(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007641
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】高所作業用手挟み防止機構付き作業台
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240112BHJP
B66F 11/04 20060101ALI20240112BHJP
B66F 9/06 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B66F9/24 S
B66F11/04
B66F9/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108837
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510118879
【氏名又は名称】株式会社ワイケー
(74)【代理人】
【識別番号】100124316
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 友
(72)【発明者】
【氏名】水谷 亮
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 靖
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333AC01
3F333AC07
3F333FA11
3F333FD06
3F333FE01
(57)【要約】
【課題】作業者が高所用の作業台上での操作レバーによる上昇操作をする際に、操作レバーを把持した手以外の手を障害物から保護する機構を作業台に持たせる。
【解決手段】作業者が載る作業床2の周囲に配列する縦枠3と、隣接する縦枠3、3の上端部間に架設される手摺り4と、縦枠3と手摺り4とで区画された空間の内側に上昇操作を制御する操作レバー6を備えた作業台1の内側の手摺り4より下方位置に、操作レバー6による作業台1の上昇操作の可能状態と不能状態を切り替え、作業者に把持されているときに操作レバー6による上昇操作を可能状態にする検出器が付いた把手7を装着する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車両上に鉛直方向に昇降自在に支持され、作業者が載る作業床の周囲に周方向に間隔を置いて配列する縦枠と、隣接する前記縦枠の上端部間に架設される手摺りと、前記縦枠と前記手摺りとで区画された空間の内側に、少なくとも上昇操作を制御する操作レバーとを備えた高所作業用の作業台において、
前記作業台の内側の、前記手摺りより下方の位置に、前記操作レバーが前記作業者に把持されているときに、前記作業台の前記上昇操作の可能状態と不能状態とを切り替え、前記操作レバーによる前記上昇操作を可能状態にする検出器が付いた把手が装着されていることを特徴とする高所作業用手挟み防止機構付き作業台。
【請求項2】
走行車両上に鉛直方向に昇降自在に支持され、作業者が載る作業床の周囲に周方向に間隔を置いて配列する縦枠と、隣接する前記縦枠の上端部間に架設される手摺りと、前記縦枠と前記手摺りとで区画された空間の内側に、少なくとも上昇操作を制御する操作レバーとを備えた高所作業用の作業台において、
前記作業台の内側の、前記手摺りより下方の位置に、前記操作レバーが前記作業者に把持されているときに、前記作業台の前記上昇操作の可能状態と不能状態とを切り替え、前記操作レバーによる前記上昇操作を可能状態にする機能を有する把手が装着され、
前記把手が把持されたまま、前記操作レバーによる前記作業台の上昇操作の可能状態と不能状態とを切り替え、前記把手が前記作業者に把持されているときに前記操作レバーによる前記上昇操作を可能状態にする検出器と共に、またはこの検出器に代わって前記操作レバーによる前記上昇操作を可能状態にする2次スイッチが前記把手に併設されていることを特徴とする高所作業用手挟み防止機構付き作業台。
【請求項3】
