(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076215
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】抗体が結合した金コロイドを製造する方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/18 20060101AFI20240529BHJP
C07K 1/13 20060101ALI20240529BHJP
G01N 33/532 20060101ALI20240529BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240529BHJP
【FI】
C07K16/18
C07K1/13
G01N33/532 A
C12N15/13 ZNA
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187679
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川畑 隆司
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA63
4H045DA76
4H045EA50
4H045FA80
(57)【要約】
【課題】モルモットに由来する抗体の効率的な金コロイドへの結合方法を提供すること。
【解決手段】 本発明は、配列番号1に示されるアミノ酸配列又はこれに対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むFc領域を有する抗体と、金コロイドとの結合体を製造する方法であって、(1)金コロイド溶液のpHをアルカリ性に調整する工程、及び(2)前記工程(1)で得られた金コロイド溶液と、前記抗体とを混合し、該抗体と金コロイドとを結合させる工程、を包含する、抗体結合金コロイドの製造方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1に示されるアミノ酸配列又はこれに対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むFc領域を有する抗体と、金コロイドとの結合体を製造する方法であって、
(1)金コロイド溶液のpHをアルカリ性に調整する工程、及び
(2)前記工程(1)で得られた金コロイド溶液と、前記抗体とを混合し、該抗体と金コロイドとを結合させる工程、
を包含する、製造方法。
【請求項2】
モルモット抗体のFc領域を有する抗体と、金コロイドとの結合体を製造する方法であって、
(1)金コロイド溶液のpHをアルカリ性に調整する工程、及び
(2)前記工程(1)で得られた金コロイド溶液と、前記抗体とを混合し、該抗体と金コロイドとを結合させる工程、
を包含する、製造方法。
【請求項3】
工程(1)において、金コロイド溶液のpHを9.0以上、11.5以下に調整する、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
工程(1)において、金コロイド溶液のpHを9.5以上、11.5以下に調整する、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
工程(1)において、金コロイド溶液のpHを10.0以上、11.5以下に調整する、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
工程(1)において、金コロイド溶液のpHを10.0より高く、11.5以下に調整する、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記抗体の等電点(pI)が6.85以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項8】
前記抗体の等電点(pI)が7.35以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項9】
前記抗体の等電点(pI)が8.45以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項10】
前記抗体の等電点(pI)が9.30以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項11】
工程(2)において、混合後の溶液を2分間以上静置することにより、抗体と金コロイドとを結合させる、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の方法により製造された抗体と金コロイドとの結合体を用いて、免疫学的測定方法に用いる試薬を製造する方法。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の方法により製造された抗体と金コロイドとの結合体を用いて、免疫学的測定方法に用いるキットを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の抗体を結合した金コロイドを製造する方法、及びそれにより得られた抗体結合金コロイドを用いて免疫学的測定法に用いる試薬又はキットを製造する方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
