(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076404
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】新規顕色剤及び記録材料
(51)【国際特許分類】
B41M 5/333 20060101AFI20240530BHJP
C09D 11/00 20140101ALI20240530BHJP
C07C 275/32 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B41M5/333 220
C09D11/00
C07C275/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187871
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木戸 正人
(72)【発明者】
【氏名】三藤 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】吉井 竜也
【テーマコード(参考)】
2H026
4H006
4J039
【Fターム(参考)】
2H026AA07
2H026BB01
2H026BB24
2H026FF01
4H006AA03
4H006AB99
4J039AD06
4J039BE02
4J039BE12
4J039CA02
4J039EA29
4J039EA46
4J039GA24
4J039GA27
4J039GA28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発色性、熱安定性に優れる記録材料を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)又は(2)
(R
1はハロゲン原子又は直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基を表す。R
2は置換基を有する若しくは無置換の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。)で表される顕色剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)又は(2)
【化1】
【化2】
(式(1)及び(2)中、R
1はハロゲン原子又は炭素数1乃至8の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基を表す。R
2は置換基を有する若しくは無置換の、炭素数1乃至18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。)
で表される化合物を含有する顕色剤。
【請求項2】
R1がハロゲン原子又は炭素数1乃至4の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基であり、R2が置換基を有する若しくは無置換の、炭素数3乃至12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である請求項1に記載の顕色剤。
【請求項3】
R1がハロゲン原子であり、R2が置換基を有する若しくは無置換の、炭素数4乃至8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である請求項2に記載の顕色剤。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の顕色剤を含む記録材料。
【請求項5】
請求項4に記載の記録材料を含む感熱記録層。
【請求項6】
請求項5に記載の感熱記録層を有する感熱記録紙。
【請求項7】
請求項4に記載の記録材料を含むインク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規顕色剤及び該顕色剤を含有する記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱、圧力、光等のエネルギーを用いた科学的発色システムが数多く知られている。その中で、染料前駆体であるロイコ染料及びロイコ染料と接触して発色する顕色剤の2成分発色系からなる発色システムは広く記録材料に利用されている。例えば、感熱記録材料は、一般にロイコ染料とフェノール性化合物等の顕色剤とをそれぞれ微粒子状に分散化した後に両者を混合し、これに結合剤、増感剤、充填剤、滑剤等の添加剤を添加して得られた塗工液を、紙、フィルム、合成紙等に塗布したもので、加熱によりロイコ染料と顕色剤の一方又は両者が溶融、接触して起こる化学反応により発色記録(印字)を得るものである。
【0003】
このような感熱記録材料を発色させるためには、サーマルヘッドを内蔵したサーマルプリンター等が用いられる。感熱記録法は他の記録法と比較して、(1)記録時に騒音が出ない、(2)現像・定着の必要がない、(3)メンテナンスフリーである、(4)機械が比較的安価である等の特徴により、ファクシミリ分野、コンピューターのアウトプット、電卓などのプリンター分野、医療計測用のレコーダー分野、自動券売機分野、感熱記録型ラベル分野等に広く用いられている。
【0004】
近年、ロイコ染料と顕色剤を含む記録材料の使用用途は、色素とロイコ染料の可逆的な反応を利用することにより、示温材料として食品や飲料の分野や、変色材料として玩具や筆記具の分野等で拡大している。用途の拡大によって使用環境が多様化するのに伴い、得られた発色記録には種々の環境に対する耐性、例えば、耐熱性、耐湿性、耐水性、耐光性、耐油性、耐アルコール性、耐可塑性等が求められている。
