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特開2024-76247ワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機を用いたワーク洗浄乾燥方法
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  • 特開-ワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機を用いたワーク洗浄乾燥方法 図1
  • 特開-ワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機を用いたワーク洗浄乾燥方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076247
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】ワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機を用いたワーク洗浄乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/08 20060101AFI20240529BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B08B3/08 Z
B08B3/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187726
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】516045159
【氏名又は名称】株式会社クリンビー
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】岡村 和彦
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB03
3B201BB02
3B201BB12
3B201BB82
3B201BB92
3B201BB95
3B201CB12
3B201CC15
(57)【要約】
【課題】大気側から密閉した状態で、洗浄剤としてフッ素系溶剤を用いてワークの洗浄および乾燥を行うワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機における溶剤蒸気ロスを実質的に零にできるようにすること。
【解決手段】真空乾燥洗浄機1のワークの真空乾燥時に、真空洗浄乾燥槽4を真空引きする真空ドライポンプ5からの排気を、溶剤蒸気回収タンク7を介して圧力吸収タンク8に回収し、回収した排気を、次の動作サイクルにおいて、ワーク投入後に真空引きされて減圧された真空洗浄乾燥槽4に戻し、タンク内圧を当該真空洗浄乾燥槽4と同等の減圧状態にする。排気回収後のタンク内圧が大気圧以上にならないように、圧力吸収タンク8の内容積等が設定される。溶剤蒸気ロスを可能な限り低減できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気側から密閉された状態で、洗浄剤としてフッ素系溶剤を用いてワークの洗浄および乾燥を行うワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機を用いたワーク洗浄乾燥方法であって、
前記密閉型真空洗浄乾燥機は、
前記洗浄剤を貯留した貯留槽と、
前記洗浄剤の蒸気を発生する蒸気発生器と、
前記貯留槽から供給される前記洗浄剤を用いたワークの浸漬洗浄、前記蒸気発生器から供給される前記洗浄剤の蒸気を用いたワークの蒸気洗浄、および、洗浄後の前記ワークの真空乾燥を行う真空洗浄乾燥槽と、
前記真空洗浄乾燥槽の真空引きを行う真空ドライポンプと、
前記真空洗浄乾燥槽に供給された前記洗浄剤を前記貯留槽に戻す洗浄剤還流手段と、
前記洗浄剤を蒸留再生する蒸留再生器と、
圧力吸収タンクと、
を備えており、
前記ワークが投入されて密閉された前記真空洗浄乾燥槽の内圧が、大気圧の状態から所定の真空度となるまで前記真空ドライポンプによって真空引きし、当該真空ドライポンプの排気を大気側に放出し、
