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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076217
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】ワーク認識システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240529BHJP
   G06V 10/74 20220101ALI20240529BHJP
【FI】
G06T7/00 300D
G06V10/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187682
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】590006343
【氏名又は名称】株式会社和井田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】広田 耕平
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA05
5L096FA06
5L096JA09
5L096JA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ワークと光源との間に光を遮る物がある場合にワークの認識率を向上させるワーク認識システムを提供する。
【解決手段】ワークを載せるパレットユニット、パレットユニットを収容するパレット棚、パレットユニットを搬送する搬送部、ワークを認識するワーク認識システム、ワークを撮影するカメラ及びパレットユニットからワークをピックアップするピッキングロボットを備える搬送システムであって、ワーク認識システム5は、認識対象の画像を取得する画像取得部と、画像に基づいてワークを検出するワーク検出部及びワークの外形に関する外形情報と、ワークの輝度に基づいて設定される輝度情報と、を記憶する記憶部を備える。ワーク検出部は、外形情報に基づいて画像からワークの位置を特定するワークサーチ部及びワークサーチ部によって探索されたワークのワーク輝度と輝度情報との比較によってワークの誤検出を判定する第1ワーク誤判定部を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを認識するワーク認識システムであって、
認識対象の画像を取得する画像取得部と、
前記画像に基づいて前記ワークを検出するワーク検出部と、
前記ワークの外形に関する外形情報と、前記ワークの輝度に基づいて設定される輝度情報と、を記憶する記憶部と、を備え、
前記ワーク検出部は、
前記外形情報に基づいて前記画像から前記ワークを探索し、前記ワークの位置を特定するワークサーチ部と、
前記ワークサーチ部によって探索された前記ワークのワーク輝度と前記輝度情報との比較によって、探索された前記ワークの検出が誤検出であるか否かを判定する第1ワーク誤判定部と、を備える、
ワーク認識システム。
【請求項2】
前記輝度情報は、前記ワークの単位面積あたりの輝度に基づいて設定されるワーク基準輝度を含み、
前記第1ワーク誤判定部は、前記ワークサーチ部によって探索された前記ワークにおいて単位面積あたりの平均の輝度を前記ワーク輝度として算出し、前記ワーク輝度が前記ワーク基準輝度よりも低いか否かによって、探索された前記ワークの検出が誤検出であるか否かを判定する、
請求項1に記載のワーク認識システム。
【請求項3】
前記ワークは、網目構造のパレットに載せられるものであり、
前記記憶部は、さらに、前記パレットに設けられて前記ワークを収容する収容部の外形に関する収容部情報を記憶し、
前記ワーク検出部は、さらに、前記収容部情報に基づいて、前記パレットにおいて前記ワークを探索する範囲であるワークサーチ範囲を設定するワークサーチ範囲設定部を備え、
前記ワークサーチ部は、前記ワークサーチ範囲内において前記ワークを探索する、
請求項1に記載のワーク認識システム。
【請求項4】
前記記憶部は、さらに、前記ワークの情報の1つとして前記ワークが占有する領域を形成するためのワーク占有情報を記憶し、
前記ワーク検出部は、さらに、第2ワーク誤判定部を備え、
前記第2ワーク誤判定部は、前記ワークサーチ部によって探索された前記ワークの位置と前記ワーク占有情報と前記ワークサーチ範囲とに基づいて、探索された前記ワークの検出が誤検出であるか否かを判定する、
請求項3に記載のワーク認識システム。
【請求項5】
前記ワーク占有情報は、前記ワークの中心位置を中心とする所定半径の円を形成する情報であり、
前記第2ワーク誤判定部は、前記ワーク占有情報に基づいて前記ワークの位置を中心として描かれる円の円周と、前記ワークサーチ範囲の外形とが交差するか否かによって、探索された前記ワークの検出が誤検出であるか否かを判定する、
請求項4に記載のワーク認識システム。
【請求項6】
前記記憶部は、さらに、前記収容部において前記ワークが配置し得る範囲として設定されるワーク配置範囲情報を記憶し、
前記ワーク検出部は、さらに、第3ワーク誤判定部を備え、
前記第3ワーク誤判定部は、前記ワークサーチ部によって探索された前記ワークの位置と前記ワーク配置範囲情報とに基づいて、探索された前記ワークの検出が誤検出であるか否かを判定する、
請求項3に記載のワーク認識システム。
【請求項7】
前記パレットの前記収容部は、網目構造の底部を有し、
前記記憶部は、さらに、前記収容部の底部に対応する部分の網目構造に関する網目構造情報を記憶し、
前記ワーク検出部は、さらに、前記画像において前記収容部の底部に対応する部分の部分画像と前記網目構造情報との照合に基づいて、前記ワークの存否の判定を行うワーク存否判定部を備える、
請求項3~6のいずれか一項に記載のワーク認識システム。
【請求項8】
前記網目構造情報は、前記収容部に設けられる網目の個数、前記網目それぞれの位置、および、前記網目それぞれの形状の少なくとも1つの情報を含む、
請求項7に記載のワーク認識システム。
【請求項9】
前記パレットの前記収容部は、網目構造の底部を有し、
前記記憶部は、さらに、前記収容部の底部において前記ワークサーチ範囲に対応する部分の網目構造に関する網目構造情報を記憶し、
前記ワーク検出部は、さらに、ワークサーチ範囲再設定部を備え、
前記ワークサーチ範囲再設定部は、前記画像において前記収容部の底部に対応する部分の部分画像と前記網目構造情報との照合に基づいて、前記ワークを探索する範囲を再設定する、
請求項3~6のいずれか一項に記載のワーク認識システム。
【請求項10】
前記網目構造情報は、前記収容部に設けられる網目の個数、前記網目それぞれの位置、および、前記網目それぞれの形状の少なくとも1つの情報を含み、
前記ワークサーチ範囲再設定部は、前記部分画像と前記網目構造情報とを照合することによって、前記ワークサーチ範囲において照合が合う領域を特定し、特定された領域の少なくとも一部が含まれないように、前記ワークを探索する範囲を再設定する、
