(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076359
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】異方性導電膜、電子部品の製造方法、及びカード積層体
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20240529BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20240529BHJP
H05K 3/32 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
G06K19/077 144
G06K19/07 230
G06K19/077 148
H05K3/32 B
G06K19/077 244
G06K19/07 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193636
(22)【出願日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2022187515
(32)【優先日】2022-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小高 良介
(72)【発明者】
【氏名】伊達 和宏
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智幸
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA01
5E319AB05
5E319BB16
5E319CC12
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】はんだ粒子を含む異方性導電膜による接合の良否の観察を非破壊で行う。
【解決手段】ICチップ10と基材30との接合に用いられる異方性導電膜である導電粒子含有ホットメルト接着シート60は、非共晶合金又は共晶合金であるはんだ粒子と、熱可塑性樹脂とを含有する。導電粒子含有ホットメルト接着シート60は、前記はんだ粒子の面積率が8~50%であり、前記はんだ粒子の固相線温度において粘度が1000~100000Pa・sである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非共晶合金又は共晶合金であるはんだ粒子と熱可塑性樹脂とを含有し、前記はんだ粒子の面積率が8~50%であり、前記はんだ粒子の固相線温度において粘度が1000~100000Pa・sである
異方性導電膜。
【請求項2】
不透明な第1電子部品と、不透明な第2電子部品との間に、非共晶合金又は共晶合金であるはんだ粒子と熱可塑性樹脂とを含有し、前記はんだ粒子の面積率が8~50%であり、前記はんだ粒子の固相線温度において粘度が1000~100000Pa・sである異方性導電膜を介在させ、前記第1電子部品と前記第2電子部品とを熱圧着により接合する電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記電子部品は、デュアルインターフェースカードである
請求項2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記第1電子部品は、バイオメトリックセンサーである
請求項2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
第1電子部品と、第2電子部品と、前記第2電子部品が配置された基材と、非共晶合金又は共晶合金であるはんだ粒子と熱可塑性樹脂とを含有し、前記はんだ粒子の面積率が8~50%であり、前記はんだ粒子の固相線温度において粘度が1000~100000Pa・sである異方性導電膜と、を有し、前記第1電子部品と前記第2電子部品とが前記異方性導電膜により接合されている
カード積層体。
【請求項6】
前記第1電子部品がバイオメトリックセンサーである
請求項5に記載のカード積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方性導電膜、電子部品の製造方法、及びカード積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップをスマートカードに搭載する方法として、例えば特許文献1に開示された方法がある。特許文献1に開示された方法は、はんだ粒子を含む導電粒子含有ホットメルト接着シートをカード部材とICチップとの間に介在させ、このシートに熱及び圧力を加える。この熱及び圧力により、導電粒子含有ホットメルト接着シートに含有されているはんだ粒子が溶融し、ICチップ側の導電部とカード部材側の導電部が金属結合して導通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、導電粒子を含む異方性導電膜を用いて半導体部品をガラス基板に接合する場合には、顕微鏡でガラス基板の接合部を観察することにより、導電粒子の接続良否を観察することができる。