアフィルム及び前記キャリアフィルム上に成型された前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得部と、前記セラミックグリーンシートの成型後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の上に所定の間隔で複数のマークを付与するマーク付与部と、前記セラミックグリーンシート及び前記キャリアフィルムに熱履歴を付与する熱履歴付与部と、前記熱履歴付与部により熱履歴が付与された後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に付与された前記複数のマークから、前記マーク付与部により付与された前記複数のマークの情報を取得するマーク情報取得部と、を備える電子部品の生産システムの情報処理装置であって、
前記熱履歴付与部により熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する欠陥位置決定部を備え、
前記欠陥位置決定部は、前記欠陥情報取得部が取得した前記欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、前記マーク情報取得部が取得した複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、前記熱履歴付与部によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する、情報処理装置。
<6>
キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型部と、
前記セラミックグリーンシート及び前記キャリアフィルムに熱履歴を付与する熱履歴付与部と、を備える電子部品の生産システムに用いられるシート欠陥位置検出システムであって、
前記熱履歴付与部により熱履歴が付与される前に、前記キャリアフィルム及び前記キャリアフィルム上に成型された前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得部と、
前記熱履歴付与部により熱履歴が付与される前に、前記セラミックグリーンシートの成型後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の上に所定の間隔で複数のマークを付与するマーク付与部と、
前記熱履歴付与部により熱履歴が付与された後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に付与された前記複数のマークから、前記マーク付与部により付与された前記複数のマークの情報を取得するマーク情報取得部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記熱履歴付与部により熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する欠陥位置決定部を備え、
前記欠陥位置決定部は、前記欠陥情報取得部が取得した前記欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、前記マーク情報取得部が取得した複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、前記熱履歴付与部によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する、シート欠陥位置検出システム。
<7>
キャリアフィルム上にセラミックグリーンシートを成型するシート成型工程と、
前記セラミックグリーンシート及び前記キャリアフィルムに熱履歴が付与される熱履歴付与工程と、を含む電子部品の生産方法であって、
前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与される前に、前記キャリアフィルム及び前記キャリアフィルム上に成型された前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に発生した欠陥の情報を取得する欠陥情報取得工程と、
前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与される前に、前記セラミックグリーンシートの成型後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の上に所定の間隔で複数のマークを付与するマーク付与工程と、
前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記キャリアフィルム及び前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方に付与された前記複数のマークから、前記マーク付与工程によって付与された前記複数のマークの情報を取得するマーク情報取得工程と、
前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する欠陥位置決定工程と、
前記欠陥位置決定工程によって決定された前記欠陥の位置に基づいて、電子部品の生産に利用する前記セラミックグリーンシートの領域を決定する利用領域決定工程と、を含み、
前記欠陥位置決定工程は、前記欠陥情報取得工程で取得された前記欠陥の情報に基づく欠陥位置情報と、前記マーク情報取得工程で取得された複数のマークの情報に基づく読取マーク間距離情報と、に基づいて、前記熱履歴付与工程によって熱履歴が付与された後の前記欠陥の位置を決定する、電子部品の生産方法。
【符号の説明】
【0174】
C キャリアフィルム
ステップS11 シート成型工程
ステップS13 欠陥情報取得工程
ステップS14 マーク付与工程
ステップS22 熱履歴付与工程
ステップS31 マーク情報取得工程
ステップS32 欠陥位置決定工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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