IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 極東開発工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-塵芥収集車 図1
  • 特開-塵芥収集車 図2
  • 特開-塵芥収集車 図3
  • 特開-塵芥収集車 図4
  • 特開-塵芥収集車 図5
  • 特開-塵芥収集車 図6
  • 特開-塵芥収集車 図7
  • 特開-塵芥収集車 図8
  • 特開-塵芥収集車 図9
  • 特開-塵芥収集車 図10
  • 特開-塵芥収集車 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076295
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/00 20060101AFI20240529BHJP
   B65F 3/20 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B65F3/00 L
B65F3/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187813
(22)【出願日】2022-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 啓一
(72)【発明者】
【氏名】山内 正輝
(72)【発明者】
【氏名】平田 裕起
【テーマコード(参考)】
3E024
【Fターム(参考)】
3E024AA01
3E024BA01
3E024CA05
3E024HB06
3E024HD03
3E024HE01
(57)【要約】
【課題】塵芥投入箱内への投入塵芥を塵芥収容箱側に掻き上げるように正転可能な回転板、並びに回転板による掻き上げ塵芥を塵芥収容箱内に押し込むように前方揺動可能な押込板と、回転板を正,逆転駆動可能な回転駆動装置と、押込板を前後に揺動駆動可能な揺動駆動装置と、それら回転駆動装置及び揺動駆動装置の作動を制御する制御装置とを備えた塵芥収集車において、回転板の作動過程で塵芥の噛み込みに因り回転板に過負荷が生じた場合に、その過負荷を容易に解消可能とする。
【解決手段】回転板Rの回転位置を検出可能なロータリエンコーダREが制御装置Cに接続され、制御装置Cは、回転板Rの回転状況に関係した所定のインチング条件を満たした場合に、回転板Rが逆転・正転を複数回繰り返すインチング動作を行うように、ロータリエンコーダREが検出する回転位置に基づいて回転駆動装置Drを制御する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(1)上に搭載された塵芥収容箱(10)と、塵芥投入口(20a)を後部に有して前記塵芥収容箱(10)の後端部に連設される塵芥投入箱(20)と、その塵芥投入箱(20)内にそれぞれ配置されて、該塵芥投入箱(20)内への投入塵芥を塵芥収容箱(10)側に掻き上げるように正転可能な回転板(R)、並びに該回転板(R)で掻き上げた塵芥を塵芥収容箱(10)内に押し込むように前方揺動可能な押込板(P)と、前記回転板(R)を正,逆転駆動可能な回転駆動装置(Dr)と、前記押込板(P)を前後に揺動駆動可能な揺動駆動装置(Dp)と、それら回転駆動装置(Dr)及び揺動駆動装置(Dp)の作動を制御する制御装置(C)とを備えた塵芥収集車において、
前記回転板(R)の回転位置を検出可能なロータリエンコーダ(RE)が前記制御装置(C)に接続されており、
前記制御装置(C)は、前記回転板(R)の回転状況に関係した所定のインチング条件を満たした場合に、該回転板(R)が逆転・正転を複数回繰り返すインチング動作を行うように前記ロータリエンコーダ(RE)の検出信号に基づいて前記回転駆動装置(Dr)を制御することを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記回転駆動装置(Dr)の作動時の負荷を検知可能な負荷センサ(SL)を備え、
前記制御装置(C)は、前記回転板(R)が前記インチング動作により反転する際に、その直前の正転時における前記負荷センサ(SL)の検出負荷(F1~F4)に応じて該回転板(R)の反転ストローク(L1~L4)を設定することを特徴とする、請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記制御装置(C)は、前記回転板(R)が前記押込板(P)と干渉する可能性がある回転位置にあるか否かの判断、及び/又は前記回転板(R)を所定の回転停止位置(Rs)にあるか否かの判断に、前記ロータリエンコーダ(RE)の検出結果を利用することを特徴とする、請求項1又は2に記載の塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車、特に車体上に搭載された塵芥収容箱と、塵芥投入口を後部に有して塵芥収容箱の後端部に連設される塵芥投入箱と、その塵芥投入箱内にそれぞれ配置されて、該塵芥投入箱内への投入塵芥を塵芥収容箱側に掻き上げるように正転可能な回転板、並びに該回転板による掻き上げ塵芥を塵芥収容箱内に押し込むように前方揺動可能な押込板と、回転板を正,逆転駆動可能な回転駆動装置と、押込板を前後に揺動駆動可能な揺動駆動装置と、それら回転駆動装置及び揺動駆動装置の作動を制御する制御装置とを備えた塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した塵芥収集車は、例えば特許文献1にも示されるように従来公知である。この特許文献1の塵芥収集車においては、回転板の特定の回転位置を近接センサでスポット的に検出することや、その検出のために、近接センサに代えてロータリエンコーダを用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-214032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1には、塵芥収集車の先行技術として、回転板の作動過程で塵芥の噛み込みに因り回転板に過負荷が生じた場合に、回転板を一旦逆転させてから再び正転させることで、回転板の過負荷解消を図るようにしている。