しかしながら、ICチップをカード部材に圧着した場合、接合部が不透明なカード部材とICチップとに挟まれて露出しないため、はんだ粒子の溶融の良否を顕微鏡で外部から観察することができない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、はんだ粒子を含む異方性導電膜による接合の良否の観察を非破壊で行うことを可能とする異方性導電フィルム、電子部品の製造方法、及びカード積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る異方性導電膜は、非共晶合金又は共晶合金であるはんだ粒子と熱可塑性樹脂とを含有し、前記はんだ粒子の面積率が8~50%であり、前記はんだ粒子の固相線温度において粘度が1000~100000Pa・sである。
【0007】
また、本発明に係る電子部品の製造方法は、不透明な第1電子部品と、不透明な第2電子部品との間に、非共晶合金又は共晶合金であるはんだ粒子と熱可塑性樹脂とを含有し、前記はんだ粒子の面積率が8~50%であり、前記はんだ粒子の固相線温度において粘度が1000~100000Pa・sである異方性導電膜を介在させ、前記第1電子部品と前記第2電子部品とを熱圧着により接合する。
【0008】
また、前記電子部品の製造方法においては、前記電子部品は、デュアルインターフェースカードであってもよい。
【0009】
また、前記電子部品の製造方法においては、前記第1電子部品は、バイオメトリックセンサーであってもよい。
【0010】
また、本発明に係るカード積層体は、第1電子部品と、第2電子部品と、前記第2電子部品が配置された基材と、非共晶合金又は共晶合金であるはんだ粒子と熱可塑性樹脂とを含有し、前記はんだ粒子の面積率が8~50%であり、前記はんだ粒子の固相線温度において粘度が1000~100000Pa・sである異方性導電膜と、を有し、前記第1電子部品と前記第2電子部品とが前記異方性導電膜により接合されている。
【0011】
また、前記カード積層体においては、前記第1電子部品がバイオメトリックセンサーであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、はんだ粒子を含む異方性導電膜による接合の良否の観察を非破壊で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、スマートカードの一例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、スマートカードの断面の模式図である。
【
図7】
図7は、熱圧着された部分のX線写真である。
【
図8】
図8は、熱圧着された部分のX線写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0015】
<1.スマートカード>
図1は、本発明の実施形態の一例に係るスマートカード1の平面図である。スマートカード1は、例えば、1つのIC(Integrated Circuit)チップで、接触型と非接触型の2つのインターフェースを持つデュアルインターフェースカードである。スマートカード1は、カード積層体の一例である。スマートカード1は、「ICカード」、又は「チップカード」とも呼ばれる。スマートカード1は、ICチップ10、非接触による通信と起電力の発生とに用いられるアンテナ20、及び基材30を備えている。なお、スマートカード1は、接触型ICチップと非接触型ICチップとが搭載されたハイブリッドカードであってもよい。また、スマートカード1は、バイオメトリックセンサーの一例である指紋センサーを搭載した指紋認証カードや、バッテリー素子やディスプレイ素子を組み込んだワンタイムパスワード機能などを持ったカードであっても良い。これらのICチップ、センサー、素子は、パッドを備え、基材30側の電極になる部分と電気的に接合される。
【0016】
ICチップ10は、情報(データ)の記録や演算を行う集積回路を有するチップであり、不透明な第1電子部品の一例である。ICチップ10は、スマートカード1の読み取り端末との接点を表面に有する。
図2は、ICチップ10の裏面、即ち、読み取り端末との接点がある面と反対側の面の平面図である。ICチップ10の裏面には、集積回路を封止したモールド部101と、アンテナ20に電気的に接続される第1電極部102a及び第2電極部102bがある。
【0017】
アンテナ20は、渦巻き状に配置された配線であり、非接触型の読み取り端末との電波による通信に用いられる。アンテナ20は、第2電子部品の一例である。また、アンテナ20は、非接触型の読み取り端末から発せられた電波から電磁誘導により電力を発生し、発生した電力をICチップ10へ供給する。
【0018】
