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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076280
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20240529BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20240529BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20240529BHJP
   B24B 55/10 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B25F5/00 G
B25F5/02
B24B23/02
B24B55/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187784
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 亮介
(72)【発明者】
【氏名】本間 信一
【テーマコード(参考)】
3C047
3C064
3C158
【Fターム(参考)】
3C047FF07
3C047JJ02
3C047JJ12
3C064AA05
3C064AA08
3C064AA20
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA01
3C064BA18
3C064BB22
3C064BB33
3C064BB73
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA29
3C064CA54
3C064CA60
3C064CA61
3C064CB06
3C064CB08
3C064CB13
3C064CB14
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB64
3C064CB72
3C064CB77
3C064CB91
3C158AA02
3C158CB05
(57)【要約】
【課題】電動工具の上下方向高さを低減する技術を提供する。
【解決手段】電動工具は、モータと、出力シャフトと、シャフト収容部を有するハウジングと、第1ベアリング及び第2ベアリングとを備える。出力シャフトは、電動工具の前後方向を規定する出力軸周りに回転可能に構成されている。シャフト収容部は、出力シャフトの少なくとも一部を収容するように構成されている。第1ベアリング及び第2ベアリングは、前後方向に離間して設けられて、出力シャフトを出力軸周りに回転可能にハウジングに保持するように構成されている。シャフト収容部は、第1ベアリングと第2ベアリングとの間に、上下方向における下面から上側へ向けて窪む凹部を有するように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具であって、
モータと、
前記モータによって前記電動工具の前後方向を規定する出力軸周りに回転可能な出力シャフトと、
前記前後方向に延在し前記出力シャフトの少なくとも一部を収容するシャフト収容部を有する、ハウジングと、
互いに前記前後方向に離間して設けられ、前記出力シャフトを前記出力軸周りに回転可能に前記ハウジングに保持する、第1ベアリング及び第2ベアリングと、を備え、
前記シャフト収容部は、前記前後方向における前記第1ベアリングと前記第2ベアリングの間に、前記前後方向に直交する上下方向における下面から上側へ向けて窪む凹部を有する、電動工具。
【請求項2】
請求項1に記載の電動工具であって、
前記凹部は、前記前後方向及び前記上下方向に交差する方向に前記シャフト収容部を横切る、電動工具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電動工具であって、
前記出力シャフトに動作可能に連結され、前記上下方向に延在する駆動軸周りに回転可能なスピンドルであって、先端工具を着脱可能に装着するように構成され前記ハウジングから突出する下端部を有する、スピンドルと、
前記下端部に装着された前記先端工具を少なくとも部分的に覆うように構成されたカバー本体と、
前記カバー本体に固定された第1係合部と、
前記ハウジングに設けられ、前記第1係合部と係合して前記カバー本体の前記駆動軸周りの移動を規制する係合位置と、前記第1係合部との係合が解除される解除位置とに移動可能な第2係合部と、を備え、
前記第1係合部の少なくとも一部は、前記凹部に配置される、電動工具。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電動工具であって、
前記シャフト収容部の前記下面には、開口が設けられており、
前記電動工具は、更に、前記開口の少なくとも一部を塞ぐロアカバーを備え、
前記凹部の少なくとも一部は、前記ロアカバーによって規定される、電動工具。
【請求項5】
請求項4に記載の電動工具であって、更に、
前記出力シャフトに係合して前記出力シャフトの回転を規制するように構成されたピンと、
前記ピンに接続されて前記ハウジングの外側に配置され、ユーザが手動操作可能な操作部と、
前記ロアカバーによって前記ハウジング内に保持され、前記ピンが前記ハウジングから抜けることを抑制するストッパと、を備える、電動工具。
【請求項6】
請求項3に従属する請求項4、又は、請求項3に間接的に従属する請求項5に記載の電動工具であって、
前記第2係合部は、前記ロアカバーと前記シャフト収容部とによって、前記係合位置と前記解除位置との間に移動可能に保持される、電動工具。
【請求項7】
請求項3に直接又は間接的に従属する請求項4から請求項6までのいずれか一項に記載の電動工具であって、
前記ロアカバーは、前記第1係合部に当接して前記第1係合部の前記ロアカバーに対する移動を規制する、移動規制部を備える、電動工具。
【請求項8】
請求項7に記載の電動工具であって、
前記移動規制部は、前記第1係合部に向かう付勢力を前記第1係合部に付与しつつ、前記第1係合部を弾性的に保持する、弾性部材を備える、電動工具。
【請求項9】
電動工具であって、
モータと、
前記モータによって前記電動工具の前後方向を規定する出力軸周りに回転可能な出力シャフトと、
前記前後方向に延在し前記出力シャフトの少なくとも一部を収容するシャフト収容部を有する、ハウジングと、
互いに前記前後方向に離間して設けられ、前記出力シャフトを前記出力軸周りに回転可能に前記ハウジングに保持する、第1ベアリング及び第2ベアリングと、を備え、
前記シャフト収容部は、前記前後方向における前記第1ベアリングと前記第2ベアリングの間であって、前記前後方向に直交する上下方向における下面に設けられた、開口部を有する、
電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、先端工具を回転駆動するように構成された、電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
スピンドルに装着された先端工具を回転駆動することで、加工材に対して加工作業を行うように構成された電動工具が知られている。特許文献1には、先端工具側に向かって開口する凹部を有するリングギヤと、一部が凹部内に配置された軸受装置とを備えるグラインダが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2467235号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のグラインダでは、リングギヤの凹部に軸受装置の一部を配置することで、駆動軸方向(上下方向)の高さの低減を図っている。しかし、グラインダに限らず、電動工具の分野において、電動工具の上下方向高さを低減する技術に関しては、改良の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、電動工具が提供される。前記電動工具は、モータと、出力シャフトと、ハウジングと、第1ベアリング及び第2ベアリングとを備える。前記出力シャフトは、前記モータによって、前記電動工具の前後方向を規定する出力軸周りに回転可能に構成されている。前記ハウジングは、前記前後方向に延在し、前記出力シャフトの少なくとも一部を収容するように構成された、シャフト収容部を有する。前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングは、互いに前記前後方向に離間して設けられている。前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングは、前記出力シャフトを前記出力軸周りに回転可能に前記ハウジングに保持するように構成されている。前記シャフト収容部は、凹部を有する。前記凹部は、前記前後方向における前記第1ベアリングと前記第2ベアリングの間に設けられている。前記凹部は、前記前後方向に直交する上下方向における、前記シャフト収容部の下面から、上側へ向けて窪むように構成されている。
