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特開2024-76269貸切バス受発注システム、貸切バス処理方法、及び、貸切バス処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076269
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】貸切バス受発注システム、貸切バス処理方法、及び、貸切バス処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/14 20120101AFI20240529BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20240529BHJP
【FI】
G06Q50/14
G06Q30/0601 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187770
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】509304922
【氏名又は名称】両備ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大上 真司
(72)【発明者】
【氏名】三垣 順平
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健
(72)【発明者】
【氏名】高岡 侑愛
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB53
5L030BB54
5L049BB53
5L049BB54
5L049CC26
5L050CC26
(57)【要約】
【課題】旅行会社とバス事業者の双方にとって有用なシステムを構築する。
【解決手段】 複数の旅行会社装置2と複数のバス事業者装置3との間で情報処理を実行するサーバ1を備えた貸切バス受発注システムにおいて、バス事業者装置3により入力可能なバス事業者側の条件を示すバス事業者条件情報を記憶する記憶手段111と、旅行会社装置2により入力可能な貸切バスの利用者側の条件を示す利用者条件情報及び前記バス事業者条件情報に基づき、利用者側の条件とバス事業者側の条件を共に満たす貸出バスの提供が可能なバス事業者を抽出する抽出手段112と、抽出手段112により抽出されたバス事業者における貸切バスの代金を、利用者条件情報及びバス事業者条件情報に基づき算出する算出手段113と、算出手段113により算出された代金に基づく見積情報を旅行会社装置2に出力する出力手段114と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の旅行会社装置と複数のバス事業者装置との間で情報処理を実行するサーバを備えた貸切バス受発注システムにおいて、
前記バス事業者装置により入力可能なバス事業者側の条件を示すバス事業者条件情報を記憶する記憶手段と、
前記旅行会社装置により入力可能な貸切バスの利用者側の条件を示す利用者条件情報及び前記バス事業者条件情報に基づき、前記利用者側の条件と前記バス事業者側の条件を共に満たす貸出バスの提供が可能なバス事業者を複数のバス事業者の中から抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出されたバス事業者における貸切バスの代金を、前記利用者条件情報及び前記バス事業者条件情報に基づき算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された代金に基づく見積情報を前記旅行会社装置に出力する出力手段と、を備えた
ことを特徴とする貸切バス受発注システム。
【請求項2】
前記バス事業者条件情報には、貸切バスサービスに対する規定に関する情報である規定情報が含まれ、
前記抽出手段は、
前記利用者条件情報及び前記規定情報に基づき、前記利用者側の条件と前記規定とを共に満たす貸出バスの提供が可能なバス事業者を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の貸切バス受発注システム。
【請求項3】
バス事業者条件情報には、前記バス事業者装置により入力可能な旅行会社毎及び日付毎の規定の単価が含まれ、
前記算出手段は、
前記抽出手段により抽出されたバス事業者における貸切バスの代金を、前記利用者条件情報に含まれる運行の日付、及び、前記バス事業者条件情報に含まれる規定の単価に基づいて算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の貸切バス受発注システム。
【請求項4】
貸切バスを管理する前記バス事業者の営業所毎に貸出バスの空き台数を前記旅行会社装置に表示させる表示制御手段と、
一以上の営業所から構成される営業区域毎に代車を管理する代車管理手段と、を備え、
前記表示制御手段は、
前記営業区域を構成する営業所のうちの特定の営業所で空き台数がない場合であっても、前記営業区域において代車の空き台数がある場合には、前記営業所毎に前記代車の空き台数を割り当てて前記貸出バスの空き台数として前記旅行会社装置に表示させる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の貸切バス受発注システム。
【請求項5】
複数の旅行会社装置と複数のバス事業者装置との間で情報処理を実行する貸出バス処理方法において、
前記バス事業者装置により入力可能なバス事業者側の条件を示すバス事業者条件情報を記憶する第1ステップと、
前記旅行会社装置により入力可能な貸切バスの利用者側の条件を示す利用者条件情報及び前記バス事業者条件情報に基づき、前記利用者側の条件と前記バス事業者側の条件を共に満たす貸出バスの提供が可能なバス事業者を複数のバス事業者の中から抽出する第2ステップと、
前記第2ステップにより抽出されたバス事業者における貸切バスの代金を、前記利用者条件情報及び前記バス事業者条件情報に基づき算出する第3ステップと、
前記第3ステップにより算出された代金に基づく見積情報を前記旅行会社装置に出力する第4ステップと、を有する
ことを特徴とする貸切バス処理方法。
【請求項6】
複数の旅行会社装置と複数のバス事業者装置との間で情報処理を実行するコンピュータを、
前記バス事業者装置により入力可能なバス事業者側の条件を示すバス事業者条件情報を記憶する記憶手段、
前記旅行会社装置により入力可能な貸切バスの利用者側の条件を示す利用者条件情報及び前記バス事業者条件情報に基づき、前記利用者側の条件と前記バス事業者側の条件を共に満たす貸出バスの提供が可能なバス事業者を複数のバス事業者の中から抽出する抽出手段、
前記抽出手段により抽出されたバス事業者における貸切バスの代金を、前記利用者条件情報及び前記バス事業者条件情報に基づき算出する算出手段、
前記算出手段により算出された代金に基づく見積情報を前記旅行会社装置に出力する出力手段、として機能させる
ことを特徴とする貸切バス処理プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貸切バスサービスの見積生成、受発注などの各種処理を行う貸切バス受発注システム、貸切バス処理方法、及び、貸切バス処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、修学旅行や社内旅行などのために所定期間バスを貸し切って運行する貸切バスサービス(一般貸切旅客自動車運送事業)が知られている。
貸切バスサービスを利用する場合、多くのエンドユーザは、旅行会社(旅行代理店、旅行業者、旅行斡旋業者などを含む)に申込みを行い、旅行会社がエンドユーザの代理にバス事業者に対し貸切バスの申込みを行う。
旅行会社は、具体的には、申込みの際にエンドユーザから提供された情報(旅行期間、出発地、到着地など)に基づいて、バス事業者に対し見積りの依頼を行う。
旅行会社は、複数のバス事業者に対し見積りの依頼(相見積もり)を行うこともできる。
そうすることで、旅行会社は、安価なバス事業者を確認したうえで、貸切バスの予約を行うことができる。
【0003】
特許文献1には、貸切バス予約システムが開示されている。
この貸切バス予約システムでは、利用者の予約依頼を受付ける管理サーバをインターネット上に設け、利用者は、端末により予算を含む希望条件を管理サーバに送信し、希望条件を全て満たすバス情報が管理サーバから提供された時に所望のバス情報があれば予約依頼情報を管理サーバに送信する。
管理サーバは、利用者の希望条件を満たすバス情報を登録データから検索し、バス情報があれば利用者の端末に送信し、端末から予約依頼があった時にこの予約依頼を該当するバス事業者の端末にインターネットを介して通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-373280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、この貸切バス予約システムは、利用者の希望条件は考慮されているが、バス事業者側の条件は何ら考慮されていない。
また、特許文献1の「利用者」はエンドユーザであるところ、実際には、旅行会社が代理にバス事業者と取引きを行うケースが多い。
また、旅行会社は多数あるところ、バス事業者からすると、旅行会社Aに対しては旅行会社Bよりも安い代金又は高い代金でサービスを提供するなど、旅行会社との関係によって見積内容を異ならせたい場合がある。
加えて、一般貸切旅客自動車運送事業に関し、国土交通省では運賃・料金(単価)の上下限などが規定されており、バス事業者は当該規定を満たす見積の提示が求められるところ、従来の手動による方法を改良する必要があった。
【0006】
本発明は、以上のような従来の技術が有する課題を解決するために提案されたものであり、旅行会社にとっては、各バス事業者からの見積取得や貸切バスの予約を円滑に取得でき、バス事業者にとっては、規定を満たしつつバス事業者側の条件を加味した見積を自動生成可能な貸切バス受発注システム、貸切バス処理方法、及び、貸切バス処理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明の一態様に係る貸切バス受発注システムは、複数の旅行会社装置と複数のバス事業者装置との間で情報処理を実行するサーバを備えた貸切バス受発注システムにおいて、前記バス事業者装置により入力可能なバス事業者側の条件を示すバス事業者条件情報を記憶する記憶手段と、前記旅行会社装置により入力可能な貸切バスの利用者側の条件を示す利用者条件情報及び前記バス事業者条件情報に基づき、前記利用者側の条件と前記バス事業者側の条件を共に満たす貸出バスの提供が可能なバス事業者を複数のバス事業者の中から抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出されたバス事業者における貸切バスの代金を、前記利用者条件情報及び前記バス事業者条件情報に基づき算出する算出手段と、前記算出手段により算出された代金に基づく見積情報を前記旅行会社装置に出力する出力手段と、を備えるようにしている。
【0008】