請求項9に記載のワーク認識システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワークを認識するワーク認識システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを認識するシステムが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載のシステムは、ワークを撮影する撮像手段と、ワークを認識する認識手段と、認識手段によるワークの認識結果に基づいてワークを把持するロボットと、を備える。同システムは、さらに、ワークを下から照明する照明装置を備える。同システムでは、ワークのシルエットによってワークの輪郭を明確にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-139145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、先行文献のシステムのように、下から光を照射しても、ワークの輪郭を取得できない場合がある。例えば、ワークが網目構造のパレットに載せられる場合、ワークの下から照射される光は、パレットの網目を通ってワークに照射される。そうすると、パレットの網目のシルエットとワークのシルエットとが重なる。このように、ワークの下に光を遮る物がある場合、ワークの輪郭のみに明確に出るようにすることが出来ない。このような場合、システムは、ワークを認識し難くなる。
【0005】
そこで、ワークと光源との間に光を遮る物がある場合において、ワークの認識率を向上できるワーク認識システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するワーク認識システムは、ワークを認識するワーク認識システムであって、認識対象の画像を取得する画像取得部と、前記画像に基づいて前記ワークを検出するワーク検出部と、前記ワークの外形に関する外形情報と、前記ワークの輝度に基づいて設定される輝度情報と、を記憶する記憶部と、を備え、前記ワーク検出部は、前記外形情報に基づいて前記画像から前記ワークを探索し、前記ワークの位置を特定するワークサーチ部と、前記ワークサーチ部によって探索された前記ワークのワーク輝度と前記輝度情報との比較によって、探索された前記ワークの検出が誤検出であるか否かを判定する第1ワーク誤判定部と、を備える。
【0007】
画像において外形情報に基づいてワークを探索する探索処理では、ワーク以外の物の外形の一部をワークの一部として誤って認識し、この認識に基づいてワークを誤検出する場合がある。このような誤検出のワークの外形は、本来のワークの外形と異なる形状を有する。このため、誤検出のワークのワーク輝度は、本来のワークのワーク輝度と異なる。上記構成によれば、ワークサーチ部によって探索されたワークの画像におけるワーク輝度と輝度情報との比較によって、探索されたワークの検出が誤検出であるか否かを判定する。これによって、誤検出のワークを排除できる。このため、ワークと光源との間に光を遮る物がある場合において、ワークの認識率を向上できる。
【0008】
(2)上記(1)に記載のワーク認識システムにおいて、前記輝度情報は、前記ワークの単位面積あたりの輝度に基づいて設定されるワーク基準輝度を含み、前記第1ワーク誤判定部は、前記ワークサーチ部によって探索された前記ワークにおいて単位面積あたりの平均の輝度を前記ワーク輝度として算出し、前記ワーク輝度が前記ワーク基準輝度よりも低いか否かによって、探索された前記ワークの検出が誤検出であるか否かを判定する。
【0009】
この構成によれば、ワークサーチ部によって探索されたワークにおいて単位面積あたりの平均の輝度と、予め設定されるワーク基準輝度とを比較する。このように、簡単な計算によって、探索されたワークの検出が誤検出であるか否かの結果を得ることができる。
【0010】
(3)上記(1)または(2)に記載のワーク認識システムにおいて、前記ワークは、網目構造のパレットに載せられるものであり、前記記憶部は、さらに、前記パレットに設けられて前記ワークを収容する収容部の外形に関する収容部情報を記憶し、前記ワーク検出部は、さらに、前記収容部情報に基づいて、前記パレットにおいて前記ワークを探索する範囲であるワークサーチ範囲を設定するワークサーチ範囲設定部を備え、前記ワークサーチ部は、前記ワークサーチ範囲内において前記ワークを探索する。
【0011】
ワークは収容部に収容されるため、パレットにおいてワークが配置される範囲は制限される。上記構成によれば、ワークが配置される範囲にワークサーチ範囲を設定する。これによって、ワークが配置されない部分の探索が削減される。このように、無断な探索を抑制できる。
【0012】
(4)上記(3)に記載のワーク認識システムにおいて、前記記憶部は、さらに、前記ワークの情報の1つとして前記ワークが占有する領域を形成するためのワーク占有情報を記憶し、前記ワーク検出部は、さらに、第2ワーク誤判定部を備え、前記第2ワーク誤判定部は、前記ワークサーチ部によって探索された前記ワークの位置と前記ワーク占有情報と前記ワークサーチ範囲とに基づいて、探索された前記ワークの検出が誤検出であるか否かを判定する。
【0013】
ワークは、ワークの全体がパレットの収容部に収まるように収容部内に位置する。したがって、ワークの一部がワークサーチ範囲からはみ出ることはない。しかし、ワークの探索では、ワークの中心がワークサーチ範囲内に位置する全てのパターンについて、ワークを探索する。このため、ワークの一部がワークサーチ範囲からはみ出るようなワークの位置であってもワークを検出する場合がある。この点、上記構成では、第2ワーク誤判定部は、ワークの位置とワーク占有情報とワークサーチ範囲とに基づいて、探索されたワークの検出が誤検出であるか否かを判定する。これによって、誤検出のワークを排除できる。このため、ワークと光源との間に光を遮る物がある場合において、ワークの認識率を向上できる。
【0014】
(5)上記(4)に記載のワーク認識システムにおいて、前記ワーク占有情報は、前記ワークの中心位置を中心とする所定半径の円を形成する情報であり、前記第2ワーク誤判定部は、前記ワーク占有情報に基づいて前記ワークの位置を中心として描かれる円の円周と、前記ワークサーチ範囲の外形とが交差するか否かによって、探索された前記ワークの検出が誤検出であるか否かを判定する。
【0015】
ワークの外形は、単なる円または単なる矩形ではなく、複雑である。このため、ワーク占有情報としてワークの外形を使うと、ワークの一部がワークサーチ範囲からはみ出るか否かの計算が複雑になり、計算時間が長くなる。この点、上記構成では、ワーク占有情報は円である。そして、ワーク占有情報に基づいてワークの位置を中心として描かれる円の円周とワークサーチ範囲の外形とが交差するか否かによって、探索されたワークの検出が誤検出であるか否かを判定する。このように計算が単純化されるため、判定結果を導き出す時間を短くできる。
【0016】
(6)上記(3)~(5)に記載のワーク認識システムにおいて、前記記憶部は、さらに、前記収容部において前記ワークが配置し得る範囲として設定されるワーク配置範囲情報を記憶し、前記ワーク検出部は、さらに、第3ワーク誤判定部を備え、前記第3ワーク誤判定部は、前記ワークサーチ部によって探索された前記ワークの位置と前記ワーク配置範囲情報とに基づいて、探索された前記ワークの検出が誤検出であるか否かを判定する。
【0017】
ワークは、ワークの全体がパレットの収容部に収まるように収容部内に位置する。したがって、ワークの一部がワークサーチ範囲からはみ出ることはない。しかし、ワークの探索では、ワークの中心がワークサーチ範囲内に位置する全てのパターンについて、ワークを探索する。このため、ワークの一部がワークサーチ範囲からはみ出るようなワークの位置であってもワークを検出する場合がある。この点、上記構成では、ワークの誤検出の判定の目的で、ワークが配置し得る範囲として設定されるワーク配置範囲情報を使う。具体的には、第3ワーク誤判定部は、ワークの位置とワーク配置範囲情報とに基づいて、探索されたワークの検出が誤検出であるか否かを判定する。これによって、誤検出のワークを排除できる。このため、ワークと光源との間に光を遮る物がある場合において、ワークの認識率を向上できる。
【0018】
