(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076353
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】充填物を内包する食品を生産するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A01J 27/00 20060101AFI20240529BHJP
A01J 25/12 20060101ALI20240529BHJP
A23C 19/09 20060101ALI20240529BHJP
A23L 5/00 20160101ALN20240529BHJP
【FI】
A01J27/00
A01J25/12
A23C19/09
A23L5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023188011
(22)【出願日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】102022000024267
(32)【優先日】2022-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】523415626
【氏名又は名称】ラッテリア モンテッロ エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ ルオス ファウスト
(72)【発明者】
【氏名】カサグランデ ピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】カサグランデ ニコラ
【テーマコード(参考)】
4B001
4B035
【Fターム(参考)】
4B001BC99
4B001CC01
4B001DC01
4B001EC99
4B035LC16
4B035LE07
4B035LG44
4B035LP35
4B035LP59
4B035LT11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】第2食材で構成される充填物を内包する第1食材の部分を備えるタイプの食品を生産するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】システムにおいて、第2食材を充填する最中に第1食材の部分Mを保持するアイリス絞りDを含む、少なくとも1つの充填ステーションが設けられる。システムは更に、その部分がアイリス絞りDによって保持された、第1材料の部分M内に計量された量の第2材料を導入するように構成されているインジェクタデバイス13を含む。第1材料の部分Mは、アイリス絞りDによって第1材料の部分Mをクランプすることが可能になるように、グリップ部材4を用いて、手動又は自動のいずれかで、充填ステーション内に置かれる。このような状態で、第1材料の部分Mはアイリス絞りDから懸架されたままであり、インジェクタデバイス13による充填物を受け取る準備ができている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2食材の充填物を内包する第1食材の部分を備えるタイプの食品を生産するためのシステムであって、
前記システムは、前記第2食材が前記第1食材の前記部分へと導入される1つ又は複数の充填ステーションを備え、
各充填ステーションは、
・前記第2食材を充填する最中に前記第1食材の前記部分を保持するように構成されているクランプデバイス、前記クランプデバイスは係合部材の間に制御可能な大きさの中心開口部を画定するようにアクチュエータデバイスによって同時に変位可能な前記係合部材の環状アレイを支持する環状の支持プレートを含むアイリス絞りを含む、及び
・前記部分が前記アイリス絞りの前記係合部材によって前記アイリス絞りの中心アパーチャ内に保持されつつ、計量された量の前記第2食材を前記第1食材の前記部分内に導入するように構成されているインジェクタデバイス、
・前記インジェクタデバイスは、前記アイリス絞りから間隔を空けた非動作位置、及び前記アイリス絞りの上方であり、前記インジェクタデバイスの分注ノズルが前記アイリス絞りによって保持されている前記第1食材の前記部分内に上方から導入される動作位置の間で1つ又は複数のアクチュエータデバイスによって可動である、及び
・前記クランプデバイス及び前記インジェクタデバイスに関連付けられた前記アクチュエータデバイスを制御するための電子コントローラ
を有し、
前記システムは、前記第1食材の前記部分をグリップするように構成されているグリップ部材を備え、前記グリップ部材は、前記部分を、前記部分を上方から前記アイリス絞りの前記中心アパーチャ内へと下げることによって前記充填ステーションへと運ぶ結果、前記部分を前記アイリス絞りによってクランプすることが可能となるように手動で又は自動的に可動である結果として、
