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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076216
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20240529BHJP
   B23Q 7/00 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
G01N21/84 C
B23Q7/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187681
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】590006343
【氏名又は名称】株式会社和井田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】広田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】道田 友和
【テーマコード(参考)】
2G051
3C033
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB02
2G051CA04
2G051CB01
2G051DA01
2G051DA06
2G051ED01
2G051ED04
2G051ED21
3C033AA00
(57)【要約】
【課題】パレットによって搬送されるワークについて、ワークを照明できる照明システムを提供する。
【解決手段】照明システム1は、ワーク6を照らすシステムである。照明システム1は、ワーク6が載せられるパレット3と、パレット3を搬送する搬送装置4と、搬送装置4によって所定位置120まで搬送されたパレット3において、ワーク6を照らす光源2とを備える。パレット3は、ワーク6を収納する収納パレット10と、収納パレット10を支持するパレットベース20と、収納パレット10とパレットベース20との間に配置される導光板30とを有する。導光板30は、導光板30の上面36全体から光が出るように光源2から出る光を導く。収納パレット10は、導光板30から出る光を透過する構造を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが載せられるパレットと、前記パレットを搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって所定位置まで搬送された前記パレットにおいて、前記ワークを照らす光源と、を備える、照明システムであって、
前記パレットは、前記ワークを収納する収納パレットと、前記収納パレットを支持するパレットベースと、前記収納パレットと前記パレットベースとの間に配置される導光板とを有し、
前記導光板は、前記導光板の上面全体から光が出るように前記光源から出る光を導き、
前記収納パレットの底部は、前記導光板から出る光を透過する構造を有する、
照明システム。
【請求項2】
前記導光板は、平面視において前記導光板の第1側面が前記パレットベースの第1端縁に沿うように前記パレットベースに配置され、
前記光源は、前記パレットが前記所定位置に配置されるとき前記導光板の前記第1側面が前記光源に対向するように、前記搬送装置の付近に設置される、
請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記収納パレットは、前記パレットベースまたは前記導光板に着脱可能に設けられる、
請求項1に記載の照明システム。
【請求項4】
前記パレットベースには、前記収納パレットおよび前記導光板を保持する保持部が設けられる、
請求項3に記載の照明システム。
【請求項5】
前記保持部は、寸法が異なる複数種の前記収納パレットを保持可能に構成される、
請求項4に記載の照明システム。
【請求項6】
前記導光板は、前記複数種の前記収納パレットのいずれよりも大きい、
請求項5に記載の照明システム。
【請求項7】
前記保持部は、前記収納パレットを保持する収納パレット保持部と、前記導光板を保持する導光板保持部とを有する、
請求項4に記載の照明システム。
【請求項8】
前記導光板保持部は、前記導光板を載せる導光板段部を有する、
請求項7に記載の照明システム。
【請求項9】
前記収納パレットは、複数のポケットを構成するパレット枠を有する、
請求項1に記載の照明システム。
【請求項10】
前記収納パレットの底部は、メッシュ状に構成される、