【0005】
一般にフェノール性水酸基を有する顕色性化合物は顕色能が高く、中でも発色濃度の高さから、例えば特許文献1に示される2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニルプロパン)(ビスフェノールA)及び特許文献2に示される4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)をはじめとしたビスフェノール系化合物が数多く報告されている。しかしながら、ビスフェノールA等のフェノール系化合物は、エンドクリン問題からその使用が問題とされており、フェノール構造を含まない非フェノール系の顕色性化合物が要望されている。非フェノール系の顕色剤としては、例えば特許文献3や4に示されるジフェニルウレア系の顕色性化合物が報告されている。しかしながら、これらの文献に示されるジフェニルウレア系の化合物は、フェノール系の化合物と比べて熱安定性が低く、比較的短時間加熱下に暴露されただけで発色記録が退色、消失するという欠点があるため、用途拡大に一定の制約を受けており、熱安定性に優れた記録材料の開発が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3539375号
【特許文献2】特開昭57-11088号
【特許文献3】WO2014/080615
【特許文献4】特開平8-059603
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、印字部の発色性が良好で熱安定性に優れる記録材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する化合物を顕色剤として含有する記録材料を用いることにより上記の課題が解決することを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち本発明は、
[1]下記一般式(1)又は(2)
【0009】
【0010】
【0011】
(式(1)及び(2)中、R1はハロゲン原子又は炭素数1乃至8の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基を表す。R2は置換基を有する若しくは無置換の、炭素数1乃至18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。)で表される化合物を含有する顕色剤、
[2]R1がハロゲン原子又は炭素数1乃至4の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基であり、R2が置換基を有する若しくは無置換の、炭素数3乃至12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である前項[1]に記載の顕色剤、
[3]R1がハロゲン原子であり、R2が置換基を有する若しくは無置換の、炭素数4乃至8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である前項[2]に記載の顕色剤、
[4]前項[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の顕色剤を含む記録材料、
[5]前項[4]に記載の記録材料を含む感熱記録層、
[6]前項[5]に記載の感熱記録層を有する感熱記録紙、及び
[7]前項[4]に記載の記録材料を含むインク、
に関する。
【発明の効果】
【0012】
一般式(1)又は(2)で表される化合物を顕色剤として使用することにより、印字部の発色性が良好で、高い熱安定性を示す記録材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を詳細に説明する。
本発明の顕色剤は、上記一般式(1)又は(2)で表される化合物を含有する。
【0014】
式(1)及び(2)中、R1はハロゲン原子又は炭素数1乃至8の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基を表す。R2は炭素数1乃至18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、該アルキル基は置換基を有していてもよい。
式(1)及び(2)のR1が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
【0015】
式(1)及び(2)のR1が表すアルコキシ基は、炭素数が1乃至8であれば直鎖又は分岐鎖のいずれでもよく、炭素数が1乃至4のメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基又はt-ブトキシ基が好ましく、炭素数1乃至4の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基がより好ましい。
尚、本明細書における、例えば「炭素数1乃至8の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基」には、実在しない「炭素数1又は2の分岐鎖のアルコキシ基」は含まれない。
【0016】
