(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076371
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】車両の車線変更をコントロールするための方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/08 20120101AFI20240529BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B60W30/08
B60W30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023197912
(22)【出願日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】10 2022 212 567.3
(32)【優先日】2022-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ヤコポ・ベンチュラ
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA08
3D241BB16
3D241CD12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両の車線変更をコントロールするための方法、そのためのコンピュータプログラムおよび装置を提供する。
【解決手段】移動明細に基づいて衝突地点(50)を確定するステップであって、この移動明細が、車線変更を実施するための経路(30)に沿った車両(1)の計画された移動に固有のものであるステップと、確定された衝突地点(50)および車両(1)の少なくとも1つの状態パラメータをベースとして、車両(1)と道路使用者(2)との起こり得る衝突をチェックするステップと、起こり得る衝突を回避するための適合明細を決定するステップと、車線変更をコントロールするために適合明細を提供するステップとを含む方法に関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の車線変更をコントロールするための方法(100)であって、
- 移動明細に基づいて衝突地点(50)を確定するステップ(101)であって、前記移動明細が、前記車線変更を実施するための経路(30)に沿った前記車両(1)の計画された移動に固有のものであるステップ(101)と、
- 前記確定された衝突地点(50)および前記車両(1)の少なくとも1つの状態パラメータをベースとして、前記車両(1)と道路使用者(2)との起こり得る衝突をチェックするステップ(102)と、
- 前記起こり得る衝突を回避するための適合明細を決定するステップ(103)と、
- 前記車線変更をコントロールするために前記適合明細を提供するステップ(104)と、
を含む方法(100)。
【請求項2】
前記衝突地点(50)を確定する前記ステップ(101)が、
- 前記車線変更を実施するための前記経路(30)を確定するステップと、
- 前記道路使用者(2)の移動が予測される経路(40)を確定するステップと、
- 前記確定された経路を比較し、前記比較をベースとして前記衝突地点(50)が確定されるステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記起こり得る衝突をチェックする前記ステップ(102)が、
- 前記車両(1)が前記衝突地点(50)に達するのに必要な時間を、好ましくは前記少なくとも1つの状態パラメータに基づいて計算するステップと、
- 前記道路使用者(2)が前記衝突地点(50)に達するのに必要な時間を、好ましくは前記道路使用者(2)の少なくとも1つの状態パラメータに基づいて計算するステップと、
