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特開2024-76382情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076382
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240529BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023199423
(22)【出願日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2022187650
(32)【優先日】2022-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523004534
【氏名又は名称】日本投資株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】黒木 論一
(57)【要約】
【課題】ゴルフの会員権等の所定の権利の発行を伴う各種サービスのユーザとして、暗号資産の保有者をターゲットとする支援を行うこと。
【解決手段】権利発生制御部511は、所定通貨(円)での所定価格(例えば1000万円)の価値を有する権利の発生を所望するユーザから、前記所定価格に基づいて予め決定された所定暗号資産の所定量(例えば5ビットコイン(登録商標))の預託を受け付けることを権利発生条件として、当該権利を当該ユーザに発生させる制御を実行する。返却制御部52は、前記ユーザから前記所定通貨で前記所定価格を含む必要額(例えば年会費が存在する場合には年会費を含めた額)の支払いを受けたことを返却条件として、予め決定された所定期間(例えば満期期間である5年)が経過するまでに当該返却条件が満たされた場合、預託された前記所定暗号資産の前記所定量を前記ユーザに返却する制御を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定通貨での所定価格の価値を有する権利の発生を所望するユーザから、前記所定価格に基づいて予め決定された所定暗号資産の所定量の預託を受け付けることを権利発生条件として、当該権利を当該ユーザに発生させる制御を実行する権利発生制御手段と、
前記ユーザから前記所定通貨で前記所定価格を含む必要額の支払いを受けたことを含む条件を返却条件として、当該返却条件が満たされた場合、預託された前記所定暗号資産の前記所定量を前記ユーザに返却する制御を実行する返却制御手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記返却制御手段は、さらに、
所定期間が経過しても前記必要額の支払いがなされない場合、
預託された前記所定暗号資産の前記所定量のうち前記必要額に相当する第1量を、前記所定通貨に両替して、当該必要額の支払いとして充当し、
前記所定暗号資産の前記所定量から前記第1量を減算した第2量が存在するとき、当該第2量を前記ユーザに返却する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記権利は、ゴルフ場その他スポーツ施設又は保養のための施設を継続的に利用させる任意の役務の提供を受ける権利である、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記権利は、不動産の所有権である、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記権利は、賃貸費が前記所定価格の賃貸不動産の賃貸契約に基づく使用収益権であり、
前記返却条件は、前記必要額の支払いと共に、前記賃貸契約の終了である、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
所定通貨での所定価格の価値を有する権利の発生を所望するユーザから、前記所定価格に基づいて予め決定された所定暗号資産の所定量の預託を受け付けることを権利発生条件として、当該権利を当該ユーザに発生させる制御を実行する権利発生制御ステップと、
前記ユーザから前記所定通貨で前記所定価格を含む必要額の支払いを受けたことを含む条件を返却条件として、当該返却条件が満たされた場合、預託された前記所定暗号資産の前記所定量を前記ユーザに返却する制御を実行する返却制御ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
所定通貨での所定価格の価値を有する権利の発生を所望するユーザから、前記所定価格に基づいて予め決定された所定暗号資産の所定量の預託を受け付けることを権利発生条件として、当該権利を当該ユーザに発生させる制御を実行する権利発生制御ステップと、
前記ユーザから前記所定通貨で前記所定価格を含む必要額の支払いを受けたことを含む条件を返却条件として、当該返却条件が満たされた場合、預託された前記所定暗号資産の前記所定量を前記ユーザに返却する制御を実行する返却制御ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゴルフ場の運営会社は、ユーザに会員権を発行して、当該ゴルフ場に関する各種サービスを当該ユーザに提供していた。このような会員権の発行を管理するシステムは存在する(例えば特許文献1参照)。
このようなゴルフの会員権のユーザの多くはいわゆる従来の富裕層であるところ、暗号資産を多く保有するいわゆる新富裕層もユーザのターゲットにしていきたいという要望が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-181383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含め従来の技術では、暗号資産を考慮するといった概念はなく、新富裕層もユーザのターゲットにしていきたいという要望に応えることは困難な状況である。
このような状況は、ゴルフの会員権の発行を伴うサービスのみならず、所定の権利の発行を伴う各種サービスに当てはまるものである。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ゴルフの会員権等の所定の権利の発行を伴う各種サービスのユーザとして、暗号資産の保有者をターゲットとする支援を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の情報処理装置は、
所定通貨での所定価格の価値を有する権利の発生を所望するユーザから、前記所定価格に基づいて予め決定された所定暗号資産の所定量の預託を受け付けることを権利発生条件として、当該権利を当該ユーザに発生させる制御を実行する権利発生制御手段と、
前記ユーザから前記所定通貨で前記所定価格を含む必要額の支払いを受けたことを含む条件を返却条件として、当該返却条件が満たされた場合、預託された前記所定暗号資産の前記所定量を前記ユーザに返却する制御を実行する返却制御手段と、
を備える。
【0007】
本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムの夫々は、上述の本発明の一態様の情報処理システムに対応する情報処理方法及びプログラムの夫々である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ゴルフの会員権等の所定の権利の発行を伴う各種サービスのユーザとして、暗号資産の保有者をターゲットとする支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の情報処理装置の一実施形態が適用される本サービスとして、ゴルフの会員権を適用した場合のサービスの概要を示すイメージ図である。
図2図1の本サービスに適用される情報処理システム、即ち、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサービス提供者サーバを含む情報処理システムの構成例を示す図である。
図3図2の情報処理システムのうちサービス提供者サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図3のサービス提供者サーバの機能的構成の概要を示す機能ブロック図である。
図5図4の機能的構成を有するサービス提供者サーバにより実行される処理の一例であって、図1の例の本サービスを実現するための処理の一例を説明するフローチャートである。
図6】本発明の情報処理装置の一実施形態が適用される本サービスとして、不動産の所有権を適用した場合のサービスの概要を示すイメージ図である。
図7図4の機能的構成を有するサービス提供者サーバにより実行される処理の一例であって、図6の例の本サービスを実現するための処理の一例を説明するフローチャートである。
図8】本発明の情報処理装置の一実施形態が適用される本サービスとして、賃貸不動産の使用収益権を適用した場合(暗号資産の預託量を敷金相当として活用する場合)のサービスの概要を示すイメージ図である。