請求項1~9のいずれか一項に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワークの認識のために使用される照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを認識するシステムが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の技術では、システムは、ワークを透明な搬送板によって搬送する。システムは、ワークを上側から照らす上側の照明装置と、ワークを搬送板の下側から照らす下側の照明装置とを備える。ロボットは、認識手段によるワークの認識結果に基づいてワークを把持し、所定位置まで搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-139145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワークは、1または複数のワークを搬送するためにパレットに載せられて搬送される場合がある。この場合、ワークの下から光を照射しても、パレットによって光が遮られるため、ワークを下から照明できない。そこで、パレットによって搬送されるワークについて、ワークを下から照明できる照明システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する照明システムは、ワークを照らす照明システムであって、前記ワークが載せられるパレットと、前記パレットを搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって所定位置まで搬送された前記パレットにおいて、前記ワークを照らす光源と、を備え、前記パレットは、前記ワークを収納する収納パレットと、前記収納パレットを支持するパレットベースと、前記収納パレットと前記パレットベースとの間に配置される導光板とを有し、前記導光板は、前記導光板の上面全体から光が出るように前記光源から出る光を導き、前記収納パレットの底部は、前記導光板から出る光を透過する構造を有する。この構成によれば、パレットによって搬送されるワークについて、ワークを下から照明できる。
【0006】
(2)上記(1)の照明システムにおいて、前記導光板は、平面視において前記導光板の第1側面が前記パレットベースの第1端縁に沿うように前記パレットベースに配置され、前記光源は、前記パレットが前記所定位置に配置されるとき前記導光板の前記第1側面が前記光源に対向するように、前記搬送装置の付近に設置される。この構成によれば、ワークを認識する位置において、ワークを下から照明できる。
【0007】
(3)上記(1)の照明システムにおいて、前記収納パレットは、前記パレットベースまたは前記導光板に着脱可能に設けられる。この構成によれば、パレットの収納パレットを簡単に変更できる。
【0008】
(4)上記(3)の照明システムにおいて、前記パレットベースには、前記収納パレットおよび前記導光板を保持する保持部が設けられる。この構成によれば、収納パレットおよび導光板は保持部によって保持される。
【0009】
(5)上記(4)の照明システムにおいて、前記保持部は、寸法が異なる複数種の前記収納パレットを保持可能に構成される。この構成によれば、寸法が異なる複数種の収納パレットをパレットベースまたは導光板に固定できる。
【0010】
(6)上記(5)の照明システムにおいて、前記導光板は、前記複数種の前記収納パレットのいずれよりも大きい。この構成によれば、パレットにおいて収納パレットを変更した場合でも、収納パレットの底部の全体にわたって光を照射できる。
【0011】
(7)上記(4)の照明システムにおいて、前記保持部は、前記収納パレットを保持する収納パレット保持部と、前記導光板を保持する導光板保持部とを有する。この構成によれば、収納パレットと導光板とを独立して保持できる。
【0012】
(8)上記(7)の照明システムにおいて、前記導光板保持部は、前記導光板を載せる導光板段部を有する。この構成によれば、導光板を導光板段部に載せることによって、導光板が持ち上げ易くなる。このため、導光板の交換を効率よく行うことができる。
【0013】
(9)上記(1)の照明システムにおいて、前記収納パレットは、複数のポケットを構成するパレット枠を有する。この構成によれば、パレット枠によって、複数のワーク同士が重なり合うことを抑制できる。
【0014】
(10)上記(1)~(9)のいずれか一つの照明システムにおいて、前記収納パレットの底部は、メッシュ状に構成される。この構成によれば、収納パレットの洗浄または掃除において、ワークに付いた切屑や研削液を収納パレットの底部から排出し易い。
【発明の効果】
【0015】
本開示の照明システムによれば、パレットによって搬送されるワークについて、ワークを下から照明できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】照明システムの平面図である。
図2】照明システムの側面図である。
図3】第1実施形態について、パレットおよび光源の斜視図である。
図4図3の4-4線に沿うパレットの断面図である。
図5】第1実施形態について、保持部の斜視図である。
図6図3の6-6線に沿う導光板の断面において、光の拡散を示す図である。