この態様によれば、シャフト収容部における第1ベアリングと第2ベアリングとの間に凹部を設けることで、第1ベアリングと第2ベアリングとの間のスペースを有効利用することができる。例えば、電動工具の備える要素(部品)を凹部に配置することも可能となる。そのため、電動工具を上下方向に薄くすることも可能となる。
【0006】
本開示の第2の態様によれば、電動工具が提供される。前記電動工具は、モータと、出力シャフトと、ハウジングと、第1ベアリング及び第2ベアリングとを備える。前記出力シャフトは、前記モータによって、前記電動工具の前後方向を規定する出力軸周りに回転可能に構成されている。前記ハウジングは、前記前後方向に延在し前記出力シャフトの少なくとも一部を収容するように構成された、シャフト収容部を有する。前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングは、互いに前記前後方向に離間して設けられている。前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングは、前記出力シャフトを前記出力軸周りに回転可能に前記ハウジングに保持するように構成されている。前記シャフト収容部は、開口部を有する。前記開口部は、前記シャフト収容部において、前記前後方向における前記第1ベアリングと前記第2ベアリングの間であって、前記前後方向に直交する上下方向における下面に、設けられている。
この態様によれば、シャフト収容部における第1ベアリングと第2ベアリングとの間に開口部を設けることで、第1ベアリングと第2ベアリングとの間のスペースを有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態のグラインダの外観斜視図である。
図2】グラインダの上面図である。
図3図2のIII-III線における断面図である。
図4図3の部分拡大図である。
図5】スピンドル及びスピンドル周りに設けられる部品の分解斜視図である。
図6】ベアリングボックスを外した、ギヤハウジングの下面図である。
図7】カバー部の外観斜視図である。
図8】先端工具が取り外された、グラインダの下面図である。
図9】先端工具及びカバーを外した、グラインダの下面図である。
図10】ロアカバーを外した、グラインダの下面図である。
図11】グラインダの部分分解斜視図である。
図12図3の破線X1で囲われた部分の拡大図である。
図13図2のXIII-XIII線における断面図である。
図14図13のXIV-XIV線における断面図である。
図15図2のXV-XV線における断面図である。
図16】第2実施形態のグラインダにおける、スピンドル及びスピンドル周りに設けられる部品の分解斜視図である。
図17】第3実施形態のグラインダの部分断面図であり、第1実施形態の図4に対応する図である。
図18】第3実施形態のグラインダにおいて、スピンドル及びスピンドル周りに設けられる部品の分解斜視図である。
図19】第3実施形態のギヤの下面図である。
図20】第4実施形態のグラインダの部分断面図であり、第1実施形態の図4に対応する図である。
図21】第5実施形態のグラインダの下面図であり、シャフト収容部の凹部周辺の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、前記凹部は、前記前後方向及び前記上下方向に交差する方向に、前記シャフト収容部を横切るように構成されていてもよい。
この形態によれば、電動工具の備える要素(部品)のうち、シャフト収容部を横切るように延在する部品の少なくとも一部を、凹部に配置できる。
【0009】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、前記電動工具は、スピンドルを備えていてもよい。前記スピンドルは、前記出力シャフトに動作可能に連結されていてもよい。前記スピンドルは、前記上下方向に延在する駆動軸周りに回転可能に構成されていてもよい。前記スピンドルは、先端工具を着脱可能に装着するように構成され、前記ハウジングから突出する下端部を有していてもよい。前記電動工具は、更に、カバー本体と、第1係合部と、第2係合部とを備えていてもよい。前記カバー本体は、前記下端部に装着された前記先端工具を、少なくとも部分的に覆うように構成されていてもよい。前記第1係合部は、前記カバー本体に固定されていてもよい。前記第1係合部の少なくとも一部は、前記凹部に配置されていてもよい。前記第2係合部は、前記ハウジングに設けられ、前記第1係合部と係合して前記カバー本体の前記駆動軸周りの回転を規制する係合位置と、前記第1係合部との係合が解除される解除位置とに移動可能に構成されていてもよい。
この形態によれば、第1係合部の少なくとも一部が凹部に配置されるので、電動工具をコンパクトに構成できる。
なお、このような「電動工具」としては、先端工具を回転駆動することで、加工材に対する切断作業を遂行可能な切断工具、又は研削作業を遂行可能な研削工具が挙げられる。このような回転工具として、例えば、グラインダ、カッタ、マルチツール等が挙げられる。
【0010】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、前記シャフト収容部の前記下面には、開口が設けられていてもよい。前記電動工具は、更に、前記開口の少なくとも一部を塞ぐように構成された、ロアカバーを備えていてもよい。前記凹部の少なくとも一部は、前記ロアカバーによって規定されてもよい。
この形態によれば、凹部に電動工具の部品を配置できるとともに、ロアカバーによってハウジング内の部品を保護できる。
【0011】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、前記電動工具は、更に、ピンと、前記ピンに接続された操作部と、ストッパとを有していてもよい。前記ピンは、前記出力シャフトに係合して前記出力シャフトの回転を規制するように構成されていてもよい。前記操作部は、前記ハウジングの外側に配置され、ユーザが手動操作可能に構成されていてもよい。前記ストッパは、前記ロアカバーによって前記ハウジング内に保持されていてもよい。前記ストッパは、前記ピンが前記ハウジングから抜けることを抑制するように構成されていてもよい。
この形態によれば、出力シャフトの回転を規制しつつ、ロアカバーによってストッパを保持することができる。
【0012】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、前記第2係合部は、前記ロアカバーと前記シャフト収容部とによって、前記係合位置と前記解除位置との間に移動可能に保持されていてもよい。
この形態によれば、ロアカバーによってハウジング内の部品を保護しつつ、第2係合部を保持できる。
【0013】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、前記ロアカバーは、移動規制部を有していてもよい。前記移動規制部は、前記第1係合部に当接して、前記第1係合部の前記ロアカバーに対する移動を規制するように構成されていてもよい。
この形態によれば、第1係合部とロアカバーとの間にガタ(不測の緩み、隙間)があっても、電動工具を用いた加工作業中に、カバー本体が移動することを抑制できる。
【0014】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、前記移動規制部は、弾性部材を備えていてもよい。前記弾性部材は、前記第1係合部に向かう付勢力を前記第1係合部に付与しつつ、前記第1係合部を弾性的に保持するように構成されていてもよい。
この形態によれば、第1係合部とロアカバーとの間にガタ(不測の緩み、隙間)がある場合であっても、電動工具を用いた加工作業中に、カバー本体が移動することを効果的に抑制できる。
【0015】
<グラインダの全体構成>
以下、図1から図15を参照して、本開示の代表的且つ非限定的な実施形態について、具体的に説明する。なお、以下の実施形態では、電動工具
の一例として、手持ち式の電動ディスクグラインダ(以下、単にグラインダ1という)を例示する。グラインダ1は、主に、ハウジング10と、モータ2と、スピンドル3とを備える。
【0016】