- 前記計算された時間を比較し、前記比較をベースとして前記チェックするステップ(102)が前記衝突を予測するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記適合明細を決定する前記ステップ(103)が、前記起こり得る衝突の回避に適した前記車両(1)の加速挙動の計算を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記適合明細、とりわけ前記車両(1)の前記計算された加速挙動をベースとして、衝突のない車線変更のための軌道が決定されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記道路使用者(2)がさらなる1台の車両であり、複数の検出された車両のリストが提供され、前記道路使用者(2)が前記リストから選択されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記移動明細および/または前記状態パラメータが、車両速度の測定によって確定されること、好ましくは運転者支援システムおよび/または自律的な車両機能によって提供されることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記適合明細が、運転者支援システムおよび/または自律的な車両機能のために提供され、前記車線変更を運転者支援システムおよび/または自律的な車両機能によって実行するために、前記適合明細、とりわけ前記車両(1)の前記計算された加速挙動および/または前記軌道をベースとして、前記車両(1)の制御が誘導されることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項9】
コンピュータ(10)によりコンピュータプログラム(20)が実行される際に前記コンピュータ(10)に請求項1~8のいずれか一項に記載の方法(100)を実行させる命令を含むコンピュータプログラム(20)。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法(100)を実行するよう適応されているデータ処理装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車線変更をコントロールするための方法に関する。本発明はさらに、そのためのコンピュータプログラムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車線変更が既に車両で自律的に実施され得ることは公知である。このために、車両の周辺環境についてのおよび車両状態、例えば車両速度についての情報が活用される。
従来の運転者支援システムおよび自律走行機能は、まだその使用可能性に関してしばしば制限があり、例えば気象条件、路面標示の可視性などに左右される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、例えば自律的な車線変更の制御の信頼性にも、まだ限界があることがしばしばである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の対象は、請求項1の特徴を有する方法、請求項9の特徴を有するコンピュータプログラム、および請求項10の特徴を有する装置である。本発明のさらなる特徴および詳細は、それぞれの引用形式請求項、発明の説明、および図面から明らかである。これに関し、本発明による方法との関連で説明される特徴および詳細は、もちろん本発明によるコンピュータプログラムおよび本発明による装置との関連でも適用され、それぞれその逆でもあり、したがって個々の発明態様についての開示に関しては、常に相互に関連付けられるかまたは関連付けられ得る。
【0005】
本発明の対象は、とりわけ、車両(以下では、自車とも言う)の車線変更をコントロールするための方法である。コントロールとは、車線変更に影響を及ぼすこと、好ましくは車線変更を適合および/または制御および/または保全することであり得る。これに相応して車線変更は、車両によって少なくとも部分的または完全に自律的に実施される車線変更として実行され得る。したがって車両は、自律的なおよび/または運転者支援の車両機能を有する自律車両および/または乗用車として形成され得る。この車両機能は、例えば、車線変更を実施するために、車両の加速および/または操縦を、自律的に、つまり運転者の介入なしで制御し得る。
【0006】
本方法は以下の
- 移動明細(Bewegungsspezifikation)、好ましくは移動経路に基づいて衝突地点を確定するステップであって、この移動明細が、車線変更を実施するための経路、とりわけ移動経路に沿ったこの車両の計画された移動に固有のものであるステップ、
- 確定された衝突地点および/または車両の少なくとも1つの状態パラメータをベースとして、車両と(別の)道路使用者、とりわけさらなる1台の車両との起こり得る衝突をチェックするステップ、
- 起こり得る衝突を回避するための適合明細(Anpassungsspezifikation)を決定するステップ、
