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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076194
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20240529BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20240529BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20240529BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20240529BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
A61K8/67
A61Q19/02
A61K8/23
A61K8/60
A61K8/44
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187634
(22)【出願日】2022-11-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】591119750
【氏名又は名称】岩瀬コスファ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100145104
【弁理士】
【氏名又は名称】膝舘 祥治
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 彩
(72)【発明者】
【氏名】今村 徹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB351
4C083AB352
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC392
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC521
4C083AC522
4C083AC892
4C083AD092
4C083AD352
4C083AD391
4C083AD392
4C083AD641
4C083AD642
4C083CC05
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE10
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】アルブチン及びL-アスコルビン酸グルコシドを含有し、保存安定性に優れ、皮膚刺激性が抑制された皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】成分Aとしてアルブチンと、成分BとしてL-アスコルビン酸グルコシドと、成分Cとしてジエチレントリアミン五酢酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、成分Dとして亜硫酸類及びチオ硫酸並びにそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む皮膚外用剤である。皮膚外用剤は、pHが3.7以上6.8以下であり、成分Cの含有量が0.0001質量%以上0.3質量%以下であり、成分Dの含有量が0.002質量%以上0.15質量%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分Aとしてアルブチンと、成分BとしてL-アスコルビン酸グルコシドと、成分Cとしてジエチレントリアミン五酢酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、成分Dとして亜硫酸類及びチオ硫酸並びにそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含み、
pHが3.7以上6.8以下であり、成分Cの含有量が0.0001質量%以上0.3質量%以下であり、成分Dの含有量が0.002質量%以上0.15質量%以下である皮膚外用剤。
【請求項2】
前記成分Dが、重亜硫酸及びピロ亜硫酸並びにそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記成分Cの含有量に対する成分Dの含有量の質量比が、0.01以上1500以下である請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
成分Aと成分Bの合計含有量に対する成分Cの含有量の質量比が、0.00002以上0.06以下である請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
成分Aと成分Bの合計含有量に対する成分Dの含有量の質量比が、0.0004以上0.03以下である請求項1に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚外用剤においては、ハイドロキノン誘導体、アスコルビン酸誘導体等を配合することにより、優れた美白効果が得られるとされている。しかしながら、アルブチン、L-アスコルビン酸グルコシド等は皮膚外用剤中で変化を起こしやすく、これらを配合した皮膚外用剤は経時的に着色などが起こり、保存安定性に改良の余地があった。
