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  • 特開-物品移載装置 図1
  • 特開-物品移載装置 図2
  • 特開-物品移載装置 図3
  • 特開-物品移載装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076274
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】物品移載装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
B65B69/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187778
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】浦 正樹
(72)【発明者】
【氏名】西田 清二
(72)【発明者】
【氏名】黒田 裕介
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA02
3E058AA04
3E058BA05
3E058CB02
3E058DA01
3E058FA08
3E058GA08
3E058GA10
(57)【要約】
【課題】 物品が収容箱3の内部に設けられた内袋9に収容されている場合であっても、当該物品を効率的に取り出すことを可能とする。
【解決手段】 収容箱3の内側には、キャップ1(物品)を複数行、複数列で整列した状態で収容する柔軟な素材からなる内袋9が設けられており、供給コンベヤ4(供給手段)は、上記収容箱3の開口部を上方に向けた状態で供給するようになっている。
移載手段6は、上記収容箱3からキャップ1を列状に保持する保持手段12と、上記保持手段12に保持されたキャップ1を水平回転させるアーム11(回転機構)とを有している。
保持手段12が上記収容箱3に収容された1列のキャップ1を保持すると、上記回転機構によって上記保持されたキャップ1を上記収容箱3の開口部の高さよりも低い位置で水平回転させて、上記キャップ1の両端部を上記内袋9より退避させてから取り出す。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を収容箱に収容した状態で供給する供給手段と、上記物品を排出する排出手段と、上記供給手段の収容箱に収容された物品を排出手段に移載する移載手段と、上記移載手段を制御する制御手段とを備えた物品移載装置であって、
上記収容箱の内側に、上記物品を複数行、複数列で整列した状態で収容する柔軟な素材からなる内袋が設けられており、
上記供給手段は、上記収容箱の開口部を上方に向けた状態で供給するとともに、上記内袋の開口部を上記収容箱の開口部の外側に掛けた状態で供給し、
上記移載手段は、複数の物品を列状に保持する保持手段と、上記保持手段を水平回転させる回転機構とを有し、
上記制御手段は、上記保持手段が上記収容箱の物品を列状に保持すると、保持された物品列を上記回転機構によって上記収容箱の開口部の高さよりも低い位置で水平回転させ、当該物品列の両端部を上記内袋より退避させた状態で収容箱から取り出すことを特徴とする物品移載装置。
【請求項2】
上記移載手段は、上記保持手段を昇降させる昇降機構を有し、
上記制御手段は、上記保持手段が上記収容箱の物品を列状に保持すると、当該物品列を上記昇降機構によって収容箱に収容されている他の物品よりも高い位置に上昇させてから、上記回転機構によって上記保持手段を水平回転させることを特徴とする請求項1に記載の物品移載装置。
【請求項3】
上記制御手段は、上記保持手段が上記収容箱の内面に隣接する物品列を保持すると、当該保持手段を収容箱の内面より離隔する方向に移動させて、保持した物品列を収容箱の内面より離隔させてから、当該物品列を上記昇降機構によって上昇させることを特徴とする請求項2に記載の物品移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品移載装置に関し、詳しくは収容箱に収容された物品を供給手段から排出手段へと移載する物品移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の物品を供給する供給手段と、上記物品を排出する排出手段と、上記供給手段の物品を排出手段に移載する移載手段とを備えた物品移載装置が知られている(特許文献1)。
上記特許文献1では、物品が供給手段に供給されると、当該供給手段の上方から撮像手段によって物品を撮像し、当該撮像手段が撮像した画像に基づいて制御手段が移載手段を制御し、当該物品を上記供給手段から上記排出手段に移載するようになっていた。