前記第1食材の前記部分が、前記アイリス絞りの前記中心アパーチャ内にクランプされるとき、前記部分は、前記部分が前記インジェクタデバイスによって前記充填物を受け取る準備ができている状態で、前記アイリス絞りから懸架されたままであり、
前記電子コントローラは、下記の動作:
・前記部分が前記グリップ部材によって上方から前記アイリス絞りの前記中心アパーチャ内に下げられた後に、前記アイリス絞りによって前記第1食材の前記部分のクランピングを作動させること、
・前記第1食材の前記部分が前記アイリス絞りによって前記アイリス絞り内にクランプされた後に、前記アイリス絞りの上方である前記インジェクタデバイスの動作位置への前記インジェクタデバイスの変位を作動させること、及び前記インジェクタデバイスによって、前記部分内への計量された量の充填物の後続の注入を制御すること、
・前記充填物の前記注入が完了すると、前記インジェクタデバイスを前記インジェクタデバイスの前記動作位置から離れるように移動させること、及び前記アイリス絞りの完全な閉鎖を制御すること、その結果、充填材料の周囲の前記第1食材の前記部分を完全に閉鎖して、前記アイリス絞りの上方に残る廃棄部分からこのようにして分離された完成品を得、その結果、前記完成品は前記アイリス絞りの下方に配置された受け取り部材の上に落下できる
を実行するように構成されている
システム。
【請求項2】
前記完成品を受け取るための前記受け取り部材は、カップ形状であり、前記アイリス絞りから放出された前記完成品を受け取るための前記アイリス絞りの下方に配置される動作位置、及び前記完成品を回収コンテナへと放出するための下向きに傾いた位置の間で、それぞれの作動デバイスによって可動である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記グリップ部材は、吸引カップデバイス、前記吸引カップデバイスを真空源と接続するための導管、及び前記吸引カップデバイスをアクティブ化及び非アクティブ化するために前記接続を制御するための制御部材を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記吸引カップデバイスは、オペレータによって手動で使用されるためのハンドルが設けられている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記吸引カップデバイスは、プログラム可能マニピュレータロボットによって支えられている、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記アイリス絞りは、前記支持プレート、及び前記支持プレート上に回転可能に取り付けられており、前記支持プレートに対する回転可能な環状プレートの回転の結果として前記係合部材の移動をもたらすように前記係合部材と動作可能に接続されている前記環状プレートを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記アイリス絞りは、前記支持プレートに対するターンテーブルの前記回転を制御するために、静止構造体及び前記回転可能な環状プレートの周縁ラグの間に動作可能に挿入されたアクチュエータシリンダが設けられている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記インジェクタデバイスは、支柱からカンチレバー様式で突出しているアームによって支えられており、前記アームは第1アクチュエータデバイスによって鉛直方向に前記支柱に対して変位可能であり、前記支柱は、第2作動デバイスによってその鉛直軸の周りを回転可能であり、その結果、前記インジェクタデバイスは、鉛直方向持ち上げ移動によって、及び前記支柱の回転によって得られる横方向変位によって、前記インジェクタデバイスの前記動作位置から離れるように移動されることが可能である、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
第2食材の充填物を内包する第1食材の部分を備えるタイプの食品を生産するため、例えば、柔らかいフレッシュチーズ及びクリームの充填物を内包するフレッシュチーズの部分を備えるブッラータタイプの製品を生産するための方法であって、プロセスは前記第2食材を前記第1食材の前記部分に充填する動作を備え、
前記充填する動作は、前記第2食材を充填する最中に前記第1食材の前記部分をクランプデバイスによって保持することによって実行され、
前記クランプデバイスは、係合部材の間に制御可能な大きさの中心開口部を画定するようにアクチュエータデバイスによって同時に変位可能な前記係合部材の環状アレイを支持する環状支持プレートを含むアイリス絞りを含み、
前記充填する動作は、前記部分が前記アイリス絞りの前記係合部材によって前記中心開口部内に保持されつつ、1回分の量の前記第2食材を前記第1食材の前記部分内に導入することによってインジェクタデバイスによって実行され、
