(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076406
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】紙おむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/56 20060101AFI20240530BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20240530BHJP
A61F 13/62 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
A61F13/56 221
A61F13/49 413
A61F13/49 312Z
A61F13/49 313Z
A61F13/49 315Z
A61F13/62 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187875
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 景
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200BA12
3B200BB03
3B200BB11
3B200CA03
3B200CA04
3B200CA06
3B200CA07
3B200CA08
3B200CB03
3B200CB04
3B200DA01
3B200DA18
3B200DA21
3B200DD07
3B200DE01
3B200DE11
3B200EA08
3B200EA09
3B200EA11
3B200EA12
(57)【要約】
【課題】一人でも装着し易く且つ身体への締め付けや密着の度合いを調節する。
【解決手段】着用時に着用者の腰を含む部分に位置する胴回り領域23と着用者の股下に位置する股下領域25とを有する外装体20と、外装体20のうちの少なくとも股下領域25に配置される吸収体40と、外装体20の胴回り領域23に配設されて胴回り寸法を調節可能な胴回り調節部60a,60bと、外装体20の股下領域25から胴回り領域23にかけて配設されて股下わたり寸法を調節可能な股下調節部70と、を備え、胴回り調節部60a,60bは、着用者の胴回り方向における一方の端部(61)が外装体20に固定されているとともに他方の端部(62)が外装体20に対して着脱可能であり、股下調節部70は、着用者の股下から腹側へと亘る方向における一方の端部(71)が外装体20に固定されているとともに他方の端部(72)が外装体20に対して着脱可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用時に着用者の腰を含む部分に位置する胴回り領域と前記着用者の股下に位置する股下領域とを有する外装体と、
前記外装体のうちの少なくとも前記股下領域に配置される吸収体と、
前記外装体の前記胴回り領域に配設されて胴回り寸法を調節可能な胴回り調節部と、を備え、
前記胴回り調節部は、前記着用者の胴回り方向における少なくとも一方の端部が前記外装体に対して着脱可能である、
ことを特徴とする紙おむつ。
【請求項2】
前記外装体の前記股下領域から前記胴回り領域にかけて配設されて股下わたり寸法を調節可能な股下調節部を更に備え、
前記股下調節部は、前記着用者の前記股下から腹側へと亘る方向における少なくとも一方の端部が前記外装体に対して着脱可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の紙おむつ。
【請求項3】
前記胴回り調節部のうちの前記外装体に対して着脱可能な端部にフックテープが設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の紙おむつ。
【請求項4】
前記股下調節部のうちの前記外装体に対して着脱可能な端部にフックテープが設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の紙おむつ。
【請求項5】
前記胴回り調節部は、少なくとも前記着用者の前記胴回り方向における伸縮性を備える弾性材料によって形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の紙おむつ。
【請求項6】
前記股下調節部は、少なくとも前記着用者の前記股下から腹側へと亘る方向における伸縮性を備える弾性材料によって形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の紙おむつ。
【請求項7】
前記外装体の前記胴回り領域に、伸長率が120%以上150%以下である弾性部材が配設されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の紙おむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙おむつに関し、特に、一人で装着する際の容易性と身体へ密着させる調整及び装着感とに優れたパンツ型吸収性物品である紙おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パンツ型使い捨ておむつが開示されている。おむつは、吸収性本体と、股下外装部と、前身頃部と、後身頃部と、を有する。股下外装部、前身頃部、及び後身頃部は、外装部材に相当し、吸収性本体に接合されている。