ハウジング10は、グラインダ1の外郭を規定する。図1に示すように、ハウジング10は、全体として長尺状の中空体として形成されている。モータ2の有するモータシャフト21(図3参照)は、ハウジング10の長軸方向に延在する。図3に示すように、スピンドル3は、ハウジング10の長軸に交差する駆動軸AX1に沿って配置されている。スピンドル3の軸方向の一端部(先端部331)は、ハウジング10から突出し、外部へ露出している。この一端部331は、先端工具210を着脱可能に構成されている。スピンドル3は、モータ2に動作可能に連結されており、駆動軸AX1周りに回転する。これにより、スピンドル3に取り付けられた先端工具210が回転する。グラインダ1に装着可能な先端工具210としては、略円盤状の砥石、ゴムパッド、ブラシ、ブレード等が挙げられる。ユーザは、所望の加工作業に応じて適切な先端工具210を選択し、グラインダ1に装着することで、加工材に対して研削、研磨、切断等の加工作業を行うことができる。本実施形態のグラインダ1は、先端工具210の一部分を覆うためのカバー部8を備える。カバー部8は、ホイールカバー、ディスクカバー、ブレードケース等とも呼ばれる。
【0017】
なお、以下では、説明の便宜上、グラインダ1の方向に関し、駆動軸AX1の延在方向を上下方向と定義し、先端工具210が装着されるスピンドル3の先端部331側を下側、その反対側を上側と定義する。また、駆動軸AX1に直交し、且つ、ハウジング10の長軸方向に対応する方向を前後方向と定義する。前後方向のうち、スピンドル3が収容されているハウジング10の一端部側を前側、その反対側を後側と定義する。更に、前後方向及び上下方向に直交する方向を、左右方向と定義する。
【0018】
図1に示すように、ハウジング10は、前から後にこの順で配置された、ギヤハウジング11と、モータハウジング17と、ハンドルハウジング18とを備える。
【0019】
<モータハウジング及びその内部構成>
図1及び図2に示すように、モータハウジング17は、略筒状に形成され、主にモータ2を収容する。本実施形態のモータ2は、ブラシレスモータである。モータ2は、前後方向に延在するモータシャフト21(図3参照)を備える。モータシャフト21は、前後方向に延在する。つまり、モータ2の回転軸AX2は、前後方向に延在する。モータシャフト21の前端部と後端部は、夫々、ベアリングによって回転可能に支持されている。モータハウジング17の上面には、ユーザの手動操作が可能なスライド式のスイッチ101が配置されている。ユーザによってスイッチ101がオン操作されると、モータ2が駆動される。
【0020】
<ハンドルハウジング及びその内部構成>
図1に示すように、ハンドルハウジング18は、ユーザが把持可能な略筒状に形成され、前後方向に延在する。ハンドルハウジング18の後端部には、バッテリ装着部181が設けられている。バッテリ装着部181は、モータ2への給電用のバッテリ220が着脱可能に構成されている。ハンドルハウジング18内には、コントローラ102が収容されている。コントローラ102は、モータ2及びスイッチ101に電気的に接続されている。コントローラ102は、ユーザによるスイッチ101の手動操作に応じて、モータ2への供給電力を制御するように構成されている。
【0021】
<ギヤハウジング及びその内部構成>
図1から図3に示すように、ギヤハウジング11は、ハウジング10の前端部の外殻を規定するスピンドル収容部12と、スピンドル収容部12の後方で、前後方向に延在するシャフト収容部13とを含む。
【0022】
シャフト収容部13は、モータハウジング17の前側に設けられている。シャフト収容部13は、主に、出力シャフト41と、第1ベアリング43と、第2ベアリング44と、スペーサ45と、操作レバー9(図13参照)の大部分とを収容する。
【0023】
図3に示すように、出力シャフト41は、モータシャフト21の前側で、モータシャフト21と同軸状に延在する。出力シャフト41の回転軸(出力軸)AX3は、モータシャフト21の回転軸AX2と同軸状である。出力シャフト41の後端部は、モータシャフト21の前端部に連結されている。出力シャフト41は、モータシャフト21と一体的に回転軸AX3周りに回転する。出力シャフト41の前端部には、小ベベルギヤ411が設けられている。本実施形態のグラインダ1は、駆動軸AX1と出力軸AX3とが直交する、いわゆるアングルグラインダである。
【0024】
第1ベアリング43と第2ベアリング44とは、出力シャフト41周りに設けられ、出力シャフト41を回転軸AX3周りに回転可能に支持する。本実施形態では、第1ベアリング43と第2ベアリング44とは、転がり軸受である。第1ベアリング43は出力シャフト41の前部分に配置され、第2ベアリング44は、出力シャフト41の後部分に、第1ベアリング43と離間して配置されている。第2ベアリング44の後端には、ベアリングリテーナ441が設けられている。
【0025】
スペーサ45は、第1ベアリング43と第2ベアリング44の間に配置されている。本実施形態では、スペーサ45は、第1ベアリング43の後端に当接する第1当接部453と、第2ベアリング44の前端に当接する第2当接部454とを有している。スペーサ45の後端部は、第2ベアリング44の径方向外側を覆い、且つ、シャフト収容部13に当接している。
【0026】
なお、詳細は後述するが、シャフト収容部13は、第1ベアリング43と第2ベアリング44との間に設けられ、シャフト収容部13の下面131から上側へ向けて窪む凹部15を有する。凹部15は、主に、下面131に設けられた開口14と、開口14を覆うロアカバー7とによって規定される。凹部15には、カバー部8のロックプレート81が配置される。凹部15、カバー部8及びロックプレート81については、後述する。
【0027】
次に、図3から図5を用いて、スピンドル収容部12について説明する。スピンドル収容部12は、スピンドル3の下端部331を露出させた状態で、スピンドル3を収容する。
【0028】
図5に示すように、スピンドル3は、上から下に、第1外径部31と、第2外径部32と、第3外径部33とを備える。第1外径部31は、スピンドル3の上端部を構成する。第2外径部32は、スピンドル3のうち、最も外径の大きい部分である。第2外径部32を、スピンドルフランジとも呼ぶ。第3外径部33は、第2外径部32よりも外径が小さく形成されている。第2外径部32側(上側)の外径が下端部331側(下側)の外径に比べて大きい、多段状に形成されている。なお、第2外径部32の外径は、ギヤ52の内径よりも大きい。第3外径部33の外径は、ギヤ52の外径よりも小さい。
【0029】
図3及び図4に示すように、第3外径部33の下端部331は、スピンドル収容部12の底部を構成するベアリングボックス125から、下側へ突出している。スピンドル3の下端部331は、雄ネジ部332を有している。下端部331は、先端工具210をスピンドル3に取り付けるためのロックナット65(図3参照)を、螺合(締結)可能に構成されている。ベアリングボックス125は、カバー部8(第1取付部804)を取り外し可能に装着する、第2取付部127を有している。
【0030】
スピンドル3周りには、主に、上側ベアリング51と、ギヤ52と、下側ベアリング55と、ワッシャー61,62と、インナーフランジ63とが設けられている。スピンドル3は、上側ベアリング51と下側ベアリング55とによって、駆動軸AX1周りに回転可能に、スピンドル収容部12に保持されている。これら各部材の径方向における中心は、駆動軸AX1上にある。
【0031】
本実施形態では、上側ベアリング51と下側ベアリング55とは、転がり軸受である。上側ベアリング51は、スピンドル3の第1外径部31周りに設けられている。上側ベアリング51の外輪は、スピンドル収容部12に保持されている。
【0032】
ギヤ52は、上側ベアリング51の下側、且つ、第3外径部33周りに設けられている。本実施形態では、ギヤ52は、スピンドル3の第3外径部33に圧入されており、スピンドル3と一体に回転可能である。ギヤ52は、スピンドル3と当接する当接部522と、小ベベルギヤ411と噛み合う歯部53と、ギヤ凹部54とを備える。
【0033】
図4及び図5に示すように、ギヤ52は、上下方向において外径の異なる多段状に形成されている。ギヤ52の上部分521の外径は、下部分523よりも大きい。上部分521の外周面521sと、下部分523の外周面523sとの接続面524は、上下方向に直交する。なお、外周面521s、523sは上下方向に略平行である。上部分521は、径方向内側において下方に窪んでおり、当該窪んだ部分の上面は、当接部522として機能する。当接部522は、スピンドル3の第2外径部32の下面321と当接し、ギヤ52をスピンドル3上で位置決めする。
【0034】
歯部53は、当接部522よりも径方向外側、且つ、当接部522よりも上側に設けられている。歯部53は、モータシャフト21の回転を、出力シャフト41、小ベベルギヤ411を介して、スピンドル3に伝達する。
【0035】
図3及び図4に示すように、ギヤ凹部54は、ギヤ52の下面(下端部)541に設けられた開口542から、上側へ向けて窪む部分である。ギヤ凹部54は、ギヤ52の下面541と、下面541よりも上側に位置する底面543と、下面541と底面543とを接続する側面544とによって規定される。なお、側面544は、上下方向に略平行であり、下面541及び底面543は、上下方向に略直交する。
