(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076313
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】締結具、雄ねじ側部材、雌ねじ側部材
(51)【国際特許分類】
F16B 35/00 20060101AFI20240529BHJP
F16B 25/06 20060101ALI20240529BHJP
F16B 37/08 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
F16B35/00 E
F16B25/06 B
F16B37/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008708
(22)【出願日】2023-01-24
(62)【分割の表示】P 2022186994の分割
【原出願日】2022-11-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】522458549
【氏名又は名称】株式会社pate.to
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】内田 米房
(57)【要約】
【課題】締結にかかる時間を短縮することができる締結具を提供する。
【解決手段】外周方向において、雄ねじ側のねじ山12が形成される雄ねじ面12A,12Bと雄ねじ側のねじ山12が形成されていない外周片13A,13Bとが交互に配置されるねじ部11を有する雄ねじ側部材10と、内周方向において、雌ねじ側のねじ山22が形成される雌ねじ面22A,22Bと雌ねじ側のねじ山22が形成されていない内周片23A,23Bとが交互に配置され、雄ねじ面12A,12Bと雌ねじ面22A,22Bとが螺合可能なねじ孔21を有する雌ねじ側部材20と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周方向において、雄ねじ側のねじ山が形成される雄ねじ面と当該雄ねじ側のねじ山が形成されていない外周片とが交互に配置されるねじ部を有する雄ねじ側部材と、
内周方向において、雌ねじ側のねじ山が形成される雌ねじ面と当該雌ねじ側のねじ山が形成されていない内周片とが交互に配置され、前記雄ねじ面と当該雌ねじ面とが螺合可能なねじ孔を有する雌ねじ側部材と、
を備える締結具。
【請求項2】
前記外周片は、周方向において前記雄ねじ面よりも長く、前記内周片は、周方向において前記雌ねじ面よりも長い、
請求項1に記載の締結具。
【請求項3】
前記雄ねじ面における前記雄ねじ側のねじ山の幅が、前記ねじ部の先端側に向かうほど狭くなるように形成され、
前記雌ねじ面における前記雌ねじ側のねじ山の幅が、前記雄ねじ側のねじ山に対応して、前記ねじ孔の奥側に向かうほど狭くなるように形成される、
請求項1に記載の締結具。
【請求項4】
前記雄ねじ面と前記雌ねじ面との螺合状態における前記ねじ部と前記ねじ孔との相対回転を係止するようにして、前記ねじ部及び前記ねじ孔に形成される係止部を更に備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の締結具。
【請求項5】
前記係止部は、
前記雄ねじ側のねじ山に形成される凸部と、
前記雌ねじ側のねじ山に形成され、前記螺合状態において前記凸部が嵌合される凹部と、
を備える請求項4に記載の締結具。
【請求項6】
前記凸部は、前記ねじ部の先端側の端面が凸曲面状であり、
前記凹部は、前記ねじ孔の奥側の端面が、前記ねじ部の先端側の端面に対応した凹曲面状である、
請求項5に記載の締結具。
【請求項7】
前記係止部は、
前記雌ねじ側のねじ山に形成される凸部と、
前記雄ねじ側のねじ山に形成され、前記螺合状態において前記凸部が嵌合される凹部と、
を備える請求項4に記載の締結具。
【請求項8】
前記凸部は、前記ねじ孔の開口側の端面が凸曲面状であり、
前記凹部は、前記ねじ部の後端側の端面が、前記ねじ孔の開口側の端面に対応した凹曲面状である、
請求項7に記載の締結具。
【請求項9】
前記係止部は、
前記内周片から前記雌ねじ側部材の外側に貫通して形成されるねじ孔である小型ねじ孔と、
前記外周片の前記螺合状態における前記小型ねじ孔との対向位置に形成される穴部と、
前記螺合状態において、前記小型ねじ孔を介して前記穴部に挿入される雄ねじである小型雄ねじと、
を備える請求項4に記載の締結具。
【請求項10】
前記穴部は、前記雄ねじ側のねじ山の延伸方向に延伸した形状である、
請求項9に記載の締結具。
【請求項11】
ねじ部の外周方向における一部に配置され、雄ねじ側のねじ山が形成される雄ねじ面と、
前記ねじ部の外周方向において前記雄ねじ面と交互に配置されることで前記ねじ部の外周を形成し、前記雄ねじ側のねじ山が形成されていない外周片と、
を備える雄ねじ側部材。
【請求項12】
ねじ孔の内周方向における一部に配置され、雌ねじ側のねじ山が形成される雌ねじ面と、