真空引き後の前記真空洗浄乾燥槽に前記圧力吸収タンクを連通させ、前記真空洗浄乾燥槽および前記圧力吸収タンクを前記真空度よりも低い真空度の減圧状態にし、前記圧力吸収タンクを閉じ、
前記真空洗浄乾燥槽を前記真空ドライポンプによって真空引きすることで行われる前記真空乾燥時に、前記圧力吸収タンクを開き、前記真空洗浄乾燥槽から排出される排気を、大気側に放出せずに、前記圧力吸収タンクに回収し、
前記排気を回収した後の前記圧力吸収タンクの内圧が、大気圧未満の減圧状態に維持されるように、当該圧力吸収タンクの内容積および前記真空度を設定することを特徴とするワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機を用いたワーク洗浄乾燥方法。
【請求項2】
大気側から密閉された状態で、洗浄剤としてフッ素系溶剤を用いてワークの洗浄および乾燥を行うワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機であって、
前記洗浄剤を貯留した貯留槽と、
前記洗浄剤の蒸気を発生する蒸気発生器と、
前記貯留槽から供給される前記洗浄剤を用いたワークの浸漬洗浄、前記蒸気発生器から供給される前記洗浄剤の蒸気を用いたワークの蒸気洗浄、および、洗浄後の前記ワークの真空乾燥を行う真空洗浄乾燥槽と、
前記真空洗浄乾燥槽の真空引きを行う真空ドライポンプと、
前記真空洗浄乾燥槽に供給された前記洗浄剤を前記貯留槽に戻す洗浄剤還流手段と、
前記洗浄剤を蒸留再生する蒸留再生器と、
圧力吸収タンクと、
前記の各部の駆動を制御する制御装置と、
を備えており、
前記制御装置は、
前記ワークが投入されて密閉された前記真空洗浄乾燥槽の内圧が、大気圧の状態から所定の真空度となるまで前記真空ドライポンプによって真空引きし、当該真空ドライポンプの排気を大気側に放出する制御動作機能と、
真空引き後の前記真空洗浄乾燥槽に前記圧力吸収タンクを連通させ、前記真空洗浄乾燥槽および前記圧力吸収タンクを前記真空度よりも低い真空度の減圧状態にし、前記圧力吸収タンクを閉じる制御動作機能と、
前記真空洗浄乾燥槽を前記真空ドライポンプによって真空引きすることで行われる前記真空乾燥時に、前記圧力吸収タンクを開き、前記真空洗浄乾燥槽から排出される排気を、大気側に放出せずに、前記圧力吸収タンクに回収する制御動作機能と、
を備えており、
前記排気を回収した後の前記圧力吸収タンクの内圧が、大気圧未満の減圧状態に維持されるように、当該圧力吸収タンクの内容積および前記真空度が設定されていることを特徴とするワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気側から密閉された状態で、洗浄剤としてフッ素系溶剤を用いてワークの洗浄および乾燥を行うワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機を用いたワーク洗浄乾燥方法に関し、更に詳しくは、溶剤蒸発ロスが実質的に零となるようにした完全密閉型のワーク洗浄乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素系溶剤を洗浄剤として用いて各種の電子部品等を洗浄する洗浄装置が知られており、例えば、本願人はワンバス式真空洗浄機(商品名:FLOVA)を製造販売している(非特許文献1)。このワンバス式真空洗浄機は、従来の3槽式洗浄機によって行われているワークの粗超音波洗浄、仕上げ超音波洗浄、蒸気洗浄および真空乾燥を、ワンバスの中で、溶剤を出し入れしながら全自動で行うものである。洗浄から乾燥まで密閉された同一の洗浄槽の中で行われ、また、ワークの投入、取出しのために洗浄槽を開放した際もフッ素系溶剤が大気に暴露しないので、溶剤蒸気ロスを大幅に削減できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“フッ素系ワンバス式真空洗浄機 FLOVA”,[online],株式会社クリンビー,[平成4年10月12日検索],インターネット,<URL:https://www.cleanvy.co.jp/businesses/businesses-363/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような密閉型のワンバス式真空洗浄乾燥機においては、機外への溶剤蒸気の流出ロスの更なる低減が要求される。このためには、大気側から遮断されている真空洗浄乾燥槽を含む機内配管系の内圧を大気圧未満の状態に維持して溶剤蒸気を大気側に流出させないことが重要である。