前記作業床の上に、前記作業者に踏まれているときに前記操作レバーによる前記上昇操作を可能状態にするフットスイッチが装着されていることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載の高所作業用手挟み防止機構付き作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業者が高所用の作業台上での操作レバーによる上昇操作をする際に、操作レバーを操作する手の反対側の手が構造体や設置済みの設備との間に挟まれる事態を防止する機構を備えた高所作業用手挟み防止機構付き作業台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行車両上に鉛直方向に昇降自在に支持され、作業者が高所での作業をするための作業台(バスケット)は、主に作業台の内側に設置された操作盤の操作レバーを操作することで、昇降する(特許文献1参照)。操作レバーによる操作の安全性と確実性を確保する目的で、作業台の作業床上に設置されたフットスイッチを踏んでいるときにのみ、操作レバーの操作が有効になるようにする制御方法もある(特許文献2参照)。
【0003】
操作レバーは作業者の片手で操作されることから、作業台の昇降時の作業者自身の安定性を確保する上で、作業者は他方の手で手摺りを掴もうとするため、手摺りを把持した手に、構築済みの構造体(躯体)や設置済みの設備等の障害物が接触、または衝突する危険性がある。
【0004】
手摺りを握りながら操作レバーを操作中の作業者は主に作業台の上昇時に上記の危険性に直面し易いため、作業台の上昇中、相対的に降下する障害物が手摺りに直接、接触しないような工夫が必要になる。
【0005】
その方法として、作業台の一部である本来の手摺りの内側に手摺りに沿って移動可能な移動手摺りを配置し、本来の手摺りをガード部材として利用することで、障害物が手に当たることを回避する方法(特許文献3参照)や、手摺りの外側で上下動するガード部材を手摺りに装着する方法(特許文献4参照)がある。但し、操作レバーを把持した手以外の手が咄嗟のときに、手摺り以外のガード部材を必ず把持できる保証はない。
【0006】
一方、作業者が操作レバーを把持し、操作しようとしているときにのみ、同じ手のいずれかの指で押し続けることで、操作レバーによる操作を可能(有効)にする方法がある(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-73094号公報(請求項1、段落0012~0017、
図2)
【特許文献2】特開昭62-205995号公報(請求項1、
図3)
【特許文献3】特開2021-138504号公報(請求項1、段落0018~0040、
図1~
図8)
【特許文献4】特開2021-88433号公報(請求項1、段落0018~0030、
図1、
図2)
【特許文献5】特開2021-31293号公報(請求項1、段落0010~0016、0025、0033、0050~0059、
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献5は操作レバーのみによる誤操作を防止する目的で、操作レバーに安全のための付加スイッチを操作レバーに装備しているに過ぎず、操作レバーを操作する手以外の手を手摺りから退避させるための誘導策にはなっていないため、操作レバーを把持した手以外の手を障害物から確実に保護できる保証はない。
【0009】
本発明は上記背景より、操作レバーを把持した手以外の手を障害物から保護すること可能にする高所作業用手挟み防止機構付き作業台を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明の高所作業用手挟み防止機構付き作業台は、走行車両上に鉛直方向に昇降自在に支持され、作業者が載る作業床の周囲に周方向に間隔を置いて配列する縦枠と、隣接する前記縦枠の上端部間に架設される手摺りと、前記縦枠と前記手摺りとで区画された空間の内側に、少なくとも上昇操作を制御する操作レバーとを備えた高所作業用の作業台において、
前記作業台の内側の、前記手摺りより下方の位置に、前記操作レバーが前記作業者に把持されているときに、前記作業台の前記上昇操作の可能状態と不能状態とを切り替え、前記操作レバーによる前記上昇操作を可能状態にする検出器が付いた把手が装着されていることを構成要件とする。
【0011】