前記インジェクタデバイスは、前記アイリス絞りから間隔を空けた非動作位置、及び前記アイリス絞りの上方であり、前記インジェクタデバイスの分注ノズルが前記アイリス絞りによって保持されている前記第1食材の前記部分内に上方から導入される動作位置の間で1つ又は複数のアクチュエータデバイスによって移動され、
前記方法は
・グリップ部材によって、前記第1食材の前記部分をグリップする段階、及び前記部分を上方から前記アイリス絞りの前記中心開口部内へと下げる段階、
・前記アイリス絞りによって、前記アイリス絞りの前記中心開口部内に前記第1食材の前記部分をクランプする結果、
前記第1食材の前記部分が、前記アイリス絞りの中心アパーチャ内にクランプされるとき、前記部分は、前記部分が前記インジェクタデバイスによって前記充填物を受け取る準備ができている状態で、前記アイリス絞りから懸架されたままである段階、
前記第1食材の前記部分が前記アイリス絞り内にクランプされた後に、前記アイリス絞りの上方である前記インジェクタデバイスの動作位置へと前記インジェクタデバイスの変位を制御する段階、
前記インジェクタデバイスによって、前記部分内への計量された量の充填物の後続の注入を制御する段階、
前記充填物の前記注入が完了すると、前記インジェクタデバイスを前記インジェクタデバイスの動作位置から離れるように移動させ、前記アイリス絞りの完全な閉鎖を作動させる結果、充填材料の周囲の前記第1食材の前記部分を完全に閉鎖して、前記アイリス絞りの上方に残る廃棄部分からこのようにして分離された完成品を得る結果として、前記完成品は、前記アイリス絞りの下方に配置された受け取り部材の上に落下できる段階、
という動作を備える方法。
【請求項10】
前記完成品を受け取るための前記受け取り部材は、カップとして構成され、前記アイリス絞りから放出された前記製品を受け取るための前記アイリス絞りの下方に配置される水平動作位置、及び前記受け取られた製品を回収コンテナへと放出するための下向きに傾いた位置の間で可動である、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第2食材で構成される充填物を内包する第1食材の部分を備えるタイプの食品を生産するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
添付の請求項1のプリアンブル内で規定される特徴を有するシステムは、例えば文献JP2012-024102Aから公知である。このようなシステムは、第1食材の部分に第2食材が充填される充填ステーションを備える。充填ステーションは、第2食材を充填する最中に第1食材の部分を保持するように構成されているクランプデバイスを備える。クランプデバイスは、係合部材の間に制御可能な大きさの中心アパーチャを画定するように同時に変位可能な、当該係合部材の環状アレイを支持する環状プレートを含むアイリス絞りを備える。システムは更に、第1材料の部分がアイリス絞りの係合部材によって当該中心アパーチャ内で保持されつつ、第1材料の部分内に計量された量の第2材料を導入するように構成されているインジェクタデバイスを備える。インジェクタデバイスは、アイリス絞りの上方である動作位置、及びアイリス絞りから間隔を空けた非動作位置の間で可動である。
【0003】
上記において説明したものと概念的に類似のシステムはまた、イタリア特許IT102019000020823において、及び対応する国際出願WO2021/094839A1において説明されている。
【0004】
文献JP2012-024102Aにおいて説明されている実施形態は、小麦粉生地で構成されており充填物を内包する食品の生産に関し、その一方で文献WO2021/094839A1及び対応するイタリア特許は具体的に、フレッシュチーズ及びクリームの充填物(「ストラッチャテッラ(stracciatella)」)を内包するフレッシュチーズ(「モッツァレラ(mozzarella)」)の部分を含む製品の生産のためのシステムに言及している。しかし、このような異なる用途は、システムの構造及び動作の原理において、いかなる相違点も伴わない。
【0005】
このような公知の解決手段は両方とも、第1食材の部分が1つ又は複数のコンベアベルトを含む輸送ラインによって充填ステーションへと供給されること、及び充填動作中に第1材料の部分がコンベアベルトによって画定される支持表面の上に位置し続けていることを想定している。このような選択は、生産プロセス中に製品を汚染に対して保護することに関して不満足なものであり、それは充填ステーションへ向かう経路に沿って、無視できない時間の間、製品そのものが少なくとも部分的に露出しているからである。後に続く充填段階において、第1材料の部分は、充填物の導入に起因して体積において増加する。結果的に、両方の公知の解決手段が、第1材料の部分を保持するクランプデバイス、及び当該部分が上に位置するコンベアベルトによって画定される支持表面の間の鉛直方向における相互移動を想定している。日本の文献の解決手段において、アイリス絞りは静止したままであり、第1材料の部分が上に位置するコンベアベルトが下がるが、その一方で文献WO2021/094839A1の事例において、第1材料の部分が上に位置するコンベアベルトは鉛直方向に固定された位置に留まりつつ、アイリス絞りが持ち上げられる。両方の事例において、このような選択は、システム及びその動作の相対的複雑さを伴う。