【0005】
本発明の目的は、この点に鑑みて、大気側から密閉した状態で、フッ素系溶剤を用いてワークの洗浄および乾燥を行うワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機を用いたワーク洗浄乾燥方法において、大気側への溶剤流出ロスを実質的に零にできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、洗浄剤としてフッ素系溶剤を用いてワークの洗浄および乾燥を行うワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機を用いたワーク洗浄乾燥方法であって、
前記密閉型真空洗浄乾燥機は、
前記洗浄剤を貯留した貯留槽と、
前記洗浄剤の蒸気を発生する蒸気発生器と、
前記貯留槽から供給される前記洗浄剤を用いたワークの浸漬洗浄、前記蒸気発生器から供給される前記洗浄剤の蒸気を用いたワークの蒸気洗浄、および、洗浄後の前記ワークの真空乾燥を行う真空洗浄乾燥槽と、
前記真空洗浄乾燥槽の真空引きを行う真空ドライポンプと、
前記真空洗浄乾燥槽から前記洗浄剤を前記貯留槽に戻す洗浄剤還流手段と、
前記洗浄剤を蒸留再生する蒸留再生器と、
圧力吸収タンクと、
を備えており、
前記ワークが投入されて密閉された前記真空洗浄乾燥槽の内圧が、大気圧の状態から所定の真空度となるまで前記真空ドライポンプによって真空引きし、当該真空ドライポンプの排気を大気側に放出し、
真空引き後の前記真空洗浄乾燥槽に前記圧力吸収タンクを連通させ、前記真空洗浄乾燥槽および前記圧力吸収タンクを前記真空度よりも低い真空度の減圧状態にし、前記圧力吸収タンクを閉じ、
前記真空洗浄乾燥槽を前記真空ドライポンプによって真空引きすることで行われる前記真空乾燥時に、前記圧力吸収タンクを開き、前記真空洗浄乾燥槽から排出される排気を、大気側に放出せずに、前記圧力吸収タンクに回収し、
前記排気回収後の前記圧力吸収タンクの内圧が、大気圧未満の減圧状態に維持されるように、当該圧力吸収タンクの内容積および前記真空度を設定することを特徴としている。
【0007】
本発明では、一定の内容積の圧力吸収タンクを機内洗浄剤流通系に付設し、ワークの真空乾燥時に真空洗浄乾燥槽から排出される排気を圧力吸収タンクに回収し、回収した排気を、次のワーク洗浄乾燥サイクルにおいて、ワーク投入後に真空引きされて所定の真空度に減圧された真空洗浄乾燥槽に戻し、タンク内圧を当該真空洗浄乾燥槽と同等の減圧状態にしている。また、排気回収後のタンク内圧が大気圧以上にならないように、その内容積およびワーク投入後の真空引きによる真空洗浄乾燥槽の真空度を設定している。これにより、機内から大気側に排気が放出されるのは、洗浄乾燥後のワークを取り出して新たな洗浄対象のワークを投入するために真空洗浄乾燥槽を開けて大気開放する場合のみとなり、溶剤蒸気ロスを可能な限り低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明を適用したワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機の主要部分の構成を示す概略構成図である。
図2図1の密閉型真空洗浄乾燥機の動作手順および機内各部の圧力変化を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して、本発明の方法を適用したフッ素系溶剤を用いてワークの洗浄および乾燥を行うワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機、および当該密閉型真空洗浄乾燥機のワーク洗浄乾燥動作を説明する。
【0010】
図1を参照してワンバス式の密閉型真空洗浄乾燥機の構成を説明する。密閉型真空洗浄乾燥機1は、洗浄剤としてフッ素系溶剤(以下、単に「溶剤」という。)を貯留した貯留槽である真空バッファタンク2、溶剤蒸気の生成および溶剤の蒸留再生を行う蒸留再生・蒸気発生器3、ワークに溶剤を用いた浸漬洗浄および溶剤蒸気を用いた蒸気洗浄を施し、洗浄後のワークを真空乾燥させるための真空洗浄乾燥槽4、真空洗浄乾燥槽4を真空引きする真空ドライポンプ5、真空洗浄乾燥槽4から溶剤を真空バッファタンク2に戻す溶剤還流手段6、溶剤蒸気を回収する溶剤蒸気回収タンク7、および、機内各部の内圧を大気圧未満の状態に維持するために付設した圧力吸収タンク8を備えている。また、図示を省略してあるが、これらの各部の駆動を制御して、予め設定された手順によりワークの洗浄乾燥動作(図2参照)を実行する制御装置が備わっている。
