(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076399
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】ズームレンズ及びそれを有する撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/16 20060101AFI20240530BHJP
G02B 15/20 20060101ALI20240530BHJP
G02B 15/167 20060101ALI20240530BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20240530BHJP
【FI】
G02B15/16
G02B15/20
G02B15/167
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187858
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】片寄 慎斗
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087MA14
2H087MA15
2H087NA07
2H087NA14
2H087PA10
2H087PA11
2H087PA17
2H087PA18
2H087PB10
2H087PB11
2H087PB12
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA34
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA36
2H087RA44
2H087SA14
2H087SA16
2H087SA19
2H087SA24
2H087SA26
2H087SA30
2H087SA32
2H087SA44
2H087SA46
2H087SA49
2H087SA50
2H087SA52
2H087SA53
2H087SA55
2H087SA56
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA72
2H087SA75
2H087SA76
2H087SB05
2H087SB06
2H087SB12
2H087SB15
2H087SB16
2H087SB22
2H087SB23
2H087SB24
2H087SB32
2H087SB42
(57)【要約】
【課題】 高い光学性能を有しながら、小型かつ広画角なズームレンズを提供すること。
【解決手段】 物体側より像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、1つ以上のレンズ群を含む後群からなり、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズにおいて、ズーミングに際して第1レンズ群は不動であり、第1レンズ群は、物体側から順に配置された、負の屈折力の部分群La、負の屈折力の部分群Lbから構成され、部分群Lbは、像側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズからなり、像振れ補正に際して光軸と垂直方向の成分を含むように移動し、第1レンズ群の焦点距離f1、第2レンズ群の焦点距離f2を各々適切に設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側より像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、1つ以上のレンズ群を含む後群からなり、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
ズーミングに際して前記第1レンズ群は不動であり、
前記第1レンズ群は、物体側から順に配置された、負の屈折力の部分群La、負の屈折力の部分群Lbから構成され、
前記部分群Lbは、像側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズからなり、像振れ補正に際して光軸と垂直方向の成分を含むように移動し、
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
-1.50<f1/f2<-0.60
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
広角端における全系の焦点距離をfw、前記部分群Lbの焦点距離をfbとするとき、
-0.40<fw/fb<-0.03
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記部分群Laは、物体側より像側へ順に配置された、第1負レンズと第2負レンズを有することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記第1負レンズの焦点距離をfa1n、前記第2負レンズの焦点距離をfa2nとするとき、
0.10<fa1n/fa2n<0.60
なる条件式を満足することを特徴とする請求項3に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記部分群Laの最も像側には正レンズが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記部分群Laの最も像側に配置された正レンズの焦点距離をfap、前記部分群Lbの焦点距離をfbとするとき、
-0.60<fap/fb<-0.05
なる条件式を満足することを特徴とする請求項5に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記部分群Laの焦点距離をfa、前記部分群Lbの焦点距離をfbとするとき、
0.05<fa/fb<0.80
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項8】
広角端における全系の焦点距離をfw、広角端における最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をTwとするとき、
