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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076338
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】計時器用制御デバイス
(51)【国際特許分類】
   G04D 7/00 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
G04D7/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023148038
(22)【出願日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】22209439.3
(32)【優先日】2022-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼ・レーマン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ムーブメントと携行型時計本体との両方について製造サイクルの終わりにおいて制御を実行するための条件を改善する。
【解決手段】取り付け具又は携行型時計本体300を受けるケースを備える、計時器を制御するためのデバイスに関する。各取り付け具は、ムーブメント400及びその突き出た制御メンバー410を囲む。ケース1は、取り外し可能かつ互いに積み重ね可能に、底部と、取り付け具又は携行型時計本体のための下側支持体を形成する少なくとも1つの測定用支持体500を含むフレーム90と、上側弾性要素80を圧縮し各取り付け具又は携行型時計本体を保持するためのロック用要素16がある蓋部を含む上部とを備える。各測定用支持体は、弾性材料製のソール921によって支持され、内側の稼働センサー510を担持する。ケースの各ムーブメントは、他の弾性要素によって他のムーブメントに対して音響的に絶縁される。
【選択図】図49
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器に対して制御するための制御デバイス(100)であって、
前記制御デバイス(100)は、取り付け具(200)及び/又は携行型時計本体(300)を受けるように構成している少なくとも1つのケース(1)を含み、
前記取り付け具(200)を受ける場合、各取り付け具(200)は、計時器用ムーブメント(400)を囲み、かつ、前記計時器用ムーブメント(400)の制御メンバー(410)は、前記取り付け具(200)から突き出て、
前記携行型時計本体(300)を受ける場合、各携行型時計本体(300)は、前記計時器用ムーブメント(400)を囲み、
各ケース(1)は、少なくとも1つの取り外し可能かつ積み重ね可能な底部(20)と、
前記取り付け具(200)又は前記携行型時計本体(300)のための前記下側支持体を形成するように構成している少なくとも1つの測定用支持体(500)があるフレーム(90)と、
少なくとも1つのロック用要素(16)がある少なくとも1つの蓋部(10)がある上部とを含み、
前記ロック用要素(16)は、前記ケース(1)が、閉じたロック状態であるときに、前記底部(20)にあるロック用構造(23)と相補的に連係するように構成しており、
前記閉じたロック状態であるときには、前記フレーム(90)と前記蓋部(10)の間に配置される少なくとも1つの上側弾性要素(80、83)が圧縮されて、各取り付け具(200)及び/又は各携行型時計本体(300)が前記ケース(1)によって囲まれるように保持され、
各測定用支持体(500)は、バックラッシュ補正を可能にするフレキシブルな弾性材料製のソール(921)によって支持され、前記フレーム(90)とも前記蓋部(10)とも直接接触せず、
各測定用支持体(500)は、前記制御メンバー(410)又は前記携行型時計本体(300)が前記測定用支持体(500)に支えられる前記閉じたロック状態であるときに、前記取り付け具(200)又は前記携行型時計本体(300)に囲まれている前記計時器用ムーブメント(400)の稼働状況を把握するように構成している少なくとも1つの内側センサー(510)を、前記制御メンバー(410)又は前記携行型時計本体(300)の縁部にて、担持するように構成しており、
前記ケース(1)内に収容された各計時器用ムーブメント(400)は、前記上側弾性要素ではない、前記ケース(1)内に収容された他の弾性要素(60、70、80、922、931、932、933)によって、前記ケース(1)内にある他の前記計時器用ムーブメント(400)から、音響的に絶縁される
ことを特徴とする制御デバイス(100)。
【請求項2】
前記弾性要素(60、70、80、922、933)のいくつかは、受容体を構成し又は含み、
前記受容体は、前記取り付け具(200)又は前記携行型時計本体(300)と、隣の取り付け具(200)又は携行型時計本体(300)との間を、少なくとも前記取り付け具(200)又は前記携行型時計本体(300)によって囲まれる前記計時器用ムーブメント(400)の裏部側と表盤側のレベルにおいて、離間させる
ことを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス(100)。
【請求項3】
前記弾性要素(922、931、933)のいくつかは、前記測定用支持体(500)に対して前記取り付け具(200)又は前記携行型時計本体(300)を、前記フレーム(90)によって形成される主平面に垂直な平面内において、角度的にポジショニングするように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス(100)。
【請求項4】
前記弾性要素(932、933、80、83)のいくつかは、他の前記弾性要素(922、931、933、932)を覆って、前記閉じたロック状態であるときに、各取り付け具(200)又は各携行型時計本体(300)を、可能なかぎり強固に把持するように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス(100)。
【請求項5】
前記ケース(1)内にある各弾性要素(60、70、80、921、922、931、932、933、83)は、バックラッシュ補正を可能にするフレキシブルな弾性材料によって作られており、あるいは前記取り付け具(200)又は前記携行型時計本体(300)と接触するように意図された各側において弾性材料を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス(100)。
【請求項6】
前記上部には、前記底部(20)と前記蓋部(10)の間に積み重なるように構成している少なくとも1つの取り外し可能な腰部(30)があり、
前記腰部(30)は、少なくとも1つの前記弾性要素(922、931、932、933)によって、複数の前記取り付け具(200)又は前記携行型時計本体(300)を直接的又は間接的に囲むように構成している少なくとも1つのチャンバー(33)があり、
