(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076387
(43)【公開日】2024-06-05
(54)【発明の名称】抵抗器
(51)【国際特許分類】
H01C 1/032 20060101AFI20240529BHJP
H01C 17/24 20060101ALI20240529BHJP
H01C 13/00 20060101ALI20240529BHJP
H01C 1/012 20060101ALI20240529BHJP
H01C 1/084 20060101ALI20240529BHJP
H01C 3/12 20060101ALI20240529BHJP
H01C 7/00 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H01C1/032
H01C17/24
H01C13/00 J
H01C1/012
H01C1/084
H01C3/12
H01C7/00 400
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024048195
(22)【出願日】2024-03-25
(62)【分割の表示】P 2022131997の分割
【原出願日】2019-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2018151383
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸作
(57)【要約】
【課題】 放熱性を向上させることが可能な抵抗器を提供する。
【解決手段】 抵抗器A10は、第1主面11Aおよび第1裏面11Bを有する第1絶縁体11と、第1主面11Aに配置された抵抗体20と、抵抗体20を覆う第2絶縁体12と、第1方向xの両側において抵抗体20に導通する一対の電極40と、第1裏面11Bに積層された第1被覆体30Aとを備える。第1被覆体30Aは、導電性を有するとともに、第1裏面11Bに接する第1層31を有する。抵抗体20は、第1方向xの一方側を向く第1端面20Aを有する。第1絶縁体11は、第1方向xにおいて第1端面20Aと同じ側を向き、かつ第1端面20Aと面一である第3端面11Cを有する。一対の電極40の各々は、厚さ方向zに延びる部分を含む側部42を有する。一対の電極40のいずれかの側部42は、第1端面20Aおよび第3端面11Cに接している。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向く第1主面および第1裏面を有する第1絶縁体と、
前記第1主面に配置された抵抗体と、
前記抵抗体を覆う第2絶縁体と、
前記厚さ方向に対して直交する第1方向の両側において、前記抵抗体に導通する一対の電極と、
前記第1裏面に積層された第1被覆体と、を備え、
前記第1被覆体は、導電性を有するとともに、前記第1裏面に接する第1層を有し、
前記抵抗体は、前記第1方向の一方側を向く第1端面を有し、
前記第1絶縁体は、前記第1方向において前記第1端面と同じ側を向き、かつ前記第1端面と面一である第3端面を有し、
前記一対の電極の各々は、前記厚さ方向に延びる部分を含む側部を有し、
前記一対の電極のいずれかの前記側部は、前記第1端面および前記第3端面に接している、抵抗器。
【請求項2】
前記第1層には、前記厚さ方向に貫通するスリットが設けられており、
前記第1層は、前記スリットにより複数の領域に分断されている、請求項1に記載の抵抗器。
【請求項3】
前記厚さ方向に視て、前記スリットは、前記第1方向に対して傾斜している、請求項2に記載の抵抗器。
【請求項4】
前記厚さ方向に視て、前記スリットは、前記第1方向に延びる第1スリットと、前記厚さ方向および前記第1方向に対して直交する第2方向に延びる複数の第2スリットと、を有する、請求項2に記載の抵抗器。
【請求項5】
前記第1層は、銅を含む材料からなる、請求項2ないし4のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項6】
前記第1絶縁体および前記第2絶縁体の少なくともいずれかには、電気絶縁性を有するフィラーが含有されており、
前記フィラーは、セラミックスを含む材料からなる、請求項2ないし5のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項7】
前記第1被覆体は、前記第1層に積層され、かつ電気絶縁性を有する第2層を有し、
前記第2層の一部が、前記スリットに位置している、請求項2ないし6のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項8】
前記スリットの側壁は、前記第1層の内方に向けて凹状である、請求項7に記載の抵抗器。
【請求項9】
前記抵抗体には、前記厚さ方向に貫通する抵抗スリットが設けられており、
前記第2絶縁体の一部が、前記抵抗スリットに位置している、請求項7または8に記載の抵抗器。
【請求項10】
前記抵抗スリットの側壁は、前記抵抗体の内方に向けて凹状である、請求項9に記載の抵抗器。
【請求項11】
前記一対の電極の各々は、前記厚さ方向において前記第2絶縁体を基準として前記抵抗体とは反対側に位置するとともに、前記一対の電極のいずれかの前記側部につながる底部を有し、
前記厚さ方向に視て、前記一対の電極の各々の前記底部は、前記第1主面に重なっている、請求項7ないし10のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項12】
前記第2絶縁体は、前記第1方向において前記第1端面と同じ側を向き、かつ前記第1端面と面一である第2端面を有し、
前記一対の電極のいずれかの前記側部は、前記第2端面に接している、請求項11に記載の抵抗器。
【請求項13】
前記第1被覆体は、前記第1端面から前記第1方向に突出する第1凸部を有し、
前記一対の電極のいずれかの前記側部は、前記第1凸部に接している、請求項11または12に記載の抵抗器。
【請求項14】