3.50<Tw/fw<8.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記部分群Lbに含まれる負レンズの物体側のレンズ面の曲率半径をRb1、像側のレンズ面の曲率半径をRb2とするとき、
-6.0<(Rb1+Rb2)/(Rb1-Rb2)<-0.5
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記後群の中で最も像側に配置されたレンズ群は、ズーミングに際して不動であることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記後群は、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群からなることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項12】
前記後群は、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、負の屈折力の第5レンズ群からなることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項13】
前記後群は、負の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群からなることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項14】
前記後群は、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群からなることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項15】
前記後群は、正の屈折力の第3レンズ群からなることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項16】
広角端における全系の焦点距離をfw、前記部分群Lbの焦点距離をfbとするとき、
-0.40<fw/fb<-0.03
なる条件式を満足することを特徴とする請求項3乃至15のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項17】
前記部分群Laは、物体側より像側へ順に配置された、第1負レンズと第2負レンズを有することを特徴とする請求項4乃至15のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項18】
前記部分群Laは、物体側より像側へ順に配置された、第1負レンズと第2負レンズを有し、
広角端における全系の焦点距離をfw、前記部分群Lbの焦点距離をfbとするとき、
-0.40<fw/fb<-0.03
なる条件式を満足することを特徴とする請求項4乃至15のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項19】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載のズームレンズを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項20】
前記ズームレンズにより形成される光学像を光電変換する撮像素子をさらに有することを特徴とする請求項19に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズに関し、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ等の撮像装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、動画撮影等のために振れ補正機能を有する広角ズームレンズが広く用いられている。このような広角ズームレンズとして、高い光学性能を有し、小型化と広画角化が両立された光学系が求められている。振れ補正のために駆動される防振レンズの径が大きくなると、防振レンズを駆動させるためのユニットも大型化するため、防振レンズの小型化が要求されている。
【0003】
特許文献1は、1枚の負レンズで防振群を構成したネガティブリードタイプのズームレンズを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的にネガティブリードタイプのズームレンズでは、レンズ群の配置が非対称となるため、諸収差の補正が難しくなる。広画角化や小型化のために各レンズ群の屈折力を強くすると当該収差の問題が大きくなる。
【0006】
このため、ネガティブリードタイプのズームレンズにおいて広画角化と小型化を図りつつ、諸収差を良好に補正して高い光学性能を得るには、各レンズ群の屈折力等を適切に設定することが重要になってくる。
【0007】
特許文献1のズームレンズでは、第2レンズ群の屈折力が強いため、諸収差を良好に補正することが困難である。
【0008】
本発明は、高い光学性能を有しながら、小型かつ広画角なズームレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のズームレンズは、物体側より像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、1つ以上のレンズ群を含む後群からなり、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、ズーミングに際して前記第1レンズ群は不動であり、前記第1レンズ群は、物体側から順に配置された、負の屈折力の部分群La、負の屈折力の部分群Lbから構成され、前記部分群Lbは、像側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズからなり、像振れ補正に際して光軸と垂直方向の成分を含むように移動し、前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
-1.50<f1/f2<-0.60
なる条件式を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高い光学性能を有しながら、小型かつ広画角なズームレンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。
【