図9図4の機能的構成を有するサービス提供者サーバにより実行される処理の一例であって、図1の例の本サービスを実現するための処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、本発明の情報処理装置の一実施形態が適用される本サービスとして、ゴルフの会員権を適用した場合のサービスの概要を示すイメージ図である。
【0012】
図1に示すように、本サービスは、仮想資産での予め決められた預託量BがユーザUからサービス提供者Sに預託されることを条件として、日本国の法定通貨の円建て(現金)で所定価格Cを有するゴルフの会員権R1をサービス提供者SからユーザUに対して発生させるサービスである。
ここで、以下の例では説明の便宜上、ビットコイン(登録商標)が採用されており、預託量BCは5ビットコイン(登録商標)が採用されているものとする。
また、所定価格Cは、1000万円が採用されているものとする。
【0013】
ここで、重要な点は、サービス提供者Sによるビットコイン(登録証)BについてのユーザUとの間の行為は、「暗号資産交換業」に該当せず、あくまでも「預託」に基づく行為であるという点である。
即ち、サービス提供者Sは、日本国の法定通貨の円建てで所定価格C(1000万円)の支払請求権を担保するという目的で、「自己のために」暗号資産での予め決められた預託量Bの「預託」を受ける。サービス提供者S自体は、暗号資産交換業者の1ユーザとして同業者内の自己名義の口座で、暗号資産での予め決められた預託量B(5ビットコイン(登録商標))を保持する(同業者に対して保持を委託する)ものである。そのため、本サービスにおける暗号資産での予め決められた預託量B(5ビットコイン(登録商標))の「預託」は、サービス提供者Sにとって、「利用者の金銭の管理をする」ものでもなく、また「他人のために暗号資産の管理をすること」にも該当しないものと思料する。
【0014】
このような「預託」であるため、以下の条件(以下、「返却条件」と呼ぶ)を満たせば、サービス提供者Sは、暗号資産での預託量B(5ビットコイン(登録商標))を返却する。
即ち、サービス提供者Sにより予め定められた期間が満期になると、会員権K1の本来の所定価格C(1000万円)を現金(円)で回収(償却)するという契約が、ユーザUとサービス提供者Sとの間で締結されており、満期までに、現金で所定価格C(1000万円)が回収されるという条件が「返却条件」である。
なお、この所定価格以外に、毎年、年会費が徴収されるという契約もなされていれば、所定価格C(1000万円)と共に年会費も現金(円)で徴収されているという条件が、「返却条件」になる。
ここで、「期間」は、サービス提供者Sが任意に設定することが可能であり、例えば3年から10年が想定されるが、預託量Bを高めに設定して無期限とすることもできる。
【0015】
従って、満期当日のみならず、満期前の任意のタイミング(ただしサービス提供者Sにとっての営業日)で、ユーザUが所定価格C(1000万円)と必要に応じて年会費を現金(円)でサービス提供者Sに支払うと、返却条件が満たされることになる。その結果、預託量B(5ビットコイン(登録商標))が即時にサービス提供者SからユーザUに返却される。
【0016】
なお、満期を過ぎても「返却条件」が満たされない場合、即ち、ユーザUが所定価格C(1000万円)(年会費があればさらに満期までの年会費の価格)の全額を、現金(円)でサービス提供者Sに支払わなかった場合、次のような取り扱いとなる。
即ち、満期を過ぎても「返却条件」が満たされないことがサービス提供者Sに認識された時点で強制的に、サービス提供者Sは、預託量B(5ビットコイン(登録商標))のうち、所定価格C(1000万円)(年会費があればさらに満期までの年会費の価格)の分だけ、日本国の法定通貨である円に両替する。これにより、サービス提供者Sは、所定価格C(1000万円)(年会費があればさらに満期までの年会費の価格)の全額を徴収する。そして、サービス提供者Sは、さらに、ユーザUの退会処理も実行する。
ここで、所定価格C(1000万円)(年会費があればさらに満期までの年会費の価格)の全額が徴収されても、暗号資産での預託量Bが残っている場合(例えば1ビットコイン(登録商標)が残っている場合)、その残り(例えば1ビットコイン(登録商標))は、暗号資産でユーザUに返却される。
一方、ビットコイン(登録商標)Bの預託量B(例えば5ビットコイン(登録商標))が日本国の法定通貨である円に両替されても、所定価格C(1000万円)(年会費があればさらに満期までの年会費の価格)よりも低い価格で足りない場合(例えば100万円足りない場合)、当該足りない価格(例えば100万円)が現金(円)でさらにユーザUに対して請求されることになる。
【0017】
このような図1に示す本サービスが提供されることで、ユーザUに対して次のようなメリットが発生する。
即ち、ユーザUとしては、暗号資産を一定量(図1の例では、5ビットコイン(登録商標)以上)を保有している者(以下、「暗号資産保有者」と呼ぶ)がターゲットとなる。
このような暗号資産保有者とって、本サービスのユーザUになることで、暗号資産を保有したまま、有効活用できるというメリットが生じる。
具体的には例えば、暗号保有者(特に日本人)は、値上がり期待から長期保有(いわゆる「ガチホ」と呼ばれる保有)をする傾向にあるため、以下のような観点でメリットを感じる。
即ち、暗号資産保有者が、仮に(本サービスとは異なり)、会員権R1の発生のために契約時に暗号資産で直接支払う又は暗号資産を現金化(日本国の法定通貨の円に両替して支払う)ものとした場合、手元の暗号資産が減ってしまうことになる。よって、手元の暗号資産の長期保有を所望する暗号資産保有者にとっては好ましくない。さらに、両替とみなされ課税所得になるケースもある。また、支払い時のレートで損得があるため、暗号資産保有者にとって、今すぐ払おうというマインドになりにくい。
また、暗号資産保有者が、仮に(本サービスとは異なり)、会員権R1の発生のために契約時に現金(円)で支払うものとした場合(即ち、普通の販売手法を採用した場合)、暗号資産を大量に保有していても、現金(円)を潤沢に保有していないことが多い。よって、暗号資産保有者にとっては好ましくない。
これに対して、本サービスでは、暗号資産の「預託」を採用しているので、暗号資産保有者は、契約時には暗号資産を一定量だけ預け、その後任意のタイミングで現金(円)で支払えばよい。このように、暗号資産保有者にとって、手元の暗号資産を減らさなくて良いというメリットが生じる。即ち、暗号資産保有者は、満期までの間に現金(円)を稼いだり、レートの良い時期に手元の暗号資産を現金(円)に換金して支払うことができる、というメリットが暗号資産保有者に生じる。
【0018】
また、図1に示す本サービスが提供されることで、サービス提供者Sに対して次のようなメリットが発生する。
上述したように、ユーザUは、暗号資産保有者である。特に、暗号資産を多量に保有している暗号資産保有者は、「新富裕層」と言われている。サービス提供者Sは、上述のユーザUのメリットを用いて、新富裕層相手にマーケティングをすることができる。
具体的には、暗号資産は利用用途が現状限られているため、新富裕層等暗号資産保有者は、有効活用法を探している状況である。かかる状況に鑑みれば、サービス提供者Sは、適切な場所で本サービスの広告や告知すれば効率よくターゲットにリーチすることができる。
ここで、預託金≒担保としてみた場合の暗号資産、例えばビットコイン(登録商標)は、短期的には価格変動が激しくリスキーなものの、中長期では明確な上昇傾向があるため、ユーザUが満期で現金(円)を用意できなかった場合も、サービス提供者Sにとって回収漏れのリスクは低い。例であげたように、5ビットコイン(登録商標)で1000万円を下回ることはまず考えにくい。具体的には例えば会員権R1の所定価格Cを上述の1000万円(かつ、5年分の年会費を年100万円でトータル500万円)とすると、2022年9月のレートではおおよそ4ビットコイン(登録商標)である。5~6ビットコイン(登録商標)の預託金Bを契約時に預託として取ることで、その後レートが半額になっても、日本国の法定通貨立てを割り込むことはないと想定できる。なお、2022年9月のビットコイン(登録商標)のレートは、最高値の3分の1の価格であり、スタートとしては非常に良いレート状況であると想定できる。
当然ながら、上記は例示に過ぎず、サービス提供者Sは、サービス開始時に、自身の状況や戦略に応じて、会員権R1の所定価格Cを円建てで決定し、そのサービスの開始時の暗号資産(例えばビットコイン(登録商標)のレートの応じて預託量Bを自在に設定できるのも、メリットのひとつである。
【0019】
次に、このような図1の本サービスに適用される情報処理システムの構成について説明する。
図2は、図1の本サービスに適用される情報処理システム、即ち、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサービス提供者サービス提供者サーバを含む情報処理システムの構成例を示す図である。
【0020】
図2に示す情報処理システムは、サービス提供者サーバ1と、ユーザ端末2と、暗号資産交換業者サーバ3と、銀行サーバ4とが、インターネット等の所定のネットワークを介して相互に接続されることで構成される。
【0021】