一方、上記物品を収容箱に収容した状態で供給する場合があり、例えば上記収容箱の内側に上記物品を収容可能な内袋が設けられたものも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6-76105号公報
【特許文献2】特開2020-50376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1にかかる物品移載装置として、上記供給手段によって特許文献2にかかる内袋を備えた収容箱から物品を取り出して移載する場合が考えられるが、上記特許文献1の物品移載装置は物品を一つずつ移載するため、非効率であるという課題がある。
また、特許文献1にかかる物品移載装置において、内袋を設けた収容箱から物品を取り出すには、当該収容箱の開口部に内袋の開口部を掛けて、上記物品を上方に露出させる必要があるが、この場合、物品の取出しに伴って内袋が収容箱の内側に膨らんでしまい、物品の取出しの妨げになるという問題が考えられた。
このような問題に鑑み、本発明は物品が収容箱に設けられた内袋に収容されている場合であっても、物品を効率的に取り出すことが可能な物品移載手段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明に係る物品移載装置は、複数の物品を収容箱に収容した状態で供給する供給手段と、上記物品を排出する排出手段と、上記供給手段の収容箱に収容された物品を排出手段に移載する移載手段と、上記移載手段を制御する制御手段とを備えた物品移載装置であって、
上記収容箱の内側に、上記物品を複数行、複数列で整列した状態で収容する柔軟な素材からなる内袋が設けられており、
上記供給手段は、上記収容箱の開口部を上方に向けた状態で供給するとともに、上記内袋の開口部を上記収容箱の開口部の外側に掛けた状態で供給し、
上記移載手段は、複数の物品を列状に保持する保持手段と、上記保持手段を水平回転させる回転機構とを有し、
上記制御手段は、上記保持手段が上記収容箱の物品を列状に保持すると、保持された物品列を上記回転機構によって上記収容箱の開口部の高さよりも低い位置で水平回転させ、当該物品列の両端部を上記内袋より退避させた状態で収容箱から取り出すことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記請求項1の発明によれば、保持手段が物品を列状に保持して、これを排出手段に移載するため、一つずつ移載する場合に比べて効率的に物品の移載を行うことができる。
その際、保持手段が保持した物品列を上記回転機構によって水平方向に回転させることで、保持手段に保持された物品を上記内袋より退避させてから取り出すことが可能となる。
また、保持手段によって保持された物品列を上記収容箱の開口部の高さよりも低い位置で水平回転させるため、収容箱の内側に膨らんだ内袋による影響を可及的に少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる物品移載装置の平面図
図2】物品移載装置の側面図
図3】収容箱および内袋に収容された物品についての側面図
図4】物品移載装置の動作を説明する平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施形態について説明すると、図1図2は物品としてのキャップ1を図示しないキャップ装着装置へと供給するための物品移載装置2を示し、図1は平面図を、図2は側面図を示している。
上記物品移載装置2は、複数のキャップ1を収容箱3に収容した状態で供給する供給手段としての供給コンベヤ4と、上記キャップ1を上記キャップ装着装置へと排出する排出手段としての排出コンベヤ5と、上記供給コンベヤ4の収容箱3から上記キャップ1を取り出して排出コンベヤ5に移載する移載手段6と、上記収容箱3に収容されたキャップ1を上方から撮像する撮像手段7と、上記移載手段6を制御する制御手段8とを備えている。ここで上記制御手段8としては、従来公知のコンピュータ等を用いることが可能となっている。
【0009】
上記キャップ1は略円柱状を有しており、その天面は上方から見て略円形に形成されるとともに、後述するように上方から吸着保持可能に構成されている。
上記キャップ1を収容する収容箱3は、直方体もしくは立方体形状を有しており、天面を開放することで上方に形成される開口部は、上方から見て長方形ないしは正方形に形成されている。
また本実施形態の収容箱3の内部には、ポリエチレンなどの柔軟な素材からなる内袋9が設けられており、上記キャップ1は当該内袋9に収容された状態で供給されるようになっている。
