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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076413
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】信号増幅装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/08 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
H03F3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187886
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000143031
【氏名又は名称】コーデンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】佐野 とし恵
(72)【発明者】
【氏名】福田 秀雄
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA51
5J500AA56
5J500AC41
5J500AC92
5J500AF17
5J500AH10
5J500AH19
5J500AH25
5J500AH29
5J500AK01
5J500AM11
5J500LU02
(57)【要約】
【課題】電流信号が入力される信号増幅装置において、回路規模を小さくしつつ、ノイズを低減可能な構成を提供する。
【解決手段】信号増幅装置1は、信号変換部11と、多重帰還増幅部12と、を備える。信号変換部11は、電流信号を電圧信号に変換する。多重帰還増幅部12は、信号変換部11の下流に接続されており、電圧信号を第1容量素子13を介して増幅器14に入力するとともに、増幅器14の出力を抵抗素子15を介して増幅器14に帰還させるとともに、増幅器14の出力を第2容量素子16及び第1容量素子13を介して増幅器14に帰還させることにより、電圧信号の直流信号成分をカットしつつ電圧信号を増幅する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流信号を電圧信号に変換する信号変換部と、
前記信号変換部の下流に接続されており、前記電圧信号を第1容量素子を介して増幅器に入力するとともに、当該増幅器の出力を抵抗素子を介して当該増幅器に帰還させるとともに、当該増幅器の出力を第2容量素子及び前記第1容量素子を介して当該増幅器に帰還させることにより、前記電圧信号の直流信号成分をカットしつつ当該電圧信号を増幅する多重帰還増幅部と、
を備えることを特徴とする信号増幅装置。
【請求項2】
請求項1に記載の信号増幅装置であって、
前記信号変換部は、フォトダイオードが出力する前記電流信号を前記電圧信号に変換することを特徴とする信号増幅装置。
【請求項3】
請求項2に記載の信号増幅装置であって、
前記抵抗素子に並列に配置される抵抗調整素子を備え、
前記抵抗調整素子は、前記フォトダイオードのカソード電圧が小さくなったと判定された場合に、前記抵抗素子と前記抵抗調整素子の合成抵抗を下降させることを特徴とする信号増幅装置。
【請求項4】
請求項3に記載の信号増幅装置であって、
前記抵抗調整素子は、前記抵抗素子に並列に配置されるアナログスイッチであり、
前記アナログスイッチは、前記フォトダイオードのカソード電圧が小さくなったと判定された場合に、アナログスイッチを閉じることで、前記抵抗素子と前記アナログスイッチの合成抵抗を下降させることを特徴とする信号増幅装置。
【請求項5】
請求項3に記載の信号増幅装置であって、
前記抵抗調整素子は、前記フォトダイオードのカソード電圧が小さくなるに連れて、前記抵抗素子と前記抵抗調整素子の合成抵抗が徐々に下降することを特徴とする信号増幅装置。
【請求項6】
請求項5に記載の信号増幅装置であって、
前記抵抗調整素子は、前記抵抗素子に並列に配置されるMOSFETであり、
前記フォトダイオードのカソード電圧がゲート電圧として前記MOSFETに印加されており、前記フォトダイオードのカソード電圧の低下に応じて、前記抵抗素子と前記MOSFETの合成抵抗が徐々に下降することを特徴とする信号増幅装置。
【請求項7】
請求項2に記載の信号増幅装置であって、
前記増幅器には、前記電圧信号と、基準電圧と、が入力されており、
前記フォトダイオードのカソード電圧と、前記基準電圧と、が異なる値であることを特徴とする信号増幅装置。