- 車線変更をコントロールするために適合明細を提供するステップ、
を有してもよく、これらのステップは、好ましくは順々におよび/または繰り返し実行される。
【0007】
したがって本方法は、車線変更が、車線変更に基づく衝突を回避するようにコントロール、つまり例えばチェックおよび/または制御され得るという利点を有する。これに関し移動明細は、車線変更のために設けられた経路を提示し得る。この経路は、例えば前もって相応の車両機能によって計算され得る。さらに、道路使用者に関するこのような経路が確定されること、したがって車線変更のために、車両および道路使用者の移動および位置が予測されることが可能である。
【0008】
本発明による方法はさらに、車両と、この車両が向かっている他の道路使用者とが衝突しないことが保証されるという利点を有し得る。とりわけ、本方法に基づいて最初に、車両の経路と道路使用者の経路が衝突地点を有するかどうかがチェックされ得る。これに相応して、道路使用者はさらなる1台の車両である。衝突地点とは、とりわけ、車両のその時々の位置より先で、両方の車両が近くに寄りすぎており、衝突するかもしれない最初の地点のことであり得る。衝突地点が見つかると、両方の車両が衝突地点に達するのに必要な時間が推定されることにより、両方の車両の間で衝突が起こるか否かがチェックされ得る。車両と道路使用者が同じ時間間隔内に衝突地点に達する場合、衝突が予想される。その場合には、衝突なく車線変更するために、車両がブレーキをかけるべきかまたは加速するべきかが推定され得る。自車が衝突の時点で道路使用者の後ろにいるのであれば、自車がブレーキをかける場合が有利である、そうでない場合には、自車は加速するべきであろう。移動挙動が評価されるとすぐ、必要に応じて、経路の各ウェイポイントのタイムスタンプの推定により、軌道が計算され得る。
【0009】
さらに本発明の枠内で、衝突地点を確定するステップが以下の
- 車線変更を実施するための経路を確定するステップ、
- 道路使用者の移動が予測される経路を確定するステップ、
- 確定された経路を比較し、この比較をベースとして衝突地点が確定されるステップ、
を含むことが考えられる。
【0010】
例えば、車両および道路使用者の速度に依存して、時間に応じた車両および道路使用者の位置が確定されることにより、衝突地点が確定され得る。その際、これらの車両が近すぎるならば、これは衝突が起こり得ると見なされ得る。このために、例えば、衝突が起こり得ると見なすために車両がいなければならない時間間隔および/または空間的危険領域、例えば半径が定義される。これは、衝突が起こり得る確率が、高い信頼性で推定され得るという利点を有する。
【0011】
さらなる利点は、起こり得る衝突をチェックするステップが以下の
- 車両が衝突地点に達するのに必要な時間を、好ましくは少なくとも1つの状態パラメータに基づいて計算するステップ、
- 道路使用者が衝突地点に達するのに必要な時間を、好ましくは道路使用者の少なくとも1つの状態パラメータに基づいて計算するステップ、
- 計算された時間を比較し、この比較をベースとしてこのチェックするステップが衝突を予測するステップ、
を含むことであり得る。
【0012】
これは、衝突確率の推定を可能にする。
さらに任意選択で、適合明細を決定するステップが、起こり得る衝突の回避に適した車両の加速挙動の計算を含むことが企図されている。例えば、衝突を安全に回避するためにおよび/または車両と道路使用者の間隔を最大限に拡大するために必要な、軌道に沿った1つまたは複数の加速が計算され得る。
【0013】
これに加えて本発明の枠内で、適合明細、とりわけ車両の計算された加速挙動をベースとして、衝突のない車線変更のための軌道が決定されることが考えられる。加速挙動とは、例えば、軌道に沿った一連の加速操作および/またはブレーキ操作のことであり得る。これにより車線変更が、車両間の安全間隔が保たれるように制御され得る。
【0014】
好ましくは、本発明の枠内では、道路使用者がさらなる1台の車両であり、(自車の周囲内の)複数の検出された車両のリストが提供され、道路使用者がこのリストから選択されることが企図され得る。これらの車両は、例えばレーダおよび/またはカメラによる記録をベースとして検出される。さらに、選択と、この選択された道路使用者に対するプロセスステップの実施との後に、続いて検出車両のうちのさらなる1台を道路使用者として選択でき、この道路使用者に対するプロセスステップが新たに実施され得る。これが、すべての検出車両に対して繰り返され得る。これにより、自車の周囲内の全部の検出車両に関する衝突の危険をすべて判定することが可能である。
