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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076265
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】シリコーンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/30 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
C08J9/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187762
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000127307
【氏名又は名称】株式会社イノアック技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】菊地 敦紀
(72)【発明者】
【氏名】大田 英生
(72)【発明者】
【氏名】笹澤 和也
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA02
4F074AA91
4F074AA95
4F074AA98
4F074AC20
4F074AC36
4F074AE04
4F074AG01
4F074AG10
4F074CB51
4F074DA02
4F074DA08
4F074DA18
4F074DA23
4F074DA32
4F074DA47
(57)【要約】
【課題】 例えばEVのバッテリーのセル間のような、製造時・使用時における様々な圧縮状態が想定される各種用途に対応可能な、断熱シートを提供することである。
【解決手段】 特定のフィラーを含有するシリコーンフォームである。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機フィラー、及び/又は、アスペクト比40以上からなる繊維状フィラーを含有するシリコーンフォーム 。
【請求項2】
更に、無機フィラーを含有する、請求項1記載のシリコーンフォーム。
【請求項3】
JIS K 6254:2010に準拠した30%CLD硬度が0.05MPa以上であり、JIS K 6254:2010に準拠した80%CLD硬度が1.0MPa以下である、請求項1記載のシリコーンフォーム。
【請求項4】
圧縮残留歪が20%以下である、請求項1~3のいずれか一項記載のシリコーンフォーム。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項記載のシリコーンフォームを含む、バッテリーモジュールのセル間クッション材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)に使用されるバッテリーには、充放電、異常時にセルより発生した熱のセル間での移動を防ぐため(特に熱暴走時)、セル間に断熱材が用いられている。また、車両走行時の揺れ等に伴う振動・衝撃に耐え得る耐衝撃性が必要となる。これらの対策として、断熱性のセル間クッションが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-2979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、例えばEVのバッテリーのセル間のような、製造時・使用時における様々な圧縮状態が想定される各種用途に対応可能な、断熱性素材の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、有機フィラー、及び/又は、アスペクト比40以上からなる繊維状フィラーを含有するシリコーンフォームである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、製造時・使用時(例えば、EVのバッテリーのセル間での用途においては、充放電時や衝突時)における様々な圧縮状態が想定される用途にも対応できる、シリコーンフォームの提供が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一形態であるシリコーンフォームを詳述する。
【0008】
≪シリコーンフォーム≫