本実施形態におけるサービス提供者サーバ1は、図1の本サービスのサービス提供者Sによって管理されるサーバである。
ユーザ端末2は、図1の本サービスの提供を受けるユーザUにより管理される端末である。
暗号資産交換業者サーバ3は、サービス提供者Sとは異なる者であって、所定の暗号資産交換業者によって管理されるサーバである。即ち、上述したように、暗号資産交換業者からみれば、サービス提供者SはユーザUと同様に、所定の暗号資産(例えばビットコイン(登録商標))の入出が行われるための暗号資産口座を保有する1ユーザに過ぎない。
銀行サーバ4は、サービス提供者Sとは異なる者であって、日本国の法定通貨である円の取扱いが可能な銀行によって管理されるサーバである。即ち、銀行からみれば、サービス提供者SはユーザUと同様に、現金(円)の入出が行われるための銀行口座を保有する1ユーザに過ぎない。
【0022】
図3は、図2の情報処理システムのうちサービス提供者サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0023】
サービス提供者サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0024】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0025】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0026】
入力部16は、各種ハードウェア鉛等で構成され、各種情報を入力する。
出力部17は、各種液晶ディスプレイ等で構成され、各種情報を出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(例えば図2のユーザ端末2及び暗号資産交換業者サーバ3)との間で行う通信を制御する。
【0027】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。またリムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0028】
なお、図示はしないが、ユーザ端末2及び暗号資産交換業者サーバ3も図3に示すハードウェア構成を有している。
【0029】
図4は、図2の情報処理システムのうち図3のサービス提供者サーバの機能的構成の概要を示すブロック図である。
【0030】
図4に示すように、サービス提供者サーバ1のCPU11においては、権利管理部51と、ユーザ通信制御部52と、暗号資産交換業者通信制御部53と、銀行通信制御部54とが機能する。
【0031】
権利管理部51は、サービス提供者Sが提供する本サービスで利用可能な図1の会員権R1を管理するための各種制御を実行する。
ユーザ通信制御部52は、権利管理部51の制御のうち、ユーザ端末2と通信が必要な制御が実行される際に機能して、通信部19を介してユーザ端末2と通信をすることで、各種情報をユーザ端末2と権利管理部51との間で授受する。
暗号資産交換業者通信制御部53は、権利管理部51の制御のうち、暗号資産交換業者サーバ3と通信が必要な制御が実行される際に機能して、通信部19を介してユーザ端末2と通信をすることで、各種情報を暗号資産交換業者サーバ3と権利管理部51との間で授受する。
銀行通信制御部54は、権利管理部51の制御のうち、暗号資産交換業者サーバ3と通信が必要な制御が実行される際に機能して、通信部19を介してユーザ端末2と通信をすることで、各種情報を暗号資産交換業者サーバ3と権利管理部51との間で授受する。
【0032】
具体的には、権利管理部51は、サービス提供者Sが提供する本サービスで利用可能な図1の会員権R1を管理すべく、権利発生制御部511と、返却制御部512とを有している。
【0033】
権利発生制御部511は、会員権R1の発生を所望するユーザUから、所定価格C(例えば1000万円)に基づいて予め決定された所定暗号資産の預託量B(例えば5ビットコイン(登録商標))の預託を受け付けることを権利発生条件として、会員権R1をユーザUに発生させる制御を実行する。
【0034】
具体的には例えば、権利発生制御部511は、ユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、会員権R1の発生の申し込みを受付ける。このとき、ユーザUは、ユーザ端末2を操作して、暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、所定暗号資産の預託量B(例えば5ビットコイン(登録商標))をサービス提供者Sの暗号資産口座に振り込む。権利発生制御部511は、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、預託量B(例えば5ビットコイン(登録商標))がサービス提供者Sの暗号資産口座に対してユーザから振り込まれたことの確認をする。
権利発生制御部511は、預託量B(例えば5ビットコイン(登録商標))の振り込みを確認すると、ユーザUに対して会員権R1を発生させる。即ち、権利発生制御部511は、例えばユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、当該会員権R1が発生していることを示す会員権書等を送信する。
【0035】
返却制御部512は、ユーザUから現金(円)で所定価格C(例えば1000万円)を含む必要額(年会費がある場合には年会費を含む額)の支払いを受けたことを返却条件として、予め決定された所定期間が経過するまでに(満期になるまで)当該返却条件が満たされた場合、所定暗号資産の預託量B(例えば5ビットコイン(登録商標))をユーザUに返却する制御を実行する。
【0036】
具体的には例えば、ユーザUは、ユーザ端末2を操作して、銀行サーバ4と通信をすることで、会員権R1の所定価格C(例えば1000万円)を含む必要額(例えば年会費を含む額)を現金(円)でサービス提供者Sの銀行口座に振り込むと共に、振り込んだ旨をサービス提供者サーバ1に通知する。
返却制御部512は、ユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、当該通知を受け取ると、銀行通信制御部54を介して銀行サーバ4と通信をすることで、必要額が現金(円)で、サービス提供者Sの銀行口座に対してユーザから振り込まれたことの確認をする。
返却制御部512は、必要額の現金(円)での振り込みを確認すると、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、預託量B(例えば5ビットコイン(登録商標))をユーザUの暗号資産口座に対して振り込む依頼をする。
このようにして、予め決定された所定期間が経過するまでに(満期になるまで)返却条件が満たされると、所定暗号資産の預託量B(例えば5ビットコイン(登録商標))がユーザUに返却される。
【0037】
なお、返却制御部512は、満期を過ぎた所定タイミングで、銀行通信制御部54を介して銀行サーバ4と通信をして、会員権R1の所定価格C(例えば1000万円)を含む必要額(例えば年会費を含む額)が現金(円)で、サービス提供者Sの銀行口座に対してユーザから振り込まれていないことを確認した場合、満期を過ぎても返却条件が満たされていないと判断する。
この場合、返却制御部512は、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、サービス提供者Sの暗号資産口座にある預託量B(例えば5ビットコイン(登録商標))のうち、必要額に相当する量を両替して、サービス提供者Sの銀行口座に現金(円)で振り込むよう依頼をする。さらに、返却制御部512は、サービス提供者Sの暗号資産口座に両替後も預託量Bが残っている場合(例えば1ビットコイン(登録商標)が残っている場合)、その残っている量(例えば1ビットコイン(登録商標))をユーザUの暗号資産口座に振り込むよう依頼をする。
そして、返却制御部512は、銀行通信制御部54を介して銀行サーバ4と通信をして、必要額が現金(円)で、サービス提供者Sの銀行口座に対して暗号資産交換業者から振り込まれていることを確認する。
この場合、権利発生制御部511は、退会処理として、例えば、ユーザUに対する会員権R1を消滅させ、ユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、当該会員権R1が消滅した旨を通知する。
【0038】
図5は、図4の機能的構成を有するサービス提供者サーバにより実行される処理の一例であって、図1の例の本サービスを実現するための処理の一例を説明するフローチャートである。
例えば、サービス提供者サーバ1は、ユーザUから会員権R1の発生の申し込みを受付けると、図5の処理を開始させる。
【0039】
ステップS1において、権利発生制御部511は、暗号資産の預託があったか否かを判定する。
具体的には例えば、権利発生制御部511は、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、預託量B(例えば5ビットコイン(登録商標))がサービス提供者Sの暗号資産口座に対してユーザから振り込まれたことの確認をすることで、暗号資産の預託があったか否かを判定する。
