(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007627
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】筐体
(51)【国際特許分類】
F16B 5/02 20060101AFI20240112BHJP
E04B 1/61 20060101ALI20240112BHJP
H05K 7/18 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
F16B5/02 A
E04B1/61 502Z
H05K7/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108812
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120444
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】田中 陽子
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰仁
【テーマコード(参考)】
2E125
3J001
【Fターム(参考)】
2E125AA51
2E125CA05
3J001FA02
3J001FA07
3J001GA02
3J001GB01
3J001HA02
3J001JA10
3J001JD15
3J001KA19
3J001KB03
(57)【要約】
【課題】2体の壁体を連結する作業の負担増大を抑制でき、構造上の制約を緩和すること。
【解決手段】筐体(10)は、連結具(30)を介して隣接する第1壁体(20A)及び第2壁体(20B)を連結する。各壁体は、主面部(21)の外縁側を基端として連なり、筐体の内方に先端を有する接合面部(22)とを備えている。接合面部は、各壁体の接合面部同士を接触させた状態にて、内部空間が相互に連通する孔(22a)を備えている。連結具は、各壁体における孔に挿通される挿通片部(32)と、挿通片部に形成される切欠き部(35)とを備えている。切欠き部は、各壁体それぞれの孔に対し挿通片部を接合面部の厚さ方向に挿通した状態で、孔の形成縁に嵌り込んで各壁体における接合面部を挟み込み可能に設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の壁体によって構成され、少なくとも2体の隣接する前記壁体が連結具を介して連結される筐体であって、
前記壁体は、前記筐体の外周面を形成する主面部と、
前記主面部の外縁側を基端として連なり、前記筐体の内方または外方に先端を有する接合面部とを備え、
前記接合面部は、2体の前記壁体の前記接合面部同士を接触させた状態にて、内部空間が相互に連通する孔を備え、
前記連結具は、2体の前記壁体における前記孔に挿通される挿通片部と、
前記挿通片部に形成される切欠き部と、を備え、
前記切欠き部は、2体の前記壁体それぞれの前記孔に対し前記挿通片部を前記接合面部の厚さ方向に挿通した状態で、該孔の形成縁に嵌り込んで2体の前記壁体における前記接合面部を挟み込み可能に設けられることを特徴とする筐体。
【請求項2】
前記孔は、前記接合面部と前記主面部との境界位置を含む領域に形成され、
前記切欠き部が2体の前記壁体における前記接合面部を挟み込んだ状態で、前記挿通片部が前記主面部に面接触することを特徴とする請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記挿通片部に連なって前記挿通片部と交差する方向に向けられ、前記接合面部に面接触する支持片部を更に備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
単一の前記支持片部に前記挿通片部が複数形成されることを特徴とする請求項3に記載の筐体。
【請求項5】
前記支持片部の厚さ方向にて、前記支持片部を挟んで前記挿通片部と反対側に位置し、前記主面部に面接触する補強片部を更に備えていることを特徴とする請求項3に記載の筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁体を連結して構成される筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の電気機器を備えた配電盤等にあっては、箱状をなす筐体を備えて構成される。かかる筐体においては、同一面上や直交する方向に2体以上の壁体を並べて連結する構成が知られている。このように壁体を連結する構成が特許文献1及び2に開示されている。
【0003】
特許文献1は、2体の壁体となるケース部材にフランジ部が形成され、かかるフランジ部にクリップを装着して連結する構造を開示している。クリップは、細長い板状部と、板状部の短手方向の両側に形成されてフランジ部と係合する係合爪部とを備えている。
