(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076360
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20240529BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01F17/00 D
H01F27/28 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193823
(22)【出願日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0159440
(32)【優先日】2022-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0045543
(32)【優先日】2023-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウー ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン ホワン
(72)【発明者】
【氏名】カン、イン ヨウン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボウム セオク
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA08
5E043BA03
5E070AA01
5E070AB01
5E070BA12
5E070BB03
5E070CB06
5E070CB13
5E070CB17
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】欠陥なしにビア連結部の抵抗を減少させて優れた特性を有するコイル部品を実現する。
【解決手段】
本発明の一実施形態は、本体と、上記本体内に配置された支持部材と、上記支持部材の一面に配置された少なくとも一つの第1コイルと、上記支持部材の他面に配置された少なくとも一つの第2コイルと、上記第1コイルの一端と連結された第1パッドと、上記第2コイルの一端と連結された第2パッドと、上記第1パッド及び第2パッドを連結する複数の導電性ビアと、上記本体に配置されて上記第1コイルの他端と連結された第1外部電極と、上記本体に配置されて上記第2コイルの他端と連結された第2外部電極を含むコイル部品を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体内に配置された支持部材と、
前記支持部材の一面に配置された少なくとも一つの第1コイルと、
前記支持部材の他面に配置された少なくとも一つの第2コイルと、
前記第1コイルの一端と連結された第1パッドと、
前記第2コイルの一端に連結された第2パッドと、
前記第1パッド及び前記第2パッドを連結する複数の導電性ビアと、
前記本体に配置されて前記第1コイルの他端と連結された第1外部電極と、
前記本体に配置されて前記第2コイルの他端と連結された第2外部電極と、を含む、コイル部品。
【請求項2】
前記複数の導電性ビアは、互いに接することなく離隔した、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記複数の導電性ビアは、一方向に沿って配列された、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記複数の導電性ビアにおいて互いに隣接した導電性ビアの中心間の間隔をピッチとするとき、前記ピッチは前記導電性ビアの直径よりも大きいかまたは同一である、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記ピッチは前記直径の2.25倍よりも小さいかまたは同一である、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記ピッチは60μm以上135μm以下である、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記ピッチは60μm以上160μm未満である、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記複数の導電性ビアは、前記第1コイルの延長方向に配列された、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記一方向は直線方向である、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記第1パッドにおいて、前記第1コイルの隣接する外側ターンに向かう第1側面は、前記第1側面と連結された前記第1コイルの側面から前記第1コイルの隣接する外側ターンに向かって突出した形態である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第1パッドにおいて前記第1側面と向かい合う第2側面は、前記第2側面と連結された前記第1コイルの側面と共面を形成する、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第1コイルにおいて前記第1パッドに隣接する外側ターンは、前記第1パッドの少なくとも一部を収容する凹部を有する、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記本体は、互いに対向する第1側面及び第2側面を含み、
前記第1コイルの他端は前記第1側面に延び、
前記第1パッドは、前記第1側面よりも前記第2側面にさらに近く配置された、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記複数の導電性ビアは曲線に沿って配列された、請求項13に記載のコイル部品。
【請求項15】
前記複数の導電性ビアを3個以上含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項16】
第1パッドとは、前記第1コイルの線幅より幅が広く、
第2パッドとは、前記第2コイルの線幅より幅が広い、請求項1から15の何れか1つに記載のコイル部品。
【請求項17】
本体と、
前記本体内に配置された支持部材と、
前記支持部材の一面に配置された少なくとも一つの第1コイルと、
前記支持部材の他面に配置された少なくとも一つの第2コイルと、
前記第1コイルの一端と連結された第1パッドと、
前記第2コイルの一端と連結された第2パッドと、
前記第1パッド及び前記第2パッドを連結し、一直線に沿って配列された複数の導電性ビアと、
前記本体に配置されて前記第1コイルの他端と連結された第1外部電極と、
前記本体に配置されて前記第2コイルの他端と連結された第2外部電極と、を含む、コイル部品。
【請求項18】
