(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076272
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】リニア搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/92 20060101AFI20240529BHJP
B65G 54/02 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B65G47/92 Z
B65G54/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187776
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】青塚 久和
(72)【発明者】
【氏名】奥畑 峻
【テーマコード(参考)】
3F021
3F072
【Fターム(参考)】
3F021AA05
3F021BA05
3F021CA01
3F021DA02
3F072AA06
3F072KA08
3F072KD05
3F072KD12
(57)【要約】
【課題】 多様な物品に対応可能とする。
【解決手段】 所要の搬送経路を構成する搬送レール11と、当該搬送レール11に沿って設けられた固定子12と、上記固定子12によってリニア駆動される可動子13と、上記可動子13に設けられるとともに物品を保持する保持手段14と、上記固定子12を制御して可動子13を移動させる制御手段Cとを備えたリニア搬送装置3に関する。
上記可動子13における対向する表面15Aおよび裏面15Bを、それぞれ上記固定子12に対向した際にリニア駆動されるように構成し、
上記保持手段14として、上記可動子13の表面15A側(第1永久磁石16A)を介してリニア駆動される際にパウチPを保持する第1保持手段14Aと、上記可動子13の裏面15B側(第2永久磁石16B)を介してリニア駆動される際にボトルBを保持する第2保持手段14Bとを設けた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要の搬送経路を構成する搬送レールと、当該搬送レールに沿って設けられた固定子と、上記固定子によってリニア駆動される可動子と、上記可動子に設けられるとともに物品を保持する保持手段と、上記固定子を制御して可動子を移動させる制御手段とを備えたリニア搬送装置において、
上記可動子における対向した表面および裏面を、それぞれ上記固定子に対向させた際にリニア駆動されるように構成し、
上記保持手段として、上記可動子の表面側を介してリニア駆動される際に物品を保持する第1保持手段と、上記可動子の裏面側を介してリニア駆動される際に物品を保持する第2保持手段とを有することを特徴とするリニア搬送装置。
【請求項2】
上記搬送レールの搬送経路の途中に、上記可動子を上記搬送経路より離隔した切り替え位置へと移動させる分岐レールと、上記切り替え位置に位置した可動子を上記搬送レールに合流させる合流レールとを設け、
上記分岐レールおよび合流レールに、それぞれ上記可動子をリニア駆動させる固定子を設け、
上記制御手段は、上記搬送レールを移動した可動子が上記分岐レールに位置すると、上記分岐レールの固定子を制御して当該可動子を上記切り替え位置まで移動させ、さらに上記合流レールの固定子を制御して、上記切り替え位置の可動子を上記搬送レールへと移動させることを特徴とする請求項1に記載のリニア搬送装置。
【請求項3】
上記第1保持手段または第2保持手段の少なくとも一方は、上記搬送経路を移動する下流側可動子に設けられた下流側グリップ片と、前記下流側可動子の上流側に隣接する上流側可動子に設けられた上流側グリップ片とによって構成されることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のリニア搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリニア搬送装置に関し、詳しくは搬送レールに設けられた固定子によってリニア駆動される可動子に、物品を保持する保持手段を設けたリニア搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リニア駆動を用いて物品を搬送するリニア搬送装置が知られており、このようなリニア搬送装置として、所要の搬送経路を構成する搬送レールと、当該搬送レールに沿って設けられた固定子と、上記固定子によってリニア駆動される可動子と、上記可動子に設けられるとともに物品を保持する保持手段と、上記固定子を制御して可動子を移動させる制御手段とを備えたものが知られている(特許文献1、2)。