図2】(A)、(B)、(C)実施例1のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図である。
【
図3】実施例2のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。
【
図4】(A)、(B)、(C)実施例2のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図である。
【
図5】実施例3のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。
【
図6】(A)、(B)、(C)実施例3のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図である。
【
図7】実施例4のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。
【
図8】(A)、(B)、(C)実施例4のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図である。
【
図9】実施例5のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。
【
図10】(A)、(B)、(C)実施例5のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図である。
【
図11】本発明の撮像装置を示す要部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のズームレンズ及びそれを有する撮像装置の実施例について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1、
図3、
図5、
図7および
図9はそれぞれ、実施例1から5のズームレンズの断面図である。各実施例のズームレンズはデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ、監視用カメラ、車載用カメラ等の撮像装置に用いられるズームレンズである。
【0014】
各レンズ断面図において左側が物体側で、右側が像側である。尚、各実施例のズームレンズをプロジェクターなどの投射レンズとして用いても良い。このときは左側がスクリーン側、右側が被投射画像側となる。
【0015】
各実施例のズームレンズは、物体側より像側へ順に配置された負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、1つ以上のレンズ群を含む後群から構成される。そして、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する。各レンズ群は1枚のレンズから構成されていてもよいし、複数のレンズから構成されていてもよい。また、レンズ群は、開口絞りを含んでいてもよい。
【0016】
各レンズ断面図に示した矢印(実線)は、広角端から望遠端へのズーミングに際しての各レンズ群の移動軌跡を表している。また、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して矢印で示すようにレンズ群が移動する。
【0017】
各レンズ断面図において、SPは開口絞りである。実施例1から3、5のズームレンズにおいて、開口絞りSPは第2レンズ群L2に含まれる。実施例4のズームレンズにおいて、開口絞りSPは、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間に配置されている。
【0018】
IPは像面であり、各実施例のズームレンズをデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラに使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が配置される。各実施例のズームレンズを銀塩フィルム用カメラの撮影光学系として使用する際には像面IPにはフィルム面に相当する感光面が置かれる。
【0019】
図2、
図4、
図6、
図8および
図10はそれぞれ、実施例1から5のズームレンズの広角端における物体距離無限遠に合焦したときの収差図である。
【0020】
球面収差図においてFnoはFナンバーであり、d線(波長587.6nm)、g線(波長435.8nm)に対する球面収差量を示している。非点収差図においてΔSはサジタル像面における収差量、ΔMはメリディオナル像面における収差量を示している。歪曲収差図においてd線に対する歪曲収差量を示している。色収差図ではg線における倍率色収差量を示している。ωは撮像半画角(°)である。
【0021】
次に、各実施例のズームレンズにおける特徴的な構成について述べる。
【0022】
各実施例のズームレンズにおいて、ズーミングに際して第1レンズ群L1は像面IPに対して不動である。第1レンズ群L1に含まれるレンズは外径が大きくなるため、高重量化しやすい。ズーミングに際して第1レンズ群L1を不動とすることで迅速かつ静音なズーミングを実現することができる。
【0023】
第1レンズ群L1は、物体側から順に配置された、負の屈折力の部分群La、負の屈折力の部分群Lbから構成される。各実施例において、振れ補正に際して光軸と垂直方向の成分を含むように部分群Lbが移動することで、撮影画像の振れが低減される。部分群Lbは1枚の負レンズから構成される。これにより、振れ補正のために移動する防振群を軽量化することが可能となる。さらに、当該負レンズを、像側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズとしている。これにより、像振れ補正時における光学性能の低下を抑制することができる。
【0024】
また、実施例1から3、5のズームレンズにおいて、部分群Laは、物体側から像側へ順に配置された負レンズ、負レンズ、正レンズから構成されている。実施例4のズームレンズにおいて、部分群Laは、物体側から像側へ順に配置された負レンズ、負レンズ、負レンズ、正レンズから構成されている。複数の負レンズを物体側から連続して配置することで、広角端におけるコマ収差、像面湾曲、倍率色収差を良好に補正しつつ、部分群Laに強い負の屈折力を持たせることができる。結果として第1レンズ群L1の小型化を実現することができる。