前記複数の導電性ビアは、前記第1コイルの延長方向と平行しない方向に配列された、請求項17に記載のコイル部品。
【請求項19】
前記複数の導電性ビアは、前記第1コイルの延長方向に垂直な方向に配列された、請求項18に記載のコイル部品。
【請求項20】
前記複数の導電性ビアは、前記第1コイルの延長方向に対して傾斜した方向に配列された、請求項18に記載のコイル部品。
【請求項21】
前記複数の導電性ビアにおいて互いに隣接する導電性ビアの中心間の間隔をピッチとするとき、前記ピッチは前記導電性ビアの直径よりも大きいかまたは同一である、請求項17から請求項20の何れか1つに記載のコイル部品。
【請求項22】
前記ピッチは前記直径の2.25倍よりも小さいかまたは同一である、請求項21に記載のコイル部品。
【請求項23】
前記ピッチは60μm以上135μm以下である、請求項22に記載のコイル部品。
【請求項24】
前記ピッチは60μm以上160μm未満である、請求項22に記載のコイル部品。
【請求項25】
本体と、
前記本体内に配置された支持部材と、
前記支持部材の一面に配置された少なくとも一つの第1コイルと、
前記支持部材の他面に配置された少なくとも一つの第2コイルと、
前記第1コイルの一端と連結された第1パッドと、
前記第2コイルの一端と連結された第2パッドと、
前記第1パッド及び前記第2パッドを連結する複数の導電性ビアと、
前記本体に配置されて前記第1コイルの他端と連結された第1外部電極と、
前記本体に配置されて前記第2コイルの他端と連結された第2外部電極と、を含み、
前記複数の導電性ビアの少なくとも2つは、中心間の間隔が直径より小さい重なり構造をなす、コイル部品。
【請求項26】
前記少なくとも2つの導電性ビアは、前記間隔が前記直径の半分よりも大きいかまたは同一である、請求項25に記載のコイル部品。
【請求項27】
前記少なくとも2つの導電性ビアは、前記間隔が30μm以上60μm未満である、請求項25または26に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルTV、携帯電話、ノートパソコンなどの電子機器の小型化及び薄型化に伴い、このような電に適用されるコイル部品にも小型化及び薄型化が要求されており、このような要求に応えるために様々な形態の巻線タイプ又は薄膜タイプのコイル部品の研究開発が活発に行われている。
【0003】
コイル部品の小型化及び薄型化に伴う主なイシューは、このような小型化及び薄型化にも関わらず、従来と同等の特性を実現することである。
【0004】
薄膜型パワーインダクタの場合、コイル層間の電気的連結のための導電性ビアを含む。高電流用薄膜型パワーインダクタを実現する際に設計特性を最大化するために基板の厚さをさらに増やすことができない場合、ビアホールの直径を大きくする必要がある。しかしながら、ビアホールの直径を大きくする場合、導電性ビアの内部にめっき物質が充填されていない領域が発生する、いわゆるシームボイド(seam void)不良が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、欠陥なしにビア連結部の抵抗を減少させて優れた特性を有するコイル部品を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための方法として、本発明は一例を通じてコイル部品の新規な構造を提案しようとし、具体的には、本体と、上記本体内に配置された支持部材と、上記支持部材の一面に配置された少なくとも一つの第1コイルと、上記支持部材の他面に配置された少なくとも一つの第2コイルと、上記第1コイルの一端と連結された第1パッドと、上記第2コイルの一端と連結された第2パッドと、上記第1パッド及び第2パッドを連結する複数の導電性ビアと、上記本体に配置され、上記第1コイルの他端と連結された第1外部電極と、上記本体に配置され、上記第2コイルの他端と連結された第2外部電極を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一効果として、欠陥なしにビア連結部の抵抗を減少させて優れた特性を有するコイル部品を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施例に係るコイル部品を概略的に示した透過斜視図である。
【
図2a】
図1の一部構成要素を示した分解図である。
【
図2b】
図1の一部構成要素間の連結関係を示した組立図である。
【
図3】
図1のI-I'線に沿った断面を示した図面である。
【
図4】
図1のコイル部品を上面から見た平面図である。
【
図5】第1実施例の変形例としてコイル部品を上面から見た平面図である。
【
図6】第1実施例の変形例としてコイル部品を上面から見た平面図である。
【
図7】第1実施例の変形例としてコイル部品を上面から見た平面図である。
【
図8】第1実施例の変形例としてコイル部品を上面から見た平面図である。
【
図9】第1実施例の変形例としてコイル部品を上面から見た平面図である。
【
図10】本発明の第2実施例に係るコイル部品を概略的に示した透過斜視図である。
【
図11】
図10の一部構成要素を示した分解図であり、構成要素間の連結関係を示した組立図である。
【
図13】第2実施例の変形例としてコイル部品を上面から見た平面図である。
【
図14】第2実施例の変形例としてコイル部品を上面から見た平面図である。
【
図15】本発明の第3実施例に係るコイル部品を概略的に示した透過斜視図である。
【
図16】
図15の一部構成要素を示した分解図であり、構成要素間の連結関係を示した組立図である。
【
図18】第3実施例の変形例としてコイル部品を上面から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0010】
電子機器には様々な種類の電子部品が用いられるが、このような電子部品の間にはノイズ除去等を目的に様々な種類のコイル部品が適宜用いられることができる。すなわち、電子機器でコイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビード(General Bead)、高周波用ビード(GHz Bead)、共通モードフィルタ(Common Mode Filter)などで利用することができる。
【0011】
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例に係るコイル部品を概略的に示した透過斜視図であり、
図2aは、
図1の一部構成要素を示した分解図であり、
図2bは、構成要素間の連結関係を示した組立図であり、
図3は、
図1のI-I'線に沿った断面を示した図面であり、
図4は、
図1のコイル部品を上面から見た平面図である。
【0012】
図1~