図3は、基材30の断面の模式図である。基材30は、アンテナ20を備えるインレイ33と、インレイ33の両面に積層されたコアシート32、34と、スマートカード1の表裏面を構成するオーバーレイ31、35とを有する積層体である。インレイ33、コアシート32、34、及びオーバーレイ31、35は、例えば樹脂材料で形成されている。インレイ33、コアシート32、34、及びオーバーレイ31、35を構成する樹脂材料としては、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PET-G、PC(ポリカーボネート)、又はこれらのリサイクル材、Ocean Plastic、PLA(ポリ乳酸)等の生分解性プラスチックなどが挙げられる。基材30は、インレイ33、コアシート32、34、及びオーバーレイ31、35が、接着剤を介して、あるいは接着剤を介することなく加熱押圧されることにより、積層一体化されることにより形成される。
【0019】
インレイ33、コアシート32、34、及びオーバーレイ31、35の各層を接着する接着剤としては、熱可塑性、熱硬化性などの種々の材料を使用できるが、基材30の切削工程やICチップ10との加熱圧着工程に耐えられる耐性、耐熱性を備えるものが適切であり、熱硬化型接着剤が好適に使用される。
【0020】
インレイ33には、アンテナ20が形成されている。基材30には、切削によりICチップ領域40が形成される。ICチップ領域40は、ICチップ10が収まる領域であり、アンテナ20の一部が露出する。
【0021】
図4は、ICチップ領域40の平面図である。ICチップ領域40においては、アンテナ20のパターンの一部である第1露出部21a及び第2露出部21bが露出する。第1露出部21aは、導電粒子含有ホットメルト接着シート60により第1電極部102aに電気的に接続され、第2露出部21bは、導電粒子含有ホットメルト接着シート60により第2電極部102bに電気的に接続される。アンテナ20の配線としては、例えば銅線などが用いられる。第1露出部21a及び第2露出部21bのパターンは、第1電極部102aと第2電極部102bと重畳する面積を多く確保する観点から
図4に示すように九十九折りのパターンが好ましい。ICチップ領域40の中央部には、モールド部101を納める収納領域41が切削により形成されている。
【0022】
なお、インレイ33は、貫通していない溝や穴をICチップ10が収まるICチップ領域40に有することが好ましい。これにより、導電粒子含有ホットメルト接着シート60の樹脂が溝や孔に流入し、導電粒子含有ホットメルト接着シート60との密着力を向上させることができる。また、この溝や穴の開口部の最短長さは、はんだ粒子の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。具体的な溝や穴の開口部の最短長さの下限は、はんだ粒子の平均粒子径の20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることが特に好ましい。また、具体的な穴の開口部の最短長さの上限は、はんだ粒子の平均粒子径の80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、60%以下であることが特に好ましい。これにより、溝や孔にはんだ粒子が嵌まりやすくなり、はんだ粒子の捕捉性が向上し、ICチップ10との優れた電気的接続を得ることができる。
【0023】
導電粒子含有ホットメルト接着シート60は、インレイ33とICチップ10との間に介在し、ICチップ10とアンテナ20の第1露出部12a及び第2露出部12bとを電気的に接続する。導電粒子含有ホットメルト接着シート60は、例えば、カルボキシル基を有する結晶性ポリアミドを含むバインダー中に導電粒子として非共晶合金であるはんだ粒子を含有するものである。なお、本明細書において、「非共晶合金」とは、共晶点を有さない合金のことを呼ぶ。導電粒子含有ホットメルト接着シート60は、異方性導電膜(ACF:Anisotropic Conductive Film)の一例である。なお、導電粒子含有ホットメルト接着シート60に含まれるはんだ粒子は、非共晶合金であるはんだ粒子に限定されるものではなく、共晶合金であるはんだ粒子をふくむものであってもよい。
【0024】
本実施形態に係るスマートカード1は、カルボキシル基を有する結晶性ポリアミドを含むバインダー中に非共晶合金であるはんだ粒子を含有する導電粒子含有ホットメルト接着シート60を備えるため、はんだ濡れ性を向上させ、優れた接続信頼性及び耐曲げ性を得ることができる。これは、結晶性ポリアミドに存在するカルボキシル基によるフラックス効果であると考えられ、結果として、フラックス化合物の添加による導電粒子含有ホットメルト接着シート60の弾性率の低下を防ぎ、優れた耐曲げ性を得ることができる。また、本実施形態に係るスマートカード1は、ICチップ10の回路(導通部)とアンテナパターンの回路(導通部)とが、はんだ粒子の溶融により金属結合しているため、湿熱試験におけるバインダーの吸湿による膨潤伸びを抑えることができ、優れた接続信頼性を得ることができる。なお、本技術は、一般的な異方性接合体に適用することもできる。また、本技術の適用範囲は、接合体の製造方法についても、略同様である。
【0025】
<2.スマートカードの製造方法>