預託量Bの振り込みが確認されない場合、ステップS1においてNOであると判定されて、処理はステップS1に戻される。
これに対して、預託量Bの振り込みが確認された場合、ステップS1においてYESであると判定されて、権利発生条件が満たされたものとして、処理はステップS2に進む。
【0040】
ステップS2において、権利発生制御部511は、所定価格C(例えば1000万円)の会員権R1を、ユーザUに対して発生させる。
具体的には例えば、権利発生制御部511は、ユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、当該会員権R1が発生していることを示す会員権書等を送信する。
【0041】
ステップS3において、返却制御部512は、所定価格C(例えば1000万円)を含む必要額(年会費がある場合には年会費を含む額)の現金(円)での支払いがあったか否かを判定する。
具体的には例えば、返却制御部512は、ユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、当該通知を受け取ると、銀行通信制御部54を介して銀行サーバ4と通信をすることで、必要額が現金(円)で、サービス提供者Sの銀行口座に対してユーザから振り込まれたことの確認をすることで、当該必要額の現金(円)での支払いがあったか否かを判定する。
【0042】
必要額の現金(円)での支払いがあったと判定された場合、返却条件が満たされたものとして、ステップS3においてYESであると判定されて、処理はステップS4に進む。
ステップS4において、返却制御部512は、預託された暗号資産をユーザUに返却する処理を実行する。
具体的には例えば、ステップS3においてYESであると判定された場合とは、返却条件が満たされた場合であるので、ユーザUに対する暗号資産の返却量は、預託量B(例えば5ビットコイン(登録商標))全てである。この場合、ステップS4において、返却制御部512は、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、預託量B(例えば5ビットコイン(登録商標))をユーザUの暗号資産口座に対して振り込む依頼をする。
これにより、処理は終了となる。
【0043】
これに対して、所定価格C(例えば1000万円)を含む必要額(年会費がある場合には年会費を含む額)の現金(円)での支払いが未だの場合、ステップS3においてNOであると判定されて、処理はステップS5に進む。
ステップS5において、返却制御部512は、償却期間が経過したか(満期となったか)否かを判定する。
未だ償却期間が経過していない(満期となっていない)場合、ステップS5においてNOであると判定されて、処理はステップS3に戻される。
【0044】
これに対して、償却期間が経過した(満期を過ぎた)場合、ステップS5においてYESであると判定され、償却期間が経過しても(満期を過ぎても)返却条件が満たされなかったものとして、処理はステップS6に進む。
ステップS6において、返却制御部512は、暗号資産の預託量Bの少なくとも一部を両替して、所定価格C(例えば1000万円)を含む必要額(年会費がある場合には年会費を含む額)を現金(円)で清算する。
ここで、少なくとも一部としたのは、一般的には、清算時のレートによって、暗号資産の預託量Bの円換算額が、必要額を超えている場合が多く、この場合には、預託量Bのうち、必要額に相当する量(例えば4ビットコイン(登録商標))だけ両替すればよいからである。即ち、返却制御部512は、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、サービス提供者Sの暗号資産口座にある預託量B(例えば5ビットコイン(登録商標))のうち、必要額に相当する量(例えば4ビットコイン(登録商標))を両替して、サービス提供者Sの銀行口座に現金(円)で振り込むよう依頼をする。
【0045】
ステップS7において、返却制御部512は、ユーザUから預託された暗号資産が残っているか否かを判定する。
【0046】
具体的には例えば上述の例でいえば、5ビットコイン(登録商標)の預託量Bのうち、必要額に相当する量として4ビットコイン(登録商標)だけ両替されたので、1ビットコイン(登録商標)だけ残っている。
この場合、ステップS7においてYESであると判定されて、処理はステップS4に進む。
ステップS4において、返却制御部512は、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、預託された暗号資産の残量(例えば1ビットコイン(登録商標))をユーザUの暗号資産口座に振り込むよう依頼をする。
これにより、処理は終了となる。
なお、必要に応じて、権利発生制御部511は、退会処理として、例えば、ユーザUに対する会員権R1を消滅させ、ユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、当該会員権R1が消滅した旨を通知してもよい。
【0047】
これに対して、例えば、現金(円)での精算額が1500万円であるところ、ステップS6の清算時にレートが下がり、5ビットコイン(登録商標)が1400万円でしか両替できなかったものとする。即ち、5ビットコイン(登録商標)の預託量Bの全てが両替されても、100万円足りなかったものとする。
この場合、ステップS7においてNOであると判定されて、処理はステップS8に進む。
ステップS8において、返却制御部512は、ユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、現金(円)で100万円の請求書をユーザUに発行する等の請求処理を実行する。
これにより、処理は終了となる。
この場合も、必要に応じて、権利発生制御部511は、退会処理として、例えば、ユーザUに対する会員権R1を消滅させ、ユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、当該会員権R1が消滅した旨を通知してもよい。
【0048】
さらに以下、図4の機能的構成を有するサービス提供者サーバ1が図5の処理を実行することで可能となる、図1の本サービスについて5つの具体的事例を用いて説明する。
なお、以下の5つの具体的事例では、図1の例に併せて、仮想通貨の預託量Bは5ビットコイン(登録商標)であり、会員権R1の所定価格Cは1000万円であり、満期期間は5年であるものとする。また、説明の便宜上、ユーザUが満期に支払う現金(円)の必要額は、年会費を考慮せずに、所定価格Cの1000万円だけであると仮定する。
また、2022年9月が契約時点であり、このときのレートは、1ビットコイン(登録商標)=280万円であったものとする。即ち、2022年9月に、ユーザUは、サービス提供者Sに、預託量Bとして5ビットコイン(登録商標)(1400万円相当)を預託したものとする。同時に、サービス提供者Sは、ユーザUに会員権R1を発行したものとする。
即ち、図5のステップS2までの処理は、以下の5つの具体的事例において同一条件であるとする。
【0049】
第1の具体的事例は、満期前の所定時点で、現金支払いがあり、その時点での仮想通貨が値上がりしている場合の例である。
この例では、契約から2年経過(満期前)の時点である2024年9月においては、仮想通貨が値上がりしており、このときのレートが、1ビットコイン(登録商標)=500万円になったものとする。そこで、この2024年9月に、ユーザUは、1000万円を現金(円)でサービス提供者Sに支払ったものとする。
この場合、図5の処理では、ステップS5の判定はNOであるという状態でステップS3においてYESであると判定される。その結果、ステップS4の処理が実行されるので、サービス提供者SからユーザUに対して、預託量Bとして5ビットコイン(登録商標)(この時点では2500万円相当)が返却される。
以上で取引終了となる。
この第1の具体的事例では、ユーザUは、値上がり中の暗号資産(5ビットコイン(登録商標))を保持したまま、会員権R1を享受できる。また、ユーザUは、所定価格Cを現金で支払った後は、暗号資産(5ビットコイン(登録商標))が手元に戻るため、いわゆるガチホを続けるも良し、それを別途現金化するも良しで自由にできる。
一方、サービス提供者Sは、正規の会員権代金である所定価格Cを現金(円)で確実に徴収できる。
【0050】
第2の具体的事例は、満期の時点で、現金支払いがあり、その時点での仮想通貨が値上がりしている場合の例である。
この例では、契約から5年経過した満期の時点である2027年9月において、仮想通貨が値上がりしており、このときのレートが、1ビットコイン(登録商標)=500万円になったものとする。この2027年9月に、ユーザUは契約通り、1000万円を現金(円)でサービス提供者Sに支払ったものとする。
この場合も、第1の具体的事例と同様に、図5の処理では、ステップS5の判定はNOであるという状態でステップS3においてYESであると判定される。その結果、ステップS4の処理が実行されるので、サービス提供者SからユーザUに対して、預託量Bとして5ビットコイン(登録商標)(この時点では2500万円相当)が返却される。
以上で取引終了となる。