本形態に係るシリコーンフォームは、特に限定されず、例えば、固体状原料タイプのシリコーンフォーム(ミラブルシリコーンフォーム等)や、液体状原料タイプのシリコーンフォーム(2液型シリコーンフォーム等)や、エマルジョンを利用したシリコーンフォームが挙げられる。ミラブルシリコーンフォームとは、オルガノポリシロキサンを主原料とし、各種添加剤(充填剤、分散剤、加硫剤等)を配合して混練し、熱硬化させて得られるシリコーンフォームである。添加剤として発泡剤(化学発泡剤)を使用することで、フォーム状のシリコーン樹脂とすることができる。また、2液型シリコーンフォームとは、2液の液状シリコーン材料を混合・撹拌することによって硬化時に発生したガス(水素)により発泡し、気泡(セル)が形成された発泡体である。更に、エマルジョンを利用したシリコーンフォームとは、シリコーンと水とを乳化してエマルジョン組成物を作製し、当該エマルジョン組成物を機械的に発泡させた後、硬化(乾燥)する工程を経て形成することで得られる発泡体である。
【0009】
<添加成分>
(有機フィラー・繊維状フィラー)
本形態に係るシリコーンフォームは、有機フィラー、及び/又は、アスペクト比40以上からなる繊維状フィラーを含有していることが好適である。ここで、有機フィラーとしては、例えば、マイクロセルロース、アラミド繊維等の繊維状フィラーや、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等の微粒子状フィラー等が挙げられる。また、アスペクト比40以上からなる繊維状フィラーとしては、例えば、マイクロセルロース、アラミド繊維、炭素繊維、AES繊維、バサルト繊維、ガラス繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ、ワラステナイトウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維等を挙げることができる。また、アスペクト比40以上からなる繊維状フィラーのアスペクト比は、下限値は、例えば、40、50、75、100、125、150、175、200、225、250であり、上限値は、例えば、100000、75000、50000、25000、10000、7500、5000、2500、2250、2000、1750、1500、1250、1000である。このように、シリコーンフォームが該フィラーを含有していることに起因して、低圧縮状態及び高圧縮状態での、より好適な硬さや柔らかさを実現することが可能となる。ここで、シリコーンフォームにおける有機フィラー及び/又はアスペクト比40以上からなる繊維状フィラーの含有量は、シリコーンフォームの全質量を基準として、好適には、0.1質量%以上7.5質量%以下であることが好適である。具体的には、シリコーンフォームにおける有機フィラー及び/又はアスペクト比40以上からなる繊維状フィラーの含有量の下限値は、例えば、0.1質量%、0.25質量%、0.5質量%、0.75質量%、1質量%、1.25質量%、1.5質量%であり、下限値は、例えば、7.5質量%、7質量%、6.5質量%、6質量%、5.5質量%、5質量%、4.5質量%、4質量%である。ここで、アスペクト比とは、平均繊維長/平均繊維径をいう(例えば100個の平均値)。
【0010】
(無機フィラー)
本形態に係るシリコーンフォームは、前述した有機フィラー及び前述したアスペクト比40以上からなる繊維状フィラー以外のフィラーとして、無機フィラーを含有していてもよい。無機フィラーを含有することで、より高い硬度を実現できる。尚、ここでいう「無機フィラー」とは、シリカ以外の無機材料からなるフィラーを意味する。ここで、無機フィラーとしては、例えば、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケート等の珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄等の金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。ここで、シリコーンフォームにおける無機フィラーの含有量は、シリコーンフォームの全質量を基準として、好適には、10質量%以上70質量%以下である。具体的には、シリコーンフォームにおける無機フィラーの含有量は、シリコーンフォームの全質量を基準として、下限値としては、例えば、10質量%以上、12.5質量%以上、15質量%以上、17.5質量%以上、20質量%以上、22.5質量%以上であり、上限値としては、例えば、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、27.5質量%以下、26質量%以下である。
【0011】
<厚さ>
発泡層の厚さは、特に限定されず、下限値としては、例えば、0.5mm以上、1.0mm以上、1.5mm以上、2mm以上であり、上限値としては、例えば、20mm以下、15mm以下、10mm以下、5mm以下である。
【0012】
<密度>