図7】第1実施形態について、ワークが下から照明された状態の平面図である。
図8】第1変形例について、保持部の斜視図である。
図9】第2変形例について、パレットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
図1図7を参照して、照明システム1について説明する。縦方向DAは、図1の平面視においてパレット3の進退方向と定義される。また、横方向DBは、図1の平面視において縦方向DAと直交する方向と定義される。
【0018】
照明システム1は、ワーク6を照らす。一例では、照明システム1は、ワーク6を認識する認識システムを含む搬送系に組み込まれる。照明システム1は、ワーク6の認識が行われる場所にワーク6を搬送し、さらに、当該場所でワーク6を照らす。照明システム1は、ワーク6を照らすことによって、ワーク6を認識させ易くする。
【0019】
図1および図2に示されるように、照明システム1は、ワーク6が載せられるパレット3と、パレット3を搬送する搬送装置4と、ワーク6を照らす光源2とを備える。
図2に示されるように、パレット3は、格納棚5に格納される。格納棚5は、複数のパレット3を格納できる空間を有する。パレット3を格納棚5から搬送装置4へ移す方法として、パレット3を押し出す方法と、パレット3を引き出す方法との2つがある。第1実施形態においては押し出す方法を用いているが、パレット3を押し出すための装置の図示は省略されている。
【0020】
図1および図2に示されるように、搬送装置4は、格納棚5から押し出されたパレット3を搬送する。パレット3は、レール4Aの上に配置された複数のローラー4Bの上を移動する。搬送装置4は、パレット3を光源2の近くである所定位置120まで運ぶ。パレット3の搬送は、ロボットアームまたはアクチュエータによる搬送としてもよい。
【0021】
所定位置120の周囲には、ワーク検査装置7が置かれている。ワーク検査装置7は、ワーク6をワーク検査装置7に搬入するワーク搬入装置8と、ワーク6を撮影するカメラ9とを備える。一例では、搬送装置4およびワーク検査装置7は、制御装置110によって制御される。
【0022】
図1および図2に示されるように、光源2は、搬送装置4によって所定位置120まで搬送されたパレット3において、ワーク6を照らす。具体的には、光源2は、パレット3が所定位置120に配置されるとき導光板30の第1側面37が光源2に対向するように、搬送装置4の付近に設置される。
【0023】
図1および図2に示されるように、光源2は、レール4Aの延びる方向に沿うように延びる。光源2は、搬送装置4から離れて設置される。光源2は、パレット3に向かって光を照射する。所定位置120にパレット3が搬送される状態において、導光板30は、光源2から照射された光を受けて発光する。このとき、光源2は、導光板30から離れている。
【0024】
光源2の例として、蛍光灯、白熱電球、ハロゲンランプ、LED照明、ライトガイド、レーザ光源が挙げられる。本実施形態において、光源2はLED照明40である。LED照明40には、防水防塵処理が施されていてもよい。一例では、LED照明40は、シール材によってLED照明40の制御部または配線が封止される。これにより、水滴または埃をLED照明40の制御部および配線に侵入し難くできる。
【0025】
<パレット>
図3に示されるように、パレット3は、ワーク6を収納する収納パレット10と、収納パレット10を支持するパレットベース20と、導光板30とを有する。
【0026】
収納パレット10は、様々な形態をとり得る。例えば、収納パレット10の大きさまたは縦横の寸法は、ワーク6の大きさまたは形状によって異なる。収納パレット10の大きさおよび形状に合わせて搬送装置4のレール4Aの幅を変更することは手間を要する。搬送装置4によって、各種の収納パレット10を搬送できるように、パレット3のパレットベース20は、各種の収納パレット10を支持する共通部材として構成される。パレットベース20は、格納棚5に格納可能な大きさおよび形状を有する。パレットベース20の幅は、レール4Aの幅に合った長さを有する。パレットベース20には、収納パレット10および導光板30を保持する保持部21が設けられる。収納パレット10は、パレットベース20または導光板30に着脱可能に設けられる。
【0027】
図3および図4に示されるように、導光板30は、収納パレット10とパレットベース20との間に配置される。導光板30は、複数種の収納パレット10のいずれよりも大きい。そして、パレットベース20は、収納パレット10および導光板30よりも大きい。導光板30の第1側面37は、パレットベース20の第1端縁28に沿うようにパレットベース20に配置される。そして、収納パレット10および導光板30は、パレットベース20上からはみ出さないように配置される。
【0028】