式(1)及び(2)のR2が表すアルキル基は、炭素数が1乃至18であれば直鎖又は分岐鎖のいずれでもよく、炭素数が4乃至8のブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基又はオクチル基が好ましく、ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基がより好ましい。
【0017】
式(1)及び(2)のR2が表すアルキル基は置換基を有していてもよく、該有していてもよい置換基としては、例えばハロゲン、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、エステル基等が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、ヒドロキシ基が好ましい。式(1)及び(2)のR2が表すアルキル基が有する置換基の数や置換基の位置は特に限定されない。
尚、本明細書において「置換基を有するアルキル基」とは、アルキル基の有する水素原子が置換基や原子等で置換されているアルキル基を意味し、「無置換のアルキル基」とは、アルキル基の有する水素原子が置換基や原子等で置換されていないアルキル基(即ち、飽和炭化水素基)を意味する。
【0018】
次に、上記式(1)又は(2)で表される化合物の製造法について説明する。
式(1)又は(2)で表される化合物は、以下に示す製造フローに準じた方法により製造することができる。尚、下記製造フロー中のR1及びR2は、式(1)及び(2)におけるR1及びR2と同じ意味を表す。
【0019】
【0020】
【0021】
先ず、式(A―1)で表される2-(4-ニトロフェニル)エタノール、又は式(A-2)で表される2-(3-ニトロフェニル)エタノールを、塩基の存在下、式(B)で表される酸クロライドと反応させることによって、式(1-1)、又は式(1-2)で表される化合物を得る。
次に、式(1-1)、又は式(1-2)で表される化合物を、水素添加やヒドラジン還元等の一般的なニトロ基の還元方法により還元することによって、式(2-1)、又は式(2-2)で表されるアミン化合物を得る。
最後に、式(2-1)、又は式(2-2)で表されるアミン化合物を、塩基の存在下または不存在下、式(C)で表されるイソシアネート類と反応させることによって、式(1)、又は(2)で表される化合物を製造することができる。
【0022】
上記の製造方法において所望により用いられる塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、および炭酸セシウム等の無機塩基;トリエチルアミン、およびジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。これらの塩基の使用量は、式(B)で表される酸クロライド、または式(C)で表されるイソシアネート類のモル数の1乃至3倍モルが好ましい。
【0023】
上記の製造方法で使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば、特に限定されないが、式(A―1)で表される2-(4-ニトロフェニル)エタノール、あるいは式(A-2)で表される2-(3-ニトロフェニル)エタノールを、塩基の存在下、式(B)で表される酸クロライドと反応させる場合や、式(2-1)、あるいは式(2-2)で表されるアミン化合物を、式(C)で表されるイソシアネート類と反応させる場合には、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、およびN-メチルピロリドン等のアミド化合物;塩化メチレンおよびクロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、およびキシレン等の芳香族炭化水素化合物;ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、およびジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;アセトンおよび2-ブタノン等のケトン化合物;酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル化合物;スルホラン等のスルホン化合物;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド化合物等が用いられる。これらは単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。また、式(1-1)、あるいは式(1-2)で表される化合物を、水素添加やヒドラジン還元等の一般的なニトロ基の還元方法により還元させる場合には、例えばエタノールおよびイソプロパノール等のアルコール類や水等が用いられる。これらは単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。
【0024】
上記の製造方法における反応温度は通常-78乃至100℃、好ましくは0乃至80℃、反応時間は通常10分間乃至24時間である。
【0025】
本発明の記録材料は、式(1)又は(2)で表される化合物を含む顕色剤、及び好ましくは発色性化合物、増感剤並びに結合剤を含有し、更に任意成分として保存性向上剤、充填剤並びにその他の添加剤を併用してもよい。尚、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物の両者を併用しても構わない。
