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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076195
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】水素エンジンシステム
(51)【国際特許分類】
   F02M 21/06 20060101AFI20240529BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20240529BHJP
   F02M 31/16 20060101ALI20240529BHJP
   F01P 7/16 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
F02M21/06 B
F02M21/02 G
F02M31/16 E
F01P7/16 507Z
F01P7/16 504C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187635
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000155986
【氏名又は名称】株式会社鈴木商館
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 亮介
(72)【発明者】
【氏名】田中 利尚
(72)【発明者】
【氏名】小田 太一
(57)【要約】
【課題】簡便な構成でコンパクトな水素エンジンシステムを提供する。
【解決手段】水素エンジン10と、水素エンジン10を冷却する液体の熱媒体が通流する冷却流路16と、冷却流路16に配置され、熱媒体と液体水素とが通流し、熱媒体により液体水素を気化させて水素ガスを発生させる気化器20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素エンジンと、
前記水素エンジンを冷却する液体の熱媒体が通流する冷却流路と、
前記冷却流路に配置され、前記熱媒体と液体水素とが通流し、前記熱媒体により前記液体水素を気化させて水素ガスを発生させる気化器と、を備えること、
を特徴とする水素エンジンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の水素エンジンシステムであって、
前記熱媒体はLLC、又は水であること、
を特徴とする水素エンジンシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の水素エンジンシステムであって、
前記気化器の内部における前記熱媒体の流速は、26mm/s以上であること、
を特徴とする水素エンジンシステム。
【請求項4】
請求項2に記載の水素エンジンシステムであって、
前記気化器の入口と出口との前記熱媒体の温度差は、10℃以下であること、
を特徴とする水素エンジンシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の水素エンジンシステムであって、
前記冷却流路は、前記水素エンジンを冷却する液体の第1熱媒体が通流する第1冷却流路と、前記第1熱媒体と異なる第2熱媒体が通流する第2冷却流路とで構成され、
前記第1冷却流路と前記第2冷却流路とに跨って配置され、前記第1熱媒体と前記第2熱媒体とが通流して前記第1熱媒体により前記第2熱媒体を加熱する熱交換器と、を備え、
前記気化器は、前記第2熱媒体と前記液体水素とが通流し、前記第2熱媒体により前記液体水素を気化させて前記水素ガスを発生させること、
を特徴とする水素エンジンシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の水素エンジンシステムであって、
前記第1熱媒体を冷却する冷却器を備え、
前記第1熱媒体と前記第2熱媒体はLLC、又は水であること、
を特徴とする水素エンジンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素エンジンシステムの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