前記第1凸部は、前記第2層からなる、請求項13に記載の抵抗器。
【請求項15】
前記第1絶縁体は、前記第1端面から前記第1方向に突出する第2凸部を有し、
前記一対の電極のいずれかの前記側部は、前記第2凸部に接している、請求項13に記載の抵抗器。
【請求項16】
前記厚さ方向において前記第2絶縁体を基準として前記抵抗体とは反対側に位置するとともに、前記第2絶縁体に積層された第2被覆体をさらに備え、
前記一対の電極の各々の前記底部は、前記第2被覆体に接している、請求項13に記載の抵抗器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、主に電流検出に用いられる抵抗器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属材料から構成された抵抗体を備える抵抗器が知られている。当該抵抗器は、主に電流検出に用いられる。特許文献1には、このような抵抗体を備える抵抗器の一例が開示されている。当該抵抗器は、抵抗体と、抵抗体の両端に接続された一対の電極とを備える。
【0003】
当該抵抗器によって、より大きな電流を検出させる場合、抵抗体から発生する熱がより増加する。この熱によって抵抗体の温度がより上昇すると、当該抵抗器の抵抗値に変動が生じるおそれがある。このため、当該抵抗器の放熱性を向上させることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は上記事情に鑑み、放熱性を向上させることが可能な抵抗器を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によって提供される抵抗器は、厚さ方向において互いに反対側を向く第1主面および第1裏面を有する第1絶縁体と、前記第1主面に配置された抵抗体と、前記抵抗体を覆う第2絶縁体と、前記厚さ方向に対して直交する第1方向の両側において、前記抵抗体に導通する一対の電極と、前記第1裏面に積層された第1被覆体とを備える。前記第1被覆体は、導電性を有するとともに、前記第1裏面に接する第1層を有する。前記抵抗体は、前記第1方向の一方側を向く第1端面を有する。前記第1絶縁体は、前記第1方向において前記第1端面と同じ側を向き、かつ前記第1端面と面一である第3端面を有する。前記一対の電極の各々は、前記厚さ方向に延びる部分を含む側部を有する。前記一対の電極のいずれかの前記側部は、前記第1端面および前記第3端面に接している。
【0007】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る抵抗器の平面図である。
【
図2】
図1に対応する平面図であり、被覆体の第2層を透過している。
【
図3】
図1に対応する平面図であり、第1絶縁体および被覆体を透過している。
【
図10】
図1に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
【
図11】
図1に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
【
図12】
図1に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
【
図13】
図1に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
【
図14】
図1に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
【
図15】
図1に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
【
図16】
図1に示す抵抗器の製造工程を説明する断面図である。
【
図17】本開示の第1実施形態の第1変形例に係る抵抗器の部分拡大断面図である。
【
図18】本開示の第1実施形態の第2変形例に係る抵抗器の部分拡大断面図である。
【
図19】本開示の第1実施形態の第3変形例に係る抵抗器の平面図(被覆体の第2層を透過)である。
【
図20】本開示の第1実施形態の第4変形例に係る抵抗器の平面図(被覆体の第2層を透過)である。
【
図21】本開示の第1実施形態の第5変形例に係る抵抗器の平面図(被覆体の第2層を透過)である。
【
図22】本開示の第2実施形態に係る抵抗器の断面図である。
【
図24】本開示の第3実施形態に係る抵抗器の断面図である。
【
図26】本開示の第4実施形態に係る抵抗器の平面図であり、被覆体の第2層を透過している。
【
図28】
図26のXXVIII-XXVIII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0010】
〔第1実施形態〕
図1~
図9に基づき、本開示の第1実施形態に係る抵抗器A10について説明する。抵抗器A10は、電流検出に用いられるシャント抵抗器を対象としている。抵抗器A10の抵抗値は、概ね5mΩ以上220mΩ以下である。抵抗器A10は、様々な電子機器の配線基板に表面実装される。抵抗器A10は、第1絶縁体11、抵抗体20、第2絶縁体12、被覆体30、および一対の電極40を備える。ここで、
図2は、理解の便宜上、被覆体30の第2層32(詳細は後述)を透過している。
図3は、理解の便宜上、第1絶縁体11および被覆体30を透過している。
【0011】
抵抗器A10の説明においては、便宜上、第1絶縁体11の厚さ方向を「厚さ方向z」と呼ぶ。厚さ方向zに対して直交する方向を「第1方向x」と呼ぶ。厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交する方向を「第2方向y」と呼ぶ。「厚さ方向z」、「第1方向x」および「第2方向y」は、後述する抵抗器A20~抵抗器A40の説明においても適用する。
図1に示すように、抵抗器A10は、厚さ方向zに視て矩形状である。抵抗器A10においては、第1方向xは、厚さ方向zから視た抵抗器A10の長手方向に該当する。
【0012】
第1絶縁体11は、