前身頃部及び後身頃部は、環状に繋がり、これにより、胴回り開口及び一対の脚回り開口が形成されたパンツ型状態のおむつとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような従来のパンツ型紙おむつを装着する際には、一方の脚を胴回り開口に挿入して、一方の脚回り開口(「レッグホール」とも称される)に挿入し、次に他方の脚を胴回り開口に挿入して、他方の脚回り開口に挿入する。しかし、従来のパンツ型紙おむつは、腰周り及び胴回り部分が伸縮部材によって収縮しているため、最初に足先を入れるウエスト部の開口の範囲が狭く、装着時に足先が引っ掛かって転倒する可能性があり、また、片足ずつ挿入するため、装着時に着用者がバランスを崩す可能性がある。特に身体機能が衰え始めた着用者は、パンツ型紙おむつを装着する際に、脚回り開口などに足先が引っ掛かって転倒するおそれがある。
【0005】
また、ウエスト側の端部を十分に引き上げて装着しないと、吸収体が身体(具体的には、排尿部)に密着せず、尿漏れの原因になる、という問題がある。
【0006】
そこで本開示は、1つの側面では、一人でも装着し易く且つ身体への締め付けや密着の度合いを調節することが可能なパンツ型吸収性物品としての紙おむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る紙おむつは、着用時に着用者の腰を含む部分に位置する胴回り領域と前記着用者の股下に位置する股下領域とを有する外装体と、前記外装体のうちの少なくとも前記股下領域に配置される吸収体と、前記外装体の前記胴回り領域に配設されて胴回り寸法を調節可能な胴回り調節部と、を備え、前記胴回り調節部は、前記着用者の胴回り方向における少なくとも一方の端部が前記外装体に対して着脱可能である、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る紙おむつは、前記外装体の前記股下領域から前記胴回り領域にかけて配設されて股下わたり寸法を調節可能な股下調節部を更に備え、前記股下調節部は、前記着用者の前記股下から腹側へと亘る方向における一方の端部が前記外装体に固定されているとともに他方の端部が前記外装体に対して着脱可能である、ようにしてもよい。
【0009】
本発明に係る紙おむつは、前記胴回り調節部のうちの前記外装体に対して着脱可能な端部にフックテープが設けられている、ようにしてもよい。
【0010】
本発明に係る紙おむつは、前記股下調節部のうちの前記外装体に対して着脱可能な端部にフックテープが設けられている、ようにしてもよい。
【0011】
本発明に係る紙おむつは、前記胴回り調節部は、少なくとも前記着用者の前記胴回り方向における伸縮性を備える弾性材料によって形成されている、ようにしてもよい。
【0012】
本発明に係る紙おむつは、前記股下調節部は、少なくとも前記着用者の前記股下から腹側へと亘る方向における伸縮性を備える弾性材料によって形成されている、ようにしてもよい。
【0013】
本発明に係る紙おむつは、前記外装体の前記胴回り領域に、伸長率が120%以上150%以下である弾性部材が配設されている、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、1つの側面では、紙おむつを一人でも装着し易くするとともに、紙おむつの身体への締め付けや密着の度合いを調節することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る紙おむつの装着前の状態を模式的に示す前方からの斜視図である。
【
図2】
図1の紙おむつが装着される際の状態を模式的に示す前方からの斜視図である。
【
図3】
図1の紙おむつが装着される際の状態を模式的に示す前方からの斜視図である。
【
図4】
図1の紙おむつが装着された状態を模式的に示す前方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0017】
この明細書において用いる用語などについて次のとおり定義する。紙おむつの着用とは、体液の吸収前、吸収時、及び吸収後を問わず、紙おむつを身体に装着した状態を意味する。なお、紙おむつは、通常は衣類の内部で身体に装着されるものであるが、少なくとも一部が外部に露出するように身体に装着されてもよい。また、「前」は、紙おむつを着用したときに着用者の腹側となる方向であり、「後」は、着用者の背側となる方向である。「上」は、紙おむつを着用したときに着用者の頭側となる方向であり、「下」は、着用者の脚側となる方向である。「左右方向」は、前後方向及び上下方向と直交する方向であり、前を向いた状態の着用者からみて左右となる方向である。「長手方向」は、紙おむつが着用されたときに着用者の股間部を介して概ね前後に(言い換えると、着用者の腹側から股下を介して背側へと)亘る方向である。「幅方向」は、長手方向と直交する方向であり、左右に沿う方向である。「厚み方向」は、幅方向と直交する方向において各構成部材を積層する方向である。「肌側」とは、厚み方向において、紙おむつの着用時に着用者の肌に当接する側若しくは該肌を臨む側を意味し、「非肌側」とは、厚み方向において、肌側とは反対の側であり、紙おむつの着用時に着用者の肌と当接しない、着用者の衣類の側を意味する。体液とは、尿、血液、軟便中の水分などの体内から体外に排出された液体をいう。
【0018】
(全体構成)
図1は、本発明に係る紙おむつの具体的な構成態様の一例としての、実施の形態に係る紙おむつ10の装着前の状態を模式的に示す前方からの斜視図である。
図2及び