液体水素を気化して内燃機関に供給するシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、加熱したヘリウムガスと液体水素とを熱交換させて液体水素を気化するシステムが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、水素エンジンと膨張エンジンを備え、水素エンジンの排気ガスで熱媒体を加熱して膨張エンジンを駆動し、膨張エンジンの高温の排気ガスで液体水素を加熱して水素ガスとして水素エンジンに供給するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-021433号公報
【特許文献2】特許第2886204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液体水素は極低温なので、特許文献2に記載されたようなシステムでは、熱交換させる熱媒体中の水分が凍結してしまい、流路が閉塞したり熱交換効率が低下したりするおそれがある。一方、特許文献1に記載されたシステムのようにヘリウムガスを中間熱媒体とすると熱媒体が凍結することはなくなるが、ガスとの熱交換となるので熱交換効率が悪くなり、装置全体が大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、簡便な構成でコンパクトな水素エンジンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水素エンジンシステムは、水素エンジンと、前記水素エンジンを冷却する液体の熱媒体が通流する冷却流路と、前記冷却流路に配置され、前記熱媒体と液体水素とが通流し、前記熱媒体により前記液体水素を気化させて水素ガスを発生させる気化器と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
このように、液体の熱媒体により液体水素を加熱するので、熱交換効率が高くなり、気化器をコンパクトにできる。これにより、水素エンジンシステムをコンパクトにできる。
【0009】
本発明の水素エンジンシステムにおいて、前記熱媒体は、LLC又は水としてもよい。
【0010】
LLC又は水のような一般的な熱媒体を用いることにより水素エンジンシステムの構成を簡便にすることができる。
【0011】
本発明の水素エンジンシステムにおいて、前記気化器の内部における前記熱媒体の流速は、26mm/s以上としてもよい。
【0012】
このように、液体の熱媒体流速を早くすることにより、液体の熱媒体の凍結を防止することができる。
【0013】
本発明の水素エンジンシステムにおいて、前記気化器の入口と出口との前記熱媒体の温度差は、10℃以下としてもよい。
【0014】
この構成により、液体の熱媒体の温度低下を抑制して凍結を防止することができる。
【0015】
本発明の水素エンジンシステムにおいて、前記冷却流路は、前記水素エンジンを冷却する液体の第1熱媒体が通流する第1冷却流路と、前記第1熱媒体と異なる第2熱媒体が通流する第2冷却流路とで構成され、前記第1冷却流路と前記第2冷却流路とに跨って配置され、前記第1熱媒体と前記第2熱媒体とが通流して前記第1熱媒体により前記第2熱媒体を加熱する熱交換器と、を備え、前記気化器は、前記第2熱媒体と前記液体水素とが通流し、前記第2熱媒体により前記液体水素を気化させて前記水素ガスを発生させてもよい。
【0016】
液体の第1冷媒によって液体の第2冷媒を加熱し、加熱した液体の第2冷媒を用いて水素を気化させるので、熱交換効率が高くなり気化器をコンパクトにできる。また、これにより、水素エンジンシステムをコンパクトにできる。
【0017】
本発明の水素エンジンシステムにおいて、前記第1熱媒体を冷却する冷却器を備え、前記第1熱媒体と前記第2熱媒体はLLC、又は水としてもよい。
【0018】
これにより、水素エンジンの冷却を効果的に行うことができる。また、LLC又は水のような一般的な熱媒体を用いることにより水素エンジンシステムの構成を簡便にすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、簡便な構成でコンパクトな水素エンジンシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態の水素エンジンシステムの系統図である。
図2】他の実施形態の水素エンジンシステムの系統図である。