そして上記キャップ1は正立状態、すなわち天面を上方に向けた状態で収容箱3に収容されており、かつ図1図4に示すように、複数行、複数列で整列した状態で収容されている。本実施形態では、1列のキャップ1の個数は8個となっており、これをいわゆる千鳥状に8列配置したものとなっている。
またキャップ1は、図2図3に示すように上下に複数段積層された状態で収容箱3に収容されており、各段のキャップ1とキャップ1との間には、それぞれ紙などからなる仕切り板3aが設けられている。
【0010】
上記内袋9は、上記キャップ1を収容した状態では上記収容箱3の底面や内面に沿うようになっており、内袋9の開口は、収容箱3の天面を開放したことによって形成される開口部と同じ、上方に形成されるようになっている。
そして上記収容箱3を物品移載装置2に供給する際には、予め収容箱3の天面を開放して収容箱3の側面に密着させ、さらに内袋9における収容箱の開口部より上方に余った部分を当該収容箱3の開口部に掛けて、当該余った部分を収容箱3の外面に密着させるようになっている。
これにより、収容箱3の開口部が上方を向いた状態で開放されるとともに、内袋9がキャップ1の上方から取り除かれ、キャップ1が上方に向けて露出するようになっている。
【0011】
上記供給コンベヤ4は、上記キャップ1が収容された収容箱3を搬送するベルトコンベヤによって構成され、位置決め手段4aによって上記収容箱3を移載手段6に隣接した供給位置に停止させるようになっている。
供給位置において、収容箱3の天面は開放され、また内袋9の開口部が折り曲げられて収容箱の外面に密着した状態を維持するようになっており、収容箱3には天面および内袋9を保持するためのストッパ付きのホルダ10が装着されるようになっている。
上記排出コンベヤ5は上記キャップ1を一列に整列させた状態で搬送するベルトコンベヤとなっており、その下流端には図示しないが上記キャップ装着装置にキャップ1を供給するキャップ供給装置が設けられている。
【0012】
上記移載手段6は、上記排出コンベヤ5に隣接して設けられた従来公知のロボット(垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット、パラレルリンクロボット、直交ロボット)によって構成され、当該ロボットを構成するアーム11と、当該アーム11の先端に設けられた保持手段12とによって構成されている。
上記制御手段8は上記アーム11を作動させることにより、保持手段12を供給コンベヤ4によって搬送された収容箱3の内部と、上記排出コンベヤ5との間で移動させるものとなっており、本実施形態のアーム11は本発明にかかる回転機構および昇降機構を構成するものとなっている。
上記保持手段12は、略棒状のステー12aと、当該ステー12aの下部に等間隔に設けられた複数の吸着ヘッド12bとから構成されている。
上記ステー12aは収容箱3の幅よりも短く設定されており、当該ステー12aごと吸着ヘッド12bを収容箱3の内部に位置させることが可能となっている。
上記吸着ヘッド12bは、上記収容箱3の内部で整列した1列のキャップ1と同数設けられており、各吸着ヘッド12bには図示しない負圧供給手段によって負圧が供給されるようになっている。
そして図4に示すように、上記アーム11は上記保持手段12を水平方向に回転させることが可能となっており、これにより収容箱3の内側で保持手段12に保持された1列のキャップ1を水平回転させることが可能となっている。
【0013】
上記撮像手段7は、上記供給コンベヤ4の上方に設けられており、垂直下方に位置する収容箱3の内部に収容されたキャップ1を撮影することが可能となっている。そして撮像手段7が撮像した画像は従来公知の方法によって制御手段8が画像認識するようになっている。
本実施形態では、収容箱3の内部に収容されたキャップ1を上方から撮影し、制御手段8が画像認識することにより、当該収容箱3に収容されたキャップ1の抜けや倒れを検出するとともに、整列したキャップ1の位置を認識するようになっている。
【0014】
以下、上記構成を有する物品移載装置2の動作について説明する。図3はキャップ1を取り出す動作を説明する断面図を、図4は平面図をそれぞれ示している。
まず、上記供給コンベヤ4によって収容箱3が供給され、位置決め手段4aによって供給位置で停止する。このとき収容箱3の天面が開放されるとともに、上記内袋9が外側に折り曲げられており、キャップ1が上方に向けて露出した状態となっている。なお、上記収容箱3が供給位置で停止してから、作業者が天面の開放および内袋9の折り曲げを行うようにしてもよい。