【0011】
溶剤の貯留槽である真空バッファタンク2は、内部に、仕上洗浄用溶剤を貯留する仕上溶剤槽21と、粗洗浄用溶剤を貯留する粗溶剤槽22とを備え、仕上溶剤槽21の溶剤がオーバーフローして隣接の粗溶剤槽22に流れ込むようになっている。蒸留再生・蒸気発生器3は、縦置きの筒状容器31の内部において、その底側はヒーター32が配置された溶剤貯留部33となっており、貯留部上側は溶剤蒸気発生部34となっており、上端側は溶剤蒸気凝縮用の冷却コイル35が配置された溶剤凝縮部36となっている。発生する溶剤蒸気は真空洗浄乾燥槽4に供給され、溶剤凝縮部36において得られる溶剤の凝縮液は、熱交換器9、水分分離器10を介して、真空バッファタンク2の仕上溶剤槽21に回収されるようになっている。
【0012】
真空洗浄乾燥槽4は、真空バッファタンク2の下方の位置に配置されており、上端に開閉蓋41が取り付けられており、開閉蓋41を開けて、洗浄対象のワーク(図示せず)を入れたバスケット42を出し入れ可能である。真空洗浄乾燥槽4の内部の底には超音波発生器43が配置されている。真空洗浄乾燥槽4には、真空バッファタンク2の仕上溶剤槽21および粗溶剤槽22のそれぞれから溶剤が供給される。真空洗浄乾燥槽4においてワーク洗浄を行った後の溶剤は、溶剤還流手段6によって、真空バッファタンク2に戻される。溶剤還流手段6は、真空洗浄乾燥槽4に供給された粗溶剤を、粗溶剤バッファタンク61、粗溶剤ポンプ62および粗溶剤フィルタ63を介して粗溶剤槽22に戻し、真空洗浄乾燥槽4に供給された仕上溶剤を、仕上溶剤バッファタンク64、仕上溶剤ポンプ65および仕上溶剤フィルタ66を介して仕上溶剤槽21に戻す。
【0013】
真空ドライポンプ5は、その吸入口51がバルブを介して真空洗浄乾燥槽4に連通可能である。真空ドライポンプ5の吐出口52は、大気側および蒸留再生・蒸気発生器3に、それぞれバルブを介して連通可能である。
【0014】
溶剤蒸気回収タンク7は内部に冷却コイル71が配置されている。溶剤蒸気回収タンク7の排気入口72は、蒸留再生・蒸気発生器3の溶剤蒸気発生部34に連通しており、その排気出口73はバルブを介して圧力吸収タンク8に連通可能である。圧力吸収タンク8はバルブを介して真空洗浄乾燥槽4に連通可能である。
【0015】
図2は、密閉型真空洗浄乾燥機1のワーク洗浄乾燥動作および機内各部の圧力変化を示す説明図である。この図に従ってワークの洗浄乾燥動作を説明する。真空洗浄乾燥槽4における動作サイクルは、ワーク投入、真空引き、粗溶剤の給液、粗洗浄である粗真空超音波浸漬洗浄、粗溶剤の排液、仕上溶剤の給液、仕上洗浄である仕上真空超音波浸漬洗浄、仕上溶剤の排液、減圧蒸気洗浄、液抜き、真空乾燥、および、真空解除・ワーク取出しの各工程を含む。
【0016】
ワーク投入工程では、洗浄対象のワークを入れたバスケット42を、大気開放した真空洗浄乾燥槽4に投入する。次の真空引き工程では、ワークが投入されて密閉された真空洗浄乾燥槽4を真空ドライポンプ5で真空引きし、第1真空度、例えば5kPaの減圧状態にする(時点T1~T2)。この後(時点T2において)、真空洗浄乾燥槽4を圧力吸収タンク8に連通させて、真空洗浄乾燥槽4から圧力吸収タンク8に負圧を供給して、双方を第1真空度よりも低い第2真空度、例えば50kPaの減圧状態にし、双方の間を遮断する。換言すると、前回の動作サイクルにおいて圧力吸収タンク8に回収されている排気を真空洗浄乾燥槽4に戻す。この後は、圧力吸収タンク8の封鎖状態を真空乾燥工程の開始時点(時点T10)まで維持する。
【0017】