発泡層の密度の下限値は、例えば、100kg/m以上、125kg/m以上、150kg/m以上、175kg/m以上、200kg/m以上である。一方、発泡層の密度の上限値は、例えば、900kg/m以下、800kg/m以下、700kg/m以下、600kg/m以下、500kg/m以下、400kg/m以下、300kg/m以下である。
【0013】
<圧縮残留歪>
圧縮残留歪は、好適には20%以下であり、例えば、15%以下、10%以下、7.5%以下、5%以下、4%以下、3.5%以下である。
【0014】
<発泡倍率>
発泡倍率は、例えば、2倍以上、2.5倍以上、3倍以上、3.5倍以上、4倍以上、4.5倍以上、5倍以上であり、例えば、10倍以下、9倍以下、8倍以下、7倍以下、6倍以下である。
【0015】
<30%CLD硬度>
30%CLD硬度は、好適には、0.05MPa以上であり、例えば、0.06MPa以上、0.07MPa以上、0.08MPa以上、0.09MPa以上、0.1MPa以上、好適には、1.0MPa以下、例えば、0.5MPa以下、0.4MPa以下、0.3MPa以下、0.25MPa以下、0.2MPa以下、0.175MPa以下、0.15MPa以下である。ここで、本明細書及び本特許請求の範囲にいう「CLD」は、JIS K 6254:2010に基づいて測定された値を指す(常温常湿環境下にて、50mm径のサンプルを1mm/minの速度で圧縮したときの圧縮応力を測定)。
【0016】
<80%CLD硬度>
80%CLD硬度は、好適には、1.0MPa以下、例えば、1.0MPa以下、0.975MPa以下、0.95MPa以下、0.925MPa以下であり、好適には、0.5MPa以上であり、例えば、0.5MPa以上、0.55MPa以上、0.6MPa以上、0.65MPa以上、0.7MPa以上、0.75MPa以上、0.8MPa以上、0.85MPa以上、0.9MPa以上である。
【0017】
≪シリコーンフォームの製造方法≫
<製造方法1>
シリコーンフォームを形成する方法としては、2液型の液状シリコーンを混合及び撹拌して発泡及び硬化反応を実施する手法が挙げられる。具体的には、白金触媒等の触媒存在下で行われる以下の反応により発泡させ(発生した水素ガスによる)且つ硬化することにより、自己発泡反応型シリコーンフォームを得ることができる。
【0018】
反応1:ヒドロキシ基末端ポリジメチルシロキサン等のシラノール基含有オルガノポリシロキサン又は水酸基含有化合物(発泡助剤)と、両末端及び側鎖にSiH基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン等のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、の反応
反応2:両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン等のビニル基含有オルガノポリシロキサンと、両末端及び側鎖にSiH基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン等のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、の反応
【0019】
尚、2液型の液体シリコーン原料を混合・撹拌する際に空気、窒素等の不活性ガスを添加してもよい。これによれば、不活性ガスが発泡核となることにより、より均一なセルを形成することができる。
【0020】
白金触媒の具体例としては、クロロ白金酸、元素白金、クロロ白金酸六水和物、sym-ジビニルテトラメチルジシロキサンとのクロロ白金酸の錯体、ジクロロ-ビス(トリフェニルホスフィン)白金(II)、シス-ジクロロービス(アセトニトリル)白金(II)、ジカルボニルジクロロ白金(II)、塩化白金、酸化白金、0価白金金属錯体、例えば、Karstedt触媒、[Cp*Ru(MeCN)]PF、[PtCl(シクロオクタジエン)]、担体に支持された固体白金(例えば、アルミナ、シリカ又はカーボンブラック)、白金-ビニルシロキサン錯体{例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)及びPt[(MeViSiO)}、白金-ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh及びPt(PBU}及び白金-ホスファイト錯体{例えば、Pt[P(Oph)及びPt[P(Obu)}を挙げることができる。ここで、上式中、「Me」はメチルを表し、「Bu」はブチルを表し、「Vi」はビニルを表し、そして「Ph」はフェニルを表し、c及びdは整数を表す。
【0021】