【0003】
上記に関連して、アルブチンを含有する組成物に、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸又はその塩、ジエチレントリアミン五酢酸又はその塩を添加することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、ハイドロキノン誘導体とアスコルビン酸誘導体の両方を含有した組成物に、紫外線吸収剤、ジブチルヒドロキシトルエン、キレート剤、亜硫酸類などを配合することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、アルブチンを含有した組成物に、還元剤としてアスコルビン酸、亜硫酸類などを配合することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-201228号公報
【特許文献2】特開平09-263513号公報
【特許文献3】特開2015-129174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一態様は、アルブチン及びL-アスコルビン酸グルコシドを含有し、保存安定性に優れ、皮膚刺激性が抑制された皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様は、成分Aとしてアルブチンと、成分BとしてL-アスコルビン酸グルコシドと、成分Cとしてジエチレントリアミン五酢酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、成分Dとして亜硫酸類及びチオ硫酸並びにそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む皮膚外用剤である。皮膚外用剤は、pHが3.7以上6.8以下であり、成分Cの含有量が0.0001質量%以上0.3質量%以下であり、成分Dの含有量が0.002質量%以上0.15質量%以下である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、アルブチン及びL-アスコルビン酸グルコシドを含有し、保存安定性に優れ、皮膚刺激性が抑制された皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。さらに本明細書に記載される数値範囲の上限及び下限は、数値範囲として例示された数値をそれぞれ任意に選択して組み合わせることが可能である。以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、皮膚外用剤を例示するものであって、本発明は、以下に示す皮膚外用剤に限定されない。
【0009】
皮膚外用剤は、成分Aとしてアルブチンと、成分BとしてL-アスコルビン酸グルコシドと、成分Cとしてジエチレントリアミン五酢酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、成分Dとして亜硫酸類及びチオ硫酸並びにそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む。皮膚外用剤は、pHが3.7以上6.8以下であり、成分Cの含有量が0.0001質量%以上0.3質量%以下であり、成分Dの含有量が0.002質量%以上0.15質量%以下である。
【0010】
美白効果を有する成分としてアルブチンとL-アスコルビン酸グルコシドを含む皮膚外用剤に、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む成分Cと、亜硫酸類及びチオ硫酸並びにそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む成分Dとを特定の含有量で配合し、pHを特定の範囲に調整することにより、保存安定性に優れ、皮膚刺激性が抑制された皮膚外用剤とすることができる。これは例えば、成分Cと成分Dとが特定のpH範囲において、アルブチン及びL-アスコルビン酸グルコシドの保存安定性を相乗的に向上できるためと考えることができる。
【0011】
アルブチン
皮膚外用剤は、成分Aとしてアルブチンを含む。アルブチンは、ハイドロキノン誘導体の1種であり、メラニン生成過程の代謝中間物であるドーパキノンからドーパクロムへの生合成を抑制し、皮膚の美白化、しみ、そばかす、黒皮症、肝斑等の治療、改善に有効な化合物である。アルブチンは、ハイドロキノンとD-グルコースとがエーテル結合した化合物であり、結合態様によってα-アルブチンとβ-アルブチンとがある。アルブチンとしては、α-アルブチン、β-アルブチンのいずれも好適に用いることができるが、美白効果、入手容易性、安定性の観点から、β-アルブチンが好ましい。
【0012】
皮膚外用剤におけるアルブチンの含有量は、例えば美白効果の観点から、0.001質量%以上であってよく、好ましくは0.01質量%以上、0.1質量%以上1.0質量%以上、又は2.0質量%以上であってよい。また例えば皮膚外用剤としてのべたつき抑制等の観点から、20.0質量%以下であってよく、好ましくは15.0質量%以下、10.0質量%以下5.0質量%以下、又は4.0質量%以下であってよい。
【0013】
