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特開2024-76321被覆型太陽電池及び太陽光発電モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076321
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】被覆型太陽電池及び太陽光発電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20240529BHJP
   H01L 31/0352 20060101ALI20240529BHJP
   H01L 31/043 20140101ALI20240529BHJP
   H01L 31/05 20140101ALI20240529BHJP
【FI】
H01L31/04 560
H01L31/04 340
H01L31/04 344
H01L31/04 510
H01L31/04 570
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041151
(22)【出願日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】202211496047.2
(32)【優先日】2022-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202223154516.0
(32)【優先日】2022-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523095912
【氏名又は名称】姜 非
【氏名又は名称原語表記】Fei Jiang
【住所又は居所原語表記】Room 601, Gate 4, Floor 3, Qinglinyuan Community, Haidian District, Beijing City, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】姜 非
(72)【発明者】
【氏名】王 同楽
(72)【発明者】
【氏名】▲いぇん▼ 潤万
(72)【発明者】
【氏名】姜 秉辰
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251BA05
5F251BA15
5F251BA18
5F251DA01
5F251DA03
5F251DA04
5F251EA01
5F251EA02
5F251EA18
5F251FA04
5F251FA16
5F251FA17
5F251JA02
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】被覆型太陽電池及び太陽光発電モジュールに関する。前記被覆型太陽電池はセルモジュールを含み、前記セルモジュールは内部電極1と、感光・電荷輸送層2と、透明外部電極3と、を含み、前記内部電極1には第1リード5が接続されており、前記透明外部電極3には第2リード6が接続されており、前記感光・電荷輸送層2及び前記透明外部電極3は前記内部電極1の外側に順次被覆され、前記太陽光発電モジュールは前記被覆型太陽電池を含む。
【効果】被覆型構造を用いることにより、光が周辺から感光・電荷輸送層内に入り、大きな範囲内で正面入射が可能であり、採光効率が高く、光エネルギー利用率が高く、しかも、被覆型太陽電池は線状、長尺状などの構造にされる場合、自在に曲げられたり折り畳まれたりすることができ、様々な形状に敷設したり編成したりすることが容易であり、多様なシーンに適用でき、適用範囲が広い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆型太陽電池であって、
セルモジュールを含み、前記セルモジュールは内部電極と、感光・電荷輸送層と、透明外部電極と、を含み、
前記内部電極には第1リードが接続されており、前記透明外部電極には第2リードが接続されており、
前記感光・電荷輸送層及び前記透明外部電極は前記内部電極の外側に順次被覆されていることを特徴とする被覆型太陽電池。
【請求項2】
前記感光・電荷輸送層は多層構造として構成され、前記内部電極の表面の法線方向に沿って設けられるp型輸送層とn型輸送層を含み、法線方向に分布しているビルトイン電界が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の被覆型太陽電池。
【請求項3】
前記感光・電荷輸送層はi型感光層を含み、前記i型感光層は前記p型輸送層と前記n型輸送層との間に設けられることを特徴とする請求項2に記載の被覆型太陽電池。
【請求項4】