これらの複数の前記取り付け具(200)又は前記携行型時計本体(300)は、前記チャンバー(33)の壁から離間される
ことを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス(100)。
【請求項7】
前記底部(20)にあるロック用構造(23)には、前記底部(20)に固定されるように構成している少なくとも1つの電子モジュール(51)を通り抜ける柱があり、
前記底部(20)には、前記少なくとも1つの電子モジュール(51)とデータを交換するための外部回路との接続及び前記少なくとも1つの電子モジュール(51)にあるエネルギー格納手段(52)を供給するための外部回路との接続のために構成している少なくとも1つの窓(24)がある
ことを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの腰部(30)には、前記フレーム(90)によって担持されるコンパートメント(53)内又は少なくとも1つの前記電子モジュール(51)によって固定される前記エネルギー格納手段(52)を離間し保護するための少なくとも1つのカバー(34)がある
ことを特徴とする請求項6及び7に記載の制御デバイス(100)。
【請求項9】
弾性材料製の前記ソール(921)には、前記フレーム(90)にある固定用の穴(9210)のネットワークと連係するように構成している弾性クリップ(91)を受けるように構成している第1の穴(45)のネットワークと、前記フレーム(90)にある通路(9220)に対向する第2の穴(46)のネットワークがあり、
前記第2の穴(46)は、前記弾性要素(922、931、932、933)のいくつかにある脚(9221)を受けるように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス(100)。
【請求項10】
前記制御デバイス(100)には、前記制御デバイス(100)にあるすべての前記ケース(1)に適合する前記取り付け具(200)があり、
前記ケース(1)には、各取り付け具(200)を受けるために、前記下側受容体(60)があり、
前記下側受容体(60)は、弾性材料製の前記ソール(921)に差し込み可能な弾性ネスト(922)であり、
前記弾性ネスト(922)には、内側に、前記取り付け具(200)の境界を定める平坦な外側プレート(218、238)の外形の一部に対応するメス状のへこみがあり、前記平坦な外側プレート(218、238)の縁部において平坦な基準面(240P)と連係するように構成している支持体があり、
前記弾性ネスト(922)には、弾性のビーク状のブレード(922)があり、
前記ブレード(922)は、前記制御メンバー(410)の半径方向(DR)が前記測定用支持体(500)と整合する測定位置において、前記取り付け具(200)に囲まれた前記ムーブメント(400)の前記制御メンバー(410)の遠位端(411)において前記測定用支持体(500)に当接するようにトラップされた状態に前記取り付け具(200)を保持するように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス(100)。
【請求項11】
前記制御デバイス(100)には、各携行型時計本体(300)を受けるために、少なくとも1つの下側弾性要素(70)があり、
この下側弾性要素(70)は、前記携行型時計本体(300)の保持、下側のウェッジ作用、及び向きの整合のために構成しているウェッジプレート(931)と、前記携行型時計本体(300)の風防と裏部を保持し緩衝するように構成している第1の横方向弾性要素(933)と、前記チャンバー(33)内に収容され前記第1の横方向弾性要素(933)を圧縮するように構成している第2の横方向弾性要素(932)とを含む
ことを特徴とする請求項6及び請求項1に記載の制御デバイス(100)。
【請求項12】
前記制御デバイス(100)には、前記制御デバイス(100)を各チャンバー(33)内に収容するために、複数の中空プロファイルを有する前記第2の横方向弾性要素(932)と、同じ数の受容体がある前記第1の横方向弾性要素(933)と、同じ数のウェッジセルがある前記ウェッジプレート(931)とがあり、
さらに、同じ数の支持体がある前記上側弾性要素(80、83)がある
ことを特徴とする請求項11に記載の制御デバイス(100)。
【請求項13】
各ウェッジプレート(931)及び少なくとも各第1の横方向弾性要素(933)は、前記携行型時計本体(300)の2つのホーンの間に位置する、前記携行型時計本体(300)の支持面(301)の向きを整合させて、前記測定用支持体(500)に支持されつつ連係するように構成している
ことを特徴とする請求項11に記載の制御デバイス(100)。
【請求項14】
少なくとも前記フレーム(90)には、前記取り付け具(200)又は前記携行型時計本体(300)の表盤側(95)又は裏部側(96)に、識別用マークがある、かつ/又は
前記ケース(1)には、前記取り付け具(200)又は前記携行型時計本体(300)の表盤側(95)及び裏部側(96)の均等なポジショニングを確実にする機械的な誤操作防止機構がある
ことを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス(100)。
【請求項15】
各内側センサー(510)は、圧電センサーであり、
各電子モジュール(51)は、少なくとも1つの前記ケースを動かし前記ケース(1)が含む前記計時器用ムーブメント(400)にある自動巻き機構をワインドするための操作手段(101)をトリガーするための赤外線信号及び/又はその他の信号を発信かつ/又は受信するように構成している
ことを特徴とする請求項7及び請求項1に記載の制御デバイス(100)。
【請求項16】
請求項1に記載の制御デバイス(100)を用いて計時器用ムーブメント(400)に対して制御及び/又は調整を実行する方法であって、
前記計時器用ムーブメント(400)が適切な前記取り付け具(200)内に挿入される又は前記携行型時計本体(300)内に組み付けられ(2000)、
前記ケース(1)は、前記取り付け具(200)又は所定のモデルの前記携行型時計本体(300)を受けるように適宜構成している下側弾性要素と、これに適合する上側弾性要素があるケース(1)を用意し(2100)、
各取り付け具(200)又は各携行型時計本体(300)は、前記ケース(1)のコンパートメント内に配置され、適切な弾性要素によって囲まれ(2200)、
前記ケース(1)の蓋部(10)は、前記弾性要素を圧縮することによって閉じられ、前記測定用支持体(500)に支持された各取り付け具(200)又は各携行型時計本体(300)は、前記取り付け具(200)又は前記携行型時計本体(300)の縁部において押しつけられ(2300)、
推奨される測定サイクルが行われ、前記ケース(1)は空間における様々な位置において操作され(2400)、
これらの位置のそれぞれに対して、プリント回路(51)を介して内側センサー(510)と通信する外側センサー(102)、及び/又は工具(103)を利用して、前記計時器用ムーブメント(400)に対して、少なくとも1つの制御及び/又は調整動作を行う(2500)
