(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076333
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6556 20140101AFI20240529BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240529BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240529BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/625
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023131930
(22)【出願日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】202211483276.0
(32)【優先日】2022-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】張 暉
(72)【発明者】
【氏名】何 亞飛
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】空間利用率を保証し、同時に冷却効率を向上させることのできる電池パックを提供する。
【解決手段】電池パック100は、トレイ20および、複数のセルで構成されたセルスタック10を含む。セルスタックは、筐体およびセルアレイを含む。筐体は、本体、第1端カバーおよび第2端カバーを含む。セルアレイは、筐体内に収容される。第1側壁および第2側壁のうちの少なくとも1つに冷却流路が形成され、第1端カバーにセルアレイのタブに接続された出力電極が配置される。全ての出力電極は、共面配置をなすように配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートおよび前記ベースプレートを取り囲むガードビームを含み、前記ベースプレートおよび前記ガードビームが収容空間を形成するトレイと、
複数が前記収容空間に並んで配置されたセルスタックと、
を含み、各前記セルスタックが、
2つの開放端を有する本体、および前記本体の前記2つの端部をそれぞれ閉じる第1端カバーおよび第2端カバーを含み、前記本体が上壁、下壁、第1側壁、および第2側壁を含む筐体と、
前記筐体内に収容され、垂直に積み重ねられた複数のセルグループを含み、各前記セルグループが1つまたはそれ以上のセルを含み、各前記セルの大表面が前記トレイの前記ベースプレートに対して平行であるセルアレイと、
を含み、前記第1側壁および前記第2側壁のうちの少なくとも1つに冷却流路が形成され、
前記第1端カバーに前記セルアレイのタブに接続された出力電極が配置され、全ての前記出力電極が共面配置をなすように配置された電池パック。
【請求項2】
前記第1側壁が、前記上壁、前記下壁、および前記第2側壁から分離して配置され、前記冷却流路が、前記第1側壁に配置された請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記第2端カバーが位置する前記第1側壁の一端に液体入口および液体出口が配置され、前記液体入口および前記液体出口が、それぞれ前記冷却流路に連通した請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記冷却流路が、前記上壁または前記下壁に形成された請求項1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記セルアレイと前記筐体の内表面の間に熱伝導構造用接着剤が充填された請求項1に記載の電池パック。
【請求項6】
前記熱伝導構造用接着剤が、少なくとも前記セルアレイと前記冷却流路が形成された前記第1側壁の間に充填された請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記第1側壁の前記第2端カバーに近接する一端が、前記第2端カバーから突出して、延伸部を形成し、前記液体入口および前記液体出口が、前記延伸部上に配置された請求項3に記載の電池パック。
【請求項8】
前記隣接する液体入口を接続して、総液入口配管を形成し、前記隣接する液体出入口を接続して、総液出口配管を形成し、前記総液入口配管および前記総液出口配管が、前記第2端カバーの一側に近接して配置された請求項7に記載の電池パック。
【請求項9】
各前記セルスタックと前記トレイの前記ベースプレートの間に構造用接着剤が充填され、前記隣接するセルスタックの間に熱伝導構造用接着剤が充填された請求項8に記載の電池パック。
【請求項10】