図4を併せて参照すると、本実施形態に係るコイル部品1000は、本体100、支持部材200、第1コイル311、第2コイル312、第1パッド341、第2パッド342、複数の導電性ビア320、第1外部電極400、第2外部電極500を含む。以下、本実施形態のコイル部品1000を構成する主な要素を説明する。
【0013】
本体100はコイル部品1000の外観をなし、その内部にコイル311、312と支持部材200等が配置される。図示された形態のように、本体100は全体的に六面体状に形成されることができる。本体100は、第1方向(X方向)に互いに向かい合う第1面101と第2面102、第2方向(Y方向)に互いに向かい合う第3面103と第4面104、第3方向(Z方向)に向かい合う第5面105及び第6面106を含むことができる。本体100は、一面106、一面と第3方向(Z方向)に向かい合う他面105及び一面と他面を連結する複数の側面101、102、103、104を有することができる。
【0014】
一例として、本体100は、後述する外部電極400、500が形成された本実施例に係るコイル部品1000が2.5mmの長さ、2.0mmの幅及び1.0mmの厚さを有するか、2.0mmの長さ、1.2mmの幅及び0.65mmの厚さを有するか、1.6mmの長さ、0.8mmの幅及び0.8mmの厚さを有するか、1.0mmの長さ、0.5mmの幅及び0.5mmの厚さを有するか、0.8mmの長さ、0.4mmの幅及び0.65mmの厚さを有するように形成されることができるが、これに制限されるものではない。一方、上述した数値は工程誤差等を反映しない設計上の数値に過ぎないため、工程誤差と認められ得る範囲までは本発明の範囲に属すると見なすことができる。
【0015】
上述したコイル部品1000の第1方向(X方向)の長さは、コイル部品1000の第2方向(Y方向)の中央部における第1方向(X方向)-第3方向(Z方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡またはSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準に、上記断面写真に示されたコイル部品1000の第1方向(X方向)に向かい合う2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第1方向(X方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最大値を意味するものであることができる。または、上記断面写真に示されたコイル部品1000の第1方向(X方向)に向かい合う2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第1方向(X方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最小値を意味するものであることができる。または、上記断面写真に示されたコイル部品1000の第1方向(X方向)に向かい合う2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第1方向(X方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、第1方向(X方向)と平行な複数の線分は、第3方向(Z方向)に互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0016】
上述したコイル部品1000の第2方向(Y方向)の長さは、コイル部品1000の第3方向(Z方向)の中央部における第1方向(X方向)-第2方向(Y方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡またはSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準に、上記断面写真に示されたコイル部品1000の第2方向(Y方向)に向かい合う2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最大値を意味するものであることができる。または、上記断面写真に示されたコイル部品1000の第2方向(Y方向)に向かい合う2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最小値を意味するものであることができる。または、上記断面写真に示されたコイル部品1000の第2方向(Y方向)に向かい合う2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、第2方向(Y方向)と平行な複数の線分は、第1方向(X方向)に互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0017】
上述したコイル部品1000の第3方向(Z方向)の長さは、コイル部品1000の第2方向(Y方向)の中央部における第1方向(X方向)-第3方向(Z方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡またはSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準に、上記断面写真に示されたコイル部品1000の第3方向(Z方向)に向かい合う2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最大値を意味するものであることができる。または、上記断面写真に示されたコイル部品1000の第3方向(Z方向)に向かい合う2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち最小値を意味するものであることができる。または、上記断面写真に示されたコイル部品1000の第3方向(Z方向)に向かい合う2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分のそれぞれのディメンション(dimension)のうち少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、第3方向(Z方向)と平行な複数の線分は、第1方向(X方向)に互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0018】
一方、コイル部品1000の第1~第3方向の長さのそれぞれは、マイクロメータ測定法で測定されることもできる。マイクロメータ測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメータでゼロ点を設定し、マイクロメータのチップ間に本実施例に係るコイル部品1000を挿入し、マイクロメータの測定レバー(lever)を回して測定することができる。一方、マイクロメータ測定法でコイル部品1000の長さを測定することにおいて、コイル部品1000の長さは1回測定された値を意味することもでき、複数回測定された値の算術平均を意味することもできる。