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器に対して制御するための制御デバイスに関し、この制御デバイスは、取り付け具及び/又は携行型時計(例、腕時計、懐中時計)の本体(watch head)を受けるように構成している少なくとも1つのケースを備え、各取り付け具は、計時器ムーブメントを囲み、制御メンバーが前記取り付け具から突き出ており、各携行型時計本体は、前記計時器用的なムーブメントを囲み、各ケースは、互いの上部に取り外し可能かつ積み重ね可能であり、底部と、前記取り付け具又は前記携行型時計本体の下側支持体を形成するように構成している少なくとも1つの測定用支持体があるフレームとを備え、そして、上部は、少なくとも1つのロック用要素を備え、少なくとも1つの蓋部は、前記背中にあるロック用構造と相補的に連係するように構成しており、前記ケースの閉じたロック状態であるときに、前記フレームと前記蓋部の間に配置する少なくとも1つの上側弾性要素を圧縮して、前記ケースにある各取り付け具及び/又は各携行型時計本体を保持する。
【0002】
本発明は、計時器用ムーブメント、携行型時計本体及び計時器の制御や調整の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
OMEGA SAによる欧州特許文献EP3410234B1は、プローブやマイクロフォンが接触することがある、よく保護された複数の携行型時計本体を受けるケースについて記載している。
【0004】
従来技術において、製造サイクルの最終試験のために、計時器用ムーブメントがケースないし器具内に配置され、このケースないし器具は、マイクロフォンがアクセスすることを可能にするコンパートメントに配置されたり、このケースないし器具の底部に、懸架された構造に取り付けられたマイクロフォンが配置される。このムーブメントは、リュウズが取り付けられる巻きステムを備え、リュウズがマイクロフォンに接触するように、ムーブメントがそれぞれ自分のコンパートメント内に配置される。このようにして、携行型時計のティックをピックアップし、ピックアップされた信号を処理回路に送ることができる。
【0005】
特に実際の動作に近い測定値を得るために、このような測定を携行型時計本体に対して行うことが望ましい場合、同じように進めることは難しい。なぜなら、リュウズ付きのステムは、携行型時計本体がコンパートメント内に配置されているときには、損傷してしまうことがあるデリケートな要素であるためである。この問題は、携行型時計本体がクロノグラフプッシュボタンのようなプッシュボタンも備える場合には大きくなる。
【0006】
別の問題として、リュウズの形状、大きさ及び位置が、ケースごとに異なり、これによって、多くの異なる敷設具が必要となり、このことは実用的でも経済的でもないということがある。
【0007】
また、マイクロフォンに風防を接触させるように携行型時計本体を制御デバイスにおいて配置することも提案されている。しかし、この手法は満足できるものではない。なぜなら、マイクロフォンは、風防と風防ガスケットを介してムーブメントに接触し、これらの風防と風防ガスケットは音波を減衰させて、ムーブメントの音を最適に聞くことができなくなるからである。他の既知の問題としては、同様に動作している他の計時器用ムーブメントに囲まれた計時器用ムーブメントに対して、振動試験、特に音響試験、を実行する際の騒音汚染に関するものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、アドホックな取り付け具内に入れられた、まだ取り付けられていないムーブメントと、すぐに使える携行型時計本体との両方について、製造サイクルの終わりにおいて制御を実行するための条件を改善することを目的とする。本発明は、このようなムーブメントを取り付け具又は携行型時計本体内にて囲み、保護し、測定位置となるように向きを合わせ、ムーブメントのそれぞれを同じケースに含まれる他のムーブメントから音響的な絶縁性を高めることができるような、ケースを使用することに基づくデバイスに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、請求項1に記載の計時器用制御デバイスに関する。
【0010】
本発明の別の態様は、計時器に対して制御及び/又は調整を実行する方法に関する。
【0011】
添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の目的、利点及び特徴が一層明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の特定の変異形態(これに限定されない)に係るデバイスを備えるケースの概略斜視図であり、このケースは、底側から上側の順で、底部と、腰部と、蓋部とを備え、携行型時計本体をその輸送及び測定のために収容する。このケースは、閉じたロック状態にあり、腰部を介して蓋部が底部に対して強制的に閉じられ、そして、様々な弾性要素が携行型時計本体の下、そのまわり、そしてそれに接触するように配置されて、この図では見えない測定用支持体に対抗するように携行型時計本体を押し付ける。例示的な変異形態において、腰部にある窓を通して携行型時計本体を見ることができる。底部、腰部及び蓋部には、ロボットマニピュレーターによる操作のための把持要素が嵌められる。
図2】プリント回路基板にアクセスするための下側窓がある、図1に示しているケースの底部の概略斜視図である。この底部には、柱が嵌められ、各柱の上部には、図1に示している上側摺動引き出し要素の1つと連係するように構成している溝がある。底部の上面には、2つの脚と2つのハウジングがあり、特定の積み重ね角位置にしつつ精密な積み重ねを促進するように構成している。
図3図1のケースの腰部の概略斜視図であり、この腰部には、エネルギー格納手段、この場合、電池、のための保護カバーの両側に、携行型時計本体の2つの列があり、各携行型時計本体は、第1の横方向弾性要素によって囲まれ、その各列は、第2の横方向弾性要素によって囲まれており、この第2の横方向弾性要素は、腰部のチャンバー内にて嵌まり各携行型時計本体のまわりの各第1の横方向弾性要素を圧縮するように構成している。腰部の一方の側にあるグラフィックな記号は、腰部が意図している製品タイプを識別するものである。底部のハウジングと連係した積み重ねのための脚が底にて見えており、頂上に誤操作防止用スタッドが見え、カバーを積み重ねるために4つのハウジングが見える。
図4図1に示しているケースの蓋部の概略斜視図であり、この蓋部には、弾性要素を圧縮することによってケースをロックするための2つの摺動引き出し要素がある。下部には、腰部のハウジングと連係して積み重なるための脚が見えており、上部には、ケースの間の潜在的な積み重ねのための誤操作防止用穴、そして、このような積み重ねのための4つのハウジングが見えている。