前記感光・電荷輸送層はこれに隣接する層のいずれとの間にも修飾層が設けられ、
前記感光・電荷輸送層と前記内部電極との間に修飾層が設けられ、
前記感光・電荷輸送層と前記透明外部電極との間に修飾層が設けられることを特徴とする請求項3に記載の被覆型太陽電池。
【請求項5】
前記セルモジュールの外側に被覆される透明保護層を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の被覆型太陽電池。
【請求項6】
前記感光・電荷輸送層と前記透明外部電極は前記内部電極の外壁の一部に順次被覆され、前記透明保護層は前記透明外部電極の外側に被覆され、
前記内部電極のうち被覆されていない部分が前記第1リードとなるか、又は
前記第1リードは前記内部電極のうち被覆されていない部分から引き出されて、前記透明保護層を貫通するか、又は
前記第1リードは前記内部電極のうち被覆された部分から引き出されて、前記感光・電荷輸送層、前記透明外部電極及び前記透明保護層を順次貫通することを特徴とする請求項5に記載の被覆型太陽電池。
【請求項7】
前記感光・電荷輸送層、前記透明外部電極及び前記透明保護層は前記内部電極の外壁全体に順次被覆され、前記第1リードは前記感光・電荷輸送層、前記透明外部電極及び前記透明保護層を順次貫通することを特徴とする請求項5に記載の被覆型太陽電池。
【請求項8】
前記セルモジュールは複数の感光・電荷輸送層を含み、前記感光・電荷輸送層は全て前記内部電極と前記透明外部電極との間に順次被覆され、隣接する前記感光・電荷輸送層の間に電荷再結合層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の被覆型太陽電池。
【請求項9】
前記セルモジュールは複数設けられ、全ての前記セルモジュールは直列又は並列設置されることを特徴とする請求項1に記載の被覆型太陽電池。
【請求項10】
請求項1~4、8~9のいずれか1項に記載の被覆型太陽電池を含むことを特徴とする太陽光発電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池及びモジュールの技術分野に関し、具体的には、被覆型太陽電池及び太陽光発電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は光起電力効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置で、光を吸収して直接発電を行うことができる光電半導体シートである。太陽電池は主に半導体のPN接合の特性を利用し、PN接合内にキャリア濃度差が存在し、多数キャリアが拡散して再結合した後に空間電荷領域が形成され、空間電荷領域内にビルトイン電界が形成され、多数キャリアが逆方向にドリフトし、最後に動的平衡になる。PN接合に光が当たり、光子エネルギーがPN接合材料の禁制帯幅より大きい場合、PN接合付近に電子正孔対が発生し、ビルトイン電界の作用により、電子正孔対が分離されて空間電荷領域の両端にドリフトし、光誘起電位が発生するが、このとき、その両端を外部回路と接続すると電流が形成され、これは光起電力効果と呼ばれる。PN接合の空間電荷領域はP型とN型材料の界面にあり、ビルトイン電界のポテンシャル障壁の厚さが限られており、PN接合の途中に真性i層を入れると、ビルトイン電界はi層全体を貫通する。i層の厚さが界面の厚さよりも厚いので、多くの光子を吸収してキャリアに変換することができ、感光感度を向上させることができる。
【0003】
太陽電池は主に太陽光発電に使用されているので、太陽電池と呼ばれる。半導体材料の形態によって、太陽電池は結晶シリコン太陽電池と薄膜太陽電池に分けられる。現在、結晶シリコン電池は太陽電池の主流であり、最も早く研究が始まり、最も早く適用された第1世代太陽電池技術であり、材料の形態によって単結晶シリコン電池と多結晶シリコン電池に分けられる。結晶シリコン電池は単結晶シリコン棒又は多結晶シリコンインゴットをスライスし、その表面にPN接合と電極を作製して実装するものである。シリコンウエハのスライス厚は一般に160~190μmであるため、結晶シリコン電池は比較的厚く、剛性セルである。太陽電池の適用を拡大するために、薄膜電池も開発されているが、薄膜電池は主に真空蒸着や液体印刷方式で製作され、その厚さはわずか数μmであるため、可撓性基板上で製作する際に可撓性を持ち、適用範囲が広い。現在実績のある薄膜電池材料には、アモルファスシリコン、GaAs、CdTe、CIGS、ペロブスカイト電池、染料増感電池、有機化合物電池などがある。しかし、結晶シリコン電池も薄膜型電池も、採光面積、生産プロセス、製品特性などの制限から平面型構造となり、典型的な構造は図7に示される。
【0004】