前記ねじ孔の内周方向において前記雌ねじ面と交互に配置されることで前記ねじ孔の内周を形成し、前記雌ねじ側のねじ山が形成されていない内周片と、
を備える雌ねじ側部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結具、雄ねじ側部材、及び、雌ねじ側部材に関する。
【背景技術】
【0002】
締結具は、雄ねじと雌ねじとを螺合させて締結するものである。この締結具について、例えば下記特許文献1では、雄ねじと雌ねじの締結後の緩みを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1等の従来の締結具では、雄ねじのねじ山と雌ねじのねじ山とを、互いの長さ分相対的に回転させるように螺合させて締結するので、これらのねじ山が長い場合には締結に時間がかかる。
【0005】
そこで本発明は、締結にかかる時間を短縮することができる締結具、雄ねじ側部材、及び雌ねじ側部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係る締結具は、外周方向において、雄ねじ側のねじ山が形成される雄ねじ面と当該雄ねじ側のねじ山が形成されていない外周片とが交互に配置されるねじ部を有する雄ねじ側部材と、内周方向において、雌ねじ側のねじ山が形成される雌ねじ面と当該雌ねじ側のねじ山が形成されていない内周片とが交互に配置され、前記雄ねじ面と当該雌ねじ面とが螺合可能なねじ孔を有する雌ねじ側部材と、を備える。
【0007】
また、本発明の第二態様では、前記外周片は、周方向において前記雄ねじ面よりも長く、前記内周片は、周方向において前記雌ねじ面よりも長い。
【0008】
また、本発明の第三態様では、前記雄ねじ面における前記雄ねじ側のねじ山の幅が、前記ねじ部の先端側に向かうほど狭くなるように形成され、前記雌ねじ面における前記雌ねじ側のねじ山の幅が、前記雄ねじ側のねじ山に対応して、前記ねじ孔の奥側に向かうほど狭くなるように形成される。
【0009】
また、本発明の第三態様では、前記係止部は、前記雄ねじ側のねじ山に形成される凸部と、前記雌ねじ側のねじ山に形成され、前記螺合状態において前記凸部が嵌合される凹部と、を備える。
【0010】
また、本発明の第四態様では、前記雄ねじ面と前記雌ねじ面との螺合状態における前記ねじ部と前記ねじ孔との相対回転を係止するようにして、前記ねじ部及び前記ねじ孔に形成される係止部を更に備える。
【0011】
また、本発明の第五態様では、前記係止部は、前記雄ねじ側のねじ山に形成される凸部と、前記雌ねじ側のねじ山に形成され、前記螺合状態において前記凸部が嵌合される凹部と、を備える。
【0012】
また、本発明の第六態様では、前記凸部は、前記ねじ部の先端側の端面が凸曲面状であり、前記凹部は、前記ねじ孔の奥側の端面が、前記ねじ部の先端側の端面に対応した凹曲面状である。
【0013】
また、本発明の第七態様では、前記係止部は、前記雌ねじ側のねじ山に形成される凸部と、前記雄ねじ側のねじ山に形成され、前記螺合状態において前記凸部が嵌合される凹部と、を備える。
【0014】
また、本発明の第八態様では、前記凸部は、前記ねじ孔の開口側の端面が凸曲面状であり、前記凹部は、前記ねじ部の後端側の端面が、前記ねじ孔の開口側の端面に対応した凹曲面状である。
【0015】
また、本発明の第九態様では、前記係止部は、前記内周片から前記雌ねじ側部材の外側に貫通して形成されるねじ孔である小型ねじ孔と、前記外周片の前記螺合状態における前記小型ねじ孔との対向位置に形成される穴部と、前記螺合状態において、前記小型ねじ孔を介して前記穴部に挿入される雄ねじである小型雄ねじと、を備える。
【0016】
また、本発明の第十態様では、前記穴部は、前記雄ねじ側のねじ山の延伸方向に延伸した形状である。
【0017】
また、本発明の第十一態様に係る雄ねじ側部材は、ねじ部の外周方向における一部に配置され、雄ねじ側のねじ山が形成される雄ねじ面と、前記ねじ部の外周方向において前記雄ねじ面と交互に配置されることで前記ねじ部の外周を形成し、前記雄ねじ側のねじ山が形成されていない外周片と、を備える。
【0018】
また、本発明の第十一態様に係る雌ねじ側部材は、ねじ孔の内周方向における一部に配置され、雌ねじ側のねじ山が形成される雌ねじ面と、前記ねじ孔の内周方向において前記雌ねじ面と交互に配置されることで前記ねじ孔の内周を形成し、前記雌ねじ側のねじ山が形成されていない内周片と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る締結具、雄ねじ側部材、及び、雌ねじ側部材によれば、締結にかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る締結具の軸方向断面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る雄ねじ側部材におけるねじ部の径方向断面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る雌ねじ側部材におけるねじ孔の径方向断面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係るねじ部をねじ孔に挿入する際の角度を説明する概略的斜視図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係る雄ねじ面のねじ山における部分拡大図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係る雌ねじ面のねじ山における部分拡大図である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る凸部と凹部とが嵌合した状態を表す拡大図である。