このうち特許文献1のリニア搬送装置では、二つの可動子に設けたアームによって物品を収容するハカマを保持しながら搬送し、これに対し特許文献2のリニア搬送装置では、二つの可動子に設けたグリップ片によって袋状のパウチの両端部を把持しながら搬送するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-15332号公報
【特許文献2】特許第7105571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、一つの装置で多品種を処理することが望まれており、例えば特許文献1によれば、使用するハカマを変更することにより異なる物品を搬送することができ、また特許文献2では、2つの可動子の間隔を異ならせることで、異なる大きさのパウチを保持することが可能となっている。
しかしながら、全く異なる物品であるパウチとボトルとを処理したい場合や、例えばボトルであっても極端にサイズが異なる場合など、同じ保持手段で保持することができない物品を処理する場合には、可動子ごと保持手段を交換する必要があった。
このような問題に鑑み、本発明は多様な物品に対応可能なリニア搬送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかるリニア搬送装置は、所要の搬送経路を構成する搬送レールと、当該搬送レールに沿って設けられた固定子と、上記固定子によってリニア駆動される可動子と、上記可動子に設けられるとともに物品を保持する保持手段と、上記固定子を制御して可動子を移動させる制御手段とを備えたリニア搬送装置において、
上記可動子における対向した表面および裏面を、それぞれ上記固定子に対向させた際にリニア駆動されるように構成し、
上記保持手段として、上記可動子の表面側を介してリニア駆動される際に物品を保持する第1保持手段と、上記可動子の裏面側を介してリニア駆動される際に物品を保持する第2保持手段とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記請求項1の発明によれば、一つの可動子に第1、第2保持手段を設けたことにより、種類の異なる物品を保持することが可能となる。そして上記第1、第2保持手段を設けた可動子の表面および裏面をそれぞれ搬送レールに設けた固定子によってリニア駆動可能とすることで、第1、第2保持手段をそれぞれ利用することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にかかる第1モードでの充填システムの平面図である。
【
図2】本実施形態にかかる第2モードでの充填システムの平面図である。
【
図3】第1、第2保持手段を説明する側面図であり、
図3(a)は第1モード時、
図3(b)は第2モード時を示す。
【
図4】第1、第2保持手段を説明する平面図であり、
図3(a)は第1モード時、
図3(b)は第2モード時を示す。
【
図10】第2実施形態にかかる第1、第2保持手段を説明する平面図であり、
図10(a)は第1モード時、
図10(b)は第2モード時を示す。
【
図11】第3実施形態にかかる第1、第2保持手段を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施形態について本発明を説明すると、
図1、
図2は、物品としてのパウチPまたはボトルBに液体を充填する充填システム1を示しており、本実施形態の充填システム1は、
図1に示す第1モードと、
図2に示す第2モードとに切り替えることで、上記パウチPおよびボトルBを処理することが可能となっている。
上記パウチPは袋状の容器であって、2枚の樹脂製シートの外周縁をヒートシールにより溶着して袋状とした構成を有している。充填システム1には上部が溶着されていない空の袋状容器が供給されるようになっている。
上記ボトルBは、略円筒状を有する本体部と、当該本体部の上部に設けられてキャップが装着される首部が形成されたものとなっている。
そして本実施形態の上記充填システム1は、パウチPまたはボトルBを搬送する、本発明にかかるリニア搬送装置2を備えるとともに、当該リニア搬送装置2による搬送経路に沿って、空のパウチPまたはボトルBを供給する供給装置3と、上記パウチPに印字する印字装置4と、パウチPの上方の開口部を開口する開口装置5と、パウチPまたはボトルBに液体を充填する充填装置6と、パウチPをシールするシール装置7(
図1参照)と、上記ボトルBにキャップを装着するキャッピング装置8(
図2参照)と、パウチPまたはボトルBを排出する排出装置9と、上記第1モードと第2モードとを切り替えるための切り替え手段10とを設けたものとなっている。また充填システム1はコンピュータ等からなる制御手段Cによって制御されるようになっている。
【0009】
上記リニア搬送装置2は、環状に形成された搬送経路を有する搬送レール11と、当該搬送レール11に沿って設けられた固定子12(