一例では、次のようにパレット3は搬送される。パレット3は、パレットベース20の第1端縁28が搬送装置4の所定のラインに沿って搬送されるように搬送装置4上に配置される。この場合、搬送装置4によって搬送される複数のパレット3について、パレット3が所定位置120に配置されるときの光源距離を所定距離に保つことができる。光源距離は、導光板30の第1側面37と光源2との間の距離である。これによって、複数のパレット3の間で、ワーク6を照らす光量のばらつきを抑制できる。光量のばらつきに起因して、パレット3間においてワーク6の認識の精度がばらつく虞があるが、上記のような搬送方法によれば、このような認識の精度のばらつきを抑制できる。
【0029】
<収納パレット>
図3および図4に示されるように、収納パレット10は、パレット枠17を有する。パレット枠17は、複数のポケット16を構成する。パレット枠17は、ポケット16内にワーク6を収納できる大きさに構成される。平面視において、パレット枠17は格子状に構成されるが、格子状に限らずともよい。例えば、パレット枠17は三角形を敷き詰めるような形状に構成されてもよい。また、収納パレット10の底部13は、導光板30から出る光を透過する構造を有する。一例として、収納パレット10の底部13は、メッシュ状に構成される。底部13には、複数の貫通孔15が設けられる。複数の貫通孔15は、底部13に不要物が溜まることを抑制する。不要物には、研削液、切削液、切屑、および、ワーク洗浄水が挙げられる。洗浄によって不要物を底部13から取り除くことにより、ワーク6の形状を認識し易くする。また、貫通孔15は、ワーク6の大きさよりも小さい。
【0030】
収納パレット10の底部13は、透明部材で構成されてもよい。透明部材の一部には、不要物を取り除くための孔が設けられる。透明部材として、ガラス、および、アクリル樹脂が挙げられる。
【0031】
<パレットベース>
パレットベース20は、レール4Aの幅に収まる幅を持つ板によって構成される。パレットベース20は、木材、樹脂または金属によって構成される。本実施形態において、パレットベース20は、樹脂によって構成される。
【0032】
平面視において、パレットベース20の第1端縁28の反対側に位置するパレットベース20の側部には、把持部29が設けられる。把持部29は、パレット3を引っ張り方向に移動させる際に利用される。例えば、パレット3を格納棚5から引き出す場合において、把持部29を引っ張ることにより、パレット3を搬送装置4の上に配置することができる。把持部29を引っ張る方法は、手作業、および、ロボットが挙げられる。
【0033】
<保持部>
パレットベース20には、収納パレット10および導光板30を保持する保持部21が設けられる。保持部21は、収納パレット10を保持する収納パレット保持部22と、導光板30を保持する導光板保持部23とを有する。
【0034】
図3に示されるように、収納パレット保持部22は、収納パレット10と略同じ高さである。収納パレット保持部22は、第1収納パレット保持部22Aと第2収納パレット保持部22Bとを備える。収納パレット保持部22は、第1収納パレット保持部22Aと第2収納パレット保持部22Bとによって、収納パレット10を挟むように保持している。具体的には、第1収納パレット保持部22Aが、収納パレット10の角部10Aの収納パレット外縁12を保持し、そして、第2収納パレット保持部22Bが、角部10Aの対角となる角部10Bの収納パレット外縁12を保持する。
【0035】
導光板保持部23は、導光板30と略同じ高さである。本実施形態において、導光板保持部23は、第1導光板保持部23Aと第2導光板保持部23Bと第3導光板保持部23Cと第4導光板保持部23Dとを備える(図5参照)。第3導光板保持部23Cは、略L字形に形成され、導光板30の角部30Aと係合する凹部123を有する。第3導光板保持部23Cは、第3導光板保持部23Cと導光板30との係合状態において、縦方向DAに延びる第1保持片124と、横方向DBに延びる第2保持片125とを有する。
【0036】
縦方向DAにおいて、第1導光板保持部23Aと、第2導光板保持部23Bおよび第3導光板保持部23Cの第2保持片125とは、導光板30を挟む。具体的には、第1導光板保持部23Aが、導光板30の導光板外縁31の一部と接する。そして、第2導光板保持部23Bおよび第3導光板保持部23Cの第2保持片125は、導光板30の導光板外縁31のうち、第1導光板保持部23Aの反対側に位置する部分と接する。また、横方向DBにおいて、第4導光板保持部23Dおよび第3導光板保持部23Cの第1保持片124は、横方向DBへの導光板30の位置ずれを規制するように配置される。このとき、第1保持片124は、導光板30の角部30Aに係合する。このようにして、導光板保持部23は、導光板30を縦方向DAに挟み、かつ、横方向DBへの導光板30の位置ずれを規制することによって、導光板30を保持する。このため、導光板30の保持が安定する。
【0037】