【0015】
さらに本発明の枠内で、任意選択で、移動明細および/または状態パラメータが、車両速度の測定によって確定されること、好ましくは運転者支援システムおよび/または自律的な車両機能によって提供されることが可能である。これにより本発明は、とりわけ他の車両を追い越すため、および/または衝突回避のため、および/または車線の遮断(事故、障害物、工事現場)に基づく車線変更のための、安全な、つまり衝突のない自律的な車線変更を可能にする。これにより本方法は、衝突のない軌道を計算するための改善されたアルゴリズムも提供し、このアルゴリズムは、少なくとも部分的に自律的な車線変更を可能にし得る。
【0016】
適合明細が、運転者支援システムおよび/または自律的な車両機能のために提供されてもよく、車線変更を運転者支援システムおよび/または自律的な車両機能(走行機能とも言う)によって実行するために、適合明細、とりわけ車両の計算された加速挙動および/または軌道をベースとして、車両の制御が誘導される。これに関し本方法は、自律走行用のソフトウェアプラットフォームのために、とりわけ「ハンズフリーオートパイロット」、つまり運転者の介入なしで車両が制御され得る自律走行機能の提供のために使用され得る。この場合、例えば、走行機能がアウトバーン上での車線変更を提供することができる。この走行機能はさらに、一定の走行速度の維持および前を走る車両に対する間隔の維持を提供することができる。それだけでなくこの走行機能は、場合によっては、他の車両を追い越すために、または車道上の障害物との衝突を回避するために、自主的に、かつ安全に、人間の介入なしで車線を変更することができる。この場合、障害物として、場合によっては、車両に車線変更させる可能性のあるすべての車線障害物、例えば工事現場エリアでの立入禁止柵、自動車事故、遅いトラック、車線の遮断、および道路上の物体が含まれ得る。
【0017】
本発明の対象はさらに、コンピュータによりコンピュータプログラムが実行される際にコンピュータに本発明による方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム、とりわけコンピュータプログラム製品である。よって本発明によるコンピュータプログラムは、本発明による方法に関連して詳細に説明したのと同じ利点をもたらす。
【0018】
本発明の対象はさらに、本発明による方法を実行するよう適応されているデータ処理装置である。この装置として、例えば、本発明によるコンピュータプログラムを実行するコンピュータが企図され得る。このコンピュータは、コンピュータプログラムを実行するための少なくとも1つのプロセッサを有し得る。コンピュータプログラムを格納でき、かつプロセッサによりコンピュータプログラムを実行のために読み出せる不揮発性データメモリも企図され得る。
【0019】
本発明の対象はさらに、本発明によるコンピュータプログラムを内包するコンピュータ可読の記憶媒体であり得る。この記憶媒体は、例えばハードディスクおよび/または不揮発性メモリおよび/またはメモリカードのようなデータメモリとして形成されている。記憶媒体は、例えばコンピュータに内蔵され得る。
【0020】
それだけでなく、本発明による方法はコンピュータ実装された方法としても実施され得る。
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、図面を参照しながら本発明の例示的実施形態を詳しく説明する以下の説明から明らかである。これに関し、請求項および発明の説明で言及された特徴はそれぞれ、1つ1つ単独でまたは任意の組合せで、本発明の本質をなし得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の例示的実施形態に基づく方法のための入力データの概略図である。
【
図3】衝突が発生するかどうかをチェックするための条件の概略図である。
【
図4】本発明の例示的実施形態に基づく方法、コンピュータプログラム、および装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
下の図では、同じ技術的特徴に対しては、異なる例示的実施形態によっても同一の符号が使用されている。