【
図8】本発明の第二実施形態に係る雄ねじ面のねじ山における部分拡大図である。
【
図9】本発明の第二実施形態に係る雌ねじ面のねじ山における部分拡大図である。
【
図10】本発明の第三実施形態に係る雄ねじ面と雌ねじ面の螺合状態を表す径方向断面図である。
【
図11】本発明の第四実施形態に係る締結具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては極力同一の符号を付して、重複する説明は適宜省略する。
【0022】
==第一実施形態==
以下、本発明の第一実施形態について説明する。
【0023】
《構成》
まず、本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」と記載)に係る締結具1の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る締結具1の軸方向断面図である。
図1に示すように締結具1は、雄ねじ側部材10及び雌ねじ側部材20を主要部として備えている。
【0024】
このうち、雄ねじ側部材10については、ねじ部11、頭部14、及び、筒状部15を主要部として備えている。
【0025】
ねじ部11は、外周方向において、雄ねじ側のねじ山12が形成される雄ねじ面12A,12Bとねじ山12が形成されていない外周片13A,13Bとが交互に配置されるようにして、軸方向に延伸したものである。
【0026】
なお、外周片13A及び外周片13Bは、大まかには、円筒形状の外周面の周方向一部を切り取った形状である。
【0027】
図2は、ねじ部11の径方向断面図である。
図2には、ねじ部11が、周方向において、雄ねじ面12A、外周片13A、雄ねじ面12B、外周片13Bの順に配置されるようにして形成されている様子が示されている。
【0028】
また、
図2に示すように、ねじ山12の外径(一点鎖線矢印)は外周片13A及び外周片13Bの外径(破線矢印)よりも大きい。
【0029】
頭部14は、ねじ部11よりも拡径しており、直接あるいは座金を介して雌ねじ側部材20の表面20Aに当接する。
【0030】
筒状部15は、ねじ部11の後端側においてねじ部11と同軸上に形成されており、ねじ部11と頭部14とを連結する筒状の部材である。また筒状部15は、好ましくは円筒状である。
【0031】
一方、雌ねじ側部材20については、ねじ孔21を主要部として備えている。
【0032】
ねじ孔21は、内周方向において、雌ねじ側のねじ山22が形成される雌ねじ面22A,22Bとねじ山22が形成されていない内周片23A,23Bとが交互に配置されるようにして、軸方向に延伸したものである。
【0033】
なお、内周片23A及び内周片23Bは、大まかには、円筒形状の内周面の周方向一部を切り取った形状である。
【0034】
図3は、ねじ孔21の径方向断面図である。
図3には、ねじ孔21が、周方向において、雌ねじ面22A、内周片23A、雌ねじ面22B、内周片23Bの順に配置されるようにして形成されている様子が示されている。
【0035】
また、
図3に示すように、ねじ孔21は、ねじ山22部分の孔径(一点鎖線矢印)が内周片23A及び内周片23Bの孔径(破線矢印)よりも狭くなっている。
【0036】
さらに、雌ねじ面22A及び雌ねじ面22Bは、それぞれ雄ねじ面12A及び雄ねじ面12Bと螺合可能な形状に形成されている。
【0037】
図5は、雄ねじ面12Bのねじ山12の部分拡大図である。また、
図6は、雌ねじ面22Bのねじ山22の部分拡大図である。
図5及び
図6に示すように、締結具1は、凸部31及び凹部32を更に備える。
【0038】
図5に示すように、凸部31は、雄ねじ面12B(あるいは雄ねじ面12Aでもよい)のねじ山12に形成されている。また凸部31は、ねじ部11の先端側(
図5において「先端側」と示した矢印方向)の端面31Aが凸曲面状、かつ、ねじ部11の後端側(
図5において「後端側」と示した矢印方向)の端面31Bが平面状である。
【0039】
図6に示すように、凹部32は、雌ねじ面22B(あるいは雌ねじ面22Aでもよい)のねじ山22に形成されている。また凹部32は、雄ねじ面12Bと雌ねじ面22Bとの螺合状態において凸部31が嵌合されるものである。さらに凹部32は、ねじ孔21の奥側(
図6において「奥側」と示した矢印方向)の端面32Aが端面31Aに対応した凹曲面状、かつ、ねじ孔21の開口側(
