(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076323
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 5/314 20150101AFI20240529BHJP
H01Q 9/16 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H01Q5/314
H01Q9/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067854
(22)【出願日】2023-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2022187718
(32)【優先日】2022-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】高城 翔太
(57)【要約】
【課題】外的環境に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にするアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置のアンテナ基板1は、接続部3、第1及び第2導体素子4,5を備える。接続部3は、同軸ケーブル9に接続される内側電極31及び外側電極32を有する。第1導体素子4は、第1及び第2端41a,41bを有し第1端41aで内側電極31に接続される第1導体部41と、第3及び第4端42a,42bを有し第2及び第3端41b,42a間に第1実装領域21が存在するように配置される第2導体部42とを含む。第2導体素子5は、第5及び第6端5a,5bを有し第5端5aと内側電極31及び外側電極32との間にそれぞれ第2及び第3実装領域22,23が存在するように配置される。第1導体部41の第1及び第2端41a,41b間の電気長と第2導体素子5の第5及び第6端5a,5b間の電気長とは等しい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に位置し、同軸ケーブルの内側導体及び外側導体にそれぞれ接続される内側電極及び外側電極を有する接続部と、
前記基板に位置する第1導体素子と、
前記基板に位置する第2導体素子と、
を備え、
前記第1導体素子は、
第1端及び第2端を有し、前記第1端で前記内側電極に接続される第1導体部と、
第3端及び第4端を有し、前記第2端と前記第3端との間に第1実装領域が存在するように配置される第2導体部と、
を含み、
前記第2導体素子は、第5端及び第6端を有し、前記第5端と前記内側電極との間に第2実装領域、及び、前記第5端と前記外側電極との間に第3実装領域が存在するように配置され、
前記第1導体部の前記第1端と前記第2端との間の電気長と前記第2導体素子の前記第5端と前記第6端との間の電気長とは等しい、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記第1実装領域に位置し、前記第2端と前記第3端とを接続する短絡素子と、
前記第2実装領域に位置し、前記第5端と前記内側電極とを接続する回路素子と、
を備え、
前記第5端は、前記外側電極に接続されない、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1実装領域に位置し、前記第2端と前記第3端とを接続するインダクタと、
前記第3実装領域に位置し、前記第5端と前記外側電極とを接続する回路素子と、
を備え、
前記第5端は、前記内側電極に接続されない、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1実装領域に配置される第1切替部と、
前記第2実装領域及び前記第3実装領域に配置される第2切替部と、
を備え、
前記第1切替部は、前記第2端と前記第3端との間に短絡素子を接続する第1状態と、前記第2端と前記第3端との間にインダクタを接続する第2状態とを切り替え可能であり、
前記第2切替部は、前記第5端と前記内側電極とを接続する第3状態と、前記第5端と前記外側電極とを接続する第4状態とを切り替え可能である、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記同軸ケーブルは、第1周波数帯域の信号と、前記第1周波数帯域より低い第2周波数帯域の信号とを伝送するために用いられ、
前記第1導体部の前記第1端と前記第2端との間の電気長は、前記第1周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応し、
前記第1導体部の前記第1端と前記第2端との間の電気長と前記第2導体部の前記第3端と前記第4端との間の電気長との合計は、前記第2周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応する、
請求項1~4のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1導体部に接続される周波数調整素子を備え、
前記周波数調整素子は、1以上のインダクタ又は1以上のキャパシタを含む、
請求項1~4のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記回路素子は、1以上のインダクタ又は1以上のキャパシタを含む、
請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第1導体部及び前記第2導体部は、直線状であって、互いに一直線状に並び、
前記第2導体素子は、直線状である、
請求項1~4のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第1導体部と前記第2導体素子とは、前記接続部に対して互いに逆方向に延びる、
請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第1導体部及び前記第2導体部の少なくとも一方は、屈曲した形状である、
請求項1~4のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記第2導体部は、前記第1導体部の前記第2端から、前記第1導体部と交差する方向に延びる、
請求項1~4のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記第2導体素子は、屈曲した形状である、
請求項1~4のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記第1導体素子及び前記第2導体素子は、前記基板における同じ面に位置する、
請求項1~4のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記基板に位置し、前記第1導体部の少なくとも一部を介して前記内側電極に接続される第3導体素子と、
前記基板に位置し、前記外側電極に接続される第4導体素子と、
を備え、
前記第3導体素子と、前記第1導体部における前記第3導体素子と前記内側電極との間の部位と、で規定される電気長は、前記第4導体素子の電気長とは等しいが、前記第1導体部の前記第1端と前記第2端との間の電気長と前記第2導体部の前記第3端と前記第4端との間の電気長の合計と、前記第2導体素子の前記第5端と前記第6端との間の電気長とのいずれとも異なる、
請求項1~4のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記基板に位置し、前記第1導体部の少なくとも一部を介して前記内側電極に接続される第3導体素子を備え、
前記第3導体素子と、前記第1導体部における前記第3導体素子と前記内側電極との間の部位と、で規定される電気長は、前記第1導体部の前記第1端と前記第2端との間の電気長と前記第2導体部の前記第3端と前記第4端との間の電気長の合計と、前記第2導体素子の前記第5端と前記第6端との間の電気長とのいずれとも異なる、
請求項1~4のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項16】
基板と、
前記基板に位置し、同軸ケーブルの内側導体及び外側導体にそれぞれ接続される内側電極及び外側電極を有する接続部と、
前記基板に位置する第1導体素子と、
前記基板に、前記第1導体素子と対向して配置された第2導体素子と、
を備え、
前記第1導体素子は、
前記第2導体素子と対向する第1端と、前記第1端に対して前記第2導体素子とは反対側にある第2端と、を有し、前記第1端で前記内側電極に接続される第1導体部と、
前記第2端と対向する第3端と、前記第3端と対向する第4端と、前記第2端に沿った方向の両端である第5端及び第6端とを有し、前記第5端側の第1部位と前記第2端との間に第1実装領域が、前記第1部位と前記第6端との間の第2部位と前記第2端との間に第2実装領域がそれぞれ存在するように配置される第2導体部と、
を含み、
前記第2導体素子は、
前記第1導体素子と対向する第7端と、前記第7端に対して前記第1導体素子とは反対側にある第8端と、を有し、前記第7端と前記外側電極との間に第3実装領域が存在するように配置される第3導体部と、
前記第8端と対向する第9端と、前記第9端と対向する第10端と、前記第8端に沿った方向の両端である第11端及び第12端とを有し、前記第11端側の第3部位と前記第8端との間に第4実装領域が、前記第3部位と前記第12端との間の第4部位と前記第8端との間に第5実装領域がそれぞれ存在するように配置される第4導体部と、
を含み、
前記内側電極、前記第1実装領域及び前記第6端を結ぶ第1経路の電気長と、前記第3実装領域、前記第4実装領域及び前記第12端を結ぶ第2経路の電気長とは、等しく、
前記内側電極、前記第2実装領域及び前記第4端を結ぶ第3経路の電気長と、前記第3実装領域、前記第5実装領域及び前記第10端を結ぶ第4経路の電気長とは、等しい、
アンテナ装置。
【請求項17】
前記第1実装領域と前記第4実装領域とは、前記第1導体部の中心と前記第3導体部の中心とを結ぶ直線に対して反対側に位置する、
請求項16に記載のアンテナ装置。
【請求項18】
前記基板に前記第1導体部又は前記第3導体部の少なくとも一方との間に第6実装領域が存在するように配置される第3導体素子を更に備える、
請求項16又は17に記載のアンテナ装置。
【請求項19】
前記第3導体素子は、前記第1導体部との間及び前記第3導体部との間のそれぞれに前記第6実装領域が存在するように、配置される、
請求項18に記載のアンテナ装置。
【請求項20】
前記内側電極、前記第3導体素子、前記第5実装領域、及び、前記第10端を結ぶ第5経路と、前記第3経路とは、共通の共振周波数帯域を含み、
前記内側電極、前記第3導体素子、前記第4実装領域、及び、前記第12端を結ぶ第6経路と、前記第1経路とは、共通の共振周波数帯域を含む、
請求項18に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、マルチバンドアンテナ(アンテナ装置)を開示する。特許文献1に開示されたマルチバンドアンテナの好ましい実施態様には、2つ以上の周波数帯においてマルチバンド動作を提供するための1つ以上の結合放射素子及び/又は分岐放射素子を有するモノポールマルチバンドアンテナ、ダイポールマルチバンドアンテナ及び逆F型アンテナが含まれる。例えば、好ましいマルチバンドアンテナは、グランド素子、グランド素子に接続し、またモノポール放射器から延びる給電端子を有するモノポール放射器、グランド素子に接続した結合放射器、及びモノポール放射器に接続された分岐放射器を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたマルチバンドアンテナは、例えば、同軸ケーブルを使用して給電される。同軸ケーブルの中心導体(内側導体)は、給電素子にはんだ接続によって電気的に接続され、外部導体(外側導体)は、グランド素子にはんだ接続によって電気的に接続される。
【0005】
アンテナ装置では、外的環境に起因してアンテナ特性が変化する場合がある。外的環境は、アンテナ装置自身ではなくアンテナ装置を取り巻く環境であり、アンテナ装置の設置環境、接続環境を含む。アンテナ装置の設置環境は、例えば、アンテナ装置が設置される場所の周囲の金属部材の数、大きさ、形状、配置を含み得る。アンテナ装置の接続環境は、アンテナ装置に接続される同軸ケーブルの長さを含み得る。例えば、同軸ケーブルが長い場合には、同軸ケーブルが短い場合に比べて、アンテナ特性が低下する可能性がある。逆に、同軸ケーブルが短い場合には、同軸ケーブルが長い場合に比べて、周波数帯域間でアンテナ特性が大きく異なる場合がある。
【0006】
本開示は、外的環境に起因する特性の変化の改善を可能にするアンテナ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様にかかるアンテナ装置は、基板と、基板に位置し、同軸ケーブルの内側導体及び外側導体にそれぞれ接続される内側電極及び外側電極を有する接続部と、基板に位置する第1導体素子と、基板に位置する第2導体素子と、を備える。第1導体素子は、第1端及び第2端を有し、第1端で内側電極に接続される第1導体部と、第3端及び第4端を有し、第2端と第3端との間に第1実装領域が存在するように配置される第2導体部と、を含む。第2導体素子は、第5端及び第6端を有し、第5端と内側電極との間に第2実装領域、及び、第5端と外側電極との間に第3実装領域が存在するように配置される。第1導体部の第1端と第2端との間の電気長と第2導体素子の第5端と第6端との間の電気長とは等しい。
【0008】
本開示の一態様にかかるアンテナ装置は、基板と、基板に位置し、同軸ケーブルの内側導体及び外側導体にそれぞれ接続される内側電極及び外側電極を有する接続部と、基板に位置する第1導体素子と、基板に、第1導体素子と対向して配置された第2導体素子と、を備える。第1導体素子は、第2導体素子と対向する第1端と、第1端に対して第2導体素子とは反対側にある第2端と、を有し、第1端で内側電極に接続される第1導体部と、第2端と対向する第3端と、第3端と対向する第4端と、第2端に沿った方向の両端である第5端及び第6端とを有し、第2端との間に、第1実装領域と、第1実装領域よりも第6端側の第2実装領域とが存在するように配置される第2導体部と、を含む。第2導体素子は、第1導体素子と対向する第7端と、第7端に対して第1導体素子とは反対側にある第8端と、を有し、第7端と外側電極との間に第3実装領域が存在するように配置される第3導体部と、第8端と対向する第9端と、第9端と対向する第10端と、第8端に沿った方向の両端である第11端及び第12端とを有し、第8端との間に、第4実装領域と、第4実装領域よりも第8端側の第5実装領域とが存在するように配置される第4導体部と、を含む。内側電極、第1実装領域及び第6端を結ぶ第1経路の電気長と、第3実装領域、第4実装領域及び第12端を結ぶ第2経路の電気長とは等しい。内側電極、第1実装領域及び第4端を結ぶ第3経路の電気長と、第3実装領域、第5実装領域及び第10端を結ぶ第4経路の電気長とは等しい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の態様は、外的環境に起因する特性の変化の改善を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1にかかるアンテナ基板の構成例の平面図
【
図2】
図1のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例1の平面図
【
図3】
図1のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例2の平面図
【
図4】実施の形態2にかかるアンテナ基板の構成例の平面図
【
図5】
図4のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例1の平面図
【
図6】
図4のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例2の平面図
【
図7】実施の形態3にかかるアンテナ装置の構成例の平面図
【
図8】実施の形態4にかかるアンテナ基板の構成例の平面図
【
図9】
図8のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例1の平面図
【
図10】
図8のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例2の平面図
【
図11】実施の形態5にかかるアンテナ基板の構成例の平面図
【
図12】
図11のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例1の平面図
【
図13】
図11のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例2の平面図
【
図14】実施の形態6にかかるアンテナ基板の構成例の平面図
【
図15】
図14のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例1の平面図
【
図16】
図14のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例2の平面図
【
図17】実施の形態7にかかるアンテナ基板の構成例の平面図
【
図18】
図17のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例1の平面図
【
図19】
図17のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例2の平面図
【
図20】実施の形態8にかかるアンテナ基板の構成例の平面図
【
図21】
図20のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例1の平面図
【
図22】
図20のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例2の平面図
【
図23】
図20のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例3の平面図
【
図24】
図20のアンテナ基板を備えるアンテナ装置の構成例4の平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1.実施の形態]
以下、場合によって図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。ただし、以下の実施の形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容(例えば、各構成要素の形状、寸法、配置等)に限定する趣旨ではない。上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。以下の実施の形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、各要素の寸法比率は図面に図示された比率に限られるものではない。
【0012】
なお、以下の説明において、複数ある構成要素を互いに区別する必要がある場合には、「第1」、「第2」等の接頭辞を構成要素の名称に付すが、構成要素に付した符号により互いに区別可能である場合には、文章の読みやすさを考慮して、「第1」、「第2」等の接頭辞を省略する場合がある。
【0013】
[1.1 実施の形態1]
[1.1.1 構成]
図1は、実施の形態1にかかるアンテナ基板1の構成例の平面図である。
図1のアンテナ基板1は、複数の周波数帯域での無線通信を可能にするアンテナ装置(マルチバンドアンテナ)に用いられる。アンテナ装置は、例えば、通信機器、家電製品、コンピューティングデバイス等の種々の機器に搭載される。
図2は、
図1のアンテナ基板1を備えるアンテナ装置の構成例1(以下、アンテナ装置11)の平面図である。
図3は、
図1のアンテナ基板1を備えるアンテナ装置の構成例2(以下、アンテナ装置12)の平面図である。
【0014】
最初に、
図1のアンテナ基板1について説明する。
図1のアンテナ基板1は、基板2と、接続部3と、第1導体素子4と、第2導体素子5と、を備える。
【0015】
図1の基板2は、厚み方向Z、厚み方向Zに直交する第1方向X、及び、厚み方向Z及び第1方向Xにそれぞれ直交する第2方向Yを有する。本実施の形態において、基板2は、矩形の板状である。例えば、第1方向Xは基板2の幅方向、第2方向Yは基板2の長さ方向である。
【0016】
基板2は、例えば、誘電体基板である。誘電体基板の例としては、低温同時焼成セラミックス(LTCC)多層基板、エポキシ、ポリイミド等の樹脂から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板、より低い誘電率を有する液晶ポリマ(LCP)から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板、フッ素系樹脂から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板、及び、LTCC以外のセラミックス多層基板が挙げられる。
【0017】
図1に示すように、接続部3と、第1導体素子4と、第2導体素子5とは、基板2に位置する。
図1では、接続部3と、第1導体素子4と、第2導体素子5とは、基板2の主表面2aに位置する。すなわち、本実施の形態において、第1導体素子4と、第2導体素子5とは、基板2の同じ面(主表面)2aに位置する。より詳細には、接続部3は、第1導体素子4と、第2導体素子5とは、基板2の同じ面(主表面)2aに位置する。
【0018】
図1の接続部3は、同軸ケーブル9との接続に用いられる。
【0019】
同軸ケーブル9は、アンテナ基板1と外部回路との接続に用いられる。同軸ケーブル9は、内側導体91と、内側導体91を囲う外側導体92とを有する。同軸ケーブル9は、更に、内側導体91と外側導体92との間に配置される絶縁体93を備える。同軸ケーブル9の構成には、従来周知の構成を採用できるから、詳細な説明は省略する。