続いて、供給コンベヤ4の上方に設けた撮像手段7が収容箱3の内部を撮像し、制御手段8が収容されたキャップ1の画像認識を行い、収容箱3の内部においてキャップ1の抜けや倒れが無いかを判定するとともに、また整列しているキャップ1の各列の位置を認識する。
仮にキャップ1の抜けや倒れが検出された場合、制御手段8はその時点で所要の警報を発生させ、移載作業を中断させるようになっている。
【0015】
制御手段8は、上記アーム11を制御して保持手段12を収容箱3の上方に移動させ、上記ステー12aに設けられた1列の吸着ヘッド12bを、収容箱3に収容された複数列のキャップ1のうち、収容箱3の内面に隣接している1列目のキャップ1の上方に位置させる。
続いて、制御手段8は保持手段12を下降させ、吸着ヘッド12bによって最上段に位置する1列目のキャップ1を吸着保持させ、さらに保持手段12を移動させて保持した1列目のキャップ1を上記収容箱3の内面から離隔させる。
すると、保持手段12に保持されたキャップ1が隣接する他の列のキャップ1を押圧し、保持された1列のキャップ1と収容箱3の内面との間に隙間が形成されるようになっている。これにより、収容箱3の開口部に掛かっている内袋9による影響を受けずに、キャップ1を取り出すことが可能となる。
そして制御手段8は上記アーム11を制御して、保持手段12を上昇させて吸着保持された1列のキャップ1を収容箱3から取り出すとともに、排出コンベヤ5へと移動させて、当該キャップ1を整列した状態で排出コンベヤ5に載置させる。
【0016】
その後、制御手段8は収容箱3に収容された最上段のキャップ1のうち、内面から2列目に位置しているキャップ1を取り出し、その後は3列目、4列目と、1列ずつキャップ1を取り出して排出コンベヤ5へと移載する。
このとき、上記保持手段12が2列目、3列目のキャップ1を保持したら、保持手段12をそのまま上昇させて、当該2列目のキャップ1を取り出してもよいが、必要に応じて、1列目を取り出す場合と同様、隣接する列のキャップ1を押圧してから取り出してもよい。また8列目、すなわち収容箱3の内面に隣接している列のキャップ1を取り出す際には、1列目と同様、収容箱3の内面から離隔する方向に保持手段12を移動させてから取り出してもよい。
このようにして収容箱3に収容された最上段のキャップ1がすべて取り出されたら、上記保持手段12や作業者による手作業により、最上段のキャップ1と上から2段目のキャップ1との間に設けられていた仕切り板3aを除去する。
【0017】
ここで、収容箱3が供給コンベヤ4に供給された状態では、キャップ1が最上段まで収容されていることから、図3(a)に示すように最上段のキャップ1によって内袋9が収容箱3の内面に押し付けられている。
このため、最上段に位置するキャップ1については、上述した動作によってキャップ1を取り出しても、上記内袋9による影響を受けることなく取り出すことが可能となっている。
しかしながら、最上段のキャップ1ならびに仕切り板3aを取り出してしまうと、それまで収容箱3の内面に押し付けられていた内袋9が弛んでしまい、図3(b)に示すように内袋9が開口縁の内側に向けて膨れてしまうこととなる。
このような内袋9の膨らみは、保持手段12を上昇させてキャップ1を取り出す際に、当該キャップ1を側方から押圧して吸着ヘッド12bから脱落させる恐れがある。
そこで、本実施形態では、上から2段目以降のキャップ1を移載する際に以下の制御を行うことで、キャップ1の脱落を可及的に防止しつつ、一度に複数のキャップ1を取り出すことを可能としている。
【0018】
図4は、最上段のキャップ1および仕切り板3aが除去された、2段目以降のキャップ1を取り出す際の動作を説明するものとなっている。なお、ハッチングを付したキャップ1は上記保持手段12によって保持されているキャップ1を示している。
先ず、図4(a)に示すように、制御手段8は、撮像手段7が撮像した画像認識の結果に基づいて、上記移載手段6の保持手段12によって収容箱3の内面に隣接した1列目のキャップ1を保持させる。
次に、制御手段8は最上段のキャップ1を取り出すときと同様、保持手段12に保持されたキャップ1によって隣接する他の列のキャップ1を押圧し、保持された1列のキャップ1と収容箱3の内面との間に隙間を形成する。
この状態で保持手段12を上昇させ、図3(b)に示す高さ、すなわち保持手段12に保持されたキャップ1を収容箱3の開口部よりも下方となる位置であって、かつ2段目のキャップ1よりも上方となる位置まで上昇させる。
これにより、膨らんだ内袋9によるキャップ1の脱落が防止されるようになっている。
【0019】