【0025】
また、各実施例のズームレンズは以下の条件式を満足するように構成している。
-1.50<f1/f2<-0.60 (1)
【0026】
ここでf1は第1レンズ群L1の焦点距離、f2は第2レンズ群L2の焦点距離である。
【0027】
条件式(1)は、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の焦点距離の比を規定した条件式である。条件式(1)の上限値を超えると、第1レンズ群L1の焦点距離f1が短くなりすぎ、広角端におけるコマ収差や像面湾曲などの軸外収差を補正することが困難となるため、好ましくない。また、第2レンズ群L2の焦点距離f2が長くなりすぎ、ズーミングにおける第2レンズ群L2の移動量が大きくなり、迅速なズーミングが困難となるため、好ましくない。条件式(1)の下限値を下回ると、第1レンズ群L1の焦点距離f1が長くなりすぎ、光学系全体が大型化してしまう。光学系が大型化すると、レンズ群を駆動させるためのアクチュエータへの負荷が大きくなり、ズーミングやフォーカシングにおける静音性を確保することが困難となるため、好ましくない。
【0028】
以上の構成により、高い光学性能を有しながら、小型かつ広画角なズームレンズを実現することが可能となる。
【0029】
なお、各実施例において、好ましくは条件式(1)の数値範囲を次のように設定するのが良い。
-1.40<f1/f2<-0.70 (1a)
【0030】
また、さらに好ましくは、条件式(1)の数値範囲を次のように設定するのが良い。
-1.30<f1/f2<-0.80 (1b)
【0031】
さらに、各実施例のズームレンズは、以下の条件式のうちの1つ以上を満足することが好ましい。
-0.40<fw/fb<-0.03 (2)
0.10<fa1n/fa2n<0.60 (3)
-0.60<fap/fb<-0.05 (4)
0.05<fa/fb<0.80 (5)
3.50<Tw/fw<8.00 (6)
-6.0<(Rb1+Rb2)/(Rb1-Rb2)<-0.5 (7)
【0032】
ここで、広角端における全系の焦点距離をfw、部分群Laの焦点距離をfa、部分群Lbの焦点距離をfb、部分群Laの最も像側に配置された正レンズの焦点距離をfapとする。広角端における最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をTw、部分群Lbを構成する負レンズの物体側のレンズ面の曲率半径をRb1、像側のレンズ面の曲率半径をRb2とする。また、部分群Laは、物体側より像側へ順に配置された、第1負レンズと第2負レンズを含み、当該第1負レンズの焦点距離をfa1n、当該第2負レンズの焦点距離をfa2nとする。
【0033】
以下に、各条件式の技術的意味について説明する。条件式(2)は、広角端における全系の焦点距離fwと部分群Lbの焦点距離fbの比を規定した条件式である。条件式(2)の上限値を超えて部分群Lbの焦点距離fbが長くなると、像振れ補正時に必要な部分群Lbの駆動量が大きくなる。結果として、部分群Lbを駆動させるためのメカ機構の大型化を招くため好ましくない。条件式(2)の下限値を下回って部分群Lbの焦点距離fbが短くなると、像振れ補正に際して光学性能の低下を招くため好ましくない。
【0034】
条件式(3)は、部分群Laに含まれる第1負レンズの焦点距離fa1nと第2負レンズの焦点距離fa2nの比を規定した条件式である。条件式(3)の上限値を超えて上記第1負レンズfa1nの焦点距離が長くなると、部分群Laに含まれるレンズが大型化してしまうため、好ましくない。条件式(3)の下限値を下回って上記第1負レンズの焦点距離fa1nが短くなると、広角端におけるコマ収差や像面湾曲等の収差を良好に補正することが困難となるため、好ましくない。
【0035】
条件式(4)は、部分群Laの最も像側に配置された正レンズの焦点距離fapと部分群Lbの焦点距離fbの比を規定した条件式である。条件式(4)の上限値を超えて上記正レンズの焦点距離fapが短くなると、広角端における像面湾曲や倍率色収差の補正が困難となるため、好ましくない。条件式(4)の下限値を下回って上記正レンズの焦点距離fapが長くなると、第1レンズ群L1に含まれるレンズが大型化してしまうため、好ましくない。
【0036】
条件式(5)は、部分群Laの焦点距離faと部分群Lbの焦点距離fbの比を規定した条件式である。条件式(5)の上限値を超えて部分群Lbの焦点距離fbが短くなると、像振れ補正に際して光学性能の低下を招くため好ましくない。条件式(5)の下限値を下回って部分群Laの焦点距離faが短くなると、広角端におけるコマ収差や像面湾曲等の軸外収差を良好に補正することが困難となるため、好ましくない。
【0037】
条件式(6)は、広角端における全系の焦点距離fwと広角端における最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離Twの比を規定した条件式である。条件式(6)の上限値を超えて、広角端における最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離Twが長くなると、ズームレンズを構成するレンズの外径が大型化してしまい、軽量化が困難となるため、好ましくない。条件式(6)の下限値を下回って、広角端における最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離Twが短くなると、各レンズ群の屈折力が強くなりすぎて、各ズーム領域において諸収差を良好に補正することが困難となるため、好ましくない。
【0038】
条件式(7)は、部分群Lbを構成する負レンズの形状を規定した条件式である。条件式(7)の上限値または下限値を逸脱すると、像振れ補正に際して光学性能の低下を招くため好ましくない。
【0039】
好ましくは、条件式(2)~(7)の数値範囲を次のように設定するのが良い。
-0.30<fw/fb<-0.04 (2a)
0.15<fa1n/fa2n<0.50 (3a)
-0.50<fap/fb<-0.08 (4a)
0.08<fa/fb<0.70 (5a)
4.20<Tw/fw<7.20 (6a)
-5.5<(Rb1+Rb2)/(Rb1-Rb2)<-1.0 (7a)
【0040】
なお、さらに好ましくは、条件式(2)~(7)の数値範囲を次のように設定するのが良い。