図6において「開口側」と示した矢印方向)の端面32Bが端面31Bに対応した平面状である。
【0040】
ねじ部11において、外周片13A及び外周片13Bは、それぞれ雄ねじ面12A及び雄ねじ面12Bよりも長くするのが好ましい。また、ねじ孔21において、内周片23A及び内周片23Bは、それぞれ雌ねじ面22A及び雌ねじ面22Bよりも長くするのが好ましい。
【0041】
特に、外周片13A及び外周片13Bは、ねじ部11の周方向において全周の1/2超から2/3以下の長さとするのが好ましい。また、内周片23A及び内周片23Bは、ねじ孔21の周方向において全周の1/2超から2/3以下の長さとするのが好ましい。これらの長さを1/2超にすることで、ねじ部11をねじ孔21に挿入しやすくなる。また、これらの長さを2/3以下にすることで、ねじ部11とねじ孔21との締結力を向上させることができる。
【0042】
さらに好ましくは、ねじ部11において、外周片13A及び外周片13Bは、それぞれ雄ねじ面12A及び雄ねじ面12Bよりも1%程度長くし、ねじ孔21において、内周片23A及び内周片23Bは、それぞれ雌ねじ面22A及び雌ねじ面22Bよりも1%程度長くする。
【0043】
また、ねじ部11の軸方向の長さは、従来のねじ部の軸方向の長さの2.1倍程度としてもよい。ねじ部11が軸方向に長いほど、雄ねじ側部材10と雌ねじ側部材20との締結力が向上する。したがって、仮に、雄ねじ面12Aと外周片13A、雄ねじ面12Bと外周片13B、雌ねじ面22Aと内周片23A、雌ねじ面22Bと内周片23Bが、周方向において同じ長さである場合は、ねじ部11の軸方向の長さを従来のねじ部の軸方向の長さの2倍とすることで従来の締結具と同等の締結力となる。ただし、上述のように、外周片13A及び外周片13Bを、雄ねじ面12A及び雄ねじ面12Bよりも1%程度長くし、内周片23A及び内周片23Bを、雌ねじ面22A及び雌ねじ面22Bよりも1%程度長くした場合は、軸方向の長さを2.1倍程度とすることで従来の締結具と同等の締結力となる。
以上が、本実施形態に係る締結具1の構成についての説明である。
【0044】
《動作》
次に、本実施形態に係る締結具1の動作について説明する。
図4は、ねじ部11をねじ孔21に挿入する際の角度を説明する概略的斜視図である。
図4に示すように、まず、雄ねじ面12Aと内周片23B、雄ねじ面12B(図示略)と内周片23A(図示略)、外周片13A(図示略)と雌ねじ面22A、外周片13Bと雌ねじ面22Bとが、それぞれ対向するような角度で、ねじ部11をねじ孔21に挿入する。
【0045】
この状態から、雄ねじ面12Aと雌ねじ面22A、雄ねじ面12Bと雌ねじ面22Bがそれぞれ螺合するようにねじ部11とねじ孔21とを相対回転させて、雄ねじ側部材10の頭部14が雌ねじ側部材20の表面20Aに当接した状態とすることで、ねじ部11とねじ孔21とを締結する(
図1参照)。
【0046】
図7は、凸部31と凹部32とが嵌合した状態を表す拡大図である。雄ねじ面12A及び雄ねじ面12Bと雌ねじ面22A及び雌ねじ面22Bとが螺合した状態において、
図7に示すように、凸部31と凹部32とが嵌合するため、ねじ部11とねじ孔21との相対回転を確実に係止することができる。
【0047】
換言すれば、凸部31及び凹部32は、雄ねじ面12A及び雄ねじ面12Bと雌ねじ面22A及び雌ねじ面22Bとが螺合した状態において、ねじ部11とねじ孔21との相対回転を係止する係止部である。
【0048】
なお、雄ねじ面12Bと雌ねじ面22Bがそれぞれ螺合するようにねじ部11とねじ孔21とを相対回転させた際、
図7に示すように、凸部31は、その凸曲面状の端面31A側から凹部32に嵌合する。
【0049】
また、本実施形態では、係止部(凸部31及び凹部32)によってねじ部11とねじ孔21との相対回転を係止するので、頭部14を設けずとも成立する。
【0050】
《効果》
本実施形態に係る締結具1は、外周方向において、雄ねじ側のねじ山12が形成される雄ねじ面12A,12Bと雄ねじ側のねじ山12が形成されていない外周片13A,13Bとが交互に配置されるねじ部11を有する雄ねじ側部材10と、内周方向において、雌ねじ側のねじ山22が形成される雌ねじ面22A,22Bと雌ねじ側のねじ山22が形成されていない内周片23A,23Bとが交互に配置され、雄ねじ面12A,12Bと雌ねじ面22A,22Bとが螺合可能なねじ孔21を有する雌ねじ側部材20と、を備える。
従来のねじ部はねじ山が連続しているのに対し、ねじ部11は、外周片13A及び外周片13Bが設けられていることで、(従来のねじ部と軸方向の長さが等しい場合に)ねじ山12が短い。同様に、従来のねじ孔はねじ山が連続しているのに対し、ねじ孔21は、内周片23A及び内周片23Bが設けられていることで、(従来のねじ孔と軸方向の長さが等しい場合に)ねじ山22が短い。したがって、本実施形態に係る締結具1は締結にかかる時間を従来よりも短縮することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る締結具1は、外周片13A,13Bは、周方向において雄ねじ面12A,12Bよりも長く、内周片23A,23Bは、周方向において雌ねじ面22A,22Bよりも長い。