この第2の具体的事例では、ユーザUは、値上がり中の暗号資産(5ビットコイン(登録商標))を保持したまま、会員権R1を享受できる。
即ち、満期まで5年あるので、この第2の具体的事例のように、ユーザUは、満期までの間に現金(円)を稼げば、暗号資産(5ビットコイン(登録商標))を切り崩す必要がない。
一方、サービス提供者Sは、正規の会員権代金である所定価格Cを現金(円)で確実に徴収できる。
【0051】
第3の具体的事例は、満期の時点で現金支払いがないものの、その時点での仮想通貨が値上がりしている場合の例である。
この例でも第2の具体的事例と同様に、契約から5年経過した満期の時点である2027年9月においては、仮想通貨が値上がりしており、このときのレートが、1ビットコイン(登録商標)=500万円になったものとする。
しかしながら、この2027年9月の時点で、ユーザUは、1000万円を現金(円)でサービス提供者Sに支払わなかったものとする。
この場合、図5の処理では、ステップS5でYESであると判定されて、ステップS6の処理が実行される。その結果、サービス提供者Sが、暗号資産の預託量B(5ビットコイン(登録商標))のうち、1000万円相当額の2ビットコイン(登録商標)を両替して、所定価格Cとして現金(円)で徴収する。
この場合、3ビットコイン(登録商標)(1500万円相当)が残るので、ステップS7においてYESであると判定されて、ステップS4の処理が実行されて、当該3ビットコイン(登録商標)(1500万円相当)がユーザUに返却される。
以上で取引終了となる。
この第3の具体的事例では、ユーザUは、現金(円)を1円も支払うことなく、会員権R1を手にでき、満期までの間(5年間)は会員権R1に基づく各種利益を享受することができ、余った暗号資産(3ビットコイン(登録商標)(1500万円相当))も戻ってくる。
一方、サービス提供者Sは、正規の会員権代金である所定価格Cを現金で確実に徴収できる。
【0052】
第4の具体的事例は、満期の時点で現金支払いがあったものの、その時点での仮想通貨が値下がりしていた場合の例である。
この例では、契約から5年経過した満期の時点である2027年9月においては、仮想通貨が値下がりしており、このときのレートが、1ビットコイン(登録商標)=150万円になったものとする。
この2027年9月の時点で、ユーザUは契約通り、1000万円を現金(円)でサービス提供者Sに支払ったものとする。
この場合、図5の処理では、第2の具体的事例と同様に、図5の処理では、ステップS5の判定はNOであるという状態でステップS3においてYESであると判定される。その結果、ステップS4の処理が実行されるので、サービス提供者SからユーザUに対して、預託量Bとして5ビットコイン(登録商標)(この時点では750万円相当)が返却される。
以上で取引終了となる。
この第4の具体的事例では、ユーザUは、会員権R1の所定価格C(1000万円)の支払いを最大で満期(5年間)まで遅らせることができる。暗号資産の預託量B(5ビットコイン(登録商標)(750万円相当))も戻ってくる。
一方、サービス提供者Sは、正規の会員権代金である所定価格Cを現金で確実に徴収できる。
【0053】
第5の具体的事例は、満期の時点で現金支払いがなく、かつ、その時点での仮想通貨が値下がりしていた場合の例である。
この例では、第4の具体的事例と同様に、契約から5年経過した満期の時点である2027年9月においては、仮想通貨が値下がりしており、このときのレートが、1ビットコイン(登録商標)=150万円になったものとする。
この2027年9月の時点で、ユーザUは、1000万円を現金(円)でサービス提供者Sに支払わなかったものとする。
この場合、図5の処理では、ステップS5でYESであると判定されて、ステップS6の処理が実行される。その結果、サービス提供者Sが、暗号資産の預託量B(5ビットコイン(登録商標))を全て両替した750万円を現金(円)で徴収する。
この場合、預託量B(5ビットコイン(登録商標))を全て両替しても、所定価格C(1000万円)の一部である750万円の現金(円)しか徴収できず、残り250万円の現金(円)のさらなる徴収が必要になる。そこで、ステップS7においてNOであると判定されて、ステップS8の請求処理が実行される。即ち、残りの250万円を支払うよう、ユーザUに請求がなされる。
なお、図5のステップS7は必須な工程ではなく、サービス提供者Sの選択によって削除することは可能である。即ち、サービス提供者Sは、そのリスクを自身で負うならば、請求しないという選択をしてもよい。
以上で取引終了となる。
この第5の具体的事例のみ、第1乃至第4の具体的事例とは異なり、サービス提供者Sに代金回収リスクが発生する。
このため、サービス提供者Sは、会員権R1の正規料金である所定価格Cを割り込まないような、暗号資産の預託量Bを適切に設定(例えば第5の具体的事例ならば7ビットコイン(登録商標)(満期時点で1050万円相当)に設定)するとよい。
【0054】
以上、本サービスとして、ゴルフの会員権について説明したが、本サービスは、上述の実施形態に限定されるものではなく、本サービスの目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0055】
即ち、上述の例では、本サービスで適用される会員権R1は、ゴルフに対するものであったが、特にこれに限定されず、ゴルフ場その他スポーツ施設又は保養のための施設を継続的に利用させる任意の役務(以下、「指定役務」と呼ぶ)の提供を受ける権利であってもよい。
さらに、本サービスに適用可能な権利は、会員権Rに特に限定されず、所定通貨での所定価格の価値を有する権利であれば足りる。
具体的には例えば、ホテル、レストラン、或いはスパの利用権、不動産の所有権、アートの所有権、ITシステムの利用権、暗号資産両替業の一環としてエスクロー的なサービス提供を受ける権利等各種各様な権利を、本サービスに適用することが可能になる。
【0056】
以下、本サービスに対して不動産の所有権を適用した場合の例について図6及び図7を参照して、本サービスに対して賃貸不動産の使用収益健を適用した場合の例(暗号資産の預託量を当該賃貸不動産の賃貸における敷金相当として活用する例)について図8及び図9を参照して、その順番に夫々説明する。
【0057】
図6は、本発明の情報処理装置の一実施形態が適用される本サービスとして、不動産の所有権を適用した場合のサービスの概要を示すイメージ図である。
【0058】
図6に示す本サービスは、仮想資産での予め決められた預託量BがユーザUからサービス提供者Sに預託されることを条件として、日本国の法定通貨の円建て(現金)で所定価格Cを有する不動産の所有権R2をサービス提供者SからユーザUに対して発生させるサービスである。
ここで、以下の例では説明の便宜上、ビットコイン(登録商標)が採用されており、預託量BCは15ビットコイン(登録商標)が採用されているものとする。
また、所定価格Cは、3000万円が採用されているものとする。
【0059】
ここで、重要な点は、図1のゴルフの会員権R1と同様に不動産の所有権R2についても、サービス提供者Sによるビットコイン(登録証)BについてのユーザUとの間の行為は、「暗号資産交換業」に該当せず、あくまでも「預託」に基づく行為であるという点である。
【0060】
このような「預託」であるため、以下の返却条件を満たせば、サービス提供者Sは、暗号資産での預託量B(5ビットコイン(登録商標))を返却する。
即ち、サービス提供者Sにより予め定められた期間までに、不動産の所有権R2を得るための本来の所定価格C(1000万円)を現金(円)で支払うという契約が、ユーザUとサービス提供者Sとの間で締結されており、当該期間までに、現金で所定価格C(3000万円)が回収されるという条件が「返却条件」である。
ここで、「期間」は、サービス提供者Sが任意に設定することが可能であり、例えば数ケ月であってもよいが、預託量Bを高めに設定して長期間又は無期限とすることもできる。
【0061】
従って、満期当日のみならず、満期前の任意のタイミング(ただしサービス提供者Sにとっての営業日)で、ユーザUが所定価格C(3000万円)を現金(円)でサービス提供者Sに支払うと、返却条件が満たされることになる。その結果、預託量B(15ビットコイン(登録商標))が即時にサービス提供者SからユーザUに返却される。
【0062】
なお、満期を過ぎても「返却条件」が満たされない場合、即ち、ユーザUが所定価格C(3000万円)の全額を、現金(円)でサービス提供者Sに支払わなかった場合、次のような取り扱いとなる。
即ち、満期を過ぎても「返却条件」が満たされないことがサービス提供者Sに認識された時点で強制的に、サービス提供者Sは、預託量B(15ビットコイン(登録商標))のうち、所定価格C(3000万円)の分だけ、日本国の法定通貨である円に両替する。これにより、サービス提供者Sは、所定価格C(3000万円)の全額を徴収する。
ここで、所定価格C(3000万円)の全額が徴収されても、暗号資産での預託量Bが残っている場合(例えば1ビットコイン(登録商標)が残っている場合)、その残り(例えば1ビットコイン(登録商標))は、暗号資産でユーザUに返却される。