感染症の診断や、疾患マーカーを利用した当該疾患の早期診断などの様々な医療現場で、抗原抗体反応を利用した簡易かつ迅速な免疫測定法として、ニトロセルロースメンブレン等の試験片を用いたイムノクロマト検出法が広く普及している。
【0003】
イムノクロマト検出法では、試料中の細菌やウイルス等の抗原を視覚的に検出するため、抗体が結合した金コロイド結合体が広く利用されている。従来、この金コロイドと抗体との結合体の調製はpH6~9程度の中性から弱アルカリ状態で行われている(非特許文献1)。更に、特許文献1では、免疫測定法に使用する金コロイドと抗体を製造する際に、金コロイド溶液のpHを酸性(pH4.2~6.7)に調整して、金コロイドと抗体の結合体を効率よく作製する方法が記載されている。また、非特許文献2では、抗体とコロイド金の結合に関してpH8.2~9.0で評価したことに加え、抗体とは異なるアビジンとコロイド金の結合に関して、アビジンの等電点が10なのでコロイド金液をpH10.6にしてアビジンと混合することを試みたところ、コンジュゲートが非常に不安定で1時間以内に凝集してしまうという問題があったことを記載している。
【0004】
人体への投与を意図しない免疫学的測定法に用いる抗体(例えば、診断薬用抗体又は研究試薬用抗体)においては、マウス抗体又はウサギ抗体が多く用いられている。また近年、モルモットを免疫動物として診断薬用抗体又は研究試薬用抗体を取得した報告がなされており、モルモット抗体は高い特異性を示す抗体として期待されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4377602号公報
【特許文献2】国際公開第2022/092181号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】免疫測定法 基礎から先端まで 生物化学的測定研究会 編、講談社発行、2014年12月20日、p.115―118
【非特許文献2】イムノゴールド法、横田貞記、藤森修 編、ソフトサイエンス社発行、1992年4月20日、p.36-43
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、モルモットを免疫動物として取得した抗体を金コロイドに結合させるようにして得た結合体を使用して免疫学的測定法により前記抗体の抗原の検出を行うと、十分な感度が得られない場合があるという知見を得た。そこで、この原因究明を行ったところ、モルモット抗体は、金コロイドとの結合特性がマウス抗体等とは異なり、従来と同じ方法では金コロイドとの安定な結合体が効率よく作製されないという、これまで知られていない課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、モルモット抗体を用いて抗体結合金コロイドを作製する際の条件について種々検討を行ったところ、モルモット抗体と反応させる前の金コロイド溶液の液性を従来とは異なるpH範囲、具体的にはpH9.0以上の高いpH条件にすることにより、安定した抗体結合金コロイドを効率よく作製できることを見出し、斯かる知見を基に更に鋭意研究を重ねて本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、代表的には、以下の態様を包含する。
[項1] 配列番号1に示されるアミノ酸配列又はこれに対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むFc領域を有する抗体と、金コロイドとの結合体を製造する方法であって、
(1)金コロイド溶液のpHをアルカリ性に調整する工程、及び
(2)前記工程(1)で得られた金コロイド溶液と、前記抗体とを混合し、該抗体と金コロイドとを結合させる工程、
を包含する、製造方法。
[項2] モルモット抗体のFc領域を有する抗体と、金コロイドとの結合体を製造する方法であって、
(1)金コロイド溶液のpHをアルカリ性に調整する工程、及び
(2)前記工程(1)で得られた金コロイド溶液と、前記抗体とを混合し、該抗体と金コロイドとを結合させる工程、
を包含する、製造方法。
[項3] 工程(1)において、金コロイド溶液のpHを9.0以上、11.5以下に調整する、項1又は2に記載の製造方法。
[項4] 工程(1)において、金コロイド溶液のpHを9.5以上、11.5以下に調整する、項1又は2に記載の製造方法。
[項5] 工程(1)において、金コロイド溶液のpHを10.0以上、11.5以下に調整する、項1又は2に記載の製造方法。