【0019】
本体100は、樹脂と磁性物質を含むことができる。具体的に、本体100は、磁性物質が樹脂に分散された磁性複合シートを一つ以上積層して形成されることができる。磁性物質は、フェライトまたは金属磁性粉末であることができる。フェライトは、例として、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系などのスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系などの六方晶型フェライト類、Y系などのガーネット型フェライト及びLi系フェライトの少なくとも一つ以上であることができる。金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末の少なくとも一つ以上であることができる。金属磁性粉末は非晶質または結晶質であることができる。例えば、金属磁性粉末は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。フェライト及び金属磁性粉末は、それぞれ平均直径が約0.1μm~30μmであることができるが、これに制限されるものではない。本体100は、樹脂に分散された2種類以上の磁性物質を含むことができる。ここで、磁性物質が異なる種類とは、樹脂に分散した磁性物質が平均直径、組成、結晶性、及び形状のいずれかで互いに区別されることを意味する。一方、以下では磁性物質が金属磁性粉末であることを前提に説明するが、本発明の範囲が樹脂に金属磁性粉末が分散された構造を有する本体100のみに及ぼすことではない。樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独または混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0020】
一方、本体100は、後述する支持部材200及びコイル311、312を貫通する形態のコア110を含むことができる。コア110は、磁性物質を含む磁性複合シートが第1コイル311及び第2コイル312の中央及び支持部材200の中央を貫通する貫通孔を充填することで形成されることができる。
【0021】
支持部材200は本体100の内部に配置され、コイル300を支持することができる。支持部材200は、コア110を形成するためのトリミング工程時に支持部材200の中央部が除去されて貫通孔が形成されることができる。一方、後述するパッド341、342の形状によって支持部材200がトリミングされて、パッド341、342と対応する形態を有することができる。
【0022】
支持部材200は、本体100の第6面106と向かい合う一面S1及び本体100の第5面105と向かい合う他面S2を有することができる。
【0023】
一方、支持部材200は、エポキシ樹脂などの熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性絶縁樹脂または感光性絶縁樹脂を含む絶縁資材で形成されるか、このような絶縁樹脂にガラス繊維または無機フィラーなどの補強材が含浸された絶縁資材で形成されることができる。例として、支持部材200は、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)樹脂、PID(Photo Imagable Dielectric)などの絶縁資材で形成されることができるが、これに制限されるものではない。無機フィラーとしては、シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)、アルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO4)、タルク、泥、マイカ粉、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)及びジルコン酸カルシウム(CaZrO3)からなる群から選択された少なくとも一つ以上が用いられることができる。支持部材200が補強材を含む絶縁資材で形成される場合、支持部材200はより優れた剛性を提供することができる。支持部材200がガラス繊維を含まない絶縁資材で形成される場合、本実施例によるコイル部品1000の厚さを薄形化するのに有利であることができる。また、同じサイズの本体100を基準として、コイル311、312及び/または金属磁性粉末が占める体積を増加させることができ、部品特性を向上させることができる。支持部材200が感光性絶縁樹脂を含む絶縁資材で形成される場合、コイル311、312を形成するための工程数が減り、生産費を節減するのに有利であり、導電性ビア320を微細に形成することができる。支持部材200の厚さは、例として、10μm以上50μm以下であることができるが、これに制限されるものではない。
【0024】
第1コイル311は支持部材200の一面S1に配置され、第2コイル312は支持部材200の他面S2に配置される。第1コイル311及び第2コイル312は、それぞれコア110を軸に少なくとも一つのターン(turn)を形成した平面螺旋(spiral)形状であることができる。したがって、本発明によるコイル部品のコイル311、312は直線部及び曲線部を含むことができる。具体的には、
図1を参照すると、本体100の第1方向(X方向)で直線部を有し、本体100の第2方向(Y方向)で曲線部を有することを確認することができる。しかし、これに制限されるものではなく、第1方向(X方向)で曲線部を有し、第2方向(Y方向)に直線部を有することもできる。
【0025】
第1コイル311及び第2コイル312は側面を有する。具体的には、第1コイル311は、外側ターンを向かう一側面及びコアを向かう他側面を有することができる。同様に、第2コイル312は、外側ターンを向かう一側面及びコアを向かう他側面を有することができる。
【0026】
第1コイル311及び第2コイル312のそれぞれは、線幅が実質的に同一であることができる。ここで、線幅が同一であるとは、第1コイル311及び第2コイル312のそれぞれにおいて、一側面及び他側面間の距離が実質的に同一であることをいう。第1コイル311の線幅と第2コイル312の線幅は互いに同一であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0027】
以下で後述するように、第1コイル311の他端は第1外部電極400と連結され、第2コイル312の他端は第2外部電極500と連結される。第1コイル311の他端は第1引き出し部331になることができ、第2コイル312の他端は第2引き出し部332になることができる。したがって、第1引き出し部331及び第2引き出し部332はそれぞれ第1外部電極400及び第2外部電極500と連結される。
【0028】