従来の平面型電池は、基板101上に下部電極102を作製した後、従来の感光・電荷輸送層103、透明上部電極104、透明保護層105を順次形作製した平面積層構造である。平面型電池の主な構造の特徴は、各層が平行な平面として配置されていることにある。通常、従来の感光・電荷輸送層103は、使用する材料によって、p-i-n、n-i-p、p-n、n-p型など複数の構造を有し、PN接合間にトップダウン又はボトムアップのビルトイン電界が形成されている。光は、上面の既存の透明保護層105及び透明上部電極104を通って既存の感光・電荷輸送層103に至り、感光材料を励起して正孔と電子を形成し、正孔と電子対はPN接合のビルトイン電界を介して上下電極に向かって移動し、上下電極に到達した後に引き出されて電流を形成する。
【0005】
平面型構造の太陽電池は上面のみが光を受けることができ、側面と背面からの散乱光を利用することができないので、採光が限られ、光エネルギー利用率が低い。
【0006】
さらに、平面構造電池は、形状の多様化が実現できないため、多くの場面に適用できず、従来の平面型可撓性電池であっても、ある程度のカールには耐えられるものの、折りたたみや曲げに限界があり、使用に制限があり、適用範囲が狭い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術における平面型太陽電池の採光効率が低く、適用範囲が狭いという問題を解決するために、被覆型太陽電池及びモジュールを提供することである。本発明による多くの技術形態のうちの好適な技術形態による多くの技術的効果は以下で詳細に説明される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成させるために、本発明は以下の技術的解決手段を提供する。
【0009】
本発明による被覆型太陽電池はセルモジュールを含み、前記セルモジュールは内部電極と、感光・電荷輸送層と、透明外部電極と、を含み、前記内部電極には第1リードが接続されており、前記透明外部電極には第2リードが接続されており、前記感光・電荷輸送層及び前記透明外部電極は前記内部電極の外側に順次被覆されている。
【0010】
好ましくは、前記感光・電荷輸送層は多層構造として構成され、内部電極の表面の法線方向に沿って設けられるp型輸送層とn型輸送層を含み、法線方向に分布しているビルトイン電界が形成されている。
【0011】
好ましくは、前記感光・電荷輸送層はi型感光層を含み、前記i型感光層は前記p型輸送層と前記n型輸送層との間に設けられる。
【0012】
好ましくは、前記感光・電荷輸送層はそれに隣接する層のいずれとの間にも修飾層が設けられ、前記感光・電荷輸送層と前記内部電極との間に修飾層が設けられ、前記感光・電荷輸送層と前記透明外部電極との間に修飾層が設けられる。
【0013】
好ましくは、前記被覆型太陽電池は前記セルモジュールの外側に被覆される透明保護層を含む。
【0014】
好ましくは、前記被覆型太陽電池は部分被覆型構造として構成され、前記感光・電荷輸送層と前記透明外部電極は前記内部電極の外壁の一部に順次被覆され、前記透明保護層は前記透明外部電極の外側に被覆され、前記内部電極のうち被覆されていない部分が前記第1リードとなるか、又は、前記第1リードは前記内部電極のうち被覆されていない部分から引き出されて、前記透明保護層を貫通するか、又は、前記第1リードは前記内部電極のうち被覆された部分から引き出されて、前記感光・電荷輸送層、前記透明外部電極及び前記透明保護層を順次貫通する。
【0015】
好ましくは、前記被覆型太陽電池は完全被覆型構造として構成され、前記感光・電荷輸送層、前記透明外部電極及び前記透明保護層は前記内部電極の外壁全体に順次被覆され、前記第1リードは前記感光・電荷輸送層、前記透明外部電極及び前記透明保護層を順次貫通し、前記第1リードは他の各層と接触した部分について絶縁処理が施される。
【0016】
好ましくは、前記内部電極は線状、柱状、長尺状、片状、放射状、球状、部分球状、多面体状又は曲面体状などに形成され、前記感光・電荷輸送層、前記透明外部電極及び前記透明保護層はいずれも前記内部電極に適合する。
【0017】
好ましくは、前記セルモジュールは複数の感光・電荷輸送層を含み、全ての前記感光・電荷輸送層は前記内部電極と前記透明外部電極との間に順次設けられ、隣接する前記感光・電荷輸送層の間に電荷再結合層が設けられる。
【0018】
好ましくは、前記セルモジュールは複数設けられ、全ての前記セルモジュールは直列又は並列設置される。
【0019】
本発明は、上記の被覆型太陽電池のいずれかを含む太陽光発電モジュールを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明による被覆型太陽電池及びモジュールは少なくとも以下の有益な効果がある。
【0021】