【0005】
しかし、この従来技術のように回転板の只一回だけの逆転と再正転のみでは、上記した塵芥の噛み込みを容易に解消できない虞れがある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、従来構造の上記課題を簡単な構造で解決可能な塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、車体上に搭載された塵芥収容箱と、塵芥投入口を後部に有して前記塵芥収容箱の後端部に連設される塵芥投入箱と、その塵芥投入箱内にそれぞれ配置されて、該塵芥投入箱内への投入塵芥を塵芥収容箱側に掻き上げるように正転可能な回転板、並びに該回転板による掻き上げ塵芥を塵芥収容箱内に押し込むように前方揺動可能な押込板と、前記回転板を正,逆転駆動可能な回転駆動装置と、前記押込板を前後に揺動駆動可能な揺動駆動装置と、それら回転駆動装置及び揺動駆動装置の作動を制御する制御装置とを備えた塵芥収集車において、前記回転板の回転位置を検出可能なロータリエンコーダが前記制御装置に接続されており、前記制御装置は、前記回転板の回転状況に関係した所定のインチング条件を満たした場合に、該回転板が逆転・正転を複数回繰り返すインチング動作を行うように前記ロータリエンコーダの検出信号に基づいて前記回転駆動装置を制御することを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記回転駆動装置の作動時の負荷を検知可能な負荷センサを備え、前記制御装置は、前記回転板が前記インチング動作により反転する際に、その直前の正転時における前記負荷センサの検出負荷に応じて該回転板の反転ストロークを設定することを第2の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記制御装置は、前記回転板が前記押込板と干渉する可能性がある所定回転位置にあるか否かの判断、及び/又は前記回転板を所定の回転停止位置にあるか否かの判断に、前記ロータリエンコーダの検出結果を利用することを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、回転板の回転位置を検出可能なロータリエンコーダが制御装置に接続される塵芥収集車において、制御装置は、回転板の回転状況に関係した所定のインチング条件を満たした場合に、回転板が逆転・正転を複数回繰り返すインチング動作を行うようにロータリエンコーダの検出信号に基づいて回転駆動装置を制御するので、回転板の正転時に塵芥噛込みの懸念が生じた場合には、回転板のインチング動作により、回転板の正転動作の障害となっている塵芥を回転板から容易に且つ効果的に取り除くことができる。また特にインチング動作の制御に当たりロータリエンコーダの検出信号を利用するため、回転板の、塵芥噛込みの懸念が生じた回転位置を、そこがどの回転位置であっても的確に特定できる上、当該回転位置からの回転板の逆転動作と次の正転動作の際のストローク制御も、ロータリエンコーダの検出信号を用いて的確に実行可能となる。しかもこのインチング動作は、回転板の回転状況に関係した所定のインチング条件の成立下でのみ実行されるため、インチング動作が無闇に行われる心配はない。
【0011】
また第2の特徴によれば、回転駆動装置の作動時の負荷を検知可能な負荷センサを備え、制御装置は、回転板がインチング動作により反転する際に、その直前の正転時における負荷センサの検出負荷に応じて回転板の反転ストロークを設定する。これにより、インチング動作時の回転板の反転量を、直近の回転駆動装置の負荷(即ち反転直前に回転板が塵芥より受ける反力)に応じて演算して、その反転量を無駄なく的確に自動調整できるため、インチング動作時間の短縮化に寄与することができる。
【0012】
また第3の特徴によれば、制御装置は、回転板が押込板と干渉する可能性がある所定回転位置にあるか否かの判断、及び/又は回転板を所定の回転停止位置にあるか否かの判断に、ロータリエンコーダの検出結果を利用するので、ロータリエンコーダは、これの検出結果がインチング動作の制御に利用されるだけでなく、回転板が押込板と干渉する可能性がある所定回転位置にあるか否かの判断、及び/又は回転板を所定の回転停止位置にあるか否かの判断にも有効利用でき、コスト節減に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る塵芥収集車を示す全体側面図
図2】塵芥収集車の後部、特に塵芥投入箱内の塵芥積込装置を示す要部側面図
図3】塵芥投入箱内における回転板の回転領域、押込板の揺動領域、及び両領域が重なり合う特定領域を示す図2対応図
図4】塵芥積込サイクルの一例を模式的に示す、塵芥投入箱内の側面図
図5】塵芥積込装置の制御ブロック図
図6】コントローラの一例を示す正面図
図7】回転板が塵芥噛込みに伴いインチング動作する一例を模式的に示す図3対応図
図8】インチング動作時に直近回転板の負荷に応じて反転ストロークを制御する2例を模式的に示す図3対応図
図9】回転板及び押込板が両方とも特定領域に入ったことで全停止する4つの類型を模式的に示す図3対応図
