(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076365
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】車両給電制御システム及びその方法、装置及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20240529BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20240529BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H02J1/00 308K
H02J1/00 310A
B60L1/00 L
B60R16/02 645D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196221
(22)【出願日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】202211485462.8
(32)【優先日】2022-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521254764
【氏名又は名称】北京図森智途科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】何小康
(72)【発明者】
【氏名】計平元
【テーマコード(参考)】
5G165
5H125
【Fターム(参考)】
5G165EA02
5G165EA04
5G165FA01
5G165GA09
5G165HA01
5G165HA07
5G165HA17
5G165JA07
5G165KA05
5G165LA01
5G165LA02
5G165NA10
5G165PA01
5G165PA05
5H125AA01
5H125AC11
5H125BC25
5H125CC01
5H125CC07
5H125EE48
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電源分配ユニットを採用して車両の給電制御を一括管理し、車両給電ハーネス及び給電回路の複雑さを簡素化し、ハーネスが多すぎることによるセキュリティリスクを回避し、車両自動運転中の給電安全性を向上させる車両給電制御システム及びその方法、装置及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】車両給電制御システムは、電子制御ユニット及び電気負荷を含む車載電気機器と、給電電源に接続するための入力ピンと、車載電気機器に接続するための出力ピンと、を含み、車両給電制御コマンドを受信すると、車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行するために用いられる電源分配ユニットと、を含む。電源分配ユニットによって、車両における各車載電気機器の給電制御を一括管理することで、電子制御ユニットと各電気負荷との間にヒューズとリレーの組み合わせを採用して車両給電を実現する必要をなくす。
【選択図】
図2a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両給電制御システムであって、
電子制御ユニットを含む車載電気機器と、
給電電源に接続するための入力ピンと、前記車載電気機器に接続するための出力ピンと、を含み、車両給電制御コマンドを受信すると、前記車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行するために用いられる電源分配ユニットと、を含み、
ここで、前記車両給電制御コマンドは、電源切断コマンドを含み、前記電子制御ユニットは、前記電源切断コマンドをチェックし、且つチェックに合格した後に前記電源切断コマンドを前記電源分配ユニットに送信するように構成される、
車両給電制御システム。
【請求項2】
前記電源切断コマンドは、第1車両電源切断コマンドを含み、前記システムは、
それぞれ前記電源分配ユニット及び前記電子制御ユニットに通信可能に接続され、遠隔電源切断確認コマンドを受信すると、第1車両電源切断コマンドを生成し、且つ前記電子制御ユニットに送信するために用いられる車載スマート端末をさらに含み、
前記電子制御ユニットは、前記第1車両電源切断コマンドをチェックし、且つチェックに合格した後に前記第1車両電源切断コマンドを前記電源分配ユニットに転送するために用いられる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電源切断コマンドは、第2車両電源切断コマンドを含み、前記システムは、
それぞれ前記電源分配ユニット、前記電子制御ユニットに通信可能に接続され、イグニッションオフ操作を検出した後、第2車両電源切断コマンドを前記電源分配ユニット及び前記電子制御ユニットの少なくとも一方に送信するために用いられるスイッチをさらに含み、
前記電子制御ユニットは、前記スイッチのイグニッションオフ状態及び自動運転モードの退出状態に基づいて前記第2車両電源切断コマンドをチェックし、且つチェックに合格した後に第2車両電源切断コマンドを前記電源分配ユニットに転送するためにさらに用いられる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記車両給電制御コマンドは、第1車両電源投入コマンドと、第2車両電源投入コマンドと、を含む電源投入コマンドをさらに含み、前記システムは、
遠隔電源投入要求を受信すると、第1車両電源投入コマンドを生成し、且つ前記電源分配ユニットに送信するために用いられる車載スマート端末と、
起動コマンドを検出した後、第2車両電源投入コマンドを生成し、且つ前記電源分配ユニットに送信するために用いられるスイッチと、をさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記車両給電制御コマンドは、電源投入コマンドをさらに含み、前記電源分配ユニットは、
前記電源投入コマンドに応答して、各前記車載電気機器の性能パラメータに基づいて、第1順序で前記車載電気機器に対して関連する電源投入操作を実行すること、及び
前記電源切断コマンドに応答して、スイッチがイグニッションオフ状態にあるとき、各前記車載電気機器の性能パラメータに基づいて、第1順序の逆順である第2順序で前記車載電気機器に対して関連する電源切断操作を実行することにさらに用いられ、
ここで、前記性能パラメータは、電力の大きさ及び起動時間の少なくとも1つを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記車載電気機器は、第1タイプの負荷と、第2タイプの負荷と、を含み、前記車両給電制御コマンドは、前記第1タイプの負荷に関連する第1タイプの給電制御コマンドと、前記第2タイプの負荷に関連する第2タイプの給電制御コマンドと、を含み、前記第1タイプの給電制御コマンド及び前記第2タイプの給電制御コマンドのいずれかの給電制御コマンドは、電源投入コマンドと、電源切断コマンドと、を含み、
前記電子制御ユニットは、それぞれ前記第1タイプの負荷及び前記電源分配ユニットに通信可能に接続され、前記第1タイプの負荷の車両感知パラメータに基づいて、第2タイプの負荷の第2タイプの給電制御コマンドを生成し、且つ前記電源分配ユニットに送信するために用いられ、
前記電源分配ユニットは、前記第1タイプの給電制御コマンドを受信すると、前記電子制御ユニット及び前記第1タイプの負荷に対して関連する給電制御操作を実行し、及び第2タイプの負荷の第2タイプの給電制御コマンドを受信すると、前記第2タイプの負荷に対して関連する給電制御操作を実行するために用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1タイプの負荷は、車載センサを含み、前記第2タイプの負荷は、前記車載センサのクリーニング装置、マイクロフォン、スピーカ、ライトの少なくとも1つを含み、前記クリーニング装置は、スプレーヘッド、ワイパーの少なくとも1つを含み、
前記電子制御ユニットは、主コントローラと、冗長コントローラと、を含み、前記第1タイプの負荷は、主第1タイプの負荷と、冗長第1タイプの負荷と、を含み、前記主コントローラは、前記主第1タイプの負荷に通信可能に接続され、前記冗長コントローラは、前記冗長第1タイプの負荷に通信可能に接続される、
ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
車両給電制御方法であって、
電源分配ユニットが車両給電制御コマンドを受信するステップであって、前記電源分配ユニットが入力ピンを介して給電電源に接続し、出力ピンを介して車載電気機器に接続し、前記車載電気機器が電子制御ユニットを含むステップと、
前記電源分配ユニットが前記車両給電制御コマンドを受信したことに応答して、車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行するステップと、を含む、
車両給電制御方法。
【請求項9】
前記車載電気機器は、第1タイプの負荷及び第2タイプの負荷の少なくとも1つを含み、前記車両給電制御コマンドは、前記第1タイプの負荷に関連する第1タイプの給電制御コマンドと、前記第2タイプの負荷に関連する第2タイプの給電制御コマンドと、を含み、前記車両給電制御コマンドを受信したことに応答して、車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行する前記ステップは、
前記第1タイプの給電制御コマンドに応答して、車載電気機器における電子制御ユニット及び第1タイプの負荷に対して関連する給電制御操作を実行するステップと、
前記第2タイプの給電制御コマンドに応答して、前記第2タイプの負荷に対して関連する給電制御操作を実行するステップと、を含み、
ここで、前記第1タイプの給電制御コマンドは、第1タイプの負荷電源切断コマンドを含み、前記第1タイプの負荷電源切断コマンドは、前記電子制御ユニットが前記第1タイプの負荷の車両感知パラメータを監視することによって生成される、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
車両給電制御コマンドを受信する前記ステップは、
車載スマート端末から送信された第1車両電源投入コマンドを受信するステップであって、前記第1車両電源投入コマンドは前記車載スマート端末によって遠隔電源投入要求に応答して生成されるステップ、又は、
スイッチから送信された第2車両電源投入コマンドを受信するステップであって、前記第2車両電源投入コマンドはスイッチによってイグニッション操作に応答して生成されるステップを含み、
相応して、前記車両給電制御コマンドに応答して、車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行する前記ステップは、
前記第1車両電源投入コマンド又は前記第2車両電源投入コマンドに応答して、各前記車載電気機器の性能パラメータに基づいて、第1順序で前記車載電気機器に対して関連する電源投入操作を実行するステップであって、前記性能パラメータは、電力の大きさ及び起動時間の少なくとも1つを含むステップを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
車両給電制御コマンドを受信する前記ステップは、
電子制御ユニットから発行された第1車両電源切断コマンド又は第2車両電源切断コマンドを受信するステップをさらに含み、
ここで、前記第1車両電源切断コマンドは、車載スマート端末によって遠隔電源切断確認コマンドに応答して生成され、前記第2車両電源切断コマンドは、前記電子制御ユニットによってスイッチのイグニッションオフ状態及び自動運転モードの退出状態に基づいてチェックされる、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記電子制御ユニットが自動運転モードの緊急退出コマンドを検出すると、車載スマート端末に車両電源切断要求を送信し、前記車載スマート端末によって前記車両電源切断要求を遠隔制御側に転送するステップと、
前記車載スマート端末が前記遠隔制御側から前記車両電源切断要求に対してフィードバックした遠隔電源切断確認コマンドを受信すると、前記第1車両電源切断コマンドを生成し、且つ前記電子制御ユニットに送信するステップと、
前記電子制御ユニットが前記自動運転モードの退出状態に基づいて、前記第1車両電源切断コマンドをチェックし、且つチェックに合格した後に前記第1車両電源切断コマンドを電源分配ユニットに転送するステップと、
前記電子制御ユニットが自動運転モードの手動退出コマンド、又はスイッチのイグニッションオフ操作を検出すると、前記第2車両電源切断コマンドを取得するステップと、
前記電子制御ユニットが前記自動運転モードの退出状態及び前記スイッチのイグニッションオフ状態に基づいて、前記第2車両電源切断コマンドをチェックし、且つチェックに合格した後に前記第2車両電源切断コマンドを電源分配ユニットに送信するステップと、をさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記車両給電制御コマンドに応答して、車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行する前記ステップは、
前記第1車両電源切断コマンド又は前記第2車両電源切断コマンドに応答して、スイッチがイグニッションオフ状態にある場合、各前記車載電気機器の性能パラメータに基づいて、第2順序で前記車載電気機器に対して関連する電源切断操作を実行するステップと、
前記電子制御ユニット及び前記車載スマート端末への関連する給電監視メッセージの送信を停止し、且つ予想期間内にスリープモードに入るステップと、
前記車載スマート端末がいずれかの給電監視メッセージも取得しなくなり、且つ前記スイッチがイグニッションオフ状態にある場合、前記車載スマート端末をスリープモードに入るように制御するステップと、を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