第1パッド341は、支持部材200の一面S1に配置され、第1コイル311の一端と連結される。具体的には、第1パッド341は、第1コイル311の最内側ターンに形成される。第2パッド342は、支持部材200の他面S2に配置され、第2コイル312の一端と連結される。具体的には、第2パッド342は、第2コイル312の最内側ターンに形成される。第1パッド341及び第2パッド342は、以下で後述する複数の導電性ビア320と連結される。
【0029】
第1実施例によるコイル部品1000の場合、第1パッド341及び第2パッド342はコイル311、312の直線部に位置する。また、第1パッド341及び第2パッド342は、コイル311、312が巻き取られる方向と実質的に平行になるように形成されることができる。但し、これに制限されるものではなく、以下で後述する第2実施例のように、第1パッド341及び第2パッド342はコイル311、312の曲線部に位置することもでき、第3実施例のように第1パッド341及び第2パッド342がコイル311、312が巻き取られる方向から所定の角度θをなすように形成されることができる。
【0030】
第1パッド341は、第1コイル311の隣接する外側ターンを向かう第1側面及びコアに向かう第2側面を有することができる。同様に、第2パッド342は、第2コイル312の隣接する外側ターンに向かう第1側面及びコアに向かう第2側面を有することができる。第1パッド341の第1側面は第1コイル311の一側面と連結され、第2パッド342の第2側面は第2コイル312の他側面と連結されることができる。
【0031】
第1パッド341及び第2パッド342は、それぞれ第1コイル311及び第2コイル312の線幅W
cより幅が広いことができる。すなわち、本実施例に係るコイル部品の場合、パッド341、342の幅W
pが増加した形態であり、これによりコイル311、312の連結性をさらに向上させることができる。具体的には、
図4を参照すると、第1パッド341の第1側面及び第2側面間の距離は、第1コイル311の線幅より大きいことができる。同様に、第2パッド342の第1側面及び第2側面間の距離は、第2コイル312の線幅よりも大きいことができる。
【0032】
第1パッド341及び第2パッド342の幅Wpは、第1パッド341及び第2パッド342のそれぞれにおいて第1側面及び第2側面間の距離を測定することで求めることができる。第1実施例に係るコイル部品の場合、第1パッド341及び第2パッド342が第1方向(X方向)に沿ったコイル311、312の直線部に位置する。したがって、第1パッド341または第2パッド342の中心を通る第2方向(Y方向)-第3方向(Z方向)の断面試料を採取して、パッド341、342の第1側面及び第2側面間の距離を求めることができる。
【0033】
同様に、第1コイル311及び第2コイル312の線幅Wcは、第1コイル311及び第2コイル312のそれぞれにおいて一側面及び他側面間の距離を測定することで求めることができる。第1実施例に係るコイル部品の場合、第1コイル311及び第2コイル312は、第1方向(X方向)で直線部を有する。したがって、直線部を貫通する第2方向(Y方向)-第3方向(Z方向)の断面試料を採取して、コイル311、312の一側面及び他側面間の距離を求めることができる。
【0034】
図4を参照すると、第1パッド341の第1側面は、第1コイル311の一側面と共面を形成することができる。第1パッド341の第2側面は、第1コイル311の他側面からコアに向かって突出することができる。これは、第1パッド341の幅W
pが第1コイル311の線幅W
cよりも幅が広いためである。第2パッド342に関しても同一説明が適用されることができる。しかし、必ずしもこれに制限されるものではなく、以下で後述する変形例のように、第1パッド341の第1側面は、第1コイル311の一側面から第1コイル311の隣接する外側ターンに向かって突出することができ、第1パッド341の第2側面は第1コイル311の他側面と共面を形成することができる。しかし、これに制限されるものではなく、第1パッド341の第1側面及び第2側面の両方とも、それぞれ第1コイル311の一側面及び他側面と共面を形成しないこともできる。
【0035】
高電流特性を満たす薄膜型パワーインダクタを実現するために、上、下コイルを連結するビアの直径を広げる方案がある。しかしながら、ビアの直径を広げる場合、ビアホール加工直径、深さ、形態に応じてビアめっき時にシームボイド(seam void)などの欠陥が発生する可能性がある。したがって、本発明による実施例において、ビアの直径を一定レベルに維持したまま、直流抵抗Rdcを低減することができる構造を新たに提案する。
【0036】
導電性ビア320は、第1及パッド341び第2パッド342を連結し、本実施形態においては複数個提供される。第1コイル311及び第2コイル312は、第1パッド341及び第2パッド342及び複数の導電性ビア320によって互いに連結され、このために導電性ビア320は支持部材200を貫通することができる。
【0037】
第1コイル311及び第2コイル312が複数の導電性ビア320に連結されるにつれて、コイル300の連結性が構造的、電気的の側面で向上されることができる。具体的には、本実施例において導電性ビア320を3つ以上形成することにより、コイル部品1000の直流抵抗Rdcをさらに低減することができる。また、導電性ビア320の直径を一定レベルに維持したまま、直流抵抗Rdcを低減することができるため、ビアめっき時の欠陥(seam void)を防止することができる。
【0038】
図2a及び
図2bを参照して、第1パッド341及び第2パッド342と複数の導電性ビア320が連結される方式を具体的に説明する。複数の導電性ビア320は、支持部材200を貫通して一面は第1パッド341と連結され、他面は第2パッド342と連結されることができる。複数の導電性ビア320は、第1パッド341及び第2パッド342を介して第1コイル311の最内側ターンと第2コイル312の最内側ターンを連結することができる。
【0039】
第1実施例に係るコイル部品1000は、複数の導電性ビアを3つ以上含むことができる。本実施形態の場合、3つの導電性ビア320が提供され、コイル300の連結性をさらに向上させるために必要な場合には、4つ以上の導電性ビア320が含まれることもできる。但し、これに制限されるものではなく、
図5及び
図7の変形例のように2つの導電性ビア320を含むこともできる。
【0040】
図4を参照して、複数の導電性ビア320の配置に関して説明する。
【0041】
複数の導電性ビア320は、第1コイル311の延長方向と実質的に平行な方向に配列される。
【0042】