保持部21は、固定部材24によってパレットベース20に固定される。固定部材24の一例は、ボルト24Aである。収納パレット保持部22および導光板保持部23には、ボルト24Aを挿通させるボルト孔24Bが設けられる。
【0038】
収納パレット保持部22の上から挿し込まれるボルト24Aは、収納パレット保持部22と導光板保持部23とに設けられるボルト孔24Bを挿通し、パレットベース20のねじ孔に挿入される。導光板保持部23の上から挿し込まれるボルト24Aは、導光板保持部23に設けられるボルト孔24Bを挿通し、パレットベース20のねじ孔に挿入される。ボルト24Aの頭部には、取り出し溝26が設けられる。これにより、取り出し溝26にドライバーを挿し回すことによって、ボルト24Aを取り出すことができる。
【0039】
図4および図5に示されるように、導光板保持部23は、導光板30を載せる導光板段部25を有する。具体的には、第1導光板保持部23Aには第1導光板段部25Aが設けられている。第2導光板保持部23Bには第2導光板段部25Bが設けられている。第3導光板保持部23Cには第3導光板段部25Cが設けられている。第1導光板段部25Aは、第2導光板段部25Bおよび第3導光板段部25Cと対向するように設けられている。
【0040】
図3および図5に示されるように、パレット3がLED照明40の横に置かれる状態において、保持部21は、LED照明40と導光板30との間においてLED照明40の光を遮らないように配置される。具体的には、導光板30の入光面32の近傍において、第1収納パレット保持部22Aと第1導光板保持部23Aとの間には、導光板30と同じ高さの隙間が設けられる。そして、この隙間に導光板30の端部が配置される。
【0041】
<導光板>
図6に示されるように、導光板30は、導光板30の上面全体から光が出るように光源2から出る光を導くように構成される。導光板30は、LED照明40から光を照射される入光面32と、入射された光を拡散するドット33と、光を反射する鏡面34とを有する。LED照明40は、導光板30の第1側面37に向かって光を照射する。入光面32は、導光板30の第1側面37に設けられる。
【0042】
導光板30の厚さは、5mm以上10mm以下である。導光板30の一例において、導光板30の厚さは5mmである。また、LED照明40は、入光面32に多くの光を照射できるように配置される。具体的には、LED照明40の光軸は、厚さ方向における導光板30の中間位置よりも1.5mm高い位置から導光板30の中間位置よりも1.5mm低い位置までの間に位置する。LED照明40の配置の一例において、LED照明40の光軸は、厚さ方向における導光板30の中間位置と同じ高さに位置する。そして、LED照明40は、導光板30の入光面32から10mm以上15mm以下の離れた場所に配置される。一例では、LED照明40の出射面は、導光板30の入光面32から10mm距離を空けて配置される。
【0043】
<ワークを照らす方法>
ワーク6を照らす方法について説明する。
図6に示されるように、LED照明40から照射された光は、導光板30の入光面32を通過する。通過した光は、導光板30の鏡面34、下面35、および、上面36に向かって進む。鏡面34に向かって進む光は、鏡面34によって反射される。また、上面36に向かって進んだ光は、直進する光と反射される光とに分かれる。そして、下面35に向かって進む光は、ドット33に当たることによって拡散される。導光板30の内部で光の反射と光の直進とを繰り返すことで、導光板30は、発光する。
【0044】
図7に示されるように、導光板30によって導かれる光は、収納パレット10とワーク6とを照らす。導光板30は均一に光り易い構造のため、収納パレット10上の全てのワーク6は、略同じように照らされる。
【0045】
メッシュ14は、整列する貫通孔15を有している。これにより、カメラ9が上からワーク6を撮る際、メッシュ14はグリッドとしての役割を果たす。このため、ワーク6の傾きを確認し易い。
【0046】
ワーク搬入装置8は、カメラ9によって撮影された画像からワーク6の位置を認識する。そして、ワーク搬入装置8は、ワーク6を収納パレット10から取り出し、ワーク検査装置7へ搬入する。
【0047】
本実施形態の作用を説明する。
ワーク6を載置するパレット3は、格納棚5から押し出される。そして、搬送装置4によって、光源2の近くに搬送される。搬送先において、パレット3の導光板30は、光源2から照射される光によって発光する。導光板30によって導かれた光は、収納パレット10の上に収納されたワーク6を下から照らす。
【0048】
従来、下からワーク6を照らす照明システムにおいて、光源2は、ワーク6の搬送ラインの下に配置されている。そして、光源2の光をワーク6に当てるために、ワーク6を搬送するための搬送部材を透明にしている。この点、本実施形態によれば、上述のようにワーク6は導光板30によって導かれた光によって照らされる。このため、光源2を搬送ラインの下に置く必要がない。したがって、搬送部材を透明に構成する必要もない。このように、本実施形態の照明システム1によれば、搬送装置4に変更を加えることなく、ワーク6を下から照らすことができる。