本実施形態に係るスマートカード1の製造方法は、導電粒子含有ホットメルト接着シート60を、インレイ33とICチップ10との間に介在させ、圧着するものである。以下、
図5、6を参照して、スマートカード1の製造方法について説明する。スマートカード1の製造方法は、大別すると、導電粒子含有ホットメルト接着シート60が積層されたICチップ10を作製する準備工程と、導電粒子含有ホットメルト接着シート60が積層されたICチップ10をインレイ33に圧着する接合工程とからなる。
【0026】
[準備工程]
図5は、準備工程の内容を示す図である。準備工程は、シート打抜き工程、貼り付け工程、及びICチップ打抜き工程を備える。以下、
図5を参照して準備工程を説明する。準備工程では、まずシート打抜き工程が行われる。シート打抜き工程は、
図5(a)に示すように、テープ状の導電粒子含有ホットメルト接着シート60において、モールド部101の形状に対応した領域を打ち抜く工程である。導電粒子含有ホットメルト接着シート60は、例えば、巻芯に巻装されたフィルム巻装体として供給される。
【0027】
シート打抜き工程の後には、貼り付け工程が行われる。貼り付け工程は、ICチップ10の裏面に導電粒子含有ホットメルト接着シート60を貼り付ける工程である。貼り付け工程では、例えば
図5(b)に示すように、キャリアテープ70に収納されたICチップ10に導電粒子含有ホットメルト接着シート60を載せ、加熱及び押圧により導電粒子含有ホットメルト接着シート60をICチップ10の接続面にラミネートする。ここで、導電粒子含有ホットメルト接着シート60がモールド部101に対応した形状で打抜かれているため、第1電極部102a及び第2電極部102bに導電粒子含有ホットメルト接着シート60が接し、打抜かれている領域からモールド部101が露出する。なお、貼り付け工程は、ICチップ10の裏面に導電粒子含有ホットメルト接着シート60を低温で貼着する仮貼り工程であってもよい。
【0028】
貼り付け工程がラミネート工程である場合、加圧式ラミネータ、又は真空加圧式ラミネータを用いてもよい。貼り付け工程がラミネート工程であることにより、仮貼り工程に比べ、比較的広い面積を一括で搭載できる。また、貼り付け工程が仮貼り工程である場合、従前の装置からツールの設置や変更といった最低限の変更だけですむため、経済的なメリットを得ることができる。
【0029】
貼り付け工程において、導電粒子含有ホットメルト接着シート60に到達する温度は、バインダーが流動する温度以上、はんだが溶融する温度未満であることが好ましい。ここで、バインダーが流動する温度は、導電粒子含有ホットメルト接着シート60の溶融粘度が100~100000Pa・sとなる温度であってもよく、好ましくは、1000~100000Pa・sとなる温度である。これにより、はんだ粒子の形状を維持した状態で導電粒子含有ホットメルト接着シート60をICチップ10の裏面に貼付することができる。なお、導電粒子含有ホットメルト接着シート60の溶融粘度は、例えば、回転式レオメーター(TA instrument社製)を用い、測定圧力5g、温度範囲30~200℃、昇温速度10℃/分、測定周波数10Hz、測定プレート直径8mm、測定プレートに対する荷重変動5gの条件で測定することができる。
【0030】
貼り付け工程の後には、ICチップ打抜き工程が行われる。ICチップ打抜き工程では、
図5(c)に示すように、導電粒子含有ホットメルト接着シート60が貼り付けられたICチップ10がキャリアテープ70から打抜かれ、ICチップ10がキャリアテープ70から取り出される。
【0031】
[接合工程]
図6は、接合工程の内容を示す図である。準備工程でキャリアテープ70から取り出されたICチップ10は、接合工程で基材30に接合される。接合工程は、ザグリ工程、載置工程、及び圧着工程を備える。以下、
図6を参照して接合工程を説明する。接合工程では、まずザグリ工程が行われる。ザグリ工程では、ICチップ領域40を形成し、さらにモールド部101を納める収納領域41を深堀により形成する。このザグリ工程により、
図6(a)に示すようにICチップ領域40が形成される。
【0032】
ザグリ工程の後には、載置工程が行われる。載置工程では、例えば吸着機構を備えるツールを用いてICチップ10をピックアップし、ICチップ領域40とICチップ10とを位置合わせし、
図6(b)に示すように、導電粒子含有ホットメルト接着シート60を介してICチップ10をICチップ領域40に載置する。
【0033】
載置工程の後には、圧着工程が行われる。圧着工程では、圧着装置を用いてICチップ10と基材30に熱と圧力とを加え、
図6(c)に示すようにICチップ10とインレイ33とを熱圧着する。圧着工程における熱圧着の回数は、接続対象物に応じて設定すればよく、1回であってもよいが、複数回することが好ましい。これにより、カードの熱変形を防止し、導電粒子含有ホットメルト接着シート60のバインダーを十分に排除させ、はんだ粒子の溶融により、第1電極部102aと第1露出部21aとを金属結合させ、第2電極部102bと第2露出部21bとを金属結合させることができる。
【0034】