また、本発明の他の一態様に係る貸切バス処理方法は、複数の旅行会社装置と複数のバス事業者装置との間で情報処理を実行する貸出バス処理方法において、前記バス事業者装置により入力可能なバス事業者側の条件を示すバス事業者条件情報を記憶する第1ステップと、前記旅行会社装置により入力可能な貸切バスの利用者側の条件を示す利用者条件情報及び前記バス事業者条件情報に基づき、前記利用者側の条件と前記バス事業者側の条件を共に満たす貸出バスの提供が可能なバス事業者を複数のバス事業者の中から抽出する第2ステップと、前記第2ステップにより抽出されたバス事業者における貸切バスの代金を、前記利用者条件情報及び前記バス事業者条件情報に基づき算出する第3ステップと、前記第3ステップにより算出された代金に基づく見積情報を前記旅行会社装置に出力する第4ステップと、を有するようにしている。
【0009】
また、本発明の他の一態様に係る貸切バス処理プログラムは、複数の旅行会社装置と複数のバス事業者装置との間で情報処理を実行するコンピュータを、前記バス事業者装置により入力可能なバス事業者側の条件を示すバス事業者条件情報を記憶する記憶手段、前記旅行会社装置により入力可能な貸切バスの利用者側の条件を示す利用者条件情報及び前記バス事業者条件情報に基づき、前記利用者側の条件と前記バス事業者側の条件を共に満たす貸出バスの提供が可能なバス事業者を複数のバス事業者の中から抽出する抽出手段、前記抽出手段により抽出されたバス事業者における貸切バスの代金を、前記利用者条件情報及び前記バス事業者条件情報に基づき算出する算出手段、前記算出手段により算出された代金に基づく見積情報を前記旅行会社装置に出力する出力手段、として機能させるようにしている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各旅行会社と各バス事業者の双方にとって有用な貸切バスサービスを提供することができる。
また、本発明によれば、規定を満たす見積を容易にかつ精度良く生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態にる貸切バス受発注システムの概略図である。
図2】サーバのハードウェア構成図である。
図3】旅行会社装置のハードウェア構成図である。
図4】バス事業者装置のハードウェア構成図である。
図5】サーバの機能構成図である。
図6】データベースの構成図である。
図7】AGTマスタの一例を示す図表である。
図8】バス事業者マスタの一例を示す図表である。
図9】車格詳細マスタの一例を示す図表である。
図10】営業所マスタの一例を示す図表である。
図11】AGTグループマスタの一例を示す図表である。
図12】AGTグループ運賃マスタの一例を示す図表である。
図13】ガイド料金マスタの一例を示す図表である。
図14】北海道運輸局マスタの一例を示す図表である。
図15】営業区域外マスタの一例を示す図表である。
図16】運賃・料金マスタの一例を示す図表である。
図17】AGTグループ運賃カレンダーの一例を示す図表である。
図18】見積リストの一例を示す図表である。
図19】車両利用状況情報の一例を示す図表である。
図20】OB設定情報の一例を示す図表である。
図21】OB機能の説明図である。
図22】貸切バス処理方法を示すタイムチャートである。
図23】見積情報の生成方法を示すフローチャートである。
図24】見積依頼入力画面の一例を示す図である。
図25】見積行程表の一例を示す図である。
図26】手配処理の手順を示すフローチャートである。
図27】変更・削除の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の貸切バス受発注システムの好ましい実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る貸切バス受発注システムの概略図である。
同図に示すように、本実施形態の貸切バス受発注システムは、サーバ1と、旅行会社装置2と、バス事業者装置3と、地図検索サイト4と、を備えている。
サーバ1は、旅行会社において管理されている旅行会社装置2とバス事業者において管理されているバス事業者装置3とインターネット9を介して接続されており、旅行会社装置2やバス事業者装置3から受信した情報の処理を行うことで、各旅行会社から提供されるエンドユーザの条件と各バス事業者の条件とを共に満たす貸切バスの受発注に関するマッチングを行う。
サーバ1及び旅行会社装置2は、インターネット9を介して地図検索サイト4に接続することができる。
旅行会社は複数存在し、それぞれ少なくとも1台の旅行会社装置2を設けている。
バス事業者は複数存在し、それぞれ少なくとも1台のバス事業者装置3を設けている。
つまり、サーバ1は、複数の旅行会社装置2a,2b,・・・と、複数のバス事業者装置3a,3b、・・・と通信可能に接続されている。
【0014】
図2は、サーバ1のハードウェア構成図である。
サーバ1は、制御部101と、メモリ102と、記憶部103と、通信装置104と、を備えている。
制御部101は、プログラムを実行するプロセッサであり、サーバ1の各部を制御し、サーバ1の機能を実現する処理を行う。制御部101にはCPU(Central Processing Unit)が用いられる。
メモリ102は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、制御部101により実行されるプログラムを記憶する。
メモリ102には、例えばRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)が用いられる。ROMにはプログラムが記憶される。
記憶部103は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(ストレージ)であり、各種のデータを記憶する。記憶部103には、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)が用いられる。
通信装置104は、インターネット9に接続され、当該インターネット9を介して旅行会社装置2やバス事業者装置3とデータ通信を行う。
通信装置104は、例えば、旅行会社装置2から見積依頼情報を受信し、旅行会社装置2及びバス事業者装置3に対し見積情報を送信する。
また、通信装置104は、インターネット9を介して地図検索サイト4とデータ通信を行う(API連携)。
通信装置104は、例えば、地図検索サイト4に対し出発地、経由地及び到着地などを送信し、地図検索サイト4から出発場所から到着場所に至る距離や時間を受信する。
【0015】
図3は、旅行会社装置2のハードウェア構成図である。
旅行会社装置2は、制御部201と、メモリ202と、記憶部203と、操作装置204と、表示装置205と、通信装置206と、を備えている。
制御部201は、プログラムを実行するプロセッサであり、旅行会社装置2の各部を制御し、旅行会社装置2の機能を実現する処理を行う。制御部201にはCPU(Central Processing Unit)が用いられる。
メモリ202は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、制御部201により実行されるプログラムを記憶する。
メモリ202には、例えばRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)が用いられる。ROMにはプログラムが記憶される。
例えば、旅行会社基幹プログラム(貸切バスの見積・予約に関する業務処理を含む公知の旅行業パッケージ)が記憶されており、当該プログラムとサーバ1のプログラムとがAPI連携する仕組みを備えている。
記憶部203は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(ストレージ)であり各種のデータを記憶する。記憶部203には、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)が用いられる。
操作装置204は、旅行会社装置2の操作に用いられる。操作装置204は、例えばパーソナルコンピュータにおけるキーボードやマウス、スマートフォンやタブレット端末におけるタッチパネルなどが該当する。
表示装置205は、各種画面を表示する。表示装置205には、例えば液晶ディスプレイが用いられる。表示装置205は、タッチセンサと一体となってタッチパネルとして構成されてもよい。
通信装置206は、インターネット9に接続され、当該インターネット9を介してサーバ1とデータ通信を行う。
通信装置206は、例えば、API連携に基づき、サーバ1に対し見積依頼情報を送信し、サーバ1から見積情報を受信する。
また、通信装置206は、インターネット9を介して地図検索サイト4とデータ通信を行う(API連携)。
通信装置104は、例えば、API連携に基づき、地図検索サイト4から地図情報、地図上で指定した場所の名称や位置情報を受信する。
旅行会社装置2には、Webブラウザが予めインストールされている。
【0016】
図4は、バス事業者装置3のハードウェア構成図である。
バス事業者装置3は、制御部301と、メモリ302と、記憶部303と、操作装置304と、表示装置305と、通信装置306と、を備えている。
制御部301は、プログラムを実行するプロセッサであり、バス事業者装置3の各部を制御し、バス事業者装置3の機能を実現する処理を行う。制御部301には、例えばCPU(Central Processing Unit)が用いられる。
メモリ302は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、制御部301により実行されるプログラムを記憶する。
メモリ302には、例えばRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)が用いられる。ROMにはプログラムが記憶される。
例えば、運行管理プログラム(貸切バスの在庫管理等が可能な公知の運行管理パッケージ)が記憶されており、当該プログラムとサーバ1のプログラムとがAPI連携するようになっている。
記憶部303は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(ストレージ)であり各種のデータを記憶する。記憶部303には、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)が用いられる。
操作装置304は、バス事業者装置3の操作に用いられる。操作装置304は、例えばパーソナルコンピュータにおけるキーボードやマウス、スマートフォンやタブレット端末におけるタッチパネルなどが該当する。
表示装置305は、各種画面を表示する。表示装置305には、例えば液晶ディスプレイが用いられる。表示装置305は、タッチセンサと一体となってタッチパネルとして構成されてもよい。
通信装置306は、インターネット9を介してサーバ1とデータ通信を行う(API連携)。
通信装置306は、例えば、API連携に基づき、サーバ1に対しAGTグループマスタ155,AGTグループ運賃マスタ156,ガイド料金マスタ157,AGTグループ運賃カレンダー161,OB設定情報163などの情報を送信し、サーバ1から見積情報等を受信する。
また、通信装置306は、インターネット9を介して地図検索サイト4とデータ通信を行う(API連携)。