水酸基含有化合物(発泡助剤)として、ベンジルアルコール、エタノール等のアルコール類、水を用いることができる。この場合、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(メインポリマー)、水酸基含有化合物(発泡助剤)及び触媒を含む原液をA液とし、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(メインポリマー)及びオルガノハイドロジェンポリシロキサン(架橋剤)を含む原液をB液として用意し、A液とB液とを混合・撹拌することにより、泡化反応及び硬化反応を進行させてもよい。上記メインポリマーの数平均分子量は、500~100000が好ましく、1000~70000がより好ましく、1500~50000が更に好ましい。尚、数平均分子量は、標準ポリスチレンを用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値をいう。上述のようにA液及びB液からなる2液を用いる場合、A液とB液との混合比(質量比)は、得ようとする発泡体の密度やセルの形態にもよるが、典型的には、100:1~100:50である。尚、上述のフィラーは、A液に添加することが好適である。
【0022】
水素発生時の反応時間は、得ようとする発泡体の密度やセルの形態によって適宜調節される。通常は1~10分、好ましくは2~6分である。混合温度は、得ようとする発泡体の密度やセルの形態によって適宜調節される。通常は常温である。
【0023】
尚、発泡層の密度は、硬化発泡(成型)時の温度、発泡助剤の量、A液とB液との比率(Si-Hの添加量)を最適化することにより調節することができる。
【0024】
<製造方法2>
シリコーンフォームは、シリコーンエマルジョン組成物を発泡/硬化することによっても得ることができる。
【0025】
ここで、シリコーンエマルジョン組成物に用いられるシリコーン系樹脂としては、シラン化合物を原料モノマーとして含む限り特に限定されず、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、各種変性シリコーン(例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンエマルジョン、アルキル変性シリコーンエマルジョン、フッ素変性シリコーン等)を使用することができる。シリコーンエマルジョン組成物は、例えば、水性媒体中に樹脂成分の原料モノマーを配合し、乳化剤、重合開始剤等の各種添加剤の存在下で、原料モノマーを乳化重合させることで、製造することができる。尚、シリコーンエマルジョン組成物は、シリコーン系樹脂以外の樹脂、例えば、アクリル樹脂・ポリウレタン樹脂・ポリエステル樹脂・ポリエポキシ樹脂等を含んだエマルジョンをブレンドして用いてもよい。
【0026】
前述した各原料を混合することで、発泡シートの原料混合物であるシリコーンエマルジョン組成物を調製する(調製工程)。混合手法としては、特に限定されるものではなく、例えば、各成分を混合する混合タンク等の容器内で撹拌しながら混合すればよい。その後、調製工程で得られたシリコーンエマルジョン組成物に所定の発泡用気体及び前述のフィラー等を添加し、これらを十分に混合させてシリコーンエマルジョン組成物中に気泡が多数存在する状態(発泡エマルジョン組成物)にする(発泡・硬化工程)。この発泡・硬化工程は、通常は、原料調製工程で得られた液状の発泡シートの原料混合物と発泡用気体とを、ミキシングヘッド等の混合装置により十分に混合することで実施される。ここで、攪拌・発泡工程でエマルジョン組成物に混合される発泡用気体は、発泡体中の気泡(セル)を形成するものであり、この発泡用気体の混入量によって、得られる発泡体の密度が決まる。発泡シートの密度を調整するためには、所望の発泡シートの密度と、発泡シートの原料の体積(例えば、発泡シートの原料が注入される成形型の内容積)とから、必要な発泡シートの原料の重量を算出し、この重量において所望の体積となるように発泡用気体の量を決定すればよい。また、発泡用気体の種類としては、主に空気が使用される。その他にも、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを使用することもできる。また、発泡方法としては、メカニカルフロス(機械発泡)法が挙げられる。メカニカルフロス法は、シリコーンエマルジョン組成物を攪拌羽根等で攪拌することにより、大気中の空気をエマルジョン組成物に混入させて発泡させる方法である。撹拌装置としては、メカニカルフロス法に一般に用いられる撹拌装置を特に制限なく使用可能であり、例えば、ホモジナイザー、ディゾルバー、メカニカルフロス発泡機等を使用することができる。シリコーンエマルジョン組成物と空気との混合時間は、得たい発泡体の密度によって適宜調節され、通常は1~10分、好ましくは2~6分である。混合温度は、得たい発泡体の密度やセルの形態によって適宜調節され、通常は常温である。混合における攪拌速度は、気泡を細かくするために200rpm以上が好ましく(500rpm以上がより好ましく)、発泡機からの発泡物の吐出をスムーズにするために2000rpm以下が好ましい(800rpm以下がより好ましい)。