コンピューティングデバイスであって、
プロセッサと、メモリと、を含み、前記メモリは、コンピュータプログラムを記憶するために用いられ、前記プロセッサは、請求項8~13のいずれか一項に記載の車両給電制御方法を実行するために、前記メモリに記憶されたコンピュータプログラムを呼び出して実行するために用いられる、
ことを特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項15】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、コンピュータプログラムを記憶するために用いられ、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに請求項8~13のいずれか一項に記載の車両給電制御方法を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、車両制御技術分野に関し、具体的には、車両給電制御システム及びその方法、装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両無人運転分野では、車両自動運転中の安全性を保証するために、車両上の各種電気機器に対して、通常、車両上のコントローラや各種電気機器が対応する配電ボックスにアクセスし、各電気機器を給電する。
【0003】
現在の車両給電回路はより複雑であり、車両自動運転中の給電安全性を保証するために、新たな車両給電方式を設計することが急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施例は、車両給電制御システム及びその方法、装置及び記憶媒体を提供し、電源分配ユニットを採用して車両の給電制御を一括管理し、車両給電ハーネス及び給電回路の複雑さを簡素化し、車両自動運転中の給電安全性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、車両給電制御システムを提供し、該システムは、
電子制御ユニット及び電気負荷を含む車載電気機器と、
給電電源に接続するための入力ピンと、前記車載電気機器に接続するための出力ピンと、を含み、給電制御コマンドを受信すると、前記車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行するために用いられる電源分配ユニットと、を含み、
ここで、前記車両給電制御コマンドは、電源切断コマンドを含み、前記電子制御ユニットは、前記電源切断コマンドをチェックし、且つチェックに合格した後に電源切断コマンドを前記電源分配ユニットに送信するように構成される。
【0006】
本開示の別の態様によれば、車両給電制御方法を提供し、本開示の1つ又は複数の実施例にて提供される車両給電制御システムに適用されることができ、該方法は、
電源投入コマンドと、電源切断コマンドと、を含む給電制御コマンドを受信するステップと、
前記給電制御コマンドに応答して、車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行するステップと、を含む。
【0007】
本開示の別の態様によれば、車両給電制御装置を提供し、本開示の1つ又は複数の実施例にて提供される車両給電制御システムに配置されることができ、該装置は、
電源投入コマンドと、電源切断コマンドと、を含む給電制御コマンドを受信するために用いられる給電コマンド受信モジュールと、
前記給電制御コマンドに応答して、車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行するために用いられる給電制御モジュールと、を含む。
【0008】
本開示の別の態様によれば、コンピューティングデバイスを提供し、該コンピューティングデバイスは、
プロセッサと、メモリと、を含み、前記メモリは、コンピュータプログラムを記憶するために用いられ、前記プロセッサは、本開示の1つ又は複数の実施例にて提供される車両給電制御方法を実行するために、前記メモリに記憶されたコンピュータプログラムを呼び出して実行するために用いられる。
【0009】
本開示の別の態様によれば、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、コンピュータプログラムを記憶するために用いられ、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに本開示の1つ又は複数の実施例にて提供される車両給電制御方法を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の実施例にて提供される技術案は、電源分配ユニットの入力ピンを介して給電電源に接続し、電源分配ユニットの出力ピンを介して車載電気機器に接続し、該車載電気機器は、電子制御ユニットと、電気負荷と、を含んでもよい。電源分配ユニットによって給電制御コマンドを受信すると、接続されている車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行することにより、電源分配ユニットによって車両上の各車載電気機器の給電制御を一括管理し、電子制御ユニットと各電気負荷との間にヒューズとリレーの組み合わせを採用して車両給電を実現する必要がなく、それによって車両給電ハーネス及び給電回路の複雑さを簡素化し、ハーネスが多すぎることによるセキュリティリスクを回避し、車両自動運転中の給電安全性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介するが、以下の説明における図面は、本開示の実施例の一部にすぎず、当業者にとって、創造的な労働を伴わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかである。
【
図1】本開示に示される車両給電中の配電ボックスの原理概略図である。
【
図2a】本開示の実施例に示される車両給電制御システムの原理概略図である。
【
図2b】本開示の実施例に示される電源分配ユニットの構造概略図である。
【
図3】本開示の実施例に示される別の車両給電制御システムの原理概略図である。
【
図4】本開示の実施例に示される車両給電制御方法のフローチャートである。
【
図5】本開示の実施例に示される車両給電中の車両電源投入過程の方法フローチャートである。
【
図6】本開示の実施例に示される車両給電中の車両電源切断過程の方法フローチャートである。
【
図7】本開示の実施例に示される車両給電制御装置の原理ブロック図である。
【
図8】本開示の実施例にて提供されるコンピューティングデバイスの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施例における技術案を、本開示の実施例における図面を参照して、明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明される実施例は、本開示の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではない。本開示における実施例に基づいて、創造的な労働を伴わずに当業者によって得られる他の全ての実施例は、本開示の保護範囲に属する。
【0013】
なお、本開示の明細書、特許請求の範囲、及び上記図面における「第1」、「第2」などの用語は、類似の対象を区別するために用いられ、必ずしも特定の順序又は前後順序を説明するために用いられない。このように用いられるデータは、本明細書に記載される本開示の実施例が、本明細書に図示又は記載されるもの以外の順序で実施できるように、適宜交換され得ることが理解されるべきである。さらに、「含む」及び「有する」という用語並びにそれらの任意の変形は、非排他的包含をカバーすることを意図しており、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品又はサーバが、必ずしも明確に列挙されたそれらのステップ又はユニットに限定されるわけではなく、明確に列挙されていないか、又はこれらのプロセス、方法、製品又は装置に固有の他のステップ又はユニットを含み得る。
【0014】
図1に示すように、本開示は、配電ボックスを介して車両給電を実現する方式を提供する。配電ボックスでは、ヒューズとリレーの組み合わせの方式を採用して、蓄電池にアクセスし、且つ電子制御ユニットと各電気機器との間に接続し、車両上の各種電気機器の正常な給電を実現することができる。しかし、配電ボックスは、複数のハイサイド出力ピンをサポートするために電子制御ユニットが各電気機器に向けるように要求し、そのため、電子制御ユニットと配電ボックスとの間に電気機器の数と同じ数の給電ハーネスが用いられることになり、その結果、給電ハーネスの数が多くなりすぎ、車両の給電ハーネス及び給電回路の複雑さが大幅に増加し、車両自動運転中の給電安全性を保証できない。
【0015】
したがって、車両自動運転中の給電安全性を確保するために、本開示の実施例は、新たな車両給電制御システムをさらに提供し、上記車両給電方式を最適化し、車両給電安全性を確保する上で、車両の給電ハーネス及び給電回路の複雑さを簡素化することもできる。
【0016】
図2aは、本開示の実施例に示される車両給電制御システムの原理概略図である。
図2aに示すように、車両給電制御システムは、車載電気機器210と、電源分配ユニット220と、給電電源230と、を含んでもよい。
【0017】
ここで、車載電気機器210は、電子制御ユニット211と、電気負荷212と、を含んでもよい。電源分配ユニット220は、入力ピンと、出力ピンと、を含んでもよく、且つ入力ピン及び出力ピンは、電源分配ユニット220の電気ピンである。
【0018】
具体的には、電源分配ユニット220における入力ピンは、給電電源230に接続するために用いられ、出力ピンは、車載電気機器210に接続するために用いられる。電源分配ユニット220は、車両給電制御コマンドを受信すると、各車載電気機器210に対して関連する給電制御操作を実行することができる。
【0019】
また、本開示における車両給電制御コマンドは、電源切断コマンドを含んでもよいが、これに限定されない。このとき、車両給電の正確性を確保するために、本開示における電子制御ユニット211は、該電源切断コマンドをチェックし、且つチェックに合格した電源切断コマンドを電源分配ユニット220に送信するように構成されてもよい。つまり、電子制御ユニット211が車両給電制御コマンドにおける電源切断コマンドをチェックすることによって、車両電源切断の正確性を確保し、車両走行途中での緊急停止による走行事故の問題が回避される。
【0020】
車両自動運転中の給電安全性を保証するために、通常、電子制御ユニット211によって各車載電気機器210の具体的な給電状況を監視し、それによっていずれかの車載電気機器210が給電を完了したか、又は給電故障が発生した場合、新たな給電制御コマンドをタイムリーに生成し、該車載電気機器210の給電状況を調整することができる。
【0021】
したがって、本開示における電源分配ユニット220は、入力ピン及び出力ピンで給電ラインを採用して給電電源230及び車載電気機器210に接続され、対応する車両給電機能を実現する他、対応する通信ラインを採用して、電源分配ユニット220と電子制御ユニット211との間で関連する給電情報及び給電制御コマンドの通信を正確に実行できることを確保するように電子制御ユニット211に再び接続する。また、電子制御ユニット211と車載電気機器210における関連する電気負荷212との間にも対応する通信ラインを採用して接続することもでき、それによって電子制御ユニット211が関連する電気負荷212の具体的な給電状況を監視する。
【0022】
例示的には、本開示において関連する電子デバイスの間で用いられる通信ラインは、コントローラエリアネットワーク(Controller Area Network、CANと略称)バスであってもよい。
【0023】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、通常、車両給電源として、又は自動運転関連装置などの1つ又は複数の特定の装置の給電源として車両内に対応する給電電源230を配置する。そして、電源分配ユニット220は、車両給電制御コマンドを受信すると、給電電源230内の電気エネルギーを、それぞれ車載電気機器210における電子制御ユニット211及び各電気負荷212に出力するか、又は電子制御ユニット211及び電気負荷212の電源を遮断することができる。
【0024】
さらに、電源分配ユニット220は、電子制御ユニット211により監視された各電気負荷の具体的な給電状況に基づいて、給電中に各車載電気機器210の給電に対して関連する給電調整操作を行うことができる。
【0025】
ここで、本開示における給電電源230は、発電機、蓄電池及び直流変圧器を含んでもよいが、これらに限定されない。さらに、蓄電池の動作原理は、充電時に外部の電気エネルギーにより内部活物質を再生し、電気エネルギーを化学エネルギーとして蓄え、放電時に再び化学エネルギーを電気エネルギーに変換して出力することにより、他の電気機器を給電する必要があることである。つまり、蓄電池は、車載電気機器210を給電することに加えて、自身を充電し、蓄電池の容量を十分に保証する必要がある。したがって、本開示における蓄電池は、給電電源230として、電源分配ユニット220の入力ピンに接続されることに加えて、別の車載電気機器210として、電源分配ユニット220の出力ピンに接続される。
【0026】
車両給電ハーネスの複雑さを簡素化するために、本開示において電源分配ユニット220内の各電気ピンは、双方向ピンであってもよく、入力ピン及び出力ピンの機能を共有することを理解されたい。そして、電源分配ユニット220は、入力ピン及び出力ピンを介していずれも同一の車載電気機器210に接続される場合、1本の給電ラインを採用して電源分配ユニット220及び該車載電気機器210を接続すれば、入力ピン及び出力ピンに向けた双方向給電接続を実現することができる。
【0027】