[項6] 工程(1)において、金コロイド溶液のpHを10.0より高く、11.5以下に調整する、項1又は2に記載の製造方法。
[項7] 前記抗体の等電点(pI)が6.85以上である、項1又は2に記載の製造方法。
[項8] 前記抗体の等電点(pI)が7.35以上である、項1又は2に記載の製造方法。
[項9] 前記抗体の等電点(pI)が8.45以上である、項1又は2に記載の製造方法。
[項10] 前記抗体の等電点(pI)が9.30以上である、項1又は2に記載の製造方法。
[項11] 工程(2)において、混合後の溶液を2分間以上静置することにより、抗体と金コロイドとを結合させる、項1又は2に記載の製造方法。
[項12] 項1又は2に記載の方法により製造された抗体と金コロイドとの結合体を用いて、免疫学的測定方法に用いる試薬を製造する方法。
[項13] 項1又は2に記載の方法により製造された抗体と金コロイドとの結合体を用いて、免疫学的測定方法に用いるキットを製造する方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、例えば、モルモット抗体及びそれと同等の特性を有する抗体を用いて、安定した抗体結合金コロイドを簡便且つ効率的に作製することができる。このようにして得られた抗体と金コロイドの結合体は、免疫学的測定法において高感度で安定した検出結果を出すことができるので、診断薬、研究試薬などの様々な用途に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、等電点マーカー(レーンM)、モルモットモノクローナル抗体A、B、C、及びD(それぞれ、レーン1、2、3及び4)の等電点電気泳動図である。
【
図2】pH6.0~12.0の範囲での抗体の金コロイド結合評価結果
【
図3】pH9.0~10.0の範囲での抗体の金コロイド結合評価結果
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、抗体と金コロイドとの結合体(本明細書では、これを抗体を結合した金コロイド、抗体結合金コロイド、抗体-金コロイド結合体、又は単に結合体などともいう)を製造する方法に関する。一実施形態において、本発明の方法は、従来法では金コロイドへの安定的な結合が困難であった所定の抗体を、効率よく金コロイドに反応させて抗体結合金コロイドを製造する方法である。モルモットを免疫動物として得られた抗体は、従来法では金コロイドに安定的に結合し難く、効率的に、抗体結合金コロイドを作製し難いことが、本発明者の検討により明らかとなっている。本発明は、このように従来法では金コロイドへの安定的な結合が難しいモルモット抗体又はそれと同等の特性を有する抗体を用いる場合に好適に実施され得る。モルモット抗体は、Fc領域に特有の配列を有し、その配列に起因して、他のマウス抗体等よりも高い等電点を有するという性質を示す(後述の実施例2の結果)。本発明は、このように高い等電点を有する抗体(特に金コロイドと結合するFc領域の配列に由来して高い等電点を示す抗体)を金コロイドに結合させることが望まれる場面において特に有用であり得る。
【0013】
本発明が対象とする抗体は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、一実施形態において、配列番号1に示されるアミノ酸配列又はこれに対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む(又はそれからなる)Fc領域を有する抗体であることが好ましい。前記Fc領域は、配列番号1に示されるアミノ酸配列又はこれに対して85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む(又はそれからなる)ことが好ましい。
【0014】
また一実施形態において、本発明が対象とする抗体は、モルモット抗体のFc領域を有する抗体であることが好ましい。前記抗体はモルモット抗体の定常領域を有することが好ましい。また、前記抗体はキメラ抗体であっても完全モルモット抗体であってもよい。
【0015】
本明細書において抗体は、最も広い意味で使用され、特に制限されないが、前記のような特定のFc領域を有する抗体であることが好ましい。前記抗体は、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれであってもよい。また、前記抗体は、全長抗体であってもよく、scFv-Fc、dAb-Fcなどの抗体断片であってもよい。これらの中でも前記抗体はモノクローナル全長抗体であることが好ましい。
【0016】
モノクローナル抗体とは、単一クローンの抗体産生細胞が分泌する抗体であり、モノクローナル抗体を構成するアミノ酸配列(1次構造)が均一であるものをいう。
【0017】
モノクローナル抗体はいかなる方法で製造されたものでもよい。モノクローナル抗体は、例えば、抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した形質転換体により生産される遺伝子組換え抗体であってもよい。