(7)上記(3)~(6)に記載のワーク認識システムにおいて、前記パレットの前記収容部は、網目構造の底部を有し、前記記憶部は、さらに、前記収容部の底部に対応する部分の網目構造に関する網目構造情報を記憶し、前記ワーク検出部は、さらに、前記画像において前記収容部の底部に対応する部分の部分画像と前記網目構造情報との照合に基づいて、前記ワークの存否の判定を行うワーク存否判定部を備える。
【0019】
収容部にワークが配置されていない場合がある。このような場合に、ワークの探索を行うと、無駄な時間を使うことになる。この点、上記構成によれば、ワークサーチ範囲に対応する部分の部分画像と収容部の網目構造情報との照合に基づいて、ワークの存否の判定を行う。このため、ワークが存在しない場合に、当該収容部においてワークの探索を省略できる。
【0020】
(8)上記(7)に記載のワーク認識システムにおいて、前記網目構造情報は、前記収容部に設けられる網目の個数、前記網目それぞれの位置、および、前記網目それぞれの形状の少なくとも1つの情報を含む。
【0021】
この構成によれば、ワークの存否の判定のための照合において、網目構造情報として、収容部に設けられる網目の個数、網目それぞれの位置、および、網目それぞれの形状の少なくとも1つの情報を使う。照合に網目の情報を使うことによってワーク存否判定の精度を向上できる。
【0022】
(9)上記(3)~(6)に記載のワーク認識システムにおいて、前記パレットの前記収容部は、網目構造の底部を有し、前記記憶部は、さらに、前記収容部の底部において前記ワークサーチ範囲に対応する部分の網目構造に関する網目構造情報を記憶し、前記ワーク検出部は、さらに、ワークサーチ範囲再設定部を備え、前記ワークサーチ範囲再設定部は、前記画像において前記収容部の底部に対応する部分の部分画像と前記網目構造情報との照合に基づいて、前記ワークを探索する範囲を再設定する。
【0023】
この構成によれば、ワークサーチ範囲よりも狭い範囲でワークの探索を行うことができる。これによって、ワークの探索時間を削減できる。
(10)上記(9)に記載のワーク認識システムにおいて、前記網目構造情報は、前記収容部に設けられる網目の個数、前記網目それぞれの位置、および、前記網目それぞれの形状の少なくとも1つの情報を含み、前記ワークサーチ範囲再設定部は、前記部分画像と前記網目構造情報とを照合することによって、前記ワークサーチ範囲において照合が合う領域を特定し、特定された領域の少なくとも一部が含まれないように、前記ワークを探索する範囲を再設定する。
【0024】
この構成によれば、ワークの存在する領域の設定において、網目構造情報として、収容部に設けられる網目の個数、網目それぞれの位置、および、網目それぞれの形状の少なくとも1つの情報を使う。このように、網目構造情報を使うことによって、ワークが存在する部分と、ワークが存在しない部分との境界を、細かく設定することができる。これによって、ワークの探索する範囲をより狭くすることが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
本開示のワーク認識システムは、ワークと光源との間に光を遮る物がある場合において、ワークの認識率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態について、搬送システムの模式図である。
図2】パレットユニットおよび照明装置の平面図である。
図3図2の3-3線に沿うパレットユニットの断面図である。
図4】パレットの収容部の拡大図である。
図5】ワーク認識システムのブロック図である。
図6】ワーク検出部のブロック図である。
図7】収容部におけるワークを示す図である。
図8】誤検出されたワークを示す図である。
図9】誤検出されたワークを示す他の図である。
図10】ワーク検出処理のフローチャートである。
図11】第2実施形態について、ラベリングされた収容部を示す図である。
図12】ワーク検出部のブロック図である。
図13】収容部におけるワークを示す図である。
図14】収容部において再設定されたワークサーチ範囲を示す図である。
図15】ワーク検出処理のフローチャートである。
図16】変形例において、誤検出を判定する手段の他の例を説明する図である。
図17】変形例に係るワーク検出部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
図1図10を参照して、第1実施形態に係るワーク認識システム5を説明する。
ワーク認識システム5は、画像に基づいてワーク10を認識する。一例では、ワーク認識システム5は、ワーク10を搬送する搬送システム1に設けられる。
【0028】
[搬送システム]
図1を参照して搬送システム1の一例を説明する。
搬送システム1は、複数のワーク10が載せられるパレットユニット2と、複数のパレットユニット2を収容するパレット棚3と、パレット棚3から出されるパレットユニット2を搬送する搬送部4と、ワーク10を認識するワーク認識システム5と、ワーク10を撮影するカメラ6と、パレットユニット2からワーク10をピックアップするピッキングロボット7と、を備える。
【0029】
搬送システム1の近くには、ワーク10を処理するワーク処理装置8が配置される。ピッキングロボット7は、ワーク処理装置8にワーク10を運ぶ。ワーク処理装置8は、ワーク10を加工する。ピッキングロボット7は、加工されたワーク10をパレットユニット2に戻す。
【0030】
搬送部4には、ピッキング位置が設けられる。パレットユニット2は、搬送部4によってパレット棚3からピッキング位置まで運ばれる。パレットユニット2に載せられているワーク10は、パレットユニット2がピッキング位置に配置されているときに、ワーク認識システム5によって認識される。搬送部4においてピッキング位置には、ワーク10を照らす照明装置9が設けられる。本実施形態では、照明装置9は、パレットユニット2がピッキング位置に運ばれたときに、パレットユニット2の横に位置するように設置される。照明装置9の一例はLEDアレイである。照明装置9は、パレットユニット2がピッキング位置に運ばれたとき、パレットユニット2の導光板14に向かって光を照射する。光は、導光板14の側面14Aから入り、導光板14内で散乱する。これによって、導光板14が発光する。照明装置9は、間接的に、パレットユニット2を照明する。パレットユニット2に載せられているワーク10は、ピッキングロボット7によってピックアップされる。
【0031】
[パレットユニット]
図2および図3を参照して、パレットユニット2の一例を説明する。
パレットユニット2は、搬送システム1に各種のパレット20を搬送できるようにするための構造を有する。パレットユニット2は、ベース13と、ベース13の上に載せられる導光板14と、導光板14の上に配置されるパレット20と、を備える。導光板14は、ブラケット16によってベース13に固定される。パレット20は、固定部15によってベース13に固定される。固定部15は、ブラケット16の上に着脱可能に取り付けられる。固定部15は、ブラケット16に対して位置変更可能に取り付けられる。これによって、パレット20の位置を変更できる。パレット20の大きさに応じて固定部15の位置を変更できる。パレット20は、ワーク10によって異なる。また、パレット20は、ワーク10を処理する処理事業者によって異なる。このため、パレット20は、様々な大きさまたは形状を有する。パレットユニット2は、様々なパレット20を載せることができる共通のベース13を有する。このため、搬送システム1のレール幅を変えることなく、パレットユニット2を搬送システム1によって搬送できる。
【0032】
導光板14は、導光板14の側面14Aから入る光を導光板14の上面14Bに導き、導光板14の上面14Bを斑なく発光させる。導光板14の下面14Cにはドットが設けられる。このため、導光板14に入る光は、ドットで反射し、導光板14の上面14Bから出る。ワーク10は、導光板14によって下から照らされる。このような照明によって、ワーク10を上から見たときに、ワーク10のシルエットSLが観察できるようになる。