図10】回転板R及び押込板Pのうちの何れか一方が特定領域Xにある時に、その何れか他方が特定領域Xに近づくのに応じて該何れか他方の作動速度を低速化する制御例を、通常の制御例やバリエーションと対比して模式的に示す説明図
図11】第2実施形態に係る塵芥収集車の管理システムの一例を示す概要図であって、通信手段のパターン1~3を並べて例示する
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づき説明する。
【0015】
先ず、図1図10を参照して、塵芥収集車Vの第1実施形態について説明する。その塵芥収集車Vは、車体として車体フレーム1上に搭載された塵芥収容箱10と、その塵芥収容箱10の後端上部に上下揺動可能に枢支、連結21される塵芥投入箱20と、その塵芥投入箱20内に配設されて塵芥投入箱20内への投入塵芥を塵芥収容箱10内に積み込み可能な塵芥積込装置30と、塵芥積込装置30を作動制御する制御装置Cとを備えている。
【0016】
塵芥収容箱10は、後端開放のボックス状をなす収容箱本体10mの後端部に、その後端部外周を縁取るように形成された後端枠10aを結合一体化して構成され、その後端枠10aの内面が塵芥収容箱10の後端開口10iを形成する。
【0017】
塵芥投入箱20と塵芥収容箱10の後端枠10aとの間には左右一対の傾動シリンダ12が介装され、この傾動シリンダ12の伸縮動作により、塵芥投入箱20は、これの枢支連結部21回りに強制的に上下揺動可能である。その上下揺動により、塵芥投入箱20は、従来周知のように、塵芥収容箱10の後端開口10iを覆う通常使用位置(即ち図1,2参照)と、そこから後上がりに傾動して後端開口10iを大きく開く排出位置(図示せず)との間を移動可能である。
【0018】
而して、廃棄物の収集を終えた塵芥収集車Vが廃棄物処理施設又は廃棄物集積場所まで到着すると、例えば塵芥投入箱20を前記排出位置まで上方揺動させることで塵芥収容箱10の後端開口10iを大きく開いて、塵芥収容箱10内の廃棄物を廃棄物処理施設等の廃棄物投入場所に排出する。
【0019】
この場合、塵芥収容箱10と車体フレームF間に設けた従来周知のダンプシリンダ(図示せず)により塵芥収容箱10を前上がりにダンプさせることで、塵芥収容箱10内からの廃棄物排出が可能である。或いはまた、塵芥収容箱10内に設置した従来周知の強制排出装置(図示せず)を作動させることでも、塵芥収容箱10内からの廃棄物排出が可能である。
【0020】
塵芥投入箱20の後面には、図示はしないが、塵芥投入箱20内に廃棄物を投入すべき投入口20aと、その投入口20aを任意に開閉可能な上下スライド式の開閉扉(図示せず)とが設けられる。尚、それら投入口20aや開閉扉の構造・機能は従来周知であり、開閉扉は、自動又は手動の何れで開閉させてもよい。
【0021】
また塵芥積込装置30は、塵芥投入箱20内の上部に収容され且つ塵芥投入箱20の投入箱本体20mの左右側壁に中間部が枢支、連結31されてその連結部回りに前後揺動可能な押込板Pと、その押込板Pを揺動駆動する押込シリンダ32と、押込板Pの下方に位置して投入箱本体20mの左右側壁に回転可能に枢支、連結33された回転板Rと、回転板Rを回転駆動すべく投入箱本体20mの左右少なくとも一側壁に配設された回転駆動装置Drとを備えている。
【0022】
上記押込シリンダ32は、これの基端部が塵芥収容箱10の後端枠10a上部に揺動可能に枢支、連結21され、また同シリンダ32の先端部が押込板Pの上部に回動可能に枢支、連結35される。而して、押込シリンダ32と、これの塵芥収容箱10及び押込板Pへの枢支連結部21、35とが、押込板Pを前後に揺動駆動する揺動駆動装置Dpを構成する。
【0023】
一方、上記した回転駆動装置Drは、図2に例示したように、モータ36と、モータ36の出力軸を回転板Rに連動連結する伝動機構37とを備える。その伝動機構37は、実施形態では、モータ36の出力を減速して伝動する複数の巻掛式伝動機構(例えばチェーン伝動機構)で構成されるが、伝動機構37の構造は実施形態に限定されない。尚、伝動機構37は、これに投入塵芥が接触しないように、投入箱本体20mの側壁に固定の伝動ケース(図示せず)で覆われる。
【0024】
ところで塵芥投入箱20内においては、押込板Pがこれの枢支連結部31回りに前後揺動する一方で、回転板Rがこれの枢支連結部33回りに360度回転する関係で、図3で明らかなように、車両側面視で押込板Pの前後揺動範囲Yと回転板Rの回転範囲Zとが重なり合う特定領域X内で、押込板Pと回転板Rとが相互干渉する可能性がある。
【0025】
そして、押込板Pと投入箱本体20mとの間には、押込板Pが最前方揺動位置Pf(即ち押込完了位置)にあることを検出可能な第1近接センサLS1と、押込板Pが最後方揺動位置Pr(即ち戻り完了位置)にあることを検出可能な第2近接センサLS2と、押込板Pが前記特定領域Xの前側に隣接した所定位置Poにあることを検出可能な第3近接センサLS3とが介設される。
【0026】
これら近接センサLS1~LS3は、互いに協働して押込板Pの揺動位置を検出可能な揺動位置センサSEpを構成し、このうち特に第2,第3近接センサLS2,LS3は、これらの検出結果に基づいて押込板Pが前記特定領域X内に在るか否かを制御装置Cが判定可能である。尚、塵芥収集車において押込板の揺動位置を検出する近接センサは、従来周知であるので、図1図3においては近接センサLS1~LS3の図示を省略し、図5に例示した制御ブロック図においてのみ図示する。
【0027】