【0018】
モノクローナル抗体は、例えば、哺乳類の脾臓細胞とミエローマ細胞を細胞融合させるハイブリドーマ法、抗体ファージライブラリーから標的分子に対して親和性を有する抗体を選択するファージディスプレイ法等でも作製することができ、免疫動物(好ましくは、モルモット)から抗原特異的形質細胞を選別し、抗体遺伝子(全長又は可変領域等の一部)を単離して、抗原に親和性の高い組換え抗体を取得する方法によっても作製できる。
【0019】
抗原特異的形質細胞を選別する方法としては公知の方法、例えば、米国特許出願公開第2014/031528号(参照することによりその全体が明細書に組み込まれる)に記載の方法、及び米国特許出願公開第2018/292407号(参照することによりその全体が明細書に組み込まれる)に記載の方法が挙げられる。
【0020】
抗原特異的形質細胞から抗体遺伝子を取得する方法としては、例えば、ハイブリドーマ法、抗体遺伝子のクローニング等が挙げられるが、これらに限定されない。後者の方法としては、例えば、抗原特異的形質細胞からmRNAを抽出して逆転写を行い、cDNAを合成することで抗体遺伝子を取得する方法等が挙げられ、例えば、米国特許出願公開第2011/020879号(参照することによりその全体が明細書に組み込まれる)に記載の公知の方法であってもよい。当該方法は、磁気ビーズを用いて抗原特異的形質細胞からmRNAを抽出し、RT-PCRにより抗体遺伝子を取得する方法であり、任意に洗浄工程を含む、mRNAからのcDNA合成、DNAの増幅等の複数の逐次反応を並列的に実施できる反応治具を利用する方法である。
【0021】
抗体遺伝子から組換え抗体を取得する方法は、例えば、抗体遺伝子を含む抗体発現ベクターを作製し、この抗体発現ベクターから抗体を発現させる方法であってもよい。当該方法としては、例えば、米国特許出願公開第2013/023009号(参照することによりその全体が明細書に組み込まれる)に記載の公知の方法、及び米国特許出願公開第2011/117609号(参照することによりその全体が明細書に組み込まれる)に記載の公知の方法等が挙げられる。前者の方法では、標的遺伝子配列を含むPCR増幅産物に一つ以上の二本鎖DNA断片を連結させることで、前記PCR増幅産物を精製することなく、目的とする標的遺伝子に由来する配列を含む連結DNA断片を特異的に作製できる。後者の方法では、線状化されたベクターの両端の相同組換え領域に、増幅用プライマーと標的遺伝子のみに存在する増幅用プライマー配列の内側の配列を保持させることで、標的DNA断片を選択的に相同組換えしてベクターを構築できる。
【0022】
本発明の抗体組成物中の抗体は、上記の方法によって取得した抗体又はその断片のアミノ酸配列情報に基づき、遺伝子工学的手法により得ることもできる。例えば、軽鎖CDR1~3が上記の方法によって取得した抗体の軽鎖CDR1~3のアミノ酸配列に対してそれぞれ80%以上の同一性を有し、且つ、重鎖CDR1~3が上記の方法によって取得した抗体の重鎖CDR1~3のアミノ酸配列に対してそれぞれ80%以上の同一性を有するように設計した抗体遺伝子を組み込んだ発現ベクターを、当該分野で公知の任意の宿主細胞で発現させること等によっても取得することができる。
【0023】
抗体を取得する免疫動物としては、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒト、ヒツジ、ウシ、イヌ、ロバ、ニワトリ、ネコ、ハムスター、サル、ブタ、ウマ、モルモットなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なかでも、製造される抗体の等電点が高い傾向を有し、従来法では金コロイドとの結合体を作製し難い傾向があることが判明したモルモット抗体(モルモットを免疫動物として取得した抗体)を使用する場合に、本発明は好適に実施され得る。またファージディスプレイなどの遺伝子工学的手法によって取得される抗体に対しても適用されうる。
【0024】
さらに、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体に限られるものではなく、人為的に改変されたキメラ抗体であってもよい。抗体がモノクローナル抗体である場合は、重鎖定常領域又は軽鎖定常領域は天然に存在する重鎖定常領域又は軽鎖定常領域において1個以上のアミノ酸が欠失、付加、置換、及び/又は挿入されたモノクローナル抗体も、本発明の抗体に包含される。1個以上のアミノ酸が欠失、付加、置換、及び/又は挿入されたモノクローナル抗体は、例えば、部位特異的変異導入法[Molecular Cloning 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、Current protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons(1987-1997)、Nucleic Acids Research,10,6487(1982)、Proc Natl. Acad. Sci.,USA, 79,6409(1982)、Gene,34,315(1985)、Nucleic Acids Research,13,4431(1985)、Proc.Natl.Acad.Sci USA,82,488(1985)]などの周知の技術により作製できる。欠失、付加、置換、及び/又は挿入されるアミノ酸の数は特に限定されないが、1~数十個、好ましくは1~20個、より好ましくは1~10個、さらに好ましくは1~5個(例えば、1個、2個、3個、4個、又は5個)である。