【0004】
特許文献1において、2体のケース部材を連結する場合、組み合わせた状態の2つのフランジ部の外側からクリップを覆うようにあてがい、板状部を強く押し込む。これにより、クリップ全体が弾性変形し、係合爪部が外方に拡がってから元の形状に復元するよう変形することでフランジ部に係合し、2つのフランジ部がクリップにより挟持される。
【0005】
特許文献2は、2体の壁体を鞘部材を介して連結している。壁体の一辺には曲折部が設けられ、曲折部の先端縁を壁体側に鋭角に折り曲げて係止縁部が形成されている。鞘部材は、所定長さを有し、断面略矢印状に形成されている。鞘部材は、略三角形の挿通孔を有する鞘部から隙間を保持して突き出た2つの平行端縁部を備えている。
【0006】
特許文献2において、2体の壁体を連結する場合、係止縁部が背中合わせになるように2つの曲折部を当接させて配置する。この状態で、係止縁部を鞘部材の鞘部の挿通孔内に挿通させ、鞘部材を2つの曲折部に跨って装着する。これにより、平行端縁部によって曲折部を挟持して2体の壁体を連結し、2つの曲折部を当接させた状態を維持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平6-51514号公報
【特許文献2】特開2001-65068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1にあっては、クリップ全体を弾性変形させるために板状部を押し込む操作力が大きくなり、クリップの装着、ひいては2体のケース部材を連結する作業負担が大きくなる、という問題がある。
【0009】
また、特許文献2にあっては、壁体における曲折部の延出方向両端の何れかから係止縁部を鞘部の挿通孔内に差し込みスライドして鞘部材を装着している。このため、曲折部の延出方向両端にて、鞘部材を差し込み可能にするスペースの確保が必要となり、曲折部を短くしたり、筐体自体を大きくしたりする等、構造上の制約が大きくなる、という問題がある。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、2体の壁体を連結する作業の負担増大を抑制でき、構造上の制約を緩和することができる筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明における一態様の筐体は、複数の壁体によって構成され、少なくとも2体の隣接する前記壁体が連結具を介して連結される筐体であって、前記壁体は、前記筐体の外周面を形成する主面部と、前記主面部の外縁側を基端として連なり、前記筐体の内方または外方に先端を有する接合面部とを備え、前記接合面部は、2体の前記壁体の前記接合面部同士を接触させた状態にて、内部空間が相互に連通する孔を備え、前記連結具は、2体の前記壁体における前記孔に挿通される挿通片部と、前記挿通片部に形成される切欠き部と、を備え、前記切欠き部は、2体の前記壁体それぞれの前記孔に対し前記挿通片部を前記接合面部の厚さ方向に挿通した状態で、該孔の形成縁に嵌り込んで2体の前記壁体における前記接合面部を挟み込み可能に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、連結具によって複数の壁体を連結するにあたり、連結具を接合面部の厚さ方向に移動することで、孔に挿通片部を挿通することができる。その後、孔内の挿通片部をスライドするように連結具を移動することで、孔の形成縁に切欠き部を嵌め込んで2体の接合面部を挟み込み、連結具により壁体を連結することができる。これにより、連結具自体を弾性変形させるような操作力を不要として壁体を連結する作業の負担増大を抑制でき、更には、接合面部の延出方向両側に連結具のスライド用のスペースを確保する等の構造上の制約を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】実施の形態にて隣接する2体の側方壁体を説明するための斜視図である。
【
図3】実施の形態における壁体の連結構造を説明するための分解斜視図である。
【
図4】実施の形態にて各壁体の孔に挿通片部を挿通する直前状態を後方から見た図である。
【
図5】実施の形態にて各壁体の孔に挿通片部を挿通した直後の状態を後方から見た図である。
【
図6】実施の形態にて各壁体の孔に切欠き部が嵌り込んだ状態を後方から見た図である。
【
図8】実施の形態にて各壁体の孔に挿通片部を挿通する直前状態の
図3と同様の斜視図である。
【
図9】実施の形態にて各壁体の孔に挿通片部を挿通した直後の状態の
図3と同様の斜視図である。
【
図10】実施の形態における壁体の連結が完了した状態の
図3と同様の斜視図である。
【
図11】変形例における壁体の連結が完了した状態の