図1、
図2では図示せず)と、上記固定子12によってリニア駆動される可動子13と、上記可動子13に設けられた保持手段14とを備えている。
本実施形態では、2つの可動子13を一組で移動させるようになっており、これら一組の可動子13に、上記保持手段14として、上記パウチPを保持するための第1保持手段14Aと、上記ボトルBを保持するための第2保持手段14Bとを設けたものとなっている。
図3、
図4は上記第1、第2保持手段14A、14Bを説明する側面図および平面図を示しており、このうち
図3(a)、
図4(a)は上記パウチPを処理する第1モードを、
図3(b)、
図4(b)は上記ボトルBを処理する第2モードを示している。
【0010】
最初に、上記搬送レール11および可動子13について説明すると、
図3に示す側面図において、上記搬送レール11は搬送経路に沿って設けられるとともに上下に離隔した位置に並行に設けられ、上下の搬送レール11の間に、複数の電磁コイル12Aを内蔵した電磁コイルユニットからなる固定子12が設けられている。
上記可動子13は、上記固定子12と同じ高さに位置するケース15と、当該ケース15の対向する表面15Aに設けられた第1永久磁石16Aと、裏面15Bに設けられた第2永久磁石16Bと、上記ケース15の上下に設けられて上記搬送レール11に沿って転動するローラ30とを備えている。
本実施形態の上記充填システム1では、上記切り替え手段10によって可動子13の表面15Aと裏面15Bとを反転させることにより、上記第1保持手段14Aもしくは第2保持手段14Bのいずれかを選択的に上記搬送レール11の外側に向けることが可能となっている。
つまり
図3(a)、
図4(a)に示す第1モードでは、上記可動子13の表面15Aに設けた第1永久磁石16Aを固定子12に対向させて、上記第1保持手段14Aを搬送レール11の外側に向けるようになっている。
これに対し
図3(b)、
図4(b)に示す第2モードでは、上記可動子13の裏面15Bに設けた第2永久磁石16Bを上記固定子12に対向させて、上記第2保持手段14Bを搬送レール11の外側に向けるようになっている。
そして、上記固定子12内に設けられた電磁コイル12Aは制御手段Cによって個別に励磁され、当該電磁コイル12Aに対向する第1永久磁石16Aまたは第2永久磁石16Bを磁力によって移動させる、いわゆるリニア駆動を行うようになっている。
また制御手段Cは、搬送経路における各可動子13の位置を認識するとともに、各可動子13が第1モードまたは第2モードのいずれの状態であるかの認識もするようになっている。
なお、リニア駆動により可動子13を移動させるリニア搬送装置3の基本構成および原理は従来公知であるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0011】
上述したように本実施形態では2つの可動子13を一組で移動させるようになっており、第1モードにおいて搬送経路の下流側に位置する可動子を第1可動子13A、上流側に位置する可動子を第2可動子13Bとして説明する。なお、第1可動子13Aおよび第2可動子13Bの構成は同じである。
図3(a)や
図4(a)に示すように、上記パウチPを保持するための第1保持手段14Aは、第1モードにおいて第1可動子13Aの上方に設けられた下流側グリップ片17aと、第2可動子13Bの上方に設けられた上流側グリップ片17bとを有している。
第1モードにおいて、上記第1可動子13Aと第2可動子13Bとは搬送経路に沿って上記第1可動子13A、第2可動子13Bの順で交互に複数組配置されるようになっている。
このとき、第1可動子13Aおよび第2可動子13Bの表面15A側に設けた上記第1永久磁石16Aが搬送レール11の固定子12に対向し、下流側グリップ片17aおよび上流側グリップ片17bが上記搬送レール11に対して外周側に突出するようになっている。
そして第1保持手段14Aは、上記下流側グリップ片17aと上流側グリップ片17bとによってパウチPの両端部を把持するようになっており、上記制御手段Cは上記第1可動子13Aおよび第2可動子13Bの間隔を維持しながら移動させるようになっている。
【0012】
以下、下流側グリップ片17a、上流側グリップ片17bの構成について説明する。
下流側グリップ片17a、上流側グリップ片17bは、上記ケース15の上部に固定されたブラケット21と、当該ブラケット21の先端部に設けられた固定把持片22と、上記ブラケット21に対して揺動可能に設けられたアーム23と、当該アーム23の先端に設けられた可動把持片24と、上記アーム23を揺動させる揺動機構25とから構成されている。
上記アーム23は上記ブラケット21の先端部に回転軸23aを介して揺動可能に設けられており、その一端には上記固定把持片22と接離するように可動把持片24が設けられている。