【0025】
抗体は、放射性同位元素、低分子の薬剤、高分子の薬剤、タンパク質(例えば、抗体)などを、化学的又は遺伝子工学的に直接又はリンカーを介して結合させたもの(以下、抗体の誘導体)も、本発明に使用することができる。
【0026】
本発明に用いられる抗体は等電点が高いものであってもよく、例えば、抗体の等電点(pI)は6.85以上であることが好ましく、より好ましくは7.35以上であり、更に好ましくは8.45以上であり、更により好ましくは9.30以上である。前記抗体の等電点は、通常、11以下である。
【0027】
前記等電点は、当業者公知の等電点電気泳動により測定することが可能であり、測定方法としては、等電点電気泳動法(IEF)又はイオン交換クロマトグラフィー法(IEX)などが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
等電点電気泳動法の条件として、抗体5μg及び等電点マーカーを等電点電気泳動ゲル及び等電点電気泳動用Bufferを用いて等電点電気泳動した後、加温した0.25%クマシーブリリアントブルー溶液にて浸透しながら30分間染色し、浸透しながら水での洗浄10分間を3回繰り返した後に、等電点マーカーと比較分析する方法が例示される。この際、抗体では、複数のバンドが得られるため、本条件で検出されるもっとも低pIのバンドを基準として該抗体のpIを決定することができる。
【0029】
本発明では、前記のような抗体を、アルカリ性に調整した金コロイド溶液と混合し、該抗体と金コロイドとを結合させる。金コロイド溶液と混合する抗体は、任意の形態であってよく、例えば、抗体を含む溶液の形態であってもよいし、固体又は半固体の形態(例えば、凍結乾燥抗体等)であってもよい。より良好に金コロイド溶液と混合させ易く、結合反応が進みやすいという観点から、抗体溶液の形態にある抗体を金コロイド溶液と混合して、抗体と金コロイドとを結合させることが好ましい。抗体溶液は、任意の水又は緩衝剤(バッファー)等の溶媒に抗体を懸濁(分散)又は溶解させた溶液であり、好ましくは塩を含まない水又は緩衝剤等の溶媒に抗体を懸濁又は溶解させた溶液であり、より好ましくは塩を含まないグリシンバッファーに抗体を懸濁又は溶解させた溶液であり、更に好ましくは塩を含まない5~100mMグリシンバッファー(pH9.0)(例えば、塩を含まない30~70mMグリシンバッファー(pH9.0)等)に抗体を懸濁又は溶解させた溶液であり得る。緩衝剤としては、当該分野で公知の任意の緩衝剤を使用することができ、例えば、後述の金コロイド溶液において詳述するものと同様の緩衝剤を使用することができる。抗体溶液における緩衝剤の濃度は、緩衝能を有する範囲であれば特に限定されないが、例えば、1~200mM、好ましくは2~100mM、より好ましくは5~50mM(mmol/L)である。
【0030】
抗体溶液のpHは、本発明の効果を奏する限り限定されないが、アルカリ性であることが好ましく、例えば、pH8.0以上、好ましくはpH8.5以上、より好ましくはpH9.0以上であることが好ましい。例えば、抗体溶液のpHは、pH9.5以上、pH9.6以上、pH9.7以上、pH9.8以上、pH9.9以上、pH10.0以上、pH10.5以上などであってもよい。抗体溶液のpHの上限値は特に限定されないが、例えば、pH12以下、好ましくはpH11.5以下、より好ましくはpH11.0以下である。金コロイドと混合する抗体が、このようなアルカリ性のpHを示す抗体溶液であることによって、より良好に抗体と金コロイドとの結合反応を促進させることができる。一実施形態では、抗体溶液のpHは、工程(1)でpH調整後の金コロイド溶液と同じpHに調整する。このように混合する金コロイド溶液と抗体溶液のpHを揃えておくと、混合時のpH変化を抑制でき、安定して結合反応を行うことができるので好ましい。抗体溶液のpH調整は、例えば、上記のような緩衝剤で行ってもよいし、pH調整剤を添加すること等によっても行うことができる。pH調整剤は、後述の金コロイド溶液において詳述するものと同様のpH調整剤を使用することができる。
【0031】
抗体として抗体溶液を用いる場合、抗体溶液中における抗体濃度は特に限定されないが、例えば、10~100μg/ml、好ましくは30~80μg/mlであり得る。
【0032】