-0.20<fw/fb<-0.05 (2b)
0.20<fa1n/fa2n<0.40 (3b)
-0.40<fap/fb<-0.11 (4b)
0.12<fa/fb<0.60 (5b)
4.80<Tw/fw<6.50 (6b)
-5.0<(Rb1+Rb2)/(Rb1-Rb2)<-1.5 (7b)
【0041】
次に、各実施例のズームレンズの詳細な構成について説明する。
【0042】
[実施例1]
実施例1のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズL4から構成される。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第2レンズ群L2および第3レンズ群L3は物体側に移動し、第1レンズ群L1及び第4レンズ群L4は、像面IPに対して不動である。
【0043】
[実施例2]
実施例2のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズL4、負の屈折力の第5レンズ群L5から構成される。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第2レンズ群L2および第3レンズ群L3は物体側に移動し、第4レンズ群L4は像側に移動し、第1レンズ群L1及び第5レンズ群L5は、像面IPに対して不動である。
【0044】
[実施例3]
実施例3のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、負の屈折力の第4レンズL4、正の屈折力の第5レンズ群L5から構成される。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3及び第4レンズ群L4は物体側に移動し、第1レンズ群L1及び第5レンズ群L5は、像面IPに対して不動である。
【0045】
[実施例4]
実施例4のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3、負の屈折力の第4レンズL4、正の屈折力の第5レンズ群L5から構成される。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3及び第4レンズ群L4は物体側に移動し、第1レンズ群L1及び第5レンズ群L5は、像面IPに対して不動である。
【0046】
[実施例5]
実施例5のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3から構成される。広角端から望遠端へのズーミングに際して、第2レンズ群L2および第3レンズ群L3は物体側に移動し、第1レンズ群L1は、像面IPに対して不動である。
【0047】
各実施例において第1レンズ群L1をズーミングに際して不動とすることで、ズーミングに際して発生する第1レンズ群L1の倒れを抑制し、光学性能を向上している。
【0048】
また、実施例1から3のズームレンズでは、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、第3レンズ群L3が像側に移動する。実施例4のズームレンズでは、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、第4レンズ群L4が像側に移動する。実施例5のズームレンズでは、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、第3レンズ群L3が物体側に移動する。フォーカシングに際して、レンズ外径が比較的小さいレンズ群第3レンズ群L3又は第4レンズ群L4を移動させることで、静音かつ迅速なフォーカシングを実現することができる。
【0049】
以下に、実施例1から5にそれぞれ対応する数値実施例1~5を示す。
【0050】
各数値実施例の面データにおいて、rは各光学面の曲率半径、d(mm)は第m面と第(m+1)面との間の軸上間隔(光軸上の距離)を表わしている。ただし、mは光入射側から数えた面の番号である。また、ndは各光学部材のd線に対する屈折率、νdは光学部材のアッベ数を表わしている。なお、ある材料のアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)、g線(波長435.8nm)における屈折率をNd、NF、NCとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。
【0051】
焦点距離(mm)、Fナンバーおよび半画角(°)はズームレンズが無限遠物体に合焦した状態での値である。レンズ全長は、ズームレンズの最も物体側のレンズ面から最終面(最も像側のレンズ面)までの光軸上の距離にバックフォーカスBFを加えた長さである。バックフォーカスBFは、ズームレンズの最終面から像面までの距離である。
【0052】
また、光学面が非球面の場合は、面番号の右側に、*の符号を付している。非球面形状は、Xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、Rを近軸曲率半径、kを円錐定数、A4、A6、A8、A10・・・を各次数の非球面係数とするとき、
x=(h2/R)/[1+{1-(1+k)(h/R)2}1/2]+A4×h4+A6×h6+A8×h8
で表している。なお、各非球面係数における「e±XX」は「×10±XX」を意味している。
【0053】
[数値実施例1]
単位mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 129.667 1.00 1.77250 49.6
2 12.509 5.14
3* 63.427 2.50 1.53110 55.9
4* 24.801 1.24
5 41.568 2.67 1.77047 29.7
6 -77.763 2.00
7 -30.797 1.00 1.49700 81.5
8 -65.395 (可変)
9 17.415 2.85 1.77250 49.6
10 -365.353 2.40
11(絞り) ∞ 1.35
12 12.268 1.46 1.59282 68.6
13 56.023 0.38
14 -40.758 1.00 1.68893 31.1
15 10.448 1.02