複数の導電性ビア320は、支持部材200を貫通する際に、互いに接しないように離隔することができる。複数の導電性ビア320は均一な間隔で配置されることができる。具体的には、複数の導電性ビア320において互いに隣接する導電性ビア320の中心間の間隔をピッチpとするとき、ピッチpは導電性ビア320の直径dより大きいか、または同一であることができる。導電性ビア320のそれぞれの直径dと中心は、一方向(例えばZ方向)から見た平面図から導電性ビア320の外周線を抽出して得られることができ、導電性ビア320の平面形状が完璧な円形ではない場合には、直径dは円相当直径を意味することができる。
【0043】
ピッチpは、導電性ビア320の直径dの2.25倍よりも小さいか、同一であることができる。
【0044】
ピッチpは、60μm以上135μm以下であることができる。また、ピッチpは60μm以上160μm未満であることができる。
【0045】
導電性ビア320のピッチpの大きさに関しては、表1及び表2を参照して後述する。
【0046】
上記ピッチpは、以下の方法で測定することができる。まず、支持部材200を貫通する第1方向(X方向)-第2方向(Y方向)の断面試料を採取する。次に、支持部材200を貫通する任意の導電性ビアの中心とこれと隣接する他の導電性ビアの中心間の距離を測定して上記ピッチp値を求めることができる。
【0047】
導電性ビアの直径dも上記と同じ断面試料を採取して、任意の導電性ビアの直径を測定して求めることができる。
【0048】
上述したように、第1実施例に係るコイル部品の場合、第1パッド341及び第2パッド342はコイル311、312の直線部に位置することができ、コイル311、312が巻き取られる方向と実質的に平行するように形成されることができる。これによって、第1実施例に係るコイル部品の場合、複数の導電性ビア320は一方向に沿って配列されることができる。具体的には、複数の導電性ビア320は第1コイル311の延長方向に配列されることができる。すなわち、第1実施例に係るコイル部品の場合、複数の導電性ビア320は、コイル311、312の直線部が延びる方向と平行な方向に配列されることができる。但し、これに制限されるものではなく、以下で後述する第3実施例のように、複数の導電性ビア320は、第1コイル311の延長方向と平行しない方向に配列されることもできる。
【0049】
複数の導電性ビア320は直線方向に沿って配列されることができる。すなわち、複数の導電性ビア320は一直線に沿って配列されることができる。
図4~
図9を参照すると、複数の導電性ビア320は本体100の第1方向(X方向)に沿って配列されることを確認することができる。しかし、これに制限されるものではなく、以下で後述する第2実施例のように、複数の導電性ビア320は曲線に沿って配列されることができる。
【0050】
図5は、第1実施例に係るコイル部品の一変形例を示した図面である。
図5を参照すると、コイル部品は2つの導電性ビア320を含む。
【0051】
図6及び
図7は、第1実施例に係るコイル部品の他の一変形例を示した図面である。
図6及び
図7を参照すると、複数の導電性ビア320のうち少なくとも2つの導電性ビア320は、中心間の間隔pが直径dより小さい重なり構造を成すことができる。このように重なり構造を成す場合、複数の導電性ビア320は互いに併合して一体構造を成すことができ、導電性ビア320のそれぞれの直径dは一方向(例えば
図6及び
図7のZ方向)から見た平面図から導電性ビア320の外周線を抽出して得ることができる。この場合、導電性ビア320が互いに重なり合った領域に対しては、重なっていない領域の外周線を外挿する方式によって導電性ビア320の外周線を全体的に得ることができる。
【0052】
少なくとも2つの導電性ビア320は、中心間の間隔pが直径dの半分よりも大きいか、または同一であることができる。
【0053】
少なくとも2つの導電性ビア320は、上記間隔pが30μm以上60μm未満であることができる。
【0054】
本発明者らは実施例と比較例に分けてコイル部品の性能をシミュレーションし、その結果は下記表1~表3に示した。コイル部品のサイズは2012サイズ、すなわち、第1方向の長さが2.0mmであり、第2方向の長さが1.2mmであり、第3方向の長さが0.8mmである。
【0055】
表1及び表2は、導電性ビアの直径dを60μmに維持したまま、導電性ビアの中心間の間隔pを変化させてコイル部品の特性を測定した結果を示す。コイル部品の特性は、インダクタンス特性Ls、直流抵抗特性R
dc、及び飽和電流特性I
satを測定した。表1の実施例は、
図4及び
図6に示された構造、すなわちコイル部品は3つの導電性ビアを含む。表2の実施例は、
図5の実施例は、
図5及び
図7に示される構造、すなわちコイル部品は2つの導電性ビアを含む。比較例は、導電性ビアの中心間の間隔pが0である場合、すなわち、コイル部品が一つの導電性ビアを含む場合である。また、導電性ビアの中心間の間隔pが導電性ビアの直径d(60μm)より小さい場合、複数の導電性ビアは重なり構造を成す。下記表のCylinderモデルは、Cylinder形状の導電性ビア自体の理論的抵抗値を示したものである。
【0056】
【0057】
【0058】
表1及び表2を参照すると、導電性ビアの中心が互いに離隔した場合、インダクタンスLsの低下に対して得られる直流抵抗Rdcの低減比率が高くて、さらに高い連結抵抗減少効果を得ることができる。換言すると、導電性ビアの中心が互いに離隔した場合、導電性ビアの断面積の増加分だけ理論的な連結抵抗減少効果を得ることができる。
【0059】
具体的には、ビアの中心間の距離(ピッチ)pは、ビアの直径dの2.25倍よりも小さいか、または同じである場合、インダクタンスLsの低下に対して得られる直流抵抗Rdcの低減比率が高くて、さらに高い連結抵抗減少効果を得ることができる。導電性ビアの直径dが60μmの場合、ピッチpが60μm以上135μm以下または60μm以上160μm未満であるとき、高い連結抵抗減少効果が得られる。
【0060】
表3は、導電性ビアの厚さを60μmに維持したまま、導電性ビアの直径d及び数を変化させてコイル部品の特性を測定した結果を示す。コイル部品が2以上の導電性ビアを有する場合、導電性ビアの中心間の間隔pは100μmに維持した。コイル部品の特性は直流抵抗特性Rdcを測定し、導電性ビアがCylinder形状であるときの理論的な値を併せて示した。
【0061】
【0062】
表3を参照すると、導電性ビアの個数の増加により、導電性ビアの直径(または、導電性ビアの断面積)増加と同等あるいはそれ以上の抵抗値の減少を得ることができる。すなわち、ビアの直径dを大きく設計しなくても直流抵抗Rdcを低減することができ、これによりseam void欠陥を防止することができる。
【0063】
図8及び
図9は、第1実施例に係るコイル部品のまた他の一変形例を示した図面である。複数の導電性ビア320を採用する場合、コア110のサイズが小さくなることがあり、これによってコイル部品1000の磁気的特性が低下する可能性がある。下記変形例において、パッド341、342の配置方式を最適化することで、このような磁気的特性の低下を最小化した。