通信装置306は、例えば、API連携に基づき、地図検索サイト4から地図情報、地図上で指定した場所の名称や位置情報(例えば、営業所マスタ154に含まれる位置情報の設定情報)を受信する。
バス事業者装置3には、Webブラウザが予めインストールされている。
【0017】
図5は、サーバ1の機能構成図である。
同図に示すように、サーバ1は、貸切バス受発注システムの中核をなす装置であり、各旅行会社装置2から貸切バスサービスに関する見積依頼情報を受信すると、対応可能なバス事業者の見積情報を自動的に生成する。
続けて、サーバ1は、予約処理、手配、予約・手配内容の変更・削除など、受発注に関する処理を行うこともできる。
図5に示すように、貸切バス受発注システムのサーバ1は、と、記憶手段111と、抽出手段112と、算出手段113と、出力手段114と、表示制御手段115と、代車管理手段116と、を備えている。
【0018】
記憶手段111は、DB(データベース)150を記憶している。
DB150は、図6に示すように、AGTマスタ151、バス事業者マスタ152、車格詳細マスタ153、営業所マスタ154、AGTグループマスタ155、AGTグループ運賃マスタ156、ガイド料金マスタ157、北海道運輸局マスタ158、営業区域外マスタ159、及び、運賃・料金マスタ160、AGTグループ運賃カレンダー161、車両利用状況情報162、及び、OB設定情報163により構成される。
【0019】
AGTマスタ151は、各旅行会社(AGT)の基本情報を格納したマスタ情報である。
例えば、図7に示すように、旅行会社、担当支店、担当者、電話番号、FAX番号などを旅行会社IDに紐付けて記憶(管理)している。
AGTマスタ151は、旅行会社の従業員(管理者含む。以下同じ)が旅行会社装置2を操作することで上記情報をオンラインで入力・記憶させることができる。
【0020】
バス事業者マスタ152は、各バス事業者の基本情報を格納したマスタ情報である。
例えば、図8に示すように、バス事業者、営業所、担当者、電話番号、FAX番号などをバス事業者IDに紐付けて記憶している。
なお、後述する、営業所マスタ154(図10),AGTグループマスタ155(図11),AGTグループ運賃マスタ156(図12),ガイド料金マスタ157(図13),AGTグループ運賃カレンダー161(図17),OB設定情報163(図20)には、バス事業者IDが図示されていないが、実際には、バス事業者に対応するバス事業者IDが付されている。
バス事業者マスタ152は、バス事業者の従業員が上記情報をバス事業者装置3を操作することでオンラインで入力・記憶させることができる。
【0021】
車格詳細マスタ153は、車両の詳細な格を示す情報である。
例えば、図9に示すように、大型車には、シート数12列、トイレ付、シート数12列未満がある。
車格詳細マスタ153は、全バス事業者共通の情報であり予め記憶されている。
【0022】
営業所マスタ154は、各バス事業者の営業所に関する情報を格納したマスタ情報である。
例えば、図10に示すように、バス事業者、管轄運輸局、営業区域、同県の除外営業区域、近隣県の追加営業区域、位置情報(緯度,経度)、有料回送距離制限を紐付けて記憶している。
「管轄運輸局」は、営業所を管轄する運輸局である。
「営業区域」は、営業所が属する都府県である。ただし、北海道及び沖縄などの営業区域外は、営業区域によらず別個に管理されている。北海道は運輸支局毎に管理され(図14)、これ以外の営業区域外は、例えば、沖縄県では沖縄本島と離島とに区分して管理されている(図15)。
一般貸切旅客自動車運送事業では、出発地及び到着地のいずれかがバス事業者の営業区域内であることが国土交通省により規定(以下、「営業区域規定」ともいう)されているところ、営業所マスタ154、北海道運輸局マスタ158、営業区域外マスタ159を参照することで当該規定を満たす営業所やバス事業者(つまり、出発地や到着地を含む営業区域のバス事業者やその配下の営業所)を特定(抽出)できる。
【0023】
なお、「同県の除外営業区域」は、都府県に該当する地域であるが、当該都府県から除外されている営業区域のことである。
「近隣県の追加営業区域」とは、対象県の近隣県に属するものの例外的に対象県の営業区域とされた追加営業区域のことである。
「同県の除外営業区域」及び「近隣県の追加営業区域」は、営業区域外であるところ、地理的都合上、例外的に営業区域内と認められる営業区域のことである。
「有料回送距離制限」とは、出発地又は到着地から営業所までの回送距離が、欄内に記載の距離以下の場合、有料道路(高速道路等)の使用を制限することを示す。
例えば、図10において、a営業所の有料回送距離制限は10kmであるため、出発地又は到着地からa営業所までの回送距離が10km以下の場合は有料道路の使用が制限され、10km以上の場合は有料道路の使用が許容される。
営業所マスタ154は、バス事業者の従業員がバス事業者装置3を操作することで上記情報をオンラインで入力・記憶することができる。
【0024】
AGTグループマスタ155は、バス事業者が設定した、各旅行会社のAGTグループの情報である。
例えば、図11(a)は、AAバスのバス事業者装置3により入力された設定情報であり、旅行会社:aa社、bb社、cc社、dd社はグループAに属し、旅行会社:ee社、ff社はグループBに属する。
このため、例えば、aa社からAAバスに対し見積依頼があった場合、グループAに設定された単価(図12図17等)に基づいて代金を算出する。
図11(b)は、BBバスのバス事業者装置3により入力された設定情報であり、旅行会社:cc社はグループAに属し、旅行会社:aa社はグループBに属し、旅行会社:bb社はグループCに属する。
このため、例えば、aa社からBBバスに対し見積依頼があった場合、グループBに設定された単価(図12図17等)に基づいて代金を算出する。
AGTグループマスタ155は、バス事業者の従業員がバス事業者装置3を操作することで上記情報をオンラインで設定(記憶)することができる。
【0025】
AGTグループ運賃マスタ156は、規定運賃・料金に基づく運賃・料金(単価等)をバス事業者がAGTグループ毎に設定したものである。
つまり、AGTグループ運賃マスタ156は、貸出バスサービスに対する規定に関する情報(規定情報)を含んでいる。
図12のバス事業者「AAバス」の部分は、AAバスのバス事業者装置3の操作により設定された各AGTグループ(グループA~D)のランク(A~C)毎の運賃・料金である。
同図に示すように、例えば、グループAのランクA(繁忙期等)は、大型車のキロ制運賃(1kmあたりの単価)は210円、時間制運賃(1時間あたりの単価)は7230円、交替運転手のキロ制料金は40円、時間制料金は2770円、深夜早朝運行料金は2000円、特殊車両割増料金は90247円、と設定されている。
グループAのランクB(平常時等)は、ランクAより安価な運賃・料金が設定されている。
グループAのランクC(閑散期等)は、ランクBより安価な運賃・料金が設定されている。
【0026】
グループBのランクA(繁忙期等)は、大型車のキロ制運賃は195円、時間制運賃は6675円、交替運転手のキロ制料金は38円、時間制料金は2558円、深夜早朝運行料金は1518円、特殊車両割増料金は68081円、と設定されている。
グループBのランクB(通常時)は、ランクAより安価な運賃・料金が設定されており、グループAのランクBより安価な運賃・料金が設定されている。
グループBのランクC(閑散期等)は、ランクBより安価な運賃・料金が設定されており、また、グループAのランクCより安価な運賃・料金が設定されている。
【0027】
グループCのランクA(繁忙期等)は、大型車のキロ制運賃は180円、時間制運賃は6120円、交替運転手のキロ制料金は35円、時間制料金は2345円、深夜早朝運行料金は1035円、特殊車両割増料金は45915円、と設定されている。
グループCのランクB(平常時等)は、ランクAより安価な運賃・料金が設定されており、グループBのランクBより安価な運賃・料金が設定されている。
グループCのランクC(閑散期等)は、ランクBより安価な運賃・料金が設定されており、グループBのランクCより安価な運賃・料金が設定されている。
【0028】
図12のバス事業者「BBバス」の部分は、BBバスのバス事業者装置3の操作により設定された各AGTグループのランク毎の運賃・料金である。
同図に示すように、例えば、グループAのランクA(繁忙期等)は、大型車のキロ制運賃(1kmあたりの単価)は200円、時間制運賃(1時間あたりの単価)は7220円、交替運転手のキロ制料金は39円、時間制料金は2760円、深夜早朝運行料金は1990円、特殊車両割増料金は90000円、と設定されている。
グループBのランクB(平常期)は、大型車のキロ制運賃(1kmあたりの単価)は170円、時間制運賃(1時間あたりの単価)は6110円、交替運転手のキロ制料金は34円、時間制料金は2340円、深夜早朝運行料金は1790円、特殊車両割増料金は79000円、と設定されている。
【0029】
このように、AGTグループ運賃マスタ156(図12)は、バス事業者の従業員がバス事業者装置3を操作することで上記情報をオンラインで入力・記憶させることができる。
AGTグループ運賃マスタ156に設定されている運賃・料金(単価)は、国土交通省により規定された運賃・料金(図16)の規定を満たす単価である。
このため、上記例に限らず、規定された運賃・料金(規定運賃・料金という)の範囲内であれば任意の運賃・料金を設定することができる。
【0030】
ガイド料金マスタ157は、バス事業者が設定した、営業所毎及び繁閑等に応じたランクや実車時間に応じたバスガイドの料金である。
例えば、図13には、AAバスc営業所のランクA(繁忙期等)のガイド料は、実車時間:0以上2時間未満の場合は10000円であり、実車時間:2時間以上5時間未満の場合は15000円であり、実車時間:5時間以上24時間未満の場合は20000円であることが設定されている。
また、BBバスf営業所のランクB(平常時等)のガイド料は、実車時間:5時間以上24時間未満の場合は18000円であることが設定されている。
ガイド料金マスタ157は、バス事業者の従業員がバス事業者装置3を操作することで上記情報をオンラインで入力・記憶することができる。
【0031】
北海道運輸局マスタ158は、北海道運輸局に属する支局と市町村とを対応づけて記憶したマスタ情報である。
例えば、図14に示すように、札幌市や小樽市は札幌運輸支局に属し、函館市や北斗市は函館運輸支局に属する。
これは、出発地が札幌市で到着地が小樽市の場合、札幌運輸支局に属する営業所を出庫先及び帰庫先とすることができることを意味している。
また、出発地が札幌市で到着地が函館市の場合、札幌運輸支局又は函館運輸支局に属する営業所を出庫先及び帰庫先とすることができることを意味している。
【0032】
営業区域外マスタ159は、沖縄県の市町村郡ごとに沖縄本島か離島かを区分したものである。
例えば、図15に示すように、那覇市や浦添市は沖縄本島に属し、石垣島は離島に属する。
このため、例えば、出発地及び到着地が石垣市である場合において、営業所が沖縄本島に存在するときは営業区域外として運行が許容されない。