【0020】
図1の接続部3は、内側電極31と、外側電極32とを有する。内側電極31は、同軸ケーブル9の内側導体91に接続される。内側電極31は、アンテナ基板1において給電点として作用し得る。外側電極32は、同軸ケーブル9の外側導体92に接続される。外側電極32は、アンテナ基板1においてグランドとして作用し得る。内側電極31及び外側電極32は、基板2の主表面2aに形成される導体パターンにより構成される。
【0021】
図1の接続部3は、更に、同軸コネクタ33を有する。同軸コネクタ33は、同軸ケーブル9の内側導体91及び外側導体92と内側電極31及び外側電極32とのはんだ付けを不要にし、同軸ケーブル9との接続を容易にする。同軸コネクタ33は、同軸ケーブル9の内側導体91及び外側導体92それぞれと結合される内側コンタクト33a及び外側コンタクト33bを有する。
【0022】
図1の同軸コネクタ33は、表面実装型の部品である。同軸コネクタ33は、基板2の主表面2aに実装される。内側コンタクト33a及び外側コンタクト33bは内側電極31及び外側電極32にそれぞれ接続される。
図1では、内側電極31は、同軸コネクタ33から第2方向Yに延びて平面視において同軸コネクタ33と重ならない第1延出部31aを有する。
図1では、外側電極32は、同軸コネクタ33から第1方向Xに延びて平面視において同軸コネクタ33と重ならないと第2延出部32aを有する。
【0023】
図1の第1導体素子4は、アンテナ素子として機能するように構成される。第1導体素子4は、第1導体部41と、第2導体部42とを含む。第1導体部41と、第2導体部42とは、基板2の主表面2aに形成される導体パターンにより構成される。
【0024】
第1導体部41は、第1端41a及び第2端41bを有する。本実施の形態において、第1導体部41は、直線状である。
図1の第1導体部41は、内側電極31の第1延出部31aに対して第1方向Xとは反対方向(
図1の左方向)に沿って延びる。第1端41aは、第1導体部41における内側電極31の第1延出部31a側の端であり、第2端41bは、第1導体部41における内側電極31の第1延出部31aと反対側の端である。第1導体部41は、内側電極31に接続される。より詳細には、第1導体部41は、第1端41aで内側電極31に接続される。本実施の形態において、第1端41aは内側電極31の第1延出部31aに連続一体に繋がっている。そのため、第1導体部41と内側電極31とは同じ導体パターンの異なる部分である。本実施の形態において、
図1の仮想線L1は、仮想線L1は、第1導体部41と第1延出部31aとの設計上の境界を示す。
図1において、第1導体部41は、第2方向Yから見て、第1延出部31aとは重ならず、第1延出部31aから第1方向Xとは反対方向に延びている部分であるとしている。
図1の仮想線L1は、内側電極31における第1方向X側とは反対側の辺を第2方向Yに沿って延長した線である。第1導体部41と内側電極31とが連続一体になった導体パターンにおいて、仮想線L1から第1方向Xとは反対方向に出る部分が第1導体部41であり、第1端41aは仮想線L1に接する部分である。
【0025】
第2導体部42は、第3端42a及び第4端42bを有する。本実施の形態において、第2導体部42は、直線状ではない。第2導体部42は、屈曲した形状である。
図1の第2導体部42は、L字状である。より詳細には、第2導体部42は、第1部位421と、第2部位422とを有する。第1部位421は、第1導体部41の第2端41bに対して第2方向Yに沿って延びる。ここで、上述したように、第1導体部41は、内側電極31の第1延出部31aに対して第1方向Xとは反対方向に沿って延びる。そのため、第2導体部42は、第1導体部41の第2端41bから、第1導体部41と交差する方向に延びる。第2部位422は、第1部位421の先端に対して第1方向Xに沿って延びる。
【0026】
第2導体部42は、第1導体部41との間に第1実装領域21が存在するように配置される。より詳細には、第2導体部42は、第2端41bと第3端42aとの間に第1実装領域21が存在するように配置される。第1実装領域21は、回路要素の配置を可能にするために確保される領域である。回路要素は、第2端41bを第3端42aに接続するために用いられ得る。回路要素は、例えば、チップ部品等の回路素子、及び、導体パターンの少なくとも一つを含み得る。第1実装領域21に回路要素が配置されていない状態では、第2導体部42と第1導体部41とは電気的に接続されていない。第1実装領域21の大きさは、第1実装領域21に配置することを予定している回路要素の大きさに応じて適宜設定される。
【0027】
図1の第2導体素子5は、アンテナ素子として機能するように構成される。第2導体素子5は、基板2の主表面2aに形成される導体パターンにより構成される。第2導体素子5は、第5端5a及び第6端5bを有する。本実施の形態において、第2導体素子5は、直線状である。
図1の第2導体素子5は、内側電極31の第1延出部31aに対して第1方向Xに沿って延びる。第5端5aは、第2導体素子5における第1延出部31a及び第2延出部32a側の端であり、第6端5bは、第2導体素子5における第1延出部31a及び第2延出部32aと反対側の端である。上述したように、第1導体部41は、内側電極31の第1延出部31aに対して第1方向Xとは反対方向に沿って延びる。よって、第1導体部41と第2導体素子5とは、接続部3に対して互いに逆方向に延びる。この構成は、アンテナ効率の向上を可能にする。
【0028】
第2導体素子5は、内側電極31との間に第2実装領域22、及び、外側電極32との間に第3実装領域23が存在するように配置される。より詳細には、第2導体素子5は、第2導体素子5における接続部3側の部位と内側電極31及び外側電極32との間に第2実装領域22及び第3実装領域23がそれぞれ存在するように配置される。本実施の形態において、第2導体素子5は、第5端5aと内側電極31との間に第2実装領域22、及び、第5端5aと外側電極32との間に第3実装領域23が存在するように配置される。第2実装領域22及び第3実装領域23は、回路要素の配置を可能にするために確保される領域である。第2実装領域22及び第3実装領域23において、回路要素は、第5端5aを、内側電極31及び外側電極32の一方に接続するために用いられ得る。回路要素は、例えば、チップ部品等の回路素子、及び、導体パターンの少なくとも一つを含み得る。第2実装領域22に回路要素が配置されていない状態では、第2導体素子5と内側電極31とは電気的に接続されていない。第3実装領域23に回路要素が配置されていない状態では、第2導体素子5と外側電極32とは電気的に接続されていない。第2実装領域22の大きさは、第2実装領域22に配置することを予定している回路要素の大きさに応じて適宜設定される。第3実装領域23の大きさは、第3実装領域23に配置することを予定している回路要素の大きさに応じて適宜設定される。本実施の形態において、第2実装領域22は、基板2における第2導体素子5の第5端5aと内側電極31の第1延出部31aとの間の領域である。本実施の形態において、第3実装領域23は、基板2における第2導体素子5の第5端5aと外側電極32の第2延出部32aとの間の領域である。
【0029】
本実施の形態において、アンテナ基板1は、2つの周波数帯域での無線通信を可能にするように構成される。2つの周波数帯域は、例えば、第1周波数帯域、及び、第1周波数帯域より低い第2周波数帯域である。第1周波数帯域の例としては、例えば、5GHz付近の周波数帯域(例えば、5.15GHz~5.80GHz)が挙げられる。第2周波数帯域の例としては、2.4GHz付近の周波数帯域(例えば、2.40GHz~2.50GHz)が挙げられる。同軸ケーブル9は、第1周波数帯域の信号と、第1周波数帯域より低い第2周波数帯域の信号とを伝送するために用いられる。
【0030】
第1導体素子4は、第1周波数帯域及び第2周波数帯域に対応する。本実施の形態において、第1導体部41の長さは、第1周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応する。第1導体部41の長さと第2導体部42の長さとの合計は、第2周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応する。第1導体部41の長さは、第1導体部41の第1端41aと第2端41bとの間の電気長に対応する。第2導体部42の長さは、第2導体部42の第3端42aと第4端42bとの間の電気長に対応する。
【0031】
第2導体素子5は、第1周波数帯域に対応する。本実施の形態において、第2導体素子5の長さは、第1周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応する。第2導体素子5の長さは、第2導体素子5の第5端5aと第6端5bとの間の電気長に対応する。つまり、第1導体部41の第1端41aと第2端41bとの間の電気長と第2導体素子5の第5端5aと第6端5bとの間の電気長とは等しい。ただし、第1導体部41の第1端41aと第2端41bとの間の電気長と第2導体素子5の第5端5aと第6端5bとの間の電気長とは厳密な意味で等しいことは要求されない。例えば、第1導体部41の第1端41aと第2端41bとの間の電気長と第2導体素子5の第5端5aと第6端5bとの間の電気長との差が、第1導体部41の第1端41aと第2端41bとの間の電気長と第2導体素子5の第5端5aと第6端5bとの間の電気長との長い方の10%以下であればよい。換言すれば、第1導体部41の電気長と第2導体素子5の電気長とは、所望の周波数帯域において、第1導体部41と第2導体素子5とがダイポールアンテナとして機能し得る程度に等しければよい。
【0032】
以上述べたアンテナ基板1は、
図2のアンテナ装置11の製造、及び、
図3のアンテナ装置12の製造に利用可能である。
図2のアンテナ装置11及び
図3のアンテナ装置12は、同じアンテナ基板1を用いて製造され得る。
【0033】
次に、
図2のアンテナ装置11について説明する。
図2のアンテナ装置11は、アンテナ基板1(基板2、接続部3、第1導体素子4及び第2導体素子5)と、短絡素子61と、回路素子71と、を備える。
【0034】
短絡素子61は、第1実装領域21に位置し、第2端41bと第3端42aとを接続する。短絡素子61は、例えば、0Ωの抵抗素子(抵抗器)である。短絡素子61は、0Ωの抵抗素子に限らず、第2端41bと第3端42aとを短絡できれば、はんだ、導体パターン、導電性接着剤等であってもよい。
【0035】
回路素子71は、第2実装領域22に位置し、第5端5aと内側電極31とを接続する。回路素子71は、例えば、1以上のインダクタ又は1以上のキャパシタを含む。回路素子71は、第2導体素子5の共振周波数の調整に利用できる。同軸ケーブル9の長さと第2導体素子5の初期共振周波数とを考慮して、回路素子71の構成が決定され得る。一例として、第1周波数帯域での初期共振周波数が比較的高い場合には、回路素子71はインダクタを含む。第1周波数帯域での初期共振周波数が比較的低い場合には、回路素子71はキャパシタを含む。
【0036】
アンテナ装置11において、第3実装領域23には、回路要素が配置されない。つまり、第5端5aは、外側電極32に接続されない。したがって、第2導体素子5の第5端5aは内側電極31に接続されるが、外側電極32には接続されない。
【0037】
図2のアンテナ装置11では、第1導体素子4において、第1導体部41と第2導体部42との間が短絡される。これによって、第1導体素子4の電気長は、第1周波数帯域に対応しなくなり、第2周波数帯域にのみ対応する。そのため、第1導体素子4は、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。第2導体素子5は、外側電極32ではなく内側電極31に接続される。そのため、第2導体素子5は、第1周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。このように、
図2のアンテナ装置11は、第1周波数帯域及び第2周波数帯域の両方に対してモノポールアンテナとして機能する。
【0038】
図2のアンテナ装置11は、第1導体素子4で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第2導体素子5で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的短い場合の周波数に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0039】
次に、
図3のアンテナ装置12について説明する。
図3のアンテナ装置12は、アンテナ基板1(基板2、接続部3、第1導体素子4及び第2導体素子5)と、インダクタ62と、回路素子72と、を備える。
【0040】
インダクタ62は、第1実装領域21に位置し、第2端41bと第3端42aとを接続する。インダクタ62のインダクタンスは、第1導体部41の長さの4倍に対応する周波数帯域の信号を遮断し、第1導体部41と第2導体部42の長さの合計の4倍に対応する周波数帯域の信号を通すように設定される。本実施の形態において、インダクタ62は、第1周波数帯域の信号を遮断し、第2周波数帯域の信号を通すローパスフィルタを構成する。第1実装領域21には、インダクタ62とともにローパスフィルタを構成する回路素子が配置されてよい。
【0041】
回路素子72は、第3実装領域23に位置し、第5端5aと外側電極32とを接続する。回路素子72は、例えば、短絡素子である。短絡素子は、例えば、0Ωの抵抗素子(抵抗器)であってよい。短絡素子は、0Ωの抵抗素子に限らず、短絡が可能であれば、はんだ、導体パターン、導電性接着剤等であってもよい。
【0042】
アンテナ装置12において、第2実装領域22には、回路要素が配置されない。つまり、第5端5aは、内側電極31に接続されない。したがって、第2導体素子5の第5端5aは外側電極32に接続されるが、内側電極31には接続されない。
【0043】
図3のアンテナ装置12では、第1導体素子4において、第1導体部41と第2導体部42との間にインダクタ62が配置される。インダクタ62は、第1周波数帯域の信号を遮断する。これによって、第1導体素子4の実質的な電気長は、第1導体部41の長さで決まるから、第1周波数帯域に対応する。更に、第2導体素子5は、内側電極31ではなく外側電極32に接続される。そのため、第1周波数帯域に対しては、第1導体部41が給電点、第2導体素子5がグランドに接続された状態となる。よって、第1導体素子4及び第2導体素子5は、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能する。一方、インダクタ62は、第2周波数帯域の信号を通す。これによって、第1導体素子4の実質的な電気長は、第1導体部41の長さと第2導体部42の長さの合計で決まるから、第2周波数帯域に対応する。そのため、第1導体素子4は、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。このように、
図3のアンテナ装置12は、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能し、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。
【0044】
図3のアンテナ装置12は、第1導体素子4で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第1導体素子4と第2導体素子5で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的長い場合でもアンテナ特性を向上できる。
【0045】
[1.1.2 評価]
次に、以上述べた実施の形態1のアンテナ装置(アンテナ装置11,12)、及び、比較例のアンテナ装置に関してアンテナ特性の評価を行った。比較例のアンテナ装置では、第2導体部42が第1導体部41に連続一体に接続され、第2導体素子5が内側電極31に連続一体に接続されている。これによって、比較例1のアンテナ装置は、第1周波数帯域及び第2周波数帯域の両方に対してモノポールアンテナとして機能する。
【0046】
アンテナ特性の評価において、第1周波数帯域は、例えば、5GHz付近の周波数帯域(例えば、5.15GHz~5.8GHz)であり、第2周波数帯域は、2.4GHz付近の周波数帯域(例えば、2.4GHz~2.5GHz)である。
【0047】
下記表1は、外的環境が異なる場合、例えば、同軸ケーブル9が比較的短い場合と同軸ケーブル9が比較的長い場合とでの、実施の形態1と比較例との第1周波数帯域及び第2周波数帯域でのアンテナ効率[dB]を示す。同軸ケーブル9が比較的短い場合は、例えば、同軸ケーブル9の長さが、第2周波数帯域に対応する波長の1/4未満である場合である。同軸ケーブル9が比較的長い場合は、例えば、同軸ケーブル9の長さが第2周波数帯域に対応する波長の1/4以上である場合である。なお、同軸ケーブル9が比較的短い場合の実施の形態1のアンテナ効率は、アンテナ装置11のアンテナ効率を示し、同軸ケーブル9が比較的長い場合の実施の形態1のアンテナ効率は、アンテナ装置12のアンテナ効率を示す。
【0048】
【0049】
表1から、比較例では、同軸ケーブル9が比較的長い場合から同軸ケーブル9が比較的短い場合になると、第2周波数帯域でのアンテナ効率が、3.4dB低下している。同軸ケーブル9が比較的短い場合、第1周波数帯域と第2周波数帯域とのアンテナ効率の差が4.7dBである。
【0050】
これに対して、実施の形態1では、同軸ケーブル9が比較的長い場合から同軸ケーブル9が比較的短い場合になると、第2周波数帯域でのアンテナ効率が、3.0dB低下しているが、比較例に比べて、低下量は少ない。実施の形態1では、同軸ケーブル9が比較的短い場合、第1周波数帯域と第2周波数帯域とのアンテナ効率の差が4.3dBであるが、比較例に比べて、差は小さい。
【0051】
表1から、同軸ケーブル9が比較的長い場合と同軸ケーブル9が比較的短い場合とのいずれにおいても、実施の形態1の第1及び第2周波数帯域でのアンテナ効率は、比較例の第1及び第2周波数帯域でのアンテナ効率より大きい。
【0052】
以上から、実施の形態1は、外的環境、特に同軸ケーブル9の長さに起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。また、実施の形態1は、第1導体素子4で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第2導体素子5で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的短い場合の周波数に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。また、実施の形態1は、第1導体素子4で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第1導体素子4と第2導体素子5で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的長い場合でもアンテナ特性を向上できる。外的環境の変化は、同軸ケーブル9の長さ以外でも生じ得、実施の形態1は、外的環境に応じて、アンテナ装置11とアンテナ装置12とからより好ましいアンテナ特性を有するほうを選択することを可能にする。よって、実施の形態1は、外的環境に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0053】
[1.1.3 効果等]
以上述べたアンテナ装置(アンテナ装置11,12)は、基板2と、基板2に位置し、同軸ケーブル9の内側導体91及び外側導体92にそれぞれ接続される内側電極31及び外側電極32を有する接続部3と、基板2に位置する第1導体素子4と、基板2に位置する第2導体素子5と、を備える。第1導体素子4は、第1端41a及び第2端41bを有し、第1端41aで内側電極31に接続される第1導体部41と、第3端42a及び第4端42bを有し、第2端41bと第3端42aとの間に第1実装領域21が存在するように配置される第2導体部42と、を含む。第2導体素子5は、第5端5a及び第6端5bを有し、第5端5aと内側電極31との間に第2実装領域22、及び、第5端5aと外側電極32との間に第3実装領域23が存在するように配置される。第1導体部41の第1端41aと第2端41bとの間の電気長と第2導体素子5の第5端5aと第6端5bとの間の電気長とは等しい。この構成は、外的環境、特に同軸ケーブル9の長さに起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0054】
アンテナ装置11は、短絡素子61と、回路素子71とを備える。短絡素子61は、第1実装領域21に位置し、第2端41bと第3端42aとを接続する。回路素子71は、第2実装領域22に位置し、第5端5aと内側電極31とを接続する。第5端5aは、外側電極32に接続されない。この構成は、第1導体素子4で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第2導体素子5で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的短い場合の周波数に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0055】
アンテナ装置12は、インダクタ62と、回路素子72とを備える。インダクタ62は、第1実装領域21に位置し、第2端41bと第3端42aとを接続する。回路素子72は、第3実装領域23に位置し、第5端5aと外側電極32とを接続する。第5端5aは、内側電極31に接続されない。この構成は、第1導体素子4で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第1導体素子4と第2導体素子5で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的長い場合でもアンテナ特性を向上できる。