皮膚外用剤は、アルブチンに加えてアルブチン以外のハイドロキノン誘導体を更に含んでいてもよい。アルブチン以外のハイドロキノン誘導体としては、例えばハイドロキノンα-L-グルコース、ハイドロキノンβ-L-グルコース、ハイドロキノンα-D-ガラクトース、ハイドロキノンβ-D-ガラクトース、ハイドロキノンα-L-ガラクトース、ハイドロキノンβ-L-ガラクトース等の六単糖配糖体、ハイドロキノンα-D-リボース、ハイドロキノンβ-D-リボース、ハイドロキノンα-L-リボース、ハイドロキノンβ-L-リボース、ハイドロキノンα-D-アラビノース、ハイドロキノンβ-D-アラビノース、ハイドロキノンα-L-アラビノース、ハイドロキノンβ-L-アラビノース等の五単糖配糖体、ハイドロキノンα-D-グルコサミン、ハイドロキノンβ-D-グルコサミン、ハイドロキノンα-L-グルコサミン、ハイドロキノンβ-L-グルコサミン、ハイドロキノンα-D-ガラクトサミン、ハイドロキノンβ-D-ガラクトサミン、ハイドロキノンα-L-ガラクトサミン、ハイドロキノンβ-L-ガラクトサミン等のアミノ酸配糖体、ハイドロキノンα-D-グルクロン酸、ハイドロキノンβ-D-グルクロン酸、ハイドロキノンα-L-グルクロン酸、ハイドロキノンβ-L-グルクロン酸、ハイドロキノンα-D-ガラクツロン酸、ハイドロキノンβ-D-ガラクツロン酸、ハイドロキノンα-L-ガラクツロン酸、ハイドロキノンβ-L-ガラクツロン酸等のウロン酸配糖体等が例示される。また、ハイドロキノン配糖体のアセチル化物等のエステル体、メチル化物等のエーテル体等を挙げることができる。
【0014】
皮膚外用剤が、アルブチン以外のハイドロキノン誘導体を含む場合、その含有量は、美白効果と保存安定性の観点から、例えば0.001質量%以上20.0質量%以下であってよく、好ましくは10.0質量%以下、5.0質量%以下、1.0質量%以下、又は0.1質量%未満であってよい。
【0015】
皮膚外用剤は、アルブチンに加えてハイドロキノンを含んでいてもよい。皮膚外用剤が、ハイドロキノンを含む場合、その含有量は、美白効果と皮膚刺激性の観点から、例えば0.001質量%以上5.0質量%以下であってよく、好ましくは2.0質量%以下、1.0質量%以下、又は0.1質量%未満であってよい。
【0016】
L-アスコルビン酸グルコシド
皮膚外用剤は、成分BとしてL-アスコルビン酸グルコシドを含む。L-アスコルビン酸グルコシドはアスコルビン酸誘導体の1種であり、メラニン生成過程の代謝中間物であるドーパキノンからドーパクロムへの生合成を抑制し、また生成した濃色酸化型メラニンを淡色還元型メラニンに戻す作用を有し、皮膚の美白化、しみ、そばかす、黒皮症、肝斑等の治療、改善に有効な化合物である。L-アスコルビン酸グルコシドは、L-アスコルビン酸とグルコースとがエーテル結合した化合物である。L-アスコルビン酸グルコシドとしては、α-グルコシル-L-アスコルビン酸が好ましく、2-O-α-D-グルコシル-L-アスコルビン酸がより好ましい。
【0017】
皮膚外用剤におけるL-アスコルビン酸グルコシドの含有量は、例えば美白効果の点から、0.001質量%以上であってよく、好ましくは0.01質量%以上、0.1質量%以上、又は1.0質量%以上であってよい。また、皮膚外用剤としてのべたつき抑制という観点から、20.0質量%以下であってよく、好ましくは15.0質量%以下、10.0質量%以下、5.0質量%以下、又は4.0質量%以下であってよい。
【0018】
皮膚外用剤は、L-アスコルビン酸グルコシドに加えてL-アスコルビン酸グルコシド以外のアスコルビン酸誘導体を更に含んでいてもよい。L-アスコルビン酸グルコシド以外のアスコルビン酸誘導体としては、例えばL-アスコルビン酸カルボン酸エステル、L-アスコルビン酸リン酸エステル、L-アスコルビン酸硫酸エステル等が挙げられ、これらの塩であってもよい。アスコルビン酸誘導体の塩は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0019】
皮膚外用剤が、L-アスコルビン酸グルコシド以外のアスコルビン酸誘導体を含む場合、その含有量は、美白効果と保存安定性の観点から、例えば0.001質量%以上20.0質量%以下であってよく、好ましくは10.0質量%以下、5.0質量%以下、又は0.1質量%未満であってよい。
【0020】
皮膚外用剤におけるアルブチンの含有量に対するL-アスコルビン酸グルコシドの含有量の質量比(B/A)は、美白効果と保存安定性の観点から、例えば0.02以上50以下であってよく、好ましくは0.33以上、0.5以上、又は0.6以上であってよく、また好ましくは3.0以下、2.0以下、又は1.0以下であってよい。
【0021】
皮膚外用剤におけるアルブチンとL-アスコルビン酸グルコシドの合計含有量(A+B)は、美白効果と保存安定性の観点から、例えば、0.002質量%以上20.0質量%以下であってよい。好ましくは0.1質量%以上、1.0質量%以上、又は3.0質量以上であってよく、また好ましくは15.0質量%以下、10.0質量%以下、8.0質量%以下、又は7.0質量%以下であってよい。
【0022】
成分C
皮膚外用剤は、成分Cとしてジエチレントリアミン五酢酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。成分Cは、例えばキレート剤として皮膚外用剤の保存安定性に寄与すると考えられる。ジエチレントリアミン五酢酸の塩は、ジエチレントリアミン五酢酸と有機塩基又は無機塩基から得られる塩であればよい。有機塩基としては、例えばトリエタノールアミン等が挙げられる。また無機塩としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が例示され、好ましくはナトリウムの塩であってよい。