さらに、本開示における車両給電は、主に自動運転車両の給電制御を対象とするものであると考えられる。したがって、本開示における電子制御ユニット211は、自動運転車両内に配置された自動運転ドメインコントローラ(Automated Driving Controller、ADCと略称)であってもよい。
【0028】
次に、電源分配ユニット220の具体的な構造について述べる。
【0029】
図2bに示すように、電源分配ユニット220は、プロセッサ、定電圧フィルタ回路及び各出力チャンネル上のスイッチ及び駆動回路を含んでもよい。
【0030】
ここで、電源分配ユニット220内のプロセッサにCAN通信ピン及びイグニッションスイッチ(Ignition Switch、IGNと略称)信号ピンが開設され、CAN通信ピンを介して電源分配ユニット220と通信要求がある電子制御ユニットなどの関連装置に接続し、IGN信号ピンを介して車両内のIGNスイッチに接続することにより、該プロセッサは、車両自動運転中の対応する車両給電制御コマンドを受信することができる。
【0031】
さらに、電源分配ユニット220内の定電圧フィルタ回路に対応する入力ピン及び出力チャンネルが設けられることにより、入力ピンを介して対応する給電電源230に接続する。各出力チャンネルに対応する制御スイッチが設けられ、且つ該制御スイッチを介して対応する出力ピンが外部に開設されることにより、各出力ピンを介して各車載電気機器210に接続される。そして、各出力チャンネル上の制御スイッチは、いずれも1つの駆動回路を介して電源分配ユニット220内のプロセッサに接続される。
【0032】
ここで、各出力チャンネル上の制御スイッチは、e-fuse電気ヒューズスイッチであってもよいし、他のスイッチであってもよく、本開示はこれについて限定しない。
【0033】
このとき、定電圧フィルタ回路は、給電電源230から入力された電気エネルギーに対して対応する定電圧処理を行い、処理後の定電圧電気エネルギーを各出力チャンネルに伝送することができる。各出力チャンネル上の定電圧電気エネルギーは、該出力チャンネル上の制御スイッチの開閉に応じて接続された車両電気機器210に対して対応する給電を行う。
【0034】
以上から分かるように、電源分配ユニット220の動作フローは、以下のとおりである。
電源分配ユニット220内のプロセッサは、CAN通信ピン又はIGN信号ピンを介していずれかの車両給電制御コマンドを受信した後、まず該車両給電制御コマンドを解析し、該車両給電制御コマンドが指示する今回給電対象の目標装置を決定し、該目標装置は、出力ピンを介して接続された車両電気機器210のいずれかであってもよい。
そして、プロセッサは、各目標装置が接続されている出力ピンが位置する目標出力チャンネルを決定し、且つ該目標出力チャンネルに対応する駆動回路を制御して該目標出力チャンネル上の制御スイッチを閉じるように駆動することで、定電圧フィルタ回路は、該目標出力チャンネル上に出力された定電圧電気エネルギーを利用して、閉じた制御スイッチを介して、該目標装置に対して対応する給電操作を行うことができる。
【0035】
本開示における選択的な実現案として、自動運転車両上の各電気負荷212の機能に応じて、電気負荷212を第1タイプの負荷及び第2タイプの負荷の2種類に分けてもよい。
【0036】
ここで、第1タイプの負荷は、車両が正常に自動運転できる各負荷をサポートするために、車両の起動後、同時に動作状態に入る必要がある。本開示における第1タイプの負荷は、車載センサを含んでもよいが、これに限定されず、該車載センサは、カメラ、レーザレーダー、ミリメートル波レーダー、超音波レーダー、慣性測定ユニット(Inertial Measurement Unit、IMUと略称)、複合ナビゲーションシステム内の様々なナビゲーション装置など車両が正常に自動運転できることをサポートする関連するセンサであってもよい。
【0037】
第2タイプの負荷は、車両と同期して動作状態に入る必要がないが、車両自動運転中に遭遇する異なる運転シーンに基づいて途中で動作状態に入るように制御される他の負荷であってもよい。本開示における第2タイプの負荷は、第1タイプの負荷における車載センサのクリーニング装置、及び水冷装置、マイクロフォン、スピーカ、ライトの少なくとも1つを含んでもよく、且つ車載センサのクリーニング装置は、スプレーヘッド、ワイパーの少なくとも1つを含んでもよい。ある負荷に電源が投入されると、該負荷が動作状態のために起動されると考えられる。
【0038】
以上から分かるように、第1タイプの負荷及び第2タイプの負荷は、車両自動運転中に動作状態に入るタイミングが異なり、つまり第1タイプの負荷及び第2タイプの負荷の給電タイミングが異なる。さらに、電子制御ユニット211が第1タイプの負荷を監視することによって、自動運転車両が現在位置している運転シーンを分析することができる。そして、これに基づいて現在の運転シーンにおいて、第2タイプの負荷を給電することにより、動作状態に入るようにし、さらに自動運転車両の安全走行を支援する必要があるか否かを判断する。例えば、電子制御ユニット211又は電源分配ユニット220は、第1タイプの負荷の温度、電流又は電圧を監視し、温度が高すぎる場合、電源分配ユニット220は、水冷装置を給電して水冷装置を起動し、作動状態にし、且つ第1タイプの負荷に水冷サイクルを提供して温度を低下させる。ここで、電源分配ユニット220は、水冷装置を給電するように自律的に制御してもよいし、電子制御ユニット211の通知コマンドを受信して水冷装置を給電してもよい。
【0039】
そして、給電対象が異なる場合、本願における車両給電制御コマンドは、第1タイプの給電制御コマンドと、第2タイプの給電制御コマンドと、を含んでもよく、且つ第1タイプの給電制御コマンド及び第2タイプの給電制御コマンドのいずれかの給電制御コマンドは、いずれも電源投入コマンド及び電源切断コマンドの2種類を含んでもよい。ここで、第1タイプの給電制御コマンドは、電子制御ユニット及び第1タイプの負荷に対して関連する給電操作を行う制御コマンドであってもよく、第2タイプの給電制御コマンドは、第2タイプの負荷に対して関連する給電操作を行う制御コマンドであってもよい。
【0040】
したがって、本開示において電源分配ユニット220及び電子制御ユニット211を電気ピンによって電気的に接続することに加えて、電子制御ユニット211をそれぞれ第1タイプの負荷及び電源分配ユニット220に通信可能に接続することもできる。
【0041】
さらに、電源分配ユニット220は、車両給電制御コマンドにおける第1タイプの給電制御コマンドを受信した後、まず電子制御ユニット211及び第1タイプの負荷に対して関連する給電制御操作を実行し、電子制御ユニット211及び第1タイプの負荷を同時に給電することにより、電子制御ユニット211及び第1タイプの負荷が同期して動作状態に入り、自動運転車両の正常走行を保証する。
【0042】
そして、車両自動運転中に、動作状態にある第1タイプの負荷は、車両自動運転シーンをリアルタイムで検出し、それによって対応する車両感知パラメータを得る。該車両感知パラメータは、車載センサによって収集されたセンサデータ、及び該センサデータに基づいて検出された各種検出結果を含んでもよいが、これらに限定されず、センサデータは、例えばカメラによって車両自動運転シーンにおいてリアルタイムで撮像された環境画像、レーザレーダーによって検出された点群データ、ミリメートル波レーダー、超音波レーダーなどによって検出されたレーダーデータ、IMUユニットによって検出された慣性航法データなどである。測定情報は、位置決め情報、感知情報などを含むが、これらに限定されない。
【0043】
そして、電子制御ユニット211は、第1タイプの負荷の車両感知パラメータに基づいて、第2タイプの負荷の第2タイプの給電制御コマンドを生成し、且つ電源分配ユニット220に送信し、第2タイプの負荷に対して関連する給電制御操作を実行する。例えば、電子制御ユニット211は、あるカメラの車両感知パラメータに基づいて、該カメラの汚れの程度を決定し、且つ該カメラのクリーニングが必要であると判断すると、該カメラのクリーニング装置に対する第2タイプの給電制御コマンドを生成し、且つ電源分配ユニットに送信し、該カメラのクリーニング装置を給電し、該クリーニング装置に該カメラをクリーニングさせる。また例えば、電子制御ユニット211は、第1タイプの負荷の車両感知パラメータに基づいて、現在の環境の明るさを決定し、且つある車両の照明灯又は方向転換灯をオンする必要があると判断すると、対応するランプに対する第2タイプの給電制御コマンドを生成し、且つ電源分配ユニットに送信し、該ランプを給電して照明効果を提供する。つまり、電子制御ユニット211によって第1タイプの負荷から対応する車両感知パラメータを連続的に収集し、収集された車両感知パラメータに対して対応する処理を行い、自動運転車両が現在位置している運転シーンを判断する。さらに、現在の運転シーンにおいて、第2タイプの負荷への給電の要否をさらに判断し、自動運転車両の安全走行を支援する。現在の運転シーンにおいて、自動運転車両の安全走行を確保するために、ある第2タイプの負荷による動作が必要である場合、該第2タイプの負荷に対して特定の第2タイプの給電制御コマンドを生成し、且つ電源分配ユニット220に送信し、電源分配ユニット220によって該第2タイプの負荷に対して専門の給電制御操作を実行し、第1タイプの負荷に追従してリアルタイムで動作状態にある必要がなく、車両自動運転の電気エネルギー消費を大幅に減少させる。
【0044】
いくつかの実施例において、電源分配ユニット220は、いずれかの第2タイプの負荷の第2タイプの給電制御コマンドを受信した場合にのみ、該第2タイプの負荷に対して関連する給電制御操作を実行し、第2タイプの負荷を動作状態にし、自動運転車両の安全走行を支援する。
【0045】
また、電子制御ユニット211及び第1タイプの負荷は、車両給電中に、給電故障が発生して車両安全走行に影響を与えるおそれがある。したがって、車両給電の安全信頼性を向上させるために、本開示において電子制御ユニット211は、主コントローラと冗長コントローラの2種類を含んでもよく、第1タイプの負荷は、主第1タイプの負荷と冗長第1タイプの負荷の2種類を含んでもよいと設定されている。
【0046】
ここで、主コントローラは、主第1タイプの負荷に通信可能に接続され、冗長コントローラは、冗長第1タイプの負荷に通信可能に接続される。そして、主コントローラ及び主第1タイプの負荷により対応する主給電回路を構成し、冗長コントローラ及び冗長第2タイプの負荷により対応する冗長給電回路を構成し、それによって車両給電制御システムに冗長給電構造を設定し、車両給電の信頼性を確保する。
【0047】
本開示において、主コントローラ又は主第1タイプの負荷のいずれかのデバイスに給電故障が発生し、自動運転車両の正常走行をサポートできない場合、冗長コントローラ及び冗長第2タイプの負荷からなる冗長給電回路にタイムリーに切り替えることができる。電源分配ユニット220が冗長コントローラ及び冗長第2タイプの負荷からなる冗長給電回路に対して関連する給電制御操作を実行することにより、自動運転車両の安全走行を確保することができる。
【0048】
本開示にて提供される技術案は、電源分配ユニットの入力ピンを介して給電電源に接続し、電源分配ユニットの出力ピンを介して車載電気機器に接続し、該車載電気機器は、電子制御ユニットと、電気負荷と、を含んでもよい。電源分配ユニットによって車両給電制御コマンドを受信すると、接続されている車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行することにより、電源分配ユニットによって車両上の各車載電気機器の給電制御を一括管理し、電子制御ユニットと各電気負荷との間にヒューズとリレーの組み合わせを採用して車両給電を実現する必要がなく、それによって車両給電ハーネス及び給電回路の複雑さを簡素化し、ハーネスが多すぎることによるセキュリティリスクを回避し、車両自動運転中の給電安全性を向上させる。
【0049】
本開示は、車両全体に対して電源投入・電源切断を行ってもよいし、車両内の1つ又は複数のドメインに対して電源投入・電源切断を行ってもよい。該1つ又は複数のドメインは、コックピットドメイン、自動運転ドメイン、パワードメイン、シャーシドメインなどであり、ここで自動運転ドメインは、各車載センサ、交換機、サーバ、マイクロフォン、スピーカ、及び各センサのクリーニング装置などを含む。
【0050】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、自動運転車両の正常走行を確保するために、本開示における車両給電制御コマンドは、車両電源投入コマンド及び車両電源切断コマンドの2種類を含んでもよく、車両全体を制御するか、又は車両の1つ又は複数の車載電気機器(例えば自動運転システムに関連する車載電気機器)を制御して正常な電源投入・電源切断操作を実行する。以下、
図3を参照して、車両給電制御システムにおける車両電源投入・電源切断フローについて詳細に説明する。
【0051】
図3は、本開示の実施例に示される別の車両給電制御システムの原理概略図である。
図3に示すように、車両給電制御システムは、車載電気機器310、電源分配ユニット320及び給電電源330を含んでもよい。
【0052】
ここで、車載電気機器310は、電子制御ユニット311と、電気負荷312と、を含んでもよい。電源分配ユニット320は、入力ピンと、出力ピンと、を含んでもよく、且つ入力ピン及び出力ピンは、電源分配ユニット320の電気ピンである。
【0053】
具体的には、電源分配ユニット320における入力ピンは、給電電源330に接続するために用いられ、出力ピンは、車載電気機器310に接続するために用いられる。電源分配ユニット320は、車両給電制御コマンドを受信すると、各車載電気機器310に対して関連する給電制御操作を実行することができる。
【0054】
理解されるように、本開示における車載電気機器310、電源分配ユニット320、給電電源330、電子制御ユニット311及び電気負荷312は、上記実施例で言及した車載電気機器210、電源分配ユニット220、給電電源230、電子制御ユニット211及び電気負荷212の原理機能と同じであるので、その説明を省略する。
【0055】