【請求項8】
請求項7に記載の信号増幅装置であって、
前記フォトダイオードのカソード電圧は、前記フォトダイオードに逆バイアスが掛かる電圧であることを特徴とする信号増幅装置。
【請求項9】
請求項2に記載の信号増幅装置であって、
前記フォトダイオードへの光の照射に伴う、前記フォトダイオードのカソード電圧の低下の下限値を当該フォトダイオードの順方向電圧から、調整値まで上昇させる調整回路を備えることを特徴とする信号増幅装置。
【請求項10】
請求項9に記載の信号増幅装置であって、
前記調整回路は、ダイオードを備え、
前記ダイオードは、光入力がゼロのときの前記フォトダイオードのカソード電圧の下限値よりも高い電圧に接続されており、
前記ダイオードは、前記フォトダイオードのカソード側に接続されることを特徴とする信号増幅装置。
【請求項11】
請求項9に記載の信号増幅装置であって、
前記調整回路は、MOSFETを備え、
前記MOSFETには、光入力がゼロのときの前記フォトダイオードのカソード電圧の下限値よりも高いゲート電圧が供給されることを特徴とする信号増幅装置。
【請求項12】
請求項9に記載の信号増幅装置であって、
前記抵抗素子に並列に配置される抵抗調整素子を備え、
前記抵抗調整素子は、前記フォトダイオードのカソード電圧が小さくなったと判定された場合に、前記抵抗素子と前記抵抗調整素子の合成抵抗を下降させることを特徴とする信号増幅装置。
【請求項13】
請求項1から12までの何れか一項に記載の信号増幅装置であって、
前記多重帰還増幅部は、前記増幅器の出力を、前記抵抗素子を含むT型帰還回路を介して当該増幅器に帰還させることを特徴とする信号増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、信号を増幅する信号増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、試料を通過したレーザ光をフォトダイオードで受光して分析するレーザ式ガス分析装置を開示する。フォトダイオードが出力した電流信号は、プリアンプで増幅された後に、フィルタにより不要な周波数帯(例えば直流信号成分)がカットされる等して、信号解析回路に入力される。信号解析回路は、電流信号を解析してガス濃度を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-53696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の回路構成において、信号解析回路に入力される電流値を大きくするためには、プリアンプの増幅率を高くする必要がある。しかし、プリアンプの増幅率を高くすると、直流信号成分も増幅される。そのため、電流信号の電流値が回路の許容値を超えると、回路が正常に動作しないことがある。これを回避するために、一般的には、電流信号をプリアンプで増幅した後にフィルタにより直流信号成分をカットし、その後に再び電流信号を増幅することが行われる。しかし、この種の回路構成は、回路規模が大きくなるため消費電力が増加したり、増幅回数が増えることによりノイズが増加し易い等の課題がある。また、この課題は、フォトダイオードが出力した電流信号の処理に限られず、それ以外の電流信号に対しても存在し得る課題である。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、電流信号が入力される信号増幅装置において、回路規模を小さくしつつ、ノイズを低減可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の信号増幅装置が提供される。即ち、信号増幅装置は、信号変換部と、多重帰還増幅部と、を備える。前記信号変換部は、電流信号を電圧信号に変換する。前記多重帰還増幅部は、前記信号変換部の下流に接続されており、前記電圧信号を第1容量素子を介して増幅器に入力するとともに、当該増幅器の出力を抵抗素子を介して当該増幅器に帰還させるとともに、当該増幅器の出力を第2容量素子及び前記第1容量素子を介して当該増幅器に帰還させることにより、前記電圧信号の直流信号成分をカットしつつ当該電圧信号を増幅する。
【0008】
電流信号を増幅して、直流成分の除去後に再び増幅する構成と比較して、回路規模を小さくできるので、装置の小型化及び消費電力の低減が実現できる。また、信号を増幅させる回数を減らすことができるので、ノイズの低減が実現できる。
【0009】
前記の信号増幅装置においては、前記信号変換部は、フォトダイオードが出力する前記電流信号を前記電圧信号に変換することが好ましい。