一方、ビットコイン(登録商標)Bの預託量B(例えば15ビットコイン(登録商標))が日本国の法定通貨である円に両替されても、所定価格C(3000万円)よりも低い価格で足りない場合(例えば500万円足りない場合)、当該足りない価格(例えば500万円)が現金(円)でさらにユーザUに対して請求されることになる。
【0063】
このような図6に示す本サービスが提供されることで、ユーザU及びサービス提供者に対して、図1に示す本サービスの説明において上述したメリットが同様に発生することになる。
【0064】
図7は、図4の機能的構成を有するサービス提供者サーバにより実行される処理の一例であって、図1の例の本サービスを実現するための処理の一例を説明するフローチャートである。
例えば、サービス提供者サーバ1は、ユーザUから不動産の取得(購入)の申し込みを受付けると、図7の処理を開始させる。
【0065】
ステップS11において、権利発生制御部511は、暗号資産の預託があったか否かを判定する。
具体的には例えば、権利発生制御部511は、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、預託量B(例えば15ビットコイン(登録商標))がサービス提供者Sの暗号資産口座に対してユーザUから振り込まれたことの確認をすることで、暗号資産の預託があったか否かを判定する。
預託量Bの振り込みが確認されない場合、ステップS11においてNOであると判定されて、処理はステップS11に戻される。
これに対して、預託量Bの振り込みが確認された場合、ステップS11においてYESであると判定されて、権利発生条件が満たされたものとして、処理はステップS12に進む。
【0066】
ステップS12において、権利発生制御部511は、所定価格C(例えば3000万円)の不動産の所有権R2を、ユーザUに対して発生させる。
具体的には例えば、権利発生制御部511は、ユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、当該不動産の所有権R2が発生していることを示す書類等を送信する。
【0067】
ステップS13において、返却制御部512は、所定価格C(例えば3000万)を含む必要額(例えば手数料等)の現金(円)での支払いがあったか否かを判定する。
具体的には例えば、返却制御部512は、ユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、当該通知を受け取ると、銀行通信制御部54を介して銀行サーバ4と通信をすることで、必要額が現金(円)で、サービス提供者Sの銀行口座に対してユーザから振り込まれたことの確認をすることで、当該必要額の現金(円)での支払いがあったか否かを判定する。
【0068】
必要額の現金(円)での支払いがあったと判定された場合、暗号資産の預託量の返却条件が満たされたものとして、ステップS13においてYESであると判定されて、処理はステップS14に進む。
ステップS14において、返却制御部512は、預託された暗号資産をユーザUに返却する処理を実行する。
具体的には例えば、ステップS13においてYESであると判定された場合とは、返却条件が満たされた場合であるので、ユーザUに対する暗号資産の返却量は、預託量B(例えば15ビットコイン(登録商標))全てである。この場合、ステップS14において、返却制御部512は、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、預託量B(例えば15ビットコイン(登録商標))をユーザUの暗号資産口座に対して振り込む依頼をする。
これにより、処理は終了となる。
【0069】
これに対して、所定価格C(例えば3000万円)を含む必要額の現金(円)での支払いが未だの場合、ステップS13においてNOであると判定されて、処理はステップS15に進む。
ステップS15において、返却制御部512は、サービス提供者により設定された支払いの期間(支払指定期間)が経過したか否かを判定する。
未だ支払指定期間が経過していない場合、ステップS15においてNOであると判定されて、処理はステップS31に戻される。
【0070】
これに対して、支払指定期間が経過した場合、ステップS15においてYESであると判定され、支払期間が経過しても返却条件が満たされなかったものとして、処理はステップS16に進む。
ステップS16において、返却制御部512は、暗号資産の預託量Bの少なくとも一部を両替して、所定価格C(例えば3000万円)を含む必要額を現金(円)で清算する。
ここで、少なくとも一部としたのは、一般的には、清算時のレートによって、暗号資産の預託量Bの円換算額が、必要額を超えている場合が多く、この場合には、預託量Bのうち、必要額に相当する量(例えば14ビットコイン(登録商標))だけ両替すればよいからである。即ち、返却制御部512は、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、サービス提供者Sの暗号資産口座にある預託量B(例えば15ビットコイン(登録商標))のうち、必要額に相当する量(例えば14ビットコイン(登録商標))を両替して、サービス提供者Sの銀行口座に現金(円)で振り込むよう依頼をする。
【0071】
ステップS17において、返却制御部512は、ユーザUから預託された暗号資産が残っているか否かを判定する。
【0072】
具体的には例えば上述の例でいえば、15ビットコイン(登録商標)の預託量Bのうち、必要額に相当する量として14ビットコイン(登録商標)だけ両替されたので、1ビットコイン(登録商標)だけ残っている。
この場合、ステップS17においてYESであると判定されて、処理はステップS14に進む。
ステップS14において、返却制御部512は、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、預託された暗号資産の残量(例えば1ビットコイン(登録商標))をユーザUの暗号資産口座に振り込むよう依頼をする。
これにより、処理は終了となる。
【0073】
これに対して、例えば、現金(円)での精算額が3000万円であるところ、ステップS6の清算時にレートが下がり、15ビットコイン(登録商標)が2500万円でしか両替できなかったものとする。即ち、15ビットコイン(登録商標)の預託量Bの全てが両替されても、500万円足りなかったものとする。
この場合、ステップS17においてNOであると判定されて、処理はステップS18に進む。
ステップS18において、返却制御部512は、ユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、現金(円)で500万円の請求書をユーザUに発行する等の請求処理を実行する。
これにより、処理は終了となる。
【0074】
以上、本サービスに対して不動産の所有権を適用した場合の例について図6及び図7を参照して説明した。
次に、本サービスに対して賃貸不動産の使用収益健を適用した場合の例(暗号資産の預託量を当該賃貸不動産の賃貸における敷金相当として活用する例)について図8及び図9を参照して説明する。
【0075】
図8は、本発明の情報処理装置の一実施形態が適用される本サービスとして、賃貸不動産の使用収益権を適用した場合(暗号資産の預託量を敷金相当として活用する場合)のサービスの概要を示すイメージ図である。
【0076】
図8に示す本サービスは、仮想資産での予め決められた預託量BがユーザUからサービス提供者Sに預託されることを条件として、日本国の法定通貨の円建て(現金)で所定価格Cを賃貸料として有する賃貸不動産の使用収益権R3をサービス提供者SからユーザUに対して発生させるサービスである。
ここで、以下の例では説明の便宜上、賃貸不動産の家賃たる所定価格Cは、50万円が採用されているものとする。
また、暗号資産はビットコイン(登録商標)が採用されており、預託量BCは、0.25ビットコイン(登録商標)が採用されているものとする。なお、預託量BCは、当然ながら0.25ビットコイン(登録商標)に限定されない。即ち、預託量BCは、サービス提供者にとって敷金相当になるため、敷金の相場(例えば家賃の3倍等)に相当するその時点でのビットコイン(登録商標)の量を採用してもよい。
【0077】
ここで、重要な点は、図1のゴルフの会員権R1と同様に賃貸不動産の使用収益権R3(預託量BCを敷金相当とする場合)についても、サービス提供者Sによるビットコイン(登録証)BについてのユーザUとの間の行為は、「暗号資産交換業」に該当せず、あくまでも「預託」に基づく行為であるという点である。
【0078】
このような「預託」であるため、以下の返却条件を満たせば、サービス提供者Sは、暗号資産での預託量B(0.25ビットコイン(登録商標))を返却する。
即ち、サービス提供者Sにより予め定められた期間(例えば毎月の25日)までに、賃貸不動産の家賃として所定価格C(50万円)を現金(円)で支払うことで、賃貸不動産の使用収益権R3をユーザに発生させるという賃貸借契約が、ユーザUとサービス提供者Sとの間で締結されており、仮想資産の預託量BCを敷金相当として機能させる。このため、家賃未払が発生せず(上記期間毎に家賃としての所定各Cの現金での支払いが行われ)、かつ、原状復帰費用等が発生しない状態で、当該賃貸借契約が終了することが、「返却条件」のひとつである。