本開示において、車両給電制御システムは、車載スマート端末340及びスイッチ350をさらに含んでもよい。
【0056】
ここで、車載スマート端末340は、それぞれ電源分配ユニット320及び電子制御ユニット311に通信可能に接続される。スイッチ350は、それぞれ電源分配ユニット320、電子制御ユニット311及び車載スマート端末340に通信可能に接続される。スイッチ350は、イグニッションスイッチであってもよい。
【0057】
本開示において、自動運転車両にとって、無人運転時の遠隔操作に加えて、運転者による車両運転権限の引き継ぎをサポートする。つまり、車両電源投入・電源切断フローについて、車両電源投入・電源切断コマンドを遠隔で発行してもよいし、運転者が車両を能動的にイグニッション又はイグニッションオフし、車両電源投入・電源切断コマンドを発行してもよい。
【0058】
したがって、本開示における車両給電制御コマンドは、第1車両電源投入コマンド(第1電源投入コマンドとも略称する)と、第2車両電源投入コマンド(第2電源投入コマンドとも略称する)と、を含んでもよいし、第1車両電源切断コマンド(第1電源切断コマンドとも略称する)と、第2車両電源切断コマンド(第2電源切断コマンドとも略称する)と、を含んでもよい。ここで、第1車両電源投入コマンド及び第1車両電源切断コマンドは、発行を遠隔で制御する車両電源投入・電源切断コマンドを含み、第2車両電源投入コマンド及び第2車両電源切断コマンドは、運転者が発行を人為的に制御する車両電源投入・電源切断コマンドを含む。
【0059】
具体的には、車両電源投入フローについて、車載スマート端末340は、遠隔電源投入要求を受信すると、第1車両電源投入コマンドを生成し、且つ電源分配ユニット320に送信するために用いられる。スイッチ350は、起動コマンドを検出した後、第2車両電源投入コマンドを生成し、且つ電源分配ユニット320に送信するために用いられる。
【0060】
車両電源切断フローについて、車載スマート端末340は、遠隔電源切断確認コマンドを受信すると、第1車両電源切断コマンドを生成し、且つ電子制御ユニット311に送信するためにさらに用いられ、電子制御ユニット311は、第1車両電源切断コマンドをチェックし、且つチェックに合格した後に第1車両電源切断コマンドを電源分配ユニット320に転送するために用いられる。
【0061】
スイッチ350は、イグニッションオフ操作に対応する第2車両電源切断コマンドを検出した後、イグニッションオフ状態を車載スマート端末340、電源分配ユニット320及び電子制御ユニット311に送信するためにさらに用いられ、電子制御ユニット311は、イグニッションオフ状態及び自動運転モードの退出状態に基づいて、第2車両電源切断コマンドをチェックし、且つチェックに合格した後に第2車両電源切断コマンドを電源分配ユニット320に転送するためにさらに用いられる。
【0062】
つまり、電子制御ユニット311は、該電源切断コマンドをチェックした後、チェックに合格した電源切断コマンドを電源分配ユニット320に送信するように構成される。電子制御ユニット311は、車載スマート端末340からの電源切断コマンドを受信し、該電源切断コマンドをチェックした後に電源分配ユニット320に送信するようにさらに構成される。電子制御ユニット311は、電源切断コマンドとして(例えば第2車両電源切断コマンドとして)、スイッチ350からのイグニッションオフコマンドを受信し、且つ現在の自動運転モードの退出状態及びスイッチのイグニッションオフ状態に基づいて該電源切断コマンドをチェックした後、且つチェックに合格した該電源切断コマンドを電源分配ユニット320に送信するようにさらに構成される。ここでチェック内容は、車両が現在自動運転モードから退出したことを決定し、且つ車両がイグニッションオフ状態にあることを含む。
【0063】
換言すれば、本開示の車両給電制御コマンドは、電源投入コマンドと、電源切断コマンドと、を含む。給電対象の観点から、電源投入コマンドは、第1タイプの負荷電源投入コマンドと、第2タイプの負荷電源投入コマンドと、を含み、電源切断コマンドは、第1タイプの負荷電源切断コマンドと、第2タイプの負荷電源切断コマンドと、を含む。コマンド源の観点から、電源投入コマンドは、車載スマート端末からの第1車両電源投入コマンドと、スイッチからの第2車両電源投入コマンドと、を含んでもよく、電源切断コマンドは、車載スマート端末からの第1車両電源切断コマンド、及び電子制御ユニット又はスイッチからの第2車両電源切断コマンドを含んでもよい。ここで、電子制御ユニット311が自動運転モードの手動退出操作を検出すると、第2電源切断コマンドを能動的に生成でき、また電子制御ユニット311は、スイッチ305がイグニッションオフ操作に基づいて生成した第2電源切断コマンドを受信することもできる。車両がイグニッションオフ状態及び車両が既に自動運転モードから退出したと判定した場合にのみ、電子制御ユニット311は、第2電源切断コマンドを電源分配ユニットに送信する。
【0064】
本開示において、車載スマート端末340(例えば車載T-BOX)は、車両のインターネットシステム内の車両に配置されてもよく、ユーザによる車両の遠隔制御を実現するために、ユーザが遠隔制御側を介して車載スマート端末340を対応する制御コマンドに送信することをサポートする。車載スマート端末340は、車両における無線ゲートウェイとして、車両に遠隔通信インタフェースを提供し、ユーザが所持する遠隔制御側と車両制御の対話を行う。本開示における遠隔制御側は、タブレットコンピュータ、携帯電話(例えば、折り畳みスクリーン携帯電話、大画面携帯電話など)、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータなどの端末装置を含んでもよいが、これらに限定されない。スイッチ350は、車両上のイグニッションスイッチ(Ignition Switch、IGNと略称)であってもよく、運転者が車両の運転権限を手動で引き継ぐことをサポートする。
【0065】
次に、それぞれ遠隔制御及び運転者の人為的な制御による車両電源投入・電源切断フローについて説明する。
【0066】
1)遠隔制御での車両電源投入・電源切断フロー
【0067】
車両非起動状態では、車両上の車載スマート端末340及び電源分配ユニット320は、スリープ状態にある。ユーザは、遠隔制御側で車両の起動を遠隔制御することによって、車載スマート端末340に対応する遠隔電源投入要求を開始する。
【0068】
車載スマート端末340は、遠隔制御側から開始された遠隔電源投入要求を受信すると、該遠隔電源投入要求を対応する車両ウェイクアップメッセージとして、車載スマート端末340をスリープ状態からウェイクアップさせる。そして、車載スマート端末340は、該遠隔電源投入要求に応答して、第1車両電源投入コマンドを生成することができる。さらに、該第1電源投入コマンドをCANメッセージの形でカプセル化し、CANバスを介して電源分配ユニット320に転送し、それによって電源分配ユニット320をスリープ状態からウェイクアップさせる。
【0069】
電源分配ユニット320は、ウェイクアップされた後、該第1車両電源投入コマンドに応じて、電子制御ユニット311及び電気負荷312における第1タイプの負荷に対して対応する電源投入操作を実行し、電子制御ユニット311及び電気負荷312における第1タイプの負荷を同期して動作状態にすることにより、車両の正常起動走行を遠隔制御する。
【0070】
本開示における選択的な実現案として、車両電源投入の安全秩序性を保証するために、電源分配ユニット320は、該第1車両電源投入コマンドに応答して、まず各車載電気機器310の性能パラメータを決定する。そして、小負荷が高電力での電源投入時に焼損されることを回避するために、本開示は、各車載電気機器310の性能パラメータに基づいて、各車載電気機器310に対して大きい順にソートを行い、さらに各車載電気機器310に対して関連する電源投入操作を順番に実行し、車両電源投入の安全性を保証する。ここで、該性能パラメータは、電力の大きさ、起動時間の少なくとも1つを含み、例えば、電力の大きさが大きい順に、又は装置の起動時間が大きい順に、電力が大きいか又は起動時間が長い装置が先に電源投入されるようにソートする。あるいは、最初の電源投入が必要な装置があるなど、各装置の機能の需要度や重要度の高い順にソートしてもよい。本開示は、各装置に順番に番号を付けてもよく、最初に電源投入される必要がある装置を装置1にコード化し、2番目に電源投入される装置を装置2にコード化する場合、装置番号に基づいて順番に電源投入する。また、性能パラメータのソートは、自動運転タスクに関連してもよく、異なる自動運転タスクでは、対応する性能パラメータのソートが異なる可能性がある。例えば、後進タスクでは後方センサがより重要であり、前進タスクでは前方センサがより重要であり、これらは異なる性能ランクをもたらす可能性がある。また、複数の性能パラメータがある場合、本開示は、同一の装置の複数の性能パラメータを加重平均し、加重平均値を取得し、且つ加重平均値を順番にソートすることもできる。
【0071】
自動運転車両の安全走行を確保するために、本開示は、車両自動運転中に、電子制御ユニット311によって車両の運転状態をリアルタイムで検出する。自動運転車両が目的地まで走行したり、途中で予期せぬ事態に遭遇して緊急停止が要求されたりした場合に、電子制御ユニット311によって車両が自動運転モードから能動的に退出するように制御することができる。この場合、電子制御ユニット311によって自動運転モードの緊急退出コマンドを検出し、車両の走行停止制御が現在必要となっていることを示すことができる。したがって、電子制御ユニット311によって車両の現在運転状態情報を携帯可能な対応する車両電源切断要求を車載スマート端末340に送信し、それによりユーザは、該現在運転状態情報に基づいて車両の走行停止の遠隔制御が必要であるか否かを判断する。
【0072】
車載スマート端末340は、受信した車両電源切断要求を遠隔制御側に転送し、遠隔制御側のユーザにより車両電源切断操作を実行する必要があるか否かを判断することができる。このとき、遠隔制御側は、対応する車両電源切断応答メッセージを車載スマート端末340にフィードバックすることができ、該車両電源切断応答メッセージは、車両電源切断操作を実行することを遠隔で確認する時の遠隔電源切断確認コマンドであってもよいし、車両電源切断操作を実行しないことを遠隔で指示する遠隔電源切断キャンセルコマンドであってもよい。
【0073】
車載スマート端末340は、遠隔制御側から発行された遠隔電源切断キャンセルコマンドを受信すると、現在車両電源切断操作を実行する必要がないことを遠隔制御側が指示することを示し、したがって車載スマート端末340は、電子制御ユニット311が実際の車両電源切断操作を実行するように指示する必要がない。
【0074】
一方、車載スマート端末340は、遠隔制御側から発行された遠隔電源切断確認コマンドを受信すると、現在車両電源切断操作を実行する必要があることを遠隔制御側が指示することを示し、したがって、車載スマート端末340は、第1車両電源切断コマンドを生成し、且つ該第1車両電源切断コマンドをCANメッセージの形でカプセル化し、CANバスを介して電子制御ユニット311に転送し、電子制御ユニット311は、自動運転モードの比較的短時間での誤退出による車両電源切断誤操作を回避するために、今回の車両電源切断フローを再び確認する。
【0075】
また、ネットワーク遅延などを考慮すると、車載スマート端末340は、予め設定された時間内に遠隔制御側からフィードバックされたいずれの車両電源切断応答メッセージを受信しない場合がある。そこで、車両走行によるセキュリティリスクを回避するために、本開示において、車載スマート端末340が予め設定された時間内に遠隔制御側からフィードバックされたいずれの車両電源切断応答メッセージを受信しない場合にも、第1車両電源切断コマンドを生成し、且つ該第1車両電源切断コマンドをCANメッセージの形でカプセル化し、CANバスを介して電子制御ユニット311に転送する。
【0076】
電子制御ユニット311は、第1車両電源切断コマンドを受信すると、車両電源切断の真実正確性を確保するために、車両が現在自動運転モードから退出しているか否かを再び検出し、第1車両電源切断コマンドの真実性をチェックし、それにより自動運転モードの短時間内の誤退出による車両電源切断誤操作を回避する。車両が現在自動運転モードから退出したと決定されている場合、第1車両電源切断コマンドがチェックに合格したことを示す。さらに、電源分配ユニット320が各車載電気機器310に対して対応する車両電源切断操作を実行するように、チェックに合格した第1車両電源切断コマンドを電源分配ユニット320に転送する。
【0077】
電源分配ユニット320は、第1車両電源切断コマンドを受信した後、車両電源切断の真実正確性を確保するために、車両上のスイッチ350がイグニッションオフ状態にあるか否かをさらに判断し、車両が運転者によって現在引き継がれて自動運転モードから退出するか否かをさらに検出する。スイッチ350がイグニッション状態にある場合、運転者が車両の運転権限を引き継いで自動運転モードから退出したことを示すので、電源分配ユニット320は、車両電源切断操作を実行する必要がなく、車両の現在の車両電源投入状態を保持し続ける。一方、スイッチ350がイグニッションオフ状態にある場合、運転者が車両の運転権限を引き継がず、且つ自動運転モードが緊急に退出したことを示すので、電源分配ユニット320は、各車載電気機器310に対して対応する車両電源切断操作を実行する。
【0078】
本開示における選択的な実現案として、車両電源切断の安全性を保証するために、電源分配ユニット320は、該第1車両電源切断コマンドに応答して、スイッチ350がイグニッションオフ状態にあるとき、各車載電気機器310の性能パラメータに基づいて、各車載電気機器310に対して関連する電源切断操作を逆順に実行し、車両電源切断の安全性を保証する。ここで、性能パラメータは、電力の大きさ、シャットダウン時間の少なくとも1つを含んでもよい。ここで、各負荷の電源切断順序は、電源投入順序の逆順でもよいし、電源投入順序とは異なる性能パラメータ計算方式に従って電源切断順序を計算してもよい。例えば、電源投入順序は電力の大きさでソートされ、電源切断順序はシャットダウン時間でソートされ、電力が大きいか又はシャットダウン時間が長いものから先にシャットダウンされるが、本開示はこれについて限定しない。