本発明の記録材料における各成分の含有量は、記録材料中に占める質量比で、上記一般式(1)又は(2)で表される化合物を含む顕色剤が好ましくは1乃至70質量%、より好ましくは5乃至50質量%;発色性化合物が好ましくは1乃至50質量%、より好ましくは5乃至30質量%;増感剤が好ましくは1乃至80質量%;結合剤が好ましくは1乃至90質量%;保存性向上剤が好ましくは30質量%以下;充填剤が好ましくは80質量%以下;その他の添加剤(滑剤、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤等)が好ましくは30質量%以下である。
【0026】
また、発色性化合物1質量部に対して一般式(1)又は(2)で表される化合物を含む顕色剤を0.5乃至20質量部用いるのは更に好ましい態様であり、1乃至5質量部用いるのは特に好ましい態様である。尚、本発明の記録材料には、発明の効果を損なわない範囲であれば、式(1)又は(2)で表される化合物以外の顕色剤を併用してもよい。
【0027】
本発明の記録材料に併用可能な式(1)又は(2)で表される化合物以外の顕色剤は、一般に感圧記録紙や感熱記録紙に用いられているものであれば特に限定されないが、例えばα-ナフトール、β-ナフトール、p-オクチルフェノール、4-t-オクチルフェノール、p-t-ブチルフェノール、p-フェニルフェノール、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA又はBPA)、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’-チオビスフェノール、4,4’-シクロ-ヘキシリデンジフェノール、2,2’-ビス(2,5-ジブロム-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-イソプロピリデンビス(2-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-クロロフェノール)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-メトキシジフェニルスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-エトキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-ブトキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-ベンジルオキシジフェニルスルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、2,4-ジヒドロキシ-2’-メトキシベンズアニリド等のフェノール性化合物、p-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、4-ヒドロキシフタル酸ジベンジル、4-ヒドロキシフタル酸ジメチル、5-ヒドロキシイソフタル酸エチル、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸並びに3,5-ジ-α-メチルベンジルサリチル酸等の芳香族カルボン酸誘導体、芳香族カルボン酸又はその多価金属塩、特表2002-532441、WO2014/080615、WO2017/111032、WO2019/044462、JP2803078等のジフェニルウレア系化合物等が挙げられる。
【0028】
本発明の記録材料に好ましくは用いられる発色性化合物は、一般に感圧記録紙や感熱記録紙に用いられるものであれば特に制限されない。
発色性化合物としては、例えばフルオラン系化合物、トリアリールメタン系化合物、スピロ系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、ラクタム系化合物及びフルオレン系化合物等が挙げられ、フルオラン系化合物が好ましい。
【0029】
フルオラン系化合物の具体例としては、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-シクロヘキシルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-[N-エチル-N-(3-エトキシプロピル)アミノ]-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-ヘキシルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-プロピルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-テトラヒドロフリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(p-フルオロアニリノ)フルオラン、3-[N-エチル-N-(p-トリル)アミノ]-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(p-トルイジノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(o-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(3,4-ジクロロアニリノ)フルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-エトキシエチルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-オクチルフルオラン及び3-[N-エチル-N-(p-トリル)アミノ]-6-メチル-7-フェネチルフルオラン等が挙げられ、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランが好ましい。