図6に示すように、抵抗体20が配置されている。第1絶縁体11は、エポキシ樹脂などからなる合成樹脂シートである。第1絶縁体11は、電気絶縁性および可とう性を有する。第1絶縁体11には、電気絶縁性を有するフィラー112が含有されている。フィラー112は、たとえばアルミナ(Al
2O
3)や窒化ホウ素(BN)など、熱伝導率が比較的大であるセラミックスを含む材料からなる。
【0013】
図6に示すように、第1絶縁体11は、第1主面11Aおよび第1裏面11Bを有する。第1主面11Aは、厚さ方向zのうち第1絶縁体11に対して抵抗体20が位置する側を向く。第1裏面11Bは、第1主面11Aとは反対側を向く。第1絶縁体11の厚さ(厚さ方向zにおける第1主面11Aから第1裏面11Bまでの長さ)は、40μm以上60μm以下である。
【0014】
抵抗体20は、
図6に示すように、第1絶縁体11の第1主面11Aに配置された受動素子である。抵抗体20の材料の一例として、銅(Cu)-マンガン(Mn)-ニッケル(Ni)合金(マンガニン:登録商標)、または銅-マンガン-錫(Sn)合金(ゼラニン:登録商標)のような合金材料が挙げられる。抵抗体20の厚さは、50μm以上150μm以下である。
図3および
図6に示すように、抵抗体20には、厚さ方向zに貫通する複数の抵抗スリット21が設けられている。複数の抵抗スリット21は、抵抗体20の抵抗値を所定の値に設定するために設けられている。複数の抵抗スリット21は、第2方向yに延びている。複数の抵抗スリット21により、抵抗体20の第2方向yの両端は、その一部が開口している。複数の抵抗スリット21により、厚さ方向zに視て抵抗体20は、第1方向xに対して蛇行した形状となっている。
図7に示すように、複数の抵抗スリット21の側壁22は、抵抗体20の内方に向けて凹状である。
【0015】
第2絶縁体12は、
図3~
図6に示すように、抵抗体20を覆っている。第2絶縁体12は、エポキシ樹脂などからなる合成樹脂シートである。第2絶縁体12は、第2主面12Aおよび第2裏面12Bを有する。第2主面12Aは、厚さ方向zのうち第2絶縁体12に対して第1絶縁体11が位置する側を向く。第2絶縁体12の厚さ(厚さ方向zにおける第2主面12Aから第2裏面12Bまでの長さ)は、40μm以上60μm以下である。第2主面12Aは、抵抗体20の表面に接している。これにより、抵抗体20は、第2主面12Aと、第1絶縁体11の第1主面11Aとに挟まれた構成となっている。第2裏面12Bは、第2主面12Aとは反対側を向く。第2裏面12Bの一部は、露出している。
【0016】
図7に示すように、第2絶縁体12には、複数の埋込部121が設けられている。複数の埋込部121は、第2主面12Aから厚さ方向zに向けて突出している。複数の埋込部121は、抵抗体20の複数の抵抗スリット21に位置している。抵抗器A10においては、複数の埋込部121の各々は、抵抗スリット21の側壁22に接している。
【0017】
図8は、第2絶縁体12の複数の埋込部121と、第1絶縁体11に設けられた複数の埋込部111との双方が、抵抗体20の複数の抵抗スリット21に位置している例を示している。複数の埋込部111は、第1絶縁体11の第1主面11Aから厚さ方向zに向けて突出している。抵抗器A10においては、複数の埋込部111の各々は、抵抗スリット21の側壁22と、埋込部121との双方に接している。このように、第1絶縁体11および第2絶縁体12の少なくともいずれかの一部が、抵抗スリット21に位置する構成となっている。
【0018】
被覆体30は、
図6に示すように、抵抗器A10においては第1絶縁体11の第1裏面11Bに積層されている。ここで、被覆体30は、第1被覆体30Aおよび第2被覆体30Bを含む。第1被覆体30Aは、第1絶縁体11に積層された被覆体30を指す。第2被覆体30Bは、第2絶縁体12に積層された被覆体30を指す。抵抗器A10は、被覆体30のうち第1被覆体30Aを備える構成となっている。
【0019】
図5および
図6に示すように、第1被覆体30A(被覆体30)は、第1層31および第2層32を有する。
図2および
図6に示すように、第1層31は、第1絶縁体11の第1裏面11Bに接している。第1層31は、導電性を有する。第1層31は、銅を含む材料からなる。第1層31の材料は、電気抵抗率が比較的小であり、かつ熱伝導率が比較的大である材料が好ましい。第1層31の厚さは、70μm以上90μm以下である。このため、第1層31の厚さは、第1絶縁体11および第2絶縁体12の各々の厚さよりも大である。
図1および
図6に示すように、第2層32は、第1層31に積層されている。第2層32は、電気絶縁性を有する合成樹脂シートである。第2層32は、たとえばガラスエポキシ樹脂からなる合成樹脂シートとすることができる。
【0020】
図2および
図6に示すように、第1層31には、厚さ方向zに貫通するスリット311が設けられている。スリット311により、第1層31は、複数の領域により分断されている。あわせて、第1層31の第2方向yの両端は、その一部が開口している。抵抗器A10においては、厚さ方向zに視て、スリット311は、第1方向xに対して傾斜している。厚さ方向zに視て、スリット311は、第1被覆体30Aの中心Cを通過している。ここで、第1被覆体30Aの中心Cとは、厚さ方向zに視て第1被覆体30Aの対角線の交点を指す。
図7に示すように、スリット311の側壁312は、第1層31の内方に向けて凹状である。
【0021】
図7に示すように、第2層32には、埋込部321が設けられている。埋込部321は、第1層31に接する第2層32の面から厚さ方向zに突出している。埋込部321は、第1層31のスリット311に位置している。このように、第2層32の一部が、スリット311に位置する構成となっている。抵抗器A10においては、埋込部321は、スリット311の側壁312に接している。
【0022】
一対の電極40は、
図6に示すように、第1方向xの両側において抵抗体20に導通している。一対の電極40の各々は、下地層40Aおよびめっき層40Bを含む。
図6および