16 22.861 2.98 1.59282 68.6
17 -23.685 (可変)
18* -18.852 2.00 1.53110 55.9
19* -79.010 (可変)
20 -831.736 4.42 1.63854 55.4
21 -29.124 13.95
像面 ∞
非球面データ
第3面
K = 0.00000e+00 A 4=-4.79366e-05 A 6= 5.86487e-07 A 8=-2.49779e-09
第4面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.03870e-04 A 6= 5.76501e-07 A 8=-4.28911e-09
第18面
K = 0.00000e+00 A 4= 4.11828e-04 A 6=-8.01988e-07 A 8=-4.99043e-08
第19面
K = 0.00000e+00 A 4= 4.23139e-04 A 6=-1.27988e-06 A 8=-2.60261e-08
各種データ
ズーム比 2.08
広角 中間 望遠
焦点距離 14.00 20.08 29.10
Fナンバー 4.10 5.12 6.40
半画角(°) 40.13 32.31 24.89
像高 11.80 12.70 13.50
レンズ全長 75.20 75.20 75.20
BF 13.95 13.95 13.95
d 8 16.77 8.41 0.70
d17 1.50 2.12 6.42
d19 7.57 15.31 18.72
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -22.10
2 9 19.10
3 18 -47.16
4 20 47.16
【0054】
[数値実施例2]
単位mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 534.506 1.00 1.77250 49.6
2 14.834 4.62
3* 37.544 2.50 1.53110 55.9
4* 20.645 1.30
5 48.139 3.34 1.77047 29.7
6 -48.955 2.00
7 -33.119 1.00 1.49700 81.5
8 -156.787 (可変)
9 17.539 2.61 1.77250 49.6
10 216.284 1.99
11(絞り) ∞ 1.30
12 18.738 1.49 1.53775 74.7
13 -51.683 0.25
14 -22.543 1.00 1.67270 32.1
15 13.869 1.58
16 32.436 1.85 1.59522 67.7
17 -19.665 (可変)
18* -24.576 2.00 1.53110 55.9
19* -6826.878 (可変)
20 45.907 6.66 1.57135 53.0
21 -22.461 (可変)
22 -19.073 1.00 1.72916 54.7
23 -57.362 7.77
像面 ∞
非球面データ
第3面
K = 0.00000e+00 A 4=-9.37423e-05 A 6= 4.82001e-07 A 8=-1.12066e-09
第4面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.36642e-04 A 6= 5.30753e-07 A 8=-1.89466e-09
第18面
K = 0.00000e+00 A 4= 7.38627e-05 A 6=-1.91708e-06 A 8= 2.30777e-08
第19面
K = 0.00000e+00 A 4= 9.75035e-05 A 6=-1.35478e-06 A 8= 1.21309e-08
各種データ
ズーム比 2.02
広角 中間 望遠
焦点距離 14.40 20.40 29.10
Fナンバー 4.10 5.15 6.40
半画角(°) 38.61 31.49 25.15
像高 11.50 12.50 13.66
レンズ全長 72.61 72.61 72.61
BF 7.77 7.77 7.77
d 8 15.20 7.95 0.70
d17 1.50 7.44 12.71
d19 2.33 6.74 9.99
d21 8.33 5.23 3.96
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -25.64
2 9 20.97
3 18 -46.45
4 20 27.37
5 22 -39.63
【0055】
[数値実施例3]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 142.762 1.00 1.72916 54.7
2 13.014 5.98
3* -509.388 1.50 1.53110 55.9
4* 29.943 2.82
5 32.144 3.54 1.73037 32.2
6 -147.423 2.18
7 -31.819 1.00 1.49700 81.5
8 -64.767 (可変)
9 18.346 2.34 1.77250 49.6
10 -68.847 1.39
11(絞り) ∞ 0.80
12 13.771 1.57 1.52841 76.5
13 452.405 0.41
14 -24.779 0.70 1.63980 34.5
15 13.034 2.69
16 46.539 0.50 1.77250 49.6
17 10.609 2.77 1.59282 68.6
18 -16.884 (可変)
19* -14.647 1.50 1.53110 55.9
20* -21.650 (可変)
21 -80.280 1.20 1.65412 39.7
22 180.573 (可変)
23 142.488 4.85 1.72916 54.7
24 -37.267 10.00
像面 ∞
非球面データ
第3面
K = 0.00000e+00 A 4= 5.27995e-05 A 6=-1.07026e-07
第4面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.52836e-05 A 6=-1.24655e-07 A 8=-1.19180e-09
第19面