【0079】
さらに、電源分配ユニット320は、電子制御ユニット311及び車載スマート端末340への関連する給電監視メッセージの送信も停止し、それにより車両電源切断を完了する予想期間内に電源分配ユニット320がスリープ状態に再び入ることができるように制御する。
【0080】
そこで、車両電源投入中に、車載スマート端末340は、他のデバイスから送信された給電監視メッセージをリアルタイムで検出して、車両電源投入故障の有無を分析することを考慮する。車載スマート端末340がいずれかの給電監視メッセージも取得しなくなり、且つスイッチ350がイグニッションオフ状態にある場合、車両が現在車両電源切断フローを完了していることを示すので、車載スマート端末340をスリープ状態に再び入るように制御する。
【0081】
理解されるように、車載スマート端末340が第1時間(例えば5s)内にいずれかの給電監視メッセージも取得しなくなり、且つスイッチ350が第1時間内にずっとイグニッションオフ状態にある場合、車載スマート端末340をスリープ状態に再び入るように制御する。
【0082】
あるいは、車載スマート端末340がいずれかの給電監視メッセージも取得しなくなり、且つスイッチ350がイグニッションオフ状態にある場合、車載スマート端末340を第2時間(例えば10s)内にスリープ状態に再び入るように制御してもよい。
【0083】
2)運転者の人為的な制御による車両電源投入・電源切断フロー
【0084】
車両非起動状態では、車両上の車載スマート端末340及び電源分配ユニット320はスリープ状態にある。運転者は、車両に配置されたスイッチ350を起動して、車両をイグニッションし、スイッチ350をイグニッション状態にすることができる。すると、車載スマート端末340及び電源分配ユニット320は、スイッチ350の起動コマンド又は起動操作を検出し、該起動コマンドに携帯されたIGN信号を対応する車両ウェイクアップメッセージとして、車載スマート端末340及び電源分配ユニット320が同期してスリープ状態からウェイクアップされるようにすることができる。そして、電源分配ユニット320は、該スイッチ350の起動コマンドに応答して、第2車両電源投入コマンドを生成することができる。そして、該第2車両電源投入コマンドに応答して、電子制御ユニット311及び電気負荷312における第1タイプの負荷に対して電源投入操作を実行することにより、電子制御ユニット311及び電気負荷312における第1タイプの負荷を同期して動作状態にすることにより、車両の正常起動走行を遠隔制御する。
【0085】
本開示における選択的な実現案として、小負荷が高電力での電源投入時に焼損されることを回避するために、本開示は、各車載電気機器310の性能パラメータに基づいて、車載電気機器310に対して関連する電源投入操作を順番に実行する。
【0086】
自動運転車両の安全走行を確保するために、本開示は、車両自動運転中に、電子制御ユニット311によって車両の運転状態をリアルタイムで検出する。自動運転車両が目的地まで走行したり、途中で予期せぬ事態に遭遇して緊急停止が要求されたりした場合に、運転者が車両の運転権限を引き継ぐと、運転者は自動運転モードから退出するように手動で車両を制御する。また、運転者がキーによりスイッチ350を能動的にオフにすることで、スイッチ350がイグニッションオフ状態になる。この場合、電子制御ユニット311によって自動運転モードの手動退出コマンドを検出してもよいし、運転者によるスイッチ350のイグニッションオフ操作を検出してもよい。そして、該自動運転モードの手動退出コマンド又はスイッチ350のイグニッションオフ操作に応答して、電子制御ユニット311は第2車両電源切断コマンドを取得する。該取得ステップは、スイッチがイグニッションオフコマンドを検出すると生成して送信した第2車両電源切断コマンドを受信すること、又は、電子制御ユニット311が自動運転モードの手動退出コマンドを検出すると自ら第2車両電源切断コマンドを能動的に生成することを含む。そして、車両電源切断の真実正確性を確保するために、電子制御ユニット311は、車両が現在自動運転モードから退出しているか否か、及びスイッチ350がイグニッションオフ状態にあるか否かをさらに検出することによって、第2車両電源切断コマンドの真実性をチェックし、今回実際の車両電源切断の実行が必要であるか否かを判断し、自動運転モードの短時間内の誤退出による車両電源切断誤操作を回避する。
【0087】
自動運転モードが退出状態にあり、且つスイッチ350がイグニッションオフ状態にある場合、実際の車両電源切断操作を実行する必要があることを示すので、電子制御ユニットは、第2車両電源切断コマンドに対するチェックに合格することを決定し、且つチェックに合格した第2車両電源切断コマンドをCANメッセージの形でカプセル化し、CANバスを介して電源分配ユニット320に転送し、それにより電源分配ユニット320が各車載電気機器310に対して対応する車両電源切断操作を実行する。
【0088】
電源分配ユニット320は、第2車両電源切断コマンドを受信した後、車両電源切断の真実正確性を確保するために、車両上のスイッチ350がイグニッションオフ状態にあるか否かをさらに判断し、現在車両電源切断が運転者によって手動でトリガされているか否かをさらに検出する。スイッチ350がイグニッション状態にある場合、前回スイッチ350をオフにしたことが誤操作に属し、運転者から車両電源切断操作の実行が指示されていないことを示すので、電源分配ユニット320は、車両電源切断操作を実行する必要がなく、車両の現在の車両電源投入状態を保持し続ける。一方、スイッチ350がイグニッションオフ状態にある場合、運転者が現在実際の車両電源切断操作を実行することを指示するので、電源分配ユニット320は、各車載電気機器310に対して対応する車両電源切断操作を実行する。
【0089】
本開示における選択的な実現案として、車両電源切断の安全性を保証するために、電源分配ユニット320は、該第2車両電源切断コマンドに応答して、スイッチ350がイグニッションオフ状態にあるとき、各車載電気機器310の性能パラメータに基づいて、車載電気機器に対して関連する電源切断操作を逆順に実行する。
【0090】
さらに、電源分配ユニット320は、電子制御ユニット311及び車載スマート端末340への関連する給電監視メッセージの送信も停止し、それにより車両電源切断を完了する予想期間内に電源分配ユニット320がスリープ状態に再び入ることができるように制御する。
【0091】
そこで、車両電源投入中に、車載スマート端末340は、他のデバイスから送信された給電監視メッセージをリアルタイムで検出して、車両電源投入故障の有無を分析することを考慮する。車載スマート端末340がいずれかの給電監視メッセージも取得しなくなり、且つスイッチ350がイグニッションオフ状態にある場合、車両が現在車両電源切断フローを完了していることを示すので、車載スマート端末340をスリープ状態に再び入るように制御する。
【0092】
なお、遠隔制御による車両電源投入フローであっても、運転者の人為的な制御による車両電源投入フローであっても、電源分配ユニット320は、各車載電気機器310に対して対応する車両電源投入操作を実行するとき、車両電源投入の安全性を確保するために、各車載電気機器310が位置する経路に電源投入故障があるか否かを監視して、電源分配ユニット320に対して給電自己検査を行い、自身の給電機能が正常であるか否かを判断する。
【0093】
電源投入故障がある目標経路のいずれかに対して、電源分配ユニット320における該目標経路への給電機能を正確にメンテナンスするために、本開示は、電子制御ユニット311及び車載スマート端末340に該目標経路の故障監視情報を報告し、管理者がタイムリーに該目標経路の故障監視情報を見て、タイムリーにそれをメンテナンスし、電源分配ユニット320の正常給電使用を確保するようにする。ここで、該故障監視情報には、該目標経路の故障タイプなどが含まれてもよい。
【0094】
なお、目標経路が短絡故障であれば、電源分配ユニット320は、該目標経路を遮断し、該目標経路での車載電気機器への電源投入を行わないように制御し、短絡電源投入時に該電気機器が焼損される事態を回避することができる。一方、目標経路がオープン故障であれば、オープン電源投入時に車載電気機器の安全使用に影響を与えないことを考慮するので、オープン故障の誤検出を回避するために、電源分配ユニット320は、該目標経路の電源投入状態を保持することができる。
【0095】
一方、電源分配ユニット320に電源投入故障の経路が存在しない場合には、各車載電気機器310が位置する経路の電源投入状態を保持することができる。また、車両電源投入の安全性を確保するために、本開示は、各車載電気機器310が位置する経路の電圧、電流、温度情報などの具体的な電源投入状況をリアルタイムで監視することで、対応する給電監視メッセージを生成する。電源分配ユニット320は、車両電源投入中に各車載電気機器310に対する給電監視メッセージを、CANメッセージの形で電子制御ユニット311及び車載スマート端末340に送信して、車両電源投入のセキュリティリスクの有無を分析することができる。
【0096】
本開示の実施例にて提供される技術案は、遠隔制御及び運転者の人為的な制御により、2種類の車両電源投入・電源切断フローを計画し、車両電源投入・電源切断の正確性を確保し、且つ、車両電源投入中に、各車載電気機器の電源投入故障の有無をリアルタイムで検出し、ハーネスが多すぎることによるセキュリティリスクを回避し、車両自動運転中の給電安全性を向上させる。
【0097】
また、車両無人運転中に、電子制御ユニットがある装置に不具合があることを検出すると、該不具合装置を再起動する。さらに、電子制御ユニットは、該不具合装置が無人運転性能に与える影響を決定して、該不具合装置を再起動するか否かを決定する。影響が第1程度である場合、例えば無人運転車両の安全性に対する影響が非常に小さい場合、装置を再起動し、影響が第2程度である場合、例えば無人運転車両の安全性に対する影響が非常に大きい場合、無人運転モードのデステージングコマンドが出され、無人運転システムは、直ちに、例えば幅寄せで駐車するなどのデステージング処理を行う。
【0098】
次に、車両給電制御システムにおける電源分配ユニットが車両給電中の各制御操作を実行する具体的なステップについて詳細に説明する。
【0099】
図4は、本開示の実施例に示される車両給電制御方法のフローチャートである。該方法は、本開示にて提供される電源分配ユニットに適用可能であり、電源分配ユニットは、入力ピンを介して給電電源に接続し、出力ピンを介して車載電気機器に接続し、車載電気機器は、電子制御ユニットと、各電気負荷と、を含んでもよい。該方法は、本開示にて提供される車両給電制御装置によって実行されてもよい。ここで、車両給電制御装置は、任意のソフトウェア及び/又はハードウェアの形態で実現されてもよい。例示的には、該車両給電制御装置は、自動運転車両、無人機などを含むが、これらに限定されないいずれかの車両に適用することができ、本開示は、車両の具体的なタイプについて何ら限定しない。
【0100】
具体的には、
図4に示すように、該方法は、S410と、S420と、を含んでもよい。
【0101】
S410において、車両給電制御コマンドを受信する。
【0102】
ここで、給電制御コマンドは、電源切断コマンドを含み、且つ該電源切断コマンドは、電子制御ユニットのチェックに合格する。該電源切断コマンドは、車載スマート端末からのものであってよいし又はスイッチからのものであってもよく、且つ車載スマート端末又はスイッチにより電子制御ユニットに送信してチェックし、チェックに合格した後に電子制御ユニットにより電源分配ユニットに送信する。もちろん、該電源切断コマンドは、電子制御ユニットによりイグニッションオフ状態及び自動運転モードの退出状態に基づいて能動的に生成してもよい。
【0103】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、車両給電ハーネスの複雑さを簡素化するために、本開示は、電源分配ユニットを介して給電電源及び車載電気機器における電子制御ユニット及び各電気負荷に接続する。自動運転車両に給電需要がある場合、電源分配ユニットによって車両給電制御コマンドを受信することができる。
【0104】
S420において、車両給電制御コマンドに応答して、車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行する。
【0105】
電源分配ユニットによって車両給電制御コマンドを受信すると、給電電源内の電気エネルギーを、それぞれ車載電気機器における電子制御ユニット及び各電気負荷に出力し、電子制御ユニット及び各電気負荷に対して対応する給電制御操作を実行する。
【0106】
本開示において、電源分配ユニットは、電子制御ユニットにより監視された各電気負荷の具体的な給電状況に基づいて、給電中に各車載電気機器の給電に対して関連する給電調整操作を行うことができる。
【0107】
本開示における選択的な実現案として、自動運転車両上の車載電気機器内の各電気負荷の機能に応じて、電気負荷を第1タイプの負荷及び第2タイプの負荷の2種類に分けてもよい。第1タイプの負荷及び第2タイプの負荷は、車両自動運転中に動作状態に入るタイミングが異なり、つまり第1タイプの負荷及び第2タイプの負荷の給電タイミングが異なる。さらに、電子制御ユニットが第1タイプの負荷を監視することによって、自動運転車両が現在位置している運転シーンを分析することができる。そして、これに基づいて現在の運転シーンにおいて、第2タイプの負荷を給電することにより、動作状態に入るようにし、さらに自動運転車両の安全走行を支援する必要があるか否かを判断する。
【0108】