【0049】
また、本実施形態の照明システム1によれば、次の参考例に比べて、次のようなメリットがある。参考例として、例えば、導光板30に替えて、バックライト装置をパレットベース20に配置することが考えられる。光源付きのバックライト装置は、一体となった導光板と光源とを含む。パレット3がバックライト装置を備える場合、スリップリングや無線電力通信などでバックライト装置の光源に電力を供給する必要がある。これに対して、本実施形態に係る照明システム1では、導光板30は、光源2と別に配置される。光源2は、搬送装置4の近くに配置され、搬送される個々のパレット3の導光板30に向かって照射するように構成されている。光源2は移動しないため、特別な装置を使わずに光源2に電力を供給できる。このように、光源2に複雑な電力供給手段を使うことなく電力を供給できる。
【0050】
本実施形態の効果を説明する。
(1)照明システム1は、ワーク6が載せられるパレット3と、パレット3を搬送する搬送装置4と、搬送装置4によって所定位置120まで搬送されたパレット3において、ワーク6を照らす光源2と、を備える。パレット3は、ワーク6を収納する収納パレット10と、収納パレット10を支持するパレットベース20と、収納パレット10とパレットベース20との間に配置される導光板30とを有する。導光板30は、導光板30の上面36全体から光が出るように光源2から出る光を導く。収納パレット10の底部13は、導光板30から出る光を透過する構造を有する。この構成によれば、パレット3によって搬送されるワーク6について、ワーク6を下から照明できる。
【0051】
(2)導光板30は、平面視において導光板30の第1側面37がパレットベース20の第1端縁28に沿うようにパレットベース20に配置される。光源2は、パレット3が所定位置120に配置されるとき導光板30の第1側面37が光源2に対向するように、搬送装置4の付近に設置される。この構成によれば、ワーク6を認識する位置(すなわち所定位置120)において、ワーク6を下から照明できる。
【0052】
(3)収納パレット10は、パレットベース20または導光板30に着脱可能に設けられる。この構成によれば、パレット3の収納パレット10を簡単に変更できる。例えば、複数種のワーク6を処理するラインにおいて、ワーク6を変更する場合に、ワーク6に合った収納パレット10に簡単に変更できる。
【0053】
(4)パレットベース20には、収納パレット10および導光板30を保持する保持部21が設けられる。この構成によれば、収納パレット10および導光板30は保持部21によって保持される。
【0054】
(5)保持部21は、寸法が異なる複数種の収納パレット10を保持可能に構成される。この構成によれば、寸法が異なる複数種の収納パレット10をパレットベース20または導光板30に固定できる。例えば、収納パレット10に対応する収納パレット保持部22をパレットベース20に取り付けることによって、種類の異なる収納パレット10を保持できる。
【0055】
(6)導光板30は、複数種の収納パレット10のいずれよりも大きい。この構成によれば、パレット3において収納パレット10を変更した場合でも、収納パレット10の底部13の全体にわたって光を照射できる。
【0056】
(7)保持部21は、収納パレット10を保持する収納パレット保持部22と、導光板30を保持する導光板保持部23とを有する。この構成によれば、収納パレット10と導光板30とを独立して保持できる。
【0057】
(8)導光板保持部23は、導光板30を載せる導光板段部25を有する。この構成によれば、導光板30を導光板段部25に載せることによって、導光板30が持ち上げ易くなる。このため、導光板30の交換を効率よく行うことができる。
【0058】
(9)収納パレット10は、複数のポケット16を構成するパレット枠17を有する。この構成によれば、パレット枠17によって、複数のワーク6同士が重なり合うことを抑制できる。
【0059】
(10)収納パレット10の底部13は、メッシュ状に構成される。この構成によれば、収納パレット10の洗浄または掃除において、ワーク6に付いた切屑や研削液を収納パレット10の底部13から排出し易い。
【0060】
(11)照明システム1において、光源2は、導光板30を介してワーク6を間接的に照明する。光源2は収納パレット10の下に配置されないため、ワーク6から滴る研削液の付着による影響、および、収納パレット10との摩擦によって生じる影響を受け難い。このため、光源2の状態を良好に保ち易い。
【0061】
<変形例>