各前記セルスタックと前記構造用接着剤および/または前記熱伝導構造用接着剤の間に着脱可能なホットプレスフィルムが配置された請求項9に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新エネルギーの技術分野に属し、特に、電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、電池パック(パックとも称す)は、一体型水冷却プレートを採用し、一体型水冷却プレートを電池パックの上部または底部に配置する。この冷却方法の欠点は、単一の冷却プレートがセルスタックの1つの表面しか冷却することができないことであり、冷却効率が低く、高速充電中の冷却要求を満たすことができない。冷却プレートをセルスタックの間に配置した場合、電池パックの空間利用率が低くなり、電池パックの全体的なエネルギー密度が低くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
先行文献の上記の欠点を考慮して、本発明の目的は、空間利用率を保証し、同時に冷却効率を向上させることのできる電池パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的および他の関連目的を達成するため、本発明は、ベースプレートおよびベースプレートを取り囲むガードビームを含み、ベースプレートおよびガードビームが収容空間を形成するトレイと、複数が収容空間に並んで配置されたセルスタックと、を含み、各セルスタックが、2つの開放端を有する本体、および本体の2つの端部をそれぞれ閉じる第1端カバーおよび第2端カバーを含み、本体が上壁、下壁、第1側壁、および第2側壁を含む筐体と、筐体内に収容され、垂直に積み重ねられた複数のセルグループを含み、各セルグループが1つまたはそれ以上のセルを含み、各セルの大表面がトレイのベースプレートに対して平行であるセルアレイと、を含み、第1側壁および第2側壁のうちの少なくとも1つに冷却流路が形成され、第1端カバーにセルアレイのタブに接続された出力電極が配置され、全ての出力電極が共面配置をなすように配置された電池パックを提供する。
【0005】
本発明の1つの実施形態において、第1側壁は、上壁、下壁、および第2側壁から分離して配置され、冷却流路は、第1側壁に配置される。
【0006】
本発明の1つの実施形態において、第2端カバーが位置する第1側壁の一端に液体入口および液体出口が提供され、液体入口および液体出口は、それぞれ冷却流路に連通する。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、冷却流路は、上壁または下壁に形成される。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、セルアレイと筐体の内表面の間に熱伝導構造用接着剤が充填される。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、熱伝導構造用接着剤は、少なくともセルアレイと冷却流路が形成された第1側壁の間に充填される。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、第1側壁の第2端カバーに近接する一端は、第2端カバーから突出して、延伸部を形成し、液体入口および液体出口は、延伸部上に配置される。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、隣接する液体入口を接続して、総液入口配管を形成し、隣接する液体出入口を接続して、総液出口配管を形成し、総液入口配管および総液出口配管は、第2端カバーの一側に近接して配置される。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、各セルスタックとトレイのベースプレートの間に構造用接着剤が充填され、隣接するセルスタックの間に熱伝導構造用接着剤が充填される。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、各セルスタックと構造用接着剤および/または熱伝導構造用接着剤の間に着脱可能なホットプレスフィルムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態における技術効果は、以下の通りである。本発明が提供する電池パックは、セルスタックの側壁に冷却流路を統合し、隣接するセルスタックの間に単独の冷却プレートを設置する必要がないため、それにより、空間を節約して、電池パックの空間利用率およびエネルギー密度を向上させることができる。また、冷却流路が位置する側壁は、各セルの厚さ方向においての側面に対向して設置されるため、冷却流路は、各セルを冷却することができ、冷却効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0016】