本発明において、抗体と反応させる金コロイド溶液は、抗体との反応前にアルカリ性に調整されていることを特徴とする。従来、抗体と金コロイドとの結合体を調製する場合は、金コロイド溶液を酸性又はpH6~9程度の中性~弱アルカリ性の状態にして抗体を反応させる方法が一般的であった。一方、所定の抗体を使用する本発明では、アルカリ性に調整された金コロイド溶液を使用する。金コロイド溶液のpHは、pH9.0以上、pH9.5以上、pH9.6以上、pH9.7以上、pH9.8以上、pH9.9以上、pH10.0以上に調整されることが好ましく、例えば、pH10.0より高いpH(例えば、pH10.5以上、又はpH10.5より高いpH)に調整されることも好ましい例として挙げることができる。このような高いpHに調整された金コロイド溶液を用いることで、本発明で用いる所定の抗体と金コロイドとの結合が促進され、効率的に安定な抗体-金コロイド結合体を製造することが可能となる。
【0033】
金コロイド溶液は、本発明の効果を奏する限り限定されないが、例えば、1マイクロメートル以下の金コロイド粒子(金微粒子)(好ましくは、粒径5~150nmの金コロイド粒子、より好ましくは粒径5~60nmの金コロイド粒子)が分散している溶液であり、金コロイド粒子が任意の緩衝剤に分散している溶液であることが好ましい。好適には、緩衝剤は、ホウ酸、リン酸、コハク酸、グリシン、ヒスチジン、クエン酸、マレイン酸、グリシン、ヒスチジン、トリス、2,4,6-トリクロロフェノール、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)、酢酸、3,3-ジメチルグルタル酸、カコジル酸、イミダゾール、コリジン、ジメチルアミノエチルアミン、PIPES(ピペラジン-N,N‘-ビス(2-エタンスルホン酸))、ビストリスプロパン、エチレンジアミン、ACES(N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸)、アルセニック酸、クロラミンクロライド、p-ニトロフェノール、BES(N,N-ビス(2-ヒドロキエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)、及びそれらの組合せからなる群から選択される。また、緩衝剤は、適宜塩の形で水溶液に添加することもできるが、塩の形態でない緩衝剤であることが金コロイドの凝集を生じさせ難いという観点から好ましい。好ましい実施形態では、緩衝液はホウ酸バッファー、トリスバッファー、リン酸緩衝生理食塩水(PBSバッファー)又はクエン酸バッファーであり、なかでも塩を含まない、ホウ酸バッファー、トリスバッファー、リン酸緩衝生理食塩水(PBSバッファー)又はクエン酸バッファーである。
【0034】
金コロイド溶液における緩衝剤の濃度は、緩衝能を有する範囲であれば特に限定されない。緩衝剤の濃度は、1~200mM、好ましくは2~100mM、より好ましくは5~50mM(mmol/L)である。例えば、緩衝剤の濃度は、10~20mM程度であってもよい。
【0035】
本発明の方法では、工程(1)として、金コロイド溶液のpHを抗体と反応させる前にアルカリ性に調整する。本明細書において、金コロイド溶液のpHをアルカリ性に調整するとは、上記のようにして調製された金コロイド溶液のpHを測定してアルカリ性であることが確認できれば、それをそのまま用いて抗体と反応させてもよいし、更にpH調整剤を添加して金コロイド溶液のpHをアルカリ性にしてもよく、いずれの態様も包含する概念である。pH調整剤としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、トリス-グリシン、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、乳酸、クエン酸などのpH調整剤が挙げられるが、特に限定されない。好ましい実施形態では、金コロイド溶液のpHをアルカリ性に調整する工程は、金コロイド溶液(例えば、水等の溶媒に分散された金コロイド溶液)を所定のアルカリ性のpHに調整された緩衝剤及び/又はpH調整剤等と混合する。金コロイド溶液は、合成して調製したものでも市販品を用いてもよい。簡便には、市販の金コロイド溶液に、所定のpHに調整した緩衝剤を混合してアルカリ性に調整することで、効率よく本発明の工程(1)を実施することができる。
【0036】
前記工程(1)によりアルカリ性に調整された金コロイド溶液中における金コロイド粒子濃度は特に限定されないが、例えば、0.001~0.01w/v%、好ましくは0.005~0.01w/v%であり得る。
【0037】
本発明の方法では、工程(2)として、アルカリ性に調整した前記金コロイド溶液と、モルモット抗体に由来する抗体又はそれと同等の特性を有する抗体とを混合して、抗体と金コロイドとを結合させる。工程(1)で得られた金コロイド溶液と抗体との混合比は、金コロイド溶液中に含まれる金コロイド粒子濃度等に応じて適宜設定され得るが、例えば、工程(1)で得られた金コロイド溶液と抗体溶液とを容量比で1:0.001~1となるような割合、好ましくは1:0.01~0.7となるような割合、より好ましくは1:0.05~0.5となるような割合で混合するのがよい。