図10と同様の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係る筐体について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。また、以下の説明において、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、各図において矢印で示した方向を基準として用いる。但し、各構成の向きは、一例にすぎず、任意の向きに変更することができる。
【0015】
図1は、実施の形態に係る筐体の概略斜視図である。
図1に示す筐体10は、内部に所定の収容空間を備え、例えば、図示省略した配電盤や制御盤、遮断器等の所定の電気機器を収容空間内に収容する。筐体10は、パネル状をなす複数の壁体を連結することで構成される。更に述べると、筐体10は、上部壁体11と、下部壁体12と、上部壁体11及び下部壁体12の間に設けられる複数の側方壁体20とを備えている。本実施の形態において、側方壁体20は、上部壁体11及び下部壁体12の前後両側において、左右に並んで複数(
図1では4体)設けられる。各壁体11、12、20は、特に限定されるものでないが、鋼板等の金属板によって形成することが例示できる。
【0016】
続いて、左右方向に隣接する2体の側方壁体20の連結構造について説明する。ここでは、代表例として、
図1にて符号20A、20Bで示される2体の側方壁体20の連結構造について説明する。以下、符号20Aで示されて相対的に左側に位置する側方壁体20を第1壁体20A、符号20Bで示されて相対的に右側に位置する側方壁体20を第2壁体20Bと称する。
【0017】
図2は、実施の形態にて左右方向に隣接する2体の側方壁体を説明するための斜視図である。
図3は、実施の形態における壁体の連結構造を説明するための分解斜視図である。
図2及び
図3に示すように、第1壁体20Aの右端部と第2壁体20Bの左端部とは、折り曲げて形成されるとともに、相互に隣り合って連結される。第1壁体20A及び第2壁体20Bは、主面部21及び接合面部22をそれぞれ備えている。
【0018】
ここで、接合面部22は、筐体10における側方壁体20の設置箇所に応じて側方壁体20の左右両側または左右の何れか一端側に形成される。
図2から
図10では、第1壁体20Aの右端部及び第2壁体20Bの左端部に接合面部22が形成される場合について説明する。
【0019】
主面部21は、上下方向及び左右方向に平行に設けられて筐体10の外周面を形成している(
図1参照)。主面部21は、第1壁体20A及び第2壁体20Bの平面形状と概略同一の平面形状となる方形状をなし、左右両側に上下方向に延びる2本の長辺を備えている。
【0020】
接合面部22は、主面部21の長辺を形成する外縁から後方(筐体10の内方)に突出して形成されている。よって、接合面部22は、主面部21の外縁側が基端として連なり、筐体10の内方に先端を有している。接合面部22は、主面部21に対して略直角となる方向に向けられている。また、接合面部22は、主面部21の長辺を形成する外縁に沿って延出する形状を備えている。言い換えると、接合面部22は、上下方向を延出方向として形成される。
【0021】
筐体10を形成する際には、第1壁体20A及び第2壁体20Bは、それぞれの主面部21が同一面上に配置され、それぞれの接合面部22同士が接触した状態(
図3に示す状態)となる。この状態で、第1壁体20A及び第2壁体20Bにおける接合面部22の先端面(後端面)は、前後方向にて同じ位置となるように配置され、左右方向に並んだ状態となる。
【0022】
第1壁体20A及び第2壁体20Bは、スロット孔となる孔22aを備えている(
図3では第1壁体20Aの孔22aは不図示)。第1壁体20A及び第2壁体20Bにて、孔22aは、上下方向に複数(本実施の形態では3つ)形成されている。
【0023】
孔22aは、主面部21の外縁の延出方向となる上下方向に延出している。また、孔22aは、接合面部22と主面部21との境界位置となるコーナー部を含む領域に形成される。第1壁体20A及び第2壁体20Bそれぞれの孔22aは、
図3に示す状態にて、上下方向及び前後方向にて同一となる位置に形成され、内部空間が左右方向に相互に連通した状態となる(
図7A参照)。かかる状態において、第1壁体20A及び第2壁体20Bに跨って連結具30が装着されている。
【0024】
連結具30は、アルミニウムやステンレス等の金属材や、適宜な樹脂材によって構成される。
図3に示すように、連結具30は、上下方向を長手方向、前後方向を短手方向とし、左右方向を厚さ方向とする片状または板状の単一となる支持片部31を備えている。また、連結具30は、支持片部31の前端側に連なって形成され、前後方向を厚さ方向として左右方向に突出形成される複数の挿通片部32及び複数の補強片部33を更に備えている。言い換えると、支持片部31は、挿通片部32及び補強片部33に交差する方向となる前後方向に向けられて形成される。