図3は、実施の形態に係る紙おむつ10が装着される際の状態を模式的に示す前方からの斜視図である。
図4は、実施の形態に係る紙おむつ10が装着された状態を模式的に示す前方からの斜視図である。なお、各図は、紙おむつ10の各構成部材の寸法の大小関係や厳密な形状を規定するものではなく、各構成部材の寸法や具体的な形状は、紙おむつ10の用途や使用対象とする着用者の年齢などに応じてそれぞれ広い範囲から適宜選択され得る。
【0019】
実施の形態に係る紙おむつ10は、着用時に着用者の腰を含む部分に位置する胴回り領域23と着用者の股下に位置する股下領域25とを有する外装体20と、外装体20のうちの少なくとも股下領域25に配置される吸収体40と、外装体20の胴回り領域23に配設されて胴回り寸法を調節可能な胴回り調節部60a,60bと、外装体20の股下領域25から胴回り領域23にかけて配設されて股下わたり寸法を調節可能な股下調節部70と、を備え、胴回り調節部60a,60bは、着用者の胴回り方向における一方の端部(61)が外装体20に固定されているとともに他方の端部(62)が外装体20に対して着脱可能であり、股下調節部70は、着用者の股下から腹側へと亘る方向における一方の端部(71)が外装体20に固定されているとともに他方の端部(72)が外装体20に対して着脱可能である、ようにしている。
【0020】
(外装体の全体構成)
外装体20は、紙おむつ10が着用された際に該紙おむつ10のパンツ状の外形形状を構成する部材である。外装体20は、例えば、不織布シート21と、伸縮性を備える部材である弾性部材22と、が積層されて形成される。なお、複数枚の不織布シート21が積層されてもよい。
【0021】
不織布シート21として、例えば、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等の不織布が用いられ、好ましくはエアスルー不織布又はスパンボンド不織布であり、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなる不織布が用いられる。
【0022】
外装体20は、紙おむつ10の着用時に、着用者の腰を含む部分(言い換えると、高さ位置)に位置する胴回り領域23と、着用者の股下に位置する股下領域25と、を有する。
【0023】
胴回り領域23は、紙おむつ10の着用時に、着用者の腹側(別言すると、腹部の前方)に位置する前側胴回り領域231と、着用者の背側(別言すると、背部の後方)に位置する後側胴回り領域232と、を有する。前側胴回り領域231と後側胴回り領域232とは、左右方向(別言すると、幅方向)における両端部各々に形成されるサイドシール部24をそれぞれ有し、サイドシール部24によって相互に接合されて帯環状(言い換えると、筒状)の胴回り領域23を構成する。
【0024】
サイドシール部24は、胴回り領域23の上端のウエスト開口26の直径が胴回り領域23の下端(即ち、股下領域25との連接部)の開口の直径よりも大きくなるように上下方向に対して傾斜して延在するようにしてもよく(
図1参照)、或いは、上下方向に沿って延在するようにしてもよい。すなわち、胴回り領域23は、上端面が大径で下端面が小径のテーパ状の筒状に形成されるようにしてもよく、或いは、上端面の径と下端面の径とが同じである筒状に形成されるようにしてよい。
【0025】
股下領域25は、長手方向において前側胴回り領域231と後側胴回り領域232との間に位置する領域である。股下領域25の左右方向(別言すると、幅方向)における両端部各々は相互に接合されておらず、これにより、左右の脚開口27a,27bが形成される。
【0026】
つまり、胴回り領域23(具体的には、前側胴回り領域231及び後側胴回り領域232)は、左右方向(幅方向)における両側にサイドシール部24が設けられる領域であって、脚開口27a,27bが形成されない領域である。また、股下領域25は、左右方向(幅方向)における両側にサイドシール部24が設けられない領域であって、脚開口27a,27bが形成される領域である。
【0027】
前側胴回り領域231の左右方向(幅方向)における両端部各々と後側胴回り領域232の左右方向(幅方向)における両端部各々とがそれぞれ互いに接合されて左右のサイドシール部24を構成する。外装体20は、前側胴回り領域231の左右の両端部と後側胴回り領域232の左右の両端部とが連接し、股下領域25の前端部(言い換えると、前側の上端部)が前側胴回り領域231の下端部と連接し、さらに、股下領域25の後端部(言い換えると、後側の上端部)が後側胴回り領域232の下端部と連接して、全体としてパンツ状に構成される。なお、以下の説明では、外装体20についての方向は、着用者に着用された際の方向を表す。
【0028】
(弾性部材)
弾性部材22は、紙おむつ10に伸縮性を付与する。紙おむつ10に、弾性部材22として、少なくとも、胴回り弾性部材221及び脚回り弾性部材222が配設される。紙おむつ10に使用される弾性部材は、胴回り弾性部材221及び脚回り弾性部材222に加えて、紙おむつ10に伸縮性を付与する他の弾性部材を含むようにしてもよい。
【0029】
外装体20は、胴回り領域23(具体的には、前側胴回り領域231及び後側胴回り領域232)の上端のウエスト開口26と、股下領域25の左右両側の脚開口27a,27bと、を有する。
【0030】
ウエスト開口26は、上向きに開口し、着用時に着用者の胴が内側を挿通する部分であり、胴回り領域23(具体的には、前側胴回り領域231及び後側胴回り領域232の双方)の上端縁によって構成される。胴回り領域23の上端部分(言い換えると、ウエスト開口26の周縁部)は、周方向(言い換えると、着用者の胴回り方向)における伸縮性を備える。