そして、給電対象が異なる場合、本願における車両給電制御コマンドは、第1タイプの給電制御コマンドと、第2タイプの給電制御コマンドと、を含んでもよい。ここで、第1タイプの給電制御コマンドは、電子制御ユニット及び第1タイプの負荷に対して関連する給電操作を行う制御コマンドであってもよく、第2タイプの給電制御コマンドは、第2タイプの負荷に対して関連する給電操作を行う制御コマンドであってもよい。さらに、第1タイプの給電制御コマンド及び第2タイプの給電制御コマンドは、いずれも電源投入及び電源切断の2つのタイプを含んでもよい。
【0109】
したがって、電源分配ユニットは、車両給電制御コマンドにおける第1タイプの給電制御コマンドを受信した後、まず電子制御ユニット及び第1タイプの負荷に対して関連する給電制御操作を実行することで、電子制御ユニット及び第1タイプの負荷を同時に給電し、電子制御ユニット及び第1タイプの負荷が同期して動作状態に入ることになり、自動運転車両の正常走行を保証する。
【0110】
そして、車両自動運転中に、動作状態にある第1タイプの負荷は、車両自動運転シーンをリアルタイムで検出し、それによって対応する車両感知パラメータを得る。このとき、電子制御ユニットは、第1タイプの負荷の車両感知パラメータに基づいて、第2タイプの負荷の第2タイプの給電制御コマンドを生成し、且つ電源分配ユニットに送信し、第2タイプの負荷に対して関連する給電制御操作を実行することができる。
【0111】
したがって、第2タイプの負荷の給電制御について、電源分配ユニットは、車両給電制御コマンドにおける車載電気機器における第2タイプの負荷に対する第2タイプの給電制御コマンドに応答して、第2タイプの負荷に対して関連する給電制御操作を実行することができる。つまり、現在の運転シーンにおいて、自動運転車両の安全走行を確保するために、ある第2タイプの負荷による動作が必要である場合、該第2タイプの負荷に対して特定の第2タイプの給電制御コマンドを生成し、且つ電源分配ユニットに送信し、電源分配ユニットによって該第2タイプの負荷に対して専門の給電制御操作を実行し、第1タイプの負荷に追従してリアルタイムで動作状態にある必要がなく、車両自動運転の電気エネルギー消費を大幅に減少させる。さらに、電源分配ユニットは、いずれかの第2タイプの負荷の第2タイプの給電制御コマンドを受信した場合にのみ、該第2タイプの負荷に対して関連する給電制御操作を実行し、第2タイプの負荷を動作状態にし、自動運転車両の安全走行を支援する。
【0112】
本開示における選択的な実現案として、第1タイプの負荷は、車両電源投入中に故障が発生する可能性があるため、電源投入を途中で停止することが必要である。したがって、本開示は、第1タイプの負荷の車両電源投入中に、電子制御ユニットが第1タイプの負荷の車両感知パラメータを監視することによって、第1タイプの負荷の電源切断需要の有無を判断することができる。いずれかの第1タイプの負荷に電源切断需要が存在する場合、電子制御ユニットは、対応する第1タイプの負荷の電源切断コマンドを生成し、且つ該第1タイプの負荷の電源切断コマンドを電源分配ユニットに転送することができる。電源分配ユニットは、いずれかの第1タイプの負荷の電源切断コマンドに応答して、該第1タイプの負荷に対して関連する電源切断操作を実行し、車両給電の安全信頼性を確保することができる。
【0113】
本開示の実施例にて提供される技術案は、電源分配ユニットの入力ピンを介して給電電源に接続し、電源分配ユニットの出力ピンを介して車載電気機器に接続し、該車載電気機器は、電子制御ユニットと、電気負荷と、を含んでもよい。電源分配ユニットによって車両給電制御コマンドを受信すると、接続されている車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行することにより、電源分配ユニットによって車両上の各車載電気機器の給電制御を一括管理し、電子制御ユニットと各電気負荷との間にヒューズとリレーの組み合わせを採用して車両給電を実現する必要がなく、それによって車両給電ハーネス及び給電回路の複雑さを簡素化し、ハーネスが多すぎることによるセキュリティリスクを回避し、車両自動運転中の給電安全性を向上させる。
【0114】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、自動運転車両にとって、無人運転時の遠隔操作に加えて、運転者による車両運転権限の引き継ぎをサポートする。つまり、車両電源投入・電源切断フローについて、車両電源投入・電源切断コマンドを遠隔で発行してもよいし、運転者が車両を能動的にイグニッション又はイグニッションオフし、車両電源投入・電源切断コマンドを発行してもよい。以下、
図5を参照して、それぞれ遠隔制御及び運転者の人為的な制御による車両電源投入・電源切断フローについて説明する。
【0115】
図5は、本開示の実施例に示される車両給電中の車両電源投入過程の方法フローチャートであり、
図5に示すように、該方法は、S510~S550を含んでもよい。
【0116】
S510において、車載スマート端末から発行された第1車両電源投入コマンドを受信し、該第1車両電源投入コマンドは、車載スマート端末によって遠隔電源投入要求に応答して生成される。
【0117】
車両非起動状態では、車両上の車載スマート端末及び電源分配ユニットは、スリープ状態にある。ユーザは、遠隔制御側で車両の起動を遠隔制御することによって、車載スマート端末に対応する遠隔電源投入要求を開始する。
【0118】
車載スマート端末は、遠隔制御側から開始された遠隔電源投入要求を受信すると、該遠隔電源投入要求を対応する車両ウェイクアップメッセージとして、車載スマート端末をスリープ状態からウェイクアップさせる。そして、車載スマート端末は、該遠隔電源投入要求に応答して、第1車両電源投入コマンドを生成することができる。さらに、該第1電源投入コマンドをCANメッセージの形でカプセル化し、CANバスを介して電源分配ユニットに転送し、それによって電源分配ユニットをスリープ状態からウェイクアップさせる。
【0119】
S520において、スイッチの起動コマンドに応答して、第2車両電源投入コマンドを生成する。あるいは、スイッチから送信された第2車両電源投入コマンドを受信し、該第2車両電源投入コマンドはスイッチによってスイッチに対するイグニッション操作又は起動操作に応答して生成される。
【0120】
車両非起動状態では、車両上の車載スマート端末及び電源分配ユニットはスリープ状態にある。運転者は、車両に配置されたスイッチを起動して、車両をイグニッションし、スイッチをイグニッション状態にすることができる。すると、車載スマート端末及び電源分配ユニットは、スイッチの起動コマンドを検出し、該起動コマンドに携帯されたIGN信号を対応する車両ウェイクアップメッセージとして、車載スマート端末及び電源分配ユニットが同期してスリープ状態からウェイクアップされるようにすることができる。そして、電源分配ユニットは、該スイッチの起動コマンドに応答して、第2車両電源投入コマンドを生成することができる。
【0121】
理解されるように、本開示におけるS510及びS520は、択一的に実行することができ、遠隔制御及び運転者の人為的な制御により生成された異なる車両電源投入コマンドに属する。
【0122】
S530において、第1車両電源投入コマンド又は第2車両電源投入コマンドに応答して、各車載電気機器の性能パラメータに基づいて、車載電気機器に対して関連する電源投入操作を順番に実行する。
【0123】
車両電源投入の安全秩序性を保証するために、電源分配ユニットは、該第1車両電源投入コマンド又は第2車両電源投入コマンドに応答して、まず各車載電気機器の性能パラメータを決定する。ここで、該性能パラメータは、電力の大きさ、起動時間の少なくとも1つを含む。例えば、電力の大きさが大きい順に、又は装置の起動時間が大きい順に、電力が大きいか又は起動時間が長い装置が先に電源投入されるようにソートする。あるいは、最初の電源投入が必要な装置があるなど、各装置の機能の需要度や重要度の高い順にソートしてもよい。本開示は、各装置に順番に番号を付けてもよく、最初に電源投入される必要がある装置を装置1にコード化し、2番目に電源投入される装置を装置2にコード化する場合、装置番号に基づいて順番に電源投入する。また、性能パラメータのソートは、自動運転タスクに関連してもよく、異なる自動運転タスクでは、対応する性能パラメータのソートが異なる可能性がある。例えば、後進タスクでは後方センサがより重要であり、前進タスクでは前方センサがより重要である。また、複数の性能パラメータがある場合、本開示は、同一の装置の複数の性能パラメータを加重平均し、加重平均値を取得し、且つ加重平均値を順番にソートすることもできる。
【0124】
そして、小負荷が高電力での電源投入時に焼損されることを回避するために、本開示は、各車載電気機器の性能パラメータに基づいて、各車載電気機器に対して大きい順にソートを行い、さらに各車載電気機器に対して関連する電源投入操作を順番に実行し、車両電源投入の安全性を保証する。
【0125】
S540において、各車載電気機器が位置する経路に電源投入故障があるか否かを監視する。
【0126】
遠隔制御による車両電源投入フローであっても、運転者の人為的な制御による車両電源投入フローであっても、電源分配ユニットは、各車載電気機器に対して対応する車両電源投入操作を実行するとき、車両電源投入の安全性を確保するために、各車載電気機器が位置する経路に電源投入故障があるか否かを監視して、電源分配ユニットに対して給電自己検査を行い、自身の給電機能が正常であるか否かを判断する。
【0127】
S550において、電源投入故障がある目標経路のいずれかについて、目標経路の故障監視情報を電子制御ユニット及び車載スマート端末に報告する。
【0128】
電源投入故障がある目標経路のいずれかに対して、電源分配ユニットにおける該目標経路への給電機能を正確にメンテナンスするために、本開示は、電子制御ユニット及び車載スマート端末に該目標経路の故障監視情報を報告し、管理者がタイムリーに該目標経路の故障監視情報を見て、タイムリーにそれをメンテナンスし、電源分配ユニットの正常給電使用を確保するようにする。
【0129】
なお、目標経路が短絡故障であれば、電源分配ユニットは、該目標経路を遮断し、該目標経路での車載電気機器への電源投入を行わないように制御し、短絡電源投入時に該電気機器が焼損される事態を回避することができる。一方、目標経路がオープン故障であれば、オープン電源投入時に車載電気機器の安全使用に影響を与えないことを考慮するので、オープン故障の誤検出を回避するために、電源分配ユニットは、該目標経路の電源投入状態を保持することができる。
【0130】
一方、電源分配ユニットに電源投入故障の経路が存在しない場合には、各車載電気機器が位置する経路の電源投入状態を保持することができる。また、車両電源投入の安全性を確保するために、本開示は、各車載電気機器が位置する経路の電圧、電流、温度情報などの具体的な電源投入状況をリアルタイムで監視することで、対応する給電監視メッセージを生成する。電源分配ユニットは、車両電源投入中に各車載電気機器に対する給電監視メッセージを、CANメッセージの形で電子制御ユニット及び車載スマート端末に送信して、車両電源投入のセキュリティリスクの有無を分析することができる。
【0131】
図6は、本開示の実施例に示される車両給電中の車両電源切断過程の方法フローチャートであり、
図6に示すように、該方法は、S610~S640を含んでもよい。
【0132】
S610において、電子制御ユニットから発行された第1車両電源切断コマンド又は第2車両電源切断コマンドを受信する。
【0133】
ここで、第1車両電源切断コマンドは、車載スマート端末によって遠隔電源切断確認コマンドに応答して生成され、第2車両電源切断コマンドは、電子制御ユニットによってスイッチのイグニッションオフ状態及び自動運転モードの退出状態に基づいて生成される。
【0134】
1)第1車両電源切断コマンドに対して、以下のステップによって得ることができる。
【0135】
第1ステップでは、電子制御ユニットが自動運転モードの緊急退出コマンドを検出すると、車載スマート端末に車両電源切断要求を送信し、車載スマート端末によって車両電源切断要求を遠隔制御側に転送する。
【0136】
自動運転車両の安全走行を確保するために、本開示は、車両自動運転中に、電子制御ユニットによって車両の運転状態をリアルタイムで検出する。自動運転車両が目的地まで走行したり、途中で予期せぬ事態に遭遇して緊急停止が要求されたりした場合に、電子制御ユニットによって車両が自動運転モードから能動的に退出するように制御することができる。この場合、電子制御ユニットによって自動運転モードの緊急退出コマンドを検出し、車両の走行停止制御が現在必要となっていることを示すことができる。したがって、電子制御ユニットによって車両の現在運転状態情報を携帯可能な対応する車両電源切断要求を車載スマート端末に送信し、それによりユーザは、該現在運転状態情報に基づいて車両の走行停止の遠隔制御が必要であるか否かを判断する。
【0137】
車載スマート端末は、受信した車両電源切断要求を遠隔制御側に転送し、遠隔制御側のユーザにより車両電源切断操作を実行する必要があるか否かを判断することができる。このとき、遠隔制御側は、対応する車両電源切断応答メッセージを車載スマート端末にフィードバックすることができ、該車両電源切断応答メッセージは、車両電源切断操作を実行することを遠隔で確認する時の遠隔電源切断確認コマンドであってもよいし、車両電源切断操作を実行しないことを遠隔で指示する遠隔電源切断キャンセルコマンドであってもよい。
【0138】
第2ステップでは、車載スマート端末が遠隔制御側から車両電源切断要求に対してフィードバックした遠隔電源切断確認コマンドを受信すると、第1車両電源切断コマンドを生成し、且つ電子制御ユニットに送信する。
【0139】
1つの場合では、車載スマート端末は、遠隔制御側から発行された遠隔電源切断キャンセルコマンドを受信すると、現在車両電源切断操作を実行する必要がないことを遠隔制御側が指示することを示し、したがって車載スマート端末は、電子制御ユニットが実際の車両電源切断操作を実行するように指示する必要がない。
【0140】