図5図5~14は、底側から上側の順で、図1に示しているケースの主なコンポーネントを示している分解斜視図である。図5は、図2に示している底部を示しており、この底部には、柱と下側ロックナットがある。
図6】フレームを示しており、このフレームは、その上部にて、プラスチック製のクリップによって抑えられた、バックラッシュ補正のためのフレキシブルな弾性材料製の10個のソールを支持し、そのそれぞれ上に特定の測定用支持体が懸架されている。下部は、電池ホルダーを介してエネルギー格納手段を担持する電子モジュールを支持し、この電子モジュールから、測定用支持体の下に配置される内側センサーまで配線されている。
図7】各携行型時計本体の保持、下側のウェッジ、及び向き合わせのためのウェッジプレートがある下側弾性要素を示しており、この下側弾性要素は、脚によって弾性材料によって作られたソールに差し込むことができる。
図8図3の腰部を示しており、チャンバーの1つが、第2の横方向弾性要素及びそれが囲むあらゆるものを収容し締め付ける。
図9】携行型時計本体の風防と裏部を保持し緩衝するように構成している第1の横方向弾性要素の2つの列を示している。
図10】第1の横方向弾性要素を囲む第2の横方向弾性要素を示している。
図11】携行型時計本体を示している。
図12】2つの上側弾性要素を示しており、その各上側弾性要素は、5つの携行型時計本体からなる1列を押して、閉じたロック状態にするように構成している。
図13図1及び4に示している2つのロック用引き出し要素を示しており、それらの溝は、底部の柱の溝と連係するように構成している。
図14図4の蓋部を示している。
図15図15~24は、図5~14とは逆に上側から底側の順で、図1に示しているケースのコンポーネントを示している分解斜視図である。図15は、底部を示している。
図16】フレームと電子モジュールを示している。
図17】下側弾性要素を示している。
図18】保護カバーに電池が支持されている腰部を示している。
図19】第1の横方向弾性要素の2つの列を示している。
図20】第2の横方向弾性要素を示している。
図21】携行型時計本体を示している。
図22】2つの上側弾性要素を示している。
図23】2つのロック用引き出し要素とそれらのアイ溝(eye groove)を示している。
図24】蓋部を示している。
図25図1に示しているケースの蓋部を上から見た概略図である。
図26図25の平面A-Aにおける、図1に示しているケースの概略断面図である。
図27図25の平面B-Bにおける、図1に示しているケースの概略断面図である。
図28図28~31は、図1~4と同様の形態で、それぞれがムーブメントを含む、ケースの別の変異形態を示している。図28は、取り付け具を含む完全なケースの概略斜視図である。
図29図28に示しているケースの底部を示している。
図30図28に示しているケースの腰部を示しており、各取り付け具は、脚によって弾性材料によって作られたソールに挿入されるクランプ状のネストによって所定の位置に保持される。
図31図28に示しているケースの蓋部を示している。
図32図32~38は、底側から上側の順で、図28に示しているケースの主なコンポーネントを示している分解斜視図である。図32は、底部の柱と下側ロックナットを示している。
図33図29に示している底部を示している。
図34図6と同様なフレームを示している。
図35図30に示している腰部を示している。
図36】取り付け具の向きを合わせクランプするためのクランプを形成する2列の差し込み式のネストを示している。
図37】取り付け具を示している。
図38図31に示している蓋部を示している。
図39図39~45は、図32~38とは逆に上側から底側へと順に、図28に示しているケースのコンポーネントを示している分解斜視図である。図39は、底部の柱及びその下側ロックナットを示している。
図40】底部を示している。
図41】フレームを示している。
図42】腰部を示している。
図43】差し込み式のネストを示している。
図44】取り付け具を示している。
図45】蓋部を示している。
図46図28に示しているケースの蓋部を上から見た概略図である。
図47図46の平面A-Aにおける、図28に示しているケースの概略断面図である。
図48図46の平面B-Bにおける、図28に示しているケースの概略断面図である。
図49】左側に携行型時計本体を含む図1のケースがあり、右側に取り付け具を含む図28のケースがある、特定の変異形態についての図27及び46の平面B-Bにおける概略断面図である。
図50】逆ベル状のホーンを含む測定用支持体についての、回転軸を通る断面における概略図を示しており、前記ホーンの最も広い側は、測定対象物、この場合ムーブメントを含むドーム、の方を向いており、ムーブメントの制御ロッドの端にあるリュウズは、このホーンの内側部分と接触しており、この特定の実施形態においては、実質的に円錐形である。このベルは、振動をより固い部分へと導き、この固い部分は、底部と一体化されたコンセントレーターとして作用する。この底部の下にてセンサーが保持され、このセンサーは、この特定の例において圧電センサーである。この底部には、センサーを電子モジュールに接続するケーブルを収容するための溝がある。
図51】測定用支持体の回転軸を通る概略断面図を示しており、この測定用支持体は、携行型時計本体の縁部の測定領域に、特に、この携行型時計本体の2つの隣り合うホーンの間に、載置される。
図52】弾性材料によって作られたソール及び様々な下側弾性要素を受けるように構成しているフレームの概略斜視図である。このフレームには、フレームの下側に見える電子モジュールと一体的にされた電池ホルダーに取り付けられた、電池が占める中央部分のまわりに対称的に、5つの穴アレイの列が2列あり、その各穴アレイは、中央オリフィスのまわりに、弾性材料製のソールをトラップするためのクリップを受けるための4つの外側穴の群と、下側弾性要素、特に取り付け具の場合にはネスト、の脚を受けるための4つの内側穴の群とを含む。フレームには、有利なことに、直径方向に反対側のマークがあり、その一方のマークは、計時器用ムーブメントの「裏部」側の位置を示すものであり、他方のマークは、これらのムーブメントの「表盤」側の位置を示すものである。フレームには、有利なことに、前記裏部側及び表盤側をケースの底部及び/又は腰部にある対応するマークと整合させるための機械的な誤操作防止機構がある。
図53】組み付けられたケースを下方から見た概略斜視図を示しており、底部の窓が、ケース内の少なくとも1つの電子モジュールへのアクセスを可能にしている。
図54】電池保護カバーの下に通路がある腰部の変異形態についての概略側面図であり、凹状マークが、この腰部に用いられる取り付け具の表盤側を示している。
図55】電池保護カバーの下の腰部が完全に中実である別の変異形態についての概略側面図であり、同様の凹状マークが、この腰部に用いられる取り付け具の表盤側を示している。
図56】穴のネットワークがある弾性材料製のソールを上から見た概略図であり、中央の穴のまわりに、図52のフレーム上にてトラップ用クリップを受けるための4つの穴の外側群と、下側弾性要素、特に取り付け具の場合にはネスト、の脚を受けるための4つの穴の内側群とがある。中央の穴の境界には、図50又は図51のように、測定用支持体の底部を受けるための溝を覆うビードがあり、弾性材料製の要素には、ケーブルを通すための溝と、このケーブルを固定するためのクランプとして機能する狭窄部490とがある。