K = 0.00000e+00 A 4= 5.39440e-04 A 6= 5.03040e-06 A 8=-1.95774e-07
第20面
K = 0.00000e+00 A 4= 5.11766e-04 A 6= 3.58684e-06 A 8=-1.19691e-07
各種データ
ズーム比 2.26
広角 中間 望遠
焦点距離 12.40 18.45 28.00
Fナンバー 4.10 5.15 6.40
半画角(°) 41.83 33.90 25.24
像高 11.10 12.40 13.20
レンズ全長 78.70 78.70 78.70
BF 10.00 10.00 10.00
d 8 19.00 9.85 0.70
d18 1.50 0.97 4.47
d20 8.66 8.27 8.35
d22 0.80 10.87 16.44
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -21.89
2 9 19.81
3 19 -92.10
4 21 -84.81
5 23 40.98
【0056】
[数値実施例4]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 71.682 1.00 1.80400 46.5
2 13.252 4.96
3 60.000 1.50 1.53110 55.9
4* 22.087 2.76
5 -2518.048 1.20 1.88300 40.8
6 40.137 0.50
7 28.142 3.54 1.77047 29.7
8 -58.687 2.20
9 -32.181 1.00 1.49700 81.5
10 -49.356 (可変)
11 20.065 1.54 1.77250 49.6
12 -184.503 (可変)
13(絞り) ∞ 3.31
14 11.952 1.52 1.55032 75.5
15 61.695 1.07
16 -38.862 0.70 1.80000 29.8
17 11.933 0.76
18 28.577 2.80 1.59282 68.6
19 -18.073 (可変)
20* -30.831 2.00 1.53110 55.9
21* 176.550 (可変)
22 -492.853 4.20 1.95375 32.3
23 -35.931 10.01
像面 ∞
非球面データ
第4面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.39831e-05 A 6=-1.01016e-07 A 8=-2.37440e-10
第20面
K = 0.00000e+00 A 4= 9.01428e-05 A 6=-6.33870e-07 A 8= 5.66617e-09
第21面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.27835e-04 A 6=-6.27548e-07 A 8= 2.20776e-09
各種データ
ズーム比 2.26
広角 中間 望遠
焦点距離 12.40 18.48 28.00
Fナンバー 4.10 5.16 6.40
半画角(°) 42.09 34.29 26.01
像高 11.20 12.60 13.66
レンズ全長 78.70 78.70 78.70
BF 10.01 10.01 10.01
d10 18.98 9.84 0.70
d12 1.66 2.52 3.38
d19 6.37 5.29 10.14
d21 5.13 14.49 17.92
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -21.39
2 11 23.50
3 13 105.49
4 20 -49.26
5 22 40.45
【0057】
[数値実施例5]
単位mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 91.665 1.00 1.77250 49.6
2 11.845 5.67
3* 318.414 2.00 1.53110 55.9
4* 37.504 0.50
5 28.331 2.59 1.77047 29.7
6 -549.414 2.50
7 -33.641 1.00 1.49700 81.5
8 -80.842 (可変)
9 23.715 1.40 1.77250 49.6
10 -472.661 1.00
11(絞り) ∞ 1.00
12 13.277 2.09 1.59282 68.6
13 33.212 1.71
14 -84.010 0.80 1.68893 31.1
15 12.370 0.57
16 60.445 2.50 1.59282 68.6
17 -23.077 (可変)
18 -14.380 0.80 1.72916 54.7
19 -31.627 0.30
20* 72.459 3.25 1.49700 81.5
21* -14.886 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第3面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.65217e-05 A 6= 4.66150e-08 A 8=-1.38548e-09
第4面
K = 0.00000e+00 A 4=-2.05292e-05 A 6=-4.05285e-08 A 8=-2.79483e-09
第20面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.70490e-06 A 6= 3.08930e-07
第21面
K = 0.00000e+00 A 4= 3.25721e-05 A 6= 1.59534e-07 A 8= 4.45461e-09
各種データ
ズーム比 2.00
広角 中間 望遠
焦点距離 14.00 19.59 28.00
Fナンバー 4.10 4.99 6.05
半画角(°) 38.16 31.70 24.90
像高 11.00 12.10 13.00
レンズ全長 76.25 76.25 76.25
BF 25.89 28.44 39.11
d 8 17.78 9.24 0.70
d17 1.90 7.89 5.76
d21 25.89 28.44 39.11