図3】他の実施形態の水素エンジンシステムの系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら実施形態の水素エンジンシステム100について説明する。図1に示すように、水素エンジンシステム100は、水素エンジン10と、気化器20と、冷却流路16と、水素流路30とを備えている。尚、各図においてLHは液体水素を示し、Hは水素ガスを示す。
【0022】
水素エンジン10は、外気を吸引する吸気ポート11と、水素ガスが供給される水素ガスノズル12と、水素ガスが燃焼した排気ガスを排出する排気ポート13とを備えている。水素エンジン10は、内部に水素エンジン10を冷却する液体の熱媒体が通流する内部冷却流路14を備えている。
【0023】
気化器20は、熱媒体と液体水素とが通流し、熱媒体により液体水素を気化させて水素ガスとする。気化器20は、ケーシング21と、ケーシング21の内部に取り付けられたコイル22とで構成されている。ケーシング21には、熱媒体が流入する熱媒体入口21aと、熱媒体が流出する熱媒体出口21bとが設けられている。コイル22は、細い管をスパイラル状に成形した管部材である。コイル22はコイル入口22aから液体水素が流入し、コイル出口22bから水素ガスが流出する。コイル22は、内部に液体水素と水素ガスとが通流し、外面を流れる熱媒体との間で熱交換を行う。
【0024】
冷却流路16は、冷却水ポンプ15と、熱媒体供給管17と、内部冷却流路14と、熱媒体出口管18と、気化器20と、熱媒体戻り管19とで構成される。熱媒体供給管17は、冷却水ポンプ15の出口と水素エンジン10の内部冷却流路14の入口とを接続する。熱媒体出口管18は、内部冷却流路14の出口と気化器20の熱媒体入口21aとを接続する。熱媒体戻り管19は、気化器20の熱媒体出口21bと冷却水ポンプ15の入口とを接続する。
【0025】
水素流路30は、液体水素タンク31と、液体水素ポンプ32と、液体水素供給管33と、気化器20のコイル22と、水素ガス出口管34と、チャンバ35と、水素ガス供給管36と、減圧弁37とで構成される。
【0026】
液体水素タンク31は、液体水素を極低温で貯留するタンクである。液体水素供給管33は、液体水素タンク31とコイル入口22aとを接続する。液体水素供給管33には、液体水素を加圧する液体水素ポンプ32が取り付けられている。水素ガス出口管34は、気化器20のコイル出口22bとチャンバ35とを接続する。チャンバ35は、高圧の水素ガスを貯留する。水素ガス供給管36はチャンバ35と水素エンジン10の水素ガスノズル12とを接続する。水素ガス供給管36には、水素ガスの圧力を減圧する減圧弁37が取り付けられている。
【0027】
次に、水素エンジンシステム100の熱媒体と、液体水素と、水素ガスの流れについて説明する。
【0028】
低温の熱媒体は、冷却水ポンプ15によって加圧され、熱媒体供給管17を通って水素エンジン10の内部冷却流路14に流入する。熱媒体は、内部冷却流路14を通ると水素エンジン10の燃焼熱によって加熱され、高温の熱媒体となって内部冷却流路14から熱媒体出口管18に流出する。そして、熱媒体出口管18から気化器20の熱媒体入口21aを通ってケーシング21の内部に流入する。
【0029】
一方、液体水素タンク31に貯留された極低温の液体水素は、液体水素ポンプ32で加圧されて液体水素供給管33から気化器20のコイル入口22aに流入する。
【0030】
ケーシング21の内部に流入した高温の熱媒体はコイル22の外面を流れる。また、コイル22の内部には極低温の液体水素が流れる。コイル22を通して高温の熱媒体と液体水素とが熱交換し、液体水素は気化して水素ガスとなって気化器20のコイル出口22bから水素ガス出口管34に流出する。また、高温の熱媒体はコイル22を流れる極低温の液体水素と熱交換し、低温の熱媒体となって熱媒体出口21bから熱媒体戻り管19に流出する。
【0031】
熱媒体戻り管19に流出した低温の熱媒体は、冷却水ポンプ15に流入し、冷却水ポンプ15で加圧されて冷却流路16を循環する。
【0032】
一方、水素ガス出口管34に流出した高圧の水素ガスはチャンバ35に一時的に貯留された後、減圧弁37で水素エンジン10への水素供給圧力まで減圧され、水素ガスノズル12から水素エンジン10の燃焼室(図示せず)に供給される。水素エンジン10の燃焼室で燃焼した後の排気ガスは、排気ポート13から外気に排出される。
【0033】
水素エンジンシステム100では、熱媒体として水、或いはLLC(ロングライフクーラント)を用いてもよい。
【0034】