【
図1】本発明の1つの実施形態が提供するセルスタックの斜視図である。
【
図2】本発明の1つの実施形態が提供するセルスタックの断面図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態が提供する複数のセルスタックの組み立てた状態の部分的拡大図である。
【
図4】本発明の1つの実施形態が提供する複数のセルスタックの組み立てた状態の斜視図である。
【
図5】本発明の1つの実施形態が提供する電池パックの拡大図である。
【
図6】本発明の1つの実施形態が提供する複数のセルスタックの組み立てた状態の原理を説明する概略図である。
【
図7】本発明の1つの実施形態が提供する電池パックの部分アセンブリの原理を説明する概略図である。
【
図8】本発明の別の実施形態が提供するセルスタックの断面図である。
【
図9】本発明の別の実施形態が提供する電池パックの部分アセンブリの原理を説明する概略図である。
【
図10】本発明のさらに別の実施形態が提供するセルスタックの断面図である。
【
図11】本発明のさらに別の実施形態が提供する電池パックの部分アセンブリの原理を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、具体例を挙げながら本発明の実施形態について説明するが、当業者であれば、本明細書に開示された内容から本発明の他の利点および効果を容易に理解することができる。本発明は、異なる具体的な実施方式を通して実施または応用することもでき、本明細書における詳細は、本発明の精神から逸脱しない限り、異なる観点および応用に基づいて様々な修正や変更が可能である。説明すべきこととして、矛盾することがない場合、下記の実施形態および実施形態中の特徴を互いに組み合わせることができる。
【0018】
説明すべきこととして、下記の実施形態において提供する図面は、単に本発明の基本的概念を概略的に示したものであるため、図面には、実際の実施時の構成要素の数、形状、大きさではなく、本発明に関連する構成要素のみを図示する。各構成要素の種類、数量、および比率は、実際の実施中に自由に変更することができ、構成要素のレイアウトは、実際にはより複雑であってもよい。
【0019】
図1~
図11を参照すると、本発明は、電池パック100を提供し、電池パック100は、並んで配置された複数のセルスタック10を有する。理解すべきこととして、セルスタック10は、複数のセル12で構成された完全な包装外観を有する独立単位であり、電池パック100は、電気設備に直接結合された複数の独立単位からなるエネルギーアセンブリである。
【0020】
電気自動車の動力電池は、通常、車両のシャーシの下方に配置されるか、車両のシャーシの構造部材として直接使用されるため、動力電池は、空間利用率とエネルギー密度が高い平坦な外観を有する設計にしなければならない。しかしながら、セルおよびセルスタックを高密度に配置することによって、電池パックの放熱に影響を及ぼし、特に、ハイパワー充放電のプロセスにおいて、電池の温度が劇的に上昇するため、電池パックから熱を放出するための効率的な放熱システムを必要とする。しかしながら、従来の放熱方法は、通常、電池パックの底面または上面に冷却プレートを配置することによって行われる。冷却プレートは、各セルスタックの上面および底面にしか接触することができないため、セルスタックの側面の熱を効率的に放出することができない。セルスタックの側面の放熱問題を解決するために、隣接するセルスタックの間に冷却プレートを挟める放熱方法もある。しかしながら、この方法は、セルスタック間の距離を増やし、電池パックの空間利用率およびエネルギー密度を低下させる。
【0021】
本発明が提供する電池パック100は、冷却流路1115をセルスタック10の筐体に統合し、セルスタック10の筐体は、放熱部品として直接使用される。冷却流路1115は、冷却流路1115自身が位置するセルスタック10に対して放熱を行うことができるだけでなく、それに隣接するセルスタック10に対しても放熱を行うことができる。セルスタック10の側面に対する放熱を実現しながら、同時に、隣接するセルスタック10の間の距離が最大限に最小化される。このようにして、電池パック100の空間利用率およびエネルギー密度を向上させることができる。
【0022】
以下、本発明の技術方案について、いくつかの具体的な実施形態と合わせて詳しく説明する。
【0023】
図1および