また、圧着工程における熱圧着温度は、導電粒子含有ホットメルト接着シート60に到達する温度がはんだ粒子の融点以上であることが好ましい。ここで、融点は、固相線温度のことをいう。すなわち、圧着工程における熱圧着温度は、導電粒子含有ホットメルト接着シート60に到達する温度がはんだ粒子の固相線温度以上であることが好ましい。ここで、固相線は、固相と平衡にある液相の温度(融点)と固相の組成との関係を示す曲線である。具体的な導電粒子含有ホットメルト接着シート60に到達する温度は、好ましくは120~160℃、より好ましくは120~155℃、さらに好ましくは120~150℃である。これにより、基材30やICチップ10の熱衝撃を抑制し、基材30の変形を防ぐことができる。
【0035】
本実施の形態に係るスマートカード1の製造方法は、カルボキシル基を有する結晶性ポリアミドを含むバインダー中にはんだ粒子を含有する導電粒子含有ホットメルト接着シート60を用いているため、はんだ濡れ性を向上させ、優れた接続信頼性を得ることができる。また、本実施形態に係るスマートカード1の製造方法は、ICチップ10の導通部とアンテナ20のパターンの導通部とを、はんだ粒子の溶融により金属結合させるため、湿熱試験におけるバインダーの吸湿による膨潤伸びを抑えることができ、優れた接続信頼性を得ることができる。
【0036】
<3.導電粒子含有ホットメルト接着シート>
導電粒子含有ホットメルト接着シート60の厚みの下限は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上である。また、導電粒子含有ホットメルト接着シート60の厚みの上限は、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。これにより、基材30にICチップ10を熱圧着させるスマートカード1の製造に好適に用いることができる。
【0037】
バインダーは、カルボキシル基を有する結晶性ポリアミドを少なくとも含む。なお、結晶性樹脂は、例えば、示差走査熱量測定において、昇温過程で吸熱ピークを観察することにより確認することができる。結晶性ポリアミドの末端カルボキシル基濃度は、0.5mgKOH/g以上であることが好ましく、1.0mgKOH/g以上であることがより好ましく、2.0mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。また、結晶性ポリアミドの末端カルボキシル基濃度は、50mgKOH/g以下であっても、30mgKOH/g以下であっても、10mgKOH/g以下であってもよい。結晶性ポリアミドの末端カルボキシル基濃度は、例えばJIS K 0070-1992やISO2114に準じて評価を行うことができる。カルボキシル基を有する結晶性ポリアミドの市販品の具体例としては、例えば、アルケマ株式会社製の「HX2519」、「M1276」などが挙げられる。
【0038】
バインダーがカルボキシル基を有する結晶性ポリアミドを少なくとも含むことにより、はんだ濡れ性を向上させ、優れた接続信頼性を得ることができる。これは、結晶性ポリアミドに存在するカルボキシル基によるフラックス効果であると考えられ、結果として、フラックス化合物の添加による接着層50の弾性率の低下を防ぎ、優れた耐曲げ性を得ることができる。
【0039】
また、バインダーは、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、結晶性樹脂、非晶性樹脂など、目的に応じて適宜選択することができる。結晶性樹脂としては、結晶領域を有する樹脂であれば、特に制限はなく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などが挙げられ、ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂などが挙げられる。また、非晶性樹脂としては、結晶性樹脂の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。これらの中でも、低温かつ短時間での接着の観点から、その他の成分として結晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
【0040】
また、バインダーに占めるカルボキシル基を有する結晶性ポリアミドの割合は、10~100wt%であることが好ましく、30~100wt%であることがより好ましく、50~100wt%であることがさらに好ましい。これにより、はんだ濡れ性を向上させ、優れた接続信頼性を得ることができる。
【0041】
導電粒子含有ホットメルト接着シート60が含有するはんだ粒子は、非共晶合金又は共晶合金である。はんだ粒子として非共晶合金を用いる場合、Sn、Bi、Ag、In、Cu、Sb、Pb、Znからなる群より選択される2種以上を含む合金であることが好ましい。はんだ粒子としては、例えば、JIS Z 3282-2017(対応国際規格:ISO9453:2014)に規定されている、Sn-Pb系、Pb-Sn-Sb系、Sn-Sb系、Sn-Pb-Bi系、Bi-Sn系、Sn-Bi-Cu系、Sn-Cu系、Sn-Pb-Cu系、Sn-In系、Sn-Ag系、Sn-Pb-Ag系、Pb-Ag系などの中から、端子材料や接続条件などに応じて適宜選択することができる。