【0023】
皮膚外用剤における成分Cの含有量は、例えば0.0001質量%以上0.3質量%以下であってよい。成分Cの含有量は、好ましくは0.00012質量%以上、0.00016質量%以上、0.001質量%以上、0.005質量%以上、又は0.006質量%以上であってよく、また好ましくは0.25質量%以下、0.21質量%以下、0.10質量%以下、0.05質量%以下、0.02質量%以下、又は0.012質量%以下であってよい。成分Cの含有量が0.0001質量%以上であると保存安定性がより向上する傾向がある。また、0.3質量%以下であると皮膚刺激性がより低下する傾向がある。
【0024】
皮膚外用剤におけるアルブチン(成分A)とL-アスコルビン酸グルコシド(成分B)の合計含有量に対する成分Cの含有量の質量比(C/(A+B))は、例えば、美白効果と保存安定性の観点から、0.00002以上0.06以下であってよい。質量比(C/(A+B))は、好ましくは0.000024以上、0.00003以上、0.001以上、又は0.0012以上であってよく、また好ましくは0.042以下、0.04以下、0.03以下、0.02以下、0.01以下、0.004以下、又は0.0024以下であってよい。
【0025】
皮膚外用剤におけるアルブチン(成分A)の含有量に対する成分Cの含有量の質量比(C/A)は、例えば、美白効果と保存安定性の観点から、0.00001以上0.1以下であってよい。質量比(C/A)は、好ましくは0.00004以上、0.001以上、又は0.002以上であってよく、また好ましくは0.07以下、0.01以下、0.006以下、又は0.004以下であってよい。
【0026】
皮膚外用剤におけるL-アスコルビン酸グルコシド(成分B)の含有量に対する成分Cの含有量の質量比(C/B)は、例えば、美白効果と保存安定性の観点から、0.00001以上0.2以下であってよい。質量比(C/B)は、好ましくは0.00006以上、0.0001以上、0.001以上、又は0.003以上であってよく、また好ましくは0.12以下、0.105以下、0.05以下、0.02以下、0.008以下、又は0.006以下であってよい。
【0027】
皮膚外用剤は、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩以外のその他のキレート剤を含んでいてもよい。その他のキレート剤としては、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸)、グルコン酸、ポリリン酸、メタリン酸、コハク酸、リンゴ酸及びこれらの塩が挙げられる。その他のキレート剤の塩は、例えばアルカリ金属塩であってよい。
【0028】
皮膚外用剤が、その他のキレート剤を含む場合、その含有量は、保存安定性の観点から、例えば0.0001質量%以上1.0質量%以下であってよく、好ましくは0.5質量%以下、又は0.1質量%未満であってよい。
【0029】
成分D
皮膚外用剤は、成分Dとして亜硫酸類及びチオ硫酸並びにそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。成分Dは、例えば還元剤として皮膚外用剤の保存安定性に寄与すると考えられる。成分Dにおける亜硫酸類には、亜硫酸、ピロ亜硫酸(メタ重亜硫酸)、重亜硫酸が含まれる。亜硫酸類又はチオ硫酸の塩としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が挙げられ、好ましくはナトリウム塩及びカリウム塩の少なくとも一方を含んでいてよい。成分Dの具体例としては、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム等が挙げられ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種を成分Dが含んでいてよい。成分Dは、保存安定性の観点から、チオ硫酸塩、重亜硫酸塩及びピロ亜硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいてよく、好ましくは重亜流酸塩及びピロ亜硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいてよく、少なくともピロ亜硫酸塩の少なくとも1種を含んでいてよい。
【0030】
皮膚外用剤における成分Dの含有量は、例えば0.002質量%以上0.15質量%以下であってよい。好ましくは0.003質量%以上、0.006質量%以上、0.008質量%以上、0.01質量%以上、0.02質量%以上、又は0.03質量%以上であってよく、また好ましくは0.1質量%以下、0.08質量%以下、0.06質量%以下、又は0.05質量%以下であってよい。成分Dの含有量が0.002質量%以上であると保存安定性がより向上する傾向がある。また、0.15質量%以下であるとpHの安定性がより向上し、保存安定性がより向上する傾向がある。
【0031】