【0027】
<<シリコーンフォームの用途>>
本形態に係るシリコーンフォームは、高い断熱性が求められ且つ様々な圧縮状態が想定される各種用途にて有用である。例えば、EVのバッテリーモジュールのセル間のような、製造時・使用時における様々な圧縮状態が想定される用途に有用である。具体的には、限られたスペースに多数のセルを搭載してモジュール化する際、セルには一定の負荷が掛かった状態となり、その影響でクッション材も圧縮された状態となる場合がある{そのため、フォームが潰れすぎて、モジュール化後にクッション材として機能しない(いわゆるヘタリが発生する場合がある)}。更に、充放電の際に、セルが膨張しクッション材はより圧縮された状態となる場合がある(そのため、モジュール化時の加圧によりセルへの負荷が大きくなり、また、セルが膨張すると更にセルへの負荷が強くなり破損の恐れがある)。また、電子部品の衝撃吸収材としても用いられる。電子部品としては、例えば、表示装置、電子機器部品が挙げられる。具体的には、携帯電話、ノートパソコン、テレビ、パソコン用モニタ等が挙げられる。本形態に係るシリコーンフォームは、このような低圧縮状態でも高圧縮状態でも、適度な硬さや柔軟性が実現できる。
【実施例0028】
以下、本発明を実施例により説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
<製造例>
表1に示した配合量及び配合比にて、室温(23℃)環境下で2液(A液及びB液:表2)を混合(繊維状フィラー、有機フィラー及び無機フィラーはA液側に添加)し、回転速度100rpm、撹拌時間30秒の撹拌条件にて攪拌装置を用いて撹拌した。続いて、PET基材の上にセットされた金型内に攪拌原料を入れ、その上にPET基材(表面未処理:プレーン)を被覆した。ステンレス製のロールでPET基材の上から、シート状になるよう攪拌原料を引き伸ばした。その後、加熱温度60℃、加熱時間3分の条件で反応させた後、PET基材を剥がした状態で、加熱温度120℃、加熱時間3分の条件で更に反応させることにより、シリコーンフォームを形成した。尚、有機フィラーであるARBOCEL UFC 100のアスペクト比は、1.0~2.0であり、繊維状フィラーであるBSSR 1300のアスペクト比は、250~1000である。また、数平均分子量(Mn)は、標準ポリスチレンを用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
<評価>
評価結果を表1に示す。各評価は下記に則って実施した。
【0033】
(発泡倍率)
配合の理論比重に1000を乗じたものを成型後のフォーム密度で割り算出した(発泡倍率=理論比重×1000/フォーム密度)。尚、理論比重の算出は、各原料の比重とその配合量より算出する{例: 原料A・・・比重:1.50、配合量:100pbw、原料B・・・比重:1.00、配合量:10pbwのとき、理論比重=(1.5×100+1.0×10)/(100+10) = 1.45}。
【0034】
(成型性)
以下の評価基準にて評価した(〇:シート成型に問題がなかった/△:シート成型が困難又はフォーム表面、内部にセル荒れがある/×:シート成型が不可能であった)。
【0035】
(各層の厚さ)
各層の厚さを、ダイヤルシックネスゲージを用いて測定した。
【0036】
(密度)
各耐熱材の発泡層の密度を、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に準拠して測定した。
【0037】
(圧縮残留歪)
圧縮残留歪(%)は、JIS K6401に基づき、50×50mmのサンプルを厚み方向に50%圧縮し、所定温度(70℃)下にて22時間静置し、その後、常温下にて圧縮応力を解放して30分経過後のサンプルの厚み(解放後の厚み)を測定し、下記の式により算出した値である。
圧縮残留歪(%)=[(圧縮前の厚み-解放後の厚み)/圧縮前の厚み×100]
【0038】
(難燃性)
20mm垂直燃焼試験(IEC60695-11-10 B法、 ASTM D3801)に基づき評価した。具体的には、試験片(125±5×13±0.5×tmm)をクランプに垂直に取付け、20mm炎による10秒間接炎を2回行い、その燃焼挙動によりV-0、 V-1、V-2、Notを判定した(試験温度/湿度:21-22℃/45-46%RH)。尚、V-0合格の条件は、下記の5項目を全てクリアすることである(1:1回目の残炎時間が10秒以下/2:1組5枚の合計残炎時間(1回目+2回目)が50秒以下/3:2回目の残炎時間+アフターグロー時間が30秒以下/4:クランプ部まで燃えない/5:滴下物で綿が燃えない)。