上記揺動機構25は、上記ブラケット21に対して回転軸23aを介して揺動可能に設けられた、略三角形に形成された揺動部材25aと、当該揺動部材25aの一つの頂部に連結されるとともに上記アーム23に連結されるリンク部材25bと、揺動部材25aの一つの頂部に設けられたカムフォロア25cと、揺動部材25aの一つの頂部に連結されるとともに上記ブラケット21との間に張設されたバネ25dとから構成されている。
上記バネ25dは、上記揺動部材25aおよびリンク部材25bを介して、上記アーム23を常時閉鎖方向に付勢するようになっている。
【0013】
上記カムフォロア25cは、
図1に示すように上記供給装置3を構成するパウチ供給コンベヤ3Aおよび、排出装置9を構成するパウチ排出コンベヤ9Aの設置位置に設けられたカム26によって押圧されるようになっている。
上記カム26は、制御手段Cによって制御される駆動手段によって、搬送経路に対して直交する方向に往復動し、カムフォロア25cを
図4の図示下方に押圧すると、上記揺動部材25aが上記バネ25dの付勢力に抗して回転する。
すると、上記アーム23が揺動して可動把持片24が固定把持片22から離脱した開放状態となり、その後カム26が後退すると、揺動部材25aが上記バネ25dの付勢力によって逆方向に回転し、可動把持片24が固定把持片22に密着した閉鎖状態となる。
【0014】
次に、第2モードで上記ボトルBを保持する第2保持手段14Bは、第2可動子13Bの下方に設けられた下流側グリップ片27aと、第1可動子13Aの下方に設けられた上流側グリップ片27bとによって構成されている。
後述するように、上記切り替え手段10によって第1モードから第2モードに切り替えると、第1可動子13Aおよび第2可動子13Bの進行方向が反転され、第1モードでは下流側に位置していた第1可動子13Aが第2モードでは上流側に位置し、第1モードでは上流側に位置していた第2可動子13Bが第2モードでは下流側に位置するようになっている。
そして第2モードでは、第2可動子13Bおよび第1可動子13Aの裏面15Bに位置する第2永久磁石16Bが搬送レール11の固定子12に対向し、下流側グリップ片27aおよび上流側グリップ片27bが上記搬送レール11の外周側に突出するようになっている。
そして第2保持手段14Bは、
図4(b)で示すように、下流側グリップ片27aと上流側グリップ片27bとによって上記ボトルBを両側から挟持するようになっており、上記制御手段Cが上記第2可動子13Bおよび第1可動子13Aの間隔を制御することで、ボトルBを保持した状態で搬送することが可能となっている。
【0015】
また第2モードで上記ボトルBを搬送するため、本実施形態のリニア搬送装置2には、上記搬送レール11の外周に沿ってボトルBの底部を支持するフェリプレート28が設けられている。
上記フェリプレート28は、上記供給装置3が設けられた位置から、上記排出装置9が設けられた位置に渡って設けられ、
図3に示すように昇降手段28aによって昇降可能に設けられている。
上記第2保持手段14Bを用いてボトルBを搬送する際には、
図3(b)に示すように昇降手段28aがフェリプレート28を上昇させて、上記第2保持手段14Bによって保持されたボトルBを下方から支持するようになっている。
一方、上記第1保持手段14Aを用いてパウチPを搬送する際には、
図3(a)に示すようにフェリプレート28を下降させ、上記第1保持手段14Aによって保持されているパウチPから退避させるようになっている。
【0016】
上記供給装置3は、上記リニア搬送装置2に隣接して設けた、上記パウチPを供給するパウチ供給コンベヤ3Aと、上記ボトルBを供給するボトル供給コンベヤ3Bと、図示しない移載ロボットとを備えている。
パウチ供給コンベヤ3Aは上記リニア搬送装置2の搬送経路に対して直交する方向に設けられており、一部を後続のパウチPに重ねて載置された姿勢で整列した空のパウチPを2列の状態で搬送するように構成されている。
充填システム1を第1モードで作動させる際、制御手段Cは2組の第1保持手段14Aをパウチ供給コンベヤ3Aの下流端に隣接した位置に停止させ、上記移載ロボットがパウチ供給コンベヤ3Aの下流端まで搬送されたパウチPを上記第1保持手段14Aへと受け渡すようになっている。
その際、上記リニア搬送装置2に設けた上記カム26が作動することにより、上記第1保持手段14Aの下流側グリップ片17aおよび上流側グリップ片17bを開閉させ、第1保持手段14AにパウチPを保持させる。
【0017】
上記ボトル供給コンベヤ3Bは上記リニア搬送装置2の搬送経路に対して直交する方向に設けられており、正立状態のボトルBを2列の状態で搬送するように構成されている。
充填システム1を第2モードで作動させる際、制御手段Cは2組の第2保持手段14Bをボトル供給コンベヤ3Bの下流端に隣接した位置に停止させ、上記移載ロボットはボトル供給コンベヤ3Bの下流端まで搬送されたボトルBを保持して、これを第2保持手段14Bへと受け渡すようになっている。