図57図50又は51に示している測定用支持体の回転軸における概略断面図であり、この測定用支持体は、その下部に、図56に示している弾性材料製のソールの溝内にクリップ留めされた、内側圧電センサーを備える。圧電センサー接続ケーブルは、弾性材料製のソールの溝内にて収容されクランプされる。
図58図57の圧電センサーと、本発明に係るデバイスに含まれる、ケースの外側の手段との間の、赤外線リンクのような無線リンクを示している概略図であり、この手段は、例えば、内側の圧電センサー又は電子モジュール51から情報を収集するように構成している検出手段、また、デバイスが含む中央化されたパイロットシステムに関連づけられた外側センサーである。
図59】本発明に係るデバイスの概略斜視図を示しており、このデバイスは、前記のようなケースと、その付属品、特に取り付け具、を備え、さらに、一方で、これらのケースを取り扱うための手段を備え、他方で、センサーや調整用工具がある、固定された又は可動なヘッドを備える。
図60】前記のようなケース及びこのデバイスを用いて実行される計時器用ムーブメントの制御及び/又は調整方法の主要ステージの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、取り付け具200及び/又は携行型時計本体300を受けるように構成している少なくとも1つのケース1を含む、計時器を制御するためのデバイス100に関する。図1~58は、このようなケース1の様々な変異形態、及びそれらのいくつかの特定のコンポーネントを示している。
【0014】
各取り付け具(calotte)200は、この取り付け具200から、ワインド及び/又は時間セッティング用のステムのような制御メンバー410が半径方向DRに突き出るように、計時器用ムーブメント400を収容する。
【0015】
各携行型時計本体300は、このような計時器用ムーブメント400を収容する。
【0016】
各ケース1は、少なくとも1つの取り外し可能かつ積み重ね可能な、底部20と、フレーム90と、上部とを含み、このフレーム90には、取り付け具200又は携行型時計本体300のための下側支持体を形成するように構成している少なくとも1つの測定用支持体500がある。
【0017】
フレーム90は、後述する少なくとも1つの革新的な測定用支持体500を備え、この測定用支持体500は、測定状態において前記取り付け具200又は携行型時計本体300のための下側支持体を形成するように構成している。
【0018】
この上部には、少なくとも1つのロック用要素16、特に引き出し要素(drawer)、がある少なくとも1つの蓋部10があり、このロック用要素16は、ケース1を閉じロックしている状態にあるときに底部20にあるロック用構造23と相補的に連係するように構成している。この閉じたロック状態であるときに、フレーム90と蓋部10の間に配置されている又は蓋部10によって担持される、少なくとも1つの上側弾性要素80、83が、ロック用要素16のロックによって圧縮されて、ケース1によって囲まれた各取り付け具200及び/又は各携行型時計本体300を保持する。図示している例において、ロック用要素16は、蓋部10にある溝内を摺動する引き出し要素であり、この引き出し要素には、アイ溝(eye groove)があり、このアイ溝は、特にナット230などを利用して、底部20に固定された、2つの柱23の端溝と連係する。クリップ止めは、これらの引き出し要素のトラベル端の位置のロックを維持する。
【0019】
本発明によると、各測定用支持体500は、バックラッシュ補正を可能にするフレキシブルな弾性材料製のソール921によって支持され、フレーム90や底部20と直接接触しない。この測定用支持体500は、この閉じたロック状態において取り付け具200に囲まれた計時器用ムーブメント400又は携行型時計本体300の稼働状況を把握するように構成している少なくとも1つの内側センサー510を担持するように構成しており、ここで、取り付け具200の場合は制御メンバー410の遠位端411、あるいは携行型時計本体300の場合は携行型時計本体300の、突起300の間などの、支持領域301が、この制御メンバー410又は携行型時計本体300の縁部において、測定用支持体500に支持される。そして、ケース1に収容されている各計時器用ムーブメント400は、ケース1に収容されている他の弾性要素60、70、80、922、931、932、933によって、ケース1に収容されている他の計時器用ムーブメント400から音響的に絶縁される。
【0020】
特に、いくつかの弾性要素60、70、80、922、932、933は、取り付け具200又は携行型時計本体300を囲むように構成している受容体を構成し又は含み、前記取り付け具200又は携行型時計本体300と、隣り合う取り付け具200又は携行型時計本体300との間を、少なくとも、前記取り付け具200又は携行型時計本体300によって囲まれた計時器用ムーブメント400の裏部側及び表盤側のレベルにおいて、離間させる。
【0021】
特に、いくつかの弾性要素922、931、933は、フレーム90によって形成される主平面に垂直な平面内において、測定用支持体500に対して取り付け具200又は携行型時計本体300を角度的にポジショニングするように構成している。このようにして、取り付け具200は、半径方向DRが前記主平面に対して垂直に配置される。同様に、携行型時計本体300を測定するように選択された支持領域301は、図49に示しているように、正しい向きに配置される。この図49は、2つの場合を示している。すなわち、左側に携行型時計本体300の場合、右側に取り付け具200の場合を示している。
【0022】
特に、いくつかの弾性要素932、933、80、83は、閉じたロック状態であるときに、他の弾性要素922、931、933、932を覆って、可能なかぎり各取り付け具200又は各携行型時計本体300を強固に把持するように構成している。
【0023】
特に、ケース1において、少なくとも1つの弾性要素、又は具体的には各弾性要素60、70、80、921、922、931、932、933、80、83は、取り付け具200又は携行型時計本体300と接触するように意図されている各側にて、バックラッシュ補正を可能にするフレキシブルな弾性材料によって作られる又はこのような弾性材料を含む。このような弾性要素のフレキシブル性は、本質的にその形状に関連しており、これらの弾性要素は、絶縁と、バックラッシュ補正(1mmの範囲内)である2つの主要な機能を果たす。取り付け具を受けるように構成しているネスト922のような、クランプとして機能するいくつかの弾性要素は、クランプとして機能する弾性要素を含むプラスチック構造を有し、この弾性要素は、この弾性要素にあるクランプアーム601の製造を容易にするように射出成形される。この構造は、有利なことに、バックラッシュ補正を可能にするフレキシブルな弾性材料とともに内側にて整列する。後述する第1の横方向弾性要素933や第2の横方向弾性要素932のような、ケースの他の弾性要素に対しても、同じタイプの製造方法を用いることができる。