【0036】
下側ベアリング55は、ギヤ52の径方向外側に配置されている。本実施形態では、下側ベアリング55は、ギヤ52の下部分523に対し、丁度、径方向外側に配置されている。そのため、図3及び図4に示すように、駆動軸AX1に直交し、下側ベアリング55を通る仮想平面P2は、ギヤ52を通る。なお、平面P2は、ギヤ凹部54をも通っており、下側ベアリング55は、ギヤ凹部54の径方向外側に配置されているともいえる。
【0037】
下側ベアリング55は、スピンドル3を直接支持しておらず、ギヤ52を介して、スピンドル3を駆動軸AX1周りに回転可能に支持している。下側ベアリング55の上下方向高さは、下部分523の上下方向高さと略等しい。下側ベアリング55の内輪56は、ギヤ52の外周面523sに嵌合している。内輪56の上端561は、ギヤ52の接続面524に当接している。本実施形態では、ギヤ52の下端部541には、シールリング58が設けられている。下側ベアリング55の内輪56の下端562は、シールリング58に対向(略当接)している。
【0038】
下側ベアリング55の外径は、ギヤ52の外径よりも大きい。そのため、下側ベアリング55の外輪57は、ギヤ52の上部分521よりも径方向外側に位置する。下側ベアリング55の外輪57は、スピンドル収容部12によって保持されている。図4及び図6に示すように、本実施形態では、スピンドル収容部12の内壁には、下側に突出する複数のリブ121が設けられている。各リブ121は、図4に示すように、外輪57の上端571に対向する位置に設けられている。各リブ121は、上端571と当接する。
【0039】
図3から図5に示すように、下側ベアリング55の径方向外側及び下側には、ベアリングボックス125が配置されている。ベアリングボックス125は、スピンドル収容部12の底部(下端部)を構成する。ベアリングボックス125は、上下方向に貫通する貫通孔126を有する。スピンドル3の下端部331は、貫通孔126から下側へ突出する。本実施形態では、ベアリングボックス125は、下側ベアリング55の外輪57の径方向外側と、外輪57の下端572とに当接するように構成されている。
【0040】
ベアリングボックス125は、第2取付部127を有する。第2取付部127は、ベアリングボックス125の外周面に設けられた、略溝状の部分を含む。第2取付部127は、カバー部8の第1取付部804を、上下方向に挟み込んで保持するように構成されている。
【0041】
ギヤ凹部54内には、一対のワッシャー61,62が配置されている。本実施形態では、ギヤ凹部54内には、ワッシャー61,62の全体が配置されている。ワッシャー61,62は、スピンドル3の第3外径部33周りに設けられている。なお、本実施形態では、第3外径部33の外径は、ギヤ52が圧入されている圧入部よりも下側で小さくなっている。ワッシャー61,62は、当該下側部分(小径部)の周りに配置されている。更に、ワッシャー61,62は、上下方向において、下側ベアリング55とオーバーラップするように配置されている。言い換えると、駆動軸AX1に直交し、下側ベアリング55を通る仮想平面P2は、ワッシャー61,62のいずれかを通る。また、ワッシャー61,62の少なくとも一部は、上下方向において、下側ベアリング55の上端571と下端572の間に位置するということもできる。
【0042】
本実施形態のワッシャー61,62は、くさび構造によるセルフロック効果で機械的に緩みを抑制するように構成されている。図4及び図5に示すように、ワッシャー61,62は、上下方向に向かい合うカム面611,621と、カム面611,621とは反対側のリブ面612,622とを有する。カム面611,621の夫々のカムの角度は、雄ネジ部332のネジ山の角度よりも大きい。上側のワッシャー61のリブ面612は、ギヤ凹部54の底面543に当接する。下側のワッシャー62のリブ面622は、インナーフランジ63の上面632に当接する。
【0043】
インナーフランジ63は、ワッシャー62の真下で、第3外径部33における上述の小径部周りに設けられている。インナーフランジ63は、先端工具210をスピンドル3上で位置決め固定するように構成されている。ベアリングボックス125の貫通孔126は、インナーフランジ63の外径よりも大きく形成されており、インナーフランジ63の上部分はスピンドル収容部12内に配置され、インナーフランジ63の下部分はスピンドル収容部12から下側へ露出している。インナーフランジ63の下面633は、先端工具210の上面212に当接する。なお、インナーフランジ63の下部分における径方向内側には、O(オー)リング64が設けられている。Oリング64は、インナーフランジ63の脱落を抑制するための、脱落防止(抑制)部材の一例である。
【0044】
図4及び図5に示すように、インナーフランジ63の径方向中央部は、外縁に比べて、上側に突出する。この突出した部分(突出部631)の一部は、ギヤ凹部54に収容されている。突出部631の上面632は、ワッシャー62のリブ面622に当接している。
【0045】
スピンドル3のインナーフランジ63よりも更に先端であって、下端部331の外周部分には、雄ネジ部332が形成されている。雄ネジ部332には、ロックナット65が取り付けられている。インナーフランジ63とロックナット65との間に先端工具210を挟み、ロックナット65を締め付けることによって、スピンドル3に対する先端工具210の位置が固定される。
【0046】
以上の構成により、ユーザによってスイッチ101がオン操作されてモータ2が駆動されると、モータシャフト21の回転が、出力シャフト41、小ベベルギヤ411、ギヤ52の歯部53を介して、減速されつつ、スピンドル3に伝達される。このとき、回転運動の方向も、モータシャフト21の回転軸AX2(つまり、出力シャフト41の回転軸AX3)周りの方向から、スピンドル3の駆動軸AX1周りの方向へと変換される。その結果、スピンドル3は、駆動軸AX1周りに回転し、インナーフランジ63及びロックナット65によって固定された先端工具210が、スピンドル3とともに回転する。
【0047】
以上で説明したように、本実施形態のグラインダ1では、下側ベアリング55は、ギヤ52の径方向外側に配置され、ギヤ52を介してスピンドル3を回転可能に支持する。そのため、下側ベアリング55がスピンドル3周りに直接設けられる構成と比較して、スピンドル全長を短くできる。そのため、ギヤハウジング11を上下方向に薄くできる。したがって、本実施形態のグラインダ1によれば、比較的狭いスペース等、空間的に限られた条件下においても、加工作業を行うことができるという利点がある。
【0048】
また、ギヤ52は、ギヤ凹部54を備えており、ギヤ凹部54に、スピンドル3に設けられる部品の少なくとも一部を収容可能に構成されている。そのため、スピンドル3の全長をより短くできる。なお、本実施形態では、ギヤ凹部54は、ワッシャー61,62の全体と、インナーフランジ63の一部とを収容する。したがって、スピンドル3の全長を効果的に短くできる。
【0049】
なお、ギヤ52の径方向外側に下側ベアリング55を配置することで、ギヤ52の上下方向高さが増大しても、ギヤ52における下側ベアリング55が配置された部分の径方向内側を、ギヤ凹部54として利用することができる。これにより、ギヤ凹部54内に、ギヤ52よりも下側においてスピンドル3周りに設けられる部品を、充分に収容できるという利点がある。
【0050】
また、下側ベアリング55の外径は、ギヤ52の外径よりも大きく構成されているので、下側ベアリング55の外輪57を保持しやすい。本実施形態では、ギヤハウジング11の備える複数のリブ121によって、外輪57の上端571を保持できる。そのため、外輪57を保持するための部品を別途設けなくともよい。したがって、グラインダ1の部品点数を削減できる。
【0051】
また、スピンドル3は、上から下に、第1外径部31と、最も外径の大きい第2外径部32と、第3外径部33とを備える。そのため、スピンドル3の下端331からギヤ52をスピンドル3に挿入して、ギヤ52をスピンドル3上で位置決めすることができる。また、スピンドル3は、ギヤ52を介して下側ベアリング55によってギヤハウジング11に保持されているので、スピンドル3がギヤハウジング11から下方へ抜けることを抑制できる。
【0052】
なお、本実施形態のグラインダ1は、ブレーキ機構を備えている。ブレーキ機構は、スイッチ101がオフ操作されたときに、モータ2が慣性で回転することを抑制する機構である。本実施形態では、グラインダ1は、電気的ブレーキ機構を有する。具体的には、コントローラ102は、スイッチ101のオフ操作がされると、モータ2を逆転駆動し、例えば、所定期間経過した後や、モータ2が回転軸AX2周りの所定位置まで回転した後に、モータ2への電力の供給を停止する。これにより、スピンドル3が慣性で回転することが抑制される。その結果、グラインダ1(つまり、先端工具210の駆動軸AX1周りの回転)を早期に停止することができるという利点がある。