【0031】
胴回り領域23の上端部分に、ウエスト開口26の周方向(着用者の胴回り方向)に沿って伸縮可能な胴回り弾性部材221が配設される。胴回り弾性部材221は、上下方向において相互に離間して複数段配置される。胴回り弾性部材221それぞれは、胴回り領域23の不織布シート21に対して接合される。不織布シート21と胴回り弾性部材221とは、例えば、これら不織布シート21と胴回り弾性部材221との間のみに介在するホットメルト接着剤を介して互いに接着される。
【0032】
胴回り弾性部材221は、紙おむつ10を装着するために胴回り領域23を着用状態として適当な位置(具体的には、腰の位置)まで引き上げた際に、両手を離しても紙おむつ10がずり落ちないように紙おむつ10を着用者の腰回り・胴回りに留める程度の把持力を発揮し得るように設けられる。
【0033】
胴回り領域23に配設される胴回り弾性部材221の伸長率は、特定の値には限定されないものの、例えば110%程度以上、好ましくは120%程度であり、また、例えば160%程度以下、好ましくは150%程度である。したがって、胴回り弾性部材221の伸長率は、具体的には例えば、120%以上150%以下であることが好ましい。
【0034】
左右の脚開口27a,27bは、それぞれ、例えば斜め下向きに開口し、着用時に着用者の脚が内側を挿通する部分であり、股下領域25の左右の両端縁各々によって構成される。股下領域25の左右の両端部分(言い換えると、左右の脚開口27a,27b各々の周縁部)は、周方向(言い換えると、着用者の脚の付け根回り方向)における伸縮性を備える。
【0035】
股下領域25の左右の両端部分各々に、脚開口27a,27b各々の周方向(着用者の脚の付け根回り方向)に沿って伸縮可能な脚回り弾性部材222が配設される。脚回り弾性部材222は、脚開口27a,27bの周方向と直交する方向において相互に離間して複数段配置される。脚回り弾性部材222それぞれは、股下領域25の不織布シート21に対して接合される。不織布シート21と脚回り弾性部材222とは、例えば、これら不織布シート21と脚回り弾性部材222との間のみに介在するホットメルト接着剤を介して互いに接着される。
【0036】
胴回り弾性部材221や脚回り弾性部材222としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタンなどの糸状、紐状、帯状、平型形状などの、伸縮性を備える弾性部材が適宜使用される。
【0037】
(吸収体)
吸収体40は、着用者の股間部の下方において長手方向(前後方向)に沿って略帯状に延在して体液を吸収して保持するための部材である。本発明における吸収体40は、特定の態様、仕様には限定されない。本発明において用いられる吸収体40のあくまでも一例として下記のものが挙げられる。
【0038】
吸収体40は、外装体20の主に股下領域25の内面側(即ち、肌側)の、着用者の凡そ下腹部及び臀部と対向する範囲に延在して配置され、外装体20に対して接合されて支持される。吸収体40は、例えば、ホットメルト接着剤、熱融着、超音波接着などにより、外装体20に固着される。
【0039】
吸収体40は、着用者の股間部を前方、下方、及び後方から覆う前後方向に略帯状の形態を有する。吸収体40の前端部は外装体20の前側胴回り領域231まで延在してもよく、また、吸収体40の後端部は外装体20の後側胴回り領域232まで延在してもよい。
【0040】
吸収体40は、肌側の液透過性のトップシート41と、非肌側の液不透過性のバックシート42と、トップシート41とバックシート42との間に配置される吸収性本体43と、を含む。
【0041】
トップシート41は、体液が吸収性本体43へと移動するような液透過性を備えた基材から形成されていればよい。基材としては、例えば、サーマルボンド不織布等の不織布、サーマルボンド不織布/スパンボンド不織布を積層した複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、或いは、これらを積層した複合シートなどが挙げられる。また、トップシート41には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート41には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤などを含有させてもよい。トップシート41の形状は、特に制限されるものではないが、体液を漏れがないように吸収性本体43へと誘導するため、吸収性本体43を覆う形状であればよい。
【0042】
バックシート42は、吸収性本体43が保持している体液の非肌側への漏れがないように液不透過性を備えた基材を用いて形成されていればよい。バックシート42は、例えば、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布等の複数の同種及び/又は異種の不織布を積層した複合不織布並びにこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルムなどが挙げられる。
【0043】
バックシート42には、着用時の蒸れを防止するため、通気性を持たせることが好ましい。バックシート42に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート42にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。例えば、樹脂とフィラーとを混練し、得られた混練物をフィルム状に成形し、得られたフィルムからフィラーを除去することにより、多孔性(通気性)樹脂フィルムを得ることができる。