尚、第3近接センサLS3として、実施形態では押込板Pが特定領域Xの前側に隣接した所定位置Poにあることを検出するものを例示したが、これに代えて、後方揺動する押込板Pが特定領域Xに入る直前の位置(上記所定位置Poよりも僅かに前方位置)、或いはまた、同押込板Pが特定領域Xに入った直後の位置(上記所定位置Poよりも僅かに後方位置)を検出する近接センサを用いてもよい。
【0028】
また回転駆動装置Drには、モータ36の出力軸又はこれと連動回転する回転軸(実施形態では回動板Rの支持軸33)の回転位置を検出可能なロータリエンコーダREが付設される。ロータリエンコーダREは、回転板Rの回転位置を360度どの位置でも検出可能であり、従って、その検出信号に基づき制御装置Cは、回転板Rが後述する回転停止位置Rs(即ち掻上完了位置)や所定中間位置Roにあること、並びに前記特定領域X内に在るか否かを判断可能である。
【0029】
尚、ロータリエンコーダREは、これの回転位置検出手法として、従来周知の種々の方式(例えば、磁気方式、光電方式、インクリメタル方式等の何れか)を適宜、選定可能である。
【0030】
またモータ36及び押込シリンダ32は、実施形態では何れも油圧ポンプ(図示せず)の出力油圧で作動する油圧作動式のモータ及びシリンダで構成され、その油圧ポンプは、車載エンジンの出力部に、動力の接続・遮断が切替え可能な動力取出装置PTOを介して連動連結される。而して、塵芥収集車Vが塵芥収集現場に到着、停車した状態では、動力取出装置PTOが接続状態に切替えられて上記油圧ポンプをエンジン出力で駆動し、モータ36及び押込シリンダ32を作動可能な状態とする。
【0031】
ところで回転駆動装置Dr(具体的にはモータ36)及び揺動駆動装置Dp(具体的には押込シリンダ32)の作動は、塵芥収集車Vの適所に設けた制御装置Cにより制御される。即ち、制御装置Cは、マイクロコンピュータを含む電子制御機器で構成されて保護ケース等で被覆、保護されており、例えば、運転席、車体フレーム1の側部や上部(塵芥収容箱10との隙間)、塵芥収容箱10の外側面等に設置される。尚、制御装置Cは、図1図2等では図示を省略され、図5の制御ブロック図においてのみ図示される。
【0032】
この制御ブロック図において、モータ油圧制御系41は、前記油圧ポンプの出力油圧をモータ36に給排制御する複数の電磁制御弁を有してモータ36を正転・逆転駆動できるように構成される。またシリンダ油圧制御系42は、前記油圧ポンプの出力油圧を押込シリンダ32に給排制御する複数の電磁制御弁を有して押込シリンダ32を伸長・収縮駆動できるように構成され、何れの油圧制御系41,42も従来周知である。
【0033】
そして、制御装置Cは、モータ油圧制御系41の各電磁制御弁を制御することでモータ36、延いては回転板Rを正,逆転させ、またシリンダ油圧制御系42の各電磁制御弁を制御することで押込シリンダ32の伸長・収縮、延いては押込板Pを前方・後方へ揺動させる。
【0034】
ところで制御装置Cは、塵芥収集車Vの適所(例えば運転席や塵芥投入箱20の外側部等)に設けたコントローラ40、及び作業員が携帯可能な不図示の携帯端末(例えばリモコン等)に対して無線又は有線を介して送受信可能に構成される。図6に例示したコントローラ40や不図示の携帯端末には、種々の操作釦SW1~SW6が手動操作可能に設けられ、更に何らかの異常を報知する報知装置50(例えば報知ランプ、表示モニター等)が設けられる。
【0035】
尚、報知装置50としては、報知ランプや表示モニターに代えて、又は加えて、報知音を発するブザー或いは報知アナウンスを発するスピーカ等を用いることも可能である。
【0036】
而して、制御装置Cは、次に説明する各種操作釦SW1~SW6の操作入力、並びにロータリエンコーダRE及び揺動位置センサSEpの検出信号に基づいて塵芥積込装置30(即ち回転板R及び押込板P)を作動制御することで、所定の塵芥積込動作を実行可能である。
【0037】
次に各種操作釦SW1~SW6の一例を説明すると、積込操作釦SW1は、これを一度オン操作すると、後述する塵芥積込サイクルが開始、継続され、この状態から再度オン操作すると、回転板R及び押込板Pが初期位置に戻った時点で塵芥積込サイクルが停止する。逆転操作釦SW2は、これをオン操作している間だけ回転板Rが逆転動作し、また押込操作釦SW3は、これをオン操作している間だけ押込板Pが押込み(即ち前方揺動)動作し、また戻り操作釦SW4は、これをオン操作している間だけ押込板Pが戻り(即ち後方揺動)動作する。
【0038】
更に緊急停止操作釦SW5は、これをオン操作することで塵芥積込サイクルの途中でも塵芥積込装置30(即ち回転板R及び押込板P)を随時に全停止させる。また連単切替操作釦SW6は、積込操作釦SW1への操作入力に基づいて実行される前記塵芥積込サイクルを繰り返す連続サイクルとするか、又は只1回だけの単サイクルとするかを任意に切替えるためのものである。
【0039】
次に基本的な塵芥積込動作(1回の塵芥積込サイクル)の一制御例を、図4を参照して次に説明する。
【0040】
先ず、図4(A)に示す初期位置において、押込板Pは最前方揺動位置Pf即ち押込完了位置に、また回転板Rは塵芥収容箱10の開口端10i下面に対応する所定の回転停止位置Rs即ち掻上完了位置にそれぞれ置かれる。ここで、投入口20aの開閉扉を開いた状態にしてから、積込操作釦SW1のオン操作で塵芥積込動作が開始されると、図4(A)で明らかなように、回転板Rが正転(図4で反時計回りに回転)を開始し、それと並行して、作業員により投入口20aから塵芥が投入される。
【0041】