以上説明した水素エンジンシステム100は、コイル22を通して液体の熱媒体と液体水素或いは水素ガスとを熱交換させるので、熱媒体と液体水素或いは水素ガスとの間の熱交換効率が高くなり、気化器20をコンパクトにできる。これにより、水素エンジンシステム100をコンパクトにできる。
【0035】
また、実施形態の水素エンジンシステム100では、気化器20は、内部に熱媒体が通流する流路面積を小さくする仕切りが(図示せず)設けられている。この仕切りにより、コイル22の外面を流れる熱媒体の流速が所定の流速以上に保持される。所定の流速は、例えば、熱媒体として水、或いはLLC(ロングライフクーラント)が用いられる場合には、26mm/s以上としてもよい。これにより、熱媒体がコイル22の外面を流れる際に凍結することを抑制し、熱交換効率の低下を抑制できる。
【0036】
また、実施形態の水素エンジンシステム100では、熱媒体入口21aの温度T1と熱媒体出口21bの温度T2との温度差が10℃以下となるように冷却水ポンプ15の吐出量を調整してもよい。これにより、熱媒体の凍結を抑制し、熱交換効率の低下を抑制できる。
【0037】
次に図2を参照しながら他の実施形態の水素エンジンシステム200について説明する。先に図1を参照して説明した水素エンジンシステム100と同様の部位には同様の符号を付して説明は省略する。
【0038】
図2に示すように、水素エンジンシステム200は、水素エンジン10と、気化器20と、熱交換器50と、第1冷却流路60と、第2冷却流路70と、水素流路30とを備えている。以下、第1冷却流路60と、第2冷却流路70と、熱交換器50について説明する。水素エンジン10と、水素流路30とは先に説明した水素エンジンシステム100と同一の構成なので、説明は省略する。
【0039】
第1冷却流路60は、水素エンジン10を冷却する液体の第1熱媒体が通流する流路である。第2冷却流路70は、第1熱媒体と異なる液体の第2熱媒体が通流する流路である。熱交換器50は、第1熱媒体が通流する第1熱媒体流路51と、第2熱媒体が通流する第2熱媒体流路52とを備えている。熱交換器50は、第1冷却流路60と第2冷却流路70とに跨って配置され、高温の第1熱媒体により低温の第2熱媒体を加熱する。気化器20は、第2熱媒体と液体水素とが通流し、第2熱媒体により液体水素を気化させて水素ガスを発生させる。気化器20の構造は、先に説明した水素エンジンシステム100の気化器20の構造と同一である。
【0040】
第1冷却流路60は、第1冷却水ポンプ65と、第1熱媒体供給管61と、内部冷却流路14と、第1熱媒体出口管62と、第1熱媒体流路51と、第1熱媒体戻り管63とで構成される。第1熱媒体供給管61は、第1冷却水ポンプ65の出口と内部冷却流路14の入口とを接続する。第1熱媒体出口管62は、内部冷却流路14の出口と熱交換器50の第1熱媒体流路51の入口とを接続する。第1熱媒体戻り管63は、第1熱媒体流路51の出口と第1冷却水ポンプ65の入口とを接続する。
【0041】
第2冷却流路70は、第2冷却水ポンプ75と、第2熱媒体供給管71と、第2熱媒体流路52と、第2熱媒体出口管72と、気化器20と、第2熱媒体戻り管73とで構成される。第2熱媒体供給管71は、第2冷却水ポンプ75の出口と第2熱媒体流路52の入口とを接続する。第2熱媒体出口管72は、第2熱媒体流路52の出口と気化器20の熱媒体入口21aとを接続する。第1熱媒体戻り管63は、気化器20の熱媒体出口21bと第2冷却水ポンプ75の入口とを接続する。
【0042】
次に、水素エンジンシステム200の第1熱媒体と、第2熱媒体と、液体水素と、水素ガスの流れについて説明する。
【0043】
低温の第1熱媒体は、第1冷却水ポンプ65によって加圧され、第1熱媒体供給管61を通って水素エンジン10の内部冷却流路14に流入する。第1熱媒体は、水素エンジン10の燃焼熱によって加熱され、高温の第1熱媒体となって第1熱媒体出口管62に流出する。そして、高温の第1熱媒体は、第1熱媒体出口管62から熱交換器50の第1熱媒体流路51に流入する。熱交換器50で低温の第2熱媒体と熱交換して低温となった第1熱媒体は、第1熱媒体流路51から流出して第1冷却水ポンプ65に流入し、第1冷却水ポンプ65で加圧されて第1冷却流路60を循環する。
【0044】