【0033】
一例では、導光板14の厚みは、5mm以上10mm以下の範囲の所定値に設定される。導光板14の厚みが5mm未満である場合、照明装置9の光が導光板14内に入射し難くなる。導光板14の厚みが10mmよりも大きい場合、パレット棚3に収容できるパレットユニット2の個数が少なくなる。このため、導光板14の厚みは、5mm以上10mm以下の範囲に設定される。
【0034】
照明装置9と導光板14の側面14Aとの間の距離は10mm以上15mm以下に設定される。照明装置9と導光板14の側面14Aとの間の距離が15mmよりも大きくなると、照明装置9の光軸が、導光板14の側面14Aの上下方向の中間位置からずれ易くなる。照明装置9と導光板14の側面14Aとの間の距離は10mm未満であると、導光板14を上から見て、導光板14の上面14Bにおいて発光強度に斑が生じ易い。発光強度に斑が生じると、パレットユニット2に載っている複数のワーク10について、個々のワーク10のシルエットSLの輝度ばらつきが大きくなる虞がある。個々のワーク10のシルエットSLの輝度ばらつきの増大は、後述のワーク10の誤検出の判定精度を低下させる。照明装置9と導光板14の側面14Aとの間の距離が小さいほど、導光板14の発光強度が高くなる一方で、導光板14の上面14Bにおいて発光強度に斑が生じやすくなる。このような理由から、照明装置9と導光板14の側面14Aとの間の距離は、10mm以上15mm以下に設定される。
【0035】
パレット20は、複数のワーク10を収容する。パレット20は、樹脂によって形成される。パレット20は、黒または黒に近い色を呈する。パレット20は、底部23と、底部23に取り付けられる枠21とを備える。パレット20の収容部22は、網目構造の底部23を有する。パレット20を上から見て、枠21は、複数の収容部22を有する。収容部22は、縦横に配列されている。収容部22は、ワーク10を収容する。
【0036】
図4に示されるように、収容部22の底部23は、網目構造を構成する複数の孔24を有する。複数の孔24の幾つかは、上からみて他の孔24と異なる形状を有する。例えば、複数の孔24のうちの1つは、上から見て矩形である。他の1つは、上から見て五角形である。このように孔24の形状が異なる理由の1つは、網目構造の補強である。部分的に、網目構造の線部分を太くすることによって、網目構造が全体として変形し難くなる。
【0037】
網目構造のパレット20は、パレット20の洗浄に好適である。パレット20に上からシャワーをかけると、水は網目を通って収容部22の外へ流れるため、連続してシャワーをかけることができる。また、網目構造のパレット20は、洗浄槽に浸漬し易い。このため、洗浄の作業効率が向上する。
【0038】
[ワーク]
ワーク10は、網目構造のパレット20に載せられる。ワーク10は、収容部22に配置される。一例では、1個の収容部22に1個のワーク10が収容される。ワーク10の例として、工作機械で使用されるツール、金型コアの部品、工作機械で使用される精密治具用の部品、等が挙げられる。ツールの例として、エンドミル、フライス用チップ、旋削用チップ、バイト等が挙げられる。
【0039】
[ワーク処理装置]
ワーク処理装置8としては、プロファイル研削装置、治具研削装置、および、ツール研削装置、が挙げられる。ワーク処理装置8は、これに限定されない。ワーク処理装置8は、ワーク10に他の部品を溶接する装置であってもよい。ワーク処理装置8は、ワーク10を検査する装置であってもよい。
【0040】
[ピッキングロボット]
ピッキングロボット7は、ワーク10の形状に関するロボット用ワーク情報を予め記憶する。ピッキングロボット7は、ワーク認識システム5からワーク10の位置および向きに関する情報を取得し、ロボット用ワーク情報およびワーク10の位置および向きに基づいてワーク10をピックアップする。ピッキングロボット7は、予め組み込まれたプログラムに基づいて、ピックアップしたワーク10をワーク処理装置8に運ぶ。一例では、ピッキングロボット7は、多関節ロボットによって構成される。
【0041】
[カメラ]
カメラ6は、搬送部4から所定距離だけ上に離れたところに設置される。カメラ6は、上からパレット20を撮影する。カメラ6は、ピッキングロボット7のアームの先端部に取り付けられてもよい。
【0042】
[ワーク認識システム]
図5図10を参照して、ワーク認識システム5を説明する。
ワーク認識システム5は、カメラ6から出力される画像に基づいてワーク10の位置および向きを検出する。ワーク認識システム5は、検出したワーク10の位置および向きをピッキングロボット7に出力する。以下、ワーク認識システム5の構成を説明する。
【0043】
図5に示されるように、ワーク認識システム5は、画像取得部31、ワーク検出部32、および、記憶部33、を備える。ワーク認識システム5は、さらに、ワーク登録部34、パレット登録部35、および、出力部36を備える。
【0044】
[画像取得部]
画像取得部31は、カメラ6から認識対象の画像を取得する。画像取得部31は、カメラ6に接続されている。画像取得部31は、ネットワークを介してカメラ6に接続されてもよい。ネットワークは、ローカルネットワーク、および、インターネットを含む。
【0045】
[ワーク登録部]
ワーク登録部34は、ワーク10に関する情報を記憶部33に登録する。ワーク10に関する情報は、ワーク認識システム5に接続される入力装置からワーク登録部34に入力される。
【0046】
ワーク10に関する情報の一例として、ワーク10の外形に関する外形情報が挙げられる。ワーク10の外形情報は、ワーク10の外形そのものの情報であってもよい。ワーク10の外形情報は、ワーク10の外形において一部分の形状の情報であってもよい。ワーク10の外形情報は、ワーク10の外形において頂点の位置関係を示す情報であってもよい。
【0047】
ワーク10に関する情報の他の例として、輝度情報が挙げられる。輝度情報は、ワーク10の輝度に基づいて設定される。具体的には、輝度情報は、ワーク10を導光板14によって下から照らした状態において、ワーク10のシルエットSLの輝度に関する情報である。輝度情報は、ワーク10の単位面積あたりの輝度に基づいて設定されるワーク基準輝度を含んでもよい。具体的には、ワーク基準輝度は、ワーク10のシルエットSLの平均輝度に基づいて設定される。ワーク基準輝度は、平均輝度よりも低い値に設定される。例えば、ワーク10のシルエットSLの平均輝度は、ワーク10を撮影した画像において、ワーク10のシルエットSLに対応する部分のピクセルについて、全ピクセルの明度の平均として算出することができる。ワーク基準輝度は、ワーク10の輝度に基づいてワーク10の誤検出であるか否かを判定するときに用いられる。
【0048】
ワーク10に関する情報の他の例として、ワーク占有情報が挙げられる。ワーク占有情報は、ワーク10が占有する領域を形成するための情報である。ワーク占有情報は、1個のワーク10が占める領域を表す情報である。一例では、ワーク占有情報は、1個のワーク10の大きさに関係する。ワーク占有情報は、ワーク10の外形情報と同じであってもよい。ワーク占有情報は、ワーク10の形状に近似する図形の情報であってもよい。例えば、ワーク占有情報は、ワーク10の囲む円または楕円の情報として構成される。ワーク占有情報は、ワーク10の面積と等しい面積の円に関する情報として構成される。ワーク占有情報は、ワーク10の面積と等しい面積の矩形に関する情報として構成される。本実施形態では、ワーク占有情報は、ワーク10の中心位置CPを中心とする所定半径の円を形成する情報である。円は、ワーク10の外形に接する内接円である。
【0049】
[パレット登録部]