そして、図4(B)で明らかなように、回転板Rが前記特定領域Xを外れた直後の所定中間位置Roまで正転したことがロータリエンコーダREの検出信号で検出されると、その検出に応じて押込板Pが後方への揺動、即ち戻り揺動を開始するが、その間も回転板Rの正転、従って投入塵芥の掻上げが継続する。この場合、押込板Pは、これが最後方揺動位置Pr即ち戻り完了位置に到達(この到達は揺動位置センサSEpの検出信号に基づき検出)すると、図4(C)で明らかなように後方揺動を停止するが、回転板Rは、なおも正転して塵芥投入箱20底部の投入塵芥を前上方に掻き上げる。
【0042】
尚、制御装置Cの別の制御例として、回転板Rが特定領域Xを外れた直後の前記所定中間位置Roに達した時点で、回転板Rの正転を所定時間だけ一時停止させ、その所定時間の経過後に回転板Rの正転を再開させるような制御例も実施可能である。尚また、上記した所定中間位置Roは、実施形態では回転板Rが前記特定領域Xを外れた直後の位置として設定したが、この設定に代えて、回転板Rが特定領域Xを外れる直前の位置、或いは特定領域Xの後端に隣接した位置を所定中間位置Roと設定してもよい。
【0043】
次いで回転板Rは、これが回転停止位置Rsに到達(この到達はロータリエンコーダREの検出信号に基づき検出)すると、そこで正転を停止する。その正転停止に応じて押込板Pは、図4(D)(E)で明らかなように前方揺動して、回転板R上の掻上塵芥を塵芥投入箱20内に押し込む。そして、押込板Pは、これが最前方揺動位置Pfに到達(この到達は揺動位置センサSEpの検出信号に基づき検出)すると、前方揺動を停止する。この時点で、回転板R及び押込板Pは、各々の初期位置Rs,Pfに位置する。
【0044】
以上の工程が、基本的な積込動作(1回の塵芥積込サイクル)であり、その塵芥積込サイクルが1回だけ実行されるか或いは連続して実行されるかは、連単切替操作釦SW6への操作入力に基づいて任意に選択される。また、その塵芥積込サイクルの実行中において、回転板Rが所定位置Rs,Roに達したことや、特定領域X内に在るか否かは、ロータリエンコーダREの検出信号に基づいて制御装置Cが判断し、また押込板Pが所定の揺動位置Pr,Pf,Poに達したことや、特定領域X内に在るか否かは、揺動位置センサSEp(特に第2,第3近接センサLS2,LS3)の検出信号に基づいて制御装置Cが判断可能である。
【0045】
ところで実施形態の制御装置Cは、後述するように、回転板Rの回転中において、押込板Pが前記した特定領域X内にあることを揺動位置センサSEpにより検出した状態では、回転板Rが特定領域X内に進入回転するのを制限(より具体的には回転板Rが特定領域X内に進入回転するのと同時又はその直前で回転板Rが回転停止)するように回転駆動装置Dpのモータ36をロータリエンコーダREの検出信号に基づいて制御する。尚、この制御によっても、何らかの原因(例えば回転板Rのオーバラン等)で回転板Rが特定領域X内に入ってしまった場合には、制御装置Cが回転板R及び押込板Pを全停止させる。
【0046】
また、制御装置Cは、押込板Pの揺動中において、回転板Rが前記特定領域X内にあることをロータリエンコーダREにより検出した状態では、押込板Pが特定領域X内に進入揺動するのを制限するように揺動駆動装置Drの押込シリンダ32を揺動位置センサSEpの検出信号に基づいて制御する。尚、この制御によっても、何らかの原因(例えば押込板Pのオーバラン等)で押込板Pが特定領域X内に入ってしまった場合には、制御装置Cが回転板R及び押込板Pを全停止させる。
【0047】
尚、上記全停止後に回転板R及び押込板Pを通常の塵芥積込動作に復帰する手順は、後述する。
【0048】
また実施形態の制御装置Cは、回動板Rの正転による塵芥積込過程で、回転板Rの回転状況(より具体的に言えば、塵芥噛込みが懸念される回転状況)に関係した所定のインチング条件を満たした場合には、図7で例示したように回転板Rが逆転・正転を複数回繰り返すインチング動作を行うように、ロータリエンコーダREの検出信号(即ち回転板Rの回転位置)に基づいて回転駆動装置Drを制御可能である。
【0049】
しかも制御装置Cは、図8で明らかなように、回転板Rがインチング動作により反転する際に、その直前の正転時における回転板Rの負荷(即ち回転板Rが受ける反力)に応じて回転板Rの反転ストロークを可変設定可能である。その回転板Rの負荷は、実施形態ではモータ36の作動油圧に対応するため、その作動油圧を検知可能な圧力センサを負荷センサSLとして用い、これの検出負荷F1~F4に応じて制御装置Cは回転板Rの反転ストロークL1~L4を設定可能である。
【0050】
ここで上記したインチング条件の設定例であるが、例えば、制御装置Cが、回動板Rの正転時における通常角速度より低い規定角速度を記憶していて、積込動作中の回動板Rの角速度が規定角速度より遅くなった場合に、回動板Rに塵芥の噛込みが発生していると判断し、その状態が所定時間(例えば数秒)経過することで「インチング条件が成立した」と判断され、インチング動作が開始される。この場合、回動板Rの角速度の検知には、前記ロータリエンコーダREを用いてもよいし、或いはまた、ロータリエンコーダREとは別の光学式エンコーダや、塵芥投入箱20内に設けられて回動板Rの回転速度を非接触で検知する非接触式センサを用いてもよい。
【0051】
またインチング条件の別の設定例であるが、例えば、塵芥投入箱20内に、回動板Rの動きを監視する監視手段としてのカメラを設けておき、このカメラの撮影画像を制御装置Cが取り込めるようにカメラと制御装置Cとの間を通信可能に接続する。そして、制御装置Cは、回動板Rの正転動作が減速又は停止したことをカメラの撮影画像から認識すると塵芥の噛込みが生じたと判断し、その状態が所定時間(例えば数秒)経過することで「インチング条件が成立した」と判断し、インチング動作を開始させるようにしてもよい。尚、上記監視手段としては、カメラの他、従来周知のモーションセンサやレーザーセンサを用いてもよい。