【0025】
支持片部31の上下方向の長さは、第1壁体20A及び第2壁体20Bにおける接合面部22の上下方向略全長に亘って形成され、より具体的には、接合面部22の上下両端からはみ出ないよう接合面部22より若干短く形成されている。また、支持片部31の上下両側には、丸穴(穴)31aがそれぞれ形成されている。ここで、第1壁体20A及び第2壁体20Bそれぞれの接合面部22における上下両側にも、丸穴(穴)22bが形成されている(
図2参照)。上下方向にて、支持片部31の2つの丸穴31aの間隔と、接合面部22の2つの丸穴22bの間隔とは同一に設定され、各丸穴31a、22bに締結部材38(
図10参照)が挿通可能となっている。
【0026】
挿通片部32は、単一の支持片部31に対し、長手方向(上下方向)に所定間隔を隔てて複数(本実施の形態では3つ)形成されている。挿通片部32は、第1壁体20A及び第2壁体20Bの孔22aと同一となる上下間隔に形成される。言い換えると、3つの挿通片部32の形成位置に対応した上下位置に各孔22aが形成される。なお、本実施の形態では、3つの挿通片部32にて、上側の挿通片部32及び中央の挿通片部32の間隔と、中央の挿通片部32及び下側の挿通片部32の間隔とは同一に設定される。
【0027】
挿通片部32は、支持片部31の前端に連なり、支持片部31との間の角度が略直角になるよう左方向に突出形成されている。よって、挿通片部32は、支持片部31の前端に連なる右端が基端とされ、その反対側の左端が先端とされる。
【0028】
補強片部33は、単一の支持片部31に対し、長手方向(上下方向)に所定間隔を隔てて複数(本実施の形態では4つ)形成されている。挿通片部32と補強片部33とは異なる上下位置に形成される。よって、前後方向から見た場合、挿通片部32と補強片部33とが上下方向にて互い違いに形成されている。言い換えると、挿通片部32の上側と下側の両方に補強片部33が設けられている。
【0029】
補強片部33は、支持片部31の前端に連なって形成され、左右方向にて支持片部31を挟んで挿通片部32と反対側に位置する。補強片部33は、支持片部31との間の角度が略直角になるよう右方向に突出形成され、挿通片部32と同じ前後位置となって挿通片部32と同一平面上に設けられる。補強片部33は、支持片部31の前端に連なる左端が基端とされ、その反対側の右端が先端とされる。
【0030】
ここで、支持片部31、挿通片部32、補強片部33の上下長さ(上下方向の長さ)について説明する。4つの補強片部33のうち、上下両側の2つの補強片部33は、挿通片部32より短い上下長さに形成され、それ以外の2つの補強片部33は、挿通片部32より長い上下長さに形成される。
【0031】
連結具30にて、3つ全ての挿通片部32の上下長さの総和より、4つ全ての補強片部33の上下長さの総和の方が長く形成される。また、挿通片部32及び補強片部33は、支持片部31の上下方向全体でなく部分的に形成される。以上により、連結具30では、全ての挿通片部32の上下長さの総和、全ての補強片部33の上下長さの総和、支持片部31全体の上下長さの順に長くなるよう形成されている。
【0032】
図4は、実施の形態にて各壁体の孔に挿通片部を挿通する直前状態を後方から見た図である。
図5は、実施の形態にて各壁体の孔に挿通片部を挿通した直後の状態を後方から見た図である。
図6は、実施の形態にて各壁体の孔に切欠き部が嵌り込んだ状態を後方から見た図である。
図4から
図6では、第1壁体20A及び第2壁体20Bにおける接合面部22だけを孔22aの形成位置にて正面断面視している。
【0033】
図4及び
図5に示すように、挿通片部32は、第1壁体20A及び第2壁体20Bそれぞれの孔22aに対し左右方向(接合面部22の厚さ方向)から挿通される。各挿通片部32の基端(右端)寄りにおける下端側には切欠き部35が形成されている。切欠き部35は、支持片部31の左面に隣接する位置にて下方を開放するL字状に形成されている。
【0034】
切欠き部35の左右幅は、接合面部22の厚さを2倍した寸法と同一または若干大きく形成される。これにより、
図6に示すように、各孔22aに挿通片部32を挿通した状態で、切欠き部35が孔22aの下方の形成縁に嵌り込み、切欠き部35を介して2つの接合面部22を挟み込み可能に設けられる。より具体的には、切欠き部35内に孔22aが嵌り込んだ状態で、切欠き部35と支持片部31とで面接触する2つの接合面部22を左右方向から挟み込むことができ、各壁体20A、20Bが左右方向に相対変位することを規制することができる。
【0035】
図7Aは、
図4の部分横断面図であり、
図7Bは、
図6の部分横断面図である。