【0024】
特に、図示しているすべての変異形態と同様に、上部には、底部20と蓋部10の間にて積み重なるように構成している少なくとも1つの取り外し可能な腰部30がある。この腰部30には、少なくとも1つの貫通チャンバー33があり、このチャンバー33は、少なくとも1つの弾性要素922、931、932、933によってチャンバー33の壁から離間する複数の取り付け具200又は携行型時計本体300を直接的又は間接的に囲むように構成している。
【0025】
特に、底部20にあるロック用構造には、底部20上に配置されるように構成している少なくとも1つの電子モジュール51を通り抜ける柱23がある。電子モジュール51は、そのコンポーネントと、反対側に配置される、エネルギー格納手段52、特に電池など、の間のいずれの接触も防ぐように、フレーム90によって隠される。そして、この底部20には、少なくとも1つの窓24があり、この窓24は、少なくとも1つの前記電子モジュール51とのデータ交換のための外部回路の接続のため、そして、フレーム90によって保護されている前記エネルギー格納手段52にパワー供給するための外部回路の接続のために、配置されている。電池ホルダー53は、フレーム90にクリップされる、剛構造を含むことができる。電子モジュール51には、ムーブメント400の裏部側と表盤側を識別するためのマークがある。
【0026】
特に、腰部30には、フレーム90又は少なくとも1つの電子モジュール51によって担持される、コンパートメント53、特に電池ホルダー、内に固定される、前記エネルギー格納手段52を離間し保護するための少なくとも1つのカバー34がある。有利なことに、このカバー34には、エネルギー格納手段52に対向する、内側止め341、特に弾性があるもの、がある。
【0027】
特に、弾性材料製のソール921には、好ましくは、中央オリフィス47のまわりに、固定手段を受けるように構成している第1の穴45のネットワークがあり、この固定手段は、特に、フレーム90にある固定用の穴9210のネットワークと連係するように構成している弾性クリップ91であり、これらの弾性クリップ91は、好ましくは、プラスチックによって作られる。また、弾性材料製のソール921には、フレーム90にある通路9220に対向する、第2の穴46のネットワークがあり、これらの第2の穴46は、弾性要素60、70、80、922、931、932、933のいくつかにおいて脚9221を受けるように構成している。ビード478が中央の穴47を囲み、ビード478には、測定用支持体500の基部503を収容するための内側溝48がある。このようにして、各測定用支持体500は、フレーム90とケース1の構造から懸架され電気的に絶縁され、ムーブメント400、取り付け具200、携行型時計本体300についても同様である。
【0028】
特に、図28~48における変異形態において示しているように、デバイス100には、デバイス100内のすべてのケース1に適合する汎用の取り付け具200がある。これらの取り付け具200はすべて、所与のデバイス100に対して外側的には同じである。ケース1は、次に、必要に応じて、装置、特に取り付け具200又は携行型時計本体300である試験される対象物、に適合する弾性要素を受けることができる。図49は、1つのチャンバー33が携行型時計本体を受け他のチャンバーが取り付け具200を受けるような理論的ケーススタディーについて示している。このことは、物の流れについては最適な手法でないとしても、本発明に係るケース1の構成によって可能になる。なぜなら、それぞれの内容が同じケース1を管理する方が容易であるからである。
【0029】
所与のデバイス100に対して取り付け具200の外観はすべて同じであるが、取り付け具200の内部は、中に挿入されるように意図されているムーブメント400の性質に応じて異なり、各モデルは、すべての取り付け具200に共通の基準軸に対して、すなわち、外側プロファイルと単一の基準に対して、制御メンバー410の遠位部分411が突き出るように構成している。支持体500上の支持機構の寸法構成は、他とは異なるムーブメント400を含む場合でも、すべての取り付け具200に対して同じである。特に、取り付け具200には、取り付け具200の境界を定める底部210とカバー34をそれぞれ形成する平坦な外側プレート218、238があり、これらは底部210と蓋部230それぞれの支持面219、239を囲む。これらの支持面219及び239は、ムーブメント400を担持するトランスポートリング220上にて面一となるように載置され、このトランスポートリング220は、その向きと、半径方向DRと、全取り付け具200に共通の基準軸に対する制御メンバー410の遠位部分411の偏心性とを決め、この偏心性は、すべての取り付け具200及びすべてのムーブメント400に対して同じである。これらの平坦な外側プレート218、238の縁部には、好ましくは、基準軸DCを定める平坦な基準面240Pがあり、この基準軸DCに対してリュウズの偏心性が判断される。底部210、カバー34及びトランスポートリング220には、ノッチなどのインデクシング用のレリーフ217、237、227がある。好ましくは、それらには、向き整合用のレリーフ216、236、226もあり、これによって、インデクシング用レリーフに対して、ムーブメント400の表盤側と裏部側の位置を決めることができる。
【0030】
特に、各取り付け具200を受けるために、ケース1には、下側受容体60があり、この下側受容体60は、具体的には、脚9220によって弾性材料製のソール921に差し込み可能な弾性ネスト922であり、これには、内側に、取り付け具200の、平坦な外側プレート218、238の外側輪郭の一部に対応するメス状のへこみがあり、支持体が、取り付け具200の平坦な基準面240Pと連係するように構成している。有利なことに、ネスト922には、ビード又はリップ602がある弾性ブレード601があり、このビード又はリップ602は、制御メンバー410の半径方向DRが測定用支持体500と整列している測定状態において、取り付け具200に収容されたムーブメント400の制御メンバー410の遠位端411において測定用支持体500に当接するようにトラップされた状態に取り付け具200を保持するように構成している。ネスト922の数は、図に示しているように単一であることができ、また、複数であることもできる。この単一の構成は、弾性材料製のソール921に対する差し込みを促進させる。
【0031】
特に、図1~27に示している変異形態に示しているように、ケース1は、携行型時計本体300を受けるように構成しており、各携行型時計本体300を受けるために、少なくとも1つの下側弾性要素70を備え、この下側弾性要素70は、携行型時計本体300の保持、下側のウェッジ作用、及び向きの整合のために構成しており、脚を用いて弾性材料製のソール921に差し込み可能であるウェッジプレート931と、携行型時計本体300の風防と裏部を保持し緩衝するように構成している第1の横方向弾性要素933と、チャンバー33内にて嵌合し、各携行型時計本体300のまわりの第1の横方向弾性要素933を圧縮するように構成している第2の横方向弾性要素932とを含む。