北海道運輸局マスタ158及び営業区域外マスタ159は、サーバ1において予め記憶されている。
【0033】
運賃・料金マスタ160は、規定運賃・料金そのものを示す情報であり、サーバ1において予め記憶されている。
例えば、図16に示すように、中国運輸局の営業区域における大型車の運賃(単価)について、キロ制運賃は上限額:210円/km・下限額150円/kmで、時間制運賃は上限額:7230円/時間・下限額:5010円/時間と規定されている。
また、中国運輸局の営業区域における大型車の料金(単価等)について、交替運転者配置料金のキロ制料金は上限額:40円/km・下限額:30円/kmで、時間制料金は上限額:2770円/時間・下限額:1920円/時間であり、深夜早朝運行料金は時間制運賃及び交替運転者配置料金(時間制料金)の2割以内であり、特殊車両割増料金は運賃の5割以内と規定されている。
【0034】
AGTグループ運賃カレンダー161は、バス事業者が、AGTグループ毎の運賃のランクを日付に割り当てた情報である。
図17(a)は、AAバスが設定した情報であり、6月20日・21日のグループAはランクAが設定されている。
図17(b)は、BBバスが設定した情報であり、6月20日・21日のグループBはランクBが設定されている。
なお、「代車要回答」のチェックは、「代車を用いる場合やその可能性がある場合に、その旨の説明(回答)が必要である」ことを示している。
バス事業者は、代車や傭車を活用した運行の可能性がある日付にチェックを入れる。なお、代車及び傭車は、共に他の営業車やバス事業者の車両を利用するものであるため、本実施形態において、「代車」と「傭車」とは同義であるものとする。
例えば、オーバーブッキングで予約を受ける場合、例年混雑しており、本年もオーバーブッキングが予想される場合、短時間利用、他案件と繋げて運行する場合で、代車・傭車が想定される場合に、該当する日付やグループにチェックを入れる。
この場合、具体的には、サーバ1が、チェックされた日付及びグループに対応付けてフラグ情報(代車要回答フラグ)を記憶する。
これにより、サーバ1は、「代車を用いる可能性がある」旨のメッセージを、見積依頼元の旅行会社の旅行会社装置2に見積情報とともに送信することで、その旨を旅行会社に伝えることができる。
AGTグループ運賃カレンダー161は、各バス事業者の従業員が、バス事業者装置3を操作して設定することができる。
【0035】
このように、記憶手段111は、各バス事業者装置3により入力(設定)可能な各バス事業者側の条件を示すバス事業者条件情報を記憶する。
「バス事業者条件情報」は、バス事業者の設定により旅行会社毎に異ならせた貸切バスの代金に関する情報として、例えば、AGTグループマスタ155,AGTグループ運賃マスタ156,ガイド料金マスタ157,AGTグループ運賃カレンダー161に関する情報などが含まれる。
このうち、AGTグループ運賃マスタ156は規定情報に該当する。
【0036】
抽出手段112は、旅行会社装置2により入力(設定)可能な貸切バスを利用する利用者側の条件を示す利用者条件情報、及び、記憶手段111により記憶されたバス事業者条件情報に基づき、利用者側の条件とバス事業者側の条件とを共に満たす貸出バスの提供が可能なバス事業者を複数のバス事業者の中から抽出する。
「利用者条件情報」は、エンドユーザが希望する条件の情報である。
「利用者条件情報」は、例えば、見積依頼元の旅行会社、旅行期間、人数、車種(車格詳細)及び台数、ガイドの要/不要、乗泊の要/不要、出発地(発地)、経由地、到着地(着地)及びこれらの時刻に関する情報などを例示することができる。
「利用者条件情報」は、旅行会社装置2の操作により見積依頼時に入力した情報であり、旅行会社装置2からサーバ1に送信された見積依頼情報に含まれている(図24図25参照)。
【0037】
例えば、抽出手段112は、旅行会社装置2から送信された見積依頼情報に含まれている利用者条件情報の中から「出発地」と「到着地」を特定し、「出発地」及び「到着地」のいずれかの営業区域内に営業所を有するバス事業者を、営業所マスタ154(図10)の中から抽出する。
例えば、出発地が岡山県で到着地が岡山県であれば岡山県に営業所を有するバス事業者(AAバス及びBBバス)を抽出し、出発地が岡山県で到着地が大阪府であれば岡山県又は大阪府に営業所を有するバス事業者(AAバス)を抽出する(図10参照)。
これにより、営業区域規定を満たす営業所やバス事業者を抽出することができる。
【0038】
算出手段113は、抽出手段112により抽出されたバス事業者における貸切バスの代金を、「利用者条件情報」及び「バス事業者条件情報」に基づき算出する。
「利用者条件情報」の具体例として見積依頼情報(旅行期間、車種、出発地、到着地など)を例示し、「バス事業者条件情報」の具体例としてAGTグループ運賃マスタ156やAGTグループ運賃カレンダー161を例示することができる。
【0039】
まず、出庫先(帰庫先)の営業所を決定する。
例えば、見積依頼元の旅行会社がaa社で、旅行期間:2022年6月20日~6月21日(以下、西暦を省略する)、人数:20名、車種:大型バス、台数:1台、ガイド:要、乗泊:不要(図24参照)、1日目の行程は、出発地:倉敷駅、経由地1:倉敷美観地区、経由地2:鷲羽山展望台、経由地3:児島ジーンズストリート、到着地:岡山ホテルで、2日目の行程は、出発地:岡山ホテル、経由地1:備前焼工房、経由地2:岡山後楽園、到着地:倉敷駅の場合(図25参照)について説明する。
この場合、サーバ1は、営業所マスタ154を参照することで、AAバスとBBバスを抽出した後、抽出したAAバスとBBバスに属する各営業所の中から出発地に最も近い営業所を出庫先及び帰庫先として選択する。
「最も近い」は、各営業所の位置情報と出発地・到着地の位置情報とに基づき地図検索サイト4により算出可能な双方間の距離に基づいて判断すればよい。
なお、到着地に最も近い営業所を出庫先及び帰庫先として選択してもよい。
また、出発地に最も近い営業所を出庫先として選択し、到着地に最も近い営業所を帰庫先として選択してもよい。
本実施形態では、出発地に最も近い営業所として、AAバスについてはc営業所が該当し、BBバスについてはf営業所が該当するものとする。
この結果、AAバスの出庫先及び帰庫先としてc営業所を決定し、BBバスの出庫先及び帰庫先としてf営業所を決定する。
【0040】
貸切バスの代金には、「運賃」と「料金」とがある。
まず、「運賃」の算出方法について説明する。
「運賃」には、キロ制運賃(1km当たりの単価)に走行距離(km)を乗じた距離運賃と、時間制運賃(1時間当たりの単価)に走行時間(時間)を乗じた時間運賃とがある。
「走行距離」には、「回送距離」と「実車距離」とがあり、「走行時間」には「回送時間」と「実車時間」と「点検時間」とがある。
なお、「回送」とは、出庫先の営業所にある貸切バスをその営業所から出発地まで移動させることや、到着地に到着した貸切バスを到着地から帰庫先の営業所まで移動させることをいう。
「実車」とは、乗客を乗車した状態で貸切バスを出発地から到着地まで移動させることをいう。
【0041】
回送距離と回送時間の算出方法について説明する。
回送距離及び回送時間の算出は、公知の地図検索サイト4との連携により行う。
具体的には、サーバ1は、地図検索サイト4とのAPI連携に基づき当サイトの「ルート検索機能」を起動させる。
「ルート検索機能」では、出発場所及び到着場所並びに移動手段を入力することで、出発場所から到着場所までをその移動手段で移動したときの移動距離と移動時間を算出させることができる。
サーバ1は、ルート検索機能に対し、1日目に関し、出発場所:AAバスの「c営業所」の住所を入力し、到着場所:「倉敷駅」を入力し、移動手段:「バス」を入力する。
この結果、ルート検索機能により、c営業所~倉敷駅の道路を時速40km(バスの平均移動速度)で移動したときの移動距離及び移動時間が得られる。
サーバ1は、この移動距離及び移動時間を、それぞれを「回送距離」及び「回送時間」として地図検索サイト4から取得する。
具体的には、サーバ1は、AAバスに関し、1日目のc営業所~倉敷駅の回送距離:1.4km、及び、回送時間:0.05時間を取得する。
また、サーバ1は、同様にして、2日目の倉敷駅~c営業所の回送距離:1.4km、回送時間:0.05時間を取得する。
これにより、サーバ1は、AAバスに関し、回送距離:2.8km(=1.4km+1.4km)、及び、回送時間:0.1時間(=0.05時間+0.05時間)を取得する。
また、サーバ1は、同様にして、BBバスに関し、1日目の「f営業所」~「倉敷駅」の回送距離:77km、及び、回送時間:1.5時間を取得すると共に、2日目の「倉敷駅」~「f営業所」の回送距離:77km、及び、回送時間:1.5時間を取得する。
これにより、サーバ1は、BBバスに関し、回送距離:154km(=77km+77km)、及び、回送時間:3時間(=1.5時間+1.5時間)を取得する。
【0042】
実車距離と実車時間の算出方法について説明する。
実車距離及び実車時間の算出も、地図検索サイト4(ルート検索機能)との連携により行う。
「ルート検索機能」では、出発地、経由地及び到着地並びに移動手段を入力することで、出発地から経由地を経由しながら到着地までをその移動手段で移動した場合の移動距離と移動時間を算出させることができる。
サーバ1は、ルート検索機能に対し、1日目の出発地「倉敷駅」、経由地1「倉敷美観地区」、経由地2「鷲羽山展望台」、経由地3「児島ジーンズストリート」、到着地「岡山ホテル」と、移動手段「バス」を入力する。
この結果、サーバ1は、地図検索サイト4側から、倉敷駅~倉敷駅美観地区~鷲羽山展望台~児島ジーンズストリート~岡山ホテルを時速40km(バスの平均速度)で移動したときの「移動距離」及び「移動時間」を「実車距離」及び「実車時間」として取得する。
具体的には、サーバ1は、1日目の倉敷駅~岡山ホテルの実車距離:40km、及び、実車時間:6.5時間を取得する。
また、サーバ1は、同様にして、2日目の岡山ホテル~倉敷駅の実車距離:30km、及び、実車時間:5時間を取得する。
これにより、サーバ1は、実車距離:70km(=40km+30km)、及び、実車時間:11.5時間(=6.5時間+5時間)を取得する。
なお、実車距離及び実車時間は、バス事業者に共通であるため、AAバスとBBバスのそれぞれについて算出する必要はない。
【0043】
点検時間について説明する。
規定運賃・料金には、「出庫から入庫までの時間に、出庫点検・帰庫点検の各1時間ずつ合計2時間を加え、時間制運賃を乗じる」との規定がある。
このことから、本実施形態では、「走行時間」=回送時間+実車時間+点検時間(2時間)と定義している。
具体的には、サーバ1は、AAバスに関する走行時間は13.6時間(=回送時間0.1時間+実車時間11.5時間+点検時間2時間)と算出し、BBバスに関する走行時間は16.5時間(=回送時間3時間+実車時間11.5時間+点検時間2時間)と算出する。
【0044】
この結果、サーバ1は、AAバスに関し、「走行距離:72.8km」(=回送距離2.8km+実車距離70km)を算出し、「走行時間:13.6時間」を算出し、BBバスに関し、「走行距離:224km」(=回送距離154km+実車距離70km)を算出し、「走行時間:16.5時間」を算出する。