【0030】
トリアリールメタン系化合物の具体例としては、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン又はCVL)、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-(1,2-ジメチルアミノインドール-3-イル)フタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-(2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-(2-フェニルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1,2-ジメチルインドール-3-イル)-5-ジメチルアミノフタリド、3,3-ビス(1,2-ジメチルインドール-3-イル)-6-ジメチルアミノフタリド、3,3-ビス(9-エチルカルバゾール-3-イル)-5-ジメチルアミノフタリド、3,3-(2-フェニルインドール-3-イル)-5-ジメチルアミノフタリド及び3-p-ジメチルアミノフェニル-3-(1-メチルピロール-2-イル)-6-ジメチルアミノフタリド等が挙げられる。
【0031】
スピロ系化合物の具体例としては、3-メチルスピロジナフトピラン、3-エチルスピロジナフトピラン、3,3’-ジクロロスピロジナフトピラン、3-ベンジルスピロジナフトピラン、3-プロピルスピロベンゾピラン、3-メチルナフト-(3-メトキシベンゾ)スピロピラン、1,3,3-トリメチル-6-ニトロ-8’-メトキシスピロ(インドリン-2,2’-ベンゾピラン)等が挙げられる。
ジフェニルメタン系化合物の具体例としては、N-ハロフェニル-ロイコオーラミン、4,4-ビス-ジメチルアミノフェニルベンズヒドリルベンジルエーテル、N-2,4,5-トリクロロフェニルロイコオーラミン等が挙げられる。
チアジン系化合物の具体例としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p-ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等が挙げられる。
【0032】
ラクタム系化合物の具体例としては、ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB-p-クロロアニリノラクタム等が挙げられる。
フルオレン系化合物の具体例としては、3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)-6’-ジメチルアミノフタリド、3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)-6’-ピロリジノフタリド、3-ジメチルアミノ-6-ジエチルアミノフルオレンスピロ(9,3’)-6’-ピロリジノフタリド等が挙げられる。
これらの発色性化合物は、単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
【0033】
本発明の記録材料に好ましくは用いられる増感剤(熱可融性化合物)としては、動植物性ワックス、合成ワックス等のワックス類や、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸アニリド、ナフタレン誘導体、芳香族エーテル、芳香族カルボン酸誘導体、芳香族スルホン酸エステル誘導体、炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体、ビフェニル誘導体、ターフェニル誘導体、スルホン誘導体、芳香族ケトン誘導体及び芳香族炭化水素化合物等が挙げられる。
【0034】
ワックス類としては、例えば木ろう、カルナウバろう、シェラック、パラフィン、モンタンろう、酸化パラフィン、ポリエチレンワックス及び酸化ポリエチレン等;高級脂肪酸としては、例えばステアリン酸及びベヘン酸等;高級脂肪酸アミドとしては、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N-メチルステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド及びエチレンビスステアリン酸アミド等;高級脂肪酸アニリドとしては、例えばステアリン酸アニリド及びリノール酸アニリド等;ナフタレン誘導体としては、例えば1-ベンジルオキシナフタレン、2-ベンジルオキシナフタレン、1-ヒドロキシナフトエ酸フェニルエステル及び2,6-ジイソプロピルナフタレン等;芳香族エーテルとしては、例えば1,2-ジフェノキシエタン、1,4-ジフェノキシブタン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ビス(4-メトキシフェノキシ)エタン、1,2-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタン、1-フェノキシ-2-(4-クロロフェノキシ)エタン、1-フェノキシ-2-(4-メトキシフェノキシ)エタン、1,2-ジフェノキシメチルベンゼン及びジフェニルグリコール等;芳香族カルボン酸誘導体としては、例えばp-