皮膚外用剤におけるアルブチン(成分A)とL-アスコルビン酸グルコシド(成分B)の合計含有量に対する成分Dの含有量の質量比(D/(A+B))は、例えば、美白効果と保存安定性の観点から、0.0004以上0.03以下であってよい。質量比(D/(A+B))は、好ましくは0.0006以上、0.001以上、0.0018以上、0.002以上、0.005以上、又は0.006以上であってよく、また好ましくは0.02以下、0.018以下、0.014以下、0.012以下、又は0.01以下であってよい。
【0032】
皮膚外用剤におけるアルブチン(成分A)の含有量に対する成分Dの含有量の質量比(D/A)は、例えば、美白効果と保存安定性の観点から、0.0005以上0.05以下であってよい。質量比(D/A)は、好ましくは0.001以上、0.0014以上、0.002以上、0.003以上、又は0.01以上であってよく、また好ましくは0.04以下、0.033以下、0.03以下、0.02以下、又は0.017以下であってよい。
【0033】
皮膚外用剤におけるL-アスコルビン酸グルコシド(成分B)の含有量に対する成分Dの含有量の質量比(D/B)は、例えば、美白効果と保存安定性の観点から、0.0005以上0.08以下であってよい。質量比(D/B)は、好ましくは0.001以上、0.0015以上、0.003以上、0.01以上、0.012以上、又は0.015以上であってよく、また好ましくは0.05以下、0.03以下、又は0.025以下であってよい。
【0034】
皮膚外用剤における成分Cの含有量に対する成分Dの含有量の質量比(D/C)は、例えば、保存安定性の観点から、0.01以上1500以下であってよい。質量比(D/C)は、好ましくは0.2以上、0.24以上、0.4以上、0.5以上、0.8以上、1.4以上、2.0以上、2.2以上、又は2.5以上であってよく、また好ましくは500以下、417以下、320以下、20以下、10以下、又は8以下であってよい。
【0035】
皮膚外用剤におけるアルブチン(成分A)とL-アスコルビン酸グルコシド(成分B)の合計含有量に対する成分Cと成分Dの合計含有量の質量比((C+D)/(A+B))は、例えば、美白効果と保存安定性の観点から、0.003以上0.08以下であってよい。質量比((C+D)/(A+B))は、好ましくは0.004以上、0.006以上、又は0.0084以上であってよく、また好ましくは0.06以下、0.052以下、0.02以下、0.015以下、又は0.012以下であってよい。
【0036】
皮膚外用剤は、pHが3.7以上6.8以下であってよい。pHは好ましくは3.9以上、4.0以上、4.2以上、4.4以上、又は4.5以上であってよく、また好ましくは6.8以下、6.6以下、6.2以下、5.9以下、又は5.8以下であってよい。pHが3.7以上であると皮膚刺激性がより抑制される傾向がある。またpHが6.8以下であると保存安定性がより向上する傾向がある。なお、pHの測定は、皮膚外用剤を調製後24時間以内に、25℃において、ガラス電極のpHメータ(例えば、HORIBA社製)などを使用して測定することができる。
【0037】
皮膚外用剤のpHは、pH調整成分によって調整することができる。pH調整成分としては、各分野において通常用いられる有機酸及び無機酸並びにそれらの塩、アルカリ性無機薬品、アミン類、アミノ酸類等が例示される。有機酸又は無機酸の塩としては、クエン酸、乳酸、リン酸、ピロリン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。アルカリ性無機薬品の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ砂等を挙げることができる。アミン類としては、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシイソプロピル)-エチレンジアミン、モルホリン等を挙げることができる。アミノ酸類としては、ヒスチジン、リジン、オルニチン、アルギニン等を挙げることができる。あるいは、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸又はその塩、及びジエチレントリアミン五酢酸又はその塩を適宜組み合わせて所望のpHに調整してもよい。
【0038】
皮膚外用剤は、成分A及び成分Bに加えて、成分C及び成分Dを特定の含有量で含むことで、保管後のpH安定性に優れる。保管後のpH安定性は、例えば、調製直後のpHと、50℃の遮光条件下で1ヶ月保管した後のpHとの差の絶対値で評価することができる。保管前後のpHの差の絶対値は、例えば0.81未満であってよく、好ましくは0.61未満、0.41未満、又は0.21未満であってよい。
【0039】
一態様において皮膚外用剤は、成分Cと成分Dの含有量が所定の範囲内であって、成分Dがチオ流酸塩、重亜硫酸塩及びピロ亜硫酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含み、成分Aと成分Bの合計含有量に対する成分Cの含有量の質量比(C/(A+B))が0.00003以上0.03以下であって、成分Aと成分Bの合計含有量に対する成分Dの含有量の質量比(D/(A+B))が0.0014以上0.018以下であって、成分Cの含有量に対する成分Dの含有量の質量比(D/C)が0.4以上320以下であって、pHが3.9以上6.8以下であることが好ましい。
【0040】