【0056】
アンテナ装置(アンテナ装置11,12)において、同軸ケーブル9は、第1周波数帯域の信号と、第1周波数帯域より低い第2周波数帯域の信号とを伝送するために用いられる。第1導体部41の第1端41aと第2端41bとの間の電気長は、第1周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応する。第1導体部41の第1端41aと第2端41bとの間の電気長と第2導体部42の第3端42aと第4端42bとの間の電気長との合計は、第1周波数帯域より低い第2周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応する。この構成は、外的環境、特に同軸ケーブル9の長さに起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0057】
アンテナ装置11において、回路素子71は、1以上のインダクタ又は1以上のキャパシタを含む。この構成は、第2導体素子5を用いる無線通信においてアンテナ効率の向上を可能にする。
【0058】
アンテナ装置(アンテナ装置11,12)において、第2導体部42は、屈曲した形状である。この構成は、第2導体部42が直線状である場合に比べて、基板2の長さを短くできる。
【0059】
アンテナ装置(アンテナ装置11,12)において、第2導体部42は、第1導体部41の第2端41bから、第1導体部41と交差する方向に延びる。この構成は、第1導体部及び第2導体部の両方が一直線に並ぶ場合に比べて、基板2の長さを短くできる。
【0060】
アンテナ装置(アンテナ装置11,12)において、第1導体部41と第2導体素子5とは、接続部3に対して互いに逆方向に延びる。この構成は、アンテナ効率の向上を可能にする。
【0061】
アンテナ装置(アンテナ装置11,12)において、第1導体素子4及び第2導体素子5は、基板2における同じ面(主表面2a)に位置する。この構成は、外的環境、特に同軸ケーブル9の長さに起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0062】
以上述べたアンテナ基板1は、基板2と、基板2に位置し、同軸ケーブル9の内側導体91及び外側導体92にそれぞれ接続される内側電極31及び外側電極32を有する接続部3と、基板2に位置する第1導体素子4と、基板2に位置する第2導体素子5と、を備える。第1導体素子4は、第1端41a及び第2端41bを有し、第1端41aで内側電極31に接続される第1導体部41と、第3端42a及び第4端42bを有し、第2端41bと第3端42aとの間に第1実装領域21が存在するように配置される第2導体部42と、を含む。第2導体素子5は、第5端5a及び第6端5bを有し、第5端5aと内側電極31との間に第2実装領域22、及び、第5端5aと外側電極32との間に第3実装領域23が存在するように配置される。第1導体部41の第1端41aと第2端41bとの間の電気長と第2導体素子5の第5端5aと第6端5bとの間の電気長とは等しい。この構成は、外的環境、特に同軸ケーブル9の長さに起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0063】
[1.2 実施の形態2]
[1.2.1 構成]
図4は、実施の形態2にかかるアンテナ基板1Aの構成例の平面図である。
図5は、
図4のアンテナ基板1Aを備えるアンテナ装置の構成例1(以下、アンテナ装置11A)の平面図である。
図6は、
図4のアンテナ基板1Aを備えるアンテナ装置の構成例2(以下、アンテナ装置12A)の平面図である。
【0064】
最初に、
図4のアンテナ基板1Aについて説明する。
図4のアンテナ基板1Aは、基板2と、接続部3と、第1導体素子4Aと、第2導体素子5と、を備える。
【0065】
第1導体素子4Aは、第1導体部41Aと、第2導体部42とを含む。第1導体部41Aと、第2導体部42とは、基板2の主表面2aに形成される導体パターンにより構成される。
【0066】
第1導体部41Aは、第1端41a及び第2端41bを有する。本実施の形態において、第1導体部41Aは、直線状である。
図4の第1導体部41Aは、内側電極31の第1延出部31aに対して第1方向Xとは反対方向(
図4の左方向)に沿って延びる。第1端41aは、第1導体部41Aにおける内側電極31の第1延出部31a側の端であり、第2端41bは、第1導体部41Aにおける内側電極31の第1延出部31aと反対側の端である。第1導体部41Aは、内側電極31に接続される。
【0067】
図5,6に示すように、アンテナ基板1Aは、第1導体部41Aに接続される周波数調整素子43を備える。第1導体部41Aは、周波数調整素子43を介して、内側電極31に接続される。より詳細には、第1導体部41Aは、第1端41aが、周波数調整素子43を介して、内側電極31の第1延出部31aに接続される。
【0068】
周波数調整素子43は、第1端41aと内側電極31とを接続する。周波数調整素子43は、例えば、1以上のインダクタ又は1以上のキャパシタを含む。周波数調整素子43は、第1導体素子4Aの共振周波数の調整に利用できる。同軸ケーブル9の長さと第1導体素子4Aの初期共振周波数とを考慮して、周波数調整素子43の構成が決定され得る。一例として、同軸ケーブル9が比較的長い場合で、第1周波数帯域での初期共振周波数が比較的高い場合には、周波数調整素子43はインダクタを含む。一例として、同軸ケーブル9が比較的長い場合で、第1周波数帯域での初期共振周波数が比較的低い場合には、周波数調整素子43はキャパシタを含む。一例として、第2周波数帯域での初期共振周波数が比較的高い場合には、周波数調整素子43はインダクタを含む。一例として、第2周波数帯域での初期共振周波数が比較的低い場合には、周波数調整素子43はキャパシタを含む。
【0069】
以上述べたアンテナ基板1Aは、
図5のアンテナ装置11Aの製造、及び、
図6のアンテナ装置12Aの製造に利用可能である。
図5のアンテナ装置11A及び
図6のアンテナ装置12Aは、同じアンテナ基板1Aを用いて製造され得る。
【0070】
次に、
図5のアンテナ装置11Aについて説明する。
図5のアンテナ装置11Aは、アンテナ基板1A(基板2、接続部3、第1導体素子4A、第2導体素子5及び周波数調整素子43)と、短絡素子61と、回路素子71と、を備える。
【0071】
図5のアンテナ装置11Aでは、第1導体素子4Aにおいて、第1導体部41Aと第2導体部42との間が短絡される。これによって、第1導体素子4Aの電気長は、第1周波数帯域に対応しなくなり、第2周波数帯域にのみ対応する。そのため、第1導体素子4Aは、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。第2導体素子5は、外側電極32ではなく内側電極31に接続される。そのため、第2導体素子5は、第1周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。このように、
図5のアンテナ装置11Aは、第1周波数帯域及び第2周波数帯域の両方に対してモノポールアンテナとして機能する。
【0072】
図5のアンテナ装置11Aは、第1導体素子4Aで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第2導体素子5で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的短い場合の周波数に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0073】
次に、
図6のアンテナ装置12Aについて説明する。
図6のアンテナ装置12Aは、アンテナ基板1A(基板2、接続部3、第1導体素子4A、第2導体素子5及び周波数調整素子43)と、インダクタ62と、回路素子72と、を備える。
【0074】
図6のアンテナ装置12Aでは、第1導体素子4Aにおいて、第1導体部41Aと第2導体部42との間にインダクタ62が配置される。インダクタ62は、第1周波数帯域の信号を遮断する。これによって、第1導体素子4Aの実質的な電気長は、第1導体部41Aの長さで決まるから、第1周波数帯域に対応する。更に、第2導体素子5は、内側電極31ではなく外側電極32に接続される。そのため、第1周波数帯域に対しては、第1導体部41Aが給電点、第2導体素子5がグランドに接続された状態となる。よって、第1導体素子4A及び第2導体素子5は、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能する。一方、インダクタ62は、第2周波数帯域の信号を通す。これによって、第1導体素子4Aの実質的な電気長は、第1導体部41Aの長さと第2導体部42の長さの合計で決まるから、第2周波数帯域に対応する。そのため、第1導体素子4Aは、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。このように、
図6のアンテナ装置12Aは、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能し、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。
【0075】
図6のアンテナ装置12Aは、第1導体素子4Aで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第1導体素子4Aと第2導体素子5で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的長い場合でもアンテナ特性を向上できる。
【0076】
[1.2.2 評価]
次に、以上述べた実施の形態2のアンテナ装置(アンテナ装置11A,12A)に関してアンテナ特性の評価を行った。
【0077】
アンテナ特性の評価において、第1周波数帯域は、例えば、5GHz付近の周波数帯域(例えば、5.15GHz~5.8GHz)であり、第2周波数帯域は、2.4GHz付近の周波数帯域(例えば、2.4GHz~2.5GHz)である。
【0078】
下記表2は、外的環境が異なる場合、例えば、同軸ケーブル9が比較的短い場合と同軸ケーブル9が比較的長い場合とでの、実施の形態1と実施の形態2との第1周波数帯域及び第2周波数帯域でのアンテナ効率[dB]を示す。同軸ケーブル9が比較的短い場合は、例えば、同軸ケーブル9の長さが、第2周波数帯域に対応する波長の1/4未満である場合である。同軸ケーブル9が比較的長い場合は、例えば、同軸ケーブル9の長さが第2周波数帯域に対応する波長の1/4以上である場合である。なお、同軸ケーブル9が比較的短い場合の実施の形態1,2のアンテナ効率は、アンテナ装置11,11Aのアンテナ効率を示し、同軸ケーブル9が比較的長い場合の実施の形態1,2のアンテナ効率は、アンテナ装置12,12Aのアンテナ効率を示す。
【0079】
【0080】
表2から、同軸ケーブル9が比較的長い場合と同軸ケーブル9が比較的短い場合とのいずれにおいても、実施の形態2のほうが、実施の形態1よりも、第2周波数帯域でのアンテナ効率が向上していることが確認された。
【0081】
[1.2.3 効果等]
以上述べたアンテナ装置(11A,12A)及びアンテナ基板1Aは、第1導体部41Aに接続される周波数調整素子43を備える。周波数調整素子43は、1以上のインダクタ又は1以上のキャパシタを含む。この構成は、第1導体部41Aを用いる無線通信においてアンテナ効率の向上を可能にする。
【0082】
[1.3 実施の形態3]
[1.3.1 構成]
図7は、実施の形態3にかかるアンテナ装置10Bの構成例の平面図である。
図7のアンテナ装置10Bは、アンテナ基板1Bと、第1切替部63と、第2切替部73と、を備える。
【0083】
図7のアンテナ基板1Bは、基板2と、接続部3と、第1導体素子4Bと、第2導体素子5と、を備える。
【0084】
図7の第1導体素子4Bは、アンテナ素子として機能するように構成される。第1導体素子4は、第1導体部41と、第2導体部42Bとを含む。第1導体部41と、第2導体部42Bとは、基板2の主表面2aに形成される導体パターンにより構成される。
【0085】
第2導体部42Bは、第3端42a及び第4端42bを有する。本実施の形態において、第2導体部42Bは、直線状である。第2導体部42Bは、内側電極31の第1延出部31aに向かって第1方向Xに沿って延びる。第3端42aは、第2導体部42Bにおける内側電極31の第1延出部31aとは反対側の端であり、第4端42bは、第2導体部42Bにおける内側電極31の第1延出部31a側の端である。
【0086】
第2導体部42Bは、第2方向Yにおいて第1導体部41と間隔を空けて配置される。より詳細には、第2導体部42Bは、第1導体部41との間に第1実装領域21Bが存在するように配置される。より詳細には、第2導体部42Bは、第2端41bと第3端42aとの間に第1実装領域21Bが存在するように配置される。
【0087】
第1切替部63は、第1実装領域21Bに配置される。第1切替部63は、第1状態と、第2状態とを切り替え可能である。第1状態は、第2端41bと第3端42aとの間に短絡素子631を接続する状態である。第2状態は、第2端41bと第3端42aとの間にインダクタ632を接続する状態である。本実施の形態において、第1切替部63は、短絡素子631と、インダクタ632と、第1スイッチ633と、第2スイッチ634とを備える。基板2には、必要に応じて、第1切替部63の短絡素子631と、インダクタ632と、第1スイッチ633と、第2スイッチ634との配線のための導体パターンを含み得る。
【0088】
短絡素子631は、第1実装領域21Bに位置し、第2端41bと第3端42aとを接続可能である。短絡素子631は、例えば、0Ωの抵抗素子(抵抗器)である。短絡素子631は、0Ωの抵抗素子に限らず、第2端41bと第3端42aとを短絡できれば、はんだ、導体パターン、導電性接着剤等であってもよい。
【0089】
インダクタ632は、第1実装領域21Bに位置し、第2端41bと第3端42aとを接続可能である。インダクタ632のインダクタンスは、第1導体部41の長さの4倍に対応する周波数帯域の信号を遮断し、第1導体部41と第2導体部42Bの長さの合計の4倍に対応する周波数帯域の信号を通すように設定される。本実施の形態において、インダクタ632は、第1周波数帯域の信号を遮断し、第2周波数帯域の信号を通すローパスフィルタを構成する。第1実装領域21Bには、インダクタ632とともにローパスフィルタを構成する回路素子が配置されてよい。
【0090】
第1スイッチ633は、第1実装領域21Bにおいて、第1導体部41と、短絡素子631及びインダクタ632との間に配置される。本実施の形態において、第1スイッチ633は、1つの共通端子と、第1及び第2切替端子と、共通端子を第1及び第2切替端子のいずれか一方に接続する接点構成と、を有する。第1スイッチ633は、例えば、単極双投(Single-Pole Double-Throw)スイッチである。本実施の形態において、第1スイッチ633の共通端子は、第1導体部41の第2端41bに接続される。第1スイッチ633の第1及び第2切替端子は、短絡素子631及びインダクタ632それぞれに接続される。
【0091】
第2スイッチ634は、第1実装領域21Bにおいて、第2導体部42Bと、短絡素子631及びインダクタ632との間に配置される。本実施の形態において、第2スイッチ634は、1つの共通端子と、第1及び第2切替端子と、共通端子を第1及び第2切替端子のいずれか一方に接続する接点構成と、を有する。第2スイッチ634は、例えば、単極双投(Single-Pole Double-Throw)スイッチである。本実施の形態において、第2スイッチ634の共通端子は、第2導体部42Bの第3端42aに接続される。第2スイッチ634の第1及び第2切替端子は、短絡素子631及びインダクタ632それぞれに接続される。
【0092】
第1状態では、第1スイッチ633の共通端子が第1切替端子に接続され、第2スイッチ634の共通端子が第1切替端子に接続される。これによって、第1スイッチ633及び第2スイッチ634を介して、短絡素子631が、第2端41bと第3端42aとの間に接続される。この場合、インダクタ632は、第2端41bと第3端42aとの間に接続されない。
【0093】
第2状態では、第1スイッチ633の共通端子が第2切替端子に接続され、第2スイッチ634の共通端子が第2切替端子に接続される。これによって、第1スイッチ633及び第2スイッチ634を介して、インダクタ632が、第2端41bと第3端42aとの間に接続される。この場合、短絡素子631は、第2端41bと第3端42aとの間に接続されない。
【0094】
第1切替部63は、例えば、外部回路からの制御信号に応じて、第1状態と第2状態とを切り替えるように構成されてもよい。第1切替部63は、例えば、手動操作に応じて、第1状態と第2状態とを切り替えるように構成されてもよい。
【0095】
第2切替部73は、第2実装領域22及び第3実装領域23に配置される。本実施の形態において、第2切替部73は、第2実装領域22及び第3実装領域23を含む領域に配置される。第2切替部73は、第3状態と、第4状態とを切り替え可能である。第3状態は、第5端5aと内側電極31とを接続する状態である。第4状態は、第5端5aと外側電極32とを接続する状態である。
【0096】
本実施の形態において、第2切替部73は、1つの共通端子と、第1及び第2切替端子と、共通端子を第1及び第2切替端子のいずれか一方に接続する接点構成と、を有する。第2切替部73は、例えば、単極双投(Single-Pole Double-Throw)スイッチである。本実施の形態において、第2切替部73の共通端子は、第2導体素子5の第5端5aに接続される。第2切替部73の第1及び第2切替端子は、内側電極31及び外側電極32それぞれに接続される。
【0097】
第3状態では、第2切替部73の共通端子が第1切替端子に接続される。これによって、第2切替部73を介して、第5端5aが内側電極31に接続される。この場合、外側電極32は、第5端5aに接続されない。
【0098】
第4状態では、第2切替部73の共通端子が第2切替端子に接続される。これによって、第2切替部73を介して、第5端5aが外側電極32に接続される。この場合、内側電極31は、第5端5aに接続されない。
【0099】
第2切替部73は、例えば、外部回路からの制御信号に応じて、第3状態と第4状態とを切り替えるように構成されてもよい。第2切替部73は、例えば、手動操作に応じて、第3状態と第4状態とを切り替えるように構成されてもよい。
【0100】
以上述べたアンテナ装置10Bは、第1動作モードと、第2動作モードとの2つの切り替え可能な動作モードを有する。
【0101】
第1動作モードでは、第1切替部63が第1状態に、第2切替部73が第3状態に設定される。第1動作モードでは、第1導体素子4Bにおいて、第1導体部41と第2導体部42Bとの間が短絡される。これによって、第1導体素子4Bの電気長は、第1周波数帯域に対応しなくなり、第2周波数帯域にのみ対応する。そのため、第1導体素子4Bは、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。第2導体素子5は、外側電極32ではなく内側電極31に接続される。そのため、第2導体素子5は、第1周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。このように、アンテナ装置11Bは、第1動作モードにおいて、第1周波数帯域及び第2周波数帯域の両方に対してモノポールアンテナとして機能する。
【0102】
アンテナ装置10Bは、第1動作モードでは、第1導体素子4Bで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第2導体素子5で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的短い場合の周波数に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0103】
第2動作モードでは、第1切替部63が第2状態に、第2切替部73が第4状態に設定される。第2動作モードでは、第1導体素子4Bにおいて、第1導体部41と第2導体部42Bとの間にインダクタ632が配置される。インダクタ632は、第1周波数帯域の信号を遮断する。これによって、第1導体素子4Bの実質的な電気長は、第1導体部41の長さで決まるから、第1周波数帯域に対応する。更に、第2導体素子5は、内側電極31ではなく外側電極32に接続される。そのため、第1周波数帯域に対しては、第1導体部41が給電点、第2導体素子5がグランドに接続された状態となる。よって、第1導体素子4B及び第2導体素子5は、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能する。一方、インダクタ632は、第2周波数帯域の信号を通す。これによって、第1導体素子4Bの実質的な電気長は、第1導体部41の長さと第2導体部42Bの長さの合計で決まるから、第2周波数帯域に対応する。そのため、第1導体素子4Bは、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。このように、アンテナ装置11Bは、第2動作モードにおいて、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能し、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。
【0104】
アンテナ装置10Bは、第2動作モードでは、第1導体素子4Bで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第1導体素子4Bと第2導体素子5で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的長い場合でもアンテナ特性を向上できる。
【0105】
[1.3.2 効果等]