作業台を支持する走行車両(高所作業車)には路面上をタイヤが転動するタイヤ式と、クローラが転動するクローラ式がある。車両自体の形態上はトラック積載式と自走式がある。作業台を昇降自在に支持する昇降装置には軸方向に伸縮して昇降するブーム式(油圧シリンダ型)、あるいは掘進(伸縮)式と、パンタグラフ式に鉛直方向に伸縮して昇降する垂直昇降式(シザース型)等がある。「昇降自在」は主に鉛直方向に昇降自在であることを言うが、水平方向への移動を伴う鉛直方向の移動を含む。
【0012】
作業台1は
図1-(a)に示すように基本的には作業床2と、作業床2の周囲に沿って固定される複数本の縦枠3と、縦枠3の上端部に支持される手摺り4から構成され、縦枠3と手摺り4が作業台1の内側と外側を区画する。隣接する縦枠3、3間には横枠等が架設されるか、扉等が設置されることもある。作業台1の内側に操作レバー6を備えた操作盤5が装着される。手摺り4は操作レバー6による作業台1の上昇操作以外のときに作業者に把持され得る。
【0013】
操作レバー6は作業台1の少なくとも上昇時に作業者に把持されるため、上昇時に障害物が手に接触、または衝突しないよう、
図2に示すように操作レバー6全体が手摺り4より下方に配置され、操作レバー6を把持した手のいずれの部分も手摺り4の上面より上に突出しない。手摺り4は作業台1(作業床2)の周方向に連続して、または断続的に配置される。
【0014】
「少なくとも上昇操作を制御する」とは、操作レバー6が作業台1の上昇の他、降下、または降下とその他の操作を制御することもあることを意味する。「制御する」とは、操作レバー6が上昇操作側に押されるか、倒される等、操作されることで、操作盤5等に内蔵されたコントローラからの指令に基づいて作業台1を支持する昇降装置11(の駆動部)が作業台1を上昇させる(上昇操作する)ときの、操作レバー6によるコントローラに対する制御を言う。操作レバー6が操作されたときに、上昇操作すべき信号が操作レバー6からコントローラに伝達され、信号に基づくコントローラからの指令が昇降装置11に伝達される。なお、操作レバー6による作業台1上昇の制御を単に上昇操作と言うこともある。
【0015】
作業台1の内側の、手摺り4より下方の位置に、操作レバー6による上昇操作を可能状態にするセンサ等の検出器が付いた把手7が装着される。把手7も作業台1の少なくとも上昇時に作業者に把持されるため、上昇時に障害物が把手7を把持した手に接触しないよう、手摺り4より下方に配置され、把持した手のいずれの部分も手摺り4より上に突出しない。
【0016】
把手7は作業者が操作レバー6を操作中に、操作レバー6を把持した手(片手)とは反対側の手で把持される。操作レバー6と把手7を把持する手の左右は問われない。作業者が把手7を把持したとき、作業者は一方の手で操作レバー6を把持し、他方の手で把手7を把持することになるため、作業者の両手が、操作レバー6による上昇操作を可能状態にするために作業台1の2箇所を同時に掴んだ状態になる。
【0017】
「操作レバー6による上昇操作を可能状態にする」とは、操作レバー6が上昇操作側に操作されたときに、同時に把手7が把持されることで、検出器が把手7が把持されたことを検出し、コントローラが昇降装置11に「上昇」の指令を与える状態にする(後述のスイッチをONにする)ことを言う。検出器は後述のように把手7が把持されたときの圧力等の変化を検出する。
【0018】
従って一方の手での操作レバー6による上昇操作を可能状態にするには、他方の手での検出器付き把手7の把持が不可欠になるため、作業者が作業台1を上昇させるには、必ず一方の手で操作レバー6を把持すると同時に、他方の手で検出器付き把手7を把持する必要がある。この結果、作業者は作業台1の上昇時にいずれかの手が手摺り4を把持することはなくなり、把手7は操作レバー6を操作する手以外の手を手摺り4から退避させるための誘導策になる。
【0019】
このように作業者の両手が作業台1の一部である操作レバー6と把手7を同時に把持する状態に置かれることで、作業者は必然的に操作レバー6を把持しながら、手摺り4に代わる把手7を把持する姿勢(体勢)を取ることになる。操作レバー6と把手7は手摺りより下方に位置するため、作業台1が上昇し、相対的に障害物が降下したときにも、障害物が作業者の手に接触、あるいは衝突することは回避され、操作レバー6を把持した手以外の手が障害物から確実に保護され、作業者の安全性が確保される。