【0053】
ここで、比較的質量の大きい先端工具210が使用される場合には、ブレーキ機構によって急に先端工具210の回転が停止すると、ロックナット65の締結が緩み、その結果、先端工具210のスピンドル3に対する固定が緩む虞がある。本実施形態では、ワッシャー61,62により、駆動軸AX1に沿った軸力が作用するので、ロックナット65の締結の緩みが、効果的に抑制される。したがって、本実施形態のグラインダ1によれば、ロックナット65の締結の緩みを抑制しつつ、スピンドル3の全長を短くできる。
【0054】
<カバー部の構成>
次に、カバー部8について説明する。カバー部8は、カバー本体80と、ロックプレート81とを備える。
【0055】
カバー本体80は、先端工具210の一部分を覆うように構成されている。例えば、図1から図3では、カバー本体80は、先端工具210の上側かつ後側略半分を覆っている。図7に示すように、カバー本体80は、円弧状部分801と、板状部分802と、第1取付部804とを備える。円弧状部分801は、略円盤状の先端工具210の半径よりも大きい半径を有する円弧状に形成されている。円弧状部分801は、先端工具210の外縁部211を部分的に覆っている。円弧状部分801の円弧状の下端部は、径方向内側に向けて折れ曲がった屈曲部803となっている。板状部分802は、円弧状部分801の円弧状の上端全体に亘って、当該上端から径方向内側に向けて延在する板状の部分である。板状部分802は、先端工具210のうちの上面212を部分的に覆っている。
【0056】
第1取付部804は、板状部分802における、駆動軸AX1周りの周方向に沿った略円弧状の部分である。第1取付部804は、周方向の2つの先端に、対向する2つのフランジを有している。第1取付部804は、スピンドル収容部12(ベアリングボックス125)の第2取付部127に取り外し可能に装着される。ユーザは、第2取付部127と第1取付部804とが対向するように、カバー部8をグラインダ1の前側に配置し、カバー部8を後方に移動させ、第2取付部127に第1取付部804を嵌め込むことができる。第2取付部127はカバー部8を上下方向に挟み込んで保持する。
【0057】
ロックプレート81は、カバー本体80の板状部分802の上面に設けられている。ロックプレート81は、全体として駆動軸AX1を中心とした、略円弧状に形成されている。ロックプレート81は、板状部分802に固定される固定部811と、固定部811から上側に突出する突出部812とを有する。突出部812は、上下方向に延在する。突出部812は、上側に開口する複数の溝部814を有する。複数の溝部814は、周方向に所定の間隔で設けられている。上述したように、第1取付部804が、第2取付部127に取り付けられ、詳細を後述する操作レバー9が解除位置にあるとき、カバー部8は、周方向に回転可能である。カバー部8が周方向に回転されると、突出部812の一部は、凹部15に配置される。なお、グラインダ1(第2取付部127)は、第1取付部804に対するロックプレート81の配置関係が上記のカバー部8と同じであり、外径の異なるカバー部を装着可能である。以下、凹部15及び操作レバー9について説明する。
【0058】
<凹部の構成>
図3図6、及び、図9から図11を用いて、凹部15について説明する。凹部15は、主に、シャフト収容部13に設けられた開口14と、開口14を塞ぐロアカバー7とによって規定される。開口14は、シャフト収容部13の下面131に設けられている。開口14は、前後方向において、第1ベアリング43と第2ベアリング44との間に設けられている(図3参照)。本実施形態では、開口14は、第1ベアリング43と第2ベアリング44との間を通り、シャフト収容部13を左右方向に横切るように形成されている(図6参照)。具体的には、開口14は、出力シャフト41及びスペーサ45の下を通って、シャフト収容部13の左壁(左側面)132L及び右壁(右側面)132Rを貫通するように形成されている。
【0059】
図6に示すように、開口14は、スペーサ45の真下に設けられた中央開口部14Mと、スペーサ45の左側に設けられた左開口部14Lと、スペーサ45の右側に設けられた右開口部14Rとを含む。左開口部14L及び右開口部14Rは、前後方向において、中央開口部14Mよりも大きい。左開口部14Lにおける左壁(左側面)132Lを貫通する部分133L、及び、右開口部14Rにおける右壁(右側面)132Rを貫通する部分133Rは、中央開口部14Mよりも前側に位置する。そのため、図6に破線で示すように、開口14は、全体として、シャフト収容部13を略円弧状に横切る。
【0060】
スペーサ45の下部分には、スペーサ開口451が設けられている。図10に示すように、スペーサ開口451は、開口14(中央開口部14M)の形状に沿うように形成されている。図3に示すように、スペーサ開口451は、スペーサ45の下部分であって、第1当接部453と第2当接部454との間に設けられている。
【0061】
図3図9及び図11を用いて、ロアカバー7について説明する。ロアカバー7は、開口14の一部を覆う。ロアカバー7は、シャフト収容部13の下面131に設けられたネジ孔137に、ネジ止めされて、シャフト収容部13に固定されている。本実施形態では、図9に示すように、ロアカバー7は、左右方向において、左壁(左側面)132L及び右壁(右側面)132Rよりも内側に配置されている。
【0062】
ロアカバー7は、下面72から上方に窪む溝部71を有する。溝部71は、第1ベアリング43と第2ベアリング44の間(出力シャフト41の下側)を通り、左右方向に延在している。溝部71の左端及び右端は開放されている。溝部71は、前面711と、前面711よりも後側に配置された後面712と、底面713とによって規定される。前面711及び後面712は、前後方向に直交する。底面713は、ロアカバー7の下面72よりも上側に配置され、上下方向に直交する。図3に示すように、底面713は、スペーサ開口451内(つまり、スペーサ45内)に位置する。スペーサ開口451は、ロアカバー7の溝部71によって覆われている。中央開口部14M及びスペーサ開口451は、ロアカバー7の溝部71及びスペーサ45の筒壁によって、左開口部14L及び右開口部14Rと区切られており、外部と連通していない。そのため、ロアカバー7は、シャフト収容部13において出力シャフト41の配置される空間に、外部から粉塵等が侵入することを抑制する。
【0063】
以上のように、シャフト収容部13の開口14及びスペーサ開口451と、ロアカバー7の溝部71とにより、ギヤハウジング11(シャフト収容部13)の下側には、上側へ窪み、シャフト収容部13を左右方向に横切る凹部15が規定される。なお、上述したように、左開口部14Lにおける左壁(左側面)132Lを貫通する部分133L、及び、右開口部14Rにおける右壁(右側面)132Rを貫通する部分133Rは、中央開口部14Mよりも前側に位置する。また、ロアカバー7は、左壁(左側面)132L及び右壁(右側面)132Rよりも内側に配置されている。そのため、凹部15は、全体として、シャフト収容部13を略円弧状に横切る。
【0064】
図12には、凹部15とカバー部8との配置関係が示されている。図12に示す距離L1は、カバー部8の板状部分802からシャフト収容部13の下面131までの距離である。距離L2は、カバー部8の板状部分802からロックプレート81の上端813までの距離である。距離L2は、ロックプレート81の高さでもある。距離L3は、カバー部8の板状部分802からロアカバー7の溝部71の底面713までの距離である。本実施形態では、距離L2は、距離L1よりも大きく、距離L3よりも小さい。つまり、シャフト収容部13が凹部15を有していることにより、上下方向にある程度の高さ(距離L2)を有するロックプレート81を用いて、カバー部8とギヤハウジング11とを係合させることができる。
【0065】
以上のように、本実施形態のグラインダ1は、シャフト収容部13に設けられた凹部15を備える。凹部15内には、ロックプレート81を配置可能である。そのため、シャフト収容部13における、第1ベアリング43と第2ベアリング44の間のスペースを有効に利用でき、ギヤハウジング11とカバー部8の板状部分802との距離L1を小さく構成することができる。そのため、本実施形態のグラインダ1では、ギヤハウジング11とカバー部8とを近づけて、グラインダ1を上下方向に薄くできるという利点がある。
【0066】
<操作レバーの構成>
次に、操作レバー9について説明する。図2に示すように、操作レバー9は、ギヤハウジング11に設けられている。操作レバー9は、カバー部8の周方向の回転を許容する解除位置と、カバー部8の周方向の回転を規制する係合位置とに、移動可能である。
【0067】