以上述べたアンテナ装置10Bは、第1実装領域21Bに配置される第1切替部63と、第2実装領域22及び第3実装領域23に配置される第2切替部73と、を備える。第1切替部63は、第2端41bと第3端42aとの間に短絡素子631を接続する第1状態と、第2端41bと第3端42aとの間にインダクタ632を接続する第2状態とを切り替え可能である。第2切替部73は、第5端5aと内側電極31とを接続する第3状態と、第5端5aと外側電極32とを接続する第4状態とを切り替え可能である。この構成は、第1導体素子4Bで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第2導体素子5で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的短い場合の周波数帯域に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。この構成は、第1導体素子4Bで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第1導体素子4Bと第2導体素子5で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的長い場合でもアンテナ特性を向上できる。
【0106】
[1.4 実施の形態4]
[1.4.1 構成]
図8は、実施の形態4にかかるアンテナ基板1Cの構成例の平面図である。
図9は、
図8のアンテナ基板1Cを備えるアンテナ装置の構成例1(以下、アンテナ装置11C)の平面図である。
図10は、
図8のアンテナ基板1Cを備えるアンテナ装置の構成例2(以下、アンテナ装置12C)の平面図である。
【0107】
最初に、
図8のアンテナ基板1Cについて説明する。
図8のアンテナ基板1Cは、基板2と、接続部3と、第1導体素子4Cと、第2導体素子5と、を備える。
【0108】
第1導体素子4Cは、第1導体部41と、第2導体部42Cとを含む。第1導体部41と、第2導体部42Cとは、基板2の主表面2aに形成される導体パターンにより構成される。
【0109】
第2導体部42Cは、第3端42a及び第4端42bを有する。本実施の形態において、第2導体部42Cは、直線状である。
図8の第2導体部42Cは、内側電極31の第1延出部31aに対して第1方向Xとは反対方向(
図8の左方向)に沿って延びる。第3端42aは、第2導体部42Cにおける内側電極31の第1延出部31a側の端であり、第4端42bは、第2導体部42Cにおける内側電極31の第1延出部31aと反対側の端である。
【0110】
第2導体部42Cは、屈曲した形状ではなく、直線状である。そのため、第2導体部42Cを用いるほうが、
図1の第2導体部42を用いるよりも、アンテナ効率の向上が期待できる。
【0111】
第2導体部42Cは、第1導体部41と一直線状に並ぶように配置される。より詳細には、第2導体部42Cは、第1方向Xにおいて第1導体部41と一直線状に並ぶ。第2導体部42Cは、第1導体部41との間に第1実装領域21が存在するように配置される。より詳細には、第2導体部42Cは、第2端41bと第3端42aとの間に第1実装領域21が存在するように配置される。
【0112】
本実施の形態において、第1導体部41及び第2導体部42Cは、直線状であって、互いに一直線状に並ぶ。
【0113】
以上述べたアンテナ基板1Cは、
図9のアンテナ装置11Cの製造、及び、
図10のアンテナ装置12Cの製造に利用可能である。
図9のアンテナ装置11C及び
図10のアンテナ装置12Cは、同じアンテナ基板1Cを用いて製造され得る。
【0114】
次に、
図9のアンテナ装置11Cについて説明する。
図9のアンテナ装置11Cは、アンテナ基板1C(基板2、接続部3、第1導体素子4C及び第2導体素子5)と、短絡素子61と、回路素子71と、を備える。
【0115】
図9のアンテナ装置11Cでは、第1導体素子4Cにおいて、第1導体部41と第2導体部42Cとの間が短絡される。これによって、第1導体素子4Cの電気長は、第1周波数帯域に対応しなくなり、第2周波数帯域にのみ対応する。そのため、第1導体素子4Cは、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。第2導体素子5は、外側電極32ではなく内側電極31に接続される。そのため、第2導体素子5は、第1周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。このように、
図9のアンテナ装置11Cは、第1周波数帯域及び第2周波数帯域の両方に対してモノポールアンテナとして機能する。
【0116】
図9のアンテナ装置11Cは、第1導体素子4Cで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第2導体素子5で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的短い場合の周波数に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0117】
次に、
図10のアンテナ装置12Cについて説明する。
図10のアンテナ装置12Cは、アンテナ基板1C(基板2、接続部3、第1導体素子4C及び第2導体素子5)と、インダクタ62と、回路素子72と、を備える。
【0118】
図10のアンテナ装置12Cでは、第1導体素子4Cにおいて、第1導体部41と第2導体部42Cとの間にインダクタ62が配置される。インダクタ62は、第1周波数帯域の信号を遮断する。これによって、第1導体素子4Cの実質的な電気長は、第1導体部41の長さで決まるから、第1周波数帯域に対応する。更に、第2導体素子5は、内側電極31ではなく外側電極32に接続される。そのため、第1周波数帯域に対しては、第1導体部41が給電点、第2導体素子5がグランドに接続された状態となる。よって、第1導体素子4C及び第2導体素子5は、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能する。一方、インダクタ62は、第2周波数帯域の信号を通す。これによって、第1導体素子4Cの実質的な電気長は、第1導体部41の長さと第2導体部42Cの長さの合計で決まるから、第2周波数帯域に対応する。そのため、第1導体素子4Cは、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。このように、
図10のアンテナ装置12Cは、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能し、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。
【0119】
図10のアンテナ装置12Cは、第1導体素子4Cで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第1導体素子4Cと第2導体素子5で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的長い場合でもアンテナ特性を向上できる。
【0120】
[1.4.2 効果等]
以上述べたアンテナ装置(11C,12C)及びアンテナ基板1Cにおいて、第1導体部41及び第2導体部42Cは、直線状であって、互いに一直線状に並ぶ。第2導体素子5は、直線状である。この構成は、アンテナ効率の向上を可能にする。
【0121】
[1.5 実施の形態5]
[1.5.1 構成]
図11は、実施の形態5にかかるアンテナ基板1Dの構成例の平面図である。
図12は、
図5のアンテナ基板1Dを備えるアンテナ装置の構成例1(以下、アンテナ装置11D)の平面図である。
図13は、
図11のアンテナ基板1Dを備えるアンテナ装置の構成例2(以下、アンテナ装置12D)の平面図である。
【0122】
最初に、
図11のアンテナ基板1Dについて説明する。
図11のアンテナ基板1Dは、基板2と、接続部3と、第1導体素子4Dと、第2導体素子5Dと、を備える。
【0123】
第1導体素子4Dは、第1導体部41Aと、第2導体部42Dとを含む。第1導体部41Aと、第2導体部42Dとは、基板2の主表面2aに形成される導体パターンにより構成される。
【0124】
第2導体部42Dは、第3端42a及び第4端42bを有する。本実施の形態において、第2導体部42Dは、直線状ではない。第2導体部42Dは、屈曲した形状である。
図11の第2導体部42Dは、蛇行した形状である。より詳細には、第2導体部42Dは、第1部位423と、第2部位424と、第3部位425と、第4部位426と、第5部位427と、第6部位428と、を有する。第1部位423は、第1導体部41Aの第2端41bに対して第2方向Yに沿って延びる。ここで、上述したように、第1導体部41Aは、内側電極31の第1延出部31aに対して第1方向Xとは反対方向に沿って延びる。そのため、第2導体部42Dは、第1導体部41Aの第2端41bから、第1導体部41Aと交差する方向に延びる。第2部位424は、第1部位423の先端に対して第1方向Xに沿って延びる。第3部位425は、第2部位424の先端に対して第2方向Yとは反対方向に沿って延びる。第4部位426は、第3部位425の先端に対して第1方向Xに沿って延びる。第5部位427は、第4部位426の先端に対して第2方向Yに沿って延びる。第6部位428は、第5部位427の先端に対して第1方向Xに沿って延びる。
【0125】
第2導体部42Dは、第1導体部41Aとの間に第1実装領域21が存在するように配置される。より詳細には、第2導体部42Dは、第2端41bと第3端42aとの間に第1実装領域21が存在するように配置される。
【0126】
図11の第1導体素子4Dでは、第2導体部42Dが直線状ではなく、屈曲した形状である。そのため、基板2の第1方向Xにおいて、第2導体部42Dの配置に必要な寸法を、
図8の第2導体部42Cの配置に必要な寸法よりも小さくできる。よって、基板2を、第1方向Xにおいて小型化でき得る。つまり、基板2の長さを短くできる。一方で、第2導体部42Cを用いるほうが、第2導体部42Dを用いるよりも、アンテナ効率の向上が期待できる。
【0127】
第2導体素子5Dは、基板2の主表面2aに形成される導体パターンにより構成される。第2導体素子5Dは、第5端5a及び第6端5bを有する。本実施の形態において、第2導体素子5Dは、直線状ではない。第2導体素子5Dは、屈曲した形状である。
図11の第2導体素子5Dは、逆J字状である。より詳細には、第2導体素子5Dは、第1部位51と、第2部位52と、第3部位53と、を有する。第1部位51は、接続部3に対して第2方向Yに沿って延びる。ここで、上述したように、第1導体部41Aは、内側電極31の第1延出部31aに対して第1方向Xとは反対方向に沿って延びる。そのため、第2導体素子5Dは、第1導体部41Aと交差する方向に延びる。第2部位52は、第1部位51の先端に対して第1方向Xに沿って延びる。第3部位53は、第2部位52の先端に対して第2方向Yとは反対方向に沿って延びる。
【0128】
第2導体素子5Dは、内側電極31との間に第2実装領域22、及び、外側電極32との間に第3実装領域23が存在するように配置される。より詳細には、第2導体素子5Dは、第2導体素子5Dにおける接続部3側の部位と内側電極31及び外側電極32との間に第2実装領域22及び第3実装領域23がそれぞれ存在するように配置される。本実施の形態において、第2導体素子5Dは、第5端5aと内側電極31との間に第2実装領域22、及び、第5端5aと外側電極32との間に第3実装領域23が存在するように配置される。
【0129】
図11の第2導体素子5Dは直線状ではなく、屈曲した形状である。そのため、基板2の第1方向Xにおいて、第2導体素子5Dの配置に必要な寸法を、
図8の第2導体素子5の配置に必要な寸法よりも小さくできる。よって、基板2を、第1方向Xにおいて小型化でき得る。つまり、基板2の長さを短くできる。一方で、第2導体素子5を用いるほうが、第2導体素子5Dを用いるよりも、アンテナ効率の向上が期待できる。
【0130】
以上述べたアンテナ基板1Dは、
図12のアンテナ装置11Dの製造、及び、
図13のアンテナ装置12Dの製造に利用可能である。
図12のアンテナ装置11D及び
図13のアンテナ装置12Dは、同じアンテナ基板1Dを用いて製造され得る。
【0131】
次に、
図12のアンテナ装置11Dについて説明する。
図12のアンテナ装置11Dは、アンテナ基板1D(基板2、接続部3、第1導体素子4D、第2導体素子5D及び周波数調整素子43)と、短絡素子61と、回路素子71と、を備える。
【0132】
図5のアンテナ装置11Dでは、第1導体素子4Dにおいて、第1導体部41Aと第2導体部42Dとの間が短絡される。これによって、第1導体素子4Dの電気長は、第1周波数帯域に対応しなくなり、第2周波数帯域にのみ対応する。そのため、第1導体素子4Dは、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。第2導体素子5Dは、外側電極32ではなく内側電極31に接続される。そのため、第2導体素子5Dは、第1周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。このように、
図12のアンテナ装置11Dは、第1周波数帯域及び第2周波数帯域の両方に対してモノポールアンテナとして機能する。
【0133】
図12のアンテナ装置11Dは、第1導体素子4Dで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第2導体素子5Dで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的短い場合の周波数に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0134】
次に、
図13のアンテナ装置12Dについて説明する。
図13のアンテナ装置12Dは、アンテナ基板1D(基板2、接続部3、第1導体素子4D、第2導体素子5D及び周波数調整素子43)と、インダクタ62と、回路素子72と、を備える。
【0135】
図13のアンテナ装置12Dでは、第1導体素子4Dにおいて、第1導体部41Aと第2導体部42Dとの間にインダクタ62が配置される。インダクタ62は、第1周波数帯域の信号を遮断する。これによって、第1導体素子4Dの実質的な電気長は、第1導体部41Dの長さで決まるから、第1周波数帯域に対応する。更に、第2導体素子5Dは、内側電極31ではなく外側電極32に接続される。そのため、第1周波数帯域に対しては、第1導体部41Dが給電点、第2導体素子5Dがグランドに接続された状態となる。よって、第1導体素子4D及び第2導体素子5Dは、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能する。一方、インダクタ62は、第2周波数帯域の信号を通す。これによって、第1導体素子4Dの実質的な電気長は、第1導体部41Aの長さと第2導体部42Dの長さの合計で決まるから、第2周波数帯域に対応する。そのため、第1導体素子4Dは、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。このように、
図13のアンテナ装置12Dは、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能し、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。
【0136】
図13のアンテナ装置12Dは、第1導体素子4Dで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第1導体素子4Dと第2導体素子5Dで構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的長い場合でもアンテナ特性を向上できる。
【0137】
[1.5.2 効果等]
以上述べたアンテナ装置(アンテナ装置11D,12D)及びアンテナ基板1Dにおいて、第2導体部42Dは、屈曲した形状である。この構成は、第2導体部42Dが直線状である場合に比べて、基板2の長さを短くできる。
【0138】
アンテナ装置(アンテナ装置11D,12D)及びアンテナ基板1Dにおいて、第2導体部42Dは、第1導体部41Aの第2端41bから、第1導体部41Aと交差する方向に延びる。この構成は、第1導体部41A及び第2導体部42Dの両方が一直線に並ぶ場合に比べて、基板2の長さを短くできる。
【0139】
アンテナ装置(アンテナ装置11D,12D)及びアンテナ基板1Dにおいて、第2導体素子5Dは、屈曲した形状である。この構成は、第2導体素子5Dが直線状である場合に比べて、基板2の長さを短くできる。
【0140】
[1.6 実施の形態6]
[1.6.1 構成]
図14は、実施の形態6にかかるアンテナ基板1Eの構成例の平面図である。
図15は、
図14のアンテナ基板1Eを備えるアンテナ装置の構成例1(以下、アンテナ装置11E)の平面図である。
図16は、
図14のアンテナ基板1Eを備えるアンテナ装置の構成例2(以下、アンテナ装置12E)の平面図である。
【0141】
最初に、
図14のアンテナ基板1Eについて説明する。
図14のアンテナ基板1Eは、基板2と、接続部3と、第1導体素子4Aと、第2導体素子5と、第3導体素子80と、第4導体素子81と、を備える。
【0142】
第3導体素子80及び第4導体素子81は、第3周波数帯域に対応するダイポールアンテナとして機能するように構成される。本実施の形態において、第3周波数帯域は、第1周波数帯域より高い。第3周波数帯域の例としては、例えば、6.5GHz付近の周波数帯域(例えば、5.935GHz~7.125GHz)が挙げられる。
【0143】
第3導体素子80は、基板2の主表面2aに形成される導体パターンにより構成される。第4導体素子81は、基板2の主表面2aに形成される導体パターンにより構成される。
【0144】
第3導体素子80は、第1導体部41Aの少なくとも一部を介して内側電極31に接続される。本実施の形態において、
図15及び
図16に示すように、第3導体素子80は、回路素子82を介して、第1導体部41Aに接続され、これによって、内側電極31に接続される。
【0145】
本実施の形態において、第3導体素子80は、直線状ではない。第3導体素子80は、屈曲した形状である。
図14の第3導体素子80は、L字状である。より詳細には、第3導体素子80は、第1部位801と、第2部位802とを有する。第1部位801は、第1導体部41Aに対して第2方向Yとは反対方向に沿って延びる。ここで、第1導体部41Aは、内側電極31の第1延出部31aに対して第1方向Xとは反対方向に沿って延びる。そのため、第1部位801は、第1導体部41Aから、第1導体部41Aと交差する方向に延びる。第2部位802は、第1部位801の先端に対して第1方向Xとは反対方向に沿って延びる。第3導体素子80は、第7端80a及び第8端80bを有する。第7端80aは、第3導体素子80の第1部位801における第1導体部41A側の端であり、第8端80bは、第3導体素子80の第2部位802の先端である。
【0146】
第4導体素子81は、外側電極32に接続される。本実施の形態において、第4導体素子81は、外側電極32に連続一体に繋がっている。本実施の形態において、第4導体素子81は、直線状である。
図14では、第4導体素子81は、接続部3の外側電極32に対して第1方向Xに沿って延びる。
図14において、第4導体素子81は、第3導体素子80の第2部位802と一直線状に並ぶように配置される。より詳細には、第4導体素子81は、第1方向Xにおいて第3導体素子80の第2部位802と一直線状に並ぶ。
【0147】
アンテナ基板1Eにおいて、第3導体素子80と、第1導体部41Aにおける第3導体素子80と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、第4導体素子81の電気長と等しい。第3導体素子80と、第1導体部41Aにおける第3導体素子80と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、第3周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応する。第3導体素子80と、第1導体部41Aにおける第3導体素子80と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、例えば、第1導体部41Aにおける内側電極31の第1延出部31aと回路素子82との間の電気長と、第3導体素子80の第7端80aと第8端80bとの間の電気長との合計に対応し得る。
【0148】
ただし、第3導体素子80と、第1導体部41Aにおける第3導体素子80と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、第1導体部41Aの第1端41aと第2端41bとの間の電気長と第2導体部42の第3端42aと第4端42bとの間の電気長の合計と、第2導体素子5の第5端5aと第6端5bとの間の電気長とのいずれとも異なる。本実施の形態において、第3導体素子80と、第1導体部41Aにおける第3導体素子80と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、第1導体部41Aの第1端41aと第2端41bとの間の電気長と第2導体部42の第3端42aと第4端42bとの間の電気長の合計と、第2導体素子5の第5端5aと第6端5bとの間の電気長とのいずれよりも短い。
【0149】
回路素子82は、例えば、キャパシタである。回路素子82のキャパシタンスは、例えば、第3周波数帯域の信号を通し、第1及び第2周波数帯域の信号を遮断するように設定される。本実施の形態において、回路素子82は、第1及び第2周波数帯域の信号を遮断し、第3周波数帯域の信号を通すハイパスフィルタを構成する。
【0150】
以上述べたアンテナ基板1Eは、
図15のアンテナ装置11Eの製造、及び、
図16のアンテナ装置12Eの製造に利用可能である。
図15のアンテナ装置11E及び