【0044】
吸収性本体43は、体液吸収材料を含み、好ましくは、基材と、基材に保持された体液吸収材料と、を含む。体液吸収材料としては、体液を吸収及び保持するものであれば特に限定されないが、例えば、フラッフパルプや高吸収性樹脂(Super Absorbent Polymer:SAP)等が挙げられる。吸収性本体43の基材は、一般に生理用ナプキン、おむつ、尿取りパッドなどの吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布といった材料から形成される。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ、合成繊維、ポリマー繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。
【0045】
SAPとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン・アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸・ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン・無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物といった材料から形成されたものを挙げることができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩系が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウム系がより好ましい。
【0046】
吸収性本体43は、基材とSAPとを含有するものが好ましく、その構成は、基材中にSAP粒子を混合して形成したもの、基材間にSAP粒子を固着したSAPシート等が挙げられる。また、SAP粒子の脱落防止や、吸収性本体43の形状安定化の観点から、吸収性本体43をキャリアシートに包むことが好ましい。また、SAPを繊維状に成形し、基材に混合して用いてもよい。キャリアシートの基材としては、親水性を有するものであればよく、ティシュ、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布が挙げられる。吸収性本体43がキャリアシートを複数備える場合には、キャリアシートの基材は同一でも異なってもよい。
【0047】
吸収性本体43の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、矩形状、砂時計状、I字状、長方形の4角が丸まった角丸四角形状、長円状、一方向に長い楕円形状などが挙げられる。吸収性本体43は、2層以上を重ねて用いられてもよい。
【0048】
吸収体40は、体液の横漏れを防止するための一対の立体ギャザー(図示省略)を含んでもよい。立体ギャザーは、幅方向の外端がバックシート42の肌側の面に固定されるとともに、幅方向の中間部がトップシート41の肌側の面に固定され、幅方向の内端が自由端となってトップシート41の肌側の面に延在してもよい。立体ギャザーをこのように構成することで、立体ギャザーの自由端付近に起立性が付与され、着用者の体型に合わせて変形可能なものとなる。
【0049】
(胴回り調節部)
胴回り調節部は、紙おむつ10が着用された際の、着用者の身体(特に、腹部、背部、腰部)への胴回り領域23の締め付けの度合いを調節する機能を備え、胴回り領域23に対して設けられる。図に示す例では、左右一対のものとして胴回り調節部60a,60bが設けられる。
【0050】
左右の胴回り調節部60a,60bは、それぞれ、前側胴回り領域231と後側胴回り領域232とを相互に接合しているサイドシール部24により、胴回り領域23に対して取り付けられる。胴回り調節部60a,60bのうち、胴回り領域23に対して取り付けられている一方の端部、即ちサイドシール部24と重なる部分を「基端部61」と呼び、概ね左右方向において基端部61とは反対側の端部を「先端部62」と呼ぶ。
【0051】
左右の胴回り調節部60a,60bは、それぞれ、基端部61を回動軸として、着用者の胴回り方向に沿って前側胴回り領域231の前面(即ち、非肌側の面)へと向けて回動するように設けられる。
【0052】
胴回り調節部60a,60bの着用者の胴回り方向の寸法は、胴回り調節部60a,60bによって胴回り領域23の身体への締め付けの度合いを適宜調節したうえで先端部62が前側胴回り領域231の前面の左右方向における中央部付近に位置し得る寸法に調整される。
【0053】
胴回り調節部60a,60bは、伸縮性を備えなくてもよいが、少なくとも着用者の胴回り方向における伸縮性を備える弾性材料によって形成されることが好ましい。なお、上下方向における伸縮性は必ずしも必要ではない。胴回り調節部60a,60bは、具体的には例えば、布、不織布、伸縮不織布など、伸縮性を備える弾性材料によって形成されることが好ましい。胴回り調節部60a,60bは、外装体20の不織布シート21と同様の材料によって形成されるようにしてもよい。
【0054】