本発明の例示的実施形態に基づく方法100は、車両1の車線変更をコントロールするために、好ましくは、車両1(自車とも言う)の車線変更のための衝突のない軌道を計算することが企図され得る。このために方法100はとりわけ、最初に、車線変更中に別の道路使用者2との衝突が起こるか否かをチェックすることができる。続いて、衝突のない車線変更軌道の計算が行われ得る。
【0023】
図1では、車両1の経路30が、座標系{O,x,y}中で関数
【0024】
【0025】
によって定義されており、その一方で道路使用者の経路40が、関数
【0026】
【0027】
によって定義されている。それ以外のラインは道路を定義している。
計算のための入力は、
- 自車1のその時々の状態に関する状態パラメータ、例えば、とりわけオドメトリによって確定された位置、速度、向き、および/または
- 好ましくは関数
【0028】
【0029】
として定義された、車線変更を実施するための自車1の経路30、および/または
- 経路30の終わりでの車両1の予想速度、および/または
- 好ましくは関数
【0030】
【0031】
として定義された経路40を有することが好ましい、道路使用者2、つまり他の車両を表すオブジェクトのリスト、
であり得る。
【0032】
図4では、本発明の例示的実施形態に基づく方法100のプロセスステップが可視化されている。本方法100は、第1のプロセスステップ101で、移動明細に基づいて、
図3に示した衝突地点50の確定を実施し得る。この移動明細は、車線変更を実施するための経路30に沿った車両1の計画された移動に固有のものであり得る。続いて第2のプロセスステップ102に基づき、確定された衝突地点50および車両1の少なくとも1つの状態パラメータをベースとして、車両1と道路使用者2との起こり得る衝突がチェックされ得る。これにより、衝突が起こる見通しがあるかどうかが判定され得る。状態パラメータは、例えば車両1の速度であり、しかし車両1の位置および/または向きも含み得る。第3のプロセスステップ103に基づき、起こり得る衝突を回避するための適合明細の決定が企図され得る。このために例えば、衝突地点50での車両1の速度が、衝突が回避されるように計算され得る。続いて第4のプロセスステップ104に基づき、車線変更をコントロールするために適合明細が提供され得る。これは例えば、車両1の衝突のない軌道の計算を含み得る。コントロールとは、例えば、好ましくは衝突が回避され得るような、車線変更の誘導および/または適合のことである。
【0033】
軌道は、車両1の位置が時間tに沿って示されることで特徴づけられ得る(
図3を参照)。このために、x軸が車両1の速度ベクトルによって方向づけられた座標系中で、経路および軌道が定義され得る(
図1および
図2を参照)。
【0034】
さらに、衝突地点50を確定するステップ101は以下の
- 車線変更を実施するための経路30を確定するステップ、
- 道路使用者2の移動が予測される経路40を確定するステップ、
- 確定された経路を比較し、この比較をベースとして衝突地点が確定されるステップ、
を含んでもよい。
【0035】
図4ではさらに、本発明の例示的実施形態に基づくデータ処理のためのコンピュータプログラム20および装置10が示されている。
以下では、個々のプロセスステップ101~104をさらに詳細に説明する。
【0036】
道路使用者2は、自車1の周囲内で検出された車両のリストから前もって選択されたさらなる1台の車両を意味することができる。これに相応して第1のプロセスステップ101は、(自)車両1の経路30と選択された道路使用者2の経路40との予想される衝突地点50の確定を含み得る。これは、車線変更のための車両1の経路30と道路使用者2の経路40との予想される衝突地点50の計算によって行われ得る。このために最初に、予想される衝突地点50
【0037】
【0038】
が(0,0)として初期化され得る。続いてループ処理が、車両1の経路30に沿って、ステップdxで、経路30の終わりまで誘導され得る。新たなx座標は、
【0039】
【0040】
によって計算され得る。
xに対する車両1の経路30および道路使用者2の経路40のy座標は、以下のように計算され得る。
【0041】
【0042】
【0043】
衝突地点50をチェックするため、以下のように進行され得る。
【0044】
【0045】
の場合、道路使用者2は、コントロールされる車両1に対して左の車線を走行している。このケースでは、
【0046】
【0047】
の場合に、車両1と道路使用者2がウェイポイント(x,yvehicle)で衝突する。
【0048】
【0049】