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、p-ベンジルオキシ安息香酸ベンジルエステル及びテレフタル酸ジベンジルエステル等;芳香族スルホン酸エステル誘導体としては、例えばp-トルエンスルホン酸フェニルエステル、フェニルメシチレンスルホナート、4-メチルフェニルメシチレンスルホナート及び4-トリルメシチレンスルホナート等;炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体としては、例えば炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ(4-クロロベンジル)エステル及びシュウ酸ジ(4-メチルベンジル)エステル類等;ビフェニル誘導体としては、例えばp-ベンジルビフェニル及びp-アリルオキシビフェニル等;ターフェニル誘導体としては、例えばm-ターフェニル等;スルホン誘導体としては、例えばp-トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアニリド、p-トルエンスルホンアニリド、4,4’-ジアリルオキシジフェニルスルホン及びジフェニルスルホン等;芳香族ケトン誘導体としては、例えば4,4’-ジメチルベンゾフェノン及びジベンゾイルメタン等;芳香族炭化水素化合物としては、例えばp-アセトトルイジン等が挙げられる。
【0035】
本発明の感熱材料に好ましくは用いられる結合剤の具体例としては、メチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、スルホン酸基変性ポリビニルアルコール、シリル基変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、デンプン及びその誘導体、カゼイン、ゼラチン、水溶性イソプレンゴム、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソ(又はジイソ)ブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性のもの或は(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン(SB)共重合体、カルボキシル化スチレン/ブタジエン(SB)共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル酸系共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン(NB)共重合体、カルボキシル化アクリロニトリル/ブタジエン(NB)共重合体及びコロイダルシリカと(メタ)アクリル樹脂の複合体粒子等の疎水性高分子エマルジョン等が挙げられる。
【0036】
本発明の記録材料に併用可能な保存性向上剤の具体例としては、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、1-〔α-メチル-α-(4’-ヒドロキシフェニル)エチル〕-4-〔α’,α’-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、トリス(2,6-ジメチル-4-ターシャリーブチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’-チオビス(3-メチルフェノール)、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラメチルジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4-ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-4’-(2-メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウムまたは多価金属塩、ビス(4-エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。例えば2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、1-〔α-メチル-α-(4’-ヒドロキシフェニル)エチル〕-4-〔α’,α’-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、トリス(2,6-ジメチル-4-ターシャリーブチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’-チオビス(3-メチルフェノール)、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラメチルジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4-ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-4’-(2-メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウムまたは多価金属塩、ビス(4-エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン、ウレアウレタン化合物(ケミプロ化成株式会社製顕色剤UU等)、及び下記式(3)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物もしくはそれらの混合物等が挙げられる。尚、式(3)中のaは0乃至6の整数である。