【0006】
[本発明の目的]
本発明の目的は、上記において議論された公知の解決手段の欠点を克服する、充填物を内包する食品を生産するためのシステム及び方法を提供することである。
【0007】
具体的には、本発明の目的は、生産プロセス中に製品が汚染されるリスクに対し最大の安全性を保障する、充填物を内包する食品を生産するためのシステム及び方法を提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、簡易且つ信頼性の高いシステムによってこのような目標を達成することである。
【0009】
本発明の更なる目的は、相対的に高い生産性を有する、上記で概説されたようなシステムを達成することである。
【0010】
最後に、本発明の更なる目的は、相対的に低いコストを有する、上記で概説したようなシステムを達成することである。
【発明の概要】
【0011】
当該目的のうちの1つ又は複数を達成するために、本発明は、第2食材で構成される充填物を内包する第1食材の部分を備えるタイプの食品を生産するためのシステムであって、
前記システムは、前記第2食材が前記第1食材の前記部分へと導入される1つ又は複数の充填ステーションを備え、
各充填ステーションは、
・前記第2食材を充填する最中に前記第1食材の前記部分を保持するように構成されているクランプデバイス、前記クランプデバイスは係合部材の間に制御可能な大きさの中心アパーチャを画定するようにアクチュエータデバイスによって同時に変位可能な前記係合部材の環状アレイを支持する環状プレートを含むアイリス絞りを含む;及び
・前記部分が前記アイリス絞りの前記係合部材によって前記中心アパーチャ内に保持されつつ、計量された量の前記第2材料を前記第1材料の前記部分内に導入するように構成されているインジェクタデバイス、
・前記インジェクタデバイスは、前記アイリス絞りから間隔を空けた非動作位置、及び前記アイリス絞りの上方であり、前記インジェクタデバイスの分注ノズルが前記アイリス絞りによって保持されている前記第1食材の前記部分内に上方から導入される動作位置の間で1つ又は複数のアクチュエータデバイスによって可動である、及び
・前記クランプデバイス及び前記インジェクタデバイスに関連付けられた前記アクチュエータデバイスを制御するための電子コントローラ
を有し、
前記システムは、前記第1材料の前記部分をグリップするように構成されているグリップ部材を備え、前記グリップ部材は、前記部分を、それを上方から前記アイリス絞りの前記中心アパーチャ内へと下げることによって前記充填ステーションへと運び、その結果それを前記アイリス絞りによってクランプすることが可能となるように手動で又は自動的に可動であり、
その結果、前記第1材料の前記部分が、前記アイリス絞りの前記中心アパーチャ内にクランプされるとき、それは、前記部分が前記インジェクタデバイスによって前記充填物を受け取る準備ができている状態で、前記アイリス絞りから懸架されたままであり、
前記電子コントローラは、下記の動作:
・前記部分が前記グリップ部材によって上方から前記アイリス絞りの前記中心アパーチャ内に下げられた後に、前記アイリス絞りによって前記第1材料の前記部分のクランピングを作動させること、
・前記第1材料の前記部分が前記アイリス絞り内にクランプされた後に、前記アイリス絞り上方であるその動作位置への前記インジェクタデバイスの変位を作動させること、及び前記部分内への計量された量の充填物の後続の注入を制御すること、
・前記充填物の前記注入が完了すると、前記インジェクタデバイスをその動作位置から離れるように移動させること、及び前記アイリス絞りの完全な閉鎖を制御すること、その結果、前記充填材料の周囲の前記第1食材の前記部分を完全に閉鎖して、前記アイリス絞りの上方に残る廃棄部分からこのようにして分離された完成品を得、その結果、前記完成品は前記アイリス絞りの下方に配置された受け取り部材の上に落下できる
を実行するように構成されている
ことを特徴とするシステムに関する。
【0012】
理解され得るように、第1材料の部分がアイリス絞りの中心アパーチャ内にクランプされるとき、それは、公知の解決手段と同様に支持表面上に位置することなく、アイリス絞りから懸架されたままであり、このことがシステムの構造及び制御を劇的に簡便化する。
【0013】