ここで、「期間」は、サービス提供者Sが任意に設定することが可能であり、例えば毎月であってもよいが、預託量Bを高めに設定して数ケ月とすることもできる。即ち、家賃の延滞をどこまで許容するのかについては、サービス提供者Sが任意に設定することもできる。
【0079】
従って、家賃未払が発生せず、かつ、原状復帰費用等が発生しないことを前提として、賃貸借契約が終了すると、「返却条件」が満たされたとして、預託量B(0.25ビットコイン(登録商標))が即時にサービス提供者SからユーザUに返却される。
【0080】
換言すると、上記期間(例えば毎月の25日)に家賃たる所定価格C(50万円)が現金(円)で支払われないと(家賃の延滞納が発生すると)、「返却条件」が満たされないため、次のような取り扱いとなる。
即ち、上記期間(例えば毎月の25日)を過ぎても「返却条件」が満たされないことがサービス提供者Sに認識された時点で強制的に、サービス提供者Sは、預託量B(0.25ビットコイン(登録商標))のうち、家賃たる所定価格C(50万円)の分だけ、日本国の法定通貨である円に両替する。これにより、サービス提供者Sは、所定価格C(50万円)の全額を徴収する。
ここで、所定価格C(50万円)の全額が徴収されても、暗号資産での預託量Bが残っている場合(例えば0.05ビットコイン(登録商標)が残っている場合)、その残り(例えば0.05ビットコイン(登録商標))は、暗号資産でユーザUに返却される。ただし、ユーザUは、さらにその賃貸不動産の使用収益権R3を保有し続けたい場合(要するに賃貸不動産に住み続けたい場合)、預託量Bが0.25になるまでの再預託(本例では残0.2ビットコイン(登録商標)の再預託)をする必要がある。
一方、ビットコイン(登録商標)Bの預託量B(例えば0.25ビットコイン(登録商標))が日本国の法定通貨である円に両替されても、家賃たる所定価格C(50万円)よりも低い価格で足りない場合(例えば5万円足りない場合)、当該足りない価格(例えば5万円)が現金(円)でさらにユーザUに対して請求されることになる。さらに、ユーザUは、その賃貸不動産の使用収益権R3を保有し続けたい場合(要するに賃貸不動産に住み続けたい場合)、請求された足りない価格(例えば5万円)を現金(円)で支払った後、預託量Bが0.25になるまでの再預託(本例では残0.25ビットコイン(登録商標)の再預託)をする必要がある。
【0081】
また、賃貸借契約を終了するにあたり、賃貸不動産に対して原状復帰費が発生する場合、「返却条件」が満たされないため、次のような取り扱いとなる。
即ち、原状復帰費が発生することにより「返却条件」が満たされないことがサービス提供者Sに認識された時点で強制的に、サービス提供者Sは、預託量B(0.25ビットコイン(登録商標))のうち、原状復帰費の分だけ、日本国の法定通貨である円に両替する。これにより、サービス提供者Sは、現状復帰費を徴収する。
ここで、原状復帰費の全額が徴収されても、暗号資産での預託量Bが残っている場合(例えば0.1ビットコイン(登録商標)が残っている場合)、その残り(例えば0.1ビットコイン(登録商標))は、暗号資産でユーザUに返却される。
一方、ビットコイン(登録商標)Bの預託量B(例えば0.25ビットコイン(登録商標))が日本国の法定通貨である円に両替されても、原状復帰費よりも低い価格で足りない場合(例えば10万円足りない場合)、当該足りない価格(例えば10万円)が現金(円)でさらにユーザUに対して請求されることになる。
【0082】
このような図8に示す本サービスが提供されることで、ユーザU及びサービス提供者に対して、図1に示す本サービスの説明において上述したメリットが同様に発生することになる。
【0083】
図9は、図4の機能的構成を有するサービス提供者サーバにより実行される処理の一例であって、図1の例の本サービスを実現するための処理の一例を説明するフローチャートである。
例えば、サービス提供者サーバ1は、ユーザUから賃貸不動産の賃貸の申し込みを受付けると、図9の処理を開始させる。
【0084】
ステップS21において、権利発生制御部511は、暗号資産の預託があったか否かを判定する。
具体的には例えば、権利発生制御部511は、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、預託量B(例えば0.25ビットコイン(登録商標))がサービス提供者Sの暗号資産口座に対してユーザUから振り込まれたことの確認をすることで、暗号資産の預託があったか否かを判定する。
預託量Bの振り込みが確認されない場合、ステップS21においてNOであると判定されて、処理はステップS21に戻される。
これに対して、預託量Bの振り込みが確認された場合、ステップS21においてYESであると判定されて、権利発生条件が満たされたものとして、処理はステップS22に進む。
【0085】
ステップS22において、権利発生制御部511は、所定家賃として所定価格C(例えば50万円)の賃貸不動産の使用収益権R3を、ユーザUに対して発生させる。
具体的には例えば、権利発生制御部511は、ユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、当該賃貸不動産の使用収益権R3が発生していることを示す賃貸借契約書等の書類を送信する。
【0086】
ステップS23において、返却制御部512は、期日(例えば毎月の25日)までに所定家賃としての所定価格C(例えば50万)の現金(円)での支払いがあったか否かを判定する。
具体的には例えば、返却制御部512は、ユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、当該通知を受け取ると、銀行通信制御部54を介して銀行サーバ4と通信をすることで、必要額が現金(円)で、サービス提供者Sの銀行口座に対してユーザから振り込まれたことの確認をすることで、当該必要額の現金(円)での支払いがあったか否かを判定する。
【0087】
期日までに所定家賃の現金(円)での支払いがあったと判定された場合、即ちステップS23においてYESであると判定された場合、処理はステップS24に進む。
ステップS24において、返却制御部512は、賃貸借契約が終了したか否かを判定する。
賃貸借契約が終了したと判定された場合、即ちステップS24においてYESであると判定された場合、処理はステップS26に進む。
これに対して、賃貸借契約が未だ終了していないと判定された場合、即ちステップS24においてNOであると判定された場合、ユーザUは賃貸不動産に未だ住み続けるため(賃貸不動産の使用収益権R3を保有し続けるため)、処理はステップS23に戻され、次回の期日(例えば翌月の25日)までに所定家賃としての所定価格C(例えば50万)の現金(円)での支払いがあったか否かが判定される。
【0088】
これに対して、期日までに所定家賃の現金(円)での支払いがなかったと判定された場合(所定家賃の延滞納があったと判定された場合)、即ちステップS23においてNOであると判定された場合、返却条件が満たされなかったものとして、処理はステップS26に進む。
ステップS26において、返却制御部512は、暗号資産の預託量Bの少なくとも一部を両替して、必要額を現金(円)で清算する。
ここで、ステップS23がNOである場合のステップS26の必要額とは、延滞納した所定家賃たる所定価格C(例えば50万円)である。
また、ここで、少なくとも一部としたのは、一般的には、清算時のレートによって、暗号資産の預託量Bの円換算額が、必要額を超えている場合が多く、この場合には、預託量Bのうち、必要額に相当する量(例えば0.24ビットコイン(登録商標))だけ両替すればよいからである。即ち、返却制御部512は、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、サービス提供者Sの暗号資産口座にある預託量B(例えば0.25ビットコイン(登録商標))のうち、必要額(家賃たる所定価格(C))に相当する量(例えば0.24ビットコイン(登録商標))を両替して、サービス提供者Sの銀行口座に現金(円)で振り込むよう依頼をする。
【0089】
ステップS27において、返却制御部512は、賃貸借契約が終了したか否かを判定する。
家賃の延滞納をしたユーザUが賃貸不動産で住むことを辞める(使用収益権を手放す)場合、賃貸借契約が終了となるので、ステップS27においてNOであると判定された場合、処理はステップS29に進む。
これに対して、家賃の延滞納をしたユーザUが賃貸不動産でこれからも住み続ける(使用収益権を保有し続ける)場合、処理はステップS21に戻され、当該ユーザUによる暗号資産の再預託があったか否かが判定されることになる。なお、上述のように暗号資産の預託量BCに残量(例えば上述の例では0.01ビットコイン(登録商標)残量)がある場合、その残量を差し引いた分の暗号資産の預託があれば(例えば上述の例では0.24ビットコイン(登録商標)の預託があれば)ステップS21においてYESと判定されることになる。
【0090】