【0010】
フォトダイオードの下流に配置される増幅及び直流信号成分のカットに関する回路規模を小さくできる。
【0011】
前記の信号増幅装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、信号増幅装置は、前記抵抗素子に並列に配置される抵抗調整素子を備える。前記抵抗調整素子は、前記フォトダイオードのカソード電圧が小さくなったと判定された場合に、前記抵抗素子と前記抵抗調整素子の合成抵抗を下降させる。
【0012】
強い光がフォトダイオードに照射された場合等では、フォトダイオードのカソード電圧が小さくなることに起因して、発振が発生し易い。この点、抵抗調整素子を備えることにより、フォトダイオードのカソード電圧が高くなるため、発振の発生を抑制できる。
【0013】
前記の信号増幅装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記抵抗調整素子は、前記抵抗素子に並列に配置されるアナログスイッチである。前記アナログスイッチは、前記フォトダイオードのカソード電圧が小さくなったと判定された場合に、アナログスイッチを閉じることで、前記抵抗素子と前記アナログスイッチの合成抵抗を下降させる。
【0014】
簡単な回路構成で必要に応じて合成抵抗を下降させることができる。
【0015】
前記の信号増幅装置においては、前記抵抗調整素子は、前記フォトダイオードのカソード電圧が小さくなるに連れて、前記抵抗素子と前記抵抗調整素子の合成抵抗が徐々に下降することが好ましい。
【0016】
これにより、合成抵抗が急に下降しないので、出力される電圧信号の電圧値のオーバーシュート又はアンダーシュートを抑制できる。
【0017】
前記の信号増幅装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記抵抗調整素子は、前記抵抗素子に並列に配置されるMOSFETである。前記フォトダイオードのカソード電圧がゲート電圧として前記MOSFETに印加されており、前記フォトダイオードのカソード電圧の低下に応じて、前記抵抗素子と前記MOSFETの合成抵抗が徐々に下降する。
【0018】
これにより、簡単な回路構成で必要に応じて合成抵抗を徐々に下降させることができる。
【0019】
前記の信号増幅装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記増幅器には、前記電圧信号と、基準電圧と、が入力されている。前記フォトダイオードのカソード電圧と、前記基準電圧と、が異なる値である。
【0020】
これにより、基準電圧とは異なる適切なカソード電圧を選択できる。
【0021】
前記の信号増幅装置においては、前記フォトダイオードのカソード電圧は、前記フォトダイオードに逆バイアスが掛かる電圧であることが好ましい。
【0022】
これにより、フォトダイオードの接合容量を小さくすることができる。
【0023】
前記の信号増幅装置においては、前記フォトダイオードへの光の照射に伴う、前記フォトダイオードのカソード電圧の低下の下限値を当該フォトダイオードの順方向電圧から、調整値まで上昇させる調整回路を備えることが好ましい。
【0024】
これにより、強い光が入力された場合のフォトダイオードのカソード電圧の低下を小さくすることができるので、強い光が入力されなくなった場合のフォトダイオードの復帰時間を短縮できる。
【0025】
前記の信号増幅装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記調整回路は、ダイオードを備える。前記ダイオードは、光入力がゼロのときの前記フォトダイオードのカソード電圧の下限値よりも高い電圧に接続されている。前記ダイオードは、前記フォトダイオードのカソード側に接続される。
【0026】
これにより、ダイオードを用いて、カソード電圧の下限値の低下量を抑えることができる。
【0027】
前記の信号増幅装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記調整回路は、MOSFETを備える。前記MOSFETには、光入力がゼロのときの前記フォトダイオードのカソード電圧の下限値よりも高いゲート電圧が供給される。
【0028】
これにより、MOSFETを用いて、カソード電圧の下限値の低下量を抑えることができる。
【0029】