その際、上記フェリプレート28が第2保持手段14Bの下方に位置しており、ボトルBを下流側グリップ片27aと上流側グリップ片27bとの間に載置するようになっている。
その後、制御手段Cは必要に応じて第2可動子13Bと第1可動子13Aとを接近させて、下流側グリップ片27aと上流側グリップ片27bとの間でボトルBを保持することが可能となる。
【0018】
上記印字装置4は上記第1モードにおいて使用し、上記第1保持手段14Aに保持されたパウチPの側面に所要の印字を行うものとなっている。
上記開口装置5は上記第1モードにおいて使用し、上記第1保持手段14Aに保持されたパウチPに対して搬送方向内側および外側に設けた図示しない吸着手段を備えている。
上記開口装置5に上記第1保持手段14Aによって把持されたパウチPが停止すると、制御手段Cは上記一対の吸着手段によってパウチPの上方を吸着させる。
その後、制御手段Cは上記吸着手段を離隔させ、これと同時に下流側可動子13Aと上流側可動子13Bとを接近させる。これにより、空のパウチPの上方に開口部が形成されるようになっている。
上記充填装置6は第1モードおよび第2モードにおいて兼用可能な構成を有しており、充填ノズルをパウチPの上部に形成された開口部またはボトルBの開口部より挿入して、液体の充填を行うようになっている。
【0019】
上記パウチPをシールするシール装置7と、上記ボトルBにキャップを装着するキャッピング装置8とは、リニア搬送装置2に対して脱着可能に設けられており、
図1、
図2に示すようにモードを切り替える際に交換されるようになっている。なお、シール装置7およびキャッピング装置8の両方をリニア搬送装置2に沿って設けてもよい。
上記第1モードで使用するシール装置7は、上記開口部が形成されたパウチPの上部をヒートシールする溶着部7aと、溶着された部分を冷却する冷却部7bとを備えている。また制御手段Cは、上記第1保持手段14Aがシール装置7に位置した際に、下流側可動子13Aと上流側可動子13Bとを離隔させて、上記開口装置5において形成した開口部を閉鎖するようになっている。
上記第2モードで使用するキャッピング装置8は、上記第2保持手段14Bによって搬送されたボトルBの首部にキャップを装着するものとなっている。
【0020】
上記排出装置9は、上記リニア搬送装置2の搬送経路に対して直交する方向に設けられた、上記パウチPを排出するパウチ排出コンベヤ9Aと、搬送経路と並行に設けられた上記ボトルBを排出するボトル排出コンベヤ9Bと、図示しない移載ロボットとを備えている。
パウチ排出コンベヤ9Aは所要の姿勢で整列したパウチPを2列の状態で搬送するようになっており、第1モードで作動させる際、制御手段Cは2組の第1保持手段14Aをパウチ排出コンベヤ9Aの上流端に隣接した位置に停止させ、上記移載ロボットは第1保持手段14Aに保持されているパウチPを保持してこれを上記パウチ排出コンベヤ9Aに載置する。
その際、上記リニア搬送装置2に設けた上記カム26が作動することにより、上記第1保持手段14Aの下流側グリップ片17aおよび上流側グリップ片17bを開閉させて、第1保持手段14AからパウチPを取り出すようになっている。
【0021】
上記ボトル排出コンベヤ9Bは、正立状態のボトルBを1列で搬送するようになっており、第2モードで作動させた場合、制御手段Cは2組の第2保持手段14Bをボトル排出コンベヤ9Bと搬送レール11との間に位置させる。
すると、上記移載ロボットが2組の第2保持手段14BからボトルBを取り出して、これを上記ボトル排出コンベヤ9Bに載置することで、2つのボトルBがボトル排出コンベヤ9Bの搬送方向に整列するようになっている。
【0022】
上記切り替え手段10は、リニア搬送装置2によって移動する可動子13の表面15Aと裏面15Bとを反転させて、上記第1モードと第2モードとの切り替えを自動的に行うことを可能としたものである。
本実施形態の切り替え手段10は、上記搬送レール11の搬送経路における上記排出装置9と供給装置3との間に設けられており、上記可動子13を上記搬送経路より離隔した切り替え位置Sへと移動させる分岐レール31と、上記分岐レール31によって上記切り替え位置Sに移動した可動子13を上記搬送レール11に合流させる合流レール32とを備えている。
ここで第1モードと第2モードとの切り替えを行わない状態、すなわち上記パウチPやボトルBへの充填処理を行っている間、上記制御手段Cは搬送レール11の固定子12を制御し、上記可動子13が分岐レール31および合流レール32を通過するようになっている。
【0023】
図5~
図9は、上記切り替え手段10を説明する図となっており、
図5は上記可動子13によって移動する第1、第2保持手段14A、14Bを示し、