一態様において皮膚外用剤は、成分Cと成分Dの含有量が所定の範囲内であって、成分Dが重亜硫酸塩及びピロ亜硫酸塩の少なくとも1種を含み、成分Aと成分Bの合計含有量に対する成分Cの含有量の質量比(C/(A+B))が0.001以上0.03以下であって、成分Aと成分Bの合計含有量に対する成分Dの含有量の質量比(D/(A+B))が0.0018以上0.014以下であって、成分Cの含有量に対する成分Dの含有量の質量比(D/C)が0.4以上10以下であって、pHが4.5以上5.8以下であることが好ましい。
【0041】
一態様において皮膚外用剤は、成分Cと成分Dの含有量が所定の範囲内であって、成分Dがピロ亜硫酸塩の少なくとも1種を含み、成分Aと成分Bの合計含有量に対する成分Cの含有量の質量比(C/(A+B))が0.001以上0.03以下であって、成分Aと成分Bの合計含有量に対する成分Dの含有量の質量比(D/(A+B))が0.005以上0.014以下であって、成分Cの含有量に対する成分Dの含有量の質量比(D/C)が2.2以上10以下であって、pHが4.5以上5.8以下であることが好ましい。
【0042】
皮膚外用剤は、種々の剤形として調製することができる。例えばクリーム、乳液、化粧水等の基礎化粧料、ファンデーション等のメークアップ化粧料、日焼け止め化粧料、洗顔料などの清浄用化粧料などとして調製することができる。皮膚外用剤は美白を目的とした薬用化粧料としても好適に用いられる。皮膚外用剤はまた、しみ、そばかす、黒皮症、肝斑等の治療、改善のためのクリーム、ローション、乳液等の剤形の外用医薬品としても処方することができる。
【0043】
かかる化粧品又は医薬品は、上述した上記必須成分を配合する以外は常法に従って調製すればよく、必要に応じて通常化粧料や外用医薬品に添加される他の成分を配合して調製してもよい。他の成分としては、例えば液状油、水溶性高分子(例えば、増粘剤であってもよい)、油溶性高分子、固形油、低級アルコール、保湿成分、界面活性剤、粉末成分、防腐成分、美白有効成分、その他有効成分等から適宜選択した成分が挙げられるが、これらの例示に限定されるものではない。
【0044】
液状油には、シリコーン油、炭化水素油、植物油、エステル油、高分子量のポリオキアルキレングリコールなどが含まれる。液状油の具体例としては、ジメチコン、ジフェニルジメチコン、シクロペンタシロキサン等のシリコーン油;アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、キョウニン油、シナモン油、ホホバ油、ブドウ油、アルモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、卵黄油、肝油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル等の液状油脂;オクタン酸セチル等のオクタン酸エステル、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット等のイソオクタン酸エステル、ラウリン酸ヘキシル等のラウリン酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のミリスチン酸エステル、パルミチン酸オクチル等のパルミチン酸エステル、ステアリン酸イソセチル等のステアリン酸エステル、イソステアリン酸イソプロピル等のイソステアリン酸エステル、イソパルミチン酸オクチル等のイソパルミチン酸エステル、オレイン酸イソデシル等のオレイン酸エステル、アジピン酸ジイソプロピル等のアジピン酸ジエステル、セバシン酸ジエチル等のセバシン酸ジエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油;流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;ポリオキシブチレンポリオキシプロピレングリコール等が挙げられる。
【0045】
水溶性高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム/アクリル酸アルキル/メタクリル酸ナトリウム/メタクリル酸アルキル共重合体、カラギーナン、ペクチン、マンナン、カードラン、コンドロイチン硫酸、デンプン、グリコーゲン、アラビアガム、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天等が例示される。
【0046】
油溶性高分子としては、トリメチルシロキシケイ酸、アルキル変性シリコーン、ポリアミド変性シリコーン、ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、ポリメチルシルセスキオキサン等が例示される。
【0047】
固形油としては、例えば、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、セラックロウ、硬化油等の天然ロウ類、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等の合成ワックス、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロール等の高級アルコール、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸等が例示される。
【0048】