図7に示すように、抵抗器A10においては、下地層40Aは、第1絶縁体11、抵抗体20および第2絶縁体12に接している。下地層40Aの材料の一例として、ニッケル-クロム(Cr)合金が挙げられる。めっき層40Bは、下地層40Aを覆っている。抵抗器A10においては、めっき層40Bは、下地層40Aに接する部分から順に、銅、ニッケル、錫が積層された金属層である。
【0023】
図4~
図6に示すように、一対の電極40の各々は、底部41および側部42を有する。底部41および側部42の各々は、下地層40Aおよびめっき層40Bを含む。底部41は、厚さ方向zにおいて第2絶縁体12に対して抵抗体20とは反対側に位置する。
図4に示すように、底部41は、厚さ方向zに視て第1絶縁体11の第1主面11Aに重なっている。抵抗器A10においては、底部41は、第2絶縁体12の第2裏面12Bに接している。
【0024】
図4~
図6に示すように、側部42は、底部41につながり、かつ厚さ方向zに延びている。
図7に示すように、抵抗体20は、第1方向xを向く一対の第1端面20Aを有する。一対の側部42は、一対の第1端面20Aに接している。これにより、一対の電極40は、抵抗体20に導通している。また、第2絶縁体12は、第1方向xを向く一対の第2端面12Cを有する。第1絶縁体11は、第1方向xを向く一対の第3端面11Cを有する。一対の第2端面12Cおよび一対の第3端面11Cは、一対の第1端面20Aと面一である。一対の側部42は、一対の第2端面12Cおよび一対の第3端面11Cの双方にも接している。
【0025】
図7に示すように、第1被覆体30Aは、一対の第1凸部33を有する。第1絶縁体11は、一対の第2凸部113を有する。一対の第1凸部33および一対の第2凸部113は、抵抗体20の一対の第1端面20Aから第1方向xに向けて突出している。抵抗器A10においては、一対の第1凸部33は、第1層31および第2層32からなる。
図9に示すように、一対の側部42は、一対の第1凸部33および一対の第2凸部113の双方に接している。一対の第1凸部33のうち、第1層31から構成される部分に一対の側部42のめっき層40Bが接している。
【0026】
次に、
図10~
図16に基づき、抵抗器A10の製造方法の一例について説明する。ここで、
図10~
図16が示す断面位置は、
図6が示す断面位置と同一である。
【0027】
最初に、
図10に示すように、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く主面811および裏面812を有する第1絶縁体81に、抵抗体82および第1被覆層83を配置させる。第1絶縁体81、抵抗体82および第1被覆層83が、抵抗器A10の第1絶縁体11、抵抗体20および第1層31(第1被覆体30A)の順に相当する。抵抗体82は、主面811に圧着させることにより第1絶縁体81に配置される。第1被覆層83は、裏面812に圧着させることにより抵抗体82に配置される。抵抗体82には、厚さ方向zに貫通する複数の抵抗スリット821が設けられている。第1被覆層83には、厚さ方向zに貫通するスリット831が設けられている。複数の抵抗スリット821、およびスリット831は、ウェットエッチングにより形成される。
【0028】
次いで、
図11に示すように、抵抗体82に第2絶縁体84を積層させる。第2絶縁体84が、抵抗器A10の第2絶縁体12に相当する。第2絶縁体84は、抵抗体82に圧着させることにより積層される。本工程により、第2絶縁体84の一部が、抵抗体82の複数の抵抗スリット821に位置する。また、本工程では、第1被覆層83に第2被覆層85を積層させる。第2被覆層85が、抵抗器A10の第2層32(第1被覆体30A)に相当する。第2被覆層85は、第1被覆層83に圧着させることにより積層される。本工程により、第2被覆層85の一部が、第1被覆層83のスリット831に位置する。
【0029】
次いで、
図12に示すように、第2絶縁体84から厚さ方向zに向けて凹む複数の溝881を形成する。複数の溝881は、第2方向yに沿って形成される。複数の溝881は、たとえばダイシングブレードを用いて形成される。複数の溝881を形成することにより、第2絶縁体84、抵抗体82および第1絶縁体81のそれぞれ一部ずつが除去される。これらのうち、複数の溝881は、第2絶縁体84および抵抗体82を厚さ方向zに貫通している。複数の溝881の各々は、幅b1(溝881の第1方向xにおける寸法)を有する。
【0030】
次いで、
図13に示すように、第2絶縁体84および複数の溝881の双方の表面を覆う下地層86を形成する。下地層86が、抵抗器A10の一対の電極40の下地層40Aに相当する。下地層86は、スパッタリング法により形成される。
【0031】
次いで、
図14に示すように、第2絶縁体84の表面を覆う下地層86の一部を除去する。下地層86を覆うマスクを形成した後、当該マスクに覆われていない下地層86の部分に対してウェットエッチングを施すことにより、下地層86の一部が除去される。下地層86が除去された部分から、第2絶縁体84が露出する。
【0032】
次いで、
図15に示すように、複数のスリット882を形成する。複数のスリット882は、第1方向xおよび第2方向yの双方に沿った格子状に形成される。これらのうち、第2方向yに沿った複数のスリット882は、複数の溝881の底を覆う下地層86から厚さ方向zに向けて形成される。複数のスリット882は、たとえばダイシングブレードを用いて形成される。複数のスリット882の各々は、幅b2(スリット882の第1方向xにおける寸法)を有する。幅b2は、溝881の幅b1よりも小である。本工程により、第1絶縁体81と、第1絶縁体81に積層された抵抗体82、第1被覆層83、第2絶縁体84、第2被覆層85および下地層86とが個片に分割される。すなわち、抵抗器A10の第1絶縁体11、第2絶縁体12、抵抗体20、第1被覆体30A(被覆体30)および一対の電極40の下地層40Aの形成が完了する。
【0033】
最後に、