走行距離は、10km未満は10kmに切り上げ、走行時間は、30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げる。
このため、AAバスに関し、走行距離:80km、走行時間:14時間となり、BBバスに関し、走行距離:224km、走行時間:17時間となる。
【0045】
キロ制運賃及び時間制運賃の決定方法について説明する。
キロ制運賃及び時間制運賃の決定は、AGTグループマスタ155(図11)、AGTグループ運賃カレンダー161(図17)、及び、AGTグループ運賃マスタ156(図12)を参照して行う。
【0046】
AAバスに関し、AGTグループマスタ155(図11(a))を参照すると、aa社のAGTグループは「グループA」に設定されている。
AGTグループ運賃カレンダー161(図17(a))を参照すると、旅行期間である6月20日と6月21日において、グループAは、共にランクAが割り当てられている。なお、旅行期間が複数日に亘る場合、最も高いランクを適用する。
このため、サーバ1は、AGTグループ運賃マスタ156(図12)において、「AAバス」の「グループA」の「ランクA」に対応するデータから、「キロ制運賃(大型車):210円」及び「時間制運賃(大型車):7230円」を決定する。
つまり、AAバスに関し、キロ制運賃は210円、時間制運賃は7230円に決定する。
【0047】
BBバスに関し、AGTグループマスタ155(図11(b))を参照すると、aa社のAGTグループは「グループB」に設定されている。
設定したAGTグループ運賃カレンダー161(図17(b))を参照すると、旅行期間である6月20日と6月21日において、グループBは、共にランクBが割り当てられている。
このため、サーバ1は、AGTグループ運賃マスタ156(図12)において、「BBバス」の「グループB」の「ランクB」に対応するデータから、「キロ制運賃(大型車):170円」及び「時間制運賃(大型車):6110円」を決定する。
つまり、BBバスに関し、キロ制運賃は170円、時間制運賃は6110円に決定する。
【0048】
サーバ1は、決定したキロ制運賃に走行距離を乗じて距離運賃を算出し、特定した時間制運賃に走行時間を乗じて時間運賃を算出する。
このため、AAバス及びBBバスの距離運賃及び時間運賃は、以下のような算出結果となる。
「AAバスの距離運賃」=210円×80km=16,800円
「AAバスの時間運賃」=7,230円×14時間=101,220円
従って、AAバスの運賃は118,020円(=16,800円+101,220円)と算出される。
「BBバスの距離運賃」=170円×224km=38,080円
「BBバスの時間運賃」=6,110円×17時間=103,870円
従って、BBバスの運賃は141,950円(=38,080円+103,870円)と算出される。
【0049】
次に、料金の算出・決定方法について説明する。
料金には、「深夜早朝運行料金」、「交替運転手配置料金」、「特殊車両割増料金」、「ガイド料金」、及び、「有料回送料金」がある。
【0050】
「深夜早朝運行料金」について、規定運賃・料金には「22:00~5:00に係る運行は、その係る時間については2割を限度とした割増料金を適用する」との規定もある。
このため、利用者条件情報から特定される運行時間が22:00~5:00の時間帯と重複する場合は、深夜早朝運行料金を貸切バスの代金に含ませることができる。
この場合、図17に示すように、AGTグループ運賃カレンダー161に割り当てられている運行日におけるAGTグループのランクを特定し、当該ランクに対応する「深夜早朝運行料金」をAGTグループ運賃マスタ156(図12)から抽出すればよい。
例えば、6月26日の22:00~5:00に運行する条件の見積依頼がグループAに属する旅行会社からAAバスに対し行われた場合、サーバ1は、グループAの運行日(6/26)のランクはランクAと特定できる(図17(a)参照)ため、「深夜早朝運行料金」を「2000円」に決定する(図12参照)。
【0051】
「交替運転手配置料金」について、規定運賃・料金には「長距離・長時間・夜間運行などで安全運転のために交替運転手を配置する場合、各運輸局が公示した料金を適用する」との規定もある。
「各運輸局が公示した料金」は、運賃・料金マスタ160(図16)の「キロ制料金」及び「時間制料金」の下限額~上限額の範囲の金額である。
このため、走行距離が特定距離(規定600km)を超過する場合、走行時間が特定時間(規定16時間)を超過する場合、行程から特定される運行時間が早朝深夜(規定22時~5時)の場合、「交替運転手配置料金」を貸切バスの代金に含ませることができる。
この場合、サーバ1は、AGTグループ運賃カレンダー161(図17)に割り当てられている運行日におけるAGTグループのランクを特定し、当該特定したランクに対応する「交替運転手配置料金」をAGTグループ運賃マスタ156(図12)から抽出する。
例えば、6月26日に長距離運行する条件の見積依頼がグループAに属する旅行会社からAAバスに対し行われた場合、サーバ1は、グループAの運行日(6/26)のランクはランクAに特定できる(図17参照)ため、「キロ制料金=40円」及び「時間制料金=2770円」を決定する。
このため、サーバ1は、走行距離(82.8km)にキロ制料金:40円を乗じた結果(3,312円)と、走行時間(15.1時間)に時間制料金:2770円を乗じた結果(41,827円)との合算額(45,139円)を「交替運転手配置料金」として算出する。
【0052】
「特殊車両割増料金」は、サロンカー、リフト付きバス等の特殊車両を提供する場合、運賃の5割を限度とした割増料金を適用可能であることが、規定運賃・料金に規定されている。
このため、利用者条件情報に含まれる車種が特殊車両の場合、特殊車両割増料金を貸切バスの代金に含ませることができる。
例えば、6月26日に特殊車両を運行する条件の見積依頼がグループAに属する旅行会社からAAバスに対し行われた場合、サーバ1は、グループAの運行日(6/26)のランクはランクAであることを特定できる(図17参照(a))ため、「特殊車両割増料金」を90247円に決定する。
【0053】
「ガイド料金」は、バスガイド希望があった場合に適用可能な料金である。
具体的には、利用者条件情報に「ガイド:要」が含まれている場合(図24参照)、ガイド料金を貸切バスの代金に含ませることができる。
この場合、サーバ1は、ガイド料金マスタ157(図13)を参照してガイド料金を決定する。
ガイド料金は、バス事業者の営業所毎に、繁閑等を示すランクや実車時間の多寡に応じて決定する。
なお、便宜上、繁閑等に応じたランク付けは、AGTグループ運賃カレンダー161(図17)と同じものとして説明するが、これとは別に、ランクを日付に割り当てたカレンダーを設けて参照させることもできる。
本例の場合、「利用者条件情報」から、ガイド:要、見積依頼元:グループAに属する旅行会社(aa社)、運行日:6月20・21日である。
AGTグループ運賃カレンダー161(図17(a))を参照すると、AAバスに関し、6月20・21日のaa社(グループA)のランクはランクAと特定される。
このため、サーバ1は、ガイド料金マスタ157(図13)を参照して、1日目の実車時間が6.5時間(5時間以上24時間未満)であるためガイド料金:20000円を決定し、2日目の実車時間が5時間(5時間以上24時間未満)であるためガイド料金:20000円を決定する。
従って、サーバ1は、AAバスのガイド料金は40,000円(=20,000円+20,000円)と算出する。
他方、BBバスに関し、AGTグループ運賃カレンダー161(図17(b))を参照すると、6月20・21日のaa社(グループB)のランクはランクBと特定される。
このため、サーバ1は、ガイド料金マスタ157(図13)を参照して、1日目の実車時間が6.5時間(5時間以上24時間未満)であるためガイド料金:18000円を決定し、2日目の実車時間が5時間(5時間以上24時間未満)であるためガイド料金:18000円を決定する。
従って、サーバ1は、BBバスのガイド料金は36,000円(=18,000円+18,000円)と算出する。
【0054】
「有料回送料金」は、回送距離(出庫先の営業所から出発地までの距離や、到着地から帰庫先の営業所までの距離)が、所定距離(有料回送距離制限)を超過する場合において、有料道路(高速道路など)を使用したときに、代金に含ませることができる。
「所定距離(有料回送距離制限)」は、営業所マスタ154(図10)において、営業所毎に定められている。
このため、出庫先の営業所がAAバスc営業所の場合、有料回送距離制限は「10km」であるため、回送距離が10km超の場合、有料回送料金を計上できる。
なお、本例の場合、AAバスc営業所から出発地や到着地までの回送距離は1.4km(10km以下)なので、有料回送料金を計上できない。
ここで、有料道路を利用するかどうかはエンドユーザが選択すべき事項である。
このため、サーバ1は、回送距離が所定距離(有料回送距離制限)を超過する場合、例えば、見積情報に、有料道路を利用した場合の概算の「有料回送料金」を含めて通知するようにしてもよい。
【0055】
これにより、運賃・料金が算出されるので、これらの算出結果に基づく見積情報を生成することができる。
この結果、AAバスとBBバスの2社について、貸切バスの代金に関する見積情報を生成することができる。
上述の例では、バス事業者が2社の場合(つまり、見積依頼先がAAバスとBBバスの場合)について説明したが、バス事業者が3社以上(見積依頼先が3社以上)であってもよい。
【0056】
出力手段114は、算出手段113により算出された代金に関する見積情報を旅行会社装置2に出力する。
具体的には、見積情報のリストを生成し、当該見積リストを見積依頼元の旅行会社の旅行会社装置2に送信する。
これにより、見積依頼元の旅行会社の旅行会社装置2において、見積リスト(相見積もり情報)を表示したり、印刷したり、ユーザ端末に送信することができる。
サーバ1は、見積リストをバス事業者装置3にも送信する。
これによりバス事業者側で見積結果を確認することができる。
図18は、見積リストの一例である。
上欄は、AAバスの見積情報であり、下欄はBBバスの見積情報である。
【0057】
なお、上述したように、見積情報を自動生成してもよいが、手動処理を介在させることもできる。
例えば、代金の算出までを行い見積情報をバス事業者装置3に送信してバス事業者側で事前に確認できるようにしてもよい。
確認の結果、修正の必要がなければ、その旨の操作を行うことで、見積情報を旅行会社装置2に送信し、修正の必要があれば修正を施した後、修正後の見積情報を旅行会社装置2に送信すればよい。
【0058】
(オーバーブッキング機能について)
貸切バスサービスでは、実際のバスの在庫台数を超えて見積や予約を受け付けることが好ましい。
この点、従来は、運行管理パッケージ側で、OB台数の枠は保持しているが、OB台数の正確な管理まではできていなかった。
このため、本実施形態の貸切バス受発注システムでは、日付毎、車格詳細毎に、営業区域単位で、代車や傭車を活用したオーバーブッキング(OB)設定台数を設定可能なオーバーブッキング機能(OB機能)を設けた。