【0038】
工程(2)では、上記のようにして得られた混合液を所定時間反応させることにより、金コロイドと抗体とを結合させる。この結合反応(感作ともいう)は、例えば、前記混合液を1分間以上、好ましくは2分間以上静置することにより実施することができる。結合反応を行う間、マグネチックスターラー等で撹拌しながら反応させてもよい。反応温度は特に限定されないが、室温下で反応させることが好ましい。
【0039】
工程(2)の混合液のpHは特に限定されないが、アルカリ性であることが好ましく、例えば、pH9.0以上、pH9.5以上、pH9.6以上、pH9.7以上、pH9.8以上、pH9.9以上、pH10.0以上であることが好ましく、更にはpH10.0より高いpH(例えば、pH10.5以上、又はpH10.5より高いpH)であってもよい。この混合液のpHの上限値は特に限定されないが、例えば、pH12.0以下、好ましくはpH11.5以下、より好ましくはpH11.0以下であり得る。好ましい実施形態では、工程(1)で調整した金コロイド溶液のpHと実質的に同じpHの抗体溶液を混合し、混合後の溶液のpHが上記のようなアルカリ性のpHを満たすことが好ましい。モルモットに由来する抗体又はそれと同等の特性を有する抗体を金コロイドに結合させる際のpHをこのようなアルカリ条件とすることで、抗体と金コロイドとの結合が促進され、より一層効率的に抗体-金コロイド結合体を製造できる。
【0040】
特定の実施形態では、上記工程(2)を行った後、前記混合液に無機塩類を添加して所定時間反応させることが好ましい。例えば、混合液に無機塩類を添加して1分間以上、好ましくは3分間以上、より好ましくは5分間以上静置して反応させる。このように無機塩類を一定時間反応させることで、金コロイドの凝集の有無を確認でき、抗体と金コロイドとの安定な結合体が製造されたか否かを効率的に確認できる。無機塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは無機塩類として塩化ナトリウムが用いられる。
【0041】
上記のようにして得られた抗体と金コロイドとの結合体は、診断薬又は研究試薬等の任意の免疫学的測定用途に好適に用いられる。例えば、イムノクロマト法、免疫比濁法、ラテックス凝集法等の免疫学的測定方法に用いる試薬又はキットの製造において好適に使用され得、なかでもイムノクロマト法に用いる試薬又はキットの製造において好適であり得る。本発明の方法により得られた抗体と金コロイドとの結合体は非常に安定であり、これらの免疫学的測定方法において検出抗体として用いられた場合に該抗体の抗原を高感度に検出することを可能にする。
【0042】
本発明は、上述したようにして製造した抗体と金コロイドとの結合体を含む、診断用試薬又は研究試薬等の免疫学的測定用試薬、或いは該結合体を含む診断薬用キット又は研究試薬用キット等の免疫学的測定用キットをも包含する。当該キットは、容器、デバイス等を備えていてもよく、当該容器に抗体と金コロイドの結合体が含まれていてもよい。また、当該キットは、当該キットの使用に必要な器具や説明書を更に備えていてもよい。
【実施例0043】
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。もっとも、本発明は、下記実施例により、特に限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
抗体の調製法
抗体発現ベクターを導入したExpiCHO-S(ThermoFisher Scientific社、A29127)細胞の培養上清から分泌された抗体を回収した。AKTA pure 25(Cytiva社)を用いて、培養上清をHiTrap ProteinA HPカラム(Cytiva社)に通して抗体を吸着させた。洗浄Buffer(20mM リン酸緩衝液、pH7.4)を用いて当該カラムを洗浄した後、溶出Buffer(0.1M クエン酸-NaOH、pH3.5)で溶出し、精製抗体とした。取得した精製抗体はPD-10カラム(Cytiva社、17085101)を用いて、50mMグリシン、150mM NaCl、pH9.0のBufferに置換して評価した。
【0045】
(実施例2)
抗体の取得
(1)抗体水溶液の作製
米国特許出願公開第2018/292407号に記載された方法に従ってモルモットを免疫して得られたモルモットモノクローナル抗体A、B、C、Dを実施例1に記載の方法で精製し、Buffer(50mMグリシン、150mM NaCl、pH9.0)に置換した。
【0046】
(2)等電点電気泳動
上記抗体水溶液を、2×Sample Buffer(pH3-10、Invitrogen社)と等量混合し、下記条件にて電気泳動した。
ゲル:Novex IEF gel pH3-10(Invitrogen社)