図16に示すように、一対の下地層40Aを覆う一対のめっき層40Bを形成する。一対のめっき層40Bは、電解バレルめっきにより形成される。本工程により、抵抗器A10の一対の電極40の形成が完了する。また、本工程により、第1被覆体30Aの一対の第1凸部33と、第1絶縁体11の一対の第2凸部113との双方が、一対のめっき層40Bに覆われる。以上の工程を経ることによって、抵抗器A10が製造される。
【0034】
(第1変形例)
図17に基づき、抵抗器A10の第1変形例に係る抵抗器A11について説明する。抵抗器A11は、第1絶縁体11、第1被覆体30A(被覆体30)および一対の電極40の構成が、先述した抵抗器A10と異なる例である。
【0035】
抵抗器A10と異なり、第1絶縁体11には、一対の第2凸部113が設けられていない。また、第1被覆体30Aの第1層31は、第1方向xを向く一対の第4端面313を有する。一対の第4端面313は、第1絶縁体11の一対の第3端面11Cと面一である。一対の第4端面313は、一対の電極40の側部42に接している。
【0036】
第1被覆体30Aの一対の第1凸部33は、第1層31および第2層32からなる。第1層31から構成される一対の第1凸部33の部分は、一対の第4端面313から第1方向xに向けて突出している。一対の電極40の側部42は、一対の第1凸部33のうち、第1層31から構成される部分に接している。
【0037】
抵抗器A11における構成は、
図12に示す複数の溝881を形成する工程において、複数の溝881の深さを、抵抗器A10の製造の際に形成される複数の溝881の深さよりも大とすることにより得られる。
【0038】
(第2変形例)
図18に基づき、抵抗器A10の第2変形例に係る抵抗器A12について説明する。抵抗器A12は、第1絶縁体11、第1被覆体30A(被覆体30)および一対の電極40の構成が、先述した抵抗器A10と異なる例である。
【0039】
抵抗器A10と異なり、第1絶縁体11には、一対の第2凸部113が設けられていない。また、第1被覆体30Aの第1層31は、第1方向xを向く一対の第4端面313を有する。一対の第4端面313の厚さ方向zにおける寸法は、抵抗器A11の一対の第4端面313の当該寸法よりも大である。一対の第4端面313は、一対の電極40の側部42に接している。
【0040】
第1被覆体30Aの一対の第1凸部33は、第2層32からなる。一対の電極40の側部42は、第2層32からなる一対の第1凸部33に接している。
【0041】
抵抗器A12における構成は、
図12に示す複数の溝881を形成する工程において、複数の溝881の深さを、抵抗器A11の製造の際に形成される複数の溝881の深さよりも大とすることにより得られる。
【0042】
(第3変形例)
図19に基づき、抵抗器A10の第3変形例に係る抵抗器A13について説明する。抵抗器A13は、第1被覆体30A(被覆体30)の第1層31の構成が、先述した抵抗器A10と異なる例である。
【0043】
抵抗器A13においては、厚さ方向zに視て、第1層31のスリット311は、第1方向xに対して傾斜している。厚さ方向zに視て、スリット311は、第1被覆体30Aの中心Cを通過し、かつ中心Cにおいて屈曲している。これにより、中心Cを境界として、スリット311の第1方向xに対する傾斜の向きが逆となっている。図示は省略するが、抵抗器A13においても、スリット311の側壁312は、第1層31の内方に向けて凹状である。
【0044】
(第4変形例)
図20に基づき、抵抗器A10の第4変形例に係る抵抗器A14について説明する。抵抗器A14は、第1被覆体30A(被覆体30)の第1層31の構成が、先述した抵抗器A10と異なる例である。
【0045】
抵抗器A14においては、厚さ方向zに視て、第1層31のスリット311は、第1スリット311Aおよび複数の第2スリット311Bを有する。第1スリット311Aは、第1方向xに延びている。複数の第2スリット311Bは、第1スリット311Aの第1方向xの両端につながり、かつ第2方向yに延びている。これにより、厚さ方向zに視て、スリット311は、クランク状となっている。厚さ方向zに視て、第1スリット311Aは、第1被覆体30Aの中心Cを通過している。図示は省略するが、抵抗器A14においても、スリット311の側壁312は、第1層31の内方に向けて凹状である。
【0046】
(第5変形例)
図21に基づき、抵抗器A10の第5変形例に係る抵抗器A15について説明する。抵抗器A15は、第1被覆体30A(被覆体30)の第1層31の構成が、先述した抵抗器A10と異なる例である。
【0047】
抵抗器A15においては、厚さ方向zに視て、第1層31のスリット311は、第2方向yに延びている。厚さ方向zに視て、スリット311は、第1被覆体30Aの中心Cを通過している。図示は省略するが、抵抗器A15においても、スリット311の側壁312は、第1層31の内方に向けて凹状である。
【0048】
次に、抵抗器A10の作用効果について説明する。
【0049】
抵抗器A10の構成によれば、第1絶縁体11に積層された第1被覆体30A(被覆体30)を備える。第1被覆体30Aは、第1絶縁体11に接する第1層31を有する。第1層31は、導電性を有する。これにより、抵抗器A10の使用の際、抵抗体20から発生した熱は、第1絶縁体11および第2絶縁体12の双方に流れる。第1絶縁体11に流れた熱は、第1被覆体30Aに流れる。第1被覆体30Aは、第1層31を有するため、第1被覆体30Aの熱伝導率は、第1絶縁体11および第2絶縁体12の熱伝導率よりも相対的に大である。このため、抵抗体20から発生した熱が、第1被覆体30Aに流れやすくなる。第1被覆体30Aに流れた熱は、抵抗器A10の外部に放出される。したがって、抵抗器A10によれば、放熱性を向上させることが可能となる。
【0050】
第1層31には、厚さ方向zに貫通するスリット311が設けられている。第1層31は、スリット311により複数の領域に分断されている。第1層31の熱膨張率は、第1絶縁体11、第2絶縁体12および抵抗体20の熱膨張率よりも相対的に大である。このため、抵抗体20から発生した熱により、第1絶縁体11と第1被覆体30Aとの間に熱応力が集中しやすくなる。熱応力の集中が過度になると、厚さ方向zに対する反りが抵抗器A10に発生する。したがって、第1層31にスリット311を設けることにより、第1絶縁体11と第1被覆体30Aとの間の熱応力を緩和させることができる。