1つの実施形態において、前記完成品のための前記受け取り部材は、カップ形状であり、前記アイリス絞りから放出された前記完成品を受け取るための前記アイリス絞りの下方に配置される動作位置、及び前記完成品を回収コンテナへと放出するための下向きに傾いた位置の間で、アクチュエータデバイスによって可動である。
【0014】
好ましい実施形態において、前記グリップ部材は、吸引カップデバイス、前記吸引カップデバイスを真空源と接続するための導管、及び前記吸引カップデバイスをアクティブ化及び非アクティブ化するために前記接続を制御するためのデバイスを有する。
【0015】
吸引カップデバイスにオペレータによって手動で使用されるためのハンドルを設けることが可能であり、又は、吸引カップデバイスがプログラム可能マニピュレータロボットによって支えられ、その結果アイリス絞りの上へ第1材料の部分を装填する動作を自動化することが可能である。
【0016】
好ましい実施形態において、前記アイリス絞りは、前記中心アパーチャを有する前記支持プレート、前記支持プレート上の前記それぞれの軸の周囲を振動するように取り付けられた係合部材の前記環状アレイ、及び前記支持プレート上に回転可能に取り付けられており、前記支持プレートに対する回転可能プレートの回転の結果として前記係合部材の前記移動をもたらすように前記係合部材と動作可能に結合されている更なる環状プレートを有する。1つの例において、アクチュエータシリンダは、前記支持プレートに対する前記回転可能プレートの前記回転を制御するために、静止構造体及び前記回転可能プレートの周縁ラグの間に挿入されている。
【0017】
更に、好ましい実施形態において、前記インジェクタデバイスは、支柱からカンチレバー様式で突出しているアームによって支えられている。前記アームは第1アクチュエータデバイスによって鉛直方向に前記支柱に対して変位可能である。更に、前記支柱は、第2アクチュエータデバイスによってその鉛直軸の周りを回転可能であり、その結果、前記インジェクタデバイスは、鉛直方向持ち上げ移動によって、及び前記支柱の回転によって得られる横方向変位によって、その動作位置から離れるように移動されることが可能である。
【0018】
更なる態様に係り、本発明は、第2食材で構成される充填物を内包する第1食材の部分を備えるタイプの食品を生産するため、例えば、柔らかいフレッシュチーズ及びクリームの充填物(「ストラッチャテッラ」)を内包するフレッシュチーズ(例えば、「モッツァレラ」)の部分を備える「ブッラータ(burrata)」製品を生産するための方法であって、前記方法は前記第2食材を前記第1食材の前記部分に充填する段階という前記動作を備え、
前記充填動作は、前記第2食材を充填する最中に前記第1食材の前記部分をクランプデバイスによって保持することによって実行され、
前記クランプデバイスは、係合部材の間に制御可能な大きさの中心アパーチャを画定するようにアクチュエータデバイスによって同時に変位可能な前記係合部材の環状アレイを支持する環状プレートを含むアイリス絞りを含み、
前記充填動作は、前記部分が前記アイリス絞りの前記係合部材によって前記中心アパーチャ内に保持されつつ、計量された量の前記第2材料を前記第1材料の前記部分内に導入することによってインジェクタデバイスによって実行され、
前記インジェクタデバイスは、前記アイリス絞りから間隔を空けた非動作位置、及び前記アイリス絞りの上方であり、前記インジェクタデバイスの分注ノズルが前記アイリス絞りによって保持されている前記第1食材の前記部分内に上方から導入される動作位置の間でアクチュエータデバイスによって移動され、
前記方法は
・グリップ部材によって、前記第1材料の前記部分をグリップする段階、及び前記部分を上方から前記アイリス絞りの前記中心アパーチャ内へと下げる段階、
・前記アイリス絞りによって、前記アイリス絞りの前記中心アパーチャ内に前記第1材料の前記部分をクランプし、
その結果、前記第1材料の前記部分が、前記アイリス絞りの前記中心アパーチャ内にクランプされるとき、それは、前記部分が前記インジェクタデバイスから前記充填物を受け取る準備ができている状態で、前記アイリス絞りから懸架されたままである段階、
・前記第1材料の前記部分が前記アイリス絞り内にクランプされた後に、前記アイリス絞りの上方であるその動作位置へと前記インジェクタデバイスの変位を作動させる段階、
・前記第1材料の前記部分内への計量された量の充填物の後続の注入を制御する段階、
・前記充填物の前記注入が完了すると、前記インジェクタデバイスをその動作位置から離れるように移動させ、前記アイリス絞りの完全な閉鎖を作動させる段階、その結果、前記充填材料の周囲の前記第1材料の前記部分を完全に閉鎖して、その結果、前記アイリス絞りの上方に残る廃棄部分からこのようにして分離された完成品を得、その結果、前記完成品は前記アイリス絞りの下方に配置された受け取り部材の上に落下できる
という動作を備えることを特徴とする方法に関する。
【0019】
上記で提供された説明から明らかなように、本発明に係るシステム及び方法は、コンベアベルトのラインによって第1材料の部分を輸送することによって充填ステーションへそれを運搬することを伴わず、これにより製品が汚染のリスクにさらされることを防ぐ。