図2を参照すると、図面に示した実施形態1が提供するセルスタック10は、セル12、筐体11、および冷却流路1115を含む。筐体11は、密閉され、複数のセル12を収容するキャビネットを形成する。本実施形態において、筐体11は、2つの開放端を有する本体111、および本体111の2つの端部をそれぞれ閉じる第1端カバー112および第2端カバー113を含む。本体111は、上壁1113、下壁1114、第1側壁1111、および第2側壁1112を含む。筐体11は、アルミニウム合金等の高熱伝導性材料で作られてもよい。セルスタック10のレイアウトをできるだけ簡易化するために、筐体11は、特定の細長い輪郭を有する構造、例えば、正方形の断面を有する細長い筐体、または平坦な筐体として作られてもよい。筐体11は、例えば、スタンピング(stamping)、ドローイング(drawing)、および他のプロセスによって一体形成されてもよく、あるいは複数のプレートで接合(splice)されてもよい。複数のプレートを使用して接合する時、プレートは、例えば、溶接、リベット締め等で全体として接続されてもよい。
【0024】
図2を参照すると、本実施形態において、冷却流路1115は、第1側壁1111内に形成され、冷却流路1115は、筐体11の内側および外側と同時に熱交換を行うことができる。本発明において、セルスタック10の筐体は、放熱部品として使用される。放熱プレートを使用する従来の方法と比較して、冷却流路1115とセル12の間の筐体構造が省略されるため、熱伝達がより直接的になり、放熱効率が向上する。また、本発明の冷却流路1115は、冷却流路1115自身が位置するセルスタック10に対して放熱を行うことができるだけでなく、それに隣接するセルスタック10に対しても放熱を行うことができる。
【0025】
図1および
図2を参照すると、本実施形態において、第1側壁1111は、上壁1113、下壁1114および第2側壁1112とは、分離して配置される。上壁1113、下壁1114、および第2側壁1112は、一体型に提供されたU字形筐体である。本実施形態において、第1側壁1111は、例えば、微多孔性アルミニウム扁平チューブで作られてもよい。
【0026】
図2を参照すると、本実施形態において、複数のセル12は、セルアレイを形成することができ、セルアレイは、積み重ねられた複数のセルグループを含むことができる。各セルグループは、1つまたはそれ以上のセル12を含む。各セル12の大表面は、トレイ20のベースプレート201に対して平行である。本発明において、この大表面は、セルの厚さ方向に沿った2つの側面を指す。つまり、セルの表面の拡張面積が最も大きい表面であり、セルを積み重ねる時の接合面として使用することができるため、各セル12の厚さ方向における側面は、それぞれ第1側壁1111との熱伝導を形成することができる。具体的な実施形態において、セル12は、例えば、パウチ型セルまたは角型セルであってもよい。第1端カバー112は、セルアレイのタブに接続された出力電極を備え、出力電極は、正極13および負極14を含む。全ての出力電極は、共面配置をなすように配置され、各セルスタック10の出力電極は、銅のバスバー28を介して接続される。出力電極は、同一平面上にあるため、銅のバスバー28は、同じ平面内に配置され、それにより、空間利用率をさらに向上させることができる。
【0027】
さらに、セル12と筐体11の内表面の間に熱伝導構造用接着剤を充填する。理解すべきこととして、パウチ型セルを採用する時、セル12の辺縁は、不規則な形状を有するが、熱伝導構造用接着剤は、セル12と筐体11の内表面の間の間隙を充填することができるため、熱伝導効率を向上させることができ、熱伝導構造用接着剤は、セル12を有効に固定することもできる。
【0028】
具体的に説明すると、
図2に示すように、熱伝導構造用接着剤は、少なくともセル12と第1側壁1111の間に充填される。本実施形態において、複数のセルスタック10を電池パック100に組み立てる時、各セルスタック10の第1側壁1111は、同じ側に面する。
図6および
図7を例に挙げると、各セルスタック10の第1側壁1111は、いずれも左に面し、隣接する2つのセルスタック10の右にある冷却流路1115は、左のセルスタック10を冷却することができる。
【0029】
図1、
図3、および
図4を参照すると、本実施形態において、第1側壁1111の一端は、第2端カバー1113から突出して、延伸部1114を形成する。冷却流路1115の液体入口115および液体出口116は、延伸部114上に位置する。さらに、液体入口115および液体出口116は、第1端カバー112に対して垂直な方向に沿って第1端カバー112を通過するように配置される。隣接する液体入口115を接続して、総液入口配管230を形成し、隣接する液体出口116を接続して、総液出口配管240を形成し、総液入口配管230および総液出口配管240は、第2端カバー113の一側に近接して配置される。本実施形態において、液体入口115および液体出口116は、三方向管(three-way pipe)に類似する設計を採用する。複数のセルスタック10を電池パック100内に積み重ねた時、各セルスタック10の液体入口115および液体出口116は、それぞれ同軸状態にある。そのような状況では、短管25を使用して液体入口115および液体出口116をそれぞれ接続するだけで、冷却流路1115の並列接続を実現することができる。液体入口115は、総液入口配管230に連通し、液体出口116は、総液出口配管240に連通する。このような構成により、余分な配管レイアウトを防ぐことができ、空間利用率をさらに向上させることができる。