胴回り調節部60a,60bは、図に示す例ではサイドシール部24によって胴回り領域23に対して取り付けられるようにしているが、この態様に限定されるものではなく、ホットメルト接着剤によって胴回り領域23に対して取り付けられるようにしてもよい。この場合、胴回り調節部60a,60b(具体的には、基端部61)は、前側胴回り領域231に対して取り付けられてもよく、或いは、後側胴回り領域232に対して取り付けられてもよい。
【0055】
左右の胴回り調節部60a,60b各々の先端部62の、前側胴回り領域231の前面(即ち、非肌側の面)へと回動したときの肌側の面に、先端部62の縁辺寄りの位置に該縁辺に沿って(即ち、凡そ上下方向に沿って)帯状に設けられ、当該の胴回り調節部60a,60bを前側胴回り領域231や他方の胴回り調節部60b,60aの前面(非肌側の面)に対して着脱可能とするフックテープ63が設けられる。
【0056】
胴回り調節部60a,60bのフックテープ63は、面ファスナーのフック材の機能を有する着脱手段であり、胴回り領域23(図に示す例では具体的には、前側胴回り領域231)や胴回り調節部60a,60bの前面(非肌側の面)に対して着脱可能である。フックテープ63は、すなわち、胴回り調節部60a,60bの先端部62と胴回り領域23や他方の胴回り調節部60b,60aとを、互いに分離した取外し状態と、互いに取り付けた取付け状態と、にすることが可能な着脱手段として機能する。なお、胴回り調節部60a,60bにフックテープ63が設けられる場合、フックテープ63に対応するループテープ(即ち、面ファスナーのループ材の機能を有する着脱手段)が、胴回り領域23や胴回り調節部60a,60bの前面(非肌側の面)に、着用者の胴回り方向に沿って延在するように設けられてもよい。
【0057】
胴回り調節部60a,60bと前側胴回り領域231や他方の胴回り調節部60b,60aとの間に介在する着脱手段は、フックテープ63に限定されるものではなく、例えば、胴回り調節部60a,60bの先端部62の肌側の面に粘着テープが設けられ、該粘着テープが着脱手段として機能するようにしてもよい。
【0058】
胴回り調節部60a,60bは、図に示す例では基端部61を回動軸として前側胴回り領域231の前面(非肌側の面)へと向けて回動するように設けられるようにしているが、この態様に限定されるものではなく、基端部61を回動軸として後側胴回り領域232の後面(非肌側の面)へと向けて回動するように設けられるようにしてもよい。例えば、基端部61が前側胴回り領域231の正面(即ち、左右方向における中央部)の位置又はその近傍位置に取り付けられ、先端部62がサイドシール部24の近傍前方位置(即ち、前側胴回り領域231)や近傍後方位置(即ち、後側胴回り領域232)に対して着脱可能であるようにしてもよい。
【0059】
胴回り調節部60a,60bは、図に示す例では着用者の胴回り方向における一方の端部である基端部61が外装体20(具体的には、胴回り領域23)に固定されているとともに他方の端部である先端部62が外装体20に対して着脱可能であるようにしているが、この態様に限定されるものではなく、着用者の胴回り方向における両方の端部(即ち、基端部61及び先端部62)が外装体20に対して着脱可能であるようにしてもよい。着用者の胴回り方向における両方の端部(即ち、基端部61及び先端部62)が外装体20に対して着脱可能であるようにした場合には、紙おむつ10を交換する際に、胴回り調節部60a,60bは使い回して再利用することが可能となる。
【0060】
胴回り調節部は、図に示す例では左右一対のもの(具体的には、左右の胴回り調節部60a,60b)として設けられるようにしているが、この態様に限定されるものではなく、左右どちらか一方のみ設けられるようにしてもよい。この場合は、例えば、胴回り調節部の基端部が右のサイドシール部24に又は右のサイドシール部24の近傍位置に取り付けられ(或いは、着脱可能とされ)、先端部が左のサイドシール部24の近傍位置に着脱されるようにしてもよい。
【0061】
(股下調節部)
股下調節部70は、紙おむつ10が着用された際の、着用者の身体(特に、股間部)への股下領域25(尚、吸収体40を含む)の密着の度合いを調節する機能を備え、股下領域25に対して設けられる。
【0062】
股下調節部70は、例えばホットメルト接着剤により、股下領域25に対して取り付けられる。股下調節部70のうち、股下領域25に対して取り付けられている一方の端部を「基端部71」と呼び、股下領域25の長手方向において基端部71とは反対側の端部を「先端部72」と呼ぶ。
【0063】
股下調節部70は、基端部71を回動軸として、股下領域25の長手方向に沿って前側胴回り領域231の前面(即ち、非肌側の面)へと向けて回動するように設けられる。
【0064】
股下調節部70の長手方向の寸法は、股下調節部70によって股下領域25(尚、吸収体40を含む)の身体への密着の度合いを適宜調節したうえで先端部72が前側胴回り領域231の前面の左右方向における中央部付近に位置し得る寸法に調整される。
【0065】
股下調節部70は、伸縮性を備えなくてもよいが、少なくとも長手方向における伸縮性を備える弾性材料によって形成されることが好ましい。なお、幅方向における伸縮性は必ずしも必要ではない。股下調節部70は、具体的には例えば、布、不織布、伸縮不織布など、伸縮性を備える弾性材料によって形成されることが好ましい。股下調節部70は、外装体20の不織布シート21と同様の材料によって形成されるようにしてもよく、また、胴回り調節部60a,60bと同様の材料によって形成されるようにしてもよい。
【0066】