なお、「代車」とは、同じバス事業所の他の営業所での管理されている車両を運行させることをいい、「傭車」とは、他のバス事業者で管理されている車両を運行させることをいう。
【0059】
図19は、バス事業者における貸切バスの空満情報に係る車両利用状況情報162の一例である。
同図に示す情報は、AAバスのバス事業者装置3の運行管理パッケージとのAPI連携により、サーバ1において取得したものである。
取得した車両利用状況情報162は、取得のたびに記憶手段111が記憶する。
このため、サーバ1は、常に最新の車両利用状況情報162を記憶している。
図19は、8月1日におけるAAバスの営業区域:岡山県に属する各営業所(a営業所、b営業所、c営業所、d営業所の4営業所)の車両利用状況情報162の一例である。
同図に示すように、車両利用状況情報162は、バス事業者、日付、営業所、車格詳細、総台数、予約済台数、OB予約済台数、傭車予約済台数により構成される。
「総台数」は、営業所で管理している貸出バスの総在庫数である。
「予約済台数」は、予約(手配)が済んでいる貸出バスの台数である。
「OB予約済台数」は、オーバーブッキングを含めた予約済みの台数である。
「傭車予約済台数」は、傭車によるオーバーブッキングを含めた予約済みの台数である。
【0060】
図20は、OB設定情報の一例を示す図表であり、図21は、OB機能の説明図である。
図20は、8月1日におけるAAバスの営業区域「岡山県」に属する各営業所に対し設定された大型バス(12列)のOB設定台数を示す。
図21(a)に示すように、総台数がいずれも2台である4つの営業所のうちのa営業所、b営業所、c営業所においてそれぞれ2台予約済みで、d営業所だけが予約がゼロの場合(空き台数:2台の場合)、d営業所が出庫先となって見積書が自動的に生成される。
ここで、OB設定台数は営業区域単位で設定される。
このため、図20に示すように、営業区域:岡山県に対しOB設定台数:10台が設定されている場合、岡山県に属する各営業所において10台の範囲内で自由にOBすることができる。
例えば、図21(b)に示すように、OB設定台数が10台の場合で、かつ予約済台数が、a営業所:3台、b営業所:7台、c営業所:4台、d営業所:2台の場合、各営業所の空き台数はゼロであるところ、OB予約済台数は、a営業所:1台、b営業所:5台、c営業所:2台の合計8台なので、この営業区域において残り2台のOBが可能となる。
この場合、OB設定台数を加味した空き台数に基づき、各営業所の空き台数をそれぞれ「2」に設定する。
これにより、各営業所は見かけ上、いずれも空き台数が2台となるため、出発地の最寄りの営業所を出庫先にすることができる。
なお、図21(b),(c)におけるOB設定台数は、そのバス事業所内で管理している車両(つまり代車)でのOBを想定している。
【0061】
図21(c)は、図21(b)のあと、c営業所を出庫先とする2台の予約が追加された場合を示す。
この場合、実際の空き台数はゼロであり、かつ、OB設定台数を加味しても空き台数はゼロである。
【0062】
代車と傭車によりOBする場合のOB機能について図21(d)を参照して説明する。
図21(d)は、OB設定台数が15台である例であり、図21(c)に比べOB設定台数が5台多い。この5台は傭車を想定している。
このため、同図に示すように、仮にb営業所を出庫先とする2台の予約が行われた場合であっても、傭車を割り当てることができ、さらに残り3台をOBで割り当てることができる。
この場合、OB設定台数を加味した空き台数に基づき、各営業所の空き台数をそれぞれ「3」に設定する。
これにより、各営業所は見かけ上、いずれも空き台数が3台となるため、出発地の最寄りの営業所を出庫先にすることができる。
【0063】
このように、OB設定台数を加味した空き台数を各営業所に割り振るのは、以下の理由からである。
前提として、サーバ1は、旅行会社装置2からの要求に応じて、各営業所の空満情報を旅行会社装置2に送信して表示(Web表示)させるようにしている。
つまり、サーバ1は、貸切バスを管理するバス事業者の営業所毎に貸出バスの空き台数を旅行会社装置2に表示させる表示制御手段115を備えている。
ただし、簡単のためOB機能があることやOB可能台数までは通知していない。
このため、旅行会社の従業員は空き台数を見ただけで予約不可と誤る可能性がある。
営業区域単位でOB台数を表示することも可能だが、その場合、どこの営業所が出庫先になるかわかりずらい。
そこで、本実施形態の貸切バス受発注システムでは、OB設定台数を加味した空き台数を各営業所に割り振ることで、そのような問題が発生しないようにしている。
具体的には、サーバ1は、一以上の営業所から構成される営業区域毎に代車を管理する代車管理手段116を備え、表示制御手段115は、営業区域を構成する営業所のうちの特定の営業所で空き台数がない場合であっても、営業区域において代車の空き台数がある場合には、各営業所毎に代車の空き台数を割り当てて前記貸出バスの空き台数として旅行会社装置2に表示させるようにしている。
【0064】
(貸切バス処理方法)
貸切バス処理方法について図22を参照しながら説明する。
図22は、本実施形態の貸切バス処理方法の処理手順を示すシーケンス図である。
なお、各旅行会社装置2には旅行業パッケージがインストールされており、各バス事業者装置3には運行管理パッケージがインストールされているものとする。
また、DB150(図6)、AGTグループ運賃カレンダー161、OB設定情報163などは予めサーバ1に記憶されているものとする。
サーバ1の貸切バス処理プログラムと各旅行会社装置2の旅行業パッケージとはAPI連携しており、これにより、サーバ1は、各旅行業パッケージの機能の一部(貸切バスの申込みや見積情報の表示等)を共有できるようになっている。
また、サーバ1の貸切バス処理プログラムと各バス事業者装置3の運行管理パッケージとはAPI連携しており、これにより、サーバ1は、各運行管理パッケージの機能の一部(営業所における車両の総台数、空き台数などの取得)を共有できるようになっている。
【0065】
図22に示すように、旅行会社装置2において貸切バスの見積依頼(見積依頼情報の入力)があったものとする(S11)。
図24及び図25は、見積依頼情報の入力画面(Web画面)の一例を示す図である。
見積依頼情報の入力画面は、サーバ1に旅行会社装置2から所定のURLにアクセスすることで表示させることができる。
これらの図に示すように、見積依頼時には、見積依頼元の旅行会社(aa社)を示す情報、旅行期間(6月20日~6月21日)、人数(20名)、車種(大型バス)、台数(1台)、ガイドの要否(要)、乗泊の要否(不要)、1行程(1日目;出発地:倉敷駅、経由地1:倉敷美観地区、経由地2:鷲羽山展望台、経由地3:児島ジーンズストリート、到着地:岡山ホテル、2日目は;出発地:岡山ホテル、経由地1:備前焼工房、経由地2:岡山後楽園、到着地:倉敷駅)を入力する。
なお、図24及び図25は、見積依頼情報の入力後の画面である。
旅行会社名、電話、担当支店、担当者は、ログイン時の旅行会社IDの入力に伴いAGTマスタ151(図7)から引用して入力される。
「旅行業システム予約カルテ番号」は、案件毎に付される固有の番号である。
ツアー名:「ABC株式会社社員旅行」はテキスト情報である。
旅行期間:「6月20日」~「6月21日」は、カレンダーから指定することができる。
人数:「20名」は、テキスト情報である。
車種:「大型」は、コンボボックスにより選択された情報である。車種には、大型(12列、トイレ付き等)、中型、小型、特殊(サロンカー、リフト付きバス)がある。
台数:「1台」はテキスト情報である。
なお、台数は、車種及び人数との関係で正否が判定される。例えば、車種:大型の許容人数が24人とすると、24人×台数:1台=24名であり、人数:「20名」以上なので「正」と判定される。否の場合は、エラーや再入力を促すメッセージを表示することもできる。
見積形態:「見積/予約要」はラジオボタンにより選択された情報である。見積形態には、見積/予約要と見積/予約不要とがある。
旅行形態:「一般」は、コンボボックスにより選択された情報である。旅行形態には、一般、学校関連(2割割引)、福祉法対象(3割割引)、募集がある。
ガイド:「要」は、ラジオボタンにより選択された情報である。ガイドには、要と不要とがある。
乗泊:「不要」は、ラジオボタンにより選択された情報である。乗泊には、要と不要とがある。
見積依頼入力画面の1ページ目(図24)の「次へ」を選択すると2ページ目(図25)の見積行程表に画面が遷移する。
【0066】
見積行程表(図25)の画面では、6月20日(1日目)の行程と6月21日(2日目)の行程(詳細)を入力する。
具体的には、1日目と2日目の「出発地」、「経由地」、「到着地」についてそれぞれ発時刻と地点名を入力する。
発時刻と地点名の入力は、地図検索サイト4と連携することで容易に行うことができる。
例えば、1日目は、「倉敷駅」(出発地)~「倉敷美観地区」(経由地1)~「鷲羽山展望台」(経由地2)~「児島ジーンズストリート」(経由地3)~「岡山ホテル」(到着地)の行程だが、各地点名を地図上のポイントを指定することで入力することができる。
地点名が入力されると、旅行会社装置2は、地点名の位置情報(緯度,経度)を地図検索サイト4から受け取って、該当する出発地、経由地、到着地に紐付けて記憶する。
発時刻は手動操作で入力する。この場合、地図検索サイト4とのAPI連携に基づき、発時刻が不適切でないか否かを判定させて(入力した発時刻だと、その時刻までに経由地や到着地に到着しないかの判定をさせて)、不適切であると判定された場合には、その旨と再入力を促すメッセージを表示させることもできる。
また、API連携により出発地の発時刻を入力するだけで各経由地と到着地の発時刻を自動的に入力するようにもできる。具体的には、出発地~経由地、経由地間、経由地~到着地の運行時間を地図検索サイト4で算出させ、その算出結果に休憩時間を加味した時刻を各経由地や到着地の発時刻に入力する。
また、出発地の発時刻と到着地の発時刻を入力するだけで、経由地の発時刻を自動入力するようにもできる。
【0067】
2日目は、「岡山ホテル」(出発地)~「備前焼工房」(経由地1)~「岡山後楽園」(経由地2)~「倉敷駅」(到着地)の各地点のそれぞれ発時刻と地点名を入力する。
なお、上記項目以外にも、メモ欄を設けることができる。
また、手動による見積依頼の場合は、上記見積行程表に限らず、行程表(pdfその他の画像ファイル)を添付することもできる。
旅行会社装置2は、見積依頼情報が入力された後は、当該見積依頼情報をサーバ1に送信する。
つまり、図24及び図25に表示されている情報がすべてサーバ1に送信される。
【0068】
サーバ1は、旅行会社装置2から見積依頼情報を受信すると、見積情報を生成する(S12)。
【0069】
見積情報の生成では、図23に示すように、まず、バス事業者の特定を行う(S21)。
具体的には、サーバ1が、見積依頼情報を参照し、出発地及び到着地の営業所を有するバス事業者を営業所マスタ154(図10)に基づいて特定する。
本例の場合、岡山県を営業区域とするバス事業者を特定する。
複数のバス事業者が特定された場合、当該複数のバス事業者における見積情報を生成することになる。