図14及び図15には、駆動軸AX1と回転軸AX3とを含む仮想平面P1が示されている。本実施形態では、操作レバー9は、全体として、シャフト収容部13におけるスペーサ45の左側に、仮想平面P1と略平行に配置されている。図10及び図11に示すように、操作レバー9の大部分は、シャフト収容部13内における、左開口部14Lに対応する部分に配置されている。
【0068】
図13に示すように、操作レバー9は、ユーザが手動操作可能な操作部91と、本体部92と、付勢部材93と、回動軸部94とを備える。本体部92と、付勢部材93と、回動軸部94とは、シャフト収容部13内に配置されている。操作部91は、シャフト収容部13の上面134に設けられた開口135から上側に露出している。
【0069】
本体部92は、プレート状に形成され、仮想平面P1と平行に配置されている。回動軸部94は、本体部92の後方下部から左右方向に突出し、シャフト収容部13の下部分に保持されている。本体部92は、回動軸部94を中心として回動可能である。図14に示すように、操作レバー9の回動軸AX4の延在方向は、平面P1と直交する。以下の説明では、本体部92における、回動軸部94よりも前部分を、係合部922とも呼ぶ。
【0070】
図9に示すように、本体部92における回動軸部94の下側は、ロアカバー7に覆われる一方、係合部922はロアカバー7に覆われていない。換言すると、ロアカバー7は、左開口部14Lにおいて係合部922を露出させた状態で、回動軸部94の下側に対応する部分を覆っている。
【0071】
図13に示すように、付勢部材93は、本体部92の前方上部と、シャフト収容部13の上面134(上壁134)との間に配置されて、本体部92を下方へ付勢している。本実施形態では、付勢部材93として、圧縮コイルばねが採用されている。操作レバー9が操作されていないとき、つまり、常時には、係合部922は、付勢部材93によって下方へ付勢されている。常時には、本体部92の下端921は、上下方向において、シャフト収容部13の下端136と同じ位置又は若干上側にある(図13参照)。また、常時には、本体部92の一部(係合部922)は、凹部15内であって、ロアカバー7の溝部71の真横に位置する(図9参照)。このときの操作レバー9の位置を、「係合位置」とも呼ぶ。
【0072】
ユーザが付勢部材93の付勢力に逆らって、操作部91を後方へ押圧すると、本体部92は回動軸AX4を中心として、図13に矢印R1で示す向きに回動する。これにより、係合部922は後方上部へ移動する。その結果、係合部922は、上下方向において、ロアカバー7における溝部71の底面713よりも、上側に移動する。つまり、係合部922は、凹部15よりも上側へ移動(退避)する。このときの操作レバー9の位置を、「解除位置」とも呼ぶ。なお、ユーザの操作部91への押圧が解除されると、本体部92は、図13に矢印R2で示す向きに回動して、解除位置から係合位置に復帰する。
【0073】
以下、カバー部8の周方向の移動(回転)を規制する態様について説明する。まず、ユーザは、スピンドル収容部12の第2取付部127に対し、カバー部8の第1取付部804を前側から嵌め込む。このとき、ユーザが、操作レバー9を押し操作すると、係合部922は解除位置へ移動する。係合部922が解除位置にある状態で、ユーザが、カバー部8を周方向に回転させると、ロックプレート81は凹部15に沿って周方向に移動する。また、ロックプレート81の突出部812の一部は、凹部15に配置される。
【0074】
ユーザが、カバー部8を、周方向における所望の位置まで回転させて、操作レバー9の押し操作を解除すると、係合部922は、付勢部材93に付勢されて係合位置へ復帰する。このとき、突出部812の溝部814が、操作レバー9の丁度下側にある場合には、溝部814と係合部922とが係合する。そのため、カバー部8の周方向の移動が、溝部814によって規制される。より詳細には、突出部812において、溝部814を規定する壁816、816(図7及び図15参照)が、操作レバー9の係合部922(本体部92)の左面又は右面に当接することによって、カバー部8の周方向の移動が規制される。
【0075】
なお、ユーザの押し操作が解除されたとき、操作レバー9(係合部922)の丁度下側に、突出部812の溝部814ではなく上端813が位置する場合がある。この場合には、操作レバー9の下端921は、上端813に当接する。この状態から、ユーザが、更にカバー部8を周方向に回転させると、溝部814が操作レバー9(係合部922)の丁度下側に移動した時点で、突出部812の上端813に当接していた係合部922は、付勢力によって下側へ移動し、溝部814と係合する。以上のようにして、ユーザは、カバー部8を周方向の所定の位置に、位置決めすることができる。
【0076】
図9に示すように、本実施形態では、ロアカバー7は、溝部71の後面712から前側へ突出する凸部715を備える。凸部715は、溝部71の左右方向における略中央部に設けられている。平面P1は、凸部715を通る。凸部715が設けられた部分における、溝部71の前後方向の幅は、溝部71の他の部分の前後方向の幅よりも狭い。凸部715は、溝部71に配置されたロックプレート81の突出部812の外表面812s(図7参照)に当接可能である。凸部715は、突出部812の外表面812sに摺動することで、ロックプレート81(カバー部8)の周方向の移動をガイドする。また、凸部715は、突出部812の外表面812sに当接して、カバー部8の第1取付部804を、ギヤハウジング11の第2取付部127に押し付ける。凸部715は、突出部812(カバー部8)のロアカバー7に対する、駆動軸AX1に交差する方向(前後方向)の移動を規制する、移動規制部としても機能する。これにより、ロアカバー7の溝部71とロックプレート81の突出部812との間にガタ(不測の緩み、隙間)がある場合であっても、グラインダ1を用いた加工作業中に、カバー部8が移動することを抑制できる。
【0077】
<シャフトロック機構の構成>
図15に示すように、グラインダ1は、更に、シャフトロック機構4を有する。シャフトロック機構4は、出力シャフト41の回転を規制することによって、小ベベルギヤ411及びギヤ52を介してスピンドル3の回転を規制するための機構である。スピンドル3に対する先端工具210の取付けや取り外しを行うためには、スピンドル3に対してロックナット65を回転させる必要がある。しかし、モータ2が停止していても、モータシャフト21に連結された出力シャフト41は自由に回転可能であるため、単にロックナット65を回そうとすると、スピンドル3も一体に回転してしまう。このとき、シャフトロック機構4を動作させて出力シャフト41の回転を規制すると、スピンドル3の回転が規制されてロックナット65を回すことができる。
【0078】
本実施形態では、シャフトロック機構4は、主に、シャフト収容部13内を移動可能なピン46と、出力シャフト41に設けられ、ピン46の端部461が挿入可能な挿入孔412と、ストッパ48とを含む。シャフトロック機構4は、全体として、平面P1に対し、操作レバー9の設けられた側と反対側に配置されている。本実施形態では、シャフトロック機構4は、平面P1の右側に配置されている。
【0079】
挿入孔412は、出力シャフト41において、回転軸AX3と直交する方向に設けられている。挿入孔412は、前後方向において、第1ベアリング43と第2ベアリング44との間に設けられている。
【0080】
ピン46は、平面P1と直交する方向に移動可能に、シャフト収容部13に設けられている。ピン46は、出力シャフト41と係合する第1位置と、出力シャフト41との係合が解除される第2位置とに移動可能である。本実施形態では、シャフト収容部13の右壁132Rには、左右方向に貫通する貫通孔138が設けられている。貫通孔138は、挿入孔412の真横に設けられている。ピン46は、貫通孔138を左右方向に移動可能である。なお、スペーサ45には、貫通孔138に対応する位置に、右開口452が設けられている。
【0081】
ピン46は、第1端部461と、第1端部461とは反対側の第2端部462とを有する。第1端部461は、シャフト収容部13内に配置され、挿入孔412と係合可能である。第2端部462は、貫通孔138からシャフト収容部13の右側に露出している。第1位置は、ピン46の第1端部461が挿入孔412と係合する位置である。本実施形態では、ピン46は、平面P1に近づく側(右側から左側)に移動されることで、第1位置に移動する。第2位置は、第1端部461と挿入孔412との係合が解除される位置である。本実施形態では、ピン46は、平面P1から離れる側(左側から右側)に移動されることで、第2位置に移動する。
【0082】
ピン46は、更に、ピン46の本体部465から径方向外側に突出するフランジ464を備える。フランジ464の外径は、挿入孔412の外径よりも大きく、かつ、スペーサ45の右開口452の外径よりも小さい。
【0083】