パレット登録部35は、パレット情報を記憶部33に登録する。パレット情報は、ワーク認識システム5に接続される入力装置からパレット登録部35に入力される。
【0050】
パレット20の関するパレット情報の一の例として、パレット20の外形に関するパレット情報が挙げられる。パレット情報は、パレット20の収容部22の大きさ、および、ベース13に対するパレット20の位置に関する情報を含む。具体的には、パレット20の大きさに関する情報は、パレット20の形状、パレット20の縦寸法、および、横寸法を含む。
【0051】
パレット20の関するパレット情報の他の例として、収容部22の外形に関する収容部情報が挙げられる。収容部情報は、収容部22の大きさに関する情報を含む。具体的には、収容部22の大きさに関する情報は、収容部22の形状、収容部22の縦寸法、および、横寸法を含む。
【0052】
パレット20の関するパレット情報の他の例として、パレット20における収容部22の配列に関する収容部配列情報が挙げられる。収容部配列情報は、パレット20における収容部22の個数、および、収容部22の配列方法に関する情報を含む。例えば、パレット20において収容部22が縦横に配列されている場合、収容部配列情報は、収容部22の個数、収容部22の行列配置における列の数、および、収容部22の行列配置における行の数を含む。
【0053】
[記憶部]
記憶部33は、半導体メモリ、磁気記憶媒体、および、光学記憶媒体を含む。記憶部33は、ワーク10の外形に関する外形情報と、ワーク10に関する輝度情報とを記憶する。記憶部33は、さらに、ワーク占有情報を記憶してもよい。記憶部33は、さらに、収容部情報を記憶してもよい。
【0054】
[ワーク検出部]
ワーク検出部32は、画像に基づいてワーク10を検出する。ワーク検出部32は、CPU(central processing unit)またはMPU(micro processing unit)などの演算装置、および、演算装置を動作させるプログラムによって構成される。ワーク検出部32の構成要素は、プログラムと演算装置との協働によって動作する。
【0055】
図6に示されるように、ワーク検出部32は、ワークサーチ範囲設定部41と、ワークサーチ部42と、第1ワーク誤判定部43と、を備える。ワーク検出部32は、さらに、第2ワーク誤判定部44を備えてもよい。
【0056】
[ワークサーチ範囲設定部]
図4に示されるように、ワークサーチ範囲設定部41は、収容部情報に基づいて、ワークサーチ範囲WSAを設定する。ワークサーチ範囲WSAは、パレット20においてワーク10を探索する範囲である。
【0057】
一例では、ワークサーチ範囲設定部41は、パレットユニット2全体の画像とパレット情報とに基づいて、画像におけるパレット20の範囲を探索し、その上で、ワークサーチ範囲WSAを探索する。また、ワークサーチ範囲設定部41は、収容部情報、および、収容部配列情報に基づいて、探索に係る収容部22の位置を特定する。例えば、収容部22が4列5行で並んでいる場合、ワークサーチ範囲設定部41は、ベース13におけるパレット20の範囲を設定し、1行1列目の収容部22に対してワークサーチ範囲WSAを設定する。次いで、ワークサーチ範囲設定部41は、1行2列の収容部22に対してワークサーチ範囲WSAを設定する。ワークサーチ範囲設定部41は、このような設定を繰り返す。
【0058】
[ワークサーチ部]
ワークサーチ部42は、ワークサーチ範囲WSA内においてワーク10を探索する。ワークサーチ部42は、外形情報に基づいて画像からワーク10を探索する。例えば、ワークサーチ部42は、ワーク10の外形情報を使って、テンプレートマッチングによってワークサーチ範囲WSA内からワーク10を探索する。
【0059】
ワークサーチ部42は、ワーク10の外形に類似する部分を探索し、探索されたワーク10と登録されたワーク10の外形との類似度を算出する。ワークサーチ部42は、ワークサーチ範囲WSAにおいて、ワーク10の外形に対する類似度が設定閾値よりも高い部分を検出すると、当該部分をワーク10として判定する。さらに、ワークサーチ部42は、ワーク10として判定した部分に基づいて、ワーク10の位置、および、ワーク10の向きを特定する。類似度と比較される設定閾値は低めに設定される。その理由は、ワーク10は収容部22の底面に対して上または下に傾く場合があるためである。ワーク10が上または下に傾くと、ワーク10のシルエットSLがワーク10の平面視でのシルエットSLと異なるため、ワーク10が検出され難くなる。このように、上下に傾くワーク10を適切に検出するために、類似度と比較される設定閾値は低めに設定される。
【0060】
図7は、ワーク10を含む画像である。ワーク10の位置は、ワークサーチ範囲WSAに設定される座標系において、ワーク10の中心位置CPとして定義される。ワーク10の中心位置CPは、ワーク10の外形の中心(すなわち幾何中心)として定義される。ワーク10の向きは、ワークサーチ範囲WSAに設定される座標系のX軸に対する、ワーク基準軸AXの傾きとして定義される。この傾きは、X軸とワーク基準軸AXとの間の角度AGとして表される。ワーク基準軸AXは、ワーク10に対して予め設定されている。ワーク基準軸AXは、ワーク10に関する情報として記憶部33に記憶されている。
【0061】
[第1ワーク誤判定部]
第1ワーク誤判定部43は、探索されたワーク10が誤検出に該当するか否かを判定する第1手段である。上述のように、類似度と比較される設定閾値は低めに設定されている。また、画像には、ワーク10のシルエットSLだけでなく、収容部22の底部23の網目のシルエットSLを含む。このため、テンプレートマッチングでは、ワーク10の誤検出が含まれる場合がある。
【0062】
図8を参照して、ワーク10の誤検出を説明する。網目において、五角形の孔24Xを構成する1つの線部分25は、縦横に伸びる網目の横線部分26に対して斜めに伸び、横線部分26に対して鋭角を構成する。ワーク10は、平面視で鋭角を有する。このため、ワークサーチ部42は、テンプレートマッチングにおいて、斜めの線部分25をワーク10の一部とみなして、ワーク10として検出する場合がある。このように、誤検出が生じるため、ワーク検出部32には、探索されたワーク10が誤検出に該当するか否かを判定するため、第1ワーク誤判定部43が設けられている。
【0063】
ところで、このような誤検出の場合、図8に示されるように、検出されたワーク10内には網目が含まれる。このため、検出されたワーク10は、全体として、ワーク10のシルエットSLに比べて明るくなっている。このことを利用して、第1ワーク誤判定部43は、ワーク10の誤検出を判定する。
【0064】
第1ワーク誤判定部43は、ワークサーチ部42によって探索されたワーク10のワーク輝度と輝度情報との比較によって、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かを判定する。本実施形態では、この判定の処理を第1ワーク誤検出判定処理という。
【0065】
具体的には、第1ワーク誤判定部43は、ワークサーチ部42によって探索されたワーク10(図7図8参照)において単位面積あたりの平均の輝度をワーク輝度として算出する。探索されたワーク10において単位面積あたりの平均の輝度は、ワーク10のシルエットSLに対応する部分の全てのピクセルについて、全ピクセルの明度の平均として算出できる。そして、第1ワーク誤判定部43は、ワーク輝度がワーク基準輝度よりも低いか否かによって、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かを判定する。
【0066】
[第2ワーク誤判定部]