図16のアンテナ装置12Eは、同じアンテナ基板1Eを用いて製造され得る。
【0151】
次に、
図15のアンテナ装置11Eについて説明する。
図15のアンテナ装置11Eは、アンテナ基板1E(基板2、接続部3、第1導体素子4A、第2導体素子5、第3導体素子80、第4導体素子81、周波数調整素子43及び回路素子82)と、短絡素子61と、回路素子71と、を備える。
【0152】
図15のアンテナ装置11Eでは、第1導体素子4Aにおいて、第1導体部41Aと第2導体部42との間が短絡される。これによって、第1導体素子4Aの電気長は、第1周波数帯域に対応しなくなり、第2周波数帯域にのみ対応する。そのため、第1導体素子4Aは、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。第2導体素子5は、外側電極32ではなく内側電極31に接続される。そのため、第2導体素子5は、第1周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。このように、
図15のアンテナ装置11Eは、第1周波数帯域及び第2周波数帯域の両方に対してモノポールアンテナとして機能する。なお、第1導体部41Aには第3導体素子80が回路素子82を介して接続されているが、第3導体素子80と、第1導体部41Aにおける第3導体素子80と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、第1周波数帯域及び第2周波数帯域に対応しない。そのため、第3導体素子80は、アンテナ装置11Eが第1及び第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能することを妨げない。
【0153】
図15のアンテナ装置11Eは、第1導体素子4Aで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第2導体素子5で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的短い場合の周波数に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0154】
次に、
図16のアンテナ装置12Eについて説明する。
図16のアンテナ装置12Eは、アンテナ基板1E(基板2、接続部3、第1導体素子4A、第2導体素子5、第3導体素子80、第4導体素子81、周波数調整素子43及び回路素子82)と、インダクタ62と、回路素子72と、を備える。
【0155】
図16のアンテナ装置12Eでは、第1導体素子4Aにおいて、第1導体部41Aと第2導体部42との間にインダクタ62が配置される。インダクタ62は、第1周波数帯域の信号を遮断する。これによって、第1導体素子4Aの実質的な電気長は、第1導体部41Aの長さで決まるから、第1周波数帯域に対応する。更に、第2導体素子5は、内側電極31ではなく外側電極32に接続される。そのため、第1周波数帯域に対しては、第1導体部41Aが給電点、第2導体素子5がグランドに接続された状態となる。よって、第1導体素子4A及び第2導体素子5は、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能する。一方、インダクタ62は、第2周波数帯域の信号を通す。これによって、第1導体素子4Aの実質的な電気長は、第1導体部41Aの長さと第2導体部42の長さの合計で決まるから、第2周波数帯域に対応する。そのため、第1導体素子4Aは、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。このように、
図16のアンテナ装置12Eは、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能し、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。なお、第1導体部41Aには第3導体素子80が回路素子82を介して接続されているが、回路素子82は、第1周波数帯域の信号を通さない。そのため、第3導体素子80は、アンテナ装置12Eが第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能することを妨げない。また、第3導体素子80と、第1導体部41Aにおける第3導体素子80と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、第2周波数帯域に対応しない。そのため、第3導体素子80は、アンテナ装置12Eが第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能することを妨げない。
【0156】
図16のアンテナ装置12Eは、第1導体素子4Aで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第1導体素子4Aと第2導体素子5で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的長い場合でもアンテナ特性を向上できる。
【0157】
図15のアンテナ装置11E及び
図16のアンテナ装置12Eは、いずれも、第3導体素子80及び第4導体素子81を有する。第3導体素子80は、回路素子82及び第1導体部41Aを介して、内側電極31に接続される。第4導体素子81は、外側電極32に接続される。回路素子82は、第3周波数帯域の信号を通す。第3導体素子80と、第1導体部41Aにおける第3導体素子80と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長と、第4導体素子81の電気長とは、等しく、第3周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応する。そのため、第3導体素子80及び第4導体素子81は、第3周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能する。したがって、
図15のアンテナ装置11E及び
図16のアンテナ装置12Eは、第3導体素子80及び第4導体素子81で構成されるダイポールアンテナによる無線通信を可能にする。
【0158】
[1.6.2 効果等]
以上述べたアンテナ装置(アンテナ装置11E,12E)及びアンテナ基板1Eは、基板2に位置し、第1導体部41Aの少なくとも一部を介して内側電極31に接続される第3導体素子80と、基板2に位置し、外側電極32に接続される第4導体素子81と、を備える。第3導体素子80と、第1導体部41Aにおける第3導体素子80と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、第4導体素子の電気長とは等しいが、第1導体部41Aの第1端41aと第2端41bとの間の電気長と第2導体部42の第3端42aと第4端42bとの間の電気長の合計と、第2導体素子5の第5端5aと第6端5bとの間の電気長とのいずれとも異なる。この構成は、第3導体素子80及び第4導体素子81で構成されるダイポールアンテナによる無線通信を可能にする。
【0159】
[1.7 実施の形態7]
[1.7.1 構成]
図17は、実施の形態7にかかるアンテナ基板1Fの構成例の平面図である。
図18は、
図17のアンテナ基板1Fを備えるアンテナ装置の構成例1(以下、アンテナ装置11F)の平面図である。
図19は、
図17のアンテナ基板1Fを備えるアンテナ装置の構成例2(以下、アンテナ装置12F)の平面図である。
【0160】
最初に、
図17のアンテナ基板1Fについて説明する。
図17のアンテナ基板1Fは、基板2と、接続部3と、第1導体素子4Aと、第2導体素子5と、第3導体素子83と、を備える。
【0161】
第3導体素子83は、第3周波数帯域に対応するダイポールアンテナとして機能するように構成される。本実施の形態において、第3周波数帯域は、第1周波数帯域より低いが、第2周波数帯域より高い。本実施の形態において、第1周波数帯域の例としては、例えば、6.5GHz付近の周波数帯域(例えば、5.935GHz~7.125GHz)が挙げられる。第2周波数帯域の例としては、2.4GHz付近の周波数帯域(例えば、2.40GHz~2.50GHz)が挙げられる。第3周波数帯域の例としては、例えば、5GHz付近の周波数帯域(例えば、5.15GHz~5.80GHz)が挙げられる。
【0162】
第3導体素子83は、基板2の主表面2aに形成される導体パターンにより構成される。第3導体素子83は、第1導体部41Aの少なくとも一部を介して内側電極31に接続される。本実施の形態において、
図18及び
図19に示すように、第3導体素子83は、回路素子84を介して、第1導体部41Aに接続され、これによって、内側電極31に接続される。より詳細には、第3導体素子83は、回路素子84を介して、第1導体部41Aの第2端41bに接続される。したがって、第3導体素子83は、第1導体部41Aの全部を介して内側電極31に接続される。
【0163】
本実施の形態において、第3導体素子83は、直線状ではない。第3導体素子83は、屈曲した形状である。
図17の第3導体素子83は、L字状である。より詳細には、第3導体素子83は、第1部位831と、第2部位832とを有する。第1部位831は、第1導体部41Aに対して第2方向Yとは反対方向に沿って延びる。ここで、第1導体部41Aは、内側電極31の第1延出部31aに対して第1方向Xとは反対方向に沿って延びる。そのため、第1部位831は、第1導体部41Aから、第1導体部41Aと交差する方向に延びる。第2部位832は、第1部位831の先端に対して第1方向Xに沿って延びる。第3導体素子83は、第7端83a及び第8端83bを有する。第7端83aは、第3導体素子83の第1部位831における第1導体部41A側の端であり、第8端83bは、第3導体素子83の第2部位832の先端である。
【0164】
アンテナ基板1Fにおいて、第3導体素子83と、第1導体部41Aにおける第3導体素子83と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、第3周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応する。第3導体素子83と、第1導体部41Aにおける第3導体素子83と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、例えば、第1導体部41Aの第1端41aと第2端41bとの間の電気長と、第3導体素子80の第7端80aと第8端80bとの間の電気長との合計に対応し得る。
【0165】
ただし、第3導体素子83と、第1導体部41Aにおける第3導体素子83と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、第1導体部41Aの第1端41aと第2端41bとの間の電気長と第2導体部42の第3端42aと第4端42bとの間の電気長の合計と、第2導体素子5の第5端5aと第6端5bとの間の電気長とのいずれとも異なる。本実施の形態において、第3導体素子83と、第1導体部41Aにおける第3導体素子83と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、第1導体部41Aの第1端41aと第2端41bとの間の電気長と第2導体部42の第3端42aと第4端42bとの間の電気長の合計より短く、第2導体素子5の第5端5aと第6端5bとの間の電気長より長い。
【0166】
回路素子84は、例えば、インダクタである。回路素子84のインダクタンスは、例えば、第1周波数帯域の信号を遮断し、第3周波数帯域の信号を通すように設定される。本実施の形態において、回路素子84は、第1周波数帯域の信号を遮断し、第3周波数帯域の信号を通すローパスフィルタを構成する。
【0167】
以上述べたアンテナ基板1Fは、
図18のアンテナ装置11Fの製造、及び、
図19のアンテナ装置12Fの製造に利用可能である。
図18のアンテナ装置11F及び
図19のアンテナ装置12Fは、同じアンテナ基板1Fを用いて製造され得る。
【0168】
次に、
図18のアンテナ装置11Fについて説明する。
図18のアンテナ装置11Fは、アンテナ基板1F(基板2、接続部3、第1導体素子4A、第2導体素子5、第3導体素子80、周波数調整素子43及び回路素子84)と、短絡素子61と、回路素子71と、を備える。
【0169】
図18のアンテナ装置11Fでは、第1導体素子4Aにおいて、第1導体部41Aと第2導体部42との間が短絡される。これによって、第1導体素子4Aの電気長は、第1周波数帯域に対応しなくなり、第2周波数帯域にのみ対応する。そのため、第1導体素子4Aは、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。第2導体素子5は、外側電極32ではなく内側電極31に接続される。そのため、第2導体素子5は、第1周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。このように、
図18のアンテナ装置11Fは、第1周波数帯域及び第2周波数帯域の両方に対してモノポールアンテナとして機能する。なお、第1導体部41Aには第3導体素子83が回路素子84を介して接続されているが、第3導体素子83と、第1導体部41Aにおける第3導体素子83と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、第1周波数帯域及び第2周波数帯域に対応しない。そのため、第3導体素子83は、アンテナ装置11Fが第1及び第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能することを妨げない。
【0170】
図18のアンテナ装置11Fは、第1導体素子4Aで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第2導体素子5で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的短い場合の周波数に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0171】
次に、
図19のアンテナ装置12Fについて説明する。
図19のアンテナ装置12Fは、アンテナ基板1F(基板2、接続部3、第1導体素子4A、第2導体素子5、第3導体素子83、周波数調整素子43及び回路素子84)と、インダクタ62と、回路素子72と、を備える。
【0172】
図19のアンテナ装置12Fでは、第1導体素子4Aにおいて、第1導体部41Aと第2導体部42との間にインダクタ62が配置される。インダクタ62は、第1周波数帯域の信号を遮断する。これによって、第1導体素子4Aの実質的な電気長は、第1導体部41Aの長さで決まるから、第1周波数帯域に対応する。更に、第2導体素子5は、内側電極31ではなく外側電極32に接続される。そのため、第1周波数帯域に対しては、第1導体部41Aが給電点、第2導体素子5がグランドに接続された状態となる。よって、第1導体素子4A及び第2導体素子5は、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能する。一方、インダクタ62は、第2周波数帯域の信号を通す。これによって、第1導体素子4Aの実質的な電気長は、第1導体部41Aの長さと第2導体部42の長さの合計で決まるから、第2周波数帯域に対応する。そのため、第1導体素子4Aは、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。このように、
図19のアンテナ装置12Fは、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能し、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。なお、第1導体部41Aには第3導体素子83が回路素子84を介して接続されているが、回路素子84は、第1周波数帯域の信号を通さない。そのため、第3導体素子83は、アンテナ装置12Fが第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能することを妨げない。また、第3導体素子83と、第1導体部41Aにおける第3導体素子83と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、第2周波数帯域に対応しない。そのため、第3導体素子83は、アンテナ装置12Fが第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能することを妨げない。
【0173】
図19のアンテナ装置12Fは、第1導体素子4Aで構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第1導体素子4Aと第2導体素子5で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル9が比較的長い場合でもアンテナ特性を向上できる。
【0174】
図18のアンテナ装置11F及び
図19のアンテナ装置12Fは、いずれも、第3導体素子83を有する。第3導体素子83は、回路素子84及び第1導体部41Aを介して、内側電極31に接続される。回路素子84は、第3周波数帯域の信号を通す。第3導体素子83と、第1導体部41Aにおける第3導体素子83と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、第3周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応する。そのため、第3導体素子83は、第3周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。したがって、
図18のアンテナ装置11F及び
図19のアンテナ装置12Fは、第3導体素子83で構成されるモノポールアンテナによる無線通信を可能にする。
【0175】
[1.7.2 効果等]
以上述べたアンテナ装置(アンテナ装置11F,12F)及びアンテナ基板1Fは、基板2に位置し、第1導体部41Aの少なくとも一部を介して内側電極31に接続される第3導体素子83を備える。第3導体素子83と、第1導体部41Aにおける第3導体素子83と内側電極31との間の部位と、で規定される電気長は、第1導体部41Aの第1端41aと第2端41bとの間の電気長と第2導体部42の第3端42aと第4端42bとの間の電気長の合計と、第2導体素子5の第5端5aと第6端5bとの間の電気長とのいずれとも異なる。この構成は、第3導体素子83で構成されるモノポールアンテナによる無線通信を可能にする。
【0176】
[1.8 実施の形態8]
[1.8.1 構成]
図20は、実施の形態8にかかるアンテナ基板1Gの構成例の平面図である。
図21は、
図20のアンテナ基板1Gを備えるアンテナ装置の構成例1(以下、アンテナ装置11G)の平面図である。
図22は、
図20のアンテナ基板1Gを備えるアンテナ装置の構成例2(以下、アンテナ装置12G)の平面図である。
図23は、
図20のアンテナ基板1Gを備えるアンテナ装置の構成例3(以下、アンテナ装置13G)の平面図である。
図24は、
図20のアンテナ基板1Gを備えるアンテナ装置の構成例4(以下、アンテナ装置14G)の平面図である。
【0177】
最初に、
図20のアンテナ基板1Gについて説明する。
図20のアンテナ基板1は、基板2と、接続部3と、第1導体素子400と、第2導体素子500と、第3導体素子800と、を備える。
【0178】
接続部3と、第1導体素子400と、第2導体素子500と、第3導体素子800は、基板2に位置する。第1導体素子400と、第2導体素子500と、第3導体素子800とは、基板2の同じ面(主表面)2aに位置する。
【0179】
特に、第2導体素子500は、基板2に、第1導体素子400と対向して配置される。第2導体素子500は、第1方向Xにおいて第1導体素子400と対向する。基板2の中心に対して、第1導体素子400は第1方向Xとは反対方向側、第2導体素子500は第1方向X側にある。接続部3及び第3導体素子800は、第1導体素子400と第2導体素子500との間にある。基板2の中心に対して、接続部3は第2方向Yとは反対方向側、第3導体素子800は第2方向Y側にある。なお、第1方向Xから見て、接続部3及び第3導体素子800は、第1導体素子400又は第2導体素子500から外方には突出していない。
【0180】
接続部3は、第1導体素子400と第2導体素子500との間にある。接続部3は、内側電極31と、外側電極32と、同軸コネクタ33と、を有する。内側電極31は、同軸コネクタ33から第1方向Xとは反対方向に延びて平面視において同軸コネクタ33と重ならない第1延出部31aを有する。外側電極32は、同軸コネクタ33から第1方向Xに延びて平面視において同軸コネクタ33と重ならないと第2延出部32aを有する。
【0181】
第1導体素子400は、アンテナ素子として機能するように構成される。第1導体素子400は、第1導体部410と、第2導体部420とを含む。第1導体部410と、第2導体部420とは、基板2の主表面2aに形成される導体パターンにより構成される。
【0182】
第1導体部410は、第1端410a及び第2端410bを有する。第1端410aは、第2導体素子500と対向する端である。第2端410bは、第1端410aに対して第2導体素子500とは反対側にある端である。本実施の形態では、第2端410bは、第1端410aに対向する。本実施の形態では、第1導体部410は、直線状というよりは平面状である。第1導体部410は、厚み方向Zから見て矩形状である。第1導体部410では、第1方向Xの寸法が、第2方向Yの寸法よりも大きい。第1端410a及び第2端410bは、第1方向Xで互いに対向する2辺である。第1導体部410は、第13端410c及び第14端410dを有する。第13端410c及び第14端410dは、第2方向Yで互いに対向する2辺である。第13端410cは、第2方向Yとは反対方向側の端であり、第14端410dは、第2方向Y側の端である。