もう1つの場合では、車載スマート端末は、遠隔制御側から発行された遠隔電源切断確認コマンドを受信すると、現在車両電源切断操作を実行する必要があることを遠隔制御側が指示することを示し、したがって、車載スマート端末は、第1車両電源切断コマンドを生成し、且つ該第1車両電源切断コマンドをCANメッセージの形でカプセル化し、CANバスを介して電子制御ユニットに転送し、電子制御ユニットは、自動運転モードの比較的短時間での誤退出による車両電源切断誤操作を回避するために、今回の車両電源切断フローを再び確認する。
【0141】
さらにもう1つの場合では、ネットワーク遅延などを考慮すると、車載スマート端末は、予め設定された時間内に遠隔制御側からフィードバックされたいずれの車両電源切断応答メッセージを受信しない場合がある。そこで、車両走行によるセキュリティリスクを回避するために、本開示において、車載スマート端末が予め設定された時間内に遠隔制御側からフィードバックされたいずれの車両電源切断応答メッセージを受信しない場合にも、第1車両電源切断コマンドを生成し、且つ該第1車両電源切断コマンドをCANメッセージの形でカプセル化し、CANバスを介して電子制御ユニットに転送する。
【0142】
第3ステップでは、電子制御ユニットが自動運転モードの退出状態に基づいて、第1車両電源切断コマンドをチェックし、且つチェックに合格した後に第1車両電源切断コマンドを電源分配ユニットに転送する。
【0143】
電子制御ユニットは、第1車両電源切断コマンドを受信すると、車両電源切断の真実正確性を確保するために、車両が現在自動運転モードから退出しているか否かを再び検出し、第1車両電源切断コマンドの真実性をチェックし、それにより自動運転モードの短時間内の誤退出による車両電源切断誤操作を回避する。車両が現在自動運転モードから退出したと決定されている場合、第1車両電源切断コマンドがチェックに合格したことを示す。さらに、電源分配ユニットが各車載電気機器に対して対応する車両電源切断操作を実行するように、チェックに合格した第1車両電源切断コマンドを電源分配ユニットに転送する。
【0144】
2)第2車両電源切断コマンドに対して、以下のステップによって得ることができる。
【0145】
第1ステップでは、電子制御ユニットが自動運転モードの手動退出コマンド、又はスイッチのイグニッションオフ操作を検出すると、第2車両電源切断コマンドを生成する。
【0146】
本開示は、車両自動運転中に、電子制御ユニットによって車両の運転状態をリアルタイムで検出する。自動運転車両が目的地まで走行したり、途中で予期せぬ事態に遭遇して緊急停止が要求されたりした場合に、運転者が車両の運転権限を引き継ぐと、運転者は自動運転モードから退出するように手動で車両を制御する。また、運転者がキーによりスイッチを能動的にオフにすることで、スイッチがイグニッションオフ状態になる。この場合、電子制御ユニットによって自動運転モードの手動退出コマンドを検出してもよいし、運転者によるスイッチのイグニッションオフ操作を検出してもよい。そして、該自動運転モードの手動退出コマンド又はスイッチのイグニッションオフ操作に応答して、電子制御ユニットは対応する第2車両電源切断コマンドを取得することができる。該取得ステップは、スイッチがイグニッションオフコマンドを検出すると生成して送信した第2車両電源切断コマンドを受信すること、又は、電子制御ユニットが自動運転モードの手動退出コマンドを検出すると自ら第2車両電源切断コマンドを能動的に生成することを含んでもよい。
【0147】
第2ステップでは、電子制御ユニットが自動運転モードの退出状態及びスイッチのイグニッションオフ状態に基づいて、第2車両電源切断コマンドをチェックし、且つチェックに合格した後に第2車両電源切断コマンドを電源分配ユニットに送信する。
【0148】
車両電源切断の真実正確性を確保するために、電子制御ユニットは、第2車両電源切断コマンドを生成した後、車両が現在自動運転モードから退出しているか否か、及びスイッチがイグニッションオフ状態にあるか否かをさらに検出することによって、第2車両電源切断コマンドの真実性をチェックし、今回実際の車両電源切断の実行が必要であるか否かを判断し、自動運転モードの短時間内の誤退出による車両電源切断誤操作を回避する。
【0149】
自動運転モードが退出状態にあり、且つスイッチがイグニッションオフ状態にある場合、実際の車両電源切断操作を実行する必要があることを示すので、電子制御ユニットは、第2車両電源切断コマンドに対するチェックに合格することを決定し、且つチェックに合格した第2車両電源切断コマンドをCANメッセージの形でカプセル化し、CANバスを介して電源分配ユニットに転送し、それにより電源分配ユニットが各車載電気機器に対して対応する車両電源切断操作を実行する。
【0150】
S620において、第1車両電源切断コマンド又は第2車両電源切断コマンドに応答して、スイッチがイグニッションオフ状態にある場合、各車載電気機器の性能パラメータに基づいて、車載電気機器に対して関連する電源切断操作を逆順に実行する。
【0151】
電源分配ユニットは、第1車両電源切断コマンド又は第2車両電源切断コマンドを受信した後、車両電源切断の真実正確性を確保するために、車両上のスイッチがイグニッションオフ状態にあるか否かをさらに判断し、現在車両電源切断が実際にトリガされているか否かをさらに検出する。スイッチがイグニッション状態にある場合、車両電源切断のトリガが誤操作に属し、車両電源切断操作の実行が指示されていないことを示すので、電源分配ユニットは、車両電源切断操作を実行する必要がなく、車両の現在の車両電源投入状態を保持し続ける。一方、スイッチがイグニッションオフ状態にある場合、現在実際の車両電源切断操作を実行する必要があることを示すので、電源分配ユニットは、各車載電気機器に対して対応する車両電源切断操作を実行する。
【0152】
具体的には、車両電源切断の安全性を保証するために、電源分配ユニットは、該第1車両電源切断コマンド又は第2車両電源切断コマンドに応答して、スイッチがイグニッションオフ状態にあるとき、各車載電気機器の性能パラメータに基づいて、電源投入順序の逆順に従って、各車載電気機器に対して関連する電源切断操作を実行し、車両電源切断の安全性を保証する。
【0153】
ここで、性能パラメータは、電力の大きさ、シャットダウン時間の少なくとも1つを含んでもよい。ここで、各負荷の電源切断順序は、電源投入順序の逆順でもよいし、電源投入順序とは異なる性能パラメータ計算方式に従って電源切断順序を計算してもよい。例えば、電源投入順序は電力の大きさでソートされ、電源切断順序はシャットダウン時間でソートされ、電力が大きいか又はシャットダウン時間が長いものから先にシャットダウンされるが、本開示はこれについて限定しない。
【0154】
S630において、電子制御ユニット及び車載スマート端末への関連する給電監視メッセージの送信を停止し、且つ予想期間内にスリープモードに入る。
【0155】
車両電源切断の完全性を確保するために、電源分配ユニットは、電子制御ユニット及び車載スマート端末への関連する給電監視メッセージの送信も停止し、それにより車両電源切断を完了する予想期間内に電源分配ユニットがスリープ状態に再び入ることができるように制御する。
【0156】
S640において、車載スマート端末がいずれかの給電監視メッセージも取得しなくなり、且つスイッチがイグニッションオフ状態にある場合、車載スマート端末をスリープモードに入るように制御する。
【0157】
車両電源投入中に、車載スマート端末は、他のデバイスから送信された給電監視メッセージをリアルタイムで検出して、車両電源投入故障の有無を分析することを考慮する。車載スマート端末がいずれかの給電監視メッセージも取得しなくなり、且つスイッチがイグニッションオフ状態にある場合、車両が現在車両電源切断フローを完了していることを示すので、車載スマート端末をスリープ状態に再び入るように制御し、それによって車両電源切断フローを完了する。
【0158】
理解されるように、車載スマート端末が第1時間(例えば5s)内にいずれかの給電監視メッセージも取得しなくなり、且つスイッチが第1時間内にずっとイグニッションオフ状態にある場合、車載スマート端末をスリープ状態に再び入るように制御する。
【0159】
あるいは、車載スマート端末がいずれかの給電監視メッセージも取得しなくなり、且つスイッチがイグニッションオフ状態にある場合、車載スマート端末を第2時間(例えば10s)内にスリープ状態に再び入るように制御してもよい。
【0160】
本開示の実施例にて提供される技術案は、電源分配ユニットの入力ピンを介して給電電源に接続し、電源分配ユニットの出力ピンを介して車載電気機器に接続し、該車載電気機器は、電子制御ユニットと、電気負荷と、を含んでもよい。電源分配ユニットによって車両給電制御コマンドを受信すると、接続されている車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行することにより、電源分配ユニットによって車両上の各車載電気機器の給電制御を一括管理し、電子制御ユニットと各電気負荷との間にヒューズとリレーの組み合わせを採用して車両給電を実現する必要がなく、それによって車両給電ハーネス及び給電回路の複雑さを簡素化し、ハーネスが多すぎることによるセキュリティリスクを回避し、車両自動運転中の給電安全性を向上させる。
【0161】
図7は、本開示の実施例に示される車両給電制御装置の原理ブロック図であり、該装置は、本開示にて提供される電源分配ユニットに配置されることができ、電源分配ユニットは、入力ピンを介して給電電源に接続し、出力ピンを介して車載電気機器に接続する。
図7に示すように、該装置700は、
車両給電制御コマンドを受信するために用いられる給電コマンド受信モジュール710と、
前記車両給電制御コマンドに応答して、車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行するために用いられる給電制御モジュール720と、を含んでもよい。
【0162】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、給電制御モジュール720は、具体的には、
前記車両給電制御コマンドにおける第1タイプの給電制御コマンドに応答して、車載電気機器における電子制御ユニット及び第1タイプの負荷に対して関連する給電制御操作を実行すること、及び
前記車両給電制御コマンドにおける前記車載電気機器における第2タイプの負荷に対する第2タイプの給電制御コマンドに応答して、前記第2タイプの負荷に対して関連する給電制御操作を実行することに用いられてもよい。
【0163】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、車両給電制御装置700は、
前記車両給電制御コマンドにおける第1タイプの負荷電源切断コマンドに応答して、前記第1タイプの負荷に対して関連する電源切断操作を実行するために用いられる第1タイプの負荷電源切断モジュールであって、前記第1タイプの負荷電源切断コマンドは前記電子制御ユニットが前記第1タイプの負荷の車両感知パラメータを監視することによって生成される第1タイプの負荷電源切断モジュールをさらに含んでもよい。
【0164】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、給電コマンド受信モジュール710は、具体的には、
車載スマート端末から発行された第1車両電源投入コマンドを受信することであって、前記第1車両電源投入コマンドは前記車載スマート端末によって遠隔電源投入要求に応答して生成されること、又は、
スイッチの起動コマンドに応答して、第2車両電源投入コマンドを生成することに用いられてもよい。
【0165】
対応して、給電制御モジュール720は、具体的には、
前記第1車両電源投入コマンド又は前記第2車両電源投入コマンドに応答して、各前記車載電気機器の性能パラメータに基づいて、前記車載電気機器に対して関連する電源投入操作を順番に実行することであって、前記性能パラメータは電力の大きさ及び起動時間の少なくとも1つを含むことに用いられてもよい。
【0166】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、給電コマンド受信モジュール710は、さらに、具体的には、
電子制御ユニットから発行された第1車両電源切断コマンド又は第2車両電源切断コマンドを受信することに用いられてもよく、
ここで、前記第1車両電源切断コマンドは車載スマート端末によって遠隔電源切断確認コマンドに応答して生成され、前記第2車両電源切断コマンドは前記電子制御ユニットがスイッチのイグニッションオフ状態及び自動運転退出状態に基づいてチェックされる。
【0167】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、前記第1車両電源切断コマンドは、
前記電子制御ユニットが自動運転モードの緊急退出コマンドを検出すると、車載スマート端末に車両電源切断要求を送信し、前記車載スマート端末によって前記車両電源切断要求を遠隔制御側に転送するステップと、
前記車載スマート端末が前記遠隔制御側から前記車両電源切断要求に対してフィードバックした遠隔電源切断確認コマンドを受信すると、前記第1車両電源切断コマンドを生成し、且つ前記電子制御ユニットに送信するステップと、
前記電子制御ユニットが前記自動運転モードの退出状態に基づいて、前記第1車両電源切断コマンドをチェックし、且つチェックに合格した後に前記第1車両電源切断コマンドを電源分配ユニットに転送するステップによって得られる。
【0168】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、前記第2車両電源切断コマンドは、
前記電子制御ユニットが自動運転モードの手動退出コマンド、又はスイッチのイグニッションオフ操作を検出すると、前記第2車両電源切断コマンドを取得するステップと、
前記電子制御ユニットが前記自動運転モードの退出状態及び前記スイッチのイグニッションオフ状態に基づいて、前記第2車両電源切断コマンドをチェックし、且つチェックに合格した後に前記第2車両電源切断コマンドを電源分配ユニットに送信するステップによって得られる。
【0169】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、給電制御モジュール720は、さらに、具体的には、