図6は
図5と同じ状態における上記可動子13を示したものとなっている。また
図7~
図9は、それぞれ
図5、
図6におけるA-A部、B-B部、C-C部の断面図を示している。
また
図5~
図9は、第1モードから第2モードへと切り替わる際の動作を示している。すなわち分岐レール31よりも上流側となる位置では、第1保持手段14Aが搬送経路の外周側を向き、第1永久磁石16Aが搬送レール11に対向した第1モードとなっている。
これに対し、上記切り替え手段10によって反転し、合流レール32の下流側に移動すると、第2保持手段14Bが搬送経路の外周側を向き、第2永久磁石16Bが搬送レール11に対向した第2モードとなる。
【0024】
以下、具体的に説明すると、上記分岐レール31は、上記搬送レール11に対向した位置に設けられた分岐側切り替え部31Aと、当該分岐側切り替え部31Aに連続して形成された分岐側反転部31Bとを備えている。このうち上記分岐側反転部31Bは、上記搬送レール11の搬送経路から外側に離隔した切り替え位置Sに設けられている。
また上記合流レール32は、上記切り替え位置Sに設けられるとともに分岐レール31の分岐側反転部31Bと対向した位置に設けられた合流側反転部32Aと、搬送レール11に対向した位置に設けられた合流側切り替え部32Bとを備えている。
そして
図7~
図9に示すように、上記分岐レール31および合流レール32は、上記搬送レール11と同様の構成を有しており、すなわち上下に設けられた分岐レール31(合流レール32)と分岐レール31(合流レール32)との間に、制御手段Cによって制御される固定子12が設けられたものとなっている。
【0025】
まず、
図5、
図6におけるA-A部では、上記搬送レール11に対向して分岐レール31の分岐側切り替え部31Aが設けられている。
第1モードにおいて、第1保持手段14Aは第1可動子13A、第2可動子13Bの順で移動しており、制御手段Cが搬送レール11の固定子12を制御することにより、第1、第2可動子13A、13Bをリニア駆動させて、A-A部に示す上記分岐レール31まで移動させる。
すると、
図7に示すように第1、第2可動子13A、13Bは分岐側切り替え部31Aと搬送レール11との間に位置して、第1永久磁石16Aが搬送レール11の固定子12に対向し、第2永久磁石16Bが分岐レール31の固定子12に対向することとなる。
この状態から、制御手段Cが上記搬送レール11の固定子12の制御を停止し、上記分岐レール31の固定子12の制御をすることで、第2永久磁石16Bを介して第1、第2可動子13A、13Bを分岐レール31に沿ってリニア駆動させることが可能となる。
【0026】
次に、
図5、
図6におけるB-B部は、上記搬送レール11の搬送経路より離隔した切り替え位置Sに設けられており、上記分岐レール31の分岐側反転部31Bに対向した位置には、合流レール32の合流側反転部32Aが設けられている。
分岐レール31の固定子12によってリニア駆動された第1、第2可動子13A、13Bが分岐レール31に沿って上記分岐側切り替え部31Aから切り替え位置Sまで移動すると、
図8に示すように第1、第2可動子13A、13Bは分岐側反転部31Bと合流レール32の合流側反転部32Aとの間に位置することとなる。
これにより、第1、第2可動子13A、13Bの第1永久磁石16Aが合流レール32の固定子12に対向し、第2永久磁石16Bが分岐レール31の固定子12に対向することとなる。
この状態から、制御手段Cが上記分岐レール31の固定子12の制御を停止し、上記合流レール32の固定子12の制御をすることで、第1永久磁石16Aを介して第1、第2可動子13A、13Bを合流レール32に沿ってリニア駆動させることが可能となる。
【0027】
そして上記切り替え位置Sにおいて、制御手段Cは合流レール32に沿ってリニア駆動を行う際、第1、第2可動子13A、13Bの進行方向を反転させるようになっている。
これにより、それまで分岐レール31では下流側を移動していた第1可動子13Aと上流側を移動していた第2可動子13Bとの順序が逆となり、第2可動子13B、第1可動子13Aの順番で合流レール32を移動することとなる。
【0028】
そして
図5、
図6におけるC-C部では、上記合流レール32の合流側切り替え部32Bに対向した位置に上記搬送レール11が設けられている。
合流レール32の固定子12によってリニア駆動された第2、第1可動子13B、13Aが合流レール32に沿ってリニア駆動されると、
図9に示すように第2、第1可動子13B、13Aが合流側切り替え部32Bと搬送レール11との間に位置することとなる。
その結果、上記第2、第1可動子13B、13Aに設けられた第2保持手段14Bの下流側グリップ片27aと上流側グリップ片27bとが、搬送レール11の外周側を向いた状態となる。