【0183】
第2導体部420は、第3端420a、第4端420b、第5端420c及び第6端420dを有する。第3端420aは、第1導体部410の第2端410bと対向する。本実施の形態では、第3端420aは第2端410bに対して平行する。第4端420bは、第3端420aと対向する。第5端420c及び第6端420dは、第2端410bに沿った方向(第2方向Y)の両端である。本実施の形態では、第2導体部420は、直線状というよりは平面状である。第2導体部420は、厚み方向Zから見て矩形状である。第2導体部420では、第1方向Xの寸法が、第2方向Yの寸法よりも小さい。第3端420a及び第4端420bは、第1方向Xで互いに対向する2辺である。第5端420c及び第6端420dは、第2方向Yで互いに対向する2辺である。第5端420cは、第2方向Yとは反対方向側の端であり、第6端420dは、第2方向Y側の端である。
【0184】
第2導体素子500は、アンテナ素子として機能するように構成される。第2導体素子500は、第3導体部510と、第4導体部520とを含む。第3導体部510と、第4導体部520とは、基板2の主表面2aに形成される導体パターンにより構成される。
【0185】
第3導体部510は、第7端510a及び第8端510bを有する。第7端510aは、第1導体素子400と対向する端である。第8端510bは、第7端510aに対して第1導体素子400とは反対側にある端である。本実施の形態では、第8端510bは、第7端510aに対向する。本実施の形態では、第3導体部510は、直線状というよりは平面状である。第3導体部510は、厚み方向Zから見て矩形状である。第3導体部510では、第1方向Xの寸法が、第2方向Yの寸法よりも大きい。第7端510a及び第8端510bは、第1方向Xで互いに対向する2辺である。第3導体部510は、第15端510c及び第16端510dを有する。第15端510c及び第16端510dは、第2方向Yで互いに対向する2辺である。第15端510cは、第2方向Y側の端であり、第16端510dは、第2方向Yとは反対方向側の端である。
【0186】
第4導体部520は、第9端520a、第10端520b、第11端520c及び第12端520dを有する。第9端520aは、第3導体部510の第8端510bと対向する。本実施の形態では、第9端520aは第8端510bに対して平行する。第10端520bは、第9端520aと対向する。第11端520c及び第12端520dは、第8端510bに沿った方向(第2方向Y)の両端である。本実施の形態では、第4導体部520は、直線状というよりは平面状である。第4導体部520は、厚み方向Zから見て矩形状である。第4導体部520では、第1方向Xの寸法が、第2方向Yの寸法よりも小さい。第9端520a及び第10端520bは、第1方向Xで互いに対向する2辺である。第11端520c及び第12端520dは、第2方向Yで互いに対向する2辺である。第11端520cは、第2方向Y側の端であり、第12端520dは、第2方向Yとは反対方向側の端である。
【0187】
本実施の形態では、厚み方向Zから見て、第1導体部410と第3導体部510とは同じ形状である。厚み方向Zから見て、第2導体部420と第4導体部520とは同じ形状である。第1~第4導体部410,420,510,520の中心C1~C4は、第1方向Xに沿って一直線状に並ぶ。第1~第4導体部410,420,510,520は、第1方向Xに沿った直線に対して線対称の形状である。
【0188】
第3導体素子800は、第1導体素子400と第2導体素子500との接続に用いられる。本実施の形態では、第3導体素子800は、第17端800a及び第18端800bを有する。第3導体素子800は、第1方向Xに延びる直線状である。第17端800aは、第1導体部410側の端であり、第18端800bは、第3導体部510側の端である。
【0189】
接続部3、第1導体素子400、第2導体素子500、及び第3導体素子600は、基板2に、第1~第7実装領域201~205,206a,206b,207が存在するように配置される。
図20では、第1~第7実装領域201~205,206a,206b,207がドットの網掛けで示される。第1~第7実装領域201~205,206a,206b,207は、回路要素の配置を可能にするために確保される領域である。回路要素は、導体間を接続するために用いられ得る。回路要素は、例えば、チップ部品等の回路素子、及び、導体パターンの少なくとも一つを含み得る。第1~第7実装領域201~205,206a,206b,207の大きさは、第1~第7実装領域201~205,206a,206b,207に配置することを予定している回路要素の大きさに応じて適宜設定される。
【0190】
第2導体部420は、第2端410bと第3端420aとの間に、第1実装領域201と、第1実装領域201よりの第6端420d側の第2実装領域202とが存在するように基板2に配置される。第1及び第2実装領域201,202は、第2端410bに沿った方向(第2方向Y)で並ぶ。本実施の形態では、第1実装領域201は、第2方向Yにおいて、第5端420cにある。本実施の形態では、第2実装領域202は、第2方向Yにおいて、第2導体部420の中央にある。第1及び第2実装領域201,202のいずれにも回路要素が配置されていない状態では、第1導体部410と第2導体部420とは電気的に接続されていない。
【0191】
第3導体部510は、第7端510aと外側電極32の第2延出部32aとの間に第3実装領域203が存在するように基板2に配置される。第3実装領域203に回路要素が配置されていない状態では、第3導体部510と外側電極32とは電気的に接続されていない。
【0192】
第4導体部520は、第8端510bと第9端520aとの間に、第4実装領域204と、第4実装領域204よりの第12端520d側の第5実装領域205とが存在するように基板2に配置される。第4及び第5実装領域204,205は、第8端510bに沿った方向(第2方向Y)で並ぶ。本実施の形態では、第4実装領域204は、第2方向Yにおいて、第11端520cにある。本実施の形態では、第5実装領域205は、第2方向Yにおいて、第4導体部520の中央にある。第4及び第5実装領域204,205のいずれにも回路要素が配置されていない状態では、第3導体部510と第4導体部520とは電気的に接続されていない。
【0193】
本実施の形態では、第1実装領域201と第4実装領域204とは、第1導体部410の中心C1と第3導体部510の中心C3とを結ぶ直線Lcに対して反対側に位置する。本実施の形態では、第2実装領域202と第5装領域205とは、第1導体部410の中心C1と第3導体部510の中心C3とを結ぶ直線Lc上に位置する。
【0194】
アンテナ基板1Gは、2つの周波数帯域での無線通信を可能にするように構成される。2つの周波数帯域は、例えば、第1周波数帯域、及び、第1周波数帯域より低い第2周波数帯域である。第1周波数帯域の例としては、例えば、5GHz付近の周波数帯域(例えば、5.15GHz~5.80GHz)が挙げられる。第2周波数帯域の例としては、2.4GHz付近の周波数帯域(例えば、2.40GHz~2.50GHz)が挙げられる。
【0195】
アンテナ基板1は、2つの周波数帯域での無線通信を可能にするために、複数の経路を規定する。複数の経路は、第1~第6経路P1~P6を含む。
【0196】
第1経路P1及び第3経路P3は、第1導体素子400を利用して構成される。第1経路P1は、内側電極31、第1実装領域201及び第6端420dを結ぶ経路である。第3経路P3は、内側電極31、第2実装領域202及び第4端420bを結ぶ経路である。本実施の形態では、内側電極31と第1導体部410との間に第7実装領域207が存在するため、第1経路P1は、第7実装領域207、第1実装領域201及び第6端420dを結ぶ経路でもある。同様に、第3経路P3は、第7実装領域207、第2実装領域202及び第4端420bを結ぶ経路でもある。第1経路P1は、第1及び第7実装領域201,207に回路要素を配置することで利用可能になる。第3経路P3は、第2及び第7実装領域202,207に回路要素を配置することで利用可能になる。
【0197】
第2経路P2及び第4経路P4は、第2導体素子500を利用して構成される。第2経路P2は、第3実装領域203、第4実装領域204及び第12端520dを結ぶ経路である。第4経路P4は、第3実装領域204、第5実装領域205及び第10端520bを結ぶ経路である。第2経路P2は、第3及び第4実装領域203,204に回路要素を配置し、第6実装領域206a,206bに回路要素を配置しないことで利用可能になる。第4経路P4は、第3及び第5実装領域203,205に回路要素を配置し、第6実装領域206a,206bに回路要素を配置しないことで利用可能になる。
【0198】
第5経路P5及び第6経路P6は、第1導体素子400、第2導体素子500及び第3導体素子600を利用して構成される。第5経路P5は、内側電極31、第3導体素子800、第5実装領域205、及び、第10端520bを結ぶ経路である。第6経路P6は、内側電極31、第3導体素子800、第4実装領域204、及び、第12端520dを結ぶ経路である。本実施の形態では、内側電極31と第1導体部410との間に第7実装領域207が存在するため、第5経路P5は、第7実装領域207、第3導体素子800、第5実装領域205、及び、第10端520bを結ぶ経路でもある。第6経路P6は、第7実装領域207、第3導体素子800、第4実装領域204、及び、第12端520dを結ぶ経路でもある。第1経路P1は、第5、第6及び第7実装領域201,205,206a,206b,207に回路要素を配置し、第3実装領域203に回路要素を配置しないことで利用可能になる。第6経路P6は、第4、第6及び第7実装領域204,206a,206b,207に回路要素を配置し、第3実装領域203に回路要素を配置しないことで利用可能になる。
【0199】
第1~第6経路P1~P6には以下の関係がある。第1経路P1の電気長と第2経路P2の電気長とは、等しい。第3経路P3の電気長と第4経路P4の電気長とは、等しい。第1経路1P1及び第2経路P2の電気長は、第3経路P3及び第4経路P4の電気長より長い。本実施の形態では、第1経路P1及び第2経路P2の電気長は、第2周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応する。第3経路P3及び第4経路P4の電気長は、第1周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応する。第5経路P5と、第3経路P3とは、共通の共振周波数帯域を含む。第5経路P5は、第1周波数帯域に対応する波長の4分の1より長いが、第2導体素子500が平面状であることで共振周波数の帯域幅が広くなっていることで、第1周波数帯域にも対応可能となる。よって、第5経路P5は、第1周波数帯域に対応する。第6経路P6と、第1経路P1とは、共通の共振周波数帯域を含む。よって、第6経路P6は、第2周波数帯域に対応する。
【0200】
以上述べたアンテナ基板1Gは、
図21~
図24にそれぞれ示すアンテナ装置11G~14Gの製造に利用可能である。アンテナ装置11G~14Gは、同じアンテナ基板1Gを用いて製造され得る。
【0201】
次に、アンテナ装置11Gについて説明する。アンテナ装置11Gは、アンテナ基板1G(基板2、接続部3、第1導体素子400、第2導体素子500、及び、第3導体素子800)と、インダクタ911と、キャパシタ912と、短絡素子913と、キャパシタ915と、周波数調整素子917と、を備える。
【0202】
周波数調整素子917は、第7実装領域207に位置し、第1端410aと内側電極31とを接続する。周波数調整素子917は、周波数調整素子43と同様である。
【0203】
インダクタ911は、第1実装領域201に位置し、第2端410bと第3端420aとを接続する。本実施の形態において、インダクタ911は、第1周波数帯域の信号を遮断し、第2周波数帯域の信号を通すローパスフィルタを構成する。第1実装領域201には、インダクタ912とともにローパスフィルタを構成する回路素子が配置されてよい。
【0204】
キャパシタ912は、第2実装領域202に位置し、第2端410bと第3端420aとを接続する。本実施の形態において、キャパシタ912は、第2周波数帯域の信号を遮断し、第1周波数帯域の信号を通すハイパスフィルタを構成する。第2実装領域202には、キャパシタ913とともにハイパスフィルタを構成する回路素子が配置されてよい。
【0205】
短絡素子913は、第3実装領域203に位置し、第7端510aと外側電極32とを接続する。短絡素子913は、例えば、0Ωの抵抗素子(抵抗器)である。短絡素子913は、0Ωの抵抗素子に限らず、第7端510aと外側電極32とを短絡できれば、はんだ、導体パターン、導電性接着剤等であってもよい。
【0206】
キャパシタ915は、第5実装領域205に位置し、第8端510bと第9端520aとを接続する。本実施の形態において、キャパシタ915は、第2周波数帯域の信号を遮断し、第1周波数帯域の信号を通すハイパスフィルタを構成する。第5実装領域205には、キャパシタ915とともにハイパスフィルタを構成する回路素子が配置されてよい。
【0207】
アンテナ装置11Gにおいて、第4実装領域204、第6実装領域206a,206bには、回路要素が配置されない。第1導体素子400では、第1導体部410は、第1及び第2実装領域201,202で第2導体部420に接続される。第2導体素子500では、第3導体部510は、第5実装領域205では第4導体部520に接続されるが、第4実装領域204では第4導体部520に接続されない。第3導体素子800は、第1導体素子400と第2導体素子500とを接続しない。
【0208】
したがって、アンテナ装置11Gでは、第1経路P1、第3経路P3、及び、第4経路P4が利用可能である。第1経路P1及び第3経路P3は、給電点(内側電極31)に接続され、第4経路P4は、グランド(外側電極32)に接続された状態となる。第3経路P3と第4経路P4とは電気長が等しい。以上から、アンテナ装置11Gは、第1経路P1で規定されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第3経路P3及び第4経路P4で規定されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にする。つまり、アンテナ装置11Gは、第1周波数帯域に対してダイポールアンテナとして機能し、第2周波数帯域に対してモノポールアンテナとして機能する。
【0209】
次に、アンテナ装置12Gについて説明する。アンテナ装置12Gは、アンテナ基板1G(基板2、接続部3、第1導体素子400、第2導体素子500、及び、第3導体素子800)と、インダクタ911と、キャパシタ915と、回路素子916a,916bと、周波数調整素子917と、を備える。
【0210】
回路素子916aは、第6実装領域206aに位置し、第1導体部410と第3導体素子800とを接続する。回路素子916bは、第6実装領域206bに位置し、第3導体部510と第3導体素子800とを接続する。回路素子916a,916bは、短絡素子である。短絡素子は、例えば、0Ωの抵抗素子(抵抗器)である。短絡素子914は、0Ωの抵抗素子に限らず、第7端510aと外側電極32とを短絡できれば、はんだ、導体パターン、導電性接着剤等であってもよい。回路素子916a,916bは、例えば、1以上のインダクタ又は1以上のキャパシタを含んでもよい。回路素子916a,916bは、第5経路P5又は第6経路P6の共振周波数の調整に利用できる。
【0211】
アンテナ装置12Gにおいて、第2実装領域202、第3実装領域203、及び、第4実装領域204には、回路要素が配置されない。第1導体素子400では、第1導体部410は、第1実装領域201では第2導体部510に接続されるが、第2実装領域202では第2導体部420に接続されない。第2導体素子500では、第3導体部510は、第5実装領域205では第4導体部520に接続されるが、第4実装領域204では第4導体部520に接続されない。第2導体素子500は、外側電極32には接続されず、第3導体素子800及び第1導体部410を介して内側電極31に接続される。
【0212】
したがって、アンテナ装置12Gでは、第1経路P1、及び、第5経路P5が利用可能である。第1経路P1及び第5経路P5は、給電点(内側電極31)に接続された状態となる。第1経路P1及び第5経路P5に対しては、同軸ケーブル9の外側導体がグランドとして機能する。以上から、アンテナ装置12Gは、第1経路P1で規定されるモノポールアンテナを用いた第2周波数帯域に対応する無線通信と、第5経路P5で規定されるモノポールアンテナを用いた第1周波数帯域に対応する無線通信とを可能にする。つまり、アンテナ装置12Gは、第1周波数帯域及び第2周波数帯域のそれぞれに対してモノポールアンテナとして機能する。
【0213】
次に、アンテナ装置13Gについて説明する。アンテナ装置13Gは、アンテナ基板1G(基板2、接続部3、第1導体素子400、第2導体素子500、及び、第3導体素子800)と、キャパシタ912と、インダクタ914と、回路素子916a,916bと、周波数調整素子917と、を備える。
【0214】
インダクタ914は、第4実装領域204に位置し、第8端510bと第9端520aとを接続する。本実施の形態において、インダクタ914は、第1周波数帯域の信号を遮断し、第2周波数帯域の信号を通すローパスフィルタを構成する。第4実装領域204には、インダクタ914とともにローパスフィルタを構成する回路素子が配置されてよい。
【0215】
アンテナ装置13Gにおいて、第1実装領域201、第3実装領域203、及び、第5実装領域205には、回路要素が配置されない。第1導体素子400では、第1導体部410は、第2実装領域202では第2導体部510に接続されるが、第1実装領域201では第2導体部420に接続されない。第2導体素子500では、第3導体部510は、第4実装領域204では第4導体部520に接続されるが、第5実装領域205では第4導体部520に接続されない。第2導体素子500は、外側電極32には接続されず、第3導体素子800及び第1導体部410を介して内側電極31に接続される。
【0216】
したがって、アンテナ装置13Gでは、第3経路P3、及び、第6経路P6が利用可能である。第3経路P3及び第6経路P6は、給電点(内側電極31)に接続された状態となる。第3経路P3及び第6経路P6に対しては、同軸ケーブル9の外側導体がグランドとして機能する。以上から、アンテナ装置13Gは、第3経路P3で規定されるモノポールアンテナを用いた第1周波数帯域に対応する無線通信と、第6経路P6で規定されるモノポールアンテナを用いた第2周波数帯域に対応する無線通信とを可能にする。つまり、アンテナ装置13Gは、第1周波数帯域及び第2周波数帯域のそれぞれに対してモノポールアンテナとして機能する。
【0217】
次に、アンテナ装置14Gについて説明する。アンテナ装置14Gは、アンテナ基板1G(基板2、接続部3、第1導体素子400、第2導体素子500、及び、第3導体素子800)と、インダクタ911と、キャパシタ912と、短絡素子913と、インダクタ914と、キャパシタ915と、周波数調整素子917と、を備える。
【0218】
アンテナ装置14Gにおいて、第6実装領域206a,206bには、回路要素が配置されない。第1導体素子400では、第1導体部410は、第1及び第2実装領域201,202で第2導体部420に接続される。第2導体素子500では、第3導体部510は、第4及び第5実装領域204,205で第4導体部520に接続される。第3導体素子800は、第1導体素子400と第2導体素子500とを接続しない。
【0219】
したがって、アンテナ装置14Gでは、第1経路P1、第2経路P2、第3経路P3、及び、第4経路P4が利用可能である。第1経路P1及び第3経路P3は、給電点(内側電極31)に接続され、第2経路P2及び第4経路P4は、グランド(外側電極32)に接続された状態となる。第1経路P1と第2経路P2とは電気長が等しく、第3経路P3と第4経路P4とは電気長が等しい。以上から、アンテナ装置14Gは、第1経路P1及び第2経路P2で規定されるダイポールアンテナを用いた第2周波数帯域に対応する無線通信と、第3経路P3及び第4経路P4で規定されるダイポールアンテナを用いた第1周波数帯域に対応する無線通信とを可能にする。つまり、アンテナ装置14Gは、第1周波数帯域及び第2周波数帯域の各々に対してダイポールアンテナとして機能する。
【0220】
下記表3及び表4は、アンテナ基板1Gを用いて製造できるアンテナ装置11G~14Gの構成のまとめである。
【0221】
【0222】
【0223】
したがって、アンテナ基板1Gでは、外的環境に応じて、適切なアンテナの組み合わせを有するアンテナ装置を製造することが可能となる。
【0224】
なお、組み合わせとしては、第1実装領域201にインダクタ911、第2実装領域202にキャパシタ912、第3実装領域203に短絡素子913、第4実装領域204にインダクタ914、第7実装領域207に周波数調整素子917を配置し、第5実装領域205及び第6実装領域206a,206bに回路要素を配置しない場合もある。この場合、第1経路P1、第2経路P2、及び、第3経路P3が利用可能となる。この場合のアンテナ装置は、第1経路P1及び第2経路P2で規定されるダイポールアンテナを用いた第2周波数帯域に対応する無線通信と、第3経路P3で規定されるモノポールアンテナを用いた第1周波数帯域に対応する無線通信とを可能にする。
【0225】
[1.8.2 効果等]