股下調節部70(具体的には、基端部71)は、左右の脚開口27a,27bの間の、股下領域25の前側の下端寄りの位置に取り付けられてもよく、或いは、股下領域25の下端に取り付けられてもよく、更に或いは、股下領域25の後側の下端寄りの位置に取り付けられてもよい。
【0067】
股下調節部70の先端部72の、前側胴回り領域231の前面(即ち、非肌側の面)へと回動したときの肌側の面に、先端部72の縁辺寄りの位置に該縁辺に沿って(即ち、幅方向に沿って)帯状に設けられ、股下調節部70を胴回り調節部60a,60bの前面(非肌側の面)に対して着脱可能とするフックテープ73が設けられる。
【0068】
股下調節部70のフックテープ73は、面ファスナーのフック材の機能を有する着脱手段であり、胴回り調節部60a,60bの前面(非肌側の面)に対して着脱可能である。フックテープ73は、すなわち、股下調節部70の先端部72と胴回り調節部60a,60bとを、互いに分離した取外し状態と、互いに取り付けた取付け状態と、にすることが可能な着脱手段として機能する。なお、股下調節部70にフックテープ73が設けられる場合、フックテープ73に対応するループテープ(即ち、面ファスナーのループ材の機能を有する着脱手段)が、胴回り調節部60a,60bの前面(非肌側の面)に、長手方向(別言すると、上下方向)に沿って延在するように設けられてもよい。
【0069】
股下調節部70と胴回り調節部60a,60bとの間に介在する着脱手段は、フックテープ73に限定されるものではなく、例えば、股下調節部70の先端部72の肌側の面に粘着テープが設けられ、該粘着テープが着脱手段として機能するようにしてもよい。
【0070】
股下調節部70は、図に示す例では長手方向における一方の端部である基端部71が外装体20(具体的には、股下領域25)に固定されているとともに他方の端部である先端部72が外装体20に対して着脱可能であるようにしているが、この態様に限定されるものではなく、長手方向における両方の端部(即ち、基端部71及び先端部72)が外装体20に対して着脱可能であるようにしてもよい。長手方向における両方の端部(即ち、基端部71及び先端部72)が外装体20に対して着脱可能であるようにした場合には、紙おむつ10を交換する際に、股下調節部70は使い回して再利用することが可能となる。
【0071】
(紙おむつの装着)
紙おむつ10は、装着される際には、予め、左右の胴回り調節部60a,60bの先端部62並びに股下調節部70の先端部72が貼り付けられていない取外し状態(
図1参照)にされる。
【0072】
紙おむつ10を装着する際、使用者は、まず、一方の脚を、取外し状態の紙おむつ10のウエスト開口26に上方から挿入し、胴回り領域23の内側に挿通させ、さらに、左右の脚開口27a,27bのうち一方の脚に対応するほうの脚開口の内側に、例えば踝や脛の途中まで挿通させる。
【0073】
使用者は、続いて、他方の脚を、取外し状態の紙おむつ10のウエスト開口26に上方から挿入し、胴回り領域23の内側に挿通させ、さらに、左右の脚開口27a,27bのうち他方の脚に対応するほうの脚開口(即ち、一方の脚が挿通していない脚開口)の内側に、例えば踝や脛の途中まで挿通させる。
【0074】
両方の脚を左右の脚開口27a,27bの内側に挿通させた後、使用者は、胴回り領域23を、延いては紙おむつ10を、着用状態として適当な位置(具体的には、腰の位置)まで引き上げる。
【0075】
次に、使用者は、左右の胴回り調節部60a,60bのうちの一方(図に示す例では、左の胴回り調節部60a)の先端部62側を前方へと回し、左の胴回り調節部60aのフックテープ63を、前側胴回り領域231の前面(即ち、非肌側の面)に貼り付ける(
図2参照)。
【0076】
使用者は、続いて、左右の胴回り調節部60a,60bのうちの他方(図に示す例では、右の胴回り調節部60b)の先端部62側を前方へと回し、右の胴回り調節部60bのフックテープ63を、左の胴回り調節部60aの前面(即ち、非肌側の面)に貼り付ける(
図3参照)。
【0077】
使用者は、左右の胴回り調節部60a,60bそれぞれの、先端部62のフックテープ63を貼り付ける位置を変えることにより、延いては、使用者(着用者)の胴回り方向における回し込みの量を変えることにより、ウエスト開口26周りの長さ(「胴回り寸法」と称する)を調節して、使用者の身体(特に、腹部、背部、腰部)への胴回り領域23の締め付けの度合いを調節することができる。具体的には、左右の胴回り調節部60a,60bが位置調整されて貼り付けられた状態におけるウエスト開口26周りの長さ(
図3、
図4における胴回り寸法L2)は、取外し状態の紙おむつ10のウエスト開口26周りの長さ(
図1における胴回り寸法L1)よりも短い。
【0078】
次に、使用者は、股下領域25の前方において垂下している股下調節部70の先端部72側を前方に回して上方へと引き上げ、股下調節部70のフックテープ73を、前側胴回り領域231に取り付けられている左右の胴回り調節部60a,60bの前面(即ち、非肌側の面)に貼り付ける(
図4参照)。
【0079】
使用者は、股下調節部70の、先端部72のフックテープ73を貼り付ける位置を変えることにより、延いては、長手方向における引上げ量を変えることにより、股間部から腹部へとわたる寸法(「股下わたり寸法」と称する)を調節して、使用者の身体(特に、股間部)への股下領域25(尚、吸収体40を含む)の密着の度合いを調節することができる。
【0080】
以上により、使用者は、紙おむつ10を装着して着用することができる。
【0081】