前記第1車両電源切断コマンド又は前記第2車両電源切断コマンドに応答して、スイッチがイグニッションオフ状態にある場合、各前記車載電気機器の性能パラメータに基づいて、前記車載電気機器に対して関連する電源切断操作を逆順に実行すること、及び
前記電子制御ユニット及び前記車載スマート端末への関連する給電監視メッセージの送信を停止し、且つ予想期間内にスリープモードに入ることに用いられてもよい。
【0170】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、車両給電制御装置700は、
前記車載スマート端末がいずれかの給電監視メッセージも取得しなくなり、且つ前記スイッチがイグニッションオフ状態にある場合、前記車載スマート端末をスリープモードに入るように制御するために用いられるスリープモジュールをさらに含んでもよい。
【0171】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、車両給電制御装置700は、故障監視モジュールをさらに含んでもよい。該故障監視モジュールは、
各前記車載電気機器が位置する経路に電源投入故障があるか否かを監視すること、及び
電源投入故障がある目標経路のいずれかに対して、電子制御ユニット及び車載スマート端末に前記目標経路の故障監視情報を報告することに用いられてもよい。
【0172】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、車両給電制御装置700は、
前記目標経路が短絡故障であれば、前記目標経路を遮断するように制御し、前記目標経路がオープン故障であれば、前記目標経路の電源投入状態を保持するために用いられる故障処理モジュールをさらに含んでもよい。
【0173】
本開示の実施例において、電源分配ユニットの入力ピンを介して給電電源に接続し、電源分配ユニットの出力ピンを介して車載電気機器に接続し、該車載電気機器は、電子制御ユニットと、電気負荷と、を含んでもよい。電源分配ユニットによって車両給電制御コマンドを受信すると、接続されている車載電気機器に対して関連する給電制御操作を実行することにより、電源分配ユニットによって車両上の各車載電気機器の給電制御を一括管理し、電子制御ユニットと各電気負荷との間にヒューズとリレーの組み合わせを採用して車両給電を実現する必要がなく、それによって車両給電ハーネス及び給電回路の複雑さを簡素化し、ハーネスが多すぎることによるセキュリティリスクを回避し、車両自動運転中の給電安全性を向上させる。
【0174】
装置の実施例及び方法の実施例は互いに対応してもよく、同様の説明は方法の実施例を参照してもよいことが理解されるべきである。重複を避けるために、ここではその説明を省略する。具体的には、
図7に示す装置700は、本開示にて提供される方法の実施例のいずれかを実行してもよく、且つ装置700における各モジュールの前述及び他の操作及び/又は機能は、それぞれ、本開示の実施例の各方法における対応するフローを実現するためのものであり、簡潔にするために、ここではその説明を省略する。
【0175】
本開示の実施例の装置700は、機能モジュールの観点から、添付の図面とともに上記で説明された。該機能モジュールは、ハードウェアの形態で実現されても、ソフトウェアの形態のコマンドで実現されても、ハードウェアとソフトウェアモジュールの組み合わせによって実現されてもよいことが理解されるべきである。具体的には、本開示の実施例における方法の実施例の各ステップは、プロセッサ内のハードウェアの集積論理回路及び/又はソフトウェアの形態のコマンドによって達成されてもよく、本開示の実施例に関連して開示される方法のステップは、ハードウェアデコードプロセッサによって実行されるように直接具現化されてもよく、又は、デコードプロセッサ内のハードウェア及びソフトウェアモジュールの組み合わせによって実行されるように具現化されてもよい。任意選択で、ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ、プログラマブルリードオンリーメモリ、電気的消去可能プログラマブルメモリ、レジスタなどの当技術分野で成熟した記憶媒体内に位置してもよい。該記憶媒体はメモリに位置し、プロセッサはメモリの情報を読み取り、そのハードウェアと組み合わせて、上記方法の実施例におけるステップを完了する。
【0176】
図8は、本開示の実施例にて提供されるコンピューティングデバイスの概略ブロック図である。
【0177】
図8に示すように、該コンピューティングデバイス800は、
メモリ810と、プロセッサ820と、を含むことができ、該メモリ810は、コンピュータプログラムを記憶し、且つ該プログラムコードを該プロセッサ820に伝送するために用いられる。換言すれば、該プロセッサ820は、本開示の実施例における方法を実現するために、メモリ810からコンピュータプログラムを呼び出して実行することができる。
【0178】
例えば、該プロセッサ820は、該コンピュータプログラムにおけるコマンドに基づいて上記方法の実施例を実行するために用いられることができる。
【0179】
本開示のいくつかの実施例において、該プロセッサ820は、
汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)又は他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントなどを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0180】
本開示のいくつかの実施例において、該メモリ810は、
揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含むが、これらに限定されない。ここで、不揮発性メモリは、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory、ROM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(Programmable ROM、PROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(Erasable PROM、EPROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(Electrically EPROM、EEPROM)又はフラッシュメモリであってもよい。揮発性メモリは、外部キャッシュとして用いられるランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)であってもよい。例示的であるが制限的な説明ではないが、多くの形態のRAM、例えばスタティックランダムアクセスメモリ(Static RAM、SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(Dynamic RAM、DRAM)、シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(Synchronous DRAM、SDRAM)、ダブルデータレートシンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(Double Data Rate SDRAM、DDR SDRAM)、拡張型シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(Enhanced SDRAM、ESDRAM)、シンクロナスリンクダイナミックランダムアクセスメモリ(synch link DRAM、SLDRAM)及びダイレクトラムバスランダムアクセスメモリ(Direct Rambus RAM、DR RAM)が用いられることができる。
【0181】
本開示のいくつかの実施例において、該コンピュータプログラムは、1つ又は複数のモジュールに分割されてもよく、該1つ又は複数のモジュールは、該メモリ810に記憶され、且つ該プロセッサ820によって実行され、本開示にて提供される方法を完了する。該1つ又は複数のモジュールは、特定の機能を完了できる一連のコンピュータプログラムコマンドセグメントであってもよく、該コマンドセグメントは、該コンピューティングデバイスにおける該コンピュータプログラムの実行プロセスを記述するために用いられる。
【0182】
図8に示すように、該コンピューティングデバイスは、
該プロセッサ820又はメモリ810に接続可能なトランシーバ830をさらに含むことができる。
【0183】
ここで、プロセッサ820は、該トランシーバ830が他の装置と通信するように制御し、具体的には、他の装置に情報又はデータを送信し、又は他の装置から送信された情報又はデータを受信してもよい。トランシーバ830は、送信機及び受信機を含んでもよい。トランシーバ830は、アンテナをさらに含んでもよく、アンテナの数は、1つ又は複数であってもよい。
【0184】
理解されるように、該コンピューティングデバイスにおける各構成要素は、バスシステムによって連結され、ここで、バスシステムは、データバスに加えて、電源バス、制御バス及び状態信号バスを含む。
【0185】
本開示の実施例は、コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ記憶媒体をさらに提供し、該コンピュータプログラムがコンピュータに実行されるときに該コンピュータに上記方法の実施例の方法を実行させることができる。あるいは、本開示の実施例は、コマンドを含むコンピュータプログラム製品をさらに提供し、該コマンドがコンピュータに実行されるときにコンピュータに上記方法の実施例の方法を実行させる。
【0186】
ソフトウェアを用いて実現される場合、コンピュータプログラム製品の形態で全体的又は部分的に実現されてもよい。該コンピュータプログラム製品は、1つ又は複数のコンピュータコマンドを含む。コンピュータ上で該コンピュータプログラムコマンドがロードされ、実行されると、本開示の実施例に従ったフロー又は機能が全体的又は部分的に生成される。該コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、又は他のプログラマブル装置であってもよい。該コンピュータコマンドは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶され、又は1つのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体から別のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に伝送されてもよく、例えば、該コンピュータコマンドは、1つのウェブサイト、コンピュータ、サーバ又はデータセンターから有線(例えば同軸ケーブル、ファイバ、デジタル加入者線(digital subscriber line、DSL))又は無線(例えば赤外線、ワイヤレス、マイクロ波など)経由で別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ又はデータセンターに伝送する。該コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、コンピュータがアクセス可能な任意の利用可能な媒体又は1つ又は複数の利用可能な媒体集積を含むサーバ、データセンターなどのデータ記憶装置であってもよい。該利用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、磁気テープ)、光媒体(例えばデジタルビデオ光ディスク(digital video disc、DVD))、又は半導体媒体(例えばソリッドステートディスク(solid state disk、SSD))などであってもよい。
【0187】
当業者は、本明細書に開示された実施例に関連して説明された各例のモジュール及びアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアの組み合わせで実現され得ることを認識するであろう。これらの機能がハードウェア又はソフトウェアのいずれの方法で実行されるかは、技術案の特定の適用及び設計制約条件に依存する。当業者は、説明された機能を実現するために、特定の適用ごとに異なる方法を用いてもよいが、そのような実現は、本開示の範囲から逸脱すると見なされるべきではない。
【0188】
本開示にて提供されるいくつかの実施例では、開示されるシステム、装置、及び方法は、他の方式で実現されてもよいことが理解されるべきである。例えば、上述の装置の実施例は単なる例示であり、例えば、該モジュールの分割は、単に論理的機能の分割であり、実際の実現において、別の分割方式があってもよく、例えば、複数のモジュール又は構成要素が別のシステムに組み込まれるか又は集積されてもよく、又はいくつかの特徴が省略されてもよく、又は実行されなくてもよい。別の点では、図示又は検討した相互の結合又は直接結合又は通信接続は、電気的、機械的、又は他の形態の、何らかのインタフェース、装置又はモジュールを介した間接結合又は通信接続であってもよい。
【0189】
分離部材として説明されたモジュールは、物理的に分離されていても、されていなくてもよく、モジュールとして示された部材は、物理的なモジュールであっても、でなくてもよく、即ち一箇所に位置しても、複数のネットワークユニットに分布してもよい。また、本実施例の態様の目的を達成するために、実際の必要に応じて、その一部又は全部のモジュールを選択することができる。例えば、本開示の様々な実施例における各機能モジュールは、1つの処理モジュールに集積されてもよく、各モジュールが物理的に別個に存在してもよく、2つ以上のモジュールが1つのモジュールに集積されてもよい。
【0190】
以上、本開示の具体的な実施形態を例示したが、本開示の保護範囲はこれに限定されず、当業者であれば、本開示に開示された技術的範囲内において、容易に変更又は置換を想定することができ、本開示の保護範囲に含まれる。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲によってのみ定められるべきである。