【0030】
図5、
図6、および
図7を参照すると、本実施形態において、トレイ20は、ベースプレート201およびベースプレート201を取り囲むガードビーム202を含み、ベースプレート201およびガードビーム202は、収容空間を形成する。上カバー21は、トレイ20の上端に着脱可能に配置される。複数のセルスタックは、収容空間内に並んで配置される。最も外側のセルスタック10を除き、セルスタック10の残りの第1側壁1111は、隣接するセルスタック10の第2側壁1112に対向して配置される。このようにして、冷却流路1115は、冷却流路1115自身が位置するセルスタック10と隣接するセルスタック10を同時に冷却することができる。
【0031】
図7を参照すると、本実施形態において、各セルスタック10の底面とトレイ20の間に構造用接着剤22を充填することにより、各セルスタック10を有効に固定する。別の代替の実施形態において、セルスタック10を他の方法で固定してもよく、例えば、弾性材料で作られたバッファパッドをそれぞれセルスタック10の上側と下側に配置して、バッファパッドの弾性力によりセルスタック10をしっかりと締め付ける、あるいはボルトやリベット等の接続部材によりセルスタック10とトレイ20を直接固定する。
【0032】
図7を参照すると、本実施形態において、隣接するセルスタック10の間に熱伝導構造用接着剤を充填する。熱伝導構造用接着剤をセルスタック10内部の熱伝導構造用接着剤とさらに区別するために、ここでは、熱伝導構造用接着剤を外側熱伝導接着剤26と称し、セルスタック10内部の熱伝導構造用接着剤を内側熱伝導接着剤117と称す。外側熱伝導接着剤26は、隣接するセルスタック10の間の間隙を充填して、熱交換効率を向上させることができ、また一方で、外側熱伝導接着剤26は、電池の作業工程中に生じる膨張を緩和することもできる。
【0033】
図7を参照すると、本実施形態において、各セルスタック10の外壁と構造用接着剤22の間に脱着可能なホットプレスフィルム27を提供する。具体的な実施形態において、脱着可能なホットプレスフィルム27の材料は、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン、エチレン共重合体、およびポリイミドのうちの1つまたはそれ以上であってもよい。本発明の脱着可能なホットプレスフィルム27のホットプレス界面は、電池パック100の正常動作温度において確実な接合強度を有する。非加熱プレス界面と構造用接着剤22の間は、接合強度が良い。そのような状況では、セルスタック10が確実に固定される。60℃~100℃の間には、接合強度が急激に衰える温度点がある。温度が上記の範囲を超えると、接合強度が著しく衰えるため、ホットプレス界面を取り外しやすい。そのような状況では、脱着可能なホットプレスフィルム27からセルスタック10を容易に分離することができる。脱着可能なホットプレスフィルム27は、優れた絶縁性能を有し、その厚さは、例えば、10μm~2mmである。冷却流路1115の熱は、脱着可能なホットプレスフィルム27の表面に伝導される。説明すべきこととして、本発明の冷却流路1115に注入される冷却液は、高温冷却液または低温冷却液のいずれであってもよい。例えば、冬の低温環境では、高温冷却液を冷却流路1115に注入して、セルスタック10を加熱することができる。そのため、本発明は、冷却流路1115を介して脱着可能なホットプレスフィルム27を加熱することができる。外部の加熱装置がない場合でも、セルスタック10の取り外しが可能である。
【0034】
図8および
図9を参照すると、図面に示した実施形態2と実施形態1の間の相違点は、冷却流路1115の数量および位置と、セルスタック10の組み立て方法のみである。本実施形態において、冷却流路1115は、筐体11の第1側壁1111および第2側壁1112に提供される。つまり、冷却流路1115は、セルスタック10の両側にそれぞれ提供され、セルスタック10は、隣接する2つのセルスタック10を同時に冷却することができる。これに基づいて、本実施形態のセルスタック10は、