第2ワーク誤判定部44は、探索されたワーク10が誤検出か否かを判定する第2手段である。上述のように、テンプレートマッチングでは、ワーク10の誤検出が含まれる場合がある。そこで、ワーク検出部32には、探索されたワーク10が誤検出に該当するか否かを判定するための追加の手段が設けられている。第2ワーク誤判定部44は、第1ワーク誤判定部43と独立して動作する。このため、第2ワーク誤判定部44は、第1ワーク誤判定部43と併用され得る。また、第2ワーク誤判定部44は、第1ワーク誤判定部43の代わりに動作してもよい。
【0067】
図9を参照して、第2ワーク誤判定部44による判定の原理を説明する。
ワーク10の探索は、ワークサーチ範囲WSAの全体にわたってテンプレートマッチングを行う。この場合、ワーク10の中心位置CPが収容部22の端縁に位置する場合も含めて、テンプレートマッチングが行われる。しかし、ワーク10の中心位置CPが収容部22の端縁に位置する場合、ワーク10の一部は収容部22の外に食み出る。このようにワーク10の一部が収容部22の外に食み出るようなワーク10の配置は、現実には起こらない。そこで、このようなワーク10の検出を除外することによって、誤検出を少なくする。第2ワーク誤判定部44は、このようなワーク10の配置を誤検出として判定するための手段である。
【0068】
第2ワーク誤判定部44は、ワークサーチ部42によって探索されたワーク10の位置とワーク占有情報とワークサーチ範囲WSAとに基づいて、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かを判定する。本実施形態では、この判定の処理を第2ワーク誤検出判定処理という。
【0069】
具体的には、第2ワーク誤判定部44は、ワーク占有情報に基づいてワーク10の位置を中心として描かれる円の円周と、ワークサーチ範囲WSAの外形とが交差するか否かによって、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かを判定する。円の半径は、任意に設定できる。本実施形態では、ワーク10の内接円10Aとして設定される。
【0070】
[出力部]
出力部36は、各種の情報をピッキングロボット7に出力する。具体的には、出力部36は、ワークサーチ範囲WSAにおいて、ワークサーチ部42が特定したワーク10の位置および向きに関する情報を出力する。また、出力部36は、ワークサーチ範囲WSAにおいてワーク10を検出しない場合、ワークサーチ範囲WSAにワーク10が検出されないことを示す情報を出力する。
【0071】
[ワーク検出部の動作]
図10を参照して、ワーク検出部32の動作を説明する。ワーク検出部32は、パレット20毎にワーク検出処理を実行する。ワーク認識処理は、第1ステップS1~第7ステップS7を含む。
【0072】
第1ステップS1において、ワーク検出部32は、ワークサーチ範囲設定部41によってワークサーチ範囲WSAを設定する。第2ステップS2において、ワーク検出部32は、ワークサーチ範囲設定部41内で、ワーク10を探索する。
【0073】
第3ステップS3において、ワーク検出部32の第1ワーク誤判定部43は、探索によって検出したワーク10に対して誤検出か否かの判定処理(第1ワーク誤検出判定処理)を実行する。第4ステップS4において、ワーク検出部32の第2ワーク誤判定部44は、探索によって検出したワーク10に対して誤検出か否かの判定処理(第2ワーク誤検出判定処理)を実行する。
【0074】
第5ステップS5において、ワーク検出部32は、「検出されたワーク10が1個である、または、ワーク10が検出されない」を満たすか否かを判定する。具体的には、誤検出とされないワーク10が1つ残っているか否かを判定する。検出されたワーク10が1つだけ残っている場合、または、ワーク10が1つも残っていない場合、第7ステップS7を実行する。検出されたワーク10が2個以上残っている場合、第6ステップS6を実行する。第6ステップS6において、ワーク検出部32は、エラーとして処理を一時的に停止する。
【0075】
第7ステップS7において、ワーク検出部32は、検出されたワーク10が1つだけ残っている場合、ワーク10の位置および向きをピッキングロボット7に出力する。ワーク検出部32は、検出されたワーク10が1つも残っていない場合、ワーク10が検出されないことを示す情報をピッキングロボット7に出力する。
【0076】
実施形態の作用を説明する。
ワーク10をシルエットSLで認識する場合において、ワーク10と光源との間に光を遮る物(例えば、収容部22の底部23)がある場合、ワーク10のシルエットSLが歪になる。このような場合に、ワーク10を検出させるため、テンプレートマッチングで計算される類似度と比較される設定閾値が低く設定される。そうすると、ワーク10の誤検出の頻度が高くなる。誤検出の場合、ワーク10と認識された部分のシルエットSLは、部分的に欠けたものとなっており、本来のワーク10のシルエットSLと大きく異なる。そこで、本実施形態では、探索されたワーク10の画像におけるワーク輝度と輝度情報との比較によって、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かを判定する。これによって、誤検出のワーク10を排除できる。このため、ワーク10と光源との間に光を遮る物がある場合において、ワーク10の認識率を向上できる。
【0077】
[第1実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1)ワーク認識システム5は、画像取得部31と、画像に基づいてワーク10を検出するワーク検出部32と、記憶部33と、を備える。ワーク検出部32は、ワークサーチ部42と、第1ワーク誤判定部43とを備える。ワークサーチ部42は、外形情報に基づいて画像からワーク10を探索する。第1ワーク誤判定部43は、ワークサーチ部42によって探索されたワーク10のワーク輝度と輝度情報との比較によって、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かを判定する。
【0078】
画像において外形情報に基づいてワーク10を探索する探索処理では、ワーク10以外の物の外形の一部をワーク10の一部として誤って認識し、この認識に基づいてワーク10を誤検出する場合がある。このような誤検出のワーク10の外形は、本来のワーク10の外形と異なる形状を有する。このため、誤検出のワーク10のワーク輝度は、本来のワーク10のワーク輝度と異なる。上記構成によれば、ワークサーチ部42によって探索されたワーク10の画像におけるワーク輝度と輝度情報との比較によって、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かを判定する。これによって、誤検出のワーク10を排除できる。このため、ワーク10と光源との間に光を遮る物がある場合において、ワーク10の認識率を向上できる。
【0079】
(2)第1ワーク誤判定部43は、ワークサーチ部42によって探索されたワーク10(図7図8参照)において単位面積あたりの平均の輝度をワーク輝度として算出する。そして、第1ワーク誤判定部43は、ワーク輝度がワーク基準輝度よりも低いか否かによって、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かを判定する。
【0080】
この構成によれば、ワークサーチ部42によって探索されたワーク10において単位面積あたりの平均の輝度と、予め設定されるワーク基準輝度とを比較する。このように、簡単な計算によって、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かの結果を得ることができる。
【0081】