既に説明したように、ねじ部11をねじ孔21に挿入する際、最初に、雄ねじ面12Aと内周片23B、雄ねじ面12Bと内周片23A、外周片13Aと雌ねじ面22A、外周片13Bと雌ねじ面22Bが、それぞれ対向するような角度で挿入する。そのため、外周片13A,13Bを、周方向において雄ねじ面12A,12Bよりも長くし、内周片23A,23Bを、周方向において雌ねじ面22A,22Bよりも長くすることで、挿入時の角度が多少ずれた場合であっても、雄ねじ面12A,12Bのねじ山12と雌ねじ面22A,22Bのねじ山22とが当たることがなく、スムーズに挿入することができる。
【0052】
また、本実施形態に係る締結具1は、雄ねじ面12A,12Bと雌ねじ面22A,22Bとの螺合状態におけるねじ部11とねじ孔21との相対回転を係止するようにして、ねじ部11及びねじ孔21に形成される係止部を更に備える。
これにより、雄ねじ面12A,12Bと雌ねじ面22A,22Bとの螺合状態が緩むことを防ぐことができる。
【0053】
また、本実施形態では、係止部は、雄ねじ側のねじ山12に形成される凸部31と、雌ねじ側のねじ山22に形成され、螺合状態において凸部31が嵌合される凹部32と、を備える。
これにより、簡易的な構造で雄ねじ面12A,12Bと雌ねじ面22A,22Bとの螺合状態が緩むことを防ぐことができる。
【0054】
また、本実施形態では、凸部31は、ねじ部11の先端側の端面31Aが凸曲面状であり、凹部32は、ねじ孔21の奥側の端面32Aが凹曲面状である。
これにより、雄ねじ面12A及び雄ねじ面12Bと雌ねじ面22A及び雌ねじ面22Bとが螺合するようにして、ねじ部11とねじ孔21とを相対回転させる際に、凸部31が、凸曲面状の端面31A側から凹部32に対して嵌合するので、滑らかに嵌合することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る雄ねじ側部材10は、ねじ部11の外周方向における一部に配置され、雄ねじ側のねじ山12が形成される雄ねじ面12A,12Bと、ねじ部11の外周方向において雄ねじ面12A,12Bと交互に配置されることでねじ部11の外周を形成し、雄ねじ側のねじ山12が形成されていない外周片13A,13Bと、を備える。
従来の雄ねじのねじ部はねじ山が連続しているのに比べて、ねじ部11は、外周片13A及び外周片13Bが設けられていることで、(従来のねじ部と軸方向の長さが等しい場合に)ねじ山12が短いため、締結にかかる時間を従来よりも短縮することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る雌ねじ側部材20は、ねじ孔21の内周方向における一部に配置され、雌ねじ側のねじ山22が形成される雌ねじ面22A,22Bと、内周方向において雌ねじ面22A,22Bと交互に配置されることでねじ孔21の内周を形成し、雌ねじ側のねじ山が形成されていない内周片23A,23Bと、を備える。
これにより、従来の雌ねじのねじ孔はねじ山が連続しているのに比べて、ねじ孔21は、内周片23A及び内周片23Bが設けられていることで、(従来のねじ孔と軸方向の長さが等しい場合に)ねじ山22が短いため、締結にかかる時間を従来よりも短縮することができる。
【0057】
==第二実施形態==
以下、本発明の第二実施形態について説明する。
【0058】
《構成》
図8は、雄ねじ面12Bのねじ山12における部分拡大図である。また、
図9は、雌ねじ面22Bのねじ山22における部分拡大図である。
【0059】
本発明の第二実施形態(以下、「本実施形態」と記載)においては、第一実施形態における凸部31及び凹部32に代えて、
図8及び
図9に示す凸部34及び凹部33を備えている。
【0060】
図9に示すように、凸部34は、雌ねじ面22B(あるいは雌ねじ面22Aでもよい)のねじ山22に形成されている。また凸部34は、ねじ孔21の開口側(
図9において「開口側」と示した矢印方向)の端面34Bが凸曲面状、かつ、ねじ孔21の奥側(
図9において「奥側」と示した矢印方向)の端面34Aが平面状である。
【0061】
図8に示すように、凹部33は、雄ねじ面12B(あるいは雄ねじ面12Aでもよい)のねじ山12に形成されている。凹部33は、螺合状態において凸部34が嵌合されるものである。さらに凹部33は、ねじ部11の後端側(
図8において「後端側」と示した矢印方向)の端面33Bが端面34Bに対応した凹曲面状、かつ、ねじ部11の先端側(
図8において「先端側」と示した矢印方向)の端面33Aが端面34Aに対応した平面状である。
【0062】
《動作》
雄ねじ面12A及び雄ねじ面12Bと雌ねじ面22A及び雌ねじ面22Bとが螺合した状態において、凸部34と凹部33とが嵌合するため、第一実施形態同様、ねじ部11とねじ孔21との相対回転を確実に係止することができる。