【0032】
特に、ケース1は、携行型時計本体300を各チャンバー33内に収容するためにいくつかの空欠部を含むプロファイルを有する第2の横方向弾性要素932と、同じ数の受容体がある第1の横方向弾性要素933と、同じ数のウェッジ形成セルがあるウェッジ形成プレート931と、同じ数の支持体がある上側弾性要素80、83を含む。図面には、5つの携行型時計本体300を受けるように構成している列がある例を示している。
【0033】
特に、各ウェッジプレート931及び少なくとも各第1の横方向弾性要素933は、特に図49の例において携行型時計本体300の2つのホーンの間に配置される、携行型時計本体300の支持面301の向き整合をするように構成しており、これによって、測定用支持体500に支持されつつ連係する。
【0034】
特に、少なくともフレーム90には、取り付け具200又は携行型時計本体300の表盤側95(マークC)又は裏部側96(マークF)に識別用マークがある。
【0035】
特に、ケース1には、取り付け具200又は携行型時計本体300の表盤側と裏部側の均等なポジショニングを確実にするための機械的な誤操作防止機構がある。有利なことに、ケース1には、その構成要素のいくつかにピクトグラム又は凹状の形状94、97、98があり、これによって、取り付け具200又は携行型時計本体300の使用、表盤側と裏部側、リュウズ又はムーブメント400の他の要素の位置を、ユーザーが容易に識別できるようにする。
【0036】
本発明に係るデバイス100には、有利なことに、音響センサー510に向かうムーブメント400が発した振動信号を伝達するように構成している測定用支持体500がある。特に、図49、50、51、57、58に示しているように、各支持体500には、ベル501があり、このベル501は、好ましくは軸対称であり、センサー510を受ける基部503の上方に配置されるコンセントレーターを形成する中実領域502の方になるに従って狭くなり、円錐形又は徐々に大きくなる内側プロファイルを有するベルと同様である。このパビリオンは、その最大開口の側において、ケース1内にて処理される携行型時計ケース300のホーンの間の間隙よりも小さい外径DEを有し、また、ケース1で処理される取り付け具200に囲まれベル501の内側支持面511に接触することとなるムーブメント400のリュウズの直径よりも大きい内径DIを有する。溝504によって、少なくとも1つの電子モジュール51に接続されるケーブル520などの通過が可能になる。基部503は、有利なことに、弾性材料製のソール921によって形成される溝48内に収容され、この基部503の保持を確実にするビード478によってくさび留めされる。この同じソール921には、さらに、ケーブル920を通すための溝49があり、有利なことに、このケーブル520を固定するためのクランプとして機能する狭窄部490がある。
【0037】
特に、各内側センサー510は圧電センサーであり、各電子モジュール51は、少なくとも1つのケースを動かすように操作手段101をトリガーしケース1が含む計時器用ムーブメント400に収容される自動巻き機構をワインドするための赤外線及び/又は他の信号を発信かつ/又は受信するように構成している。好ましくは、ケース1の外部のパイロット手段110が、ケース1の電子モジュール51をアクティベートし、ケース1がその情報を送り返す。
【0038】
特に、この操作手段101には、特に少なくとも1つのグリッパー105を利用して、こデバイス100が含む少なくとも1つの前記のようなケース1を操作するように構成している、少なくとも1つのマニピュレーターがある。このようなマニピュレーター101又はグリッパー105は、各ケース1が含む把持手段12、22、32と連係するように構成している。
【0039】
図58に示しているように、デバイス100は、有利なことに、内側センサー510及び/又は少なくとも1つの電子モジュール51から情報を収集しそれに応じて各マニピュレーター101を駆動するように構成している検出手段109を含む。
【0040】
特に、マニピュレーター101は、ケース1にある開口を通して挿入されるように構成しておりケース1のコンパートメント内に収容される計時器400に対して測定及び/又は調整を行うように構成している、少なくとも1つの外側センサー102及び/又は工具103を含む。
【0041】
特に、外側センサー102は、マイクロフォン、カメラ、又は接触振動センサーである。
【0042】
特に、工具103は、機械的、磁気的又は他の工具である。
【0043】
特に、マニピュレーター101は、ケース1にあるコンパートメントの数と同じ数の外側センサー102及び/又は工具103を含む。特に、マニピュレーター101は、多軸ロボットであり、これは、通常のクロノメーター的な制御位置だけでなく空間における任意の実際の位置である、空間における任意の位置をシミュレートすることができる。この構成によると、同じマニピュレーター101又は好ましくは別の関連するマニピュレーター104には、これらの様々な外側センサー102又は工具103が取り付けられたヘッドがある端アームがあり、これによって、特定のケース1が収容するすべての計時器1000への同時介入を可能にする。したがって、このようなマニピュレーター101又は104は、行われる制御に応じて、外側センサー102を備えるヘッド、又は工具103を備えるヘッド、又は外側センサー102と工具103の両方を備える混合ヘッド、又はその他を実装することができる。
【0044】
特に、マニピュレーター101は、異なる物理的条件下で、例えば、異なる温度、異なる湿度レベル、異なる圧力又は減圧下、又は異なる振動条件下、異なる気体又は液体の流れの条件などで、少なくとも異なるクロノメーター的な制御及び/又は調整位置において、各ケース1を取り扱うように構成している。当然、これらの操作は、特定の位置だけでなく、空間における様々な位置の間のプログラムされた運動の間にも、行うことができる。
【0045】
デバイス100、又はそれが備えるマニピュレーター101は、パイロット手段110を備え、このパイロット手段110は、空間における運動、そして、各ケース1が占める様々な位置での、かつ/又はこのケース1が行う様々な運動の間における、制御及び/又は調整の継続時間、を管理するように構成している。当然、マニピュレーター101は、複数のケース1を同時に操作するように構成していることもできる。
【0046】
特に、デバイス100は、磁場制御操作、及び/又は圧力/真空制御操作、及び/又は気密制御操作、及び/又はエッチング操作、及び/又は洗浄操作などを行うために底部20に対して蓋部10を開閉するように構成している操作手段を備える。この操作手段は、マニピュレーター101又は104、又は他の自動操作手段であることができる。これらはそれぞれ、蓋部10、底部20及び腰部30にあるノッチ又は突起12、22、32と連係する。