前記被覆型太陽電池はセルモジュールを含み、前記セルモジュールは内部電極と、感光・電荷輸送層と、透明外部電極と、を含み、前記内部電極には第1リードが接続されており、前記透明外部電極には第2リードが接続されており、作動する際には、光が透明外部電極を透過して、感光・電荷輸送層に至って電子正孔対を励起し、電子正孔対がビルトイン電界により分離されてから、法線方向に沿って内部電極と透明外部電極にそれぞれ輸送され、次にリードに流れ、リードを介して外部負荷に引き出され、外部に対して給電が行われる。
【0022】
前記感光・電荷輸送層及び前記透明外部電極は前記内部電極の外側に順次被覆され、被覆型構造とすることによって、光が周辺から感光・電荷輸送層内に入り、平面型電池と比較して、大きな範囲内で正面入射が可能であり、採光効率が高く、光エネルギー利用率が高く、しかも、被覆型構造の太陽電池では、構造は主に内部電極に依存し、内部電極が線状や長尺状などである場合、自在に曲げられたり折り畳まれたりすることができ、様々な形状に敷設したり、編成したりすることが容易であり、多様なシーンに適用でき、適用範囲が広い。
【0023】
本発明では、セルモジュールが被覆型構造とされることによって、光エネルギー利用率が高く、採光効率が高いだけではなく、構造が柔軟であり、実際のニーズに応じてさまざまな構造や形状にすることができ、多様な適用場面に適用することができ、適用範囲が広い。さらに、全体が保護層により被覆された状態により、大部分の感光材料が空気や水蒸気などの外部因素からバリアされ、製品の寿命が長くなり、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の実施例又は従来技術の技術的解決手段を明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面について簡単に説明するが、明らかなに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】本発明の被覆型太陽電池の構造概略図である。
図2】本発明の被覆型線状太陽電池の構造概略図である。
図3】本発明の被覆型線状又は球状部分被覆構造太陽電池の断面概略図である。
図4】本発明の被覆型球状太陽電池の構造概略図である。
図5】本発明の被覆型球状積層太陽電池の構造概略図である。
図6】本発明の被覆型線状太陽電池が直列されたときの構造概略図である。
図7】従来の平面型太陽電池の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の技術的解決手段について詳細に説明する。明らかに、説明される実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な努力を必要とせずに得る他の全ての実施形態は本発明の特許範囲に属する。
【0026】
<実施例1>
本発明は被覆型太陽電池を提供し、図1に示すように、前記被覆型太陽電池はセルモジュールを含み、前記セルモジュールは内部電極1と、感光・電荷輸送層2と、透明外部電極3と、を含む。
【0027】
内部電極1には第1リード5が接続されており、透明外部電極3には第2リード6が接続されており、内部電極1は中実構造又は中空構造としてもよく、透明外部電極3には良好な導電性や透光性が求められ、感光・電荷輸送層2及び透明外部電極3は法線方向に沿って内部電極1の外側に順次被覆され、感光・電荷輸送層2内では、法線方向に分布しているビルトイン電界が形成され得る。
【0028】
使用に際しては、第1リード5及び第2リード6は外部負荷に接続される。
【0029】
光が周辺から入射され、透明外部電極3を透過して感光・電荷輸送層2内に至り、電子正孔対を励起し、電子正孔対がビルトイン電界により分離されてから、それぞれ内部電極1及び透明外部電極3を経て第1リード5及び第2リード6に流れ、これによって、外部負荷に対して給電する。
【0030】
本発明では、内部電極1、感光・電荷輸送層2及び透明外部電極3が被覆型構造とされることにより、周辺からの光を採集することができ、従来の平面型太陽電池と比較して、採光効率を明らかに向上させ、光エネルギー利用率を高めることができ、しかも、前記被覆型太陽電池は構造が柔軟であり、使用者の実際のニーズに応じて、様々な構造や形状にすることができ、多様なシーンに適用でき、適用範囲が広い。
【0031】
<実施例2>
実施例2は実施例1を基にしたものである。
【0032】
図1及び図2に示すように、感光・電荷輸送層2は多層構造として構成され、感光・電荷輸送層2は法線方向に沿って設けられるp型輸送層21とn型輸送層22を含み、これにより、法線方向に分布しているビルトイン電界が形成される。
【0033】
好適には、p型輸送層21は内層、n型輸送層22は外層に位置し、感光・電荷輸送層2は内から外へp-n型構造となる。