低級アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール等の炭素数1から5のアルコールが挙げられる。保湿成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等の多価アルコール等が例示される。
【0049】
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性の界面活性剤が挙げられ、例えばシリコーン系、炭化水素系の界面活性剤が含まれる。界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸グリセリル、セテアリル硫酸ナトリウム、PEG-1000モノセチルエーテル、臭化アルキルトリメチルアンモニウムなどの四級アンモニウム塩、ポリオールエステルグリセロールモノステアレート、ステアリン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、サポニン、水添レシチン等が挙げられる。
【0050】
皮膚外用剤が、界面活性剤を含む場合、その含有量は、保存安定性と皮膚刺激性の観点から、例えば0.001質量%以上20質量%以下であってよく、好ましくは10質量%以下、又は5質量%以下であってよい。
【0051】
皮膚外用剤が、増粘剤を含む場合、その含有量は、保存安定性と使用感の観点から、例えば0.001質量%以上10質量%以下であってよく、好ましくは5質量%以下、又は3質量%以下であってよい。
【0052】
粉末成分としては、ナイロン、アクリル系のポリマー球状粉末、シリカ粉末、シリコーン粉末、セルロース粉末、スターチ粉末、シルク粉末等が例示される。
【0053】
防腐成分としては、メチルパラベン、ブチルパラベンナトリウム、安息香酸及びその塩ならびにエステル、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、尿素誘導体(例えば、ジアゾリジニル尿素、イミダゾリジニル尿素)、2,3-イミダゾリジンジオン(DMDMヒダントイン)、ソルビン酸及びその塩などが挙げられる。
【0054】
皮膚外用剤は、アルブチン及びL-アスコルビン酸グルコシド以外の美白有効成分を含んでいてもよい。美白有効成分(美白剤)とは、肌のくすみやしみ、肝斑等に特に関係しているメラニン色素等による肌の色素沈着を改善、抑制・低減・防止、予防、又は遅延させる性質を有する薬剤(成分)をいう。
【0055】
美白有効成分としては、たとえば、ハイドロキノン及びその誘導体(但し、アルブチンを除く)又はそれらの塩、アスコルビン酸及びその誘導体(但し、L-アスコルビン酸グルコシドを除く)又はそれらの塩、コウジ酸、エラグ酸、フィチン酸、ルシノール、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、トラネキサム酸及びその誘導体又はそれらの塩などのようなチロシナーゼ活性阻害剤、カモミラETのようなエンドセリン-1受容体阻害剤、遊離リノール酸のようなチロシナーゼタンパク質分解促進剤、アデノシン1リン酸2ナトリウム塩のようなメラニン輸送阻害剤、その他美白作用を有する植物成分をあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0056】
皮膚外用剤が、アルブチン及びL-アスコルビン酸グルコシド以外の美白有効成分を含む場合、その含有量は、美白効果と保存安定性の観点から、例えば0.001質量%以上20質量%以下であってよく、好ましくは15質量%以下、又は10質量%以下であってよい。
【0057】
その他有効成分としては、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活成分、収斂成分、抗酸化成分、ニキビ改善成分、老化防止成分、コラーゲン等の生体成分合成促進成分、血行促進成分、保湿成分などをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0058】
その他の成分としては、トレハロース、エリスリトール等の糖類、ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸等の多糖類、セリン、グリシン、ヒドロキシプロリン、グルタミン酸、アラニン等のアミノ酸類、シルク抽出物、クロレラエキス、加水分解真珠タンパク質、ヤグルマエキス、テンチャエキス、酵母エキス、イノシトール、カンゾウエキス、ワレモコウエキス、バラエキス、ヨクイニン等の抽出物等が例示される。
【0059】
本発明は、例えば以下の態様を包含してよい。
[1] 成分Aとしてアルブチンと、成分BとしてL-アスコルビン酸グルコシドと、成分Cとしてジエチレントリアミン五酢酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、成分Dとして亜硫酸類及びチオ硫酸並びにそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含み、
pHが3.7以上6.8以下であり、成分Cの含有量が0.0001質量%以上0.3質量%以下であり、成分Dの含有量が0.002質量%以上0.15質量%以下である皮膚外用剤。
【0060】
[2] 前記成分Dが、重亜硫酸及びピロ亜硫酸並びにそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む[1]に記載の皮膚外用剤。