【0047】
デバイス100は、有利なことに、ケース1上の識別要素を読み取る手段と、ケース1上のインデックス要素の空間における位置を検出する手段とを備える。したがって、マニピュレーター101は、ケース1、その位置及びそれらの内容に関するすべての情報を持ち、パイロット手段110は、好ましくは、ケース1及びその内容のトレーサビリティを確実にするために、生産管理手段とインタフェースするように意図されている。
【0048】
また、本発明は、以下に従うデバイス100を用いて、計時器用ムーブメント400に対して制御及び/又は調整を実行する方法に関する。
(2000)前記ムーブメント400は、適当な取り付け具200に挿入される又は携行型時計本体300内に組み付けられる。
(2100)ケース1には、取り付け具200、又は所与のモデルの携行型時計本体300、及び適当な上側弾性要素80、83を適宜受けるように構成している下側弾性要素がある。
(2200)各取り付け具200又は携行型時計本体300は、ケース1のコンパートメント内に配置され、適切な弾性要素によって囲まれる。
(2300)ケース1の蓋部10は、弾性要素を圧縮することによって閉じられ、測定用支持体500上に支持される各取り付け具200又は各携行型時計本体300は、取り付け具200の縁部又は携行型時計本体300の縁部に押し付けられる。
(2400)推奨される測定サイクルを行い、ケース1を空間における異なる位置において操作する。
(2500)これらの位置のそれぞれに対して、計時器用ムーブメント400に対する少なくとも1つの制御及び/又は調整の操作を、プリント回路51を介して内側センサー510と通信する外側センサー102を利用して、かつ/又は工具103を利用して、行う。
【0049】
特に、ケース1は、クロノメーター的な制御及び/又は調整のために様々な位置で操作され、各位置において、計時器用ムーブメント400を制御し、かつ/又は調整する。
【0050】
特に、計時器用ムーブメント400は、非侵入性外側調整手段と連係するように構成している内側調整手段を備え、これによって、特に、レーザーを用いて計時器用ムーブメント400に収容された発振器の機械的パラメーターを変える。
【0051】
具体的には、それぞれが同じケース1のコンパートメント内にて囲まれた複数の計時器用ムーブメント400が、同時に制御及び/又は調整される。
【0052】
本発明は、取り付け具又は携行型時計本体を処理するための汎用ケースを提供することを可能にする。実際に、このケースは、底部、フレーム、蓋部といった標準化された要素を含むことができる。腰部は、取り付け具又は携行型時計本体に対して行われる操作に従って異なる特徴を有することができる。場合によって、この腰部には、容易にシールすることができたり側方にて完全に閉じることができたりする横方向開口390があることができる。隣り合うケースからケースを離間させるために、横方向のシールは有用である。なぜなら、赤外線信号による所与のケースの活性化によっては、望ましくない隣り合うケースどうしの活性化を発生させてはならないからである。一方、横方向開口を設ける1つの変異形態においては、プライヤーのような工具の挿入が可能になる。これらの構造要素は、射出成形プラスチック、又は発泡ポリプロピレンのような硬質プラスチックフォームなどによって作ることができる。
【0053】
構造要素には、それらを把持するために、ノッチ又は突起12、22、32があり、また、ケース内における内部の積み重ね及びケースどうしの間の積み重ねのために、脚17、271、37及びハウジング170、270、370、371がある。これらの脚のいくつかは、誤操作防止用スタッド39であり、これは、誤操作防止用ハウジング190と連係して、コンポーネントどうしの適切な向き整合を確実にする。また、各面におけるノッチ、突起、脚の数も異なることができ、これによって、効果的な誤操作防止を確実にする。また、これらの脚は、関心事の構造要素が作業面上に配置されたときに、弾性要素、特に蓋部の下にしばしば固定される上側弾性要素、を塵から保護することを可能にする。ケース及びその構造要素に、携行型時計の位置がマークされる。
【0054】
弾性要素は、外側的にはすべて同じである取り付け具を処理するために標準化されており、リュウズの端が完全に知られている固定された寸法構成において配置されることが可能になる。携行型時計本体用の弾性要素は、様々な大きさを有するが異なるモデルの数は少ないように適応させることができ、このことによって、保管及び分配の物の流れを促進させることができる。
【0055】
取り付け具と携行型時計本体の両方の場合、ケースは、独特の内側の幾何学的基準システムを提供し、測定用支持体の位置は固定され、ケースの内側の構成は、取り付け具と携行型時計本体の完全な向き整合及び位置を確実にすることができる。当然、この内側の幾何学的基準システムは、容易に変えることができる、フレームの形状に依存する。なせなら、板金属をプレスして非常に経済的に作ることができるからである。
【0056】
これらのケースは、制御対象及び製造業者の社内規則によって要求される標準化された位置における制御のために容易に用いることができる。バーコードなどによるケースの外側のマークを用いることによって、ムーブメントの裏部側と表盤側、そして、3時の位置と9時の位置を区別することができる。
【0057】
バックラッシュ補正のためにフレキシブルな弾性材料製のソールを用いることによって、振動を減衰させ、ケース内に収容されるムーブメントどうしの間の隣り合う外乱を抑えることができる。また、電気的絶縁性も確実にすることができる。特に、すべての圧電センサーは互いに離間しており、このことは、品質測定のために必要である。
【0058】
携行型時計の風防又はケース裏部に対してプローブで調べるよりも品質測定がはるかに信頼性が高いという利点に加えて、本発明に係る特定の測定用支持体は、取り付け具と携行型時計本体の両方に適しているので、かなりの汎用性を提供する。携行型時計本体の場合、ホーンの間の支持体によって、携行型時計本体の外面への接触を避けることができ、有利である。
【符号の説明】
【0059】
1 ケース
10 蓋部
16 ロック用要素
20 底部
23 にあるロック用構造
24 窓
30 腰部
33 チャンバー
34 カバー
45 第1の穴
46 第2の穴
51 電子モジュール
52 エネルギー格納手段
53 コンパートメント
60 下側受容体
70 下側弾性要素
90 フレーム
91 弾性クリップ
100 制御デバイス
101 操作手段
102 外側センサー
103 工具
200 取り付け具
218、238 外側プレート
300 携行型時計本体
301 支持面
400 計時器用ムーブメント
410 制御メンバー
411 遠位端
500 測定用支持体
510 内側センサー
921 ソール
922 弾性ネスト
931 ウェッジプレート
932 第2の横方向弾性要素
933 第1の横方向弾性要素
9210 穴
9220 通路
9221 脚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
【外国語明細書】