図9に示すように、冷却流路を有さない普通のセルスタックと組み立てて、電池パック100を形成することができる。各セルスタック10の両側は、それぞれ冷却流路を有さないセルスタックを備えているため、この配置は、各セルスタック10の側面も冷却することができる。
【0035】
図10および
図11を参照すると、図面に示した実施形態3と実施形態1の間の相違点も、冷却流路1115の数量および位置とセルスタック10の組み立て方法である。例えば、
図10および
図11の実施形態に示すように、冷却流路1115を筐体11の第1側壁1111および上壁1113に分配してもよい。本実施形態において、複数のセルスタック10は、
図11に示すように、水平および垂直に積み重ねることができる。右下のセルスタック10上の冷却流路1115は、左および上部のセルスタック10を同時に冷却することができる。
【0036】
以上のように、本発明が提供する電池パック100は、冷却流路1115をセルスタック10の側壁に統合し、隣接するセルスタック10の間に単独の冷却プレートを設置する必要がない。このような設計により、空間を節約して、電池パック100の空間利用率およびエネルギー密度を向上させることができる。また、冷却流路1115が位置する側壁は、各セル12の厚さ方向において側面に対向して設置されるため、冷却流路1115は、各セル12を冷却することができ、それにより、冷却効率を向上させることができる。
【0037】
本発明が提供する電池パック100は、冷却流路1115をセルスタック10の筐体内に統合する。冷却流路1115は、冷却流路1115自身が位置するセルスタック10に対して放熱を行うことができるだけでなく、隣接するセルスタック10に対しても放熱を行うことができる。セルスタック10の側面に対する放熱を実現しながら、同時に、隣接するセルスタック10の間の距離が最大限に最小化される。このようにして、電池パック100の空間利用率およびエネルギー密度を向上させることができる。
【0038】
本発明において、液体入口115および液体出口116は、三方向管に類似する設計を採用する。複数のセルスタック10を電池パック100内に積み重ねた時、各モジュールの液体入口115および液体出口116は、それぞれ同軸状態にある。そのような状況では、短管25を使用して液体入口115および液体出口116をそれぞれ接続するだけで、冷却流路1115の並列接続を実現することができる。このような構成により、余分な配管レイアウトを防ぐことができ、空間利用率をさらに向上させることができる。
【0039】
本発明の脱着可能なホットプレスフィルム27のホットプレス界面は、電池パック100の正常動作温度において確実な接合強度を有する。非加熱プレス界面と構造用接着剤22の間は、接合強度が良い。そのような状況では、セルスタック10が確実に固定される。60℃~100℃の間には、接合強度が急激に衰える温度点がある。温度が上記の範囲を超えると、接合強度が著しく衰えるため、ホットプレス界面を取り外しやすい。そのような状況では、脱着可能なホットプレスフィルム27からセルスタック10を容易に分離することができる。冷却流路1115の熱は、脱着可能なホットプレスフィルム27の表面に伝導される。本発明は、冷却流路1115を介して脱着可能なホットプレスフィルム27を加熱することができる。外部の加熱装置がない場合でも、セルスタック10の取り外しが可能である。
【0040】
上述した実施形態は、本発明の原理およびその効果を説明するための単なる例示であり、本発明を限定する意図はない。当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく上記実施形態を修正または変更することができる。そのため、当業者によって本発明の精神および範囲から逸脱することなく行われる同等の修正または変更は、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0041】
本明細書の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、構成要素および/または方法の例等の多数の具体的な詳細が提供される。しかしながら、当業者であれば、本発明の実施形態が、具体的な詳細の1つまたは複数を伴わずに、あるいは他の装置、システム、アセンブリ、方法、構成要素、材料、部品等を介して実施され得ることを認識するであろう。他の例において、周知の構造、材料、または動作は、本発明の実施形態の態様を曖昧にすることを避けるために、具体的に示されないか、詳細には説明されない。
【0042】