【0061】
[3] 前記成分Cの含有量に対する成分Dの含有量の質量比が、0.01以上1500以下である[1]又は[2]に記載の皮膚外用剤。
【0062】
[4] 成分Aと成分Bの合計含有量に対する成分Cの含有量の質量比が、0.00002以上0.06以下である[1]から[3]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0063】
[5] 成分Aと成分Bの合計含有量に対する成分Dの含有量の質量比が、0.0004以上0.03以下である[1]から[4]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【実施例0064】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0065】
実施例1から20及び比較例1から8
表1に示す処方に従って、常法により試験溶液をそれぞれ調製した。調製した試験溶液について以下の評価方法により、保存安定性及び刺激性を評価した。結果を表1から表3に示す。なお、配合量は全て質量%である。
【0066】
保存安定性:外観
外観の保存安定性は、試験溶液を密閉容器に入れて50℃・遮光条件、又は40℃・遮光条件で、それぞれ1か月間保管した後、精製水を基準として目視により着色の有無を評価した。
【0067】
評価基準
1:50℃で着色し、40℃でも着色有り
2:50℃で着色だが、40℃では着色無し
3:50℃でやや着色だが、40℃では着色無し
4:50℃でわずかに着色だが、40℃では着色無し
5:50℃及び40℃で着色無し
【0068】
保存安定性:pH
pHの保存安定性は、調製直後の試験溶液のpH(初期pH)を測定し、その後、試験溶液を密閉容器に入れ50℃・遮光条件で1か月間保管した後、25℃に戻してからpH(保管後pH)を測定し、初期pHと保管後pHとの差の絶対値(pH変動幅)によって評価した。
【0069】
評価基準
pHの保存安定性=|初期pH-保管後pH|
1:0.81以上
2:0.61以上0.81未満
3:0.41以上0.61未満
4:0.21以上0.41未満
5:0.21未満
【0070】
刺激性
刺激性は、試験溶液を4×3cmのろ紙にしみ込ませ、それを5名のパネラーの目元に15分間張り付け、2点:刺激無し、1点:僅かに刺激有り、0点:刺激有り、の3段階評価を行い、その合計点により評価した。
【0071】
評価基準
1:4点以下
2:5点
3:6点
4:7点
5:8点以上
【0072】
総合評価
各試験溶液の外観の保存安定性、pHの保存安定性及び刺激性の評価結果を以下のように分類して総合評価とした。
【0073】
評価基準
SS:各評価結果の合計点数が15点
S:各評価結果の合計点数が14点
A:各評価結果の合計点数が13点
B:各評価結果の合計点数が12点
C:各評価結果の合計点数が11点以下
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
実施例21:美白乳液の処方例
以下の処方に従って、常法により美白乳液を調製した。
【0078】
【表4】
【0079】
得られた美白乳液は保存安定性に優れ、刺激性がなく、使い心地に優れるものであった。
【0080】
実施例22:美白クリームの処方例
以下の処方に従って、常法により美白クリームを調製した。
【0081】
【表5】
【0082】
得られた美白クリームは保存安定性に優れ、刺激性がなく、使い心地に優れるものであった。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分Aとしてアルブチンと、成分BとしてL-アスコルビン酸グルコシドと、成分Cとしてジエチレントリアミン五酢酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、成分Dとして亜硫酸類及びチオ硫酸並びにそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含み、
pHが3.7以上6.8以下であり、成分Cの含有量が0.0001質量%以上0.3質量%以下であり、成分Dの含有量が0.002質量%以上0.15質量%以下であり、
成分Aと成分Bの合計含有量に対する成分Cの含有量の質量比が、0.00003以上0.03以下であり、
成分Aと成分Bの合計含有量に対する成分Dの含有量の質量比が、0.0014以上0.018以下である皮膚外用剤。
【請求項2】
前記成分Dが、重亜硫酸及びピロ亜硫酸並びにそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記成分Cの含有量に対する成分Dの含有量の質量比が、0.4以上320以下である請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
pHが3.9以上6.8以下である請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
成分Aと成分Bの合計含有量に対する成分Cの含有量の質量比が、0.001以上0.03以下であり、
成分Aと成分Bの合計含有量に対する成分Dの含有量の質量比が、0.0018以上0.014以下であり、
前記成分Cの含有量に対する成分Dの含有量の質量比が、0.4以上10以下であり、
pHが4.5以上5.8以下である請求項1に記載の皮膚外用剤。