【0020】
把手7の検出器は操作レバー6による作業台1の上昇操作の可能状態と不能状態とを切り替える機能を持ち、作業者に把持されている、あるいは押されているとき等に(のみ)操作レバー6による上昇操作を可能状態にする。すなわち、検出器は機能しない状態では操作レバー6のみによる上昇操作を制限し、操作レバー6を拘束(ロック)した状態に保つ。
【0021】
操作レバー6による作業台1の上昇操作の可能状態と不能状態とを切り替える検出器の機能は、例えば把手7自体、あるいは把手7のいずれかの部分に内蔵された、または表面に貼着された圧電素子その他の圧力センサや接触センサが、把手7を把持したときの圧力等の変化を検出したときに、把手7が把持されたことを検出し、この検出時の信号が操作レバー6による上昇操作(制御)を可能状態にすることを言う。検出器はこの他、指が直接、検出器の表面に接触したときに発生する微弱な電流による静電容量の変化を検出する形態(静電容量方式タッチパネル)等もある。
【0022】
検出器が検出した信号は
図4-(b)に示すように操作レバー6による上昇操作を可能状態にする把手7(検出器)のスイッチ7aをONにし、検出器が圧力等の変化を検出しない状態ではスイッチ7aをOFFに保つ。把手7(検出器)のスイッチ7aがONになったときに、コントローラから昇降装置11(の駆動部)に上昇操作の指令が伝達される。
【0023】
把手7のスイッチ7aは操作レバー6によるコントローラからの昇降装置11への上昇操作の指令と直列に接続された状態になる。把手7のスイッチ7aがOFFに保たれているときには、操作レバー6の操作が効かないか、操作レバー6が操作されても、昇降装置11にはコントローラからの指令は伝達されず、作業台1が上昇することはない。
【0024】
把手7は操作レバー6による作業台1の上昇操作の可能状態と不能状態とを切り替える機能を有すればよいため、検出器に代わって、あるいは検出器と共に同じ機能を発揮する2次スイッチ8を把手7に併設することもできる(請求項2)。「検出器と共に同じ機能を発揮する2次スイッチ」とは、操作レバー6による作業台1の上昇操作の可能状態と不能状態とを切り替え、把手7が作業者に把持されているときに、操作レバー6による上昇操作を可能状態にする機能を、
図3-(b)に示す押しボタンスイッチ等の2次スイッチ8が有することを言う。
【0025】
「検出器に代わって」とは、2次スイッチ8が検出器に代わる役目を果たすことを言い、検出器が上記した圧力等の変化を検出したか否かに関係なく、2次スイッチ8が押される等、操作されることで、操作レバー6による上昇操作を可能状態にすることを言う。
【0026】
「検出器と共に」とは、検出器と2次スイッチ8が併用され、検出器と2次スイッチ8が2段階に、操作レバー6による上昇操作を制限(拘束)することを言う。すなわち、検出器が上記の圧力や静電容量の変化等を検出した上で、2次スイッチ8が操作されることで、
図5-(b)に示すように把手7(検出器)のスイッチ7aと2次スイッチ8がONになり、初めて操作レバー6による上昇操作が可能状態になる。2次スイッチ8の形態は問われず、押しボタンスイッチの他、切替えスイッチ等が使用される。
【0027】
2次スイッチ8を有する場合、作業台1は請求項1と同じく、走行車両10上に鉛直方向に昇降自在に支持され、作業者が載る作業床2の周囲に周方向に間隔を置いて配列する縦枠3と、隣接する縦枠3、3の上端部間に架設される手摺り4と、縦枠3と手摺り4とで区画された空間の内側に、少なくとも上昇操作を制御する操作レバー6とを備える(請求項2)。作業台1の内側の、手摺り4より下方の位置に、操作レバー6が作業者に把持されているときに、作業台1の上昇操作の可能状態と不能状態とを切り替え、操作レバー6による上昇操作を可能状態にする検出器が付いた把手が装着される(請求項2)。
【0028】
その上で、把手7が把持されたまま、操作レバー6による作業台1の上昇操作の可能状態と不能状態とを切り替え、把手7が作業者に把持されているときに操作レバー6による上昇操作を可能状態にする検出器と共に、またはこの検出器に代わって操作レバー6による上昇操作を可能状態にする2次スイッチ8が把手7に併設される(請求項2)。「操作レバー6による上昇操作を可能状態にする機能」は上記の検出器、もしくは2次スイッチ8、または検出器と2次スイッチ8が果たす。