【0034】
さらに好適には、p型輸送層21は外層、n型輸送層22は内層に位置し、感光・電荷輸送層2は内から外へn-p構造となる。
【0035】
好適な実施形態として、感光・電荷輸送層2はi型感光層23を含み、i型感光層23はp型輸送層21とn型輸送層22との間に設けられ、p-i-n型構造及びn-i-p型構造が形成され得る。
【0036】
i型感光層23の感光材料は例えばシリコン系、セレン系などのIV族半導体材料、GaAsなどのIII-V族半導体材料、CdTeなどのII-VI族半導体材料、CIGSなどの化合物材料、ハロゲン化物材料、ペロブスカイト類材料、染料増感電池材料、有機化合物電池材料などを使用してもよい。
【0037】
p型輸送層及びn型輸送層の材料は、i型感光層23の実際の感光材料に応じて決定されてもよい。
【0038】
図2に示すように、作動するときに、キャリアが拡散し、p型輸送層21、i型感光層23及びn型輸送層22の間にn型輸送層22からp型輸送層21へのビルトイン電界が形成され、光が透明外部電極3を透過してi型感光層23に至ると、i型感光層23はエネルギーがエネルギーギャップよりも大きい光子を吸収し、価電子帯を伝導帯内に励起し、電子正孔対を形成し、前記ビルトイン電界の作用により電子と正孔が分離され、これらのうち、電子は前記ビルトイン電界と反対の方向(すなわち、i型感光層23からn型輸送層22へ)において透明外部電極3まで移動し、一方、正孔は前記ビルトイン電界の方向(すなわち、i型感光層23からp型輸送層21へ)において内部電極1まで移動し、電子及び正孔はそれぞれ透明外部電極3及び内部電極1に至り、リードを介して引き出され、電流が形成される。
【0039】
さらに好適には、単層、混合型又は分子型D-A材料で製造された電池については、p型輸送層21、i型感光層23及びn型輸送層22という明らかな多層構造がなくてもよく、電荷は供与体と受容体との界面で形成された後、供与体と受容体材料の内部においてエネルギー準位がマッチングする内部電極1及び透明外部電極3に移動する。
【0040】
好適な実施形態として、感光・電荷輸送層2はそれに隣接する層のいずれとの間にも修飾層が設けられ、感光・電荷輸送層2と前記内部電極1との間に修飾層が設けられ、感光・電荷輸送層2と透明外部電極3との間に修飾層が設けられる。
【0041】
各界面を最適化することにより、電荷をうまく引き出し、電池変換効率を効果的に高めることができる。
【0042】
好適な実施形態として、図1及び図2に示すように、前記被覆型太陽電池は前記セルモジュールの外側に被覆される透明保護層4を含む。
【0043】
透明保護層4は、優れた透光性、防水性、抗酸化性、耐食性、耐摩耗性などを有し、電池の表面を効果的に保護することができる絶縁材料である。
【0044】
透明保護層4はガラスコーティング、有機コーティング、透明セラミックスなどを用いてもよい。
【0045】
好適な実施形態として、図1及び図2に示すように、前記被覆型太陽電池は部分被覆型構造として構成され、感光・電荷輸送層2、透明外部電極3及び透明保護層4は内部電極1の周壁に順次被覆され、内部電極1の端部は被覆されておらず、第1リード5は内部電極1の端部から引き出される。
【0046】
内部電極1は線状、柱状、長尺状、片状又は放射状とされ、感光・電荷輸送層2、透明外部電極3及び透明保護層4はいずれも内部電極1に適合し、内部電極1は中実構造又は中空構造であり、金属線、金属ワイヤ、金属管、炭素繊維、導電繊維などを用いてもよいし、外面に導電層が被覆された絶縁線、絶縁ワイヤ、絶縁繊維、絶縁管などを用いてもよい。
【0047】
透明外部電極3は透明導電薄膜、例えばITO(酸化インジウムスズ)透明導電膜、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)透明導電膜などを用いてもよいし、透明材料が充填された導電グリッド、例えば金属網、炭素繊維網などを用いてもよい。
【0048】
図1及び図2に示すように、実施例2は線状の被覆型太陽電池を提供し、その断面は様々な形態としてもよく、直径は実際のニーズに応じて設定されてもよく、この電池は良好な柔軟性を有し、実際のニーズに応じて編まれて大面積の電池モジュールとしてもよく、よって、大きな採光面を有するだけではなく、様々な用途のニーズに対応することができる。
【0049】
<実施例3>
実施例3では、実施例2と比べて、以下の点が相違する。
【0050】
図3に示すように、前記被覆型太陽電池は部分被覆構造として構成され、感光・電荷輸送層2及び透明外部電極3は内部電極1の外壁の一部に順次被覆され、透明保護層4は透明外部電極3の外側に完全に被覆される。
【0051】