(3)ワークサーチ範囲設定部41は、収容部情報に基づいて、パレット20においてワーク10を探索する範囲であるワークサーチ範囲WSAを設定する。ワークサーチ部42は、ワークサーチ範囲WSA内においてワーク10を探索する。
【0082】
ワーク10は収容部22に収容されるため、パレット20においてワーク10が配置される範囲は制限される。上記構成によれば、ワーク10が配置される範囲にワークサーチ範囲WSAを設定する。これによって、ワーク10が配置されない部分の探索が削減される。このように、無断な探索を抑制できる。
【0083】
(4)第2ワーク誤判定部44は、ワークサーチ部42によって探索されたワーク10の位置とワーク占有情報とワークサーチ範囲WSAとに基づいて、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かを判定する。
【0084】
ワーク10は、ワーク10の全体がパレット20の収容部22に収まるように収容部22内に位置する。したがって、ワーク10の一部がワークサーチ範囲WSAからはみ出ることはない。しかし、ワーク10の探索では、ワーク10の中心がワークサーチ範囲WSA内に位置する全てのパターンについて、ワーク10を探索する。このため、ワーク10の一部がワークサーチ範囲WSAからはみ出るようなワーク10の位置であってもワーク10を検出する場合がある。この点、上記構成では、第2ワーク誤判定部44は、ワーク10の位置とワーク占有情報とワークサーチ範囲WSAとに基づいて、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かを判定する。これによって、誤検出のワーク10を排除できる。このため、ワーク10と光源との間に光を遮る物がある場合において、ワーク10の認識率を向上できる。
【0085】
(5)ワーク占有情報は、ワーク10の中心位置CPを中心とする所定半径の円を形成する情報である。第2ワーク誤判定部44は、ワーク占有情報に基づいてワーク10の位置を中心として描かれる円の円周と、ワークサーチ範囲WSAの外形とが交差するか否かによって、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かを判定する。
【0086】
ワーク10の外形は、単なる円または単なる矩形ではなく、複雑である。このため、ワーク占有情報としてワーク10の外形を使うと、ワーク10の一部がワークサーチ範囲WSAからはみ出るか否かの計算が複雑になり、計算時間が長くなる。この点、上記構成では、ワーク占有情報は円である。そして、ワーク占有情報に基づいてワーク10の位置を中心として描かれる円の円周とワークサーチ範囲WSAの外形とが交差するか否かによって、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かを判定する。このように計算が単純化されるため、判定結果を導き出す時間を短くできる。
【0087】
<第2実施形態>
図11図15を参照して、第2実施形態に係るワーク認識システム5を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。以下、第1実施形態の構成と異なる点について説明する。
【0088】
本実施形態では、ワーク検出部32は、収容部22の網目のシルエットSLに基づいて、ワーク10の探索の前にワーク10の存否またはワーク10が存在しうる可能性がある範囲を制限する。以下、本実施形態の構成を説明する。以下、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0089】
[パレット登録部]
パレット登録部35は、次のパレット情報を記憶部33に登録する。パレット情報は、収容部22の網目構造に関する網目構造情報を含む。記憶部33は、網目構造情報を記憶する。
【0090】
網目構造情報は、収容部22の底部23に対応する部分の網目構造に関する情報である。網目構造情報は、収容部22に設けられる網目の個数、網目それぞれの位置、および、網目それぞれの形状の少なくとも1つの情報を含む。一例では、網目構造情報は、収容部22に設けられる網目の個数、網目それぞれの重心位置、および、網目それぞれの形状の情報、を含む。
【0091】
図11に示されるように、網目構造情報において、網目それぞれは、数字によってラベリングされる。例えば、1行1列目の収容部22には、No1がラベリングされる。1行2列目の収容部22には、No2がラベリングされる。網目構造情報では、ラベリングの番号と、網目の位置とが対応づけられている。網目の位置は、網目の重心位置として定義される。網目の重心位置は、網目の形状から特定される。網目の位置は、網目の角の位置として定義されてもよい。
【0092】
[ワーク検出部]
図12に示されるように、ワーク検出部32は、第1実施形態の構成に加えて、さらに、ワーク存否判定部45と、ワークサーチ範囲再設定部46とを備える。
【0093】
[ワーク存否判定部]
ワーク存否判定部45は、画像において収容部22の底部23に対応する部分の部分画像と網目構造情報との照合に基づいて、ワーク10の存否の判定を行う。
【0094】
具体的には、ワーク存否判定部45は、画像においてワークサーチ範囲WSAに対応する部分の部分画像を取得する。ワーク存否判定部45は、部分画像において、網目構造情報における網目の重心位置と対応する位置を特定し、特定した位置を含む領域の網目形状を特定する。このような網目の特定を、網目構造情報における網目と同じ数だけ実行する。そして、網目構造情報における網目の形状、重心位置、および平均輝度と、部分画像において特定された網目の形状、重心位置、および平均輝度とを、それぞれに比較し、両部分を照合する。
【0095】
例えば、網目構造情報におけるNo1の網目の情報と、部分画像においてNo1の網目と対応する部分の網目の構造とが比較される。両情報の照合では、重心位置、網目の形状、および、平均輝度それぞれの差が算出され、すべての差が所定値以下である場合、両網目は類似すると判定する。このような判定は、網目構造情報の全ての網目について行われる。これによって、部分画像において、網目構造情報における網目と類似する網目がある範囲を特定することができる。網目構造情報における網目の全てが部分画像の網目の1つ1つと対応付けられる場合、画像において、収容部22の網目が全て認識されていることを示す。このような場合、収容部22にはワーク10が配置されていないと推認できる。
【0096】
このため、ワーク存否判定部45は、網目構造情報と部分画像との照合によって、全ての網目について互いに類似する場合、ワークサーチ範囲WSAにワーク10がないと判定する。この場合、ワーク検出部32は、ワーク存否判定部45の判定結果に基づいて、判定対象とされたワークサーチ範囲WSAにおいてワーク10の探索を行わない。
【0097】
ワーク存否判定部45は、部分画像と網目構造情報との照合によって、部分画像において特定される網目のうちの1つが、網目構造情報の網目の情報と異なる場合、ワークサーチ範囲WSAにワーク10が存在する可能性があると判定する。この場合、ワーク検出部32は、ワーク存否判定部45の判定結果に基づいて、判定対象とされたワークサーチ範囲WSAにおいてワーク10の探索を実行する。
【0098】
[ワークサーチ範囲再設定部]
図13および図14を参照して、ワークサーチ範囲再設定部46について説明する。
ワークサーチ範囲再設定部46は、画像において収容部22の底部23に対応する部分の部分画像と網目構造情報との照合に基づいて、ワーク10を探索する範囲を再設定する。
【0099】
ワークサーチ範囲再設定部46は、部分画像と網目構造情報とを照合する。この照合は、ワーク存否判定部45において行われる照合と同じ方法によって行われる。そして、ワークサーチ範囲再設定部46は、この照合によって、ワークサーチ範囲WSAにおいて照合が合う領域を特定する。