本例の場合、AAバスとBBバスが特定される。
なお、該当するバス事業者が存在しない場合は、その旨を知らせる情報を旅行会社装置2に送信する。
【0070】
次に、出庫先及び帰庫先の営業所を特定する(S22)。
具体的には、出発地の位置情報と各営業所の位置情報とに基づき出発地に最も近い最寄り営業所を出庫先として特定し、到着地の位置情報と各営業所の位置情報とに基づき到着地に最も近い最寄り営業所を帰庫先として特定する。
【0071】
ただし、出庫先及び帰庫先の営業所の特定は、各営業所の空満情報に基づき行う。
最寄り営業所に空き台数がない場合があるからである。
このため、最寄り営業所に空き台数があれば、当該最寄り営業所が出庫先又は帰庫先の営業所を特定するが、最寄り営業所に空き台数がなければ、次に、その営業区域において空き台数のある他の営業所を特定する。
さらに、その営業区域内の全営業所で空き台数がない場合には、営業区域で管理する代車や傭車を使用することもでき(OB機能)、この場合、最寄り営業所を出庫先又は帰庫先の営業所として特定することができる(図21等参照)。
AAバスに関し、出発地及び到着地が倉敷駅なので、AAバスの各営業所の位置情報と倉敷駅の位置情報とに基づき最寄り営業所としてc営業所が特定される。
BBバスはf営業所しかないため、f営業所が特定される。
【0072】
次に、走行距離・走行時間の算出を行う(S23)。
走行距離は、回送距離と実車距離の合算距離であり、走行時間は、回送時間と実車時間と点検時間の合算時間である。
本例の場合、上述の通り、AAバスの走行距離は80km、走行時間は14時間と算出される。
BBバスの走行距離は224km、走行時間は17時間と算出される。
【0073】
次に、キロ制運賃及び時間制運賃を決定する(S24)。
つまり、単価として、1km毎の運賃であるキロ制運賃と、1時間毎の運賃である時間制運賃を決定する。
これらは、規定運賃・料金において上限額及び下限額が規定されている(図16参照)。
このため、本実施形態の貸切バス受発注システムでは、この規定に収まるように、、かつ、旅行会社毎に、バス事業者側でランクを設定できるようにしており(図12参照)、さらに、バス事業者は、このランクを日付毎に設定できるようにしている(図17参照)。
これにより、バス事業者は、旅行会社との関係性(例えば、過去の取引状況から、CCバスとは安くても引き受けたい等)を考慮した単価や、平日・休日・季節などの繁閑に応じた単価(例えば、繁忙期は上限額で提示したい等)を設定することができる。
これにより、バス事業者側の意向や希望を考慮した値付けが可能になる。
本例の場合、上述の通り、AAバスについては、キロ制運賃:210円、時間制運賃:7230円を決定する。
BBバスについては、キロ制運賃:170円、時間制運賃:6110円を決定する。
【0074】
続いて、運賃を算出する(S25)。
S23において算出した走行距離・走行時間と、S24において決定したキロ制運賃・時間制運賃と、に基づいて運賃を算出する。
具体的には、走行距離にキロ制運賃を乗じることで距離運賃を算出し、走行時間に時間制運賃を乗じることで時間運賃を算出し、それらの算出結果を合算することで運賃を算出する。
本例の場合、AAバスについては、距離運賃が16,800円、時間運賃が101,220円と算出される結果、運賃は118,020円と算出される。
BBバスについては、距離運賃が38,080円、時間運賃が103,870円と算出される結果、運賃は141,950円と算出される。
【0075】
次に、料金を算出する(S26)。
具体的には、深夜早朝運行料金、交替運転手配置料金、特殊車両割増運賃、ガイド料金、有料回送料金があり、この中から必要な料金を算出する。
本例の場合、ガイド料金が適用される。
AAバスについては、ガイド料金:40,000円が算出され、BBバスについては、ガイド料金:36,000円が算出される。
なお、各料金の適用条件や算出方法については上述の通りであるため説明を省略する。
【0076】
そして、見積情報を生成する(S27)。
具体的には、S25において算出した運賃と、S26において算出した料金とに基づいて見積情報を生成する。
例えば、図18に示すように、複数のバス事業者(本例の場合、AAバスとBBバス)における見積を対比可能な見積リストを自動的に生成することができる。
【0077】
図22に戻り、次に、サーバ1は、見積情報を旅行会社装置2に送信する(S14)。
これにより、旅行会社は、見積情報を確認することができる。
なお、サーバ1は、見積情報をバス事業者装置3に送信することもできる。
これにより、バス事業者も見積情報を確認することができる。
【0078】
続いて、サーバ1は、見積情報を保存する(S15)。
具体的には、固有の見積番号(本例の場合、20220501001)を紐付けて記憶部103に記憶する。
これにより、後に見積内容を確認する場合、予約(手配)を行う場合、変更・削除する場合に、円滑に案件やその内容を特定することができる。
【0079】
次に、予約要か否かを判定する(S16)。
具体的には、見積依頼情報における「見積形態」が「見積/予約要」か「見積/予約不要」かを確認する。
予約要でない場合(S16-No)、つまり、見積/予約不要の場合は、終了する。
予約要の場合(S16-Yes)、つまり、見積/予約要の場合は、手配処理を実行する。
【0080】
図26は、手配処理の手順を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、サーバ1が、手配指示を実行する(S31)。
例えば、複数のバス事業者における見積情報が生成された場合には、どのバス事業者の貸切バスを予約するかを確認する情報を旅行会社装置2に送信し、その返信結果に応じて一のバス事業者を決定し、決定されたバス事業者に向けた手配情報をバス事業者装置3に送信する。
これにより、旅行会社からは貸出バスに関する発注が行われ、他方、バス事業者は貸出バスに関する受注が完了する。
【0081】
次に、車両の引当を行う(S32)。
具体的には、バス事業者側で車両の確保を行う。
例えば、AAバスに対し手配指示が実行された場合、運行日6月20日~21日においてc営業所において大型バスを1台確保する。
車両の引当が終わると、従業員に操作に応じバス事業者装置3から引当完了通知がサーバ1に対して行われる。
【0082】
続いて、サーバ1は、手配情報の生成・保存・通知を行う(S33)。
具体的には、手配が完了した案件及びその内容に関する情報を生成し、手配番号と共に保存する。
サーバ1は、手配情報を、旅行会社装置2及びバス事業者装置3に送信(通知)する。
【0083】
手配済み案件の変更・削除処理の手順について説明する。
図27は、変更・手配処理の手順を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、サーバ1にアクセスする(S41)。
具体的には、旅行会社装置2においてWebブラウザに所定のURLを入力する。
これにより、手配番号入力欄を有する変更・削除のWebページが表示される。
【0084】
次に、手配番号に基づき案件特定・通知を行う(S42)。
具体的には、Webページの手配番号入力欄に変更又は削除する案件の手配番号を入力する。
続いて、変更か削除かを判定する(S43)。
具体的には、従業員による旅行会社装置2の操作により、「変更」が選択されたか、「削除」が選択されたかを判定する。
【0085】
変更の場合(S43-変更)、内容の変更を行う(S44)。
具体的には、旅行期間、車種、台数などを変更することができる。
次に、車両の引当を行う(S45)。
そして、手配情報の生成・保存・通知を行う(S47)。
なお、S45の車両の引当はS32と同様の処理であり、S47の手配情報の生成・保存・通知はS33と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0086】
削除の場合(S43-削除)、案件を削除する(S48)。
例えば、保存している案件のデータを削除する。
【0087】
このように、本発明の貸切バス処理方法においては、複数の旅行会社装置2と、複数のバス事業者装置3と、の間で情報処理を実行する工程として、バス事業者装置3により入力可能なバス事業者側の条件を示すバス事業者条件情報を記憶する第1ステップと、旅行会社装置2により入力可能な貸切バスの利用者側の条件を示す利用者条件情報及び前記バス事業者条件情報に基づき、利用者側の条件とバス事業者側の条件を共に満たす貸出バスの提供が可能なバス事業者を複数のバス事業者の中から抽出する第2ステップと、第2ステップにより抽出されたバス事業者における貸切バスの代金を、利用者条件情報及びバス事業者条件情報に基づき算出する第3ステップと、第3ステップにより算出された代金に基づく見積情報を旅行会社装置2に出力する第4ステップと有するようにしている。
【0088】
(他の構成について)
・ステータス管理
サーバ1は、見積依頼を受けた後の様々な状態ごとにステータス情報を記憶・更新するようにしている。
例えば、見積依頼画面を表示するも見積依頼が完了していない状態では「見積依頼(未)」をステータスとして記憶し、見積依頼が完了した状態(見積依頼情報を受信した状態)では、ステータスを「見積依頼(済)」に更新し、見積情報を送信した状態では、ステータスを「見積回答(済)」に更新し、旅行会社からバス事業者に対し正式発注が行われた状態では、ステータスを「発注」に更新し、バス事業者が受注処理を行った状態では、ステータスを「受注」に更新する。
なお、変更依頼があったときはステータスを「変更依頼」に更新し、その後の受領に応じ「変更受領」に更新する。
また、取り消し(削除)の依頼があったときはステータスを「取消依頼」に更新し、その後の受領に応じ「取消受領」に更新する。
これらのステータス情報は、更新するたびに、旅行会社装置2及びバス事業者装置3に送信して表示可能にする。
このため、案件毎にそのステータス(状態)を旅行会社とバス事業者の双方で共有できる。
これにより、例えば予約ミス(例えば、予約忘れ、手配忘れ、削除忘れなど)を削減することができる。
【0089】
・リマインド機能
サーバ1は、予約が完了した場合、運行日前の数日前(例えば前日)の日付をリマインド日として設定(記憶)することができる。
このとき、リマインド情報の通知先として、旅行会社の従業員(担当者)やエンドユーザのメールアドレスを登録しておくこともできる。
これにより、サーバ1は、リマインド日になると、登録したメールアドレスにリマインド情報(例えば、「明日○月○に貸切バスの運行が予約されています。○○時○○分までに倉敷駅までお越しください。」など)を送信することができる。
【0090】
・見積の有効期限
サーバ1は、見積情報の有効期限を自動的に設定し通知することができる。
例えば、有効期限を1年とすることができる。
そうすると、仮に、2022年5月1日に見積情報を送信した場合、サーバ1は、2023年5月1日を有効期限の末日として記憶手段111に記憶する。
サーバ1は、見積情報に「見積有効期限:2023年5月1日」を含めることができる。
この場合、サーバ1は、見積有効期限:2023年5月1日に到達又は超過した場合、案件情報を削除することができる。
【0091】
・バス事業者の指定
見積依頼先を旅行会社が選択できるようにもできる。