内部電極1は線状、柱状、長尺状、片状、放射状、球状、部分球状、多面体状又は曲面体状とされ、感光・電荷輸送層2、透明外部電極3及び透明保護層4はいずれも内部電極1に適合する。内部電極1は金属線、金属ワイヤ、金属管、金属バー、金属ブロック、炭素繊維、導電繊維、金属ボール、部分金属ボール体、金属多面体、金属曲面体などを用いてもよいし、外面に導電層が被覆された絶縁線、絶縁柱、絶縁シート、絶縁バー、絶縁ボール、絶縁部分球体、絶縁多面体、絶縁曲面体などを用いてもよい。
【0052】
好適には、内部電極1のうち被覆されていない部分は透明保護層4を貫通し、第1リード5となる。
【0053】
さらに好適には、内部電極1のうち被覆されていない部分には第1リード5が接続されており、この第1リード5は透明保護層4を貫通する。
【0054】
さらに、好適には、内部電極1のうち被覆された部分には第1リード5が接続されており、この第1リード5は感光・電荷輸送層2、透明外部電極3及び透明保護層4を順次貫通する。
【0055】
1リード5が感光・電荷輸送層2及び透明外部電極3を通過する場合、電気的に接触しないように第1リード5の外側には絶縁層7が設けられる。
【0056】
図3には、実施例3における周壁が部分的に被覆された線状又は球状太陽電池が示されており、その具体的な被覆及び未被覆位置、形状、構造については、実際のニーズに応じて設定され得る。
【0057】
<実施例4>
実施例4では、実施例3と比べて、以下の点が相違する。
【0058】
図4に示すように、前記被覆型太陽電池は完全被覆型構造として構成され、感光・電荷輸送層2、透明外部電極3及び透明保護層4は内部電極1の外側に順次被覆され、第1リード5は感光・電荷輸送層2、透明外部電極3及び透明保護層4を順次貫通し、第1リード5が他の層に接触しないように、第1リード5の外側には絶縁層7が設けられる。
【0059】
内部電極1は線状、柱状、長尺状、片状、放射状、球状、部分球状、多面体状又は曲面体状とされ、感光・電荷輸送層2、透明外部電極3及び透明保護層4はずれも内部電極1に適合する。
【0060】
前記被覆型太陽電池の重量を考慮して、球状、部分球状、多面体状又は曲面体の内部電極1は一般には中空構造とされる。
【0061】
図4には、実施例4における球状被覆型太陽電池が示されており、その球径は実際のニーズに応じて設定することができ、このような電池はあらゆる方向から光エネルギーを収集することもでき、光がいずれの角度からも直射することができ、これにより、適用範囲が広がる。
【0062】
実施例2~実施例4に記載の電池は全て単電池構造である。
【0063】
<実施例5>
実施例5は実施例4を基にしたものである。
【0064】
前記セルモジュールは複数の感光・電荷輸送層2を含み、全ての感光・電荷輸送層2は内部電極1と透明外部電極3との間に順次被覆され、隣接する感光・電荷輸送層2の間に電荷再結合層8が設けられる。
【0065】
図5に示すように、図5には球状2層被覆型太陽電池が示されており、この電池は積層設置される2つのn-i-p層構造電池を含み、各n-i-p層構造では、ビルトイン電界の方向が球心から球面に指すものであるため、作動過程では、電子は法線方向に沿って球心へ移動し、正孔は法線方向に沿って球面へ移動し、内層の電池では、電子は内部電極1及び第1リード5を介して引き出され、正孔は電荷再結合層8に至り、外層の電池では、正孔は透明外部電極3及び第2リード6を介して引き出され、電子は電荷再結合層8に至り、内層の電池の正孔と外層の電池の電子が電荷再結合層8で再結合する。
【0066】
内層の電池の効率を確保するために、電荷再結合層8には良好な透光性が必要とされる。
【0067】
同様に、前記被覆型太陽電池は2つのp-i-n層構造、又は1つのp-n層構造若しくはp-n層構造を含む。
【0068】
実施例5は球状、部分球状、多面体状又は曲面体状などの多層被覆型太陽電池である。
【0069】
<実施例6>
実施例6は実施例2を基にしたものである。
【0070】
前記セルモジュールは複数の感光・電荷輸送層2を含み、全ての前記感光・電荷輸送層2は内部電極1と透明外部電極3との間に順次被覆され、隣接する感光・電荷輸送層2の間に電荷再結合層8が設けられる。
【0071】
実施例6は線状、柱状、長尺状、片状、放射状などの多層被覆型太陽電池である。
【0072】
<実施例7>
実施例7は上記の実施例のいずれかを基にしたものである。
【0073】
前記セルモジュールは複数設けられ、全ての前記セルモジュールは直列又は並列設置され、前記セルモジュールは、直列された場合、出力電圧が高く、並列された場合、出力電流が大きく、実際に使用するときには、使用者は実際のニーズに応じて決定すればよい。
【0074】