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -21.57
2 9 25.36
3 18 63.05
【0058】
以下の表に各実施例における種々の値を示す。
【0059】
【0060】
[撮像装置]
次に、本発明のズームレンズを撮像光学系として用いたデジタルスチルカメラ(撮像装置)10の実施例について、
図11を用いて説明する。
図11において、11は実施例1から5で説明したいずれかのズームレンズによって構成された撮像光学系である。12はカメラ本体13に内蔵され、撮像光学系11によって形成された光学像を受光して光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子(光電変換素子)である。カメラ本体13はクイックターンミラーを有する所謂一眼レフカメラでもよいし、クイックターンミラーを有さない所謂ミラーレスカメラでもよい。
【0061】
このように、本発明のズームレンズをデジタルスチルカメラなどの撮像装置に適用することにより、高解像度で広画角な画像を得ることができる。
【0062】
各実施例の開示は、以下の構成を含む。
【0063】
(構成1)
物体側より像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、1つ以上のレンズ群を含む後群からなり、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
ズーミングに際して前記第1レンズ群は不動であり、
前記第1レンズ群は、物体側から順に配置された、負の屈折力の部分群La、負の屈折力の部分群Lbから構成され、
前記部分群Lbは、像側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズからなり、像振れ補正に際して光軸と垂直方向の成分を含むように移動し、
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
-1.50<f1/f2<-0.60
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【0064】
(構成2)
広角端における全系の焦点距離をfw、前記部分群Lbの焦点距離をfbとするとき、
-0.40<fw/fb<-0.03
なる条件式を満足することを特徴とする構成1に記載のズームレンズ。
【0065】
(構成3)
前記部分群Laは、物体側より像側へ順に配置された、第1負レンズと第2負レンズを有することを特徴とする構成1または2に記載のズームレンズ。
【0066】
(構成4)
前記第1負レンズの焦点距離をfa1n、前記第2負レンズの焦点距離をfa2nとするとき、
0.10<fa1n/fa2n<0.60
なる条件式を満足することを特徴とする構成3に記載のズームレンズ。
【0067】
(構成5)
前記部分群Laの最も像側には正レンズが配置されていることを特徴とする構成1乃至4のいずれか一構成に記載のズームレンズ。
【0068】
(構成6)
前記部分群Laの最も像側に配置された正レンズの焦点距離をfap、前記部分群Lbの焦点距離をfbとするとき、
-0.60<fap/fb<-0.05
なる条件式を満足することを特徴とする構成5に記載のズームレンズ。
【0069】
(構成7)
前記部分群Laの焦点距離をfa、前記部分群Lbの焦点距離をfbとするとき、
0.05<fa/fb<0.80
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至6のいずれか一構成に記載のズームレンズ。
【0070】
(構成8)
広角端における全系の焦点距離をfw、広角端における最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をTwとするとき、
3.50<Tw/fw<8.00
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至7のいずれか一構成に記載のズームレンズ。
【0071】
(構成9)
前記部分群Lbに含まれる負レンズの物体側のレンズ面の曲率半径をRb1、像側のレンズ面の曲率半径をRb2とするとき、
-6.0<(Rb1+Rb2)/(Rb1-Rb2)<-0.5
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至8のいずれか一構成に記載のズームレンズ。
【0072】
(構成10)
前記後群の中で最も像側に配置されたレンズ群は、ズーミングに際して不動であることを特徴とする構成1乃至9のいずれか一構成に記載のズームレンズ。
【0073】
(構成11)
前記後群は、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群からなることを特徴とする構成1乃至10のいずれか一構成に記載のズームレンズ。
【0074】
(構成12)
前記後群は、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、負の屈折力の第5レンズ群からなることを特徴とする構成1乃至10のいずれか一構成に記載のズームレンズ。
【0075】
(構成13)
前記後群は、負の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群からなることを特徴とする構成1乃至10のいずれか一構成に記載のズームレンズ。
【0076】
(構成14)
前記後群は、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群からなることを特徴とする構成1乃至10のいずれか一構成に記載のズームレンズ。
【0077】
(構成15)
前記後群は、正の屈折力の第3レンズ群からなることを特徴とする構成1乃至10のいずれか一構成に記載のズームレンズ。
【0078】
(構成16)
構成1乃至15のいずれか一構成に記載のズームレンズを有することを特徴とする撮像装置。
【0079】
(構成17)
前記ズームレンズにより形成される光学像を光電変換する撮像素子をさらに有することを特徴とする構成16に記載の撮像装置。
【0080】
以上、本発明に好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
La 部分群La
Lb 部分群Lb