の場合、道路使用者2は、コントロールされる車両1に対して右の車線を走行している。このケースでは、
【0050】
【0051】
の場合に、車両1と道路使用者2がウェイポイント
【0052】
【0053】
で衝突する。
このチェック条件は
図2に図示されている。座標x1では、地点
【0054】
【0055】
と
【0056】
【0057】
の間隔が、両方の車両1、2の半分の幅より大きく、したがって、
【0058】
【0059】
は、予想される衝突地点50ではない。座標x2では、地点
【0060】
【0061】
と
【0062】
【0063】
の間隔が、両方の車両1、2の半分の幅より短く、したがって、
【0064】
【0065】
は、予想される衝突地点50である。それ以外のラインは道路を定義している。
衝突が確認されると、衝突地点50が、
【0066】
【0067】
【0068】
として更新され、ループ処理から抜ける。そうでない場合には、x座標の計算のステップに戻され得る。プロセスステップ101の出力は、予想される衝突地点50
【0069】
【0070】
および衝突時点での道路使用者2の位置であり得る。ただし、車両1の経路と道路使用者2の経路との衝突地点50の推定は、両方の車両1、2が実際に衝突することを保証しないことを顧慮しなければならない。もっと正確に言うと、両方の車両1、2が、予想される衝突地点50に、同じ時間tにまたは同じ時間幅内に達する場合に衝突する。
【0071】
第2のプロセスステップ102では、衝突が発生する見通しがあるかどうかが評価され得る。言い換えれば、このステップは、車両1と道路使用者2との衝突が、予想される衝突地点50で起こるか否かをチェックする。衝突の発生に関する条件は、車両1と道路使用者2が、予想される衝突地点50に、同じ時点にまたは同じ時間幅内に着くことであり、許容誤差、例えば時間間隔が考慮され得る。このために最初に、
【0072】
【0073】
であるかどうかがチェックされ得る。そうである場合には、フラグ変数
【0074】
【0075】
が設定される。そうでない場合には、以下のように計算を続行でき、この計算では、車両1に関しても道路使用者2に関しても、その時々の位置
【0076】
【0077】
から衝突時の予想位置までの距離が計算される。
【0078】
【0079】
【0080】
下記の方程式は、予想される衝突地点50に達するのに必要な時間の推定を可能にし、車両1に関しても道路使用者2に関してもこの方程式が解かれる。
【0081】
【0082】
式中、時間tは未知数である。パラメータdは、その時々の位置と前もって計算された予想される衝突地点との間の距離であり、v0は、その時々の速度(ノルム)であり、aは、予想される平均加速度である。ここで、車両1のv0は、オドメトリデータから入手可能であり、これに対して道路使用者2のv0は、道路使用者2の追跡(例えばカルマンフィルタを用いたトラッキング)から入手可能である。加速度プロファイルが存在しない場合、その時々の値としての加速度が設定され得る。その代わりに、加速度プロファイルが入手可能な場合、上記の方程式で使用された平均値としての加速度が設定され得る。上記の方程式の解は、衝突地点50までの時間をもたらす。
【0083】
【0084】
式中、
【0085】
【0086】
車両1の衝突までの時間は
【0087】
【0088】
であり、道路使用者2の衝突までの時間は
【0089】
【0090】
である。
その後、道路使用者2が衝突地点50での安全間隔
【0091】
【0092】
を進むために必要な時間が、以下のように推定され得る。
【0093】
【0094】
式中、
【0095】
【0096】
は、衝突地点50での道路使用者2の速度であり、
【0097】
【0098】
として計算される。とりわけ、
【0099】
【0100】
は、車両1が追い越しプロセス中に他の車両1に対して保たなければならない安全間隔である。
図3では、衝突事故に際しての安全間隔が図示されている。車両1は、道路使用者2と正確に同じ時点で衝突地点50に達する。車両1が衝突地点50に、時間間隔
【0101】
【0102】
内に達する場合、車両1は道路使用者2の後ろにいるであろうし、車両1は衝突を回避するためにブレーキをかけるべきであろう。車両1が衝突地点50に、時間間隔
【0103】
【0104】
内に達する場合、車両1は道路使用者2の前にいるであろうし、車両1は衝突を回避するために加速するべきであろう。
続いて、道路使用者2が、予想される衝突地点50