前記の信号増幅装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、信号増幅装置は、前記抵抗素子に並列に配置される抵抗調整素子を備える。前記抵抗調整素子は、前記フォトダイオードのカソード電圧が小さくなったと判定された場合に、前記抵抗素子と前記抵抗調整素子の合成抵抗を下降させる。
【0030】
これにより、強い光がフォトダイオードに照射された場合における、発振の抑制と、復帰時間の短縮と、を両立することができる。
【0031】
前記の信号増幅装置においては、前記多重帰還増幅部は、前記増幅器の出力を、前記抵抗素子を含むT型帰還回路を介して当該増幅器に帰還させることが好ましい。
【0032】
これにより、回路規模の増大を抑えつつ、増幅率を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態に係る信号増幅装置の回路図。
図2】第1変形例及び第2変形例の信号増幅装置の回路図。
図3】第1変形例及び第2変形例の合成抵抗の変化を示すグラフ。
図4】第3変形例及び第4変形例の信号増幅装置の回路図。
図5】第3変形例及び第4変形例の光入力、カソード電圧、及び時間の変化傾向を示すグラフ。
図6】第5変形例及び第6変形例の信号増幅装置の回路図。
図7】第7変形例及び第8変形例の信号増幅装置の回路図。
図8】第9変形例及び第10変形例の信号増幅装置の回路図。
図9】第11変形例の信号増幅装置の回路図。
図10】第12変形例の信号増幅装置の回路図。
図11】第13変形例の信号増幅装置の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る信号増幅装置1の回路図である。
【0035】
図1に示す信号増幅装置1は、電流信号を電圧信号に変換して、直流信号成分をカットして、増幅して出力する装置である。
【0036】
本実施形態の信号増幅装置1は、フォトダイオード100が出力する電流信号を処理する。フォトダイオード100のアノード側はグランドに接続されている。フォトダイオード100のカソード側は信号増幅装置1に接続されている。フォトダイオード100は、光が入力されることで、光量に応じた大きさの電流を出力する。以下では、フォトダイオード100が出力する電流を電流信号と称する。なお、信号増幅装置1の処理対象は、フォトダイオード100の電流信号に限られない。つまり、信号増幅装置1は、フォトダイオード100とは異なるセンサ又は演算装置が出力する電流信号を処理することもできる。
【0037】
図1に示すように、信号増幅装置1は、信号変換部11と、多重帰還増幅部12と、を備える。
【0038】
信号変換部11は、電流信号を電圧信号に変換する。図1に示すように、信号変換部11は抵抗素子であり、フォトダイオード100と多重帰還増幅部12に接続される。信号変換部11を配置することにより、電流信号は、信号変換部11の抵抗値の大きさに応じたレンジの電圧信号に変換される。そのため、信号変換部11の抵抗値の大きさは、フォトダイオード100が出力する電流値と、多重帰還増幅部12で処理可能な電圧値と、に基づいて定めることが好ましい。
【0039】
多重帰還増幅部12は、電圧信号の直流信号成分をカットしつつ、当該電圧信号を増幅する。図1に示すように、多重帰還増幅部12は、第1容量素子13と、増幅器14と、抵抗素子15と、第2容量素子16と、を備える。
【0040】
電圧信号は、第1容量素子13を介して増幅器14に入力される。第1容量素子13は電荷を蓄えることができるキャパシタである。第1容量素子13を通過することにより、電圧信号の直流信号成分がカットされる。
【0041】
増幅器14はオペアンプであり、電圧信号を反転増幅する。具体的には、増幅器14の非反転入力端子はグランドに接続されている。増幅器14の反転入力端子は第1容量素子13に接続されており、反転入力端子には電圧信号が入力される。増幅器14は、電圧信号の正負を反転して増幅して出力する。増幅器14が出力する電圧信号は、電圧信号を利用して何らかの処理を行う外部機器へ出力される。なお、増幅器14は非反転増幅する態様で用いられてもよい。
【0042】
また、増幅器14が出力する電圧信号は、帰還されて増幅器14の反転入力端子に入力される。以下では、増幅器14の出力端子と増幅器14の反転入力端子とを接続する回路を帰還回路と称する。帰還回路には、抵抗素子15が配置されている。増幅器14が出力する電圧信号は、帰還回路に配置された抵抗素子15により帰還されて、増幅器14の反転入力端子に入力される。
【0043】