【0052】
次に第1実施形態の作用について説明する。
【0053】
塵芥収集車Vが塵芥収集場所に到着すると、作業員が積込操作釦SW1をオン操作することで、前述の塵芥積込サイクル(図4の(A)~(E)を参照)が開始される。これにより、回転板R及び押込板Pが互いに連係動作して、塵芥投入箱20内への投入塵芥を塵芥収容箱10内に積み込む。この場合、前述の塵芥積込サイクルが正常に実行されておれば、回転板R及び押込板Pが相互干渉することはないが、何らかの事情(例えば塵芥の噛込み、機器のオーバランや故障等)で回転板R又は押込板Pの少なくとも一方に位置ずれを生じた場合には、上記相互干渉が発生する可能性がある。
【0054】
そこで実施形態の制御装置Cは、前記したように、回転板Rの回転中において、押込板Pがこれの揺動範囲Yと回転板Rの回転範囲Zとが車両側面視で重なり合う特定領域X(図3参照)内にあることを揺動位置センサSEpにより検出した状態では、回転板Rが特定領域X内に進入回転するのを制限するように回転駆動装置Dpのモータ36をロータリエンコーダREの検出信号に基づいて制御する。これにより、回転板Rの回転中において、押込板Pが何らかの原因で万一、上記特定領域X内に入ろうとした場合でも、回転板Rが特定領域X内に進入回転するのを制限できるため、回転板Rと押込板Pの相互干渉を効果的に防止することができる。
【0055】
また実施形態の制御装置Cは、前記したように、押込板Pの揺動中において、回転板Rが上記特定領域X内にあることをロータリエンコーダREにより検出した状態では、押込板Pが特定領域X内に進入揺動するのを制限するように揺動駆動装置Drの押込シリンダ32を揺動位置センサSEpの検出信号に基づいて制御する。これにより、押込板Pの揺動中において、回転板Rが何らかの原因で万一、上記特定領域X内に入ろうとした場合でも、押込板Pが特定領域X内に進入揺動するのを制限できるため、回転板Rと押込板Pの相互干渉を効果的に防止できる。
【0056】
但し、このような制御手法を採用しても、回転板R及び押込板Pのうちの何れか一方が特定領域X内にある時に、その何れか他方がオーバラン、故障等に因り特定領域X内に入ってしまう可能性が想定され、この場合は制御装置Cが回転板R及び押込板Pを全停止させる。そして、その全停止後においては、制御装置Cは、回転板R及び押込板Pのうちの何れか一方が何れか他方から離れる動作、或いは何れか他方が何れか一方から離れる特定の退避動作を許容する。この退避動作の類型を図9を参照して、次に例示する。
【0057】
[1]図9(A)には、押込板Pが特定領域X内に在る状態で、回転板Rが特定領域X内に入って全停止となった状態が例示される。この状態でも、逆転操作釦SW2・押込操作釦SW3をそれぞれオン操作して回転板R・押込板Pを各々の初期位置Rs・Pfに復帰させた上で、積込操作釦SW1をオン操作すれば、通常の塵芥積込動作に復帰可能である。尚、上記初期位置Rs・Pfへの復帰は、ロータリエンコーダRE及び揺動位置センサSEpの検出信号に基づき確認可能である。
【0058】
[2]図9(B)には、押込板Pが特定領域X内に在る状態で、回転板Rが逆転して特定領域X内に入ったことで全停止となった状態が例示される。この状態では、押込操作釦SW3をオン操作して押込板Pを初期位置Pfに復帰させた上で、積込操作釦SW1をオン操作して回転板Rを正転させれば、通常の塵芥積込動作に復帰可能である。
【0059】
[3]図9(C)には、回転板Rが特定領域X内に在る状態で、後方揺動中の押込板Pが特定領域X内に入って全停止となった状態が例示される。この状態では、押込操作釦SW3をオン操作して押込板Pを初期位置Pfに復帰させた上で、積込操作釦SW1をオン操作して回転板Rを正転させれば、通常の塵芥積込動作に復帰可能である。
【0060】
[4]図9(D)には、回転板Rが特定領域X内に在る状態で、押込板Pが誤作動して特定領域X内を押込揺動しようとして全停止となった状態が例示される。この状態では、逆転操作釦SW2・押込操作釦SW3をそれぞれオン操作して回転板R・押込板Pを各々の初期位置Rs・Pfに復帰させた上で、積込操作釦SW1をオン操作すれば、通常の塵芥積込動作に復帰可能である。
【0061】
上記[1]~[4]に例示した退避動作の類型からも明らかなように、実施形態の回転板R及び押込板Pは、これらが全停止した後でも、回転板R及び押込板Pのうちの一方が他方から離れる退避動作は許容される。これにより、回転板Rと押込板Pの相互干渉を回避しながら、通常動作に迅速に復帰可能となり、作業効率が高められる。
【0062】
また実施形態の制御装置Cは、回転板R及び押込板Pのうちの何れか一方が特定領域X内にある時に、その何れか他方が特定領域X内に万一入ってしまった場合に報知装置50を報知作動させる。その報知作動により、回転板Rと押込板Pが相互干渉する可能性を早めに的確に作業員に認識させて、相互干渉防止のための対応措置を早めに取らせることができるため、その相互干渉を未然に効果的に予防することが可能となる。
【0063】
また、前述の実施形態の制御装置Cでは、図10に示す制御例1で明らかなように、回転板R及び押込板Pのうちの何れか一方が特定領域X内にある時に、その何れか他方は、これが特定領域Xに近づいても作動速度が一定に保たれるよう制御され、特定領域Xに達すると回転板R及び押込板Pが全停止となる。これに対し、図10に示す制御例2では、回転板R及び押込板Pのうちの何れか一方が特定領域X内にある時に、その何れか他方は、これが特定領域Xに近づく(より具体的には特定領域Xから所定距離s1手前まで接近する)のに応じて作動速度が低速化するよう制御され、特定領域Xに達すると回転板R及び押込板Pが全停止となる。