【0105】
【0106】
を中心とする区間
【0107】
【0108】
を進む時間間隔の計算が企図され得る。
【0109】
【0110】
式中、
【0111】
【0112】
【0113】
次いで、車両1と道路使用者2との衝突が起こるかどうかの判定が企図され得る。衝突の発生に関する条件は、
【0114】
【0115】
であり得る。
上記の条件は、車両1が予想される衝突地点50に達する際に道路使用者2も予想される衝突地点50にいること、
【0116】
【0117】
の場合、または車両1に対する道路使用者2の間隔が
【0118】
【0119】
より短いことを意味し、これは、回避されるべき危険な状況を意味している。
【0120】
【0121】
の場合、車両1は道路使用者2の前にいる。
これに対し、
【0122】
【0123】
の場合、車両1は道路使用者2の後ろにいる。
衝突に関する条件が満たされている場合、フラグ変数
【0124】
【0125】
が設定される。このステップは、衝突に関する条件が真である場合に、真であるフラグ変数
【0126】
【0127】
を生成する。
第3のプロセスステップ103に基づき、最初に、衝突地点50での車両1の速度の計算が企図され得ることで、衝突が回避される。これに関してはとりわけ、衝突の場合に車両1が加速するべきかまたはブレーキをかけるべきかが判定される。同様に、衝突地点50での速度が計算され得ることで、衝突が回避される。以下ではこれを例示的に示す。
【0128】
衝突の発生が予測された、つまり
【0129】
【0130】
の場合、最初に、衝突を回避するために必要な車両1の挙動が決定される。
【0131】
【0132】
の場合、車両1は、衝突地点50に達する時点で、
【0133】
【0134】
より小さな間隔で道路使用者2の後ろにいる。この危険な状況を回避するには、車両1は衝突地点50に、道路使用者2に対して
【0135】
【0136】
より大きな間隔をあけて達しなければならない。これを保証するため、車両1はブレーキをかけることができ、車両1に関する衝突までの新たな時間は、
【0137】
【0138】
である。
【0139】
【0140】
の時間分の車両1の減速により、道路使用者2にとっては、区間
【0141】
【0142】
を加えた分だけ車両1の前を走行することが可能になる。
【0143】
【0144】
の場合、車両1は、衝突地点50に達する時点で、
【0145】
【0146】
より短い間隔で道路使用者2の前にいる。この危険な状況を回避するには、車両1は衝突地点50に、道路使用者2に対して
【0147】
【0148】
より大きな間隔をあけて達しなければならない。これを保証するため、車両1は加速することができ、車両1に関する衝突までの新たな時間は、
【0149】
【0150】
である。
車両1が
【0151】
【0152】
の時間分だけ加速されることにより、車両1は道路使用者2に対し、道路使用者2が車両1の後ろの区間
【0153】
【0154】
を進む前に、予想される衝突地点50に達することを可能にする。衝突が生じるかどうかを判定する条件は、
図3に概略的に示されている。衝突地点50での車両1の速度ノルムは、以下のように計算され得る。
【0155】
【0156】
式中、
【0157】
【0158】
は、車両1のその時々の速度のノルムであり、項
【0159】
【0160】
は、その時々の位置から衝突地点50までの車両1の平均速度ノルム(つまり、セグメント
【0161】
【0162】
に沿った平均速度)である。
第4のプロセスステップ104に基づき、車両1の衝突のない軌道が計算され得る。このために、車線変更のための車両1の軌道が、車両1の走行路、つまり経路30
【0163】
【0164】
および衝突地点50での速度
【0165】
【0166】
に基づいて計算され得る。
衝突が予測された、つまり
【0167】
【0168】
の場合、軌道が、既に上で説明したように計算され得る。そうでない場合には、以下のように進行され得る。すなわち最初に、操作時間が、
【0169】
【0170】
として計算され得る。式中、
【0171】
【0172】
は、その時々の速度
【0173】
【0174】
および区間の終わりに予想される速度
【0175】
【0176】
に基づいて計算される平均速度ノルムである。
これに基づいて、x方向およびy方向での平均加速度が、
【0177】
【0178】
【0179】
として計算され得る。式中、
【0180】
【0181】