【0063】
換言すれば、凸部34及び凹部33は、雄ねじ面12A及び雄ねじ面12Bと雌ねじ面22A及び雌ねじ面22Bとが螺合した状態において、雄ねじ側部材10と雌ねじ側部材20との相対回転を係止する係止部である。
【0064】
なお、雄ねじ面12Bと雌ねじ面22Bがそれぞれ螺合するようにねじ部11とねじ孔21とを相対回転させた際、凸部34は、その凸曲面状の端面34B側から凹部33に嵌合する。
【0065】
また、本実施形態では、係止部(凸部34及び凹部33)によってねじ部11とねじ孔21との相対回転を係止するので、頭部14(第一実施形態参照)を設けずとも成立する。
【0066】
《効果》
本実施形態では、係止部は、雌ねじ側のねじ山に形成される凸部34と、雄ねじ側のねじ山に形成され、螺合状態において凸部34が嵌合される凹部33と、を備える。
これにより、簡易的な構造で雄ねじ面12Bと雌ねじ面22Bとの螺合状態が緩むことを防ぐことができる。
さらに、凹部33が雄ねじ側のねじ山12に、凸部34が雌ねじ側のねじ山22に、それぞれ形成されているので、ねじ部11とねじ孔21とを相対回転させる際に、本実施形態における凸部34がねじ山22の斜面に接する長さは、第一実施形態における凸部31がねじ山12の面に接する長さに比べて短くなる。したがって、第一実施形態に比べてねじ部11とねじ孔21との相対回転をスムーズにすることができる。
【0067】
また本実施形態では、凸部34は、ねじ孔21の開口側の端面34Bが凸曲面状であり、凹部33は、ねじ部11の後端側の端面33Bが凹曲面状である。
これにより、ねじ部11とねじ孔21とを相対回転させる際に、凸部34が、凸曲面状の端面34B側から凹部33に対して嵌合するので、滑らかに嵌合することができる。
【0068】
==第三実施形態==
以下、本発明の第三実施形態について説明する。
【0069】
《構成》
図10は、本発明の第三実施形態(以下、「本実施形態」と記載)に係る雄ねじ面12A,12Bと雌ねじ面22A,22Bとの螺合状態を表す径方向断面図である。なお、
図10においては、ねじ山22の裏側にねじ山12が隠れており、ねじ山12は図示されていない。
【0070】
本実施形態においては、第一実施形態(あるいは第二実施形態)の構成に加え、小型ねじ孔41、穴部42、及び、小型雄ねじ43を更に備えている。
【0071】
小型ねじ孔41は、内周片23A(あるいは内周片23Bでもよい)から雌ねじ側部材20の外側に貫通して形成されるねじ孔である。
【0072】
穴部42は、外周片13A(あるいは外周片13Bでもよい)のうち、雄ねじ面12A,12Bと雌ねじ面22A,22Bとの螺合状態における小型ねじ孔41との対向位置に形成されるものである。また、穴部42は、雄ねじ側のねじ山12の延伸方向に延伸した略楕円形状である。好ましくは、楕円形状の穴部42の縦横比が1:3程度であるものとする。
【0073】
小型雄ねじ43は、螺合状態において、小型ねじ孔41を介して穴部42に挿入される雄ねじである。
【0074】
《動作》
ねじ部11とねじ孔21とが締結した状態において、小型雄ねじ43を小型ねじ孔41を介して穴部42に挿入することで、第一実施形態及び第二実施形態同様、ねじ部11とねじ孔21との相対回転を確実に係止することができる。
【0075】
換言すれば、小型ねじ孔41、穴部42、及び、小型雄ねじ43は、雄ねじ面12A及び雄ねじ面12Bと雌ねじ面22A及び雌ねじ面22Bとが螺合した状態において、ねじ部11とねじ孔21との相対回転を確実に係止する係止部である。
【0076】
なお、本実施形態では、頭部14(第一実施形態参照)を設けずとも、係止部(小型ねじ孔41、穴部42、及び、小型雄ねじ43)によってねじ部11とねじ孔21との相対回転を係止することができる。
【0077】
《効果》
本実施形態では、係止部は、内周片23A(あるいは内周片23Bでもよい)から雌ねじ側部材20の外側に貫通して形成されるねじ孔である小型ねじ孔41と、外周片13A(あるいは外周片13Bでもよい)の螺合状態における小型ねじ孔41との対向位置に形成される穴部42と、螺合状態において、小型ねじ孔41を介して穴部42に挿入される雄ねじである小型雄ねじ43と、を備える。
これにより、小型雄ねじ43が小型ねじ孔41を介して穴部42に挿入することでねじ部11とねじ孔21との相対回転を係止するので、簡易的な構造で雄ねじ面12A,12Bと雌ねじ面22A,22Bとの螺合状態が緩むことを防ぐことができる。
また、穴部42及び小型ねじ孔41は、それぞれ、ねじ山12及びねじ山22が形成されていない外周片13A及び内周片23A(あるいは外周片13B及び内周片23B)に形成されるので、作製するのが容易となる。
【0078】
また、本実施形態では、穴部42は、雄ねじ側のねじ山の延伸方向に延伸した形状である。
雄ねじ面12A、雄ねじ面12Bと雌ねじ面22A、雌ねじ面22Bとを螺合させた際に、穴部42の中心位置が小型ねじ孔41からずれてしまった場合、ずれる方向は、ねじ山12及びねじ山22の延伸方向となる。したがって、穴部42がねじ山12及びねじ山22の延伸方向に延伸した形状とすることで、このずれが発生した場合でも、小型雄ねじ43を、小型ねじ孔41を介して穴部42に挿入することができる。