【0064】
尚、上記のように特定領域Xの手前側で作動速度を低速化する制御対象は、回転板Rであってもよいし、或いは押込板Pであってもよく、或いはまた、その両方R,Pであってもよい。
【0065】
また特に上記制御例2によれば、回転板R及び押込板Pが両方とも特定領域X内に入って全停止となる場合の、該何れか他方の停止動作が、該何れか他方の作動速度の低速化(従って作動慣性の低減)によって応答性よく実行可能となる。これにより、回転板Rと押込板Pの相互干渉がより効果的に予防可能となる。
【0066】
尚、図10に示すバリエーション1は、上記制御例2のバリエーションであって、このバリエーション1においては、回転板R及び押込板Pのうちの何れか一方が特定領域X内にある時に、その何れか他方は、これが特定領域Xに近づく(より具体的には特定領域Xから所定距離s1手前まで接近する)のに応じて作動速度が低速化され、次いで特定領域X内に入って所定の短い距離s2だけ進んだ状態で、回転板R及び押込板Pが全停止となる。
【0067】
或いはまた、図10に示すバリエーション2は、上記制御例1のバリエーションであって、このバリエーション2においては、回転板R及び押込板Pのうちの何れか一方が特定領域X内にある時に、その何れか他方は、これが特定領域Xに達するまでは作動速度が一定であるが、特定領域X内に入ると作動速度が低速化され、且つ特定領域X内に入って所定距離s3だけ進んだ状態で、回転板R及び押込板Pが全停止となる。
【0068】
ところで塵芥収集車Vにおいては、前述の塵芥積込動作中に回転板Rが、これと塵芥投入箱20内面との間で塵芥を噛み込んでスムーズには正転し得なくなる事態が発生する可能性がある。
【0069】
そこで実施形態の制御装置Cは、回転板Rの、塵芥噛込みが懸念される回転状況に関係した前述の所定インチング条件を満たした場合に、図7で明らかなように、回転板Rが逆転・正転を複数回繰り返すインチング動作を行うように、ロータリエンコーダREの検出信号(即ち回転板Rの回転位置)に基づいて回転駆動装置Drを制御する。これにより、回転板Rの回転中、塵芥噛込みが懸念される回転状況になった場合は、制御装置Cが回転板Rをインチング動作させるため、回転板Rの正常な正転動作の障害となっている塵芥を回転板Rから容易に且つ効果的に取り除くことができる。また特にインチング動作の制御に当たりロータリエンコーダREの検出信号を利用するため、回転板Rの、塵芥噛込みの懸念が生じた回転位置を、そこがどの回転位置であっても的確に特定することができる上、当該回転位置からの回転板Rの逆転動作と次の正転動作の際のストローク制御も、ロータリエンコーダREの検出信号を用いて的確に実行可能となる。しかもこのインチング動作は、回転板Rの回転状況に関係した所定のインチング条件の成立下でのみ実行されるため、インチング動作が無闇に行われる心配はない。
【0070】
その上、実施形態の塵芥収集車Vでは、回転駆動装置Drの作動時の負荷を検出可能な負荷センサSLを備え、制御装置Cは、回転板Rがインチング動作により反転する際に、その直前の正転時における負荷センサSLの検出負荷に応じて回転板Rの反転ストロークを設定する。
【0071】
例えば、回転板Rの反転直前に負荷センサSLが検出した負荷(実施形態ではモータ36の作動油圧)を大きいものから順にF1~F4とし、その負荷F1~F4にそれぞれ対応した反転ストロークをそれぞれL1~L4とした場合において、回転板Rの反転直前の負荷が反転の度毎に順次F1,F2,F3,F4と推移した場合に、図8(A)で明らかなように、反転ストロークが反転の度毎にL1,L2,L3,L4と変化して回転板Rのインチング動作が行われる。また、回転板Rの反転直前の負荷が反転の度毎に順次F1,F3,F2,F4と推移した場合に、図8(B)で明らかなように、反転ストロークが反転の度毎にL1,L3,L2,L4と変化して回転板Rのインチング動作が行われる。
【0072】
かくして、インチング動作時の回転板Rの反転量を、直近の回転駆動装置Drの負荷(即ち反転直前に回転板Rが塵芥より受ける反力)に応じて可変制御することで、その反転量を負荷の大小に応じて無駄なく的確に自動調整でき、インチング動作を効率よく実行できるため、全体としてインチング動作時間の短縮化に寄与することができる。
【0073】
また、実施形態のロータリエンコーダREは、これの検出信号が上記したインチング動作の制御に利用されるだけでなく、回転板Rが押込板Pと干渉する可能性がある回転位置(即ち前記特定領域Xの範囲内)にあるか否かの判断、並びに回転板Rが所定の回転停止位置Rsや前述の所定中間位置Roにあるか否かの判断にも有効活用できるため、それだけコスト節減に寄与することができる。
【0074】
また図11には、第2実施形態に係る塵芥収集車の管理システムが示される。この第2実施形態で使用される塵芥収集車Vは、第1実施形態の塵芥収集車Vと基本的に同一の構成を有しており、従って、第2実施形態は、第1実施形態の前記作用効果と同等の作用効果を達成可能である。
【0075】
さらに第2実施形態の塵芥収集車Vは、回転板R又は押込板Pの塵芥噛込み状態を検知可能な第1検知手段S1と、塵芥収集車Vの所定の停止状態を検知可能な第2検知手段S2とを備える。
【0076】
ここで第1検知手段S1の一例として、例えば回転板Rの塵芥噛込みを検知可能な手段(より具体的には前述のインチング条件を満たすか否かをロータリエンコーダREの検知信号に基づき、或いは前述のカメラの撮影画像に基づき回転板Rの塵芥噛込みを判断可能な制御装置C)が用いられる。また第1検知手段S1の別の一例として、押込板Pの塵芥噛込みを検知可能な手段(例えば、塵芥投入箱20内に設けられて押込板Pの動きを監視可能なカメラと、そのカメラの撮影画像に基づき押込板Pの塵芥噛込みを判断可能な制御装置C)を用いてもよい。