マーカー:Isoelectic Focusing Calibration Kit Broad Range(pH3-10、Cytiva社)
泳動:100V 1hr→200V 1hr→500V 0.5hr
洗浄:蒸留水で洗浄×3回
固定:12%TCA溶液 30min
染色:SimplyBlue SafeStainで染色10min
脱色:蒸留水で脱色10min×3回
(3)結果
モルモットモノクローナル抗体A、B、C及びDの等電点電気泳動の結果を
図1に示す(それぞれ、レーン1、2、3及び4)。モルモットモノクローナル抗体A、B及びDでは等電点電気泳動のバンドが≧pI 9.30の位置に、モルモットモノクローナル抗体Cでは等電点電気泳動のバンドがpI 7.35~8.45の位置に出現した。この結果から、取得したモルモットモノクローナル抗体A、B、C及びDの等電点が従来のマウス抗体(等電点は通常pI 7.35未満)よりも高いことがわかる。
また、モルモット抗体A、B、C及びDについてアミノ酸配列解析を行った。その結果、これらのモルモット抗体のFc領域配列は同じであることが確認できた。そして、そFc領域の配列は塩基性アミノ酸の割合が高く、このFc領域により高等電点の特徴的な抗体となっていることが推察された(モノクローナル抗体A~DのFc領域のアミノ酸配列を配列番号1に示す)。
【0047】
(実施例3)
金コロイドへの感作pHの評価
(1)方法
金コロイド液(BBI Solutions社、EM.GC40)0.9mLにpH6.0~8.0までは20mMリン酸バッファー、pH8.5以上は20mM ホウ酸バッファーを0.1mLずつ添加し、金コロイド溶液の液性をpH6.0~12.0まで0.5刻みのpHに調整した。その後、50μg/mLとなるように、金コロイド液に添加したバッファーと同じpHのバッファーで希釈したモルモットモノクローナル抗体溶液を0.1mL添加し、軽く攪拌後、2分間以上室温で静置して反応させた。ここで、金コロイド溶液と抗体溶液とは同じpHの溶液を混合したため混合液のpHは、混合前の各溶液のpHと実質同じpHであった。2分間の反応後、10%NaClを0.1mL添加し、軽く攪拌してから5分間以上室温で静置した。こうして得られた抗体結合金コロイド溶液のOD580nmを測定した。これらの結果を
図2に示す。OD580nmの値が相対的に低値であれば、抗体と金コロイドとの間で適切な結合が促進されたと評価することができる。
【0048】
(2)結果
図2から明らかなように、モルモットを免疫動物として得た4種類の抗体はいずれも同様の反応傾向を示し、モルモットモノクローナル抗体を金コロイドへ結合する際のpHは、9.0~11.5の範囲で効率的に抗体が金コロイドへ結合していることが示された。特に、モルモットモノクローナル抗体A、B、Dでは、pH9.0~9.5又はpH11.5よりもpH10.0~11.0においてより効率的に抗体が金コロイドへ結合していた。また、モルモットモノクローナル抗体Cは、pH9.5~11.5の範囲でより効率的に抗体が金コロイドへ結合していた。以上の結果から、特にpH10.0~11.0の範囲の条件下で抗体と金コロイドとを反応させることで、4種全てのモルモット抗体が良好に金コロイドに結合できることが分かった。
【0049】
(実施例4)
金コロイドへの感作pHの詳細な評価
(1)方法
金コロイド液(BBI Solutions社、EM.GC40)0.9mLにpHを調整した20mMホウ酸バッファーを0.1mL添加し、金コロイド溶液の液性をpH9.0、pH9.5、pH9.6、pH9.7、pH9.8、pH9.9、pH10.0に調整した。その後、50μg/mLとなるように、金コロイド液に添加したバッファーと同じpHの20mMホウ酸バッファーで希釈したモルモットモノクローナル抗体を0.1mL添加し、軽く攪拌後、2分間以上室温で静置して反応させた。ここで、金コロイド溶液と抗体溶液とは同じpHの溶液を混合したため混合液のpHは、混合前の各溶液のpHと実質同じpHであった。2分間の反応後、10%NaClを0.1mL添加し、軽く攪拌してから5分間以上室温で静置した。こうして得られた抗体結合金コロイド溶液のOD580nmを測定した。これらの結果を
図3に示す。OD580nmの値が相対的に低値であれば、抗体と金コロイドとの間で適切な結合がなされていると評価することができる。
【0050】
(2)結果
図3で明らかなように、モルモットモノクローナル抗体を金コロイドへ結合する際のpHは、9.5以上、なかでもpH9.6以上、特にpH9.7以上で安定的に抗体が金コロイドへ結合し、効率的に抗体-金コロイド結合体ができていることが示された。
本発明は、従来条件では金コロイドに効率的に感作できなかった抗体でも良好に結合させることができ、抗体-金コロイド結合体の製造において特に有用である。本発明は、高い特異性を有するモルモット抗体を診断薬や研究試薬などに利用する際、金コロイドでの検出系において使いやすくすることができ、産業上も非常に有用である。