以上述べたアンテナ装置(アンテナ装置11G,12G,13G,14G)は、基板2と、基板2に位置し、同軸ケーブル9の内側導体91及び外側導体92にそれぞれ接続される内側電極31及び外側電極32を有する接続部3と、基板2に位置する第1導体素子400と、基板2に、第1導体素子400と対向して配置された第2導体素子500と、を備える。第1導体素子400は、第2導体素子500と対向する第1端410aと、第1端410aに対して第2導体素子500とは反対側にある第2端410bと、を有し、第1端410aで内側電極31に接続される第1導体部410と、第2端410bと対向する第3端420aと、第3端420aと対向する第4端420bと、第2端410bに沿った方向の両端である第5端420c及び第6端420dとを有し、第2端410bとの間に、第1実装領域201と、第1実装領域201よりも第6端420d側の第2実装領域202とが存在するように配置される第2導体部420と、を含む。第2導体素子500は、第1導体素子400と対向する第7端510aと、第7端510aに対して第1導体素子400とは反対側にある第8端510bと、を有し、第7端510aと外側電極32との間に第3実装領域203が存在するように配置される第3導体部510と、第8端510bと対向する第9端520aと、第9端520aと対向する第10端520bと、第8端510bに沿った方向の両端である第11端520c及び第12端520dとを有し、第8端510bとの間に、第4実装領域204と、第4実装領域204より第12端側の第5実装領域205とが存在するように配置される第4導体部520と、を含む。内側電極31、第1実装領域201及び第6端420dを結ぶ第1経路P1の電気長と、第3実装領域203、第4実装領域204及び第12端520dを結ぶ第2経路P2の電気長とは、等しい。内側電極32、第2実装領域202及び第4端420bを結ぶ第3経路P3の電気長と、第3実装領域203、第5実装領域205及び第10端520bを結ぶ第4経路P4の電気長とは、等しい。この態様は、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0226】
アンテナ装置(アンテナ装置11G,12G,13G,14G)において、第1実装領域201と第4実装領域204とは、第1導体部410の中心C1と第3導体部510の中心C3とを結ぶ直線Lcに対して反対側に位置する。この態様は、アンテナ効率の向上を可能にする。
【0227】
アンテナ装置(アンテナ装置11G,12G,13G,14G)は、基板2に第1導体部410又は第3導体部510の少なくとも一方との間に第6実装領域206a,206bが存在するように配置される第3導体素子800を更に備える。この態様は、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0228】
アンテナ装置(アンテナ装置11G,12G,13G,14G)において、第3導体素子800は、第1導体部410との間及び第3導体部510との間のそれぞれに第6実装領域206a,206bが存在するように、配置される。この態様は、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0229】
アンテナ装置(アンテナ装置11G,12G,13G,14G)において、内側電極31、第3導体素子800、第5実装領域205、及び、第10端520bを結ぶ第5経路P5と、第3経路P3とは、共通の共振周波数帯域を含む。内側電極31、第3導体素子800、第4実装領域204、及び、第12端520dを結ぶ第6経路P6と、第1経路P1とは、共通の共振周波数帯域を含む。この態様は、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0230】
以上述べたアンテナ基板1Gは、基板2と、基板2に位置し、同軸ケーブル9の内側導体91及び外側導体92にそれぞれ接続される内側電極31及び外側電極32を有する接続部3と、基板2に位置する第1導体素子400と、基板2に、第1導体素子400と対向して配置された第2導体素子500と、を備える。第1導体素子400は、第2導体素子500と対向する第1端410aと、第1端410aに対して第2導体素子500とは反対側にある第2端410bと、を有し、第1端410aで内側電極31に接続される第1導体部410と、第2端410bと対向する第3端420aと、第3端420aと対向する第4端420bと、第2端410bに沿った方向の両端である第5端420c及び第6端420dとを有し、第2端410bとの間に、第1実装領域201と、第1実装領域201よりも第6端420d側の第2実装領域202とが存在するように配置される第2導体部420と、を含む。第2導体素子500は、第1導体素子400と対向する第7端510aと、第7端510aに対して第1導体素子400とは反対側にある第8端510bと、を有し、第7端510aと外側電極32との間に第3実装領域203が存在するように配置される第3導体部510と、第8端510bと対向する第9端520aと、第9端520aと対向する第10端520bと、第8端510bに沿った方向の両端である第11端520c及び第12端520dとを有し、第8端510bとの間に、第4実装領域204と、第4実装領域204より第12端側の第5実装領域205とが存在するように配置される第4導体部520と、を含む。内側電極31、第1実装領域201及び第6端420dを結ぶ第1経路P1の電気長と、第3実装領域203、第4実装領域204及び第12端520dを結ぶ第2経路P2の電気長とは、等しい。内側電極32、第2実装領域202及び第4端420bを結ぶ第3経路P3の電気長と、第3実装領域203、第5実装領域205及び第10端520bを結ぶ第4経路P4の電気長とは、等しい。この態様は、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0231】
[2.変形例]
本開示の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。上記実施の形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施の形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0232】
なお、以下では、上記の実施の形態1~8のいずれにおいても適用可能であっても、実施の形態1において用いた符号に言及するが、これは、単に記載を簡略化するためであって、実施の形態2~8への適用を排除する趣旨ではない。
【0233】
一変形例において、第1周波数帯域及び第2周波数帯域は、特に限定されない。第1周波数帯域及び第2周波数帯域は、UWBによる無線通信の周波数帯域、Bluetooth(登録商標)の周波数帯域、Wi-Fiによる無線通信の周波数帯域、2G(第2世代移動通信)規格のミッドバンド、4G(第4世代移動通信)規格のローバンド、5G(第5世代移動通信)規格のローバンド等の周知の周波数帯域から選択されてよい。2G規格は、例えば、GSM(登録商標)規格(GSM:Global System for Mobile Communications)である。4G規格は、例えば、3GPP(登録商標) LTE規格(LTE:Long Term Evolution)である。5G規格は、例えば、5G NR(New Radio)である。第1及び第2周波数帯域は、無線LAN、特定小電力無線、近距離無線通信の種々の通信規格に用いられる周波数帯域から選択されてよい。この点は、第3周波数帯域についてもあてはまる。
【0234】
一変形例において、基板2の構成は、必ずしも限定されない。例えば、基板2の形状は、矩形の板状に限定されない。基板2は、両面銅張積層板、多層基板等の周知の構成であってよい。一例として、実施の形態1において、基板2は、複数の誘電体層を備え、第1導体素子4及び第2導体素子5は、異なる誘電体層に位置してよい。
【0235】
一変形例において、接続部3の構成は、必ずしも限定されない。例えば、接続部3は、同軸コネクタ33を有していなくてもよい。
【0236】
一変形例において、第1導体素子4及び第2導体素子5の形状及び寸法は、適宜変更されてよい。一例として、第1導体部41及び第2導体部42の少なくとも一方が、屈曲した形状であってよい。この構成は、第1導体部41及び第2導体部42の両方が直線状である場合に比べて、基板2の長さを短くできる。実施の形態6,7において、第1導体素子4Aの代わりに第1導体素子4又は第1導体素子4Dが用いられてもよいし、第2導体素子5の代わりに第2導体素子5Dが用いられてもよい。第1導体素子4の第1導体部41及び第2導体部42は、導体パターンのみで構成されてもよいし、インダクタ又はキャパシタ等の電気長を調整する素子を含んで構成されてもよい。第1導体部41又は第2導体部42が導体パターンのみで構成される場合、第1導体部41又は第2導体部42の電気長はその物理長に実質的に等しい。第2導体素子5は、導体パターンのみで構成されてもよいし、インダクタ又はキャパシタ等の電気長を調整する素子を含んで構成されてもよい。第2導体素子5が導体パターンのみで構成される場合、第2導体素子の電気長はその物理長に実質的に等しい。
【0237】
一変形例において、回路素子71は、短絡素子であってよい。短絡素子は、例えば、0Ωの抵抗素子(抵抗器)であってよい。短絡素子は、0Ωの抵抗素子に限らず、短絡が可能であれば、はんだ、導体パターン、導電性接着剤等であってもよい。
【0238】
一変形例において、回路素子72は、1以上のインダクタ又は1以上のキャパシタを含んでよい。この場合、回路素子72は、第2導体素子5の共振周波数の調整に利用できる。
【0239】
一変形例において、第3導体素子80,83は、屈曲した形状に限らず、直線状であってもよい。第3導体素子80,83は、導体パターンのみで構成されてもよいし、インダクタ又はキャパシタ等の電気長を調整する素子を含んで構成されてもよい。
【0240】
一変形例において、第4導体素子81は、直線状に限らず、屈曲した形状であってもよい。第4導体素子81は、導体パターンのみで構成されてもよいし、インダクタ又はキャパシタ等の電気長を調整する素子を含んで構成されてもよい。
【0241】
一変形例において、回路素子82は、特に限定されない。回路素子82は、第3導体素子80及び第4導体素子81で構成されるダイポールアンテナによる無線通信を可能にするように設定されていればよい。
【0242】
一変形例において、回路素子84は、特に限定されない。回路素子84は、第3導体素子83で構成されるモノポールアンテナによる無線通信を可能にするように設定されていればよい。
【0243】
一変形例において、第2端410bは、第1導体部410の第1方向Xにおける一辺であり、第1端410aと対向する。第2端410bは、第1端410aに対して第2導体素子500とは反対側であればよく、第1導体部410の第2方向Yにおける一辺(第13端410c又は第14端410dに対応)であってよい。つまり、第2導体部420は、第1方向Xではなく第2方向Yにおいて、第1導体部410と隣接するように配置されてよい。同様に、第8端510bは、第7端510aに対して第1導体素子400とは反対側であればよく、第3導体部510の第2方向Yにおける一辺(第15端510c又は第16端510dに対応)であってよい。
【0244】
一変形例において、第1実装領域201及び第2実装領域202は、第2端420bに沿った方向において異なる経路を規定できるように並んでいればよく、実施の形態8で説明した位置に限定されない。これは、第4実装領域204及び第5実装領域205についても同様である。
【0245】
一変形例において、実施の形態8の第7実装領域207は必須ではない。第1導体素子400の第1導体部410は、内側電極31と連続一体に繋がっていてよい。
【0246】
一変形例において、実施の形態8の第3導体素子800の形状は特に限定されない。第3導体素子800は、ミアンダ形状等、屈曲した形状であってもよい。第3導体素子800は、必ずしも、第1導体素子400と第2導体素子500との間に位置している必要はない。第3導体素子800は、第1導体素子400の第1端410aではなく、第2端410b、第13端410c、又は第14端410dのいずれかに接続可能であってよい。第3導体素子800は、第2導体素子500の第7端510aではなく、第8端510b、第15端510c、又は第16端510dのいずれかに接続可能であってよい。
【0247】
[3.態様]
上記実施の形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施の形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。なお、文章の見やすさを考慮して2回目以降の括弧付きの符号の記載を省略する場合がある。
【0248】
第1の態様は、アンテナ装置(11,12;11A,12A;10B;11C,12C;11D,12D;11E,12E;11F,12F)であって、基板(2)と、前記基板(2)に位置し、同軸ケーブル(9)の内側導体(91)及び外側導体(92)にそれぞれ接続される内側電極(31)及び外側電極(32)を有する接続部(3)と、前記基板(2)に位置する第1導体素子(4;4A~4D)と、前記基板(2)に位置する第2導体素子(5;5D)と、を備える。前記第1導体素子(4;4A~4D)は、第1端(41a)及び第2端(41b)を有し、前記第1端(41a)で前記内側電極(31)に接続される第1導体部(41;41A)と、第3端(42a)及び第4端(42b)を有し、前記第2端(41b)と前記第3端(42a)との間に第1実装領域(21;21B)が存在するように配置される第2導体部(42;42B;42C;42D)と、を含む。前記第2導体素子(5;5D)は、第5端(5a)及び第6端(5b)を有し、前記第5端(5a)と前記内側電極(31)との間に第2実装領域(22)、及び、前記第5端(5a)と前記外側電極(32)との間に第3実装領域(23)が存在するように配置される。前記第1導体部(41;41A)の前記第1端(41a)と前記第2端(41b)との間の電気長と前記第2導体素子(5;5D)の前記第5端(5a)と前記第6端(5b)との間の電気長とは等しい。この態様は、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0249】
第2の態様は、第1の態様に基づくアンテナ装置(11;11A;11C;11D;11E;11F)である。この態様において、前記アンテナ装置(11;11A;1B;11C;11D;11E;11F)は、前記第1実装領域(21)に位置し、前記第2端(41b)と前記第3端(42a)とを接続する短絡素子(61)と、前記第2実装領域(22)に位置し、前記第5端(5a)と前記内側電極(31)とを接続する回路素子(71)と、を備える。前記第5端(5a)は、前記外側電極(32)に接続されない。この態様は、第1導体素子(4;4A;4C;4D)で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第2導体素子(5;5D)で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル(9)が比較的短い場合の周波数に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0250】
第3の態様は、第1の態様に基づくアンテナ装置(12;12A;12C;12D;12E;12F)である。この態様において、前記アンテナ装置(12;12A;12C;12D;12E;12F)は、前記第1実装領域(21)に位置し、前記第2端(41b)と前記第3端(42a)とを接続するインダクタ(62)と、前記第3実装領域(23)に位置し、前記第5端(5a)と前記外側電極(32)とを接続する回路素子(72)と、を備える。前記第5端(5a)は、前記内側電極(31)に接続されない。この態様は、第1導体素子(4;4A;4C;4D)で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第1導体素子(4;4A;4C;4;4D)と第2導体素子(5;5D)で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル(9)が比較的長い場合でもアンテナ特性を向上できる。
【0251】
第4の態様は、第1の態様に基づくアンテナ装置(10B)である。この態様において、前記アンテナ装置(10B)は、前記第1実装領域(21B)に配置される第1切替部(63)と、前記第2実装領域(22)及び前記第3実装領域(23)に配置される第2切替部(73)と、を備える。前記第1切替部(63)は、前記第2端(41b)と前記第3端(42a)との間に短絡素子(631)を接続する第1状態と、前記第2端(41b)と前記第3端(42a)との間にインダクタ(632)を接続する第2状態とを切り替え可能である。前記第2切替部(73)は、前記第5端(5a)と前記内側電極(31)とを接続する第3状態と、前記第5端(5a)と前記外側電極(32)とを接続する第4状態とを切り替え可能である。この態様は、第1導体素子(4B)で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第2導体素子(5;5D)で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル(9)が比較的短い場合の周波数帯域に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。この態様は、第1導体素子(4B)で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第1導体素子(4B)と第2導体素子(5;5D)で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル(9)が比較的長い場合のアンテナ特性の低下の低減を可能にする。
【0252】
第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(11,12;11A,12A;10B;11C,12C;11D,12D;11E,12E;11F,12F)である。この態様において、前記同軸ケーブル(9)は、第1周波数帯域の信号と、前記第1周波数帯域より低い第2周波数帯域の信号とを伝送するために用いられる。前記第1導体部(41;41A)の前記第1端(41a)と前記第2端(41b)との間の電気長は、前記第1周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応する。前記第1導体部(41;41A)の前記第1端(41a)と前記第2端(41b)との間の電気長と前記第2導体部(42;42B;42C;42D)の前記第3端(42a)と前記第4端(42b)との間の電気長との合計は、前記第2周波数帯域に対応する波長の4分の1に対応する。この態様は、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0253】
第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(11A,12A;11D,12D;11E,12E;11F,12F)である。この態様において、前記アンテナ装置(11A,12A;11D,12D;11E,12E;11F,12F)は、前記第1導体部(41A)に接続される周波数調整素子(43)を備える。前記周波数調整素子(43)は、1以上のインダクタ又は1以上のキャパシタを含む。この態様は、第1導体部(41A)を用いる無線通信においてアンテナ効率の向上を可能にする。
【0254】
第7の態様は、第2の態様に基づくアンテナ装置(11,12;11A,12A;10B;11C,12C;11D,12D;11E,12E;11F,12F)である。この態様において、前記回路素子(71)は、1以上のインダクタ又は1以上のキャパシタを含む。この態様は、第2導体素子(5;5D)を用いる無線通信においてアンテナ効率の向上を可能にする。
【0255】
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(11C,12C)である。この態様において、前記第1導体部(41;41A)及び前記第2導体部(42C)は、直線状であって、互いに一直線状に並ぶ。前記第2導体素子(5)は、直線状である。この態様は、アンテナ効率の向上を可能にする。
【0256】
第9の態様は、第8の態様に基づくアンテナ装置(11C,12C)である。この態様において、前記第1導体部(41;41A)と前記第2導体素子(5)とは、前記接続部(3)に対して互いに逆方向に延びる。この態様は、アンテナ効率の向上を可能にする。
【0257】
第10の態様は、第1~第7の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(11,12;11A,12A;10B;11D,12D;11E,12E;11F,12F)である。この態様において、前記第1導体部(41;41A)及び前記第2導体部(42;42B;42D)の少なくとも一方は、屈曲した形状である。この態様は、第1導体部及び第2導体部の両方が直線状である場合に比べて、基板(2)の長さを短くできる。
【0258】
第11の態様は、第1~第7の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(11,12;11A,12A;10B;11D,12D;11E,12E;11F,12F)である。この態様において、前記第2導体部(42;42B;42D)は、前記第1導体部(41;41A)の前記第2端(41b)から、前記第1導体部(41;41A)と交差する方向に延びる。この態様は、第1導体部及び第2導体部の両方が一直線に並ぶ場合に比べて、基板(2)の長さを短くできる。
【0259】
第12の態様は、第1~第11の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(11D,12D)である。この態様において、前記第2導体素子(5D)は、屈曲した形状である。この態様は、第2導体素子が直線状である場合に比べて、基板(2)の長さを短くできる。
【0260】