【0077】
また第2検知手段S2の一例として、例えば前述の動力取出装置PTOの作動時間に対応した信号、又は塵芥収集車VのGPS信号、又は塵芥収集車Vの駐車ブレーキの作動状態を示す信号等を受信可能とした制御装置Cが用いられ、この制御装置Cは、該信号に基づいて塵芥収集車Vが所定の停止状態にあると判断する。
【0078】
そして、第2実施形態に係る塵芥収集車Vの管理システムは、図11に簡略的に示したように、塵芥収集車Vから別個独立して配備されて管理者が確認可能な管理者用端末60(例えばパソコン等)と、第1,第2検知手段S1,S2の検知結果に基づいて管理者用端末60に所定の通知(例えば噛込み発生等の通知)を行わせるべく、その管理者用端末60に通知指令信号を送信可能な通信手段70とを含む。そして、図11には、通信手段70の複数のパターン例が示される。
【0079】
例えば、パターン1の通信手段70は、塵芥収集車Vに搭載され且つ制御装置Cに接続されて制御装置Cと管理者用端末60との間で送受信可能な送受信器71で構成される。この場合、制御装置Cは、これが第1検知手段S1の検知結果に基づき回転板R又は押込板Pが塵芥を噛込んだと判断した場合に、第2検知手段S2の検知結果から塵芥収集車Vが前記所定の停止状態であると判断すれば、上記通知指令信号を送受信器71から管理者用端末60に送信させ、これにより管理者用端末60に上記所定の通知を表示させる。
【0080】
またパターン2の通信手段70では、パターン1と同様の送受信器71から、現場作業員が所持するユーザー用携帯端末72に上記通知指令信号を受信できるようにし、そのユーザー用携帯端末72から管理者用端末60に通知指令信号を送信可能とする。この場合は、制御装置Cの送受信器71とユーザー用携帯端末72とが互いに協働して通信手段70を構成する。
【0081】
さらにパターン3の通信手段70では、パターン2と同様のユーザー用携帯端末72から上記通知指令信号を、管理者用端末60とは別個独立したサーバーコンピュータ73に送信し、そのサーバーコンピュータ73から通知指令信号を管理者用端末60に送信可能とする。ここでサーバーコンピュータ73は、車両管理者とは別の外部管理者が管理運用する。この場合は、制御装置Cの送受信器71とユーザー用携帯端末72とサーバーコンピュータ73とが互いに協働して通信手段70を構成する。
【0082】
尚、パターン3の通信手段70のバリエーションとして、図示はしないが、送受信器71から、ユーザー用携帯端末72を経由せずにサーバーコンピュータ73に通知指令信号を送信し、そのサーバーコンピュータ73から管理者用端末60に通知指令信号を送信してもよい。
【0083】
而して、第2実施形態の塵芥収集車Vの管理システムによれば、第1検知手段S1で検知した回転板R又は押込板Pの塵芥噛込み状態と、第2検知手段S2で検知した塵芥収集車Vの所定の停止状態との検知結果に基づいて、管理者用端末60に所定の(即ち塵芥積込作業中に何らかの塵芥噛込み事態が発生した)通知がなされるため、その通知を受けた車両管理者が、懸念すべき噛込み状態の発生を迅速に把握して、早めの対応をとることができる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0085】
例えば、前記実施形態では、回転板Rの回転駆動装置Drの主要部となるモータ36を油圧モータで構成したものを示したが、油圧モータに代えて電動モータを使用してもよい。この場合、モータ負荷を検出する負荷センサとしては、電動モータの負荷電流を検出可能な電流センサが使用される。
【0086】
また前記実施形態では、回転板Rの回転状況に関係した所定のインチング条件を満たした場合に、回転板Rがインチング動作を制御装置Cが自動で行うようにしたものを示したが、現場の作業員が回転板Rの作動状況(例えば減速、停止等)を踏まえ上記インチング条件が満たされた(換言すれば回転板Rの塵芥噛込みが懸念される)と判断すると、その判断に応じて手動でインチング動作を指令、実行するようにしてもよい。この場合は、例えばコントローラ40にインチング指令操作釦を設けておき、回転板Rの塵芥噛込みが懸念されると判断した作業員がインチング指令操作釦を操作するのに応じて、制御装置Cが回転板Rをインチング動作させる。即ち、この場合は、インチング指令操作釦が操作されるのに応じて、「インチング条件が満たされた」と制御装置Cが判断して、前記実施形態と同様のインチング動作を実行する。
【0087】
また前記実施形態では、車両側面視で押込板Pの前後揺動範囲Yと回転板Rの回転範囲Zとが重なり合う特定領域Xにおいて、押込板Pと回転板Rとが相互干渉するのを防止するために、回転板R及び押込板Pのうちの何れか一方が特定領域Xにある時に、その何れか他方が特定領域Xに入る動作を制限する制御例を示したが、本発明では、上記相互干渉防止のための制御を省略してもよい。
【符号の説明】
【0088】
C・・・・・制御装置
Dp・・・・揺動駆動装置
Dr・・・・回転駆動装置
F1~F4・・検出負荷
L1~L4・・反転ストローク
P・・・・・押込板
R・・・・・回転板
Rs・・・・回転停止位置
RE・・・・ロータリエンコーダ
SL・・・・負荷センサ
V・・・・・塵芥収集車
1・・・・・車体として車体フレーム
10・・・・塵芥収容箱
20・・・・塵芥投入箱
20a・・・塵芥投入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11