続いて、図4(b)に示すように、制御手段8は保持手段12を水平面内において回転させる。
具体的に説明すると、制御手段8は最初に上記保持手段12を収容箱3の内面から離隔する方向(図示上方)に若干(例えばキャップ1/4個程度)移動させて、キャップ1を上記内袋9から離隔させる。
その後、図示右端(図示左端でもよい)に位置するキャップ1を回転中心として、図示左端に位置するキャップ1が時計方向に移動するように保持手段12を回転させる。
これにより、収容箱3の内面と同じ方向(図示左右方向)において、図示右端のキャップ1と図示左端のキャップ1との幅が、収容箱3の開口部の幅よりも狭くなる。
ここで収容箱3の開口部の形状が正方形の場合には、保持手段12の回転角度を45°以下とすることで、図示上下方向における、図示右端(図示下端に相当)のキャップ1と図示左端(図示上端に相当)のキャップ1との幅を、収容箱3の開口部の幅よりも狭くすることができる。
【0020】
次に、図4(c)に示すように、制御手段8は保持手段12を水平面内において移動させ、保持されたキャップ1を内袋9から退避させる。ここで、図3(b)は図4(c)の動作完了時の状態を示している。
上記図4(b)の動作が完了した時点において、回転中心となった図示右端のキャップ1は収容箱3の図示右側の内面に隣接していることから、制御手段8は保持手段12を図示左方に若干(例えばキャップ1/4個分程度)移動させて、図示右端のキャップ1を上記内袋9から退避させる。
これにより、保持手段12によって保持されたキャップ1の全てが上記内袋9より退避した状態となり、その状態で保持手段12を上昇させれば、キャップ1が内袋9に接触せず、脱落しないようにすることができる。
そして、制御手段8はアーム11を制御して保持手段12を移動させ、収容箱3から取り出した1列のキャップ1を上記排出コンベヤ5に移載させる。
【0021】
その後制御手段8は、2列目以降のキャップ1に対しても略同様の動作を繰り返す。ただし図4(d)に示すように、1列目のキャップ1に対して反対側の内面に接近した列(図では7列目)のキャップ1については、逆方向に保持手段12を水平回転させればよい。もしくは、図示左端のキャップ1を回転中心として水平回転させればよい。
これと同様、中央付近の列(例えば4列目、5列目)については、保持されている1列のキャップ1の略中央部分を回転中心として回転させてもよく、その場合、図4(c)で示した図示左右の内面から図示右端のキャップ1を内袋9から離隔させる動作が不要となる。
【0022】
このようにして2段目のキャップ1を排出コンベヤ5に移載したら、上述したように3段目のキャップ1の上部に位置している仕切り板3aを除去し、その後は上述した動作を繰り返して、収容箱3の全てのキャップ1を排出コンベヤ5へと移載する。
そして収容箱3が空になると、供給コンベヤ4の位置決め手段4aが解除されて空の収容箱3が下流側に排出され、新たなキャップ1を収容した収容箱3が供給位置へと供給されることとなる。
【0023】
上記実施形態によれば、移載手段6が収容箱3から1列ずつキャップ1を取り出して排出コンベヤ5へと移載するため、一つずつキャップ1を移載する場合に比べて効率的に移載を行うことが可能となっている。
また、本実施形態では収容箱3に内袋9が設けられており、当該内袋9の膨らみによって保持手段12に保持されたキャップ1が脱落してしまうおそれがあるが、上記保持手段12によって保持したキャップ1を上記収容箱3の開口部の高さよりも低い位置で水平回転させることで、保持されたキャップ1を内袋9から退避させ、キャップ1の脱落を可及的に防止することができる。
また上記実施形態のように、複数列のキャップ1から1列のキャップ1を取り出す場合において、保持手段12が保持した1列のキャップ1を、上記収容箱3に収容されている他のキャップ1よりも高い位置に上昇させてから水平回転させるため、他のキャップ1との干渉を防止しつつ、保持したキャップ1を内袋9から退避させることが可能となっている。
さらに、複数列のキャップ1のうち、収容箱3の内面に隣接している列のキャップ1を保持する際、当該列のキャップ1を保持した保持手段12を収容箱3の内面より離隔する方向に移動させることで、保持したキャップ1と収容箱3の内面との間に隙間を形成することができ、より確実にキャップ1を取り出すことが可能となっている。
【符号の説明】
【0024】
1 キャップ 2 物品移載装置
3 収容箱 4 供給コンベヤ(供給手段)
5 排出コンベヤ(排出手段) 6 移載手段
8 制御手段 9 内袋
11 アーム(回転機構、昇降機構) 12 保持手段
図1
図2
図3
図4