図7A及び
図7Bに示すように、挿通片部32の厚さ(前後幅)は、主面部21の後面と孔22aの後方の形成縁との間の前後寸法と同一または若干小さく形成される。よって、第1壁体20A及び第2壁体20Bそれぞれの孔22aに挿通片部32を挿通した状態で、挿通片部32及び補強片部33の前面が主面部21の後面に面接触され、挿通片部32の後面が孔22aの後方の形成縁に接触される。これにより、第1壁体20A及び第2壁体20Bの前後方向の相対移動が規制される。
【0036】
続いて、第1壁体20A及び第2壁体20Bを連結具30によって連結する連結方法について、
図3から
図7に加えて
図8から
図10を参照して以下に説明する。
図8は、実施の形態にて各壁体の孔に挿通片部を挿通する直前状態を示す
図3と同様の斜視図である。
図9は、実施の形態にて各壁体の孔に挿通片部を挿通した直後の状態を示す
図3と同様の斜視図である。
図10は、実施の形態における壁体の連結が完了した状態の
図3と同様の斜視図である。
【0037】
まず、
図3に示すように、第1壁体20A及び第2壁体20Bにおける接合面部22の前後方向の位置を揃えつつ、接合面部22同士が面接触するよう配置する。これにより、第1壁体20A及び第2壁体20Bそれぞれの孔22aが左右に連通した状態となる。
【0038】
この状態で、
図4及び
図8に示すように、第2壁体20Bにおける主面部21の後面に、連結具30の挿通片部32及び補強片部33の前面を面接触しながら各孔22aに対して連結具30の上下位置を位置合わせする。その後、
図7Aにも示すように、第2壁体20Bにおける接合面部22の孔22aに対し連結具30を右から左方向(横方向)に接近する。かかる接近は、主面部21に対し挿通片部32及び補強片部33を摺動し、それぞれの孔22aの右側から挿通片部32を挿通するよう連結具30を左方向(水平方向)にスライド移動する。
【0039】
連結具30のスライド移動は、
図5及び
図7Bに示すように、第2壁体20Bの接合面部22に支持片部31が面接触(当接)することで規制され、連結具30が左右方向にて位置決めされる。このように位置決めされた状態で、接合面部22と支持片部31とを面接触させながら、連結具30を下方にスライド移動する。これにより、
図6に示すように、孔22a内に挿通された挿通片部32の切欠き部35が孔22aの下方の形成縁に嵌り込み、切欠き部35と支持片部31とで面接触する2つの接合面部22が左右方向から挟み込まれる。これにより、各壁体20A、20Bが左右方向に相対変位することを規制することができる。
【0040】
切欠き部35が孔22aの形成縁に嵌り込むと、
図9に示すように、各壁体20A、20Bが連結具30によって仮固定される。このとき、接合面部22の丸穴22bと支持片部31の丸穴31a(
図9では不図示、
図8参照)との上下位置が一致して連通した状態となる。この状態で、各丸穴22b、31aに対し、
図10に示すように、ボルト等からなる締結部材38を挿通して不図示のナットや雌ねじ部に螺合する。これにより、2つの接合面部22及び支持片部31が左右方向から締結されると共に、各壁体20A、20Bに対する連結具30の装着が完了し、連結具30を介して各壁体20A、20Bが連結される。
【0041】
以上のように、本実施の形態によれば、
図3の状態から
図8の状態とする作業は、第2壁体20Bの主面部21に挿通片部32及び補強片部33を面接触するよう配置するだけとなる。また、
図8の状態から
図9の状態とする作業は、孔22aに挿通片部32の切欠き部35を嵌め込むようにすべく、連結具30を左方向と下方とにスライド移動するだけとなる。よって、本実施の形態では、各壁体20A、20Bの連結作業にて、連結具30や各壁体20A、20Bを変形するような操作力が不要になり、作業負担が増大することを抑えることができる。
【0042】
しかも、かかる連結作業では、接合面部22の延出方向となる上下方向中間部から挿通片部32を孔22aに挿入でき、連結具30の僅かな下降動作で切欠き部35の嵌め込みを行うことができる。これにより、接合面部22の上端や下端から上下方向にはみ出す位置に、連結具30を上下にスライド移動するためのスペースを設ける必要をなくすことができる。よって、接合面部22の上下長さを短くしたり、筐体10自体の大きさを変更する等の構造上の制約を緩和することができる。
【0043】
また、上記実施の形態では、接合面部22と主面部21との境界位置に孔22aが形成され、かかる孔22aに挿通片部32が挿通される。よって、連結具30の装着が完了した状態では、各壁体20A、20Bの連結部分となる接合面部22側にて、第1壁体20Aの主面部21の後面に挿通片部32が面接触し、第2壁体20Bの主面部21の後面に補強片部33が面接触した状態が維持される。これにより、各壁体20A、20Bの連結部分での剛性を連結具30により高めて該連結部分での変形等を良好に防止することができる。