【0042】
はんだ粒子の固相線温度(融点)の下限は、好ましくは110℃以上、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは135℃以上である。はんだ粒子の液相線温度の上限は、210℃以下でもよく、好ましくは200℃以下、より好ましくは195℃以下、さらに好ましくは190℃以下である。ここで、液相線は、固相と平衡にある液相の温度(融点)と液相の組成との関係を示す曲線である。また、はんだ粒子の固相線温度の上限は、155℃以下でもよく、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下、さらに好ましくは140℃以下である。また、はんだ粒子は、表面を活性化させる目的でフラックス化合物が直接表面に結合されていても構わない。表面を活性化させることで金属ワイヤーや電極との金属結合を促進することができる。
【0043】
また、はんだ粒子は、固相線温度(融点)が155℃以下、好ましくは150℃以下であって、Sn-Bi-Cu合金、Sn-Bi-Ag合金、Sn-Bi合金、Sn-Pb-Bi合金、及びSn-In合金からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。はんだ粒子の具体例としては、Sn30Bi0.5Cu、Sn30Bi、Sn40Bi、Sn50Bi、Sn58Bi、Sn40Bi0.1Cu、Sn43Pb14Bi、Sn20Inなどが挙げられる。これにより、優れた接続信頼性を得ることができる。
【0044】
また、はんだ粒子は、導電粒子含有ホットメルト接着シート60の樹脂中に混練りされて分散されていてもよく、離間した状態に配置されていてもよい。この配置は、一定の規則で配置されていてもよい。規則的配置の態様としては、正方格子、六方格子、斜方格子、長方格子等の格子配列を挙げることができる。また、はんだ粒子は、複数個が凝集した凝集体として配置されていてもよい。この場合、導電粒子含有ホットメルト接着シート60の平面視における凝集体の配置は、前述のはんだ粒子の配置と同様に、規則的配置でもランダム配置でもよい。
【0045】
はんだ粒子の平均粒子径は、導電粒子含有ホットメルト接着シート60の厚みの70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。これにより、熱圧着時に容易にはんだ粒子をICチップ10の導通部と基材30の導通部との間に挟持することができ、金属結合させることができる。
【0046】
はんだ粒子の平均粒子径の下限は、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。また、はんだ粒子の平均粒子径の上限は、好ましくは50μm以下、より好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下である。また、はんだ粒子の最大径は、平均粒子径の200%以下、好ましくは平均粒子径の150%以下、より好ましくは平均粒子径の120%以下とすることができる。はんだ粒子の最大径が、上記範囲であることにより、はんだ粒子をICチップ10の導通部と基材30の導通部との間に挟持させ、はんだ粒子の溶融により導通部間を金属結合させることができる。
【0047】
また、はんだ粒子が複数のはんだ粒子の凝集体である場合、凝集体の大きさを前述のはんだ粒子の平均粒子径と同等にしてもよい。なお、凝集体の大きさは、電子顕微鏡や光学顕微鏡で観察して求めることができる。
【0048】
ここで、平均粒子径は、金属顕微鏡、光学顕微鏡、SEM(Scanning Electron Microscope)等の電子顕微鏡などを用いた観察画像において、例えばN=20以上、好ましくはN=50以上、さらに好ましくはN=200以上で測定した粒子の長軸径の平均値であり、粒子が球形の場合は、粒子の直径の平均値である。また、観察画像を公知の画像解析ソフト(「WinROOF」:三谷商事(株)、「A像くん(登録商標)」:旭化成エンジニアリング株式会社など)を用いて計測された測定値、画像型粒度分布測定装置(例として、FPIA-3000(マルバーン社))を用いて測定した測定値(N=1000以上)であってもよい。観察画像や画像型粒度分布測定装置から求めた平均粒子径は、粒子の最大長の平均値とすることができる。なお、導電粒子含有ホットメルト接着シート60を作製する際には、簡易的にレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における頻度の累積が50%になる粒径(D50)、算術平均径(体積基準であることが好ましい)などのメーカー値を用いることができる。
【0049】