【0020】
更に、充填動作の最中に、第1材料の部分は、コンベアベルトによって画定される支持表面上に位置せず、これにより生産システムの構造及び動作の劇的な簡便化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の更なる特徴及び利点は、非限定的な例によってのみ提供される、添付の図面を参照すると下記の説明から明らかであろう:
【
図1】本発明に係るシステムの1つの実施形態の斜視図である。
【
図2】3つの異なる動作状態における、
図1のシステムの一部であるアイリス絞りの内部構造を示す平面図である。
【
図3】3つの異なる動作状態における、
図1のシステムの一部であるアイリス絞りの内部構造を示す平面図である。
【
図4】3つの異なる動作状態における、
図1のシステムの一部であるアイリス絞りの内部構造を示す平面図である。
【
図5】本発明に係るシステム内で使用されるグリップ部材の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図6】本発明に係るシステムの制御手段を概略的に示すブロック図である。
【
図7】本発明に係る方法の主要な段階を示す概略的な正面図である。
【
図8】本発明に係る方法の主要な段階を示す概略的な正面図である。
【
図9】本発明に係る方法の主要な段階を示す概略的な正面図である。
【
図10】本発明に係る方法の主要な段階を示す概略的な正面図である。
【
図11】本発明に係る方法の主要な段階を示す概略的な正面図である。
【
図12】本発明に係る方法の主要な段階を示す概略的な正面図である。
【
図13】本発明に係る方法の主要な段階を示す概略的な正面図である。
【
図14】本発明に係る方法の主要な段階を示す概略的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1において、参照符号1は概して、第2食材の充填物を内包する第1食材の部分を含むタイプの食品を生産するためのマシンを示す。マシン1は、柔らかいフレッシュチーズ及びクリームの充填物(いわゆる「ストラッチャテッラ」)を内包するフレッシュチーズ(例えば「モッツァレラ」)の部分を含む、「ブッラータ」のような製品を生産するように具体的に適合されている。
【0023】
明らかなように、本説明はこのような具体的な用途を参照して提供されるが、本発明に係る教示は概して、充填物を内包するタイプの他の食品にも適用され得る。
【0024】
現在示されている実施形態において、マシン1は2つの充填ステーション2を備え、ここで第1食材の部分M(
図5を参照)には、マシンの下方に配置され水が満たされた回収コンテナ3内に放出される完成品Pを得るために、各々第2食材が充填される。
【0025】
示された例において、各部分Mは、真空によってアクティベート可能であり且つハンドル6が設けられている吸引カップデバイス5を備えるグリップ部材4によって、オペレータによって手動で充填ステーション2へと導入される。
【0026】
吸引カップデバイス5の構造の詳細は、それらが任意の公知の様式で実装され得るので、本明細書では説明も図示もされない。それ自体公知の技法に従って、吸引カップデバイス5は、真空源(図示せず)への接続のために導管7に関連付けられている。更に、ハンドル6は、制御ボタン8に関連付けられており、当該制御ボタン8は、オペレータが、グリップ部材4が部分Mをグリップするために使用されなければならないときに真空源との接続を有効にすること、及びグリップ部材4が部分Mを充填ステーション2内に解放しなければならないときに真空源との接続を無効にすることを可能にする。
【0027】
更に
図1及び
図2~
図4を参照すると、各充填ステーション2は、「ストラッチャテッラ」の充填中に部分Mを保持するためのクランプデバイス9を備える。
【0028】
クランプデバイス9は、アイリス絞りDを含み、その内部構造は
図2~
図4中で可視である。図示された例において、アイリス絞りは、一対の互いに間隔を空けた環状支持プレート90A、90Bを有し、当該環状支持プレート90A、90Bは、ブラケット91を用いて、マシンの静止構造体100によって水平位置でカンチレバー様式で支持されている。両方の支持プレート90A、90Bが、スペーサーピン92の環状アレイによって互いと強固に接続されている。下側支持プレート90Aの上方に、プレート93は、一連の環状スロット94(
図2~
図4を参照)を有して回転可能に取り付けられ、当該一連の環状スロット94は、プレート93が、スペーサーピン92に干渉することなく静止プレート90A、90Bに対して回転することを可能にする。アイリス絞りDは、係合部材95の間に制御可能な大きさの中心アパーチャを画定する係合部材95の環状アレイを備える。各係合部材95は、平坦且つ細長い本体を有し、スロット96が回転可能プレート93によって支えられているピン97に接して係合している。一方、各係合部材95の半径方向外側の端は、それぞれの静止ピン92上に回転可能に取り付けられている。