【0079】
==第四実施形態==
以下、本発明の第四実施形態について説明する。
【0080】
《構成》
図11は、本発明の第四実施形態(以下、「本実施形態」と記載)に係る締結具2の軸方向断面図である。本実施形態においては、第一実施形態におけるねじ部11及びねじ孔21に代えて、
図11に示すように、ねじ部51及びねじ孔61を備えている。
【0081】
ねじ部51は、雄ねじ面52A及び雄ねじ面52Bに形成された雄ねじ側のねじ山52の幅が、ねじ部51の先端側に向かうほど狭くなるように形成されている。また、雄ねじ面52A、雄ねじ面52B、外周片53A、及び、他の外周片(図示略)を含めたねじ部51の外径が、ねじ部51の先端側に向かうほど小さくなるように形成されている。
【0082】
ねじ孔61は、雌ねじ面62A及び雌ねじ面62Bに形成された雌ねじ側のねじ山62の幅が、雄ねじ側のねじ山52に対応して、ねじ孔61の奥側に向かうほど狭くなるように形成されている。また、雌ねじ面62A、雌ねじ面62B、及び、二つの内周片(図示略)を含めたねじ孔61の内径が、ねじ部51の外径に対応して、ねじ孔61の奥側に向かうほど小さくなるように形成されている。
【0083】
《動作》
次に、本実施形態に係る締結具2の動作について説明する。
まず、第一実施形態同様に、各雄ねじ面と各内周片、各外周片と各雌ねじ面が、それぞれ対向するような角度で、ねじ部51をねじ孔61に挿入する。
【0084】
なお、ねじ孔61は開口側の内径が奥側の内径よりも大きいので、ねじ部51を挿入しやすくなっている。
【0085】
上述のように挿入した状態から、各雄ねじ面と各雌ねじ面が螺合するようにねじ部51とねじ孔61とを相対回転させることで、ねじ部51とねじ孔61とを締結する。
【0086】
その際、ねじ山52及びねじ山62の各幅が、ねじ部51の先端側及びねじ孔61の奥側に向かうほどそれぞれ狭くなっているので、相対回転による締結力が向上する。
【0087】
すなわち、ねじ部51及びねじ孔61は、その形状自体が、各雄ねじ面及び各雄ねじ面が螺合した状態において、ねじ部51とねじ孔61との相対回転を係止する係止部となっている。
【0088】
《効果》
本実施形態では、雄ねじ面52A及び雄ねじ面52Bにおけるねじ山52の幅が、ねじ部51の先端側に向かうほど狭くなるように形成され、雌ねじ面62A及び雌ねじ面62Bにおけるねじ山62の幅が、ねじ山52に対応して、ねじ孔61の奥側に向かうほど狭くなるように形成されるものである。
これにより、簡易的な構造でねじ部51とねじ孔61との螺合状態が緩むことを防ぐことができる。
【0089】
==変形例==
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、上述した具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び下記変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0090】
例えば、各実施形態においては、ねじ部11(51)が、二つの雄ねじ面及び二つの外周片を備えるものとし、ねじ孔21(61)が、二つの雌ねじ面及び二つの内周片を備えるものした。しかしながら、本発明はこれら各面の数を限定するものではない。すなわち、ねじ部11(51)は、雄ねじ面及び外周片がそれぞれ一つ以上設けられていればよく、ねじ孔21(61)は、雌ねじ面及び内周片がそれぞれ一つ以上設けられていればよい。ただし、雄ねじ面、外周片、雌ねじ面、及び、内周片は同数とするのが好ましい。
【0091】
なお、雄ねじ面と雌ねじ面とを螺合させるのに必要なねじ部11及びねじ孔21との相対回転の角度は、雄ねじ面と雌ねじ面の数によって異なる。
例えば、雄ねじ面、外周片、雌ねじ面、及び、内周片の周方向の長さが同じである場合、雄ねじ面、外周片、雌ねじ面、及び、内周片がそれぞれ一つずつであれば、相対回転の角度は180°となる。
あるいは、雄ねじ面、外周片、雌ねじ面、及び、内周片がそれぞれ二つずつであれば、相対回転の角度は90°となる。
あるいは、雄ねじ面、外周片、雌ねじ面、及び、内周片がそれぞれ三つずつであれば、相対回転の角度は60°となる。
あるいは、雄ねじ面、外周片、雌ねじ面、及び、内周片がそれぞれ四つずつであれば、相対回転の角度は45°となる。
すなわち、各面の数が多いほど、ねじ部11(51)とねじ孔21(61)との相対回転の角度は小さくなり、締結にかかる時間を短縮することができる。
【0092】
また、各面の数によらず、外周片は、周方向において雄ねじ面よりも長く、内周片は、周方向において雌ねじ面よりも長くするのが好ましい。そのように形成した場合は、当然上記相対回転の角度が変化する。
【0093】
あるいは、外周片は、周方向において雄ねじ面よりも短く、内周片は、周方向において雌ねじ面よりも短くしてもよい。これにより、ねじ部11とねじ孔21との締結力が向上する。