図6には、線状被覆型太陽電池の直列構造が示されており、透明保護層4内には3つの前記セルモジュールが軸方向において順次直列設置され、軸方向において直列されることにより、直列電池パックの光電流が一致し、電池パックの円周面によっても採光が可能である。
【0075】
直列電池の構造には、以下の2つのことが要求される。
【0076】
第一に、前記セルモジュールの内部電極1は少なくとも2層構造を有し、内層絶縁層11と外層導電層12を含み、内層絶縁層11は絶縁材料で製造され、絶縁線、絶縁管や絶縁繊維などを用いてもよく、外層導電層12は良好な導電性を備える。
【0077】
第二に、各層を被覆する過程では、各層を切断する必要があり、直列タイプによって軸方向に沿って切断しても法線方向に沿って切断してもよく、図6の3つの前記セルモジュールが軸方向において直列設置される場合では、法線方向に沿って切断し、具体的には、
まず、3つのセルモジュールの構造に従って、製造された内部電極1を順次環状に切断し、外層導電層12を3つの独立したユニットに分割し、環状に切断する際には、内層絶縁層11の完全性を確保する必要があり、このようにすれば、最終的な電池パックの連続性が確保される。
【0078】
次に、内部電極1の外側に感光・電荷輸送層2を被覆してから、環状に切断し、3つの独立したユニットを形成し、隣接する両端間の隙間については外部電極のビアを残しておくべきである。
【0079】
その後、透明外部電極3を製造し、透明外部電極3を感光・電荷輸送層2の外側に被覆し、再度環状に切断し、3つの独立したユニットを形成し、このとき、3つの独立したセルモジュールが得られる。
【0080】
3回の環状切断及び成膜後、環状切断部をもって3つの前記セルモジュールの内外部電極を順次直列接続し、電池パックを確保するために、最外層に透明絶縁保護層を作製すると、作製が完了する。
【0081】
<実施例8>
本発明は、前記被覆型太陽電池を含む太陽光発電モジュールを提供する。
【0082】
前記被覆型太陽電池を備える太陽光発電モジュールは、構造が柔軟であり、多様な適用場面に適用でき、適用範囲が広く、しかも、多角度から光エネルギーを採集することができ、採集効果が高く、光エネルギー利用率が高い。
【0083】
なお、本願の説明において、「上」、「下」、「内」、「外」、「頂」、「底」などの用語により示される方位又は位置関係は図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願の説明を簡便且つ簡単にするために過ぎず、係る装置又は構成要素が必ずしも特定の方位を有したり、特定の方位で構成、操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、このため、本願を制限するものとして理解すべきではない。
【0084】
さらに、用語「第1」、「第2」は説明にのみ使用され、相対重要性を指示又は示唆するか、又は係る技術的特徴の数を暗黙的に示すものではない。これによって、「第1」、「第2」により限定される特徴は少なくとも2つの該特徴を明示又は暗黙的に含んでもよい。本願の説明においては、別途明確な限定がない限り「複数」、「いくつか」は少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0085】
本願では、別の明確な規定や限定がない限り、「取り付ける」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は広義に理解すべきであり、別途明確に限定しない限、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体接続であってもよく、直接連結、中間部品を介した間接的な連結、2つの構成要素の内部連通又は2つの構成要素の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記の用語の本願での具体的な意義を理解することができる。
【0086】
以上は本発明の特定実施形態に過ぎず、本発明の特許範囲はこれらに限定されず、当業者が本発明で開示された技術的範囲内で容易に想到し得る変化又は置換は全て本発明の特許範囲に含まれるものとする。よって、本発明の特許範囲は前記特許請求の範囲による特許範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0087】
1、内部電極
11、内層絶縁層
12、外層導電層
2、感光・電荷輸送層
21、p型輸送層
22、n型輸送層
23、i型感光層
3、透明外部電極
4、透明保護層
5、第1リード
6、第2リード
7、絶縁層
8、電荷再結合層
101、基板
102、下部電極
103、従来の感光・電荷輸送層
104、透明上部電極
105、従来の透明保護層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7