そして制御手段Cは、上記合流レール32の固定子12の制御を停止し、上記搬送レール11の固定子12の制御を開始することにより、第2永久磁石16Bを介して第2、第1可動子13B、13Aがリニア駆動される第2モードに切り換えられることとなる。
【0029】
一方、第2モードで使用した充填システム1を第1モードに切り替える場合には、第2保持手段14Bが搬送レール11の搬送経路に対して外側を向き、上記第2、第1可動子13B、13Aの順でリニア駆動されている状態から、これら第2、第1可動子13B、13Aを上記切り替え手段10を構成する分岐レール31および合流レール32に沿って切り替え位置Sへと移動させればよい。
そして、上記切り替え位置Sにおいて第2、第1可動子13B、13Aの進行方向を反転させ、第1可動子13A、第2可動子13Bの順で合流レール32から搬送レール11に復帰させることで、第1保持手段14Aが搬送経路に対して外側を向いた第1モードに切り換えられることとなる。
【0030】
以下、上記構成を有する充填システム1の動作について説明する。最初に、充填システム1を第1モードで作動させる場合から説明する。ここで上記制御手段Cには、当該第1モードで作動させるための動作が予め登録されている。
この時、リニア搬送装置2では、第1可動子13Aおよび第2可動子13Bに設けられた第1永久磁石16Aが搬送レール11の固定子12に対向しており、第1保持手段14Aを構成する下流側グリップ片17aおよび上流側グリップ片17bが搬送経路の外側を向いている。
上記供給装置3は上記パウチ供給コンベヤ3AによってパウチPを2列で供給し、リニア搬送装置2は当該パウチ供給コンベヤ3Aの下流端に隣接した位置に2組の第1保持手段14Aを停止させる。
すると、移載ロボットがパウチ供給コンベヤ3AのパウチPを保持してこれを第1保持手段14Aに保持させる。このとき、制御手段Cは上記カム26を作動させて下流側グリップ片17aおよび上流側グリップ片17bを開閉させる。
【0031】
その後、制御手段Cは上記第1保持手段14Aを移動させて、順次印字装置4、開口装置5、充填装置6およびシール装置7へと移動させ、液体の充填およびパウチPのシールを行う。
その後、制御手段Cは上記第1保持手段14Aを上記排出装置9を構成する上記パウチ排出コンベヤ9Aの上流側に停止させて、移載ロボットが第1保持手段14Aに保持されたパウチPをパウチ排出コンベヤ9Aに移載する。
その後、所定数のパウチPの処理が完了するまで、制御手段Cは第1保持手段14Aを上記搬送レール11に沿って循環移動させ、その際、第1、第2可動子13A、13Bは、上記切り替え手段10を構成する分岐レール31および合流レール32を通過するようになっている。
【0032】
このようにして第1モードにおいてパウチ1Aの処理が完了すると、続いてボトル1Bの処理を行うための第2モードへと切り替える作業を行う。本実施形態では、第2モードへの切り替え作業に伴い、
図1に示すシール装置7を
図2に示すキャッピング装置8に交換する。
制御手段Cは、上記第1保持手段14Aを構成していた第1、第2可動子13A、13Bを移動させて、これらを上記切り替え手段10を構成する分岐レール31の分岐側切り替え部31A(A-A部)へと移動させる。
続いて制御手段Cは、分岐レール31の固定子12を制御して、第1、第2可動子13A、13Bを切り替え位置Sへと移動させ、分岐側反転部31Bと合流レール32の合流側反転部32Aとの間(B-B部)へと移動させる。
さらに制御手段Cは、合流レール32の固定子12を制御して、第1、第2可動子13A、13Bの進行方向を反転させ、これにより第2、第1可動子13B、13Aの順で合流レール32に沿って移動させる。
そして第2、第1可動子13B、13Aが合流切り替え部32Bと搬送レール11との間(C-C部)に位置すると、第2保持手段14Bを構成する下流側グリップ片27aおよび上流側グリップ27bが搬送経路の外側を向いた、第2モードに切り替えられることとなる。
その後制御手段Cは、搬送経路に位置している全ての第1保持手段14Aを上記切り替え手段10を用いて第2保持手段14Bに切り換える。
【0033】
このようにして充填システム1が第2モードに変更されると、上記供給装置3は上記ボトル供給コンベヤ3BによってボトルBを2列で供給し、リニア搬送装置2は当該ボトル供給コンベヤ3Bの下流端に隣接した位置に2組の第2保持手段14Bを停止させる。
すると、移載ロボットがボトル供給コンベヤ3BのボトルBを第2保持手段14Bに保持させ、その後、制御手段Cは上記第2保持手段14Bを移動させて、順次充填装置6およびキャッピング装置8へと移動させ、液体の充填およびキャップの装着を行う。
その後、制御手段Cは上記第2保持手段14Bを上記排出装置9を構成する上記ボトル排出コンベヤ9Bと搬送レール11との間に停止させて、移載ロボットが第2保持手段14BのボトルBをボトル排出コンベヤ9Bに整列した状態で移載する。