第13の態様は、第1~第12の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(11,12;11A,12A;10B;11C,12C;11D,12D;11E,12E;11F,12F)である。この態様において、前記第1導体素子(4;4A~4D)及び前記第2導体素子(5;5D)は、前記基板(2)における同じ面(2a)に位置する。この態様は、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0261】
第14の態様は、第1~第13の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(11E,12E)である。この態様において、前記アンテナ装置(11E,12E)は、前記基板(2)に位置し、前記第1導体部(41;41A)の少なくとも一部を介して前記内側電極(31)に接続される第3導体素子(80)と、前記基板(2)に位置し、前記外側電極(32)に接続される第4導体素子(81)と、を備える。前記第3導体素子(80)と、前記第1導体部(41;41A)における前記第3導体素子(83)と前記内側電極(31)との間の部位と、で規定される電気長は、前記第4導体素子の電気長とは等しいが、前記第1導体部(41;41A)の前記第1端(41a)と前記第2端(41b)との間の電気長と前記第2導体部(42;42B;42C;42D)の前記第3端(42a)と前記第4端(42b)との間の電気長の合計と、前記第2導体素子(5;5D)の前記第5端(5a)と前記第6端(5b)との間の電気長とのいずれとも異なる。この態様は、第3導体素子(80)及び第4導体素子(81)で構成されるダイポールアンテナによる無線通信を可能にする。
【0262】
第15の態様は、第1~第14の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(11F,12F)である。この態様において、前記アンテナ装置(11F,12F)は、前記基板(2)に位置し、前記第1導体部(41;41A)の少なくとも一部を介して前記内側電極(31)に接続される第3導体素子(13)を備える。前記第3導体素子(83)と、前記第1導体部(41;41A)における前記第3導体素子(83)と前記内側電極(31)との間の部位と、で規定される電気長は、前記第1導体部(41;41A)の前記第1端(41a)と前記第2端(41b)との間の電気長と前記第2導体部(42;42B;42C;42D)の前記第3端(42a)と前記第4端(42b)との間の電気長の合計と、前記第2導体素子(5;5D)の前記第5端(5a)と前記第6端(5b)との間の電気長とのいずれとも異なる。この態様は、第3導体素子(83)で構成されるモノポールアンテナによる無線通信を可能にする。
【0263】
第16の態様は、アンテナ基板(1;1A;1B;1C;1D;1E;1F)であって、基板(2)と、前記基板(2)に位置し、同軸ケーブル(9)の内側導体(91)及び外側導体(92)にそれぞれ接続される内側電極(31)及び外側電極(32)を有する接続部(3)と、前記基板(2)に位置する第1導体素子(4;4A;4C;4D)と、前記基板(2)に位置する第2導体素子(5;5D)と、を備える。前記第1導体素子(4;4A;4C;4D)は、第1端(41a)及び第2端(41b)を有し、前記第1端(41a)で前記内側電極(31)に接続される第1導体部(41;41A)と、第3端(42a)及び第4端(42b)を有し、前記第2端(41b)と前記第3端(42a)との間に第1実装領域(21;21B)が存在するように配置される第2導体部(42;42C;42D)と、を含む。前記第2導体素子(5;5D)は、第5端(5a)及び第6端(5b)を有し、前記第5端(5a)と前記内側電極(31)との間に第2実装領域(22)、及び、前記第5端(5a)と前記外側電極(32)との間に第3実装領域(23)が存在するように配置される。前記第1導体部(41;41A)の前記第1端(41a)と前記第2端(41b)との間の電気長と前記第2導体素子(5;5D)の前記第5端(5a)と前記第6端(5b)との間の電気長とは等しい。この態様は、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0264】
第17の態様は、アンテナ装置(11;11A;11C;11D;11E;11F)であって、第16の態様のアンテナ基板(1;1A;1C;1D;1E;1F)と、前記第1実装領域(21)に位置し、前記第2端(41b)と前記第3端(42a)とを接続する短絡素子(61)と、前記第2実装領域(22)に位置し、前記第5端(5a)と前記内側電極(31)とを接続する回路素子(71)と、を備える。前記第5端(5a)は、前記外側電極(32)に接続されない。この態様は、第1導体素子(4;4A;4C;4D)で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第2導体素子(5;5D)で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル(9)が比較的短い場合の周波数に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0265】
第18の態様は、アンテナ装置(12;12A;12C;12D;12E;12F)であって、第16の態様のアンテナ基板(1;1A;1C;1D;1E;1F)と、前記第1実装領域(21)に位置し、前記第2端(41b)と前記第3端(42a)とを接続するインダクタ(62)と、前記第3実装領域(23)に位置し、前記第5端(5a)と前記外側電極(32)とを接続する回路素子(72)と、を備える。前記第5端(5a)は、前記内側電極(31)に接続されない。この態様は、第1導体素子(4;4A;4C;4D)で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第1導体素子(4;4A;4C;4;4D)と第2導体素子(5;5D)で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル(9)が比較的長い場合でもアンテナ特性を向上できる。
【0266】
第19の態様は、アンテナ装置(10B)であって、第16の態様のアンテナ基板(1B)と、前記第1実装領域(21B)に配置される第1切替部(63)と、前記第2実装領域(22)及び前記第3実装領域(23)に配置される第2切替部(73)と、を備える。前記第1切替部(63)は、前記第2端(41b)と前記第3端(42a)との間に短絡素子(631)を接続する第1状態と、前記第2端(41b)と前記第3端(42a)との間にインダクタ(632)を接続する第2状態とを切り替え可能である。前記第2切替部(73)は、前記第5端(5a)と前記内側電極(31)とを接続する第3状態と、前記第5端(5a)と前記外側電極(32)とを接続する第4状態とを切り替え可能である。この態様は、第1導体素子(4B)で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第2導体素子(5;5D)で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル(9)が比較的短い場合の周波数帯域に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。この態様は、第1導体素子(4B)で構成されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第1導体素子(4B)と第2導体素子(5;5D)で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、同軸ケーブル(9)が比較的長い場合のアンテナ特性の低下の低減を可能にする。
【0267】
第20の態様は、アンテナ装置(11G,12G,13G,14G)であって、基板(2)と、前記基板(2)に位置し、同軸ケーブル(9)の内側導体(91)及び外側導体(92)にそれぞれ接続される内側電極(31)及び外側電極(32)を有する接続部(3)と、前記基板(2)に位置する第1導体素子(400)と、前記基板(2)に、前記第1導体素子(400)と対向して配置された第2導体素子(500)と、を備える。前記第1導体素子(400)は、前記第2導体素子(500)と対向する第1端(410a)と、前記第1端(410a)に対して前記第2導体素子(500)とは反対側にある第2端(410b)と、を有し、前記第1端(410a)で前記内側電極(31)に接続される第1導体部(410)と、前記第2端(410b)と対向する第3端(420a)と、前記第3端(420a)と対向する第4端(420b)と、前記第2端(410b)に沿った方向の両端である第5端(420c)及び第6端(420d)とを有し、前記第2端(410b)との間に、第1実装領域(201)と、前記第1実装領域(201)よりも前記第6端(420d)側の第2実装領域(202)とが存在するように配置される第2導体部(420)と、を含む。前記第2導体素子(500)は、前記第1導体素子(400)と対向する第7端(510a)と、前記第7端(510a)に対して前記第1導体素子(400)とは反対側にある第8端(510b)と、を有し、前記第7端(510a)と前記外側電極(32)との間に第3実装領域(203)が存在するように配置される第3導体部(510)と、前記第8端(510b)と対向する第9端(520a)と、前記第9端(520a)と対向する第10端(520b)と、前記第8端(510b)に沿った方向の両端である第11端(520c)及び第12端(520d)とを有し、前記第8端(510b)との間に、第4実装領域(204)と、前記第4実装領域(204)より前記第12端側の第5実装領域(205)とが存在するように配置される第4導体部(520)と、を含む。前記内側電極(31)、前記第1実装領域(201)及び前記第6端(420d)を結ぶ第1経路(P1)の電気長と、前記第3実装領域(203)、前記第4実装領域(204)及び前記第12端(520d)を結ぶ第2経路(P2)の電気長とは、等しい。前記内側電極(32)、前記第2実装領域(202)及び前記第4端(420b)を結ぶ第3経路(P3)の電気長と、前記第3実装領域(203)、前記第5実装領域(205)及び前記第10端(520b)を結ぶ第4経路(P4)の電気長とは、等しい。この態様は、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0268】
第21の態様は、第20の態様において、前記第1実装領域(201)と前記第4実装領域(204)とは、前記第1導体部(410)の中心(C1)と前記第3導体部(510)の中心(C3)とを結ぶ直線(Lc)に対して反対側に位置する。この態様は、アンテナ効率の向上を可能にする。
【0269】
第22の態様は、第20又は第21の態様において、前記アンテナ装置(11G,12G,13G,14G)は、前記基板(2)に前記第1導体部(410)又は前記第3導体部(510)の少なくとも一方との間に第6実装領域(206a,206b)が存在するように配置される第3導体素子(800)を更に備える。この態様は、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0270】
第23の態様は、第22の態様において、前記第3導体素子(800)は、前記第1導体部(410)との間及び前記第3導体部(510)との間のそれぞれに前記第6実装領域(206a,206b)が存在するように、配置される。この態様は、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0271】
第24の態様は、第22又は第23の態様において、前記内側電極(31)、前記第3導体素子(800)、前記第5実装領域(205)、及び、前記第10端(520b)を結ぶ第5経路(P5)と、前記第3経路(P3)とは、共通の共振周波数帯域を含む。前記内側電極(31)、前記第3導体素子(800)、前記第4実装領域(204)、及び、前記第12端(520d)を結ぶ第6経路(P6)と、前記第1経路(P1)とは、共通の共振周波数帯域を含む。この態様は、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0272】
第25の態様は、アンテナ基板(1G)であって、基板(2)と、前記基板(2)に位置し、同軸ケーブル(9)の内側導体(91)及び外側導体(92)にそれぞれ接続される内側電極(31)及び外側電極(32)を有する接続部(3)と、前記基板(2)に位置する第1導体素子(400)と、前記基板(2)に、前記第1導体素子(400)と対向して配置された第2導体素子(500)と、を備える。前記第1導体素子(400)は、前記第2導体素子(500)と対向する第1端(410a)と、前記第1端(410a)に対して前記第2導体素子(500)とは反対側にある第2端(410b)と、を有し、前記第1端(410a)で前記内側電極(31)に接続される第1導体部(410)と、前記第2端(410b)と対向する第3端(420a)と、前記第3端(420a)と対向する第4端(420b)と、前記第2端(410b)に沿った方向の両端である第5端(420c)及び第6端(420d)とを有し、前記第2端(410b)との間に、第1実装領域(201)と、前記第1実装領域(201)よりも前記第6端(420d)側の第2実装領域(202)とが存在するように配置される第2導体部(420)と、を含む。前記第2導体素子(500)は、前記第1導体素子(400)と対向する第7端(510a)と、前記第7端(510a)に対して前記第1導体素子(400)とは反対側にある第8端(510b)と、を有し、前記第7端(510a)と前記外側電極(32)との間に第3実装領域(203)が存在するように配置される第3導体部(510)と、前記第8端(510b)と対向する第9端(520a)と、前記第9端(520a)と対向する第10端(520b)と、前記第8端(510b)に沿った方向の両端である第11端(520c)及び第12端(520d)とを有し、前記第8端(510b)との間に、第4実装領域(204)と、前記第4実装領域(204)より前記第12端側の第5実装領域(205)とが存在するように配置される第4導体部(520)と、を含む。前記内側電極(31)、前記第1実装領域(201)及び前記第6端(420d)を結ぶ第1経路(P1)の電気長と、前記第3実装領域(203)、前記第4実装領域(204)及び前記第12端(520d)を結ぶ第2経路(P2)の電気長とは、等しい。前記内側電極(32)、前記第2実装領域(202)及び前記第4端(420b)を結ぶ第3経路(P3)の電気長と、前記第3実装領域(203)、前記第5実装領域(205)及び前記第10端(520b)を結ぶ第4経路(P4)の電気長とは、等しい。この態様は、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0273】
第26の態様は、アンテナ装置(11G)であって、第25の態様のアンテナ基板(1G)と、前記第1実装領域(201)に位置し、前記第2端(410b)と前記第3端(420a)とを接続するインダクタ(911)と、前記第2実装領域(202)に位置し、前記第2端(410b)と前記第3端(420a)とを接続するキャパシタ(912)と、前記第3実装領域(203)に位置し、前記第7端(510a)と前記外側電極(32)とを接続する短絡素子(913)と、前記第5実装領域(205)に位置し、前記第8端(510b)と前記第9端(520a)とを接続するキャパシタ(915)と、を備える。前記第4実装領域(204)において、前記第9端(520a)は、前記第8端(510b)に接続されない。この態様は、第1経路(P1)で規定されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第3経路(P3)及び第4経路(P4)で規定されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0274】
第27の態様は、アンテナ装置(12G)であって、第25の態様のアンテナ基板(1G)を備える。前記アンテナ基板(1G)は、前記基板(2)に前記第1導体部(410)又は前記第3導体部(510)の少なくとも一方との間に第6実装領域(206)が存在するように配置される第3導体素子(800)を更に備える。前記アンテナ装置(13G)は、更に、前記第1実装領域(201)に位置し、前記第2端(410b)と前記第3端(420a)とを接続するインダクタ(911)と、前記第5実装領域(205)に位置し、前記第8端(510b)と前記第9端(520a)とを接続するキャパシタ(915)と、前記第6実装領域(206a,206b)に位置し、前記第3導体素子(800)を介して前記第1導体部(410)と前記第3導体部(510)とを接続する回路素子(916a,916b)と、を備える。前記第2実装領域(202)において、前記第3端(420a)は、前記第2端(410b)に接続されない。前記第3実装領域(203)において、前記第7端(510a)は、前記外側電極(32)に接続されない。前記第4実装領域(204)において、前記第9端(520a)は、前記第8端(510b)に接続されない。この態様は、第1経路(P1)で規定されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第5経路(P5)で規定されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0275】
第28の態様は、アンテナ装置(13G)であって、第25の態様のアンテナ基板(1G)を備える。前記アンテナ基板(1G)は、前記基板(2)に前記第1導体部(410)又は前記第3導体部(510)の少なくとも一方との間に第6実装領域(206)が存在するように配置される第3導体素子(800)を更に備える。前記アンテナ装置(13G)は、更に、前記第2実装領域(202)に位置し、前記第2端(410b)と前記第3端(420a)とを接続するキャパシタ(912)と、前記第4実装領域(204)に位置し、前記第8端(510b)と前記第9端(520a)とを接続するインダクタ(914)と、前記第6実装領域(206a,206b)に位置し、前記第3導体素子(800)を介して前記第1導体部(410)と前記第3導体部(510)とを接続する回路素子(916a,916b)と、を備える。前記第1実装領域(201)において、前記第3端(420a)は、前記第2端(410b)に接続されない。前記第3実装領域(203)において、前記第7端(510a)は、前記外側電極(32)に接続されない。前記第5実装領域(205)において、前記第9端(520a)は、前記第8端(510b)に接続されない。この態様は、第1経路(P2)で規定されるモノポールアンテナを用いた無線通信と、第6経路(P6)で規定されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0276】
第29の態様は、アンテナ装置(14G)であって、第25の態様のアンテナ基板(1G)と、前記第1実装領域(201)に位置し、前記第2端(410b)と前記第3端(420a)とを接続するインダクタ(911)と、前記第2実装領域(202)に位置し、前記第2端(410b)と前記第3端(420a)とを接続するキャパシタ(912)と、前記第3実装領域(203)に位置し、前記第7端(510a)と前記外側電極(32)とを接続する短絡素子(913)と、前記第4実装領域(204)に位置し、前記第8端(510b)と前記第9端(520a)とを接続するインダクタ(914)と、前記第5実装領域(205)に位置し、前記第8端(510b)と前記第9端(520a)とを接続するキャパシタ(915)と、を備える。この態様は、第1経路(P1)及び第2経路(P2)で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信と、第3経路(P3)及び第4経路(P4)で構成されるダイポールアンテナを用いた無線通信とを可能にすることにより、外的環境の変化に起因するアンテナ特性の変化の改善を可能にする。
【0277】
第2~第15、第21~第24、第26~第29の態様は、任意の要素であり、必須ではない。第5~第15の態様は、第16~第19の態様に適宜組み合わせることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0278】
本開示は、アンテナ装置に適用可能である。具体的には、複数の周波数帯域において無線通信をするためのアンテナ装置に、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0279】
1、1A~1G アンテナ基板
10B アンテナ装置
11、11A、11C~11G アンテナ装置
12、12A、12C~12G アンテナ装置
13G、14G アンテナ装置
2 基板
2a 主表面
21,21B 第1実装領域
22 第2実装領域
23 第3実装領域
201 第1実装領域
202 第2実装領域
203 第3実装領域
204 第4実装領域
205 第5実装領域
206a,206b 第6実装領域
3 接続部
31 内側電極
32 外側電極
4、4A~4D 第1導体素子
41、41A 第1導体部
41a 第1端
41b 第2端
42、42B、42C、42D 第2導体部
42a 第3端
42b 第4端
43 周波数調整素子
400 第1導体素子
410 第1導体部
410a 第1端
410b 第2端
420 第2導体部
420a 第3端
420b 第4端
420c 第5端
420d 第6端
5、5D 第2導体素子
5a 第5端
5b 第6端
500 第2導体素子
510 第3導体部
510a 第7端
510b 第8端
520 第4導体部
520a 第9端
520b 第10端
520c 第11端
520d 第12端
61 短絡素子
62 インダクタ
63 第1切替部
631 短絡素子
632 インダクタ
71,72 回路素子
73 第2切替部
80,83 第3導体素子
81 第4導体素子
800 第3導体素子
9 同軸ケーブル
91 内側導体
92 外側導体
911 インダクタ
912 キャパシタ
913 短絡素子
914 インダクタ
915 キャパシタ
916a,916b 回路素子