【0037】
【0038】
本発明の記録材料に併用可能な充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、クレー、アルミナ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ポリスチレン樹脂及び尿素-ホルマリン樹脂等が挙げられる。
【0039】
本発明の記録材料に併用可能なその他の添加剤としては、例えばサーマルヘッドの磨耗防止やスティッキング防止等の目的で用いられるステアリン酸亜鉛並びにステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、酸化防止効果や老化防止効果を付与するために用いられるフェノール誘導体、ベンゾフェノン系化合物並びにベンゾトリアゾール系化合物等の紫外線吸収剤、及び各種の界面活性剤や消泡剤等が挙げられる。
【0040】
次に、本発明の記録材料及び感熱記録紙の調製方法を説明する。本発明の記録材料の必須成分である式(1)又は(2)で表される化合物を含む顕色剤及び好ましくは用いられる発色性化合物を、結合剤あるいは必要に応じて用いられるその他の添加剤等と共にボールミル、アトライター又はサンドミル等の分散機で粉砕、分散化してそれぞれの分散液とした後(通常、粉砕や分散を湿式で行うときは水を媒体として用いる)、分散液を混合して記録材料の塗布液を調製し、紙(普通紙、上質紙、コート紙等が使用出来る)、プラスチックシート又は合成紙等の支持体上に、乾燥重量が通常1乃至20g/m2となるようにバーコーター、ブレードコーター等により塗布し、乾燥することにより、本発明の記録材料を含む感熱記録層を有する感熱記録紙が得られる。
尚、本明細書における「感熱記録紙」の範疇には、紙以外の支持体上に感熱記録層を設けたものも含まれる。
【0041】
必要に応じて、感熱記録層と支持体の間に中間層を設けてもよいし、感熱記録層上にオーバーコート層(保護層)を設けてもよい。中間層やオーバーコート層(保護層)は、例えば上記した記録材料の塗布液の調整方法と同様に、中間層やオーバーコート層に必要な成分を結合剤あるいは必要に応じて用いられるその他の添加物と共に粉砕、分散化して塗布液とした後、乾燥重量が通常0.1乃至10g/m2程度となるように塗布し、乾燥することにより形成すればよい。
【0042】
また、上記した本発明の記録材料の塗布液(分散液)は、一般的な筆記具用インクや、インクジェット用インクに含有させることもできる。例えば溶媒である水、水溶性有機溶剤、増粘剤、潤滑剤、防錆剤、防腐剤若しくは防菌剤などを用途に応じて適宜配合した水性インクや、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール並びにポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等の主溶剤、樹脂、潤滑剤、防錆剤、防腐剤若しくは防菌剤などを用途に応じて適宜配合した油性インクと、記録材料の分散液とを混合することで筆記具用インクを作製できる。
【実施例0043】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。実施例中「部」は質量部、「%」は質量%を意味する。
【0044】
実施例1(式(1)で表される化合物(下記式(100-6)で表される化合物)の合成)
メチルイソブチルケトン 80.0部に下記式(100-1)で表される2-(4-ニトロフェニル)エタノール(東京化成工業製) 5.0部、トリエチルアミン(東京化成工業製) 3.8部を加えて室温で攪拌した後、3℃まで冷却した。次いで、下記式(100-2)で表されるバレリルクロリド(東京化成工業製) 3.6部を滴下し、室温で1時間攪拌した。次いで、水 100.0部、トルエン 300部を加え攪拌後、オイル層を回収した。回収したオイル層をエバポレーターを用いて濃縮し、オイル状の式(100-3)で表される化合物を得た。次いでエタノール 100.0部を加えてオイル状の式(100-3)で表される化合物を溶解後、パラジウム炭素(東京化成工業製) 0.5部を加え、オートクレーブを用いて水素ガス1.2MPaの圧力をかけて、60℃で4時間攪拌した。反応液を液濾過後、エバポレーターを用いて濾液を濃縮し、オイル状の式(100-4)で表されるアミン化合物を得た。オイル状の式(100-4)で表されるアミン化合物をアセトン 100.0部(関東化学工業製)で溶解し、室温で攪拌した後、3℃まで冷却した。次いで、下記式(100-5)で表されるイソシアン酸2-クロロフェニル(東京化成工業製) 4.6部を滴下し、室温で1時間攪拌して結晶を析出させた。析出物を濾別し、ヘキサン及び水で順次洗浄し、乾燥させることにより、下記式(100-6)で表される化合物の白色固体を1.8部得た。
【0045】
【0046】
実施例2(式(1)で表される化合物(下記式101-6)で表される化合物)の合成)