は、車両1の最終速度の成分である。
その後、平均加速度が制限値を上回らないことがチェックされ得る。
-
【0182】
【0183】
の場合、加速度は、
【0184】
【0185】
として満たされ、操作時間が新たに
【0186】
【0187】
として計算され、他の加速度成分の値は、
【0188】
【0189】
として更新される。
-
【0190】
【0191】
の場合、加速度は、
【0192】
【0193】
として満たされ、操作時間が新たに
【0194】
【0195】
として計算され、他の加速度成分の値は、
【0196】
【0197】
として更新される。
-
【0198】
【0199】
の場合、加速度は、
【0200】
【0201】
として満たされる。
その後、ループ処理が、車両経路に沿って、ステップ
【0202】
【0203】
で作成され得る。各々の新たなx座標に対し、車両1がウェイポイント
【0204】
【0205】
に達する時間tを確定するため、下記の方程式が解かれ得る。
【0206】
【0207】
解は、
【0208】
【0209】
であり、式中、
【0210】
【0211】
である。
その後、軌道のウェイポイント
【0212】
【0213】
および
【0214】
【0215】
が記憶され得る。
続いて、その時々の位置
【0216】
【0217】
から衝突地点50
【0218】
【0219】
までの車両1の軌道の計算が、以下のルーチンによって行われ得る。
最初に、
【0220】
【0221】
での接ベクトルの計算と、正接およびノルム
【0222】
【0223】
を使用した、衝突地点50での速度ベクトルの成分の計算とが企図され得る。成分は、
【0224】
【0225】
および
【0226】
【0227】
と言う。その後、x方向およびy方向に沿った平均加速度の計算が、
【0228】
【0229】
【0230】
として行われ得る。
その後、平均加速度が制限値を上回らないかどうかがチェックされる。
-
【0231】
【0232】
の場合、加速度は、
【0233】
【0234】
として満たされ、操作時間が新たに
【0235】
【0236】
として計算され、他の加速度成分の値は、
【0237】
【0238】
として更新される。
-
【0239】
【0240】
の場合、加速度は、
【0241】
【0242】
として満たされ、操作時間が新たに
【0243】
【0244】
として計算され、他の加速度成分の値は、
【0245】
【0246】
として更新される。
-
【0247】
【0248】
の場合、加速度は、
【0249】
【0250】
として満たされ、衝突地点50に達するまでの時間が新たに
【0251】
【0252】
として計算される。
続いてループ処理が、車両1のその時々の位置
【0253】
【0254】
から、予想される衝突地点50
【0255】
【0256】
まで、車両経路に沿って、ステップ
【0257】
【0258】
で企図され得る。各々の新たなx座標に対し、車両1がウェイポイント
【0259】
【0260】
に達する時間tを確定するため、下記の方程式が解かれ得る。
【0261】
【0262】
解は、
【0263】
【0264】
であり、式中、
【0265】
【0266】
である。
続いて、軌道のウェイポイント
【0267】
【0268】
および
【0269】
【0270】
が記憶され得る。
次いで、衝突地点50
【0271】
【0272】
から経路の最終地点
【0273】
【0274】
までの車両1の軌道の計算が、計算され得る。
軌道の計算には、
【0275】
【0276】
を解く代わりに、方程式
【0277】
【0278】
を解くこともでき、出発位置から徐々に増加する距離としての
【0279】
【0280】
を有し、
【0281】
【0282】
として計算される。これは、x移動もy移動も考慮されるので、場合によってはより正確な計算になり得る。
上記の実施形態の解説は、本発明を例の範囲内でのみ説明している。もちろん、これらの実施形態の幾つかの特徴は、技術的に有意義であれば、本発明の枠を逸脱することなく、自由に相互に組み合わされ得る。
【符号の説明】
【0283】
1 車両
2 道路使用者
10 コンピュータ、データ処理装置
20 コンピュータプログラム
30 車両1の経路
40 道路使用者2の経路
50 衝突地点
100 方法
101 第1のプロセスステップ
102 第2のプロセスステップ
103 第3のプロセスステップ
104 第4のプロセスステップ
【外国語明細書】