【0100】
部分画像において特定される網目それぞれについて、網目構造情報の網目の情報と照合すると、互いに類似することによって照合が合う網目と、互いに類似しないことによって照合が合わない網目とが生じる。部分画像において、網目構造情報の網目の情報と照合が合う網目が存在する範囲は、ワーク10が存在しないと推認できる。したがって、このように判定される範囲は、ワーク10の探索を行う必要がない。そこで、ワークサーチ範囲再設定部46は、特定された領域の少なくとも一部が含まれないように、ワーク10を探索する範囲を再設定する。
【0101】
図15を参照して、ワーク検出部32の動作を説明する。
ワーク検出部32は、パレット20毎にワーク検出処理を実行する。ワーク認識処理は、第11ステップS11~第20ステップS20を含む。
【0102】
第11ステップS11において、ワーク検出部32は、ワークサーチ範囲設定部41によってワークサーチ範囲WSAを設定する。第12ステップS12において、ワーク検出部32は、ワーク存否判定部45によってワーク存否判定を実行する。
【0103】
第13ステップS13において、ワーク検出部32は、ワーク存否判定部45の結果に基づいてワーク10の存否を判定する。ワーク10が存在すると判定する場合、ワーク検出部32は、次の第14ステップS14を実行する。ワーク10が存在しないと判定する場合、ワーク検出部32は、第20ステップS20を実行する。
【0104】
第14ステップS14において、ワーク検出部32は、ワークサーチ範囲再設定部46によってワーク10のワークサーチ範囲WSAの再設定を行う。第15ステップS15~第20ステップS20は、それぞれ第1実施形態の第2ステップS2~第7ステップS7と同じである。
【0105】
[第2実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1)記憶部33は、さらに、収容部22の底部23に対応する部分の網目構造に関する網目構造情報を記憶する。ワーク検出部32は、さらに、画像において収容部22の底部23に対応する部分の部分画像と網目構造情報との照合に基づいて、ワーク10の存否の判定を行うワーク存否判定部45を備える。
【0106】
収容部22にワーク10が配置されていない場合がある。このような場合に、ワーク10の探索を行うと、無駄な時間を使うことになる。この点、上記構成によれば、ワークサーチ範囲WSAに対応する部分の部分画像と収容部22の網目構造情報との照合に基づいて、ワーク10の存否の判定を行う。このため、ワーク10が存在しない場合に、当該収容部22においてワーク10の探索を省略できる。
【0107】
(2)網目構造情報は、収容部22に設けられる網目の個数、網目それぞれの位置、および、網目それぞれの形状の少なくとも1つの情報を含む。
この構成によれば、ワーク10の存否の判定のための照合において、網目構造情報として、収容部22に設けられる網目の個数、網目それぞれの位置、および、網目それぞれの形状の少なくとも1つの情報を使う。照合に網目の情報を使うことによってワーク存否判定の精度を向上できる。
【0108】
(3)記憶部33は、さらに、収容部22の底部23においてワークサーチ範囲WSAに対応する部分の網目構造に関する網目構造情報を記憶する。ワークサーチ範囲再設定部46は、画像において収容部22の底部23に対応する部分の部分画像と網目構造情報との照合に基づいて、ワーク10を探索する範囲を再設定するワークサーチ範囲再設定部46を備える。
【0109】
この構成によれば、ワークサーチ範囲WSAよりも狭い範囲でワーク10の探索を行うことができる。これによって、ワーク10の探索時間を削減できる。
(4)網目構造情報は、収容部22に設けられる網目の個数、網目それぞれの位置、および、網目それぞれの形状の少なくとも1つの情報を含む。ワークサーチ範囲再設定部46は、部分画像と網目構造情報とを照合することによって、ワークサーチ範囲WSAにおいて照合が合う領域を特定し、特定された領域の少なくとも一部が含まれないように、ワーク10を探索する範囲を再設定する。
【0110】
この構成によれば、ワーク10の存在する領域の設定において、網目構造情報として、収容部22に設けられる網目の個数、網目それぞれの位置、および、網目それぞれの形状の少なくとも1つの情報を使う。このように、網目構造情報を使うことによって、ワーク10が存在する部分と、ワーク10が存在しない部分との境界を、細かく設定することができる。これによって、ワーク10の探索する範囲をより狭くすることが可能になる。
【0111】
<変形例>
上記実施形態は、ワーク認識システム5の形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。ワーク認識システム5は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0112】
図16および図17を参照して、ワーク10の誤検出の他の判定方法を説明する。記憶部33は、さらに、ワーク配置範囲情報を記憶する。ワーク配置範囲情報は、収容部22においてワーク10が配置し得る範囲ARとして設定される。ワーク10が配置し得る範囲ARは、収容部22の底部23において枠21に当たらずにワーク10が位置し得るワーク10の中心位置CPの範囲として定義できる。具体的には、ワーク10が配置し得る範囲ARは、収容部22の底部23の外形よりも一回り小さい領域として設定される。
【0113】
図17に示されるように、ワーク検出部32は、第3ワーク誤判定部47をさらに備える。ワーク検出部32は、第2ワーク誤判定部44に替えて、第3ワーク誤判定部47を備えてもよい。第3ワーク誤判定部47は、ワークサーチ部42によって探索されたワーク10の位置(一例では、中心位置CP)とワーク配置範囲情報とに基づいて、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かを判定する。図16に示される例では、ワークサーチ部42によって探索されたワーク10の位置(一例では、中心位置CP)は、ワーク10が配置し得る範囲ARから外れているため、ワーク検出部32は、このワーク10を誤検出と判定される。
【0114】
この例の作用を説明する。ワーク10は、ワーク10の全体がパレット20の収容部22に収まるように収容部22内に位置する。したがって、ワーク10の一部がワークサーチ範囲WSAからはみ出ることはない。しかし、ワーク10の探索では、ワーク10の中心がワークサーチ範囲WSA内に位置する全てのパターンについて、ワーク10を探索する。このため、ワーク10の一部がワークサーチ範囲WSAからはみ出るようなワーク10の位置であってもワーク10を検出する場合がある。この点、上記構成のワーク検出部32によれば、ワーク10の誤検出の判定の目的で、ワーク10が配置し得る範囲ARとして設定されるワーク配置範囲情報を使う。具体的には、第3ワーク誤判定部47は、ワーク10の位置とワーク配置範囲情報とに基づいて、探索されたワーク10の検出が誤検出であるか否かを判定する。これによって、誤検出のワーク10を排除できる。このため、ワーク10と光源との間に光を遮る物がある場合において、ワーク10の認識率を向上できる。
【符号の説明】
【0115】
WSA…ワークサーチ範囲、5…ワーク認識システム、10…ワーク、20…パレット、22…収容部、23…底部、31…画像取得部、32…ワーク検出部、33…記憶部、41…ワークサーチ範囲設定部、42…ワークサーチ部、43…第1ワーク誤判定部、44…第2ワーク誤判定部、45…ワーク存否判定部、46…ワークサーチ範囲再設定部、47…第3ワーク誤判定部。
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