真空引き工程の次の粗溶剤の給液工程では、第2真空度の真空洗浄乾燥槽4と、大気圧状態よりも僅かに低い減圧状態、例えば100kPaの内圧状態の真空バッファタンク2との間の圧力差と高低差を利用して、粗溶剤槽22に貯留されている粗溶剤を真空洗浄乾燥槽4に供給する(時点T2~T3)。閉鎖状態の圧力吸収タンク8を除き、真空洗浄乾燥槽4、真空バッファタンク2を含む各部は同一の減圧状態、例えば80kPaになる。この状態で、超音波発生器43が駆動されて、粗真空超音波浸漬洗浄工程が行われる(時点T3~T4)。この後の粗溶剤の排液工程では、溶剤還流手段6の粗溶剤ポンプ62を駆動して真空洗浄乾燥槽4から粗溶剤を真空バッファタンク2の粗溶剤槽22に戻す(時点T4~T5)。
【0018】
同様に、次の仕上溶剤の給液工程では、真空ドライポンプ5を駆動して真空洗浄乾燥槽4を真空引きして第2真空度の減圧状態に戻し、真空ドライポンプ5の排気を、蒸留再生・蒸気発生器3および、ここを介して真空バッファタンク2に送り込み、真空洗浄乾燥槽4と真空バッファタンク2との間に圧力差を形成して、仕上溶剤槽21から真空洗浄乾燥槽4に仕上溶剤を供給する(時点T5~T6)。この状態で、超音波発生器43が駆動されて、仕上真空超音波浸漬洗浄工程が行われる(時点T6~T7)。この後の仕上溶剤の排液工程では、溶剤還流手段6の仕上溶剤ポンプ65を駆動して、真空洗浄乾燥槽4から仕上げ溶剤を真空バッファタンク2の仕上溶剤槽21に戻す(時点T7~T8)。
【0019】
次の減圧蒸気洗浄工程では、真空ドライポンプ5を間欠駆動して、真空洗浄乾燥槽4を減圧し、蒸留再生・蒸気発生器3において生成される溶剤蒸気を真空洗浄乾燥槽4に供給してワークを減圧蒸気洗浄する(時点T8~T9)。真空ドライポンプ5の排気は蒸留再生・蒸気発生器3に排出される。真空洗浄乾燥槽4、真空バッファタンク2等の内圧は、例えば、80kPaから90kPaに上がる。真空洗浄乾燥槽4において、溶剤蒸気は、ワークに凝縮して底に溜まる。次の液抜き工程では、真空洗浄乾燥槽4に溜まった溶剤蒸気の凝縮液を、仕上溶剤ポンプ65を駆動して、真空バッファタンク2の仕上溶剤槽21に回収する(時点T9~T10)。
【0020】
次の真空乾燥工程では、真空洗浄乾燥槽4を、真空ドライポンプ5、蒸留再生・蒸気発生器3、溶剤蒸気回収タンク7を経由して、圧力吸収タンク8に連通させ、真空ドライポンプ5を駆動して、真空洗浄乾燥槽4を真空引きして、ワークの真空乾燥を行う(時点T10~T11)。真空ドライポンプ5の排気は、蒸留再生・蒸気発生器3および溶剤蒸気回収タンク7を介して、圧力吸収タンク8に回収される。排気に含まれる溶剤蒸気は、蒸留再生・蒸気発生器3の溶剤凝縮部36の冷却コイル35で凝縮し、真空バッファタンク2の仕上溶剤槽21に回収される。また、蒸留再生・蒸気発生器3を通過して溶剤蒸気回収タンク7に流入した排気に含まれる残存溶剤蒸気は、溶剤蒸気回収タンク7において回収され、溶剤蒸気が除去された排気が圧力吸収タンク8に回収される。圧力吸収タンク8は、排気を回収することで、第2真空度の減圧状態から大気圧に近い減圧状態になるが、大気圧以上にはならないように、内容積、第1真空度等が設定されている。
【0021】
真空乾燥後の真空解除・ワーク取出し工程では、真空洗浄乾燥槽4を他の部位から遮断して、当該真空洗浄乾燥槽を大気開放して大気圧状態に戻す(時点T11)。この後は、真空洗浄乾燥槽4を開き、ワークの取り出しが行われる。真空洗浄乾燥槽4以外の部位の内圧は、大気圧よりも僅かに低い減圧状態に維持される。
【0022】
(その他の実施の形態)
上記の真空洗浄乾燥機1では、溶剤蒸気回収タンク7と圧力吸収タンク8とを別個に配置し、これらの間を配管によって接続している。これらを一つにまとめて、必要とされる内容積を確保可能なサイズの溶剤蒸気回収機能を備えた圧力吸収タンクを配置することも可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 真空洗浄乾燥機
2 真空バッファタンク
3 蒸留再生・蒸気発生器
4 真空洗浄乾燥槽
5 真空ドライポンプ
6 溶剤還流手段
7 溶剤蒸気回収タンク
8 圧力吸収タンク
9 熱交換器
10 水分分離器
21 仕上溶剤槽
22 粗溶剤槽
31 筒状容器
32 ヒーター
33 溶剤貯留部
34 溶剤蒸気発生部
35 冷却コイル
36 溶剤凝縮部
41 開閉蓋
42 バスケット
43 超音波発生器
51 吸入口
52 吐出口
61 粗溶剤バッファタンク
62 粗溶剤ポンプ
63 粗溶剤フィルタ
64 仕上溶剤バッファタンク
65 仕上溶剤ポンプ
66 仕上溶剤フィルタ
71 冷却コイル
72 排気入口
73 排気出口
図1
図2