この場合、例えば、見積依頼情報に見積依頼先を指定する欄を設ければよく、サーバ1は、受信した見積依頼情報のその欄に見積依頼先が入力されていればその見積依頼先であるバス事業者における運賃・料金を算出して見積情報を生成し、旅行会社に送信すればよい。
また、サーバ1が、見積依頼情報に基づいて空き車両があるバス事業者を抽出し、その一覧を旅行会社装置2に送信するようにもできる。
この場合、旅行会社装置2において、受信したバス事業者の一覧を表示するようにして、その中から任意のバス事業者を従業員が選択できるようにすればよい。
旅行会社装置2は、選択されたバス事業者の情報を受信すると、そのバス事業者における運賃・料金を算出して見積情報を生成し、旅行会社に送信すればよい。
【0092】
・見積情報における規程運賃・料金の表示
見積情報に規定運賃・料金を含ませることで、規程されている下限額~上限額の範囲に代金が納まっていることを、旅行会社装置2において表示させることができる。
例えば、本例の場合、中国運輸局の大型車が対象なので、キロ制運賃の下限額は150円で上限額は210円であり、時間制運賃の下限額は5010円で上限額は7230円であることを見積リスト中に表示する。
これにより、旅行会社などのエンドユーザ側で上下限内に収まっていることをダブルチェックができたり、法令遵守や適正運賃価格が担保されていることをアピールしたり、エンドユーザ側に安心感を与えることができる。
【0093】
・リモート対応
旅行会社装置2は、バス事業者の管理下にあればいいので、旅行会社に設置されている必要はない。
バス事業者装置3も同様であり、バス事業者に設置されている必要はない。
これにより、例えば、旅行会社の従業員は、PCやモバイル端末などの端末機器があれば、自宅やサテライトオフィスなど会社以外の遠隔の場所からサーバ1にリモートアクセスして見積依頼等を行うことができる。
【0094】
以上説明したように、本実施形態の貸切バス受発注システムは、複数の旅行会社装置2と、複数のバス事業者装置3と、の間で情報処理を実行するサーバ1を備え、バス事業者装置3により入力可能なバス事業者側の条件を示すバス事業者条件情報(営業所マスタ154,AGTグループマスタ155,AGTグループ運賃マスタ156,AGTグループ運賃カレンダー161等)を記憶する記憶手段111と、旅行会社装置2により入力可能な貸切バスの利用者側の条件を示す利用者条件情報(見積依頼情報等)及び前記バス事業者条件情報に基づき、利用者側の条件とバス事業者側の条件を共に満たす貸出バスの提供が可能なバス事業者を複数のバス事業者の中から抽出する抽出手段112と、抽出手段112により抽出されたバス事業者における貸切バスの代金を、利用者条件情報及びバス事業者条件情報に基づき算出する算出手段113と、算出手段113により算出された代金に基づく見積情報を旅行会社装置2に出力する出力手段114と、を備えている。
これにより、旅行会社(エンドユーザを含む)の条件とバス事業者の条件を共に満たす見積を自動生成することができる。
このため、双方にとって有用な貸切バス受発注システムを提供できる。
特に、従来は、算出した代金が規定を満たすかどうか(規定されている上限額と下限額の範囲内に収まっているかどうか)を従業員が確認する手間があり、更に、従業員の裁量で旅行会社毎に代金を異ならせていたため、値付けにバラツキがあり、一定性や再現性に欠ける問題があったが、本発明の貸切バス受発注システムでは、サーバ1が、規定を満たす見積を自動的に実行するため、このような従来の問題を解消できる。
【0095】
また、本実施形態の貸切バス受発注システムは、バス事業者条件情報には、貸切バスサービスに対する規定に関する情報である規定情報(AGTグループ運賃マスタ156等)が含まれ、抽出手段112は、利用者条件情報及び規定情報に基づき、利用者側の条件と規定とを共に満たす貸出バスの提供が可能なバス事業者を抽出する。
また、本実施形態の貸切バス受発注システムは、バス事業者条件情報には、バス事業者装置3により入力可能な旅行会社毎及び日付毎の規定の単価(AGTグループ運賃マスタ156,AGTグループ運賃カレンダー161等)が含まれ、算出手段113は、抽出手段112により抽出されたバス事業者における貸切バスの代金を、利用者条件情報に含まれる運行の日付(見積依頼情報における旅行期間、見積行程等)、及び、バス事業者条件情報に含まれる規定の単価に基づいて算出する。
これにより、旅行会社(エンドユーザを含む)の条件と、バス事業者の条件を満たしつつ、さらに、規定を満たす見積を自動生成することができる。
このため、容易にかつ精度良く見積を生成することができる。
【0096】
また、本実施形態の貸切バス受発注システムは、貸切バスを管理するバス事業者の営業所毎に貸出バスの空き台数を旅行会社装置2に表示させる表示制御手段115と、一以上の営業所から構成される営業区域毎に代車を管理する代車管理手段116と、を備え、表示制御手段115は、前記営業区域を構成する営業所のうちの特定の営業所で空き台数がない場合であっても、前記営業区域において代車の空き台数がある場合には、各営業所毎に前記代車の空き台数を割り当てて前記貸出バスの空き台数として前記旅行会社装置に表示させる。
これにより、各営業所に空き台がない場合であっても営業区間として代車や傭車がある場合には、空き台としてみせたり処理することができる。
【0097】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
貸切バス受発注システムの構成は、上述の実施形態に限らず、一装置の構成の一部又は全部を他の装置が備えることもできる。
例えば、見積依頼情報は旅行会社装置2を操作することで旅行会社装置2からサーバ1に送信される構成について説明したが、例えば、見積依頼情報を記憶した記憶媒体をサーバ1に挿入したり、見積依頼情報をサーバ1に手動入力するなどして記憶手段111に記憶させてもよい。
また、自動見積ではなくてもよい。例えば、見積依頼が行われると、サーバ1は、抽出手段112により抽出したバス事業者のバス事業者装置3にその旨の通知を行うようにする。この場合、バス事業者の従業員は、手動により見積を作成し、サーバ1を介して旅行会社や旅行会社装置2に見積情報を返信すればよい。
【0098】
また、エンドユーザが所有するパソコンやスマートフォンなどのユーザ端末(図示省略)を設けてもよい。
この場合、ユーザ端末と旅行会社装置2とが通信可能であり、ユーザ端末の操作に応じ旅行会社装置2が貸切バスサービスの受付けをオンラインで行い、旅行会社装置2は受付時に入力された情報をサーバ1に送信することで、貸切バスサービスの見積・予約などの各種処理をサーバ1で実行すればよい。
また、旅行会社装置2を介さず、ユーザ端末の操作に応じ、ユーザ端末とサーバ1とが直接通信を行い、サーバ1で貸切バスサービスの見積・予約などの処理を実行してもよい。
【0099】
バス事業者同士で、駐車場や貸切バスなどの資産や施設を相互扶助できる仕組みを設けることもできる。
例えば、空き駐車場や空きバスを特定可能なカレンダー情報をサーバ1に記憶させ、各バス事業者の端末機器(バス事業者装置など)で閲覧(共有)できるようにする。
これにより、例えば、各営業所の駐車場が空いていないバス事業者は、他のバス事業者に対し駐車場の貸出しをオンラインで申請したり、各営業所の貸出バスが空いていないバス事業者は、他のバス事業者に対しバスの貸出(傭車)をオンラインで申請することができる。
【0100】
上述した実施形態では、旅行会社装置2やバス事業者装置3においてパッケージプログラムがインストールされ、かつ、サーバ1と旅行会社装置2やバス事業者装置3がAPI連携をする構成となっているが、これらの構成がなくても本発明を実施できる。
この場合、例えば、バス事業者装置3から事前に、バス事業者毎、営業区画毎、営業所毎の車両の空満情報(日付毎、車種毎の空き台数、代車数、傭車数等)を送信し、サーバ1においてこれらを記憶しておき、見積依頼を受けたときに参照すればよい。
【0101】
図18に示す見積リストは、一例であり、様々な情報を組み込んでリスト化することができる。
例えば、エンドユーザ名、旅行期間、行程(出発地、経由地、到着地)などをリストに組み込むことができる。
これにより、例えば、同一のエンドユーザが複数の旅行会社に対して相見積もりを依頼している場合など、同一案件について複数の旅行会社から見積依頼を受けた場合でも、そのことを確認し易い。
例えば、見積リストを並べたり重ねて表示することで同一案件か否かを視覚を通じて容易に把握することができる。
この点、従来の手動方法だと、同一案件につき同様の見積作業をその都度規定や旅行会社を気にしながら行う手間が生じていたが、その反面、異なる観点で見積作業を行うと一定性や再現性に欠く場合があるので、バス事業者の従業員にとって極めて無駄で煩雑であった。
加えて、従来は、貸切バスの二重予約やそのことが原因で発生する過剰在庫による機会損失が発生するおそれがあった。
本発明によれば、見積リストやステータスの表示により二重予約や機会損失を防止することができる。
【0102】
旅行会社装置2として「クライアントサーバモデル」を採用することもできる。
具体的には、旅行会社内に、旅行会社サーバと、従業員が操作可能な端末機器(クライアント)とをLAN等を介して通信可能な状態で設置する。
例えば、旅行会社の従業員が貸切バス受発注システムを利用して見積依頼を行う場合、端末機器を操作することで旅行会社サーバにアクセスし、当該アクセスに基づき、旅行会社サーバからサーバ1にアクセスして、旅行会社装置2とサーバ1とがデータ通信を行うようにすればよい。
部署間のやりとりを端末機器間の通信を介して行うこともできる。
例えば、旅行会社の営業現場(会社外)の端末機器からバス事業者に対する発注を行うと、その旨の通知が旅行会社のバス仕入れ・手配部署(会社内)の端末機器に通知され、当該部署の所定処理(承認処理等)が行われると、発注情報をサーバ1に送信する。
サーバ1は、旅行会社装置2から受信した発注情報に基づいて、バス事業者に対する発注処理を行うことができる。
同様に、バス事業者装置3に「クライアントサーバモデル」を採用することができる。
【符号の説明】
【0103】
1:サーバ、101:制御部、102:メモリ、103:記憶部、104:通信装置、111:記憶手段、112:抽出手段、113:算出手段、114:出力手段、115:表示制御手段、116:代車管理手段、150:データベース(DB)、151:AGTマスタ、152:バス事業者マスタ、153:車格詳細マスタ、154:営業所マスタ、155:AGTグループマスタ、156:AGTグループ運賃マスタ、157:ガイド料金マスタ、158:北海道運輸局マスタ、159:営業区域外マスタ、160:運賃・料金マスタ、161:AGTグループ運賃カレンダー、162:車両利用状況情報、163:OB設定情報、2:旅行会社装置、201:制御部、202:メモリ、203:記憶部、204:操作装置、205:表示装置、206:通信装置、3:バス事業者装置、301:制御部、302:メモリ、303:記憶部、304:操作装置、305:表示装置、306:通信装置、4:地図検索サイト、9:インターネット

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