メチルイソブチルケトン 100.0部に下記式(101-1)で表される2-(4-ニトロフェニル)エタノール(東京化成工業製) 6.0部、トリエチルアミン(東京化成工業製) 4.6部を加えて室温で攪拌した後、3℃まで冷却した。次いで、下記式(101-2)で表されるn―オクタノイルクロリド(東京化成工業製) 4.6部を滴下し、室温で1時間攪拌した。次いで、水 100.0部、トルエン 300部を加え攪拌後、オイル層を回収した。回収したオイル層をエバポレーターを用いて濃縮し、オイル状の式(101-3)で表される化合物を得た。次いでエタノール 120.0部を加えオイル状の式(101-3)で表される化合物を溶解後、パラジウム炭素(東京化成工業製) 0.6部を加え、オートクレーブを用いて水素ガス1.2MPaの圧力をかけて、60℃で4時間攪拌した。反応液を液濾過後、エバポレーターを用いて濾液を濃縮し、オイル状の式(101-4)で表されるアミン化合物を得た。オイル状の式(101-4)で表されるアミン化合物をアセトン 120.0部(関東化学工業製)で溶解し、室温で攪拌した後、3℃まで冷却した。次いで、下記式(100-5)で表されるイソシアン酸2-クロロフェニル(東京化成工業製) 5.6部を滴下し、室温で1時間攪拌して結晶を析出させた。析出物を濾別し、ヘキサン及び水で順次洗浄し、乾燥させることにより、下記式(101-6)で表される化合物の白色固体を2.6部得た。
【0047】
【0048】
実施例3、4及び比較例1、2(記録材料の塗布液の調整と該記録材料を含む感熱記録層を有する感熱記録紙の作製)
([A]液の調整)
安井器械(株)製のマルチビーズショッカー(型式:PV1001(S))を用いて、実施例1で得られた式(100-6)で表される化合物、実施例2で得られた式(101-6)で表される化合物、特許文献3の実施例1の下記式(X)で表される化合物、特許文献4の合成例2の下記式(Y)で表される化合物、及びその他の成分を、表1に記載の組成で配合して1時間粉砕、分散化して[A]液(A-1乃至A-4)をそれぞれ調製した。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
[A]液に用いた「その他成分」は以下のとおりである。
・PVA水溶液:ゴーセネックスL-3266(三菱ケミカル社製)の20%水溶液
・SF104:サーフィノール104PG-50(日信化学工業社製サーフィノール104の50%プロピレングリコール溶液)
【0053】
([B]液の調整)
サンドグラインダーを用いて、下記組成の混合物をレーザー回析/散乱式粒子径分布測定装置LA-950(株式会社堀場製作所社製)によるメディアン粒子径が1μmになるように粉砕、分散化して発色性化合物の[B]液を調製した。
2-アニリノ-6-ジブチルアミノ-3-メチルフルオラン 35部
PVA水溶液 40部
水 25部
[B]液に用いた各成分は以下のとおりである。
・2-アニリノ-6-ジブチルアミノ-3-メチルフルオラン:PSD-290(日本曹達社製)
・PVA水溶液:ゴーセネックスL-3266(三菱ケミカル社製)の15%水溶液
【0054】
(記録材料の塗布液の調整)
上記で得られた[A]液、[B]液及びその他成分を、表2に記載の組成で混合して記録材料の塗布液を調製した。
【0055】
【0056】
記録材料の塗布液に用いた「その他成分」は以下のとおりである。
CaCO3分散液:炭酸カルシウム(YCC-FD、矢橋工業社製)の67%水分散液
PVA水溶液:ポリビニルアルコール(PVA-110、クラレ社製)の15%水水溶液
StZn分散液:ステアリン酸亜鉛(互応化学工業社製)の37%水分散液
【0057】
実施例5,6及び比較例3,4(感熱記録紙の作製)
実施例3、44及び比較例1、2で得られた記録材料の塗布液を、坪量50g/m2の上質紙上に乾燥時の重量が5g/m2となるようにそれぞれ塗布、乾燥して本発明及び比較用の感熱記録紙を作製した。
【0058】
(感熱記録紙の発色性評価)
東洋精機製作所社製の熱傾斜試験機(HG-100-2)を用いて、実施例5,6及び比較例3、4で得られたそれぞれの感熱記録紙に、120℃で1秒間、0.15MPaの圧力で加熱プレスすることによって印字をした。X-Rite社製の測色機、商品名「eXact」を用いて、光源をイルミナントCとし、濃度基準はステータスA、視野角2度の条件で、印字物の発色部の反射濃度を測定し、反射ODであるDk値を求め、下記の評価基準で発色性を評価した。Dk値が高い程、発色性に優れていることを意味している。結果を表3に示した。
・評価基準
◎:Dk値が0.5以上
〇:Dk値が0.4以上0.5未満
△:Dk値が0.3以上0.4未満
×:Dk値が0.2以上0.3未満
××:Dk値が0.2未満
【0059】
(感熱記録紙の耐熱性評価)
オオクラエンジニアリング株式会社製のサーマルプリンター(TH-M2/PP)を用いて、実施例5,6及び比較例3、4で得られたそれぞれの感熱記録紙に、パルス幅1.4msecで印字し、印字物を100℃で30分間加熱した。X-Rite社製の測色機、商品名「eXact」を用いて、光源をイルミナントCとし、濃度基準はステータスA、視野角2度の条件で、加熱前後の試料の発色部の反射濃度を測定し、
(加熱後の発色部の反射濃度)/(加熱前の発色部の反射濃度)×100
の計算式で発色部の残存率(%)を算出して、下記の評価基準で耐熱性を評価した。残存率が高い程、耐熱性に優れていることを意味している。結果を表3に示した。
・評価基準
◎:残存率が95%以上
〇:残存率が90%以上95%未満
△:残存率が85%以上90%未満
×:残存率が80%以上85%未満
××:残存率が80%未満
【0060】
【0061】
上記の表3の結果から、本発明の特定構造の化合物を含む顕色剤を含有する記録材料を用いた実施例の感熱記録紙は、比較例の顕色剤(特許文献3・特許文献4に記載の顕色剤)を含有する記録材料を用いた比較例の感熱記録紙よりも印字部(発色部)の発色性・耐熱性に優れていることが分かる。