上記実施形態は、照明システム1が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。照明システム1は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0062】
<第1変形例>
第1実施形態における導光板保持部23は、導光板30を着脱可能に保持する。このため、収納パレット10およびワーク6の形状に応じて導光板30を簡単に変更できる。以下、導光板30の変形例をいくつか記載する。
【0063】
一例では、導光板30の上面36の面積を収納パレット10の底面積と一致させるように導光板30を変更する。これにより、導光板30を発光させる状態において、導光板30は、収納パレット10の底部13のみに光を導き易い。導光板30の上面36の面積が収納パレット10の底面積よりも大きい場合、収納パレット10の外周の外側から光が漏れる虞がある。この場合、光が、カメラ9等の物にあたって散乱した光がワーク6に向かう場合がある。このような外乱光は、ワーク6の位置認識の精度を低下させる虞がある。この点、上記構成によれば、ワーク6の位置認識の精度を低下させ難い。
【0064】
また、導光板30の配光が狭角配光となるように導光板30を加工してもよい。これにより、導光板30は、導光板30によって導かれる光をより遠くまで届かせることができる。カメラ9を導光板30から離せる距離が長くなるため、カメラ9の配置の自由度が増す。その他にも、導光板30にワーク6の色とは異なるカラーフィルターを付加することによって、ワーク6の形状を認識し易くしてもよい。
【0065】
また、本実施形態のパレット3は、導光板30を着脱可能に保持するため、経年劣化した導光板30を新しい導光板30に交換することも容易である。第1実施形態に挙げた参考例では、パレットはバックライト装置を備える。この参考例では、バックライト装置は、一体となった光源と導光板とを有する。このため、参考例のパレットでは、導光板を交換する場合、導光板と共に光源も交換する必要がある。一方、本開示の照明システム1は、導光板30のみを交換すればよい。このため、本開示の照明システム1は、メンテナンス費用を削減できる。
【0066】
<第2変形例>
図8に示されるように、第2導光板保持部23Bを取り外し、第3収納パレット保持部22Cを取り付けてもよい。第3収納パレット保持部22Cは、略L字形である。第3収納パレット保持部22Cは、第1実施形態における第2収納パレット保持部22Bに比べてより大きい収納パレット10を保持することができる。
【0067】
第2変形例のように、保持部21は、収納パレット10および導光板30の形に応じて、保持部21の各パーツを取り換えることができる。取り換える際は、ボルト24Aの取り出し溝26にドライバーを挿し、ボルト24Aを取り出す。そして、新たに取り付ける保持部21のパーツを所定の場所に置き、ボルト24Aを締めることで固定する。
【0068】
<第3変形例>
図9に示されるように、LED照明40は、上から導光板30に向かって光を照射してもよい。LED照明40は、LED照明40を昇降させることのできる可動式装置130に設けられる。可動式装置130は所定位置120の周囲、または、天井に配置される。導光板30には、LED照明40と対向する下面35の一部に下部鏡面35Aが設けられ、下部鏡面35Aが設けられていない下面35には、ドット33が設けられる。また、鏡面34と対向する導光板30の面には、対向鏡面34Aが設けられる。これにより、導光板30の上から導光板30へ照射される光は、導光板30の上面36を均一に発光させる。第2変形例は、LED照明40を配置する選択肢を増やすことができる。
【0069】
<第4変形例>
ワーク搬入装置8がワーク6を搬入する先は、ワーク加工装置でもよい。ワーク加工装置の具体例には、研削盤、旋盤、フライス盤、および、マシニングセンタが挙げられる。
【符号の説明】
【0070】
1…照明システム、2…光源、3…パレット、4…搬送装置、5…格納棚、6…ワーク、7…ワーク検査装置、8…ワーク搬入装置、9…カメラ、10…収納パレット、12…収納パレット外縁、13…底部、14…メッシュ、15…貫通孔、16…ポケット、17…パレット枠、20…パレットベース、21…保持部、22…収納パレット保持部、22A…第1収納パレット保持部、22B…第2収納パレット保持部、22C…第3収納パレット保持部、23…導光板保持部、23A…第1導光板保持部、23B…第2導光板保持部、24…固定部材、24A…ボルト、24B…ボルト孔、25…導光板段部、25A…第1導光板段部、25B…第2導光板段部、26…取り出し溝、28…第1端縁、29…把持部、30…導光板、31…導光板外縁、32…入光面、33…ドット、34…鏡面、34A…対向鏡面、35…下面、35A…下部鏡面、36…上面、37…第1側面、110…制御装置、120…所定位置、130…可動式装置。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9