【0029】
「上昇操作を可能状態にする機能を有する把手」とは、「操作レバー6による作業台1の上昇操作の可能状態と不能状態とを切り替え、把手7が作業者に把持されているときに(のみ)操作レバー6による上昇操作を可能状態にする」機能を有する上記の検出器と2次スイッチ8の少なくともいずれか一方を把手7が備えることを言う。
【0030】
把手7は少なくとも2次スイッチ8を有するため、2次スイッチ8が操作されない限り、操作レバー6のスイッチはOFFに保たれ、操作レバー6による操作は効かない。把手7の検出器、または検出器と2次スイッチ8は
図5-(b)に示すように操作レバー6によるコントローラからの昇降装置11への上昇操作の指令と直列に接続された状態になる。
【0031】
請求項2において、把手7に検出器と共に2次スイッチ8が併設され、検出器が圧力等の変化を検出した後、2次スイッチ8が操作される場合、上記のように操作レバー6による上昇操作を2段階に制限(ロック)することができるため、操作レバー6による上昇操作の確実性と安全性が高まる。
【0032】
操作レバー6による上昇操作の確実性と安全性を高めることは、この他、請求項1、もしくは請求項2において作業床2の上に、作業者に踏まれているときに操作レバー6による上昇操作を可能状態にするフットスイッチ9が装着されることによっても可能になる(請求項3)。
【0033】
把手7に付属した検出器、または検出器と2次スイッチ8に加え、作業床2に、作業者に踏まれているときに(のみ)操作レバー6による上昇操作を可能状態にするフットスイッチ9が装備されることで、検出器等とフットスイッチ9が操作レバー6による上昇操作を制限(拘束)する状態になる。従って
図7-(b)に示すように操作レバー6による上昇操作を3段階に制限(ロック)することができるため、操作レバー6による上昇操作の確実性と安全性がより高まる。
【0034】
この場合、
図6-(b)に示すように検出器が圧力等の変化を検出するか、2次スイッチ8が操作された上で、あるいは
図7-(b)に示すように検出器が圧力等の変化を検出すると共に、2次スイッチ8が操作された上で、フットスイッチ9が踏まれることで、把手7(検出器か2次スイッチ8)のスイッチと、フットスイッチ9が共にONになり、初めて操作レバー6による上昇操作が可能状態になる。このように把手7の検出器と2次スイッチ8が併用される場合には、操作レバー6による上昇操作は3段階に制限(ロック)される。
【発明の効果】
【0035】
作業台の内側の、手摺りより下方位置に、作業者に把持され、操作レバーによる作業台の上昇操作の可能状態と不能状態とを切り替え、作業者に把持されているときに操作レバーによる上昇操作を可能状態にする検出器が付いた把手を装着するため、作業者に両手で作業台の一部である操作レバーと把手を同時に把持する姿勢を取らせることができる。操作レバーと把手は手摺りより下方に位置するため、作業台が上昇したときにも、障害物が作業者の手に接触、あるいは衝突することは回避され、操作レバーを把持した手以外の手を障害物から確実に保護し、作業者の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】(a)は作業台を支持する昇降装置が収縮状態から伸長し、作業台が上昇する様子を示した走行車両の立面図、(b)は(a)の側面図である。
【
図2】作業台の内側に装着された、走行車両の総合的な操作を制御する操作装置と操作レバーを有する操作盤、及び把手の配置例を示した斜視図である。
【
図3】(a)は検出器付きの把手の製作例を示した斜視図、(b)は2次スイッチが併設され把手の製作例を示した斜視図である。
【
図4】(a)は操作レバーによる上昇操作すべき昇降装置への信号の流れと昇降装置による上昇操作と、把手のスイッチとの関係を示した概要図、(b)は(a)の操作レバーによる信号が把手のスイッチで切り替わる様子を示したブロック図である。
【