以上、家賃の延滞納があった場合の処理の流れについて説明したが、家賃の延滞納が無かった場合(延滞納が有ってもその延滞納分を暗号資産の預託量BCから支払って再預託をしたうえで、その後家賃の延滞納が無かった場合も含む)、ステップS24においてYESであると判定されて、処理はステップS26に進む。
【0091】
ステップS26において、返却制御部512は、暗号資産の預託量Bの少なくとも一部を両替して、必要額を現金(円)で清算する。
ここで、ステップS24がYESである場合のステップS26の必要額とは、賃貸不動産に対する原状復帰費である。
また、ここで、少なくとも一部としたのは、一般的には、清算時のレートによって、暗号資産の預託量Bの円換算額が、必要額を超えている場合が多く、この場合には、預託量Bのうち、必要額に相当する量(例えば0.1ビットコイン(登録商標))だけ両替すればよいからである。即ち、返却制御部512は、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、サービス提供者Sの暗号資産口座にある預託量B(例えば0.25ビットコイン(登録商標))のうち、必要額(原状復帰費に相当する量(例えば0.1ビットコイン(登録商標)))を両替して、サービス提供者Sの銀行口座に現金(円)で振り込むよう依頼をする。
【0092】
このような必要額の清算が預託量Bにより行われると、処理は、ステップS26からステップS27に移行する。
なお、当然ながら、原状復帰費が無ければ必要額は0円であるため、ステップS26において清算は行われずに処理はステップS27に進む。
ここでは、家賃の延滞納が無い状態(延滞納が有ってもその延滞納分を暗号資産の預託量BCから支払って再預託をしたうえで、その後家賃の延滞納が無い状態)で賃貸借契約が終了する場合、即ち、ステップS24においてYESであると判定された後にステップS27に進む場合なので、ステップS27においてもYESであると判定されて、処理はステップS28に進む。
【0093】
ステップS28において、返却制御部512は、ユーザUから預託された暗号資産が残っているか否かを判定する。
【0094】
具体的には例えば上述の例でいえば、原状復帰費が無い場合、又は有った場合でも返上復帰費が安価でステップS26の清算をしても暗号資産が残っている場合、ステップS28においてYESであると判定されて、処理はステップS25に進む。
ステップS25において、返却制御部512は、暗号資産交換業者通信制御部53を介して暗号資産交換業者サーバ3と通信をすることで、預託された暗号資産の残量をユーザUの暗号資産口座に振り込むよう依頼をする。
これにより、処理は終了となる。
【0095】
これに対して、原状復帰費が高額で、ステップS26の清算をしても原状復帰費の全額を支払えなかった場合、ステップS28においてNOであると判定されて、処理はステップS29に進む。
ステップS29において、返却制御部512は、ユーザ通信制御部52を介してユーザ端末2と通信をすることで、原状復帰費の残額を現金(円)で請求する旨の請求書をユーザUに発行する等の請求処理を実行する。
これにより、処理は終了となる。
【0096】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0097】
例えば、権利の価値である所定価格C(正規料金)は、上述の実施形態では、日本国の法定通貨である円で規定されているが、特にこれに限定されず、任意の国の法定通貨で規定されれば足りる。
また、預託される仮想通貨の種類は、上述の実施形態ではビットコイン(登録商標)とされたが、特にこれに限定されず任意の種類でよい。さらに、1種類に限定されず、複数種類の仮想通貨を混在させて預託することも可能である。
【0098】
また、図2に示す情報処理システムの構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
例えばサービス提供者Sが管理するサーバは、上述の実施形態では1つのサービス提供者サーバ1が用いられているが、特にこれに限定されず、2つ以上のサーバに分散されてもよい。
【0099】
また、図3に示すハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0100】
また、図4に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に図4の例に限定されない。
【0101】
また、機能ブロックの存在場所も、図4に限定されず、任意でよい。例えばサービス提供者サーバ1側の機能ブロックの少なくとも一部を、図2に示す各装置又はその他の図示せぬ装置に設けてもよいし、その逆でもよい。
そして、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体との組み合わせで構成してもよい。
【0102】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサービス提供者サーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0103】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0104】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0105】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば図2のサービス提供者サーバ1)は、
所定通貨(例えば日本国の法定通貨である円)での所定価格(例えば所定価格C(1000万円))の価値を有する権利(例えば図1のゴルフの会員権R1)の発生を所望するユーザ(例えば図1のユーザU)から、前記所定価格に基づいて予め決定された所定暗号資産の所定量(例えば図1の預託量B(5ビットコイン(登録商標)))の預託を受け付けることを権利発生条件として、当該権利を当該ユーザに発生させる制御を実行する権利発生制御手段(例えば図4の権利発生制御部511)と、
前記ユーザから前記所定通貨で前記所定価格を含む必要額(例えば年会費が存在する場合には年会費を含めた額が必要額)の支払いを受けたことを含む条件を返却条件として、当該返却条件が満たされた場合、預託された前記所定暗号資産の前記所定量を前記ユーザに返却する制御を実行する返却制御手段(例えば図2の返却制御部52)と、
を備える。
【0106】
これにより、ゴルフの会員権等の所定の権利の発行を伴う各種サービスのユーザとして、暗号資産の保有者をターゲットとする支援を行うことが可能になる。
【0107】
さらに、前記返却制御手段は、
予め決定された所定期間(例えば満期期間である5年)が経過しても前記返却条件が満たされない場合、
預託された前記所定暗号資産の前記所定量のうち前記必要額(例えば1000万円)に相当する第1量(例えば第2の具体的事例の場合には1ビットコイン(登録商標)=500万円であるため、2ビットコイン(登録商標))を、前記所定通貨に両替して(1000万円に両替して)、当該必要額の支払いとして充当し、
前記所定暗号資産の前記所定量から前記第1量を減算した第2量(例えば3ビットコイン(登録商標))が存在するとき、当該第2量を前記ユーザに返却する、
ことができる。
これにより、ゴルフの会員権等の所定の権利の発行を伴う各種サービスの提供者(例えば図1のサービス提供者S)は、権利の所定価格等を含む必要額を、所定通貨(例えば円)にて適切に徴収することが可能になる。
一方、ユーザは、暗号資産を保有したまま、所定期間が経過するまで(満期となるまで)は会員権を保有してサービスの提供を受けることができ、所定期間経過後(満期となった後)は預託された暗号資産の一部(第2両)も手元に戻ってくる。これにより、暗号資産者にとって、当該サービスのユーザになろうというモチベーションの向上につながる。
【0108】
また、ゴルフ場その他スポーツ施設又は保養のための施設を継続的に利用させる任意の役務を、指定役務として、
前記権利は、当該指定役務の提供を受ける権利(例えば図1のゴルフの会員権R1)のである、
ようにすることができる。
【0109】
また、前記権利は、不動産の所有権(例えば図6の所有権R2)である、
ようにすることができる。
【0110】
また、前記権利は、賃貸費が前記所定価格の賃貸不動産の賃貸契約に基づく使用収益権(例えば図8の使用収益権R3)であり、
前記返却条件は、前記必要額の支払いと共に、前記賃貸契約の終了である、
ようにすることができる。
【符号の説明】
【0111】
1:サービス提供者サーバ、2:ユーザ端末、3:暗号資産交換業者サーバ、4:銀行サーバ、11:CPU、12:ROM、13:RAM、14:バス、15:入出力インターフェース、16:入力部、17:出力部、18:記憶部、19:通信部、20:ドライブ、31:リムーバブルメディア、51:権利管理部、52:ユーザ通信制御部、53:暗号資産交換業者通信制御部、54:銀行通信制御部、511:権利発生制御部、512:返却制御部、U:ユーザ、S:サービス提供者、R1:ゴルフの会員権、R2:不動産の所有権、R3:賃貸不動産の使用収益件、B:暗号資産の預託量、C:所定価格
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9