【0064】
図8及び
図9を参照すると、第1パッド341の第2側面は、第1コイル311の他側面と共面を形成することができる。第1パッド341の第2側面が第1コイル311の他側面と共面を形成することで、コア110の大きさを十分に確保することができる。
【0065】
第1パッド341の第1側面は、第1コイル311の一側面から第1コイル311の隣接する外側ターンに向かって突出した形態である。第1パッド341に隣接する外側ターンは、第1パッド341の少なくとも一部を収容する凹部を有することができる。
【0066】
図9を参照すると、第1パッド341に隣接する第1コイル311の外側ターンは、凹部を有するにつれて、線幅が他のターンに比べて小さい区間を含むことができる。しかしながら、これに制限されるものではなく、第1パッド341に隣接する第1コイル311の外側ターンは、凹部を有しても線幅が他のターンと同一であることができる。
図8を参照すると、第1パッド341を基準に第1コイル311の外側ターンは、第1パッド341の形状を追従するように突出した形状を有することができる。
【0067】
第2パッド342に関しても同様の説明が適用されることができ、詳細な説明は重複するため、以下省略する。
【0068】
第1コイル311及び第2コイル312は少なくとも一つの導電層を含むことができる。具体的には、第1コイル311及び第2コイル312はめっき工程で形成されることができ、この場合、シード層と電解めっき層を含むことができる。ここで、電解めっき層は単層構造であることもでき、多層構造であることもできる。多層構造の電解めっき層は、ある一つの電解めっき層の表面に沿ってもう一つの電解めっき層が形成されたコンフォーマル(conformal)な膜構造で形成されることもでき、ある一つの電解めっき層の一面にのみ他の一つの電解めっき層が積層された形状に形成されることもできる。シード層310は、無電解めっき法またはスパッタリングなどの気相蒸着法などで形成されることができる。第コイル3111及び第2コイル312は、シード層と一体に形成され、相互間に境界が形成されないことができるが、これに制限されるものではない。また、第1コイル311及び第2コイル312において、各電解めっき層は一体に形成されて相互間に境界が形成されないことができるが、これに制限されるものではない。
【0069】
導電性ビア320は少なくとも一つ以上の導電層を含むことができる。例として、導電性ビア320を電解めっきで形成する場合、導電性ビア320は、支持部材200を貫通するビアホールの内壁に形成されたシード層と、シード層が形成されたビアホールを充填する電解めっき層を含むことができる。導電性ビア320のシード層は、コイル311、312のシード層と同一工程で一緒に形成されて、相互一体に形成されるか、コイル311、312のシード層と異なる工程で形成されて、両者間に境界が形成されている可能性がある。導電性ビア320の電解めっき層は、コイル311、312のめっき層と同一工程で一緒に形成されて、相互一体に形成されるか、コイル311、312のめっき層と異なる工程で形成されて、両者間に境界が形成されている可能性がある。
【0070】
第1コイル311及び第2コイル312及び導電性ビア320は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)またはこれらの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0071】
第1コイル311及び第2コイル312の表面には絶縁膜が形成されることができる。絶縁膜は、第1コイル311及び第2コイル312、そして支持部材200を一体に覆うことができる。具体的には、絶縁膜は、第1コイル311及び第2コイル312と本体100との間、及び支持部材200と本体100との間に配置されることができる。絶縁膜は、第1コイル311及び第2コイル312が形成された支持部材200の表面に沿って形成されることができるが、これに制限されるものではない。絶縁膜は、第1コイル311及び第2コイル312の各隣接ターン間等の領域を充填することができる。絶縁膜は、第1コイル311及び第2コイル312と本体100を電気的に分離するためのものであり、パラリン等の公知の絶縁物質を含むことができるが、これに制限されるものではない。他の例として、絶縁膜は、パラリンではなくエポキシ樹脂などの絶縁物質を含むこともできる。絶縁膜は気相蒸着法で形成されることができるが、これに制限されるものではない。他の例として、絶縁膜は、第1コイル311及び第2コイル312が形成された支持部材200の両面に絶縁膜形成のための絶縁フィルムを積層及び硬化することで形成されることもでき、第1コイル311及び第2コイル312が形成された支持部材200の両面に絶縁膜形成のための絶縁ペーストを塗布及び硬化することで形成されることもできる。一方、上述の理由から、絶縁膜は本実施例において省略可能な構成である。すなわち、コイル部品1000の設計された作動電流及び電圧において本体100が十分な電気的抵抗を有する場合、絶縁膜は本実施例において省略することができる。
【0072】
第1外部電極400及び第2外部電極500は、本体100に互いに離隔配置され、第1コイル311及び第2コイル312の他端とそれぞれ連結される。具体的には、第1外部電極400は、本体100の第1面101に配置され、本体100の第1面101に露出した第1引き出し部331と連結され、第2外部電極500は、本体100の第2面102に配置され、本体100の第2面102に露出した第2引き出し部332と連結されることができる。第1外部電極400は、本体100の第1面101に配置され、本体100の第3面~第6面103、104、105、106の少なくとも一部に延びることができる。第2外部電極500は、本体100の第2面102に配置され、本体100の第3面~第6面103、104、105、106の少なくとも一部に延びることができる。一方、本体100の第1面101及び第2面102にそれぞれ配置された第1外部電極400及び第2外部電極500がそれぞれ本体100の第6面106にのみ延長した構造を有することができる。
【0073】