図5】(a)は操作レバーによる上昇操作すべき昇降装置への信号の流れと昇降装置による上昇操作と、把手のスイッチ及び2次スイッチとの関係を示した概要図、(b)は(a)の操作レバーによる信号が把手のスイッチと2次スイッチで切り替わる様子を示したブロック図である。
【
図6】(a)は操作レバーによる上昇操作すべき昇降装置への信号の流れと昇降装置による上昇操作と、フットスイッチ及び把手のスイッチとの関係を示した概要図、(b)は(a)の操作レバーによる信号がフットスイッチと把手のスイッチで切り替わる様子の例を示したブロック図である。
【
図7】(a)は操作レバーによる上昇操作すべき昇降装置への信号の流れと昇降装置による上昇操作と、フットスイッチ及び2次スイッチが併設された把手のスイッチとの関係を示した概要図、(b)は(a)の操作レバーによる信号がフットスイッチと把手のスイッチ等で切り替わる様子の例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1-(a)、(b)は走行車両10上に鉛直方向に昇降自在に支持され、内側に少なくとも上昇操作を制御する操作レバー6を備えた高所作業用の作業台1の構成例を示す。
【0038】
作業台1は作業者が載る作業床2と、作業台2の周囲に周方向に間隔を置いて配列する縦枠3と、隣接する縦枠3、3の上端部間に架設され、作業者に把持され得る手摺り4を少なくとも備え、
図2に示すように作業台2の内側に、操作レバー6を含む操作盤5が装着される。作業台1は例えば
図1-(a)に示すような走行車両10上に支持された、伸縮自在な昇降装置11に載置され、固定される。作業台1は昇降装置11の伸縮に伴い、昇降自在に走行車両10に支持される。
【0039】
図2に示すように作業台1の内側に、走行車両10の前進、後退その他の総合的な操作を制御する操作装置12と操作盤5が装着される。操作レバー6の全体は作業者に把持されているときに、作業台1の上昇中に手に障害物が接触することがないよう、手摺り4より下方に位置する。
【0040】
作業台1の内側の例えば操作装置12の正面や側面等には、操作レバー6による作業台1の上昇操作の可能状態と不能状態とを切り替え、作業者に把持されているときに、操作レバー6による上昇操作を可能状態にするセンサ等の検出器が付いた把手7が装着される。把手7の全体も作業者に把持されているときに、作業台1の上昇中に手に障害物が接触することがないよう、手摺り4より下方に位置する。
【0041】
検出器は把手7の、作業者に把持されるいずれかの部分(区間)の表面に一体化するか、表面に貼着される。検出器には例えば圧力センサ等、把手7が片手で握られたときに、何らかの物理量の変化を検出し、把手7が把持されたことを検出可能なセンサ等が使用される。
【0042】
図3-(a)は検出器が付いた把手7の製作例を示す。この把手7は適度な距離を置いて2本のコの字形の把手材71、71を並列させ、両把手材71、71を操作装置12の一部になるプレート72、またはプレート72を有するケース73等に固定して構成される。把手材71、71は作業者に片手で把持されたときに、例えば少なくとも一方が弾性変形する等により互いに接近するか、接触するように組み合わせられることもある。
【0043】
この場合、両把手材71、71が把持されたときに、少なくとも一方の把手材71の表面に、圧力の変化等を検出する上記のセンサ等が埋設、または貼着される。検出器に、並列する把手材71、71の少なくとも一方が弾性変形し、把手材71、71(検出器)同士が互いに接触したときに、接触を検出するセンサ、または接触して通電するセンサ等を使用し、検出時に把手7のスイッチ7aをONにすることも可能であり、検出器がスイッチ7aを兼ねることもある。
【0044】
図3-(a)では2本の把手材71、71を並列させてプレート72に接合することで、1個の把手7を構成しているが、(b)のように1本の把手材71がそのまま把手7になることもある。その場合、1本の把手材71の表面に圧力を検出するセンサが埋設、または貼着される。
【0045】
図3-(a)の例では2本の把手材71、71が把持され、検出器が圧力等の変化を検出することで、(b)に示す把手7のスイッチ7aがONになるため、操作レバー6が上昇操作側に操作されることで、操作レバー6による昇降装置11に対する指令が有効になり、作業台1が上昇する。
【0046】