また、帰還回路には、更に、第2容量素子16が配置されている。第2容量素子16は、電荷を蓄えることができるキャパシタである。電圧信号が第2容量素子16を通過することにより、電圧信号の直流信号成分がカットされる。また、帰還回路は、信号変換部11で変換された電圧信号が増幅器14に入力される回路と、合流している。つまり、第1容量素子13には、増幅器14が出力して第2容量素子16を通過した電圧信号と、多重帰還増幅部12で変換された電圧信号と、が入力される。第1容量素子13は、これらの2つの電圧信号の和の直流信号成分をカットして得られた信号を、増幅器14の反転入力端子に入力する。
【0044】
以上により、増幅器14が出力する電圧信号は、直流信号成分がカットされつつ、直流信号成分以外の信号成分が増幅された信号である。第1容量素子13及び第2容量素子16を含まない一般的な増幅回路では、直流信号成分も増幅されるため、増幅率を大きくすることは好ましくない。これに対し、本実施形態では第1容量素子13及び第2容量素子16で直流信号成分をカットしつつ増幅できるため、増幅率を大きくすることが許容される。具体的には、増幅率は、以下の式(1)で示される。
【数1】
/
ここで、C1は第1容量素子13の容量であり、C2は第2容量素子16の容量であり、Cpdはフォトダイオード100の容量であり、Rは抵抗素子15の抵抗値である。用いるフォトダイオード100に応じて、適切な仕様の第1容量素子13、抵抗素子15、第2容量素子16を用いることにより、要求される増幅率を実現できる。
【0045】
また、本実施形態の信号増幅装置1は、一般的なバンドパスフィルタの回路と一部共通する点があるが、一般的なバンドパスフィルタの処理対象は電圧信号である。つまり、一般的なバンドパスフィルタの回路では、フォトダイオード100の電流信号を処理できない。この点、本実施形態の信号増幅装置1は信号変換部11を備える。そのため、フォトダイオード100の電流信号を処理することができる。
【0046】
また、本明細書では、増幅器14の非反転入力端子(電圧信号が入力されない側の端子)に接続される電圧、又は、フォトダイオード100のアノード側に接続される電圧を基準電圧と称する。一般的な回路では、光が入力されていないときのフォトダイオード100のカソード電圧は、基準電圧に一致させることが多い。また、本実施形態では、光が入力されていないときのフォトダイオード100のカソード電圧は、信号変換部11の接続先の電圧(Vref)に一致する。つまり、一般的には、Vrefを基準電圧(本実施形態ではグランド)に一致させることが多い。この点、本実施形態では、Vrefを基準電圧とは異ならせている。詳細には、Vrefは、基準電圧より電圧が高い。これにより、光が入力されていないときにおいて、フォトダイオード100に逆バイアスが掛かる。また、フォトダイオード100の接合容量は、印加される電圧に依存する。そのため、本実施形態のようにVrefを決定することにより、フォトダイオード100の接合容量を小さくすることができる。
【0047】
次に、図2及び図3を参照して、上記実施形態の第1変形例及び第2変形例を説明する。図2は、第1変形例及び第2変形例の信号増幅装置1の回路図である。図3は、第1変形例及び第2変形例の合成抵抗の変化を示すグラフである。なお、以後の各変形例の説明においては、上記実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。また、以後の各変形例の回路図では、多重帰還増幅部12を示す矩形の鎖線の表記を省略する。
【0048】
第1変形例及び第2変形例の信号増幅装置1は、抵抗調整素子を備える点において、上記実施形態の信号増幅装置1とは異なる。以下、抵抗調整素子の機能及び構成について説明する。初めに、多重帰還増幅部12のフィルタとしての選択度は以下の式(2)で記述できる。一般的に、選択度が高くなると、発振が生じ易いため好ましくない。
【数2】
/
ここで、Raは信号変換部11の抵抗値である。
【0049】
また、フォトダイオード100に非常に強い光が入力された場合、フォトダイオード100のカソード電圧が低くなり、グランドよりも低くなることがある。その結果、フォトダイオード100が一般的なダイオードと同様に動作することがある。この場合、フォトダイオード100の等価抵抗の抵抗値は、以下の式(3)で記述できる。
【数3】
/
ここで、rが等価抵抗の抵抗値であり、Vtが熱電圧であり、Iが電流値である。
【0050】
従って、強い光が入力された場合、フォトダイオード100の等価抵抗の抵抗値は信号変換部11の抵抗値よりも小さくなる。また、フォトダイオード100の等価抵抗は信号変換部11と並列に配置されているため、フォトダイオード100の等価抵抗の抵抗値が信号変換部11の抵抗値よりも小さくなる場合、合成抵抗は、信号変換部11の抵抗値よりも小さくなる。その結果、式(2)で記述されるRaが小さくなるため、選択度が高くなり、発振が生じ易くなる。