低温の第2熱媒体は第2冷却水ポンプ75によって加圧され、第2熱媒体供給管71を通って熱交換器50の第2熱媒体流路52に流入する。熱交換器50で高温の第1熱媒体と熱交換して高温となった第2熱媒体は、第2熱媒体流路52から第2熱媒体出口管72に流出する。そして、高温の第2熱媒体は、第2熱媒体出口管72を通って気化器20の熱媒体入口21aから気化器20のケーシング21の内部に流入する。
【0045】
一方、液体水素タンク31に貯留された極低温の液体水素は、液体水素ポンプ32で加圧されて液体水素供給管33から気化器20のコイル入口22aに流入する。
【0046】
ケーシング21の内部に流入した高温の第2熱媒体はコイル22の外面を流れる。また、コイル22の内部には極低温の液体水素が流れる。コイル22を通して高温の第2熱媒体と液体水素とが熱交換し、液体水素は気化して水素ガスとなって気化器20のコイル出口22bから水素ガス出口管34に流出する。また、高温の第2熱媒体はコイル22の極低温の液体水素と熱交換し、低温の第2熱媒体となって熱媒体出口21bから第2熱媒体戻り管73に流出する。
【0047】
第2熱媒体戻り管73に流出した低温の第2熱媒体は、第2冷却水ポンプ75に流入し、第2冷却水ポンプ75で加圧されて第2冷却流路70を循環する。
【0048】
一方、水素ガス出口管34に流出した高圧の水素ガスはチャンバ35、減圧弁37を通って水素ガスノズル12から水素エンジン10の燃焼室(図示せず)に供給される。水素エンジン10の燃焼室で燃焼した後の排気ガスは、排気ポート13から外気に排出される。
【0049】
水素エンジンシステム200では、第1熱媒体、第2熱媒体として水、或いはLLC(ロングライフクーラント)を用いてもよい。
【0050】
以上説明した水素エンジンシステム200は、熱交換器50において液体の第1冷媒によって液体の第2冷媒を加熱するので、熱交換器50をコンパクトにすることができる。また、コイル22を通して液体の第2熱媒体と液体水素或いは水素ガスとを熱交換させるので、第2熱媒体と液体水素或いは水素ガスとの間の熱交換効率が高くなり、気化器20をコンパクトにできる。これにより、水素エンジンシステム200をコンパクトにできる。
【0051】
次に図3を参照しながら実施形態の水素エンジンシステム300について説明する。図3に示す様に、水素エンジンシステム300は、第1冷却流路60に第1熱媒体を冷却するラジェータ56を備えるものである。ラジェータ56以外の構成は、先に説明した水素エンジンシステム200と同一である。
【0052】
ラジェータ56は、水素エンジン10の内部冷却流路14を通過して高温となった第1熱媒体を冷却するものである。ラジェータ56は、内部に第1熱媒体が通流する内部流路57を備え、外部に外気が通流する空冷式の冷却器である。
【0053】
水素エンジンシステム300は、水素エンジン10の温度が上昇し、大きな冷却能力が必要な場合に水素エンジン10を十分に冷却することができ、水素エンジン10の出力を高く保つことができる。
【0054】
以上説明した水素エンジンシステム300では、熱交換器50は第1熱媒体流路51と第2熱媒体流路52とを備え、ラジェータ56と熱交換器50とは別々の機器として説明したがこれに限らない。例えば、熱交換器50が第2熱媒体流路52のみを備え、ラジェータ56を通過して温度の上昇した空気によって第2熱媒体を加温するようにしてもよい。また、第2熱媒体流路52の外面をラジェータ56の外面に接触させてラジェータ56の外面からの熱伝導により第2熱媒体を加熱するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 水素エンジン、11 吸気ポート、12 水素ガスノズル、13 排気ポート、14 内部冷却流路、15 冷却水ポンプ、16 冷却流路、17 熱媒体供給管、18 熱媒体出口管、19 熱媒体戻り管、20 気化器、21 ケーシング、21a 熱媒体入口、21b 熱媒体出口、22 コイル、22a コイル入口、22b コイル出口、30 水素流路、31 液体水素タンク、32 液体水素ポンプ、33 液体水素供給管、34 水素ガス出口管、35 チャンバ、36 水素ガス供給管、37 減圧弁、50 熱交換器、51 第1熱媒体流路、52 第2熱媒体流路、56 ラジェータ、57 内部流路、60 第1冷却流路、61 第1熱媒体供給管、62 第1熱媒体出口管、63 第1熱媒体戻り管、65 第1冷却水ポンプ、70 第2冷却流路、71 第2熱媒体供給管、72 第2熱媒体出口管、73 第2熱媒体戻り管、75 第2冷却水ポンプ、100、200、300 水素エンジンシステム。
図1
図2
図3