図3-(b)は1本の把手材71を操作装置12の一部になるか、別体のケース73のプレート72に接合すると共に、ケース73のプレート72以外の側面に押しボタンスイッチ等の2次スイッチ8を設置し、2次スイッチ8に、検出器と共に、または検出器に代わって操作レバー6による作業台1の上昇操作を可能状態にする機能を持たせた場合の例を示す。
【0047】
2次スイッチ8が検出器に代わって操作レバー6による上昇操作を可能状態にする場合には、2次スイッチ8が押される等、操作されることで、
図4-(b)に示す例と同様に把手7(検出器)のスイッチ7aとして機能する。この場合、
図4-(b)に示すスイッチ7aが2次スイッチ8に置き換わる。
【0048】
2次スイッチ8が検出器と共に操作レバー6による上昇操作を可能状態にする場合には、
図5-(b)に示すように把手7のスイッチ7aと2次スイッチ8が2段階に操作レバー6による上昇操作を可能状態にする。
図5-(b)中、スイッチ7aと2次スイッチ8の順は問われない。この場合、把手7のスイッチ7aがONになった上で、2次スイッチ8がONになることで、操作レバー6よる上昇操作が可能状態になるため、いずれもがONにならない限り、操作レバー6による上昇操作は可能状態にならない。
【0049】
図3-(b)の例では把手7(把手材71)が把持され、検出器が圧力等の変化を検出した上で、2次スイッチ8が操作されることで、
図5-(b)に示す把手7のスイッチ7aと2次スイッチ8が共にONになるため、操作レバー6が上昇操作側に操作されることで、操作レバー6による昇降装置11に対する指令が有効になり、作業台1が上昇する。
【0050】
図6-(a)は作業台1の作業床2の上に、作業者に踏まれているときに(のみ)操作レバー6による作業台1の上昇操作を可能状態にするフットスイッチ9が装着された場合の、フットスイッチ9及び把手7のスイッチ7aと、操作レバー6及び昇降装置11との関係を示す。基本的にはフットスイッチ9とスイッチ7aの順は
図6-(b)に示す通りになる。但し、回路上は操作レバー6とフットスイッチ9が図示するように必ずしも直列に接続されている必要はなく、並列に接続されることもあり、プログラム上で両者の信号を確認したときにのみ、操作レバー6による上昇操作を可能状態にすることもある。この他、フットスイッチ9をフェールセーフ機能が搭載されたモータコントローラに接続し、信号入力時のみモータ回転を制御、上昇信号により上昇操作を可能にすることもある。
【0051】
図6-(b)に示す例の場合、フットスイッチ9がONになった上で、把手7のスイッチ7aがONになることで、操作レバー6よる上昇操作が可能状態になるため、いずれもがONにならない限り、操作レバー6による上昇操作は可能状態にならない。
【0052】
この例ではフットスイッチ9が踏まれた上で、把手7(把手材71)が把持され、検出器が圧力等の変化を検出することで、
図6-(b)に示すフットスイッチ9と把手7のスイッチ7aが共にONになるため、操作レバー6が上昇操作側に操作されることで、操作レバー6による昇降装置11に対する指令が有効になり、作業台1が上昇する。
【0053】
図7-(a)は
図6-(a)に示す把手7を
図3-(b)に示す把手7に置き換えた場合の、フットスイッチ9及び把手7と、操作レバー6及び昇降装置11との関係を示す。この例ではフットスイッチ9が踏まれた上で、把手7が把持されると共に、2次スイッチ8が操作されることで、
図7-(b)に示すフットスイッチ9と把手7のスイッチ7a及び2次スイッチ8がONになり、操作レバー6の上昇操作側への操作に伴い、作業台1が上昇する。この例でも操作レバー6とフットスイッチ9及び把手7のスイッチ7a及び2次スイッチ8が直列に接続されるとは限らず、並列に接続されることもある。
【符号の説明】
【0054】
1……高所作業用作業台、
2……作業床、
3……縦枠、4……手摺り、
5……操作盤、6……操作レバー、
7……把手、7a……スイッチ、71……把手材、72……プレート、73……ケース、
8……2次スイッチ、
9……フットスイッチ、
10……走行車両、11……昇降装置、12……操作装置。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】