【0029】
上記において説明された配置に起因して、静止プレート90A、90Bに対する回転可能プレート93の回転は、スロット96内での(デバイスの中心軸の周囲で回転する回転可能プレート93に従った)それぞれのピン97の変位の結果として、各係合部材95のそれぞれの静止ピン92の周囲での振動をもたらす。
【0030】
図2は、最大開口の構成におけるアイリス絞りDを示し、
図3は部分的に閉鎖した構成におけるアイリス絞りを示し、
図4は完全に閉鎖した構成におけるアイリス絞りを示す。各係合部材95の半径方向内側の端は、尖った形状を有し、そのため、
図4中に示される完全に閉鎖した構成において、アイリス絞りは、アイリス絞りの上方に残った廃棄部分からアイリス絞りの下方に配置された製品部分を分離する、切断部材としても機能する。
【0031】
もちろん、上記で説明され、添付図面中で示されているアイリス絞りDの具体的構成は非限定的な例としてのみ提供されている。本発明に係るシステムは、アイリス絞りDのための任意の他の公知の構成を使用して実装され得る。
【0032】
更に図示された例を参照すると、アイリス絞りDの回転可能プレート93の回転は、アクチュエータシリンダ11のロッド10によって作動される。アクチュエータシリンダ11の本体は、マシンの静止構造体100に強固に接続されており、その一方でロッド10は回転可能プレート93のラグ93Aに接続されている。
【0033】
動作中、モッツァレラ部分Mは、各充填ステーション2のクランプデバイス9へと1回に1つずつ挿入される。
【0034】
上記で説明された図示された例において、このような動作は、先に言及されたように、オペレータによって手動で、
図5中に示されるグリップ部材4を用いて実行される。
【0035】
オペレータは、部分Mをコンテナ(図示せず)から拾い上げるために、グリップ部材4を使用し、当該コンテナにおいて、生産ラインから来る部分Mは水中に浸漬されている。オペレータは、部分M(
図5)をグリップするためにグリップ部材4の吸引カップデバイス5をアクティブ化し、それを充填ステーションのうちの1つのアイリスデバイスDの上側フィード穴部12(
図1)へと運ぶ。このようにして、グリップ部材4によって支えられた部分Mは、(この段階では
図2中に示される開口状態の)アイリスデバイス内に配置される。このような状態において、オペレータは、部分Mの上側部分に係合し且つそれを充填ステーション内の固定された位置において保持するように、アイリス絞りDの部分的閉鎖を作動させ;続いて、オペレータは、吸引カップ部材を非アクティブ化し、グリップ部材4を充填ステーション2から離れるように移動させ得、従って部分Mがアイリス絞りDによって充填ステーション内に保持されている状態にする。
【0036】
充填動作は、インジェクタデバイス13によって実行される。例において、マシンは、各充填ステーション2のために1つのインジェクタデバイス13を備える。インジェクタデバイス13は、充填ステーション2内のアイリス絞りDによって保持される部分Mへと計量された量の材料を導入する目的で、任意の公知の技法に従って実装され得る。インジェクタデバイス13は、第2食材(「ストラッチャテッラ」)を第1食材(「モッツァレラ」)に充填するために、当該第1食材の部分Mへと導入されるように構成されている分注ノズル13Aを有する。この目的のため、各インジェクタデバイス13は、支柱15からカンチレバー様式で突出したアーム14によって支えられている。アーム14は、鉛直方向に支柱15に対して変位可能であり、当該支柱15は、アーム14の端部がそれ自体を通って配置されているガイドスロット16を有し、このような端部は、支柱15内に配置された(
図6中に概略的にのみ示されている)第1アクチュエータデバイス14Aと接続されている。更に、支柱15は、充填ステーション2に対して、インジェクタデバイス13を横方向に変位させるために、(
図6中に概略的にのみ示される)第2アクチュエータデバイス14Bによって、支柱15自体の鉛直軸の周囲を回転し得る。アクチュエータデバイス14A、14Bは詳細に説明されないが、これはこのようなアクチュエータデバイスは任意の公知の方式で実装され得るから、そして図示の簡便さのためという両方の理由による。また、図はインジェクタデバイス13によって供給される計量された量の材料を制御するように構成された手段を示さない。このような手段もまた、任意の公知の技法で実装され得る。
【0037】
図6は、マシンの電子コントローラEを概略的に示し、このようなコントローラは、各充填ステーション2のためのインジェクタデバイス13及びアイリス絞りDのアクチュエータデバイス11の移動のために、アクチュエータデバイス14A、14Bを制御するように構成及びプログラムされている。