その後、所定数のボトルBの処理が完了するまで、制御手段Cは第2保持手段14Bを上記搬送レール11に沿って循環移動させ、その際、第2、第1可動子13A、13Bは、上記切り替え手段10を構成する分岐レール31および合流レール32を通過するようになっている。
【0034】
図10、
図11は、上記第1、第2保持手段14A、14Bについての他の実施形態を示したものとなっている。
図10は、上記第1実施形態に対し、第1、第2保持手段14A、14Bによって異なる径のボトルBを保持する場合の構成を示している。
図10(a)は大径のボトルB1を保持する第1モードを、(b)は小径のボトルB2を保持する第2モードを示している。
本実施形態においても、各可動子13の対向する表面15Aおよび裏面15Bにそれぞれ第1、第2永久磁石16A、16Bが設けられており、搬送レール11に設けられた固定子12によってリニア駆動されるようになっている。
本実施形態の可動子13は、搬送方向に沿って長く形成されており、
図10(a)に示す第1モードにおいて、第1保持手段14Aは、隣接する第1可動子13Aと第2可動子13Bとにおける、最も離隔した位置に固定された一対の下流側グリップ片17aと上流側グリップ片17bとによって構成されている。
これに対し、
図10(b)に示す第2モードにおいて、進行方向が反転した第2可動子13Bと第1可動子13Aとにおける、最も接近した位置に固定された一対の下流側グリップ片27aと上流側グリップ片27bとによって構成されている。
このような構成とすることで、第1、第2保持手段14A、14Bは下流側グリッパと上流側グリッパとの間で、径の異なるボトルB1、B2を保持することが可能となっており、また第1可動子13Aと第2可動子13Bとの間隔を異ならせることで、さらにサイズの異なるボトルを保持することが可能となっている。
【0035】
図11は、上記第1実施形態と同様、パウチPを保持する第1保持手段14Aと、ボトルBを保持する第2保持手段14Bとを備えた構成を示している。
パウチPを保持する第1保持手段14Aについては、第1実施形態と同様、第1可動子13Aと第2可動子13Bとに設けた下流側グリップ片17aと上流側グリップ片17bとによって構成されており、詳細な説明については省略するものとする。
一方、本実施形態の第2保持手段14Bは、第1可動子13Aおよび第2可動子13Bのそれぞれに設けられた一対のグリッパ41によって構成されており、上記第1実施形態と異なり、一つの可動子13において一つのボトルBを保持することが可能となっている。
本実施形態のグリッパ41は、第1可動子13Aおよび第2可動子13Bに固定されており、保持するボトルBの径よりも若干大きな間隔に設定されている。なお、バネによる付勢力によって常時閉鎖方向に付勢された構成とすることや、図示しない開閉機構によって開閉可能とすることも可能である。
本実施形態においては、第2モードにおいて第2保持手段14Bを搬送経路の外側に向けた場合、固定子13の順序を考慮する必要はないが、第2モードから第1モードに切り替えた際には第1、第2固定子13A、13Bの順番で移動させる必要があることから、上述した実施形態と同様、第1、第2固定子13を一組として、上記切り替え手段10により進行方向の切り替えを行うことが望ましい。
また第2保持手段14Bとして、上記グリッパ41に代えてボトルBを収容可能な開口部が形成されたハカマを設けても良い。
【0036】
なお、上記各実施形態においては、上記可動子13の表面15Aおよび裏面15Bに、それぞれ第1永久磁石16Aおよび第2永久磁石16Bを設けているが、固定子12のケース15に一つの永久磁石を設ける構成としてもよい。
その場合、当該永久磁石の表面15A側および裏面15B側をそれぞれ上記搬送レール11の固定子12に対向させることで、それぞれも面を用いてリニア駆動することができる。
また、上記実施形態では上記切り替え手段10を用いて、第1保持手段14Aと第2保持手段14Bとの切り替えを行っているが、例えば搬送レール11に隣接して設けたロボットや、作業者による人手によって切り替え作業を行ってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 充填システム 2 リニア搬送装置
10 切り替え手段 11 搬送レール
12 固定子 13A 第1可動子
13B 第2可動子 14A 第1保持手段
14B 第2保持手段 16A 第1永久磁石
16B 第2永久磁石 17A、27A 下流側グリップ片
17B、27B 上流側グリップ片 31 分岐レール
31A 分岐側切り替え部 31B 分岐側反転部
32 合流レール 32A 合流側反転部
32B 合流側切り替え部 S 切り替え位置
P パウチ(物品) B ボトル(物品)