ここで、帯環状(言い換えると、筒状)の胴回り領域23の、ウエスト開口26の周方向(着用者の胴回り方向)に沿って伸縮可能な胴回り弾性部材221が配設されて、紙おむつ10を着用者の腰回り・胴回りに留める程度の把持力が発揮されることにより、紙おむつ10を装着するために胴回り領域23を着用状態として適当な位置(具体的には、腰の位置)まで引き上げた際に、両手を離しても紙おむつ10がずり落ちない。
【0082】
このため、左右の胴回り調節部60a,60bを貼り付けたり股下調節部70を貼り付けたりする作業を両手で行うことができ、使用者一人での紙おむつ10の装着の安全性及び容易性が向上し、また、身体への胴回り領域23の締め付け具合や股下領域25(尚、吸収体40を含む)の密着具合の調節が容易に行われ得る。
【0083】
(作用効果)
実施の形態に係る紙おむつ10によれば、外装体20の胴回り領域23に配設されて胴回り寸法を調節可能な胴回り調節部60a,60bを備えるようにしているので、左右の胴回り調節部60a,60bと胴回り領域23(図に示す例では具体的には、前側胴回り領域231)とが互いに分離している取外し状態にすることができる。そして、取外し状態では、ウエスト開口26は着用時と比べて広いので、装着時に使用者の足先が引っ掛かることを防止して転倒の危険性を低減することが可能となり、延いては、使用者一人での装着の安全性及び容易性を向上させることが可能となる。また、収縮して狭くなっているウエスト開口26に足先を入れる動作が不要で、腰回り・胴回りのギャザーを引っ張って拡げる必要がないので、使用者一人での装着の容易性を向上させることが可能となる。
【0084】
実施の形態に係る紙おむつ10によれば、また、外装体20の胴回り領域23に配設されて胴回り寸法を調節可能な胴回り調節部60a,60bを備えるようにしているので、左右の胴回り調節部60a,60bを左右から前方へと回して胴回り領域23(図に示す例では具体的には、前側胴回り領域231)に貼り付ける際に、左右の胴回り調節部60a,60bの回し込みの量により、使用者は、身体(特に、腹部、背部、腰部)への胴回り領域23の締め付けの度合いを容易に自分で調節することができる。このため、体格や体の各部のサイズが異なる様々な体形の着用者であっても、紙おむつ10の装着時に身体にフィットするように胴回り領域23の締め付け具合を容易に調節して適切に設定することが可能となり、延いては、着用時の快適性を向上させることが可能となる。
【0085】
実施の形態に係る紙おむつ10によれば、また、外装体20の股下領域25から胴回り領域23にかけて配設されて股下わたり寸法を調節可能な股下調節部70を備えるようにしているので、股下領域25の前方において垂下している股下調節部70を前上方へと引き上げて胴回り領域23(図に示す例では具体的には、前側胴回り領域231)に取り付けられている左右の胴回り調節部60a,60bに貼り付ける際に、股下調節部70の引上げ量により、使用者は、身体(特に、股間部)への股下領域25(尚、吸収体40を含む)の密着の度合いを容易に自分で調節することができる。このため、体格や体の各部のサイズが異なる様々な体形の着用者であっても、紙おむつ10の装着時に身体にフィットするように股下領域25(尚、吸収体40を含む)の密着具合を容易に調節して適切に設定することが可能となり、延いては、尿漏れを防止することが可能となる。
【0086】
実施の形態によれば、したがって、一人でも装着し易く且つ身体への締め付けや密着の度合いを調節することが可能なパンツ型吸収性物品としての紙おむつ10を提供することが可能となる。これにより、身体機能が衰え始めた着用者でも、足先が引っ掛かることによる装着時の転倒を防止して、紙おむつ10を一人で装着することが可能となるとともに、紙おむつ10を身体へと容易に且つ適切に密着させることが可能となる。
【0087】
実施の形態に係る紙おむつ10によれば、また、紙おむつ10の使用後に廃棄する際に、左右の胴回り調節部60a,60bと股下調節部70とのうちのいずれかの調節部を用いて紙おむつ10全体を小さく丸めて固定することができ、廃棄性を向上させることが可能となる。
【0088】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成態様は上記の実施の形態に限定されるものではなく、上記の実施の形態に、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変形や変更などが加えられた形態も本発明に含まれる。
【0089】
例えば、上記の実施の形態では左右の胴回り調節部60a,60bと股下調節部70とが設けられるようにしているが、左右の胴回り調節部60a,60bのみが設けられるようにしてもよい。この場合も、左右の胴回り調節部60a,60bの作用効果として、装着時に使用者の足先が引っ掛かることを防止して転倒の危険性を低減することが可能となり、延いては、使用者一人での装着の安全性及び容易性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
10 紙おむつ
20 外装体
21 不織布シート
22 弾性部材
221 胴回り弾性部材
222 脚回り弾性部材
23 胴回り領域
231 前側胴回り領域
232 後側胴回り領域
24 サイドシール部
25 股下領域
26 ウエスト開口
27a 左の脚開口
27b 右の脚開口
40 吸収体
41 トップシート
42 バックシート
43 吸収性本体
60a 左の胴回り調節部
60b 右の胴回り調節部
61 基端部
62 先端部
63 フックテープ
70 股下調節部
71 基端部
72 先端部
73 フックテープ