【0038】
上記で説明された配置のおかげで、各インジェクタデバイス13は、持ち上げられ充填ステーション2の鉛直軸に対して横方向に変位した非動作位置、及びインジェクタデバイス13の軸が充填ステーション2及びそれぞれのアイリス絞りDの軸に位置合わせされており、アイリスデバイスDによって保持されている材料Mの部分へと分注ノズル13Aを導入するようにインジェクタデバイス13が下げられた、動作位置の間で可動である。
【0039】
理解され得るように、材料Mの部分が充填ステーション2内に挿入され、アイリス絞りDの部分的閉鎖によって正しい位置に保持されるとき、材料Mの部分は単に、アイリス絞りから懸架されたままである。
【0040】
動作中、部分Mへの充填材料の充填動作が完了すると、インジェクタデバイス13はその非動作位置へ移動され(持ち上げられそれぞれの充填ステーション2に対して横方向に変位され)、アイリス絞りDは、インジェクタデバイスの分注ノズル13Aによって部分M内に生成された経路を閉鎖するために、完全に閉鎖され、その結果、第1材料の部分Mが完全に充填材料を囲んだ完成品Pを得る。実際に、部分Mを構成する食材は、単純な圧力によって当該経路を囲む材料の部分の相互接着を可能にするようなものである。
【0041】
アイリス絞りの完全な閉鎖は、このようにして得られた完成品Pの、廃棄部分S(
図11)からの分離をもたらし、当該廃棄部分Sはアイリス絞りDの上方に留まり、その結果完成品Pは落下できる。
【0042】
図7~
図14中でより良く理解され得るように、各充填ステーション2のアイリス絞りDの下方には完成品のための受け取り部材18が配置されており;本例において、このような受け取り部材はカップ形状であり、当該受け取り部材は、受け取り部材18内の完成品Pを受け取るための位置(
図11を参照)、及び完成品Pを水が満たされた下側コンテナ3へと放出するための回転した位置(
図12)の間で、軸20の周囲をそれぞれのアクチュエータデバイス(図示せず)によって回転し得るアーム19によって支えられている。
【0043】
図7は、インジェクタデバイス13がその非動作位置にあり、グリップ部材4がアイリス絞りD内に材料Mの部分を置くためにアイリス絞りDの上方に移動された段階を示す。
【0044】
図8は、部分Mがアイリス絞りD内にクランプされ、その一方でグリップ部材4が充填ステーションから離れるように移動される段階を示す。
【0045】
図9は、次に続く段階を示しており、アイリス絞りDによって保持される部分Mへと分注ノズル13Aを導入するように、インジェクタデバイス13がアイリス絞りDの中心軸に位置合わせされ下げられる、その動作位置へと、当該インジェクタデバイス13が移動される。
【0046】
図10は、部分Mにインジェクタデバイス13によって導入される充填材料が充填される段階を示す。
【0047】
図11は、次に続く段階を示しており、インジェクタデバイス13が持ち上げられアイリス絞りDに対して横方向に変位されるその非動作位置へと移動され、その一方で部分Mが依然として、アイリス絞りDによって保持されている。
【0048】
図12は、次に続く段階を示しており、アイリス絞りDの上方に位置する廃棄部分Sを完成品Pから完全に分離するように、アイリス絞りが完全に閉鎖され、従って受け取り部材18へと重力によって落下する。
【0049】
図13は、マシン構造の外側へスライドし、且つこの段階ではアイリス絞りDが開いたときに廃棄物Sを回収するためにこのような構造からカンチレバー様式で突出している、トレイ22をアイリス絞りDの下方に位置決めする段階を示す。
【0050】
図14は、トレイ22が引き下げられ、その結果廃棄物Sが当接部23によってコンベアベルト21上へ落下させられ、その一方で受け取り部材18を支えるアーム19が、コンテナ3へと完成品Pを放出するために軸20の周囲を回転する、最終段階を示す。
【0051】
上記で提供された説明から明らかなように、本発明に係るシステム及び方法は、公知の解決手段に対して、充填材料を受け取ることになる材料の部分を充填ステーションに運ぶコンベアベルトを有する輸送ラインの不在に起因する、製品汚染のリスクに対する安全性に関して、及び同じ理由による、マシンの構成要素及び制御の劇的な簡便化に関しての両方で、大幅な改善を提示する。
【0052】
特に好ましい変更において、充填材料を受け取ることになる材料Mの部分を充填ステーションのアイリス絞りへと導入する動作は、プログラム可能マニピュレータロボットによって支えられたグリップ部材を使用することによって、自動的に実行される。
【0053】
もちろん、本発明の原理を損なうことなく、構造の詳細及び実施形態は、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく、説明及び図示された内容に対して十分に変更され得る。
【外国語明細書】