【0094】
また、第四実施形態においては、雄ねじ面52A及び雄ねじ面52Bにおけるねじ山52の幅が、ねじ部51の先端側に向かうほど狭くなるように形成されるとしたが、反対に、ねじ部51の後端側に向かうほど狭くなるように形成されてもよい。
同様に、第四実施形態においては、雌ねじ面62A及び雌ねじ面62Bにおける雌ねじ側のねじ山62の幅が、ねじ山52に対応して、ねじ孔61の奥側に向かうほど狭くなるように形成されるとしたが、反対に、ねじ孔61の開口側に向かうほど狭くなるように形成されてもよい。これにより、ねじ部51とねじ孔61との締結力が向上する。
【0095】
また、ねじ山12、ねじ山22、ねじ山52、及び、ねじ山62の各形状は、
図1~
図11に示したものに限らず、様々な形状に変更可能である。
【0096】
また、
図1及び
図11には頭部14及び筒状部15を示したが、筒状部15ついては設けられていなくてもよい。また、各実施形態において説明した係止部が設けられていれば、頭部14についても設けなくてもよい。
【0097】
すなわち、
図1及び
図11では、雄ねじ側部材10が、ねじ部11(51)、頭部14、及び、筒状部15を備えた雄ねじそのものの形状であり、雌ねじ側部材20が、雌ねじそのものの形状である場合を例に挙げて図示している。
しかしながら、本発明はこれに限らず、雄ねじ側部材10は、係止部を有するねじ部11(51)が設けられていればよく、雌ねじ側部材20は、係止部を有するねじ孔21(61)が設けられていればよい。
【0098】
また、締結具1(2)は、直径数cm~数十mのものに使用可能である。材質についても、金属、塩ビ、ガラス他等、様々なものが適用可能である。したがって、例えば、雄ねじ側部材10をペットボトルの口部、雌ねじ側部材20をキャップに適用することもできる。あるいは、互いに螺合して接続される二本のパイプの開口部や、瓶の栓などにも適用することもできる。
【符号の説明】
【0099】
1,2…締結具、10…雄ねじ側部材、11,51…ねじ部、12,52…(雄ねじ側の)ねじ山、12A,12B,52A,52B…雄ねじ面、13A,13B…外周片、20…雌ねじ側部材、21,61…ねじ孔、22,62…(雌ねじ側の)ねじ山、22A,22B…雌ねじ面、23A,23B…内周片、31,34…凸部、31A,31B,32A,32B,33A,33B,34A,34B…(先端側の)端面、32,33…凹部、41…小型ねじ孔、42…穴部、43…小型雄ねじ
【手続補正書】
【提出日】2023-06-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周方向において、雄ねじ側のねじ山が形成される雄ねじ面と当該雄ねじ側のねじ山が形成されていない外周片とが交互に配置されるねじ部を有する雄ねじ側部材と、
内周方向において、雌ねじ側のねじ山が形成される雌ねじ面と当該雌ねじ側のねじ山が形成されていない内周片とが交互に配置され、前記雄ねじ面と当該雌ねじ面とが螺合可能なねじ孔を有する雌ねじ側部材と、
を備え、
前記雄ねじ面と前記雌ねじ面との螺合状態における前記ねじ部と前記ねじ孔との相対回転を係止するようにして、前記ねじ部及び前記ねじ孔に形成される係止部を更に備え、
前記係止部は、
前記雄ねじ側のねじ山及び前記雌ねじ側のねじ山のうち一方の斜面に形成される凸部と、
前記雄ねじ側のねじ山及び前記雌ねじ側のねじ山のうち他方の斜面に形成され、前記螺合状態において前記凸部が嵌合される凹部と、
を備える締結具。
【請求項2】
外周方向において、雄ねじ側のねじ山が形成される雄ねじ面と当該雄ねじ側のねじ山が形成されていない外周片とが交互に配置されるねじ部を有する雄ねじ側部材と、
内周方向において、雌ねじ側のねじ山が形成される雌ねじ面と当該雌ねじ側のねじ山が形成されていない内周片とが交互に配置され、前記雄ねじ面と当該雌ねじ面とが螺合可能なねじ孔を有する雌ねじ側部材と、
を備え、
前記雄ねじ面と前記雌ねじ面との螺合状態における前記ねじ部と前記ねじ孔との相対回転を係止するようにして、前記ねじ部及び前記ねじ孔に形成される係止部を更に備え、
前記係止部は、
前記雄ねじ側のねじ山及び前記雌ねじ側のねじ山のうち一方に形成され、前記ねじ部の後端側の端面又は前記ねじ孔の奥側の端面が平面状である凸部と、
前記雄ねじ側のねじ山及び前記雌ねじ側のねじ山のうち他方に形成され、前記ねじ孔の開口側の端面又は前記ねじ部の先端側の端面が、前記凸部の平面状の前記端面に対応した平面状であり、前記螺合状態において前記凸部が嵌合される凹部と、
を備える締結具。
【請求項3】
前記外周片は、周方向において前記雄ねじ面よりも長く、前記内周片は、周方向において前記雌ねじ面よりも長い、
請求項1又は2に記載の締結具。
【請求項4】
前記凸部は、前記ねじ部の先端側の端面又は前記ねじ孔の開口側の端面が凸曲面状であり、
前記凹部は、前記ねじ孔の奥側の端面又は前記ねじ部の後端側の端面が、前記凸部の凸曲面状の前記端面に対応した凹曲面状である、
請求項1又は2に記載の締結具。