また、はんだ粒子の面積率は、例えば、8~50%であることが好ましく、9.5~50%であることがより好ましい。はんだ粒子の面積率は、貼り付け工程前の導電粒子含有ホットメルト接着シート60に含まれるはんだ粒子の粒子径を用いて算出されるものである。具体的には、貼り付け工程前の導電粒子含有ホットメルト接着シート60を顕微鏡で観察した平面視の画像から、複数の1mm2の領域内において、各領域内に含まれるはんだ粒子のそれぞれの粒子径を測定する。次に、測定した粒子径からはんだ粒子のそれぞれの平面視における面積を算出し、各領域の面積率を、「(算出したはんだ粒子面積の合計/1mm2)×100」の式で算出する。次に、観察した複数の領域の面積率の平均を算出し、算出した平均値を、導電粒子含有ホットメルト接着シート60に含まれるはんだ粒子の面積率とする。
【0050】
図7は、前述の熱圧着工程で熱圧着された部分の写真である。
図7(a)は、はんだ粒子の面積率が4.5%である導電粒子含有ホットメルト接着シート60について、スプリングバックが発生する温度で熱圧着を行なったときの写真である。
図7(a)に示されるように、はんだ粒子の面積率が8%未満となると、はんだ粒子が少ないため、X線による非破壊検査でスプリングバックを観察することが困難となり、はんだ粒子による接合の良否を判定することができなくなる。
図7(b)と
図7(c)は、はんだ粒子の面積率が8%である導電粒子含有ホットメルト接着シート60について、スプリングバックが発生する温度で熱圧着を行なったときの写真である。
図7(b)に示すように、ICチップ10においてはんだ粒子によりアンテナ20と電気的に接続される電極部(第1電極部102a、第2電極部102b)では、はんだ粒子が逃げてしまい、スプリングバックを観察することが困難であるが、電極部以外では、
図7(c)に示すように、はんだ粒子の観察が可能である。このため、はんだ粒子の面積率の下限を8%としている。なお、はんだ粒子の面積率が9.5%以上となると、電極部でもはんだ粒子の溶融を視認してスプリングバックを観察することができる。このため、はんだ粒子の面積率は、9.5%以上であるのが好ましい。
【0051】
はんだ粒子の面積率の上限については、はんだ粒子の面積率が50%を超えると、バインダー中の樹脂分が少なくなるため、ICチップ10と基材30との接着力が不足する。また、指紋センサーのように隣り合う電極間の距離が短いものを導電粒子含有ホットメルト接着シート60で基材30側の電極を接合する場合、はんだ粒子の面積率が50%を超えると、はんだ粒子によって隣り合う電極が短絡する虞がある。このため、はんだ粒子の面積率の上限を50%としている。
【0052】
また、導電粒子含有ホットメルト接着シート60の粘度は、はんだ粒子の固相線温度における粘度が1000~100000Pa・sであるのが好ましい。この粘度が1000Pa・s未満では、熱圧着のときに導電粒子含有ホットメルト接着シート60に気泡が生じてスプリングバックが発生して接合不良となる。また、この粘度が100000Pa・sを超える場合には、バインダー中の樹脂とはんだ粒子の流動が十分ではなく、接合不良となる。
【0053】
[他の添加剤]
導電粒子含有ホットメルト接着シート60には、上述したバインダー及びはんだ粒子に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で様々な添加剤を配合することができる。例えば、ガスバリア性及弾性率を向上させるため、ナノサイズ(1次粒子径が1nm以上1000nm未満)のシリカを分散させてもよい。また、圧着後の半田粒子の高さを一定に制御するため、スペーサー粒子として規定サイズの樹脂粒子、ゴム粒子、シリコーンゴム粒子、シリカ等を分散させてもよい。また、本技術の効果を損なわない範囲で熱硬化性樹脂や硬化剤を添加してもよい。
【実施例0054】
本実施例では、はんだ粒子を含有する導電粒子含有ホットメルト接着シート60を作製し、これを用いてスマートカード1を作成した。そして、ICチップ10と基材30との接着力の評価、及びICチップ10と基材30との接合の良否の非破壊検査による評価を行った。なお、本実施例は、これらに限定されるものではない。
【0055】
[はんだ粒子の作製]
金属材料を所定の配合比で加熱中の容器に入れて溶融後に冷却し、はんだ合金を得た。そのはんだ合金から、アトマイズ法にて粉末を作製し、粒子径が20~38μmの範囲となるように分級して、以下の組成のはんだ粒子を得た。
・Type4 Sn-40Bi (非共晶、固相線温度:139℃、液相線温度:167℃)
・Type4 Sn-58Bi (共晶、固相線温度・液相線温度:138℃)
【0056】
[導電粒子含有ホットメルト接着シートの作製]
下記樹脂とフィラーを準備した。
・PES-111EE(東亜合成社製、結晶性ポリエステル) 固形分/シクロヘキサノン=25/75にて溶液化
・HX2519(アルケマ株式会社製、カルボキシル基を有する結晶性ポリアミド、末端カルボキシル基濃度6.56mgKOH/g)
・B-30(堺工業株式会社製、硫酸バリウム) 粒子径0.3μm
【0057】