外部電極400、500は、スパッタリング等の気相蒸着法及び/又はめっき法で形成されることができるが、これに制限されるものではない。外部電極400、500は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、またはこれらの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これに限定されるものではない。外部電極400、500は、単層または複数層の構造で形成されることができる。例として、外部電極400、500は、銅(Cu)を含む第1導電層、第1導電層に配置され、ニッケル(Ni)を含む第2導電層、第2導電層に配置され、スズ(Sn)を含む第3導電層を含むことができる。第2導電層及び第3導電層の少なくとも一つは、第1導電層を覆う形態で形成されることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。第1導電層はめっき層であるか、銅(Cu)及び銀(Ag)の少なくとも一つを含む導電性粉末と樹脂を含む導電性樹脂を塗布及び硬化して形成された導電性樹脂層であることができる。第2及び第3導電層はめっき層であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0074】
本実施例に係るコイル部品1000は、本体100の第3面~第6面103、104、105、106に配置される外部絶縁層をさらに含むことができる。外部絶縁層は、外部電極400、500が配置された領域以外の領域で配置されることができる。本体100の第3面~第6面103、104、105、106のそれぞれに配置された外部絶縁層の少なくとも一部は、互いに同一工程で形成されて、両者間に境界が形成されていない一体の形態で形成されることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。外部絶縁層は、印刷法、気相蒸着、スプレー塗布法、フィルム積層法などの方法で外部絶縁層形成用絶縁物質を形成することで形成されることができるが、これに制限されるものではない。外部絶縁層は、ポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ゴム系、アクリル系等の熱可塑性樹脂、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキド系等の熱硬化性樹脂、感光性樹脂、パラリン、SiOxまたはSiNxを含むことができる。外部絶縁層は、無機フィラーなどの絶縁フィラーをさらに含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0075】
(第2実施例)
図10は、本発明の第2実施例に係るコイル部品を概略的に示した透過斜視図である。
図11は、
図10の一部構成要素を示した分解図であり、構成要素間の連結関係を示した組立図である。
図12は、
図10のコイル部品を上面から見た平面図である。
図13及び
図14は、第2実施例の変形例としてコイル部品を上面から見た平面図である。
【0076】
第2実施例に係るコイル部品2000の場合、第2実施例に係るコイル部品2000の場合、第1パッド341及び第2パッド342はコイル311、312の曲線部に位置する。したがって、複数の導電性ビア320は曲線に沿って配列されることができる。
【0077】
すなわち、上述したように、コイル311、312は本体100の第2方向(Y方向)に沿って曲線部を有することができるため、パッド341、342は第1面101(第1側面)または第2面102(第2側面)のいずれかに偏るように配置されることができる。具体的には、第1パッド341は、第1面101(第1側面)よりも第2面102(第2側面)にさらに近く配置されることができ、第2パッド342は第2面102(第2側面)よりも第1面101(第1側面)にさらに近く配置されることができる。
【0078】
図13~
図14を参照すると、第1パッド341の第1側面は、第1コイル311の側面から第1コイル311の隣接する外側ターンに向かって突出した形態であることができる。また、第1コイル311において第1パッド341に隣接する外側ターンは、第1パッド341の少なくとも一部を収容する凹部を有することができる。
【0079】
本実施例の残りの構成は、本発明の第1実施例における説明がそのまま適用されることができ、詳細な説明は重複するため、以下省略する。
【0080】
(第3実施例)
図15は、本発明の第3実施例によるコイル部品を概略的に示した透過斜視図である。
図16は、
図15の一部構成要素を示した分解図であり、構成要素間の連結関係を示した組立図である。
図17は、
図16のコイル部品を上面から見た平面図である。
図18は、第3実施例の変形例としてコイル部品を上面から見た平面図である。
【0081】
第3実施例に係るコイル部品3000の場合、第1パッド341及び第2パッド342はコイル311、312の直線部に位置するが、パッド341、342の配置及び導電性ビア320の配列が第1実施例の場合と異なる。以下、第1実施例との差異点を中心に説明する。
【0082】
図17~
図18を参照すると、第1パッド341及び第2パッド342がコイル311、312が巻き取られる方向から所定の角度θをなすように形成されることができる。上記所定の角度θは、0度超過180度未満の角度を有することができる。
【0083】
複数の導電性ビア320は、第1コイル311の延長方向と平行しない方向に配列される。具体的には、複数の導電性ビア320は、第1コイル311の延長方向に対して傾斜した方向に配列されることができる。複数の導電性ビア320が配列される方向及び第1コイル311の延長方向がなす角度も上記所定の角度θと同一であることができる。したがって、複数の導電性ビア320が配列される方向及び第1コイル311の延長方向がなす角度は、0度超過180度未満の角度を有することができる。
【0084】
図18を参照すると、複数の導電性ビア320は、第1コイル311の延長方向に垂直な方向に配置される。このような場合、コア110の中心の磁性物質の充填率を最大化することができるため、コイル部品の磁気的特性値に有利である。
【0085】
表4は、導電性ビアの直径dを60μmに維持したまま、導電性ビアの配置方向に応じたコイル部品の特性を測定した結果を示したものである。コイル部品の特性は、インダクタンス特性Ls、直流抵抗特性R
dc及びDC bias[A]を測定した。実施例1は
図4のように2つの導電性ビア320が第1コイル311の延長方向に配列される場合を、実施例2は
図18のように3つの導電性ビア320が第1コイル311の延長方向に垂直な方向に配列された場合を示す。比較例は単一の導電性ビアを含む場合である。
【0086】
【0087】
本実施例の残りの構成は、本発明の第1実施例における説明がそのまま適用されることができ、詳細な説明は重複するため、以下省略する。
【0088】
本発明は、上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって限定しようとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0089】
1000、2000、3000 コイル部品
100 本体
110 コア
200 支持部材
311 第1コイル
312 第2コイル
320 複数の導電性ビア
331、332 引き出し部
341 第1パッド
342 第2パッド
400、500 外部電極