【0044】
更に、挿通片部32及び補強片部33に交差する方向に向けられる支持片部31によって、挿通片部32及び補強片部33の撓み変形等を抑制するよう補強でき、ひいては、各壁体20A、20Bの連結部分での剛性をより一層高めることができる。
【0045】
また、接合面部22の上下方向略全長に亘る長さを連結具30が有するので、連結具30によって各壁体20A、20Bを連結しつつ補強する範囲を上下方向に広く確保することが可能となる。これにより、各壁体20A、20Bの連結部分の剛性を高め、各壁体20A、20Bの連結強度をより良く維持することができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状、向きなどについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0047】
上記実施の形態では、接合面部22の上下方向略全長に亘って単一の連結具30を設ける構成としたが、これに限られるものでない。
【0048】
例えば、連結具30の上下長さを接合面部22に比べて短くし、接合面部22の上下方向(接合面部22の延出方向)の両端側に離れて別体の連結具30をそれぞれ設けてもよい。
【0049】
他の例としては、
図11に示す変形例の構成を挙げることができる。
図11は、変形例における壁体の連結が完了した状態の
図10と同様の斜視図である。
図11の変形例では、連結具30を2つ設け、2つの連結具30を上下方向に隣接して配置している。言い換えると、変形例は、上記実施の形態の連結具30を上下に二分割するように構成される。よって、変形例では、2つの連結具30によって接合面部22の上下方向略全長に亘って連結具30が設けられ、これによっても、各壁体20A、20Bの連結部分の剛性を高めることができる。なお、2つの連結具30それぞれの上下両側に締結部材38が設けられて接合面部22に締結される。
【0050】
このように、連結具30の上下方向の長さや装着位置、装着数は、特に限定されるものでなく、各壁体20A、20Bのサイズや大きさ、重量、厚み等の他、筐体10の用途等の各種条件に応じ、任意に変更することができる。
【0051】
また、連結具30にあっては、挿通片部32の形成数は3つに代え、1つ又は3つ以外の複数としてもよく、補強片部33の形成数は4つに代え、1つ又は4つ以外の複数としてもよい。ここで、挿通片部32を複数とする場合、接合面部22の延出方向に等間隔に挿通片部32を設けてもよいし、振動抑制等の観点から連結強度を高める部分の挿通片部32の間隔を、それ以外の部分に比べて狭くしてもよい。
【0052】
更に、主面部21と接合面部22との間の角度は直角に代えて鋭角にしてもよい。この場合、連結具30において、支持片部31と挿通片部32との間の角度が直角以外となり、補強片部33の角度も主面部21及び接合面部22の角度に応じて変更される。
【0053】
また、連結具30にあっては、支持片部31を省略し、2つの接合面部22に跨るように挿通片部32を配設し、挿通片部32における孔22aに対応する位置に切欠き部35を形成して接合面部22を挟み込むようにしてもよい。更に、連結具30にあっては、補強片部33の一部または全部を省略した構成としてもよい。但し、上記実施の形態のように、支持片部31及び補強片部33を形成した方が、各壁体20A、20Bの連結強度をより良好に発揮することが可能となる。
【0054】
また、孔22aにあっては、切欠き部35に嵌め込まれて挿通片部32によって2つの接合面部22を挟み込み可能であれば、例えば接合面部22の前後方向中央に形成する等、各壁体20A、20Bでの形成位置を変更してもよい。
【0055】
また、主面部21の形状は、筐体10の外周面を形成していればよく、フラットに形成する以外に、円弧に沿って湾曲した形状や、折れ曲がった形状としてもよい。
【0056】
また、連結具30で連結される壁体は、隣接する壁体であればよく、側方壁体20と上部壁体11や下部壁体12としてもよい。この場合、主面部21と接合面部22との間の角度が鋭角となったり、主面部21が折れ曲がった形状となったりする。
【0057】
また、上記実施の形態では、連結具30が筐体10の内部に設けられる構成を説明したが、筐体10の外部に設けられる構成としてもよい。この構成では、接合面部22が筐体10の外方(前方)に先端を有している。
【符号の説明】
【0058】
10 :筐体
11 :上部壁体(壁体)
12 :下部壁体(壁体)
20 :側方壁体(壁体)
20A :第1壁体(壁体)
20B :第2壁体(壁体)
21 :主面部
22 :接合面部
22a :孔
30 :連結具
31 :支持片部
32 :挿通片部
33 :補強片部
35 :切欠き部