【0051】
第1被覆体30Aには、抵抗体20の一対の第1端面20Aから第1方向xに向けて突出する一対の第1凸部33を有する。一対の第1凸部33は、抵抗器A10(
図9参照)および抵抗器A11(
図17参照)のように第1層31および第2層32の双方からなる場合と、抵抗器A12(
図18参照)のように第2層32からなる場合とがある。いずれの場合でも、一対の電極40の側部42が一対の第1凸部33に接することにより、一対の電極40は第1層31に導通する。したがって、第1層31にスリット311を設けることにより、一対の電極40の短絡(ショート)を防止することができる。
【0052】
第1層31は、銅を含む材料からなる。銅は、熱伝導率が比較的高く、かつ電気抵抗率が比較的小である材料である。これにより、抵抗器A10の放熱性をより向上させることができる。さらに、一対の電極40が第1層31に接することに起因した、抵抗器A10の抵抗値の変動を抑制することができる。
【0053】
第1絶縁体11には、電気絶縁性を有するフィラー112が含有されている。フィラー112により、第1絶縁体11の機械的強度を、より向上させることができる。また、フィラー112は、熱伝導率が比較的大であるセラミックスを含む材料からなる。これにより、第1絶縁体11の熱伝導率がより大となる。したがって、抵抗体20から発生した熱を、第1絶縁体11を介してより多く第1被覆体30Aに伝えることができるため、抵抗器A10の放熱性がより向上する。
【0054】
第1被覆体30Aは、第1層31に積層され、かつ電気絶縁性を有する第2層32を有する。これにより、第1層31を保護し、かつ第1層31から電流が外部に漏洩することを防止できる。また、第2層32の一部は、第1層31のスリット311に位置している。これにより、第2層32と第1層31との接触面積が増加するため、第1層31に対する第2層32の接合強度を高めることができる。
【0055】
第1層31のスリット311の側壁312は、第1層31の内方に向けて凹状である。これにより、第2層32に対する投錨効果(アンカー効果)がスリット311において得られるため、第1層31に対する第2層32の接合強度をより高めることができる。
【0056】
抵抗体20には、厚さ方向zに貫通する複数の抵抗スリット21が設けられている。第1絶縁体11および第2絶縁体12の少なくとも一部が、抵抗スリット21に位置している。これにより、第1絶縁体11および第2絶縁体12の少なくともいずれかと、抵抗体20との接触面積が増加するため、抵抗体20に対するこれらの接合強度を高めることができる。
【0057】
抵抗体20の抵抗スリット21の側壁22は、抵抗体20の内方に向けて凹状である。これにより、第1絶縁体11および第2絶縁体12の少なくともいずれかに対する投錨効果が抵抗スリット21において得られるため、抵抗体20に対するこれらの接合強度をより高めることができる。
【0058】
一対の電極40の各々は、底部41につながり、かつ厚さ方向zに延びる側部42を有する。一対の側部42は、抵抗体20の一対の第1端面20A、第2絶縁体12の一対の第2端面12C、および第1絶縁体11の一対の第3端面11Cに接している。一対の第2端面12Cおよび一対の第3端面11Cは、一対の第1端面20Aと面一である。これにより、抵抗体20において、一対の電極40が接する部分は、一対の第1端面20Aのみとなる。一対の第1端面20Aの大きさは、ともに等しい。これにより、抵抗器A10の抵抗値のばらつきを抑制することができる。
【0059】
〔第2実施形態〕
図22および
図23に基づき、本開示の第2実施形態に係る抵抗器A20について説明する。これらの図において、先述した抵抗器A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図22が示す断面位置は、
図6が示す断面位置と同一である。
【0060】
抵抗器A20においては、第1絶縁体11、第2絶縁体12、被覆体30、および一対の電極40の構成が、先述した抵抗器A10と異なる。
【0061】
図23に示すように、第2絶縁体12には、電気絶縁性を有するフィラー122が含有されている。フィラー122の材料は、先述した抵抗器A10の第1絶縁体11に含有されているフィラー112の材料と同一である。ただし、抵抗器A20においては、第1絶縁体11には、フィラー112が含有されていない。
【0062】
被覆体30は、
図22に示すように、第2絶縁体12の第2裏面12Bに積層されている。これにより、抵抗器A20は、被覆体30のうち第2被覆体30Bを備える構成となっている。
【0063】
図22に示すように、第2被覆体30Bは、第1被覆体30Aと同じく、第1層31および第2層32を有する。第1層31は、第2絶縁体12の第2裏面12Bに接している。第1層31は、導電性を有する。第1層31は、銅を含む材料からなる。第1層31の材料は、電気抵抗率が比較的小であり、かつ熱伝導率が比較的大である材料が好ましい。第2層32は、第1層31に積層されている。第2層32は、電気絶縁性を有する合成樹脂シートである。当該合成樹脂シートの一例として、ガラスエポキシ樹脂を含むシートが挙げられる。
【0064】
図23に示すように、第1層31には、厚さ方向zに貫通するスリット311が設けられている。スリット311により、第1層31は、複数の領域により分断されている。スリット311の形状は、先述した抵抗器A10(
図2参照)、抵抗器A13(
図19参照)、抵抗器A14(
図20参照)および抵抗器A15(
図21参照)のいずれかを選択できる。スリット311の側壁312は、第1層31の内方に向けて凹状である。
【0065】