本明細書の全体を通した「1つの実施形態」、「ある実施形態」、または「具体的な実施形態」は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ、必ずしも全実施形態に存在しなくてもよいことを意味する。したがって、本明細書の全体を通した様々な段落における語句「1つの実施形態において」、「ある実施形態において」、または「具体的な実施形態において」は、必ずしも同一の実施形態を参照するわけではない。さらに、本発明において開示された任意の具体的な実施形態の特定の特徴、構造、または特性は、任意の好適な様式において、1つまたはそれ以上の他の実施形態と組み合わせることができる。理解すべきこととして、本明細書において説明および図示される実施形態の他の変形例および修正も本明細書の教示に照らして可能であり、本発明の精神および範囲の一部として見なされるべきである。
【0043】
理解すべきこととして、特定の用途によって有用であるように、図面に描かれた要素の1つまたは複数は、より分離され、または統合された方法で実施されてもよく、あるいは特定の場合には動作不能として取り除かれ、または見なされる可能性さえもある。
【0044】
また、図面のいかなる信号矢印も、他に具体的に指定されない限り、例示としてのみ考慮されるべきであり、限定として考慮されるべきではない。さらに、本明細書で使用される「または」という用語は、特に明記しない限り、一般に「および/または」を意味することを意図している。用語が、分離または組み合わせを示すのが不明確であるために予測される場合には、構成要素またはステップの組み合わせも明記されていると見なされる。
【0045】
本明細書の説明および以下の特許請求の範囲全体で使用されるように、「a」および「the」は、特に明記しない限り、複数の参照を含む。同様に、本明細書の説明および以下の特許請求の範囲全体で使用されるように、「において(in)」の意味は、特に明記しない限り、「の中に(in)」および「の上に(on)」を含む。
【0046】
要約に記載されているものを含む本発明の例示的実施形態の前述の説明は、網羅的であること、または本発明を本明細書に開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。本発明の具体的な実施形態および本発明の実例は、例示の目的でのみ本明細書に記載されているが、当業者が認識および理解するように、本発明の精神および範囲内で様々な同等の修正が可能である。示されるように、これらの修正は、本発明の例示された実施形態の前述の説明に照らして本発明に対して行うことができ、本発明の精神および範囲内に含まれるものとする。
【0047】
本明細書において、本発明の理解を助けるために、システムおよび方法について一般的に詳しく説明した。さらに、本発明の一般的な理解を提供するために、様々な具体的な詳細を提供した。しかしながら、当業者であれば、本発明の実施形態が、具体的な詳細の1つまたは複数を伴わずに、または他の装置、システム、アセンブリ、方法、構成要素、材料、部品等を介して実施され得ることを認識するであろう。他の例において、周知の構造、材料、および/または操作は、本発明の実施形態の態様を曖昧にすることを回避するために、具体的に示されないか、詳細には説明されない。
【0048】
したがって、本発明は、その具体的な実施形態を参照して本明細書に記載されているが、修正の許容範囲、変更、および置換は、前述の開示において意図されており、場合によっては、本発明の範囲および精神から逸脱することなく達成できることを理解されたい。本発明のいくつかの特徴は、本発明の精神における他の特徴を対応して使用することなく採用される。したがって、特定の状況または材料を本発明の本質的な範囲および精神に適合させるために、多くの修正を行うことができる。本発明は、以下の特許請求の範囲で使用される特定の用語および/または本発明を実施するために企図される最良の様式として開示される具体的な実施形態に限定されないが、本発明は、添付の特許請求の範囲内にある任意の全ての実例および同等物を含む。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の電池パックは、電池の技術分野に応用することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 セルスタック
11 筐体
12 セル
13 正極
14 負極
20 トレイ
21 上カバー
22 構造用接着剤
23 総液入口管
24 総液出口管
25 短管
26 外側熱伝導接着剤
27 脱着可能なホットプレスフィルム
28 銅のバスバー
100 電池パック
111 本体
112 第1端カバー
113 第2端カバー
114 延伸部
115 冷却流路
116 液体出口
117 内側熱伝導接着剤
1111 第1側壁
1112 第2側壁
1113 上壁
1114 下壁
1115 冷却流路
201 ベースプレート
202 ガードビーム
230 総液入口配管
240 総液出口配管
【外国語明細書】