第2端部462には、ユーザが操作するための操作部47が設けられている。操作部47と、右壁132Rにおける、貫通孔138の出口(右開口138r)周辺部との間には、付勢バネ49が設けられている。付勢バネ49は、ピン46を右側へ付勢している。常時には、ピン46は、付勢バネ49の付勢力によって、第2位置に配置されている。
【0084】
ストッパ48は、シャフト収容部13からピン46が抜ける(脱落する)ことを抑制するように構成されている。本実施形態では、ストッパ48は、前後方向に直交する断面視において、略L字状に形成されている。ストッパ48は、左右方向に直交する第1板部481と、第1板部481の下端部から右側へ延出する第2板部485とを有する。
【0085】
第1板部481は、左右方向においてスペーサ45とシャフト収容部13の右壁132Rとの間に配置されている。第1板部481は、左右方向に貫通する孔482を有する。孔482は、ピン46における、本体部465の外径よりも大きく、フランジ464の外径よりも小さい。なお、孔482は、第1板部481の上端で開口している。第2板部485は、上下方向に略直交するように形成されている。第2板部485は、右開口部14Rの上側であって、ロアカバー7における溝部71の真上に配置されている。ストッパ48の前後方向における長さは、溝部71の前後方向における幅と略等しい。ストッパ48は、ロアカバー7によって、シャフト収容部13内に保持されている。
【0086】
シャフトロック機構4を用いて、出力シャフト41を介してスピンドル3の回転を規制する態様について説明する。ユーザは、操作部47を押しながら、先端工具210を手指で回してスピンドル3を回転させることにより、出力シャフト41を回転させ、ピン46を押し込み可能な位置を探す。ピン46が押し込み可能な位置とは、出力シャフト41の挿入孔412が、スペーサ45の右開口452と隣合う位置である。ピン46が押し込み可能な位置に出力シャフト41が回転されると、ピン46の第1端部461が、出力シャフト41の挿入孔412に挿入される。つまり、ピン46が第1位置に移動してピン46と出力シャフト41とが係合し、出力シャフト41の回転が規制される。ユーザは、操作部47を押したまま、ロックナット65を締結させたり、ロックナット65の締結を緩めたりすることができる。また、ユーザが操作部47に対する押し込みを緩めると、付勢バネ49の付勢力で、ピン46は右側の第2位置へ復帰する。その結果、出力シャフト41は、回転可能となる。このとき、ピン46のフランジ464は、ストッパ48の第1板部481の左面に当接する。このように、ストッパ48は、ピン46がシャフト収容部13から抜けることを抑制する。
【0087】
以上で説明したように、本実施形態のグラインダ1では、操作レバー9の大部分がギヤハウジング11に収容されているため、グラインダ1を上下方向に薄く構成できる。また、グラインダ1の意匠性を向上できる。
【0088】
また、ロアカバー7は、ギヤハウジング11(シャフト収容部13)内の部品を外部からの衝撃や、粉塵から保護することができる。
【0089】
なお、本実施形態のグラインダ1では、シャフトロック機構4を簡易に組み付けることができるという利点がある。まず、製造者は、シャフト収容部13に出力シャフト41及びスペーサ45を配置する。次に、製造者は、ピン46を、シャフト収容部13の右開口138rから、貫通孔138を介して、スペーサ45の右開口452内に挿入し、ピン46のフランジ464をスペーサ45内に配置する。また、製造者は、ストッパ48がスペーサ45の右側に位置するように、シャフト収容部13の開口14から、シャフト収容部13内に、ストッパ48を配置する。なお、ストッパ48の孔482は、第1板部481の上端で開口しているので、ピン46の本体部465を、ストッパ48の孔482内に容易に配置できる。製造者は、操作レバー9の各部品も同様に、開口14からシャフト収容部13内に配置した後、ロアカバー7をシャフト収容部13の下面131にネジ止めする。こうすることで、ストッパ48の第2板部485と、操作レバー9における回動軸部94の下側とがロアカバー7で覆われて、ストッパ48と操作レバー9とがロアカバー7によってシャフト収容部13内に保持される。以上のように、本実施形態のグラインダ1は、シャフト収容部13が開口14を有し、開口14はロアカバー7によって覆われる構成であるため、シャフトロック機構4及び操作レバー9を、容易に組み付けることができるという利点がある。
【0090】
<第2実施形態>
図16には、第2実施形態のグラインダにおいて、スピンドル3周りに設けられる部品が示されている。第2実施形態は、ロックナット65の締結の緩みを抑制する要素(緩み止め部)として、第1実施形態のワッシャー61,62に代えて、弾性体が用いられる点で、第1実施形態と異なる。本実施形態では、弾性体として、皿バネ61A、62Aが用いられる。図示は省略するが、第1実施形態と同様に、皿バネ61A、62Aの全体は、ギヤ凹部54に収容される。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明及び図示を省略する。
【0091】
ロックナット65が雄ネジ部332に締結されると、皿バネ61A,62Aが押しつぶされ、皿バネ61A,62Aには、その押しつぶされた形状から戻る力(バネ反力)が作用する。本実施形態では、このバネ反力により、ロックナット65の締結の緩みを抑制することができる。そのため、この形態によっても、第1実施形態と同様の効果を奏する。なお、緩み止め部として、皿バネ61A,62A以外の他の弾性体が適宜採用されてもよい。
【0092】
<第3実施形態>
図17から図19を用いて、第3実施形態のグラインダ1Bについて説明する。グラインダ1Bは、ワッシャー61,62を備えていない。本実施形態では、ギヤ52Bにおけるギヤ凹部54Bに、インナーフランジ63Bの突出部631Bの大部分が収容されている。ギヤ凹部54Bの底面543Bと、突出部631Bの上面632Bは、夫々、カム面として形成されており、底面543Bと上面632Bとは当接している。ギヤ凹部54Bの底面543Bと、インナーフランジ63Bの上面632Bとの夫々のカムの角度は、雄ネジ部332のネジ山の角度よりも大きい。グラインダ1Bのその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明及び図示を省略する。
【0093】
第3実施形態では、ブレーキ機構により急に先端工具210の回転が停止しても、ギヤ凹部54Bの底面543Bと、インナーフランジ63Bの上面632Bとにより、駆動軸AX1に沿った軸力が作用する。そのため、ギヤ凹部54Bの底面543Bと、インナーフランジ63Bの上面632Bとに、セルフロック効果を発揮させることができる。そのため、ロックナット65の締結の緩みを効果的に抑制できる。したがって、スピンドル3に設けられる部品の数を削減できるとともに、スピンドル3の全長をいっそう短くできる。その結果、ギヤハウジング11を上下方向にいっそう薄くできる。
【0094】
<第4実施形態>
図20を用いて、第4実施形態のグラインダ1Cについて説明する。グラインダ1Cは、スピンドル収容部12Cがリブ121を備えておらず、下側ベアリング55の外輪57の上端571に当接する、リテーナリング59Cを備えている。グラインダ1Cのその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明及び図示を省略する。
【0095】
第4実施形態のグラインダ1Cによれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0096】
<第5実施形態>
図21を用いて、第5実施形態のグラインダ1Dについて説明する。グラインダ1Dでは、ロアカバー7Dの溝部71に設けられた凸部715Dに、ラバーピン716D、716Dが設けられている。ラバーピン716D、716Dは、ゴム製の円柱状の部材である。ラバーピン716D、716Dは、溝部71に配置されたロックプレート81の突出部812の外表面812sに当接可能である。ラバーピン716D、716Dは、前側へ向かう付勢力、つまり、ロックプレート81の突出部812の外表面812sへ向かう付勢力をロックプレート81に付与する。また、ラバーピン716D、716Dは、ロックプレート81の外表面812sに当接して、ロックプレート81を弾性的に保持可能である。グラインダ1Dのその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明及び図示を省略する。
【0097】
第5実施形態のグラインダ1Dによれば、ロアカバー7Dの溝部71とロックプレート81の突出部812との間にガタ(不測の緩み、隙間)がある場合であっても、グラインダ1を用いた加工作業中に、カバー部8が移動することをより抑制できる。
【0098】