表1に示すように、上記樹脂を固形分で所定の配合量(質量部)になるように混合及び撹拌し、混合ワニスを得た。続いて、得られた混合ワニスに対し、はんだ粒子を加えて導電粒子含有樹脂組成物を得た。得られた導電粒子含有樹脂組成物を、50μm厚みのPETフィルム上に、乾燥後の平均厚みが40μmとなる様に塗布し、70℃にて5分間、続けて120℃にて5分間乾燥させ、導電粒子含有ホットメルト接着シート60を作製した。
【0058】
[スマートカードの作製]
スマートカード1の部材として、オーバーレイ31と、コアシート32と、アンテナ20を備えるインレイ33と、コアシート34と、オーバーレイ35が積層された積層体である基材30を準備した。この基材30のICチップ領域40には、基材30であるPVCから径が100μmのCuワイヤーが露出している。また、ICチップ10として、テスト用のチップモジュール(10.6mm×8.0mm、金メッキ)を準備した。このチップモジュールは、厚さが略235μmであり、アンテナ20に接合される電極部の厚みが35μm以下であって、Ni/AuメッキCuの6pinモジュールである。
【0059】
導電粒子含有ホットメルト接着シート60を、ICチップ10の裏面にラミネートした。そして、導電粒子含有ホットメルト接着シート60が貼り付けられたICチップ10をICチップ領域40に載置し、195℃、2.5bar、0.7secの第1条件で4回熱圧着したスマートカード1と、220℃、2.5bar、0.7secの第2条件で4回熱圧着したスマートカード1とを作成した。
【0060】
[接合の評価]
はんだ粒子の溶融の良否について、X線検査機によりICチップ領域40を観察し、はんだ粒子の溶融の状態から、接合の良否を判定した。
図8は、前述の熱圧着工程で熱圧着された部分の写真である。
図8においては、はんだ粒子Paが黒い点で示されており、
図8(a)は、はんだ粒子Paの形状が円形であって、はんだ粒子の溶融が観察できない状態である。
図8(c)は、破線で示す領域SBに見られるように、溶融した複数のはんだ粒子Paがスプリングバックで発生した気泡に沿って溶融して円形に並び、はんだ粒子Paの溶融にスプリングバックの痕跡が見られる状態である。
図8(b)は、はんだ粒子Paが溶融して円形から変化していることが観察でき、スプリングバックの痕跡が見られない状態である。接合の評価においては、前述の第1条件で熱圧着したときに、
図8(b)に示すようにはんだ粒子の溶融が観察でき、前述の第2条件で熱圧着したときに、
図8(c)に示すようにスプリングバックの痕跡が見られたものについて「OK」とし、それ以外を「NG」とした。
【0061】
[接着力の評価]
ICチップ10とインレイ33との接着について、MasterCard(登録商標)の規格であるCQM(Card Quality Management)で規定されるTM-423試験により、ICチップ10を基材30から押し出すのに必要な力を、ICチップ10の裏面に力を加えることで測定した。具体的には、基材30の裏面側からICチップ領域40へ向かって穴を開け、開けた穴に挿入した直径5mmのプローブによってICチップ10の裏面に30mm/minのスピードで力を加える。プローブによってインレイ33からICチップ10が外れるときの力が100N未満の場合を「NG」とし、100N以上の場合を「OK」とした。
【0062】
表1に、第1実施例1~第4実施例、第1比較例~第3比較例の導電粒子含有ホットメルト接着シート60の配合、接合の評価結果、及び接着力の評価結果を示す。
【0063】
【0064】
はんだ粒子の面積率が7.0%である第1比較例は、接合の評価において、スプリングバックの観察ができなかった。はんだ粒子の面積率が55%である第2比較例は、接着力の評価において、プローブによってインレイ33からICチップ10が外れるときの力が100N未満であったため、優れた接着力を得られなかった。これは、樹脂分が少ないことにより接着力が低くなったものと考えられる。樹脂の粘度が105000Pa・sである第3比較例は、樹脂の粘度が大きいため、はんだ粒子と樹脂が十分に流動せず、接合の評価と接着力の評価で共に「NG」となった。
【0065】
一方、はんだ粒子の面積率が8~50%の範囲内であり、粘度が1000~100000Pa・sの範囲内である第1実施例~第4実施例は、はんだ粒子について、第1条件ではんだ粒子の溶融を観察することができ、第2条件でスプリングバックの痕跡を観察することができ、接着力についても優れた結果を得ることができた。第1実施例においては、第1条件では樹脂も流動し、はんだ粒子の溶融も確認でき、第2条件では、十分な粒子密度により、円を描くようなはんだ粒子により気泡の場所を示せていた。また、第1実施例では、接着力は第1条件と第2条件で共に接合力が100Nを上回った。第2実施例は、はんだ粒子として共晶はんだを使用したが、第1実施例と同様に接合の評価と接着力の評価で共に良好だった。第3実施例は、非共晶のはんだ粒子の面積率を50%まで増やしたが、第1実施例と同様に接合の評価と接着力の評価で共に良好だった。第4実施例は、第3実施例に対して硫酸バリウムを加えることにより粘度を調整し、粘度を90000Pa・sとしたが、第1実施例と同様に接合の評価と接着力の評価で共に良好だった。