図23に示すように、第2層32には、埋込部321が設けられている。埋込部321は、第1層31に接する第2層32の面から厚さ方向zに突出している。埋込部321は、第1層31のスリット311に位置している。このように、第2層32の一部が、スリット311に位置する構成となっている。抵抗器A20においては、埋込部321は、スリット311の側壁312に接している。
【0066】
図23に示すように、第1層31は、一対の第4端面313を有する。一対の第4端面313は、第1方向xを向く。第2層32は、一対の第5端面322を有する。一対の第5端面322は、第1方向xを向く。一対の第4端面313および一対の第5端面322は、抵抗体20の一対の第1端面20Aと面一である。抵抗器A20においては、第2被覆体30Bには、一対の第1凸部33が設けられていない。
【0067】
図22および
図23に示すように、一対の電極40の底部41は、第2被覆体30Bの第2層32に接している。
図23に示すように、一対の電極40の側部42は、抵抗体20の一対の第1端面20A、第2絶縁体12の一対の第2端面12C、および第1絶縁体11の一対の第3端面11Cに接している。さらに一対の側部42は、第1層31の一対の第4端面313、および第2層32の一対の第5端面322に接している。一対の側部42は、第1絶縁体11の一対の第2凸部113に接している。
【0068】
次に、抵抗器A20の作用効果について説明する。
【0069】
抵抗器A20の構成によれば、第2絶縁体12に積層された第2被覆体30B(被覆体30)を備える。第2被覆体30Bは、第2絶縁体12に接する第1層31を有する。第1層31は、導電性を有する。これにより、抵抗器A20の使用の際、抵抗体20から発生した熱は、第1絶縁体11および第2絶縁体12の双方に流れる。第2絶縁体12に流れた熱は、第2被覆体30Bに流れる。第2被覆体30Bは、第1層31を有するため、第2被覆体30Bの熱伝導率は、第1絶縁体11および第2絶縁体12の熱伝導率よりも相対的に大である。このため、抵抗体20から発生した熱が、第2被覆体30Bに流れやすくなる。第2被覆体30Bに流れた熱は、抵抗器A20の外部に放出される。したがって、抵抗器A20によっても、放熱性を向上させることが可能となる。
【0070】
第2絶縁体12には、電気絶縁性を有するフィラー122が含有されている。フィラー122により、第2絶縁体12の機械的強度を、より向上させることができる。また、フィラー112は、熱伝導率が比較的大であるセラミックスを含む材料からなる。これにより、第2絶縁体12の熱伝導率がより大となる。したがって、抵抗体20から発生した熱を、第2絶縁体12を介してより多く第2被覆体30Bに伝えることができるため、抵抗器A20の放熱性がより向上する。
【0071】
一対の電極40の底部41は、第2被覆体30Bの第2層32に接している。これにより、抵抗体20から発生し、かつ第2絶縁体12を介して第2被覆体30Bに伝えられた熱を、一対の電極40により抵抗器A20の外部に速やかに放熱することができる。
【0072】
〔第3実施形態〕
図24および
図25に基づき、本開示の第3実施形態に係る抵抗器A30について説明する。これらの図において、先述した抵抗器A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図24が示す断面位置は、
図6が示す断面位置と同一である。
【0073】
抵抗器A30においては、第2絶縁体12、被覆体30および一対の電極40の構成が、先述した抵抗器A10と異なる。
【0074】
図25に示すように、第2絶縁体12には、電気絶縁性を有するフィラー122が含有されている。フィラー122の材料は、先述した抵抗器A10の第1絶縁体11に含有されているフィラー112の材料と同一である。
【0075】
被覆体30は、
図24に示すように、第1絶縁体11の第1裏面11Bと、第2絶縁体12の第2裏面12Bとのそれぞれに積層されている。これにより、抵抗器A30は、30のうち第1被覆体30Aおよび第2被覆体30Bの両者を備える構成となっている。抵抗器A30においては、第1被覆体30Aの構成は、先述した抵抗器A10の第1被覆体30Aの構成と同一であり、かつ第2被覆体30Bの構成は、先述した抵抗器A20の第2被覆体30Bの構成と同一である。このため、第1被覆体30Aおよび第2被覆体30Bの説明は、省略する。
【0076】
図24および
図25に示すように、一対の電極40の底部41は、第2被覆体30Bの第2層32に接している。
図25に示すように、一対の電極40の側部42は、抵抗体20の一対の第1端面20A、第2絶縁体12の一対の第2端面12C、および第1絶縁体11の一対の第3端面11Cに接している。さらに一対の側部42は、第1層31の一対の第4端面313、および第2層32の一対の第5端面322に接している。一対の側部42は、第1被覆体30Aの一対の第1凸部33、および第1絶縁体11の一対の第2凸部113の双方に接している。抵抗器A30においても、先述した抵抗器A11(
図17参照)、および抵抗器A12(
図18参照)と同一の構成をとることができる。
【0077】
次に、抵抗器A30の作用効果について説明する。
【0078】
抵抗器A30の構成によれば、第1絶縁体11に積層された第1被覆体30A(被覆体30)、および第2絶縁体12に積層された第2被覆体30B(被覆体30)を備える。第1被覆体30Aは、第1絶縁体11に接する第1層31を有する。第2被覆体30Bは、第2絶縁体12に接する第1層31を有する。第1層31は、導電性を有する。これにより、抵抗器A30の使用の際、抵抗体20から発生した熱は、第1絶縁体11および第2絶縁体12の両者を介して、第1被覆体30Aおよび第2被覆体30Bに流れる。第1被覆体30Aおよび第2被覆体30Bは、第1層31を有するため、第1被覆体30Aおよび第2被覆体30Bの熱伝導率は、第1絶縁体11および第2絶縁体12の熱伝導率よりも相対的に大である。このため、抵抗体20から発生した熱が、第1被覆体30Aおよび第2被覆体30Bに流れやすくなる。第1被覆体30Aおよび第2被覆体30Bに流れた熱は、抵抗器A30の外部に放出される。したがって、抵抗器A30によっても、放熱性を向上させることが可能となる。