なお、第5実施形態において、グラインダ1Dの凸部715Dは、ラバーピン716D、716Dに代えて、例えば、弾性シート等の弾性体を備えていてもよい。
【0099】
上記実施形態の構成(特徴)と本開示の構成(特徴)との対応関係を以下に示す。但し、実施例の構成(特徴)は単なる一例であって、本開示あるいは本発明の構成(特徴)を限定するものではない。
【0100】
開口14、スペーサ開口451、溝部71、凹部15は、「凹部」の一例である。
ロックプレート81、突出部812、溝部814は、「第1係合部」の一例である。
操作レバー9、本体部92、係合部922は、「第2係合部」の一例である。開口14、スペーサ開口451、溝部71、凹部15の少なくとも1つは、「開口部」の一例である。
【0101】
<他の実施形態>
なお、上記実施形態は単なる例示であり、本開示に係る電動工具は、上記実施形態に例示されたグラインダ1、1B、1C、1Dに限定されるものではない。例えば、下記に例示される非限定的な変更を加えることができる。また、これらの変更のうち少なくとも1つが、グラインダ1、1B、1C、1Dの構成(特徴)の少なくとも一部、請求項に記載された構成(特徴)の少なくとも1つと組み合わされて採用されうる。
【0102】
グラインダ1、1B、1C、1Dは、ブレーキ機構として、上記実施形態の電気的ブレーキに代えて、公知の機械的ブレーキを備えていてもよいし、ブレーキ機構を備えていなくともよい。
【0103】
グラインダ1、1B、1C、1Dには、フランジ部が一体に設けられた先端工具が取付けられてもよい。当該先端工具のフランジ部の少なくとも一部が、ギヤ凹部54に収容されてもよい。このような先端工具の一例として、例えば、ハブ付き砥石(Grinding Disc with Hub)が挙げられる。この場合には、インナーフランジ63を省略可能である。この形態によっても、スピンドル3の全長を短くできるので、ギヤハウジングを上下方向に薄くできる。
【0104】
ワッシャー61,62、皿バネ61A,62Aの全体に限らず、少なくとも一部が、ギヤ凹部54内に配置されていてもよい。この形態によっても、スピンドル3の全長を短くできるので、ギヤハウジング11を上下方向に薄くできる。
【0105】
下側ベアリング55の外径は、ギヤ52の外径と同じであってもよい。この場合には、下側ベアリング55の外輪57の上端571に当接するように、ギヤハウジング11に、リテーナが配置されてもよい。この形態によれば、スピンドル3の全長を短くできる。そのため、ギヤハウジングを上下方向に薄くできる。
【0106】
上記実施形態では、出力シャフト41とモータシャフト21とが別体として設けられていたが、例えば、モータシャフト21をシャフト収容部13まで延在させ、モータシャフト21の前端部に小ベベルギヤ411を設け、モータシャフト21を出力シャフトとして用いてもよい。
【0107】
スピンドル3の下端部331に螺合することで、先端工具210を下端部331に装着可能な締結部材であれば、ロックナット65に限らず他の部材が用いられてもよい。
【0108】
モータ2は、ブラシモータであってもよく、グラインダ1は、電源コードを介して外部の交流電源から供給された電力により駆動されてもよい。
【0109】
凹部15内にグラインダ1(電動工具)の備える部品を配置して電動工具を上下方向に薄くする観点から、シャフト収容部13の凹部15は、下面131から上側へ向けて窪むように形成されていればよい。例えば、凹部15は、シャフト収容部13を規定する壁(下壁)を上側へ窪ませることによって形成されていてもよい。この場合には、凹部15は、ロアカバー7や、開口14を備えていなくともよい。この態様によっても、凹部内に例えばロックプレート81を配置することができるので、電動工具を上下方向に薄くできる。
【0110】
操作レバー9及びカバー部8の構成及び配置は、上記の形態に限らず、適宜変更可能である。例えば、操作レバー9は、シャフト収容部13の外側で凹部15に対し右側あるいは左側に設けられ、凹部15から延出されたロックプレート81に係合するように構成されていてもよい。
【0111】
更に、本開示、上記実施形態の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様のうち少なくとも1つが、上述の実施形態及びその変形例、並びに各請求項に記載された構成(特徴)の少なくとも1つと組み合わされて採用されうる。
[態様1]
前記シャフト収容部の前記下面には、開口が設けられており、
前記電動工具は、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとの間に設けられたスペーサを更に備え、
前記スペーサの下部分には、前記シャフト収容部の前記下面に設けられた前記開口に沿って形成された、スペーサ開口が設けられている。
[態様2]
前記ロアカバーは、前記シャフト収容部の前記下面よりも上側に底面を有する溝部を備え、
前記溝部の前記底面は、前記上下方向において前記シャフト収容部の下端よりも上側に配置される。
[態様3]
前記ロアカバーにおける前記溝部の前記底面は、前記スペーサ開口を塞ぐ。
[態様4]
前記第2係合部は、前記出力シャフトの軸を含み、前記駆動軸に平行な仮想平面に対して第1の側に設けられ、
前記ピン及び前記ストッパは、前記仮想平面に対し前記第1の側と反対側の第2の側に配置される。
[態様5]
前記カバー本体は、前記先端工具の半径よりも大きい半径を有する円弧状部分と、前記円弧状部分の上端から径方向内側に向けて延在する板上部分と、前記板状部分における前記駆動軸周りの周方向に沿った略円弧状の第1取付部と、を備え、
前記ハウジングは、前記スピンドルの前記下端部を貫通孔から下側に突出させた状態で、前記スピンドルを収容する、スピンドル収容部を含み、
前記スピンドル収容部の前記貫通孔周りには、前記第1取付部を、前記上下方向に挟み込んで保持するように構成された、第2取付部が設けられている。
【符号の説明】
【0112】
1、1B、1C、1D:グラインダ、2:モータ、21:モータシャフト、3:スピンドル、31:第1外径部、32:第2外径部、321:下面、33:第3外径部、331:下端部、332:雄ネジ部、4:シャフトロック機構、46:ピン、461:第1端部、462:第2端部、464:フランジ、465:本体部、47:操作部、48:ストッパ、481:第1板部、482:孔、485:第2板部、49:付勢バネ、41:出力シャフト、411:小ベベルギヤ、412:挿入孔、43:第1ベアリング、44:第2ベアリング、441:ベアリングリテーナ、45:スペーサ、451:スペーサ開口、452:右開口、453:第1当接部、454:第2当接部、51:上側ベアリング、52、52B:ギヤ、521:上部分、521s:外周面、522:当接部、523:下部分、523s:外周面、524:接続面、53:歯部、54、54B:ギヤ凹部、541:下端部、542:開口、543、543B:底面、544:側面、55:下側ベアリング、56:内輪、561:上端、562:下端、57:外輪、571:上端、572:下端、58:シールリング、59C:リテーナ、61,62:ワッシャー、611,621:カム面、612、622:リブ面、61A、62A:皿バネ、63、63B:インナーフランジ、631、631B:突出部、632、632B:上面、633:下面、64:シール部材、65:ロックナット、7、7D:ロアカバー、71:溝部、711:前面、712:後面、713:底面、715、715D:凸部、716D:ラバーピン、72:下面、8:カバー部、80:カバー本体、801:円弧状部分、802:板状部分、803:屈曲部、804:第1取付部、81:ロックプレート、811:固定部、812:突出部、812s:外表面、813:上端、814:溝部、816:壁、9:操作レバー、91:操作部、92:本体部、921:下端、922:係合部、93:付勢部材、94:回動軸部、10:ハウジング、11:ギヤハウジング、12、12C:スピンドル収容部、121:リブ、13:シャフト収容部、131:下面、132L:左壁、133L:貫通部分、132R:右壁、133R:貫通部分、134:上面、135:開口、136:下端、137:ネジ孔、138:貫通孔、138r:右開口、14:開口、14L:左開口部、14M:中央開口部、14R:右開口部、15:凹部、17:モータハウジング、18:ハンドルハウジング、181:バッテリ装着部、101:スイッチ、102:コントローラ、125:ベアリングボックス、126:貫通孔、127:第2取付部、210:先端工具、211:外縁部、212:上面、220:バッテリ、AX1:駆動軸、AX2、AX3:回転軸、AX4:回動軸、L1、L2、L3:距離、P1、P2:平面
図1
図2
図3
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図6
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