【0079】
〔第4実施形態〕
図26~
図29に基づき、本開示の第4実施形態に係る抵抗器A40について説明する。これらの図において、先述した抵抗器A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図26は、理解の便宜上、被覆体30の第2層32を透過している。
【0080】
抵抗器A40においては、各構成要素の寸法と、一対の電極40の構成とが、先述した抵抗器A10と異なる。
【0081】
抵抗器A40を構成する第1絶縁体11、抵抗体20、第2絶縁体12、被覆体30、および一対の電極40の各々の第1方向xおよび第2方向yの寸法は、抵抗器A10に係る各々の当該寸法と同一である。しかし、
図26~
図28から理解されるように、抵抗器A10を構成するこれらの要素の各々の厚さ方向zの寸法は、抵抗器A10に係る各々の当該寸法よりも小となっている。抵抗器A40の寸法は、抵抗器A10に対して、より実製品に近い寸法となっている。さらに、抵抗体20の複数の抵抗スリット21の数は、抵抗器A10の複数の抵抗スリット21の数よりも大となっている。
【0082】
図28および
図29に示すように、一対の電極40の各々の側部42は、第1被覆体30A(被覆体30)の第2層32に接している。
図29に示すように、第1被覆体30Aの一対の第1凸部33の各々の第1方向xの寸法は、抵抗器A10に係る各々の当該寸法よりも大である。あわせて、第1絶縁体11の一対の第2凸部113の各々の第1方向xの寸法は、抵抗器A10に係る各々の当該寸法よりも大である。
【0083】
本開示は、先述した実施形態に限定されるものではない。本開示の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0084】
本開示は、以下の付記に記載した実施形態を含む。
【0085】
付記1.厚さ方向を向く主面を有する第1絶縁体と、
前記主面に配置された抵抗体と、
前記抵抗体を覆う第2絶縁体と、
前記厚さ方向に対して直交する第1方向の両側において、前記抵抗体に導通する一対の電極と、
前記第1絶縁体および前記第2絶縁体の少なくともいずれかに積層された被覆体と、を備え、
前記被覆体は、導電性を有し、かつ前記第1絶縁体および前記第2絶縁体の少なくともいずれかに接する第1層を有する、抵抗器。
【0086】
付記2.前記第1層には、前記厚さ方向に貫通するスリットが設けられ、
前記第1層は、前記スリットにより複数の領域に分断されている、付記1に記載の抵抗器。
【0087】
付記3.前記厚さ方向に視て、前記スリットは、前記第1方向に対して傾斜している、付記2に記載の抵抗器。
【0088】
付記4.前記厚さ方向に視て、前記スリットは、前記第1方向に延びる第1スリットと、前記厚さ方向および前記第1方向に対して直交する第2方向に延びる複数の第2スリットと、を有する、付記2に記載の抵抗器。
【0089】
付記5.前記第1層は、銅を含む材料からなる、付記2ないし4のいずれかに記載の抵抗器。
【0090】
付記6.前記第1絶縁体および前記第2絶縁体の少なくともいずれかには、電気絶縁性を有するフィラーが含有され、
前記フィラーは、セラミックスを含む材料からなる、付記2ないし5のいずれかに記載の抵抗器。
【0091】
付記7.前記被覆体は、前記第1層に積層され、かつ電気絶縁性を有する第2層を有し、
前記第2層の一部が、前記スリットに位置している、付記2ないし6のいずれかに記載の抵抗器。
【0092】
付記8.前記スリットの側壁は、前記第1層の内方に向けて凹状である、付記7に記載の抵抗器。
【0093】
付記9.前記抵抗体には、前記厚さ方向に貫通する抵抗スリットが設けられ、
前記第1絶縁体および前記第2絶縁体の少なくともいずれかの一部が、前記抵抗スリットに位置している、付記7または8に記載の抵抗器。
【0094】
付記10.前記抵抗スリットの側壁は、前記抵抗体の内方に向けて凹状である、付記9に記載の抵抗器。
【0095】
付記11.前記一対の電極の各々は、底部および側部を有し、前記底部は、前記厚さ方向において前記第2絶縁体に対して前記抵抗体とは反対側に位置し、かつ前記厚さ方向に視て前記主面に重なり、前記側部は、前記一対の電極のいずれかの前記底部につながり、かつ前記厚さ方向に延び、前記抵抗体は、前記第1方向を向く一対の第1端面を有し、前記一対の電極の各々の前記側部は、前記一対の第1端面のいずれかに接している、付記7ないし10のいずれかに記載の抵抗器。
【0096】
付記12.前記第2絶縁体は、前記第1方向を向き、かつ前記一対の第1端面のいずれかと面一である一対の第2端面を有し、
前記一対の電極の各々の前記側部は、前記一対の第2端面のいずれかに接している、付記11に記載の抵抗器。
【0097】
付記13.前記第1絶縁体は、前記第1方向を向き、かつ前記一対の第1端面のいずれかと面一である一対の第3端面を有し、
前記一対の電極の各々の前記側部は、前記一対の第3端面のいずれかに接している、付記12に記載の抵抗器。
【0098】
付記14.前記被覆体は、前記第1絶縁体に積層された第1被覆体を含み、
前記第1被覆体には、前記第1方向において互いに離れて位置し、かつ前記一対の第1端面から前記第1方向に向けて突出する一対の第1凸部を有し
前記一対の電極の各々の前記側部は、前記一対の第1凸部のいずれかに接している、付記11ないし13のいずれかに記載の抵抗器。
【0099】
付記15.前記一対の第1凸部は、前記第1被覆体の前記第2層からなる、付記14に記載の抵抗器。
【0100】
付記16.前記第1絶縁体は、前記第1方向において互いに離れて位置し、かつ前記一対の第1端面から前記第1方向に向けて突出する一対の第2凸部を有し、
前記一対の電極の各々の前記側部は、前記一対の第1凸部のいずれかと、前記一対の第2凸部のいずれかと、の双方に接している、付記14に記載の抵抗器。
【0101】
付記17.前記被覆体は、前記第2絶縁体に積層された第2被覆体をさらに含み、
前記一対の電極の前記底部は、前記第2被覆体の前記第2層に接している、付記14ないし16のいずれかに記載の抵抗器。