【0051】
抵抗調整素子は、所定の条件下で抵抗素子15との合成抵抗を下降させる。これにより、式(2)で記述されるRが小さくなった場合と同等の回路構成になるため、選択度を低くすることができる。そのため、発振を生じにくくすることができる。
【0052】
図2(a)に示すように、第1変形例の抵抗調整素子は、抵抗素子15と並列に配置されたアナログスイッチ21である。抵抗素子15とアナログスイッチ21の内部抵抗との合成抵抗は、抵抗素子15の抵抗値よりも低い。つまり、アナログスイッチ21を閉じることにより、選択度を低くすることができる。
【0053】
アナログスイッチ21は、以下のように制御される。即ち、強い光が入力された場合、フォトダイオード100のカソード電圧が低下する。そのため、フォトダイオード100のカソード電圧が閾値より低くなった場合にアナログスイッチ21を閉じることが好ましい。具体的には、フォトダイオード100のカソード電圧を測定する電圧計を配置し、電圧計が計測する電圧値が閾値より低くなった場合に、アナログスイッチ21を閉じるようにアナログスイッチ21に指令を送信することで、上記構成が実現できる。図3(a)のグラフは、カソード電圧が閾値より低くなったときに合成抵抗が低下することを示している。
【0054】
図2(b)に示すように、第2変形例の抵抗調整素子は、抵抗素子15と並列に配置されたMOSFET22である。図にはPMOSが示されているが、NMOSであってもよい。MOSFET22のゲートは、フォトダイオード100のカソード側に接続されている。従って、カソード電圧が低くなるに連れて、MOSFET22のON抵抗が徐々に変化する。そのため、図3(b)に示すように、合成抵抗も離散的ではなく連続的に(徐々に)変化する。その結果、抵抗値の急変に伴う電圧信号のオーバーシュート又はアンダーシュートが生じにくい。
【0055】
次に、図4及び図5を参照して、上記実施形態の第3変形例及び第4変形例を説明する。図4は、第3変形例及び第4変形例の信号増幅装置1の回路図である。図5は、第3変形例及び第4変形例の光入力、カソード電圧、及び時間の変化傾向を示すグラフである。
【0056】
第3変形例及び第4変形例の信号増幅装置1は、調整回路を備える点において、上記実施形態の信号増幅装置1とは異なる。以下、調整回路の機能及び構成について説明する。
【0057】
図5(a)に示すように、フォトダイオード100に入力される光が強くなるに連れて、フォトダイオード100のカソード電圧は低くなる。また、フォトダイオード100のカソード電圧がグランドよりも低くなった場合、ダイオード電流が光電流(電流信号)とは逆方向に流れる。また、カソード電圧の下限値は、フォトダイオード100の順方向電圧(図に示す-VF)である。ここで、強い光がフォトダイオード100に入力されてカソード電圧が下限値に到達した状態で光が急に入力されなくなった場合、図5(a)に示すように、カソード電圧が上昇して元のVrefに戻るには時間が掛かる。そのため、カソード電圧がVrefに戻る前に新たに光が入力された場合、次の光を適切に検出できない可能性がある。
【0058】
図5(b)に示すように、第3変形例及び第4変形例の調整回路は、フォトダイオード100のカソード電圧の低下の下限値をフォトダイオード100の順方向電圧(-VF)から、所定の調整値まで上昇させるための回路である。調整値は、正電圧であることが好ましいが、フォトダイオード100の順方向電圧より大きい値であれば負電圧であってもよい。
【0059】
図4(a)に示すように、第3変形例の調整回路は、ダイオード31を備える。ダイオード31のカソード側はフォトダイオード100(あるいは多重帰還増幅部12)に接続されている。ダイオード31のアノード側は所定の電圧(Va)に接続されている。ダイオード31のアノード側の電圧は、例えば、フォトダイオード100の順方向電圧よりも大きいこと(あるいはグランドよりも大きいこと)が好ましい。
【0060】
この構成により、フォトダイオード100のカソード電圧が低くなってダイオード31が動作するようになった場合において、フォトダイオード100のカソード電圧がダイオード31のアノード側の電圧に接続される。その結果、フォトダイオード100のカソード電圧の下限値を調整値まで上昇させることができる。
【0061】
図4(b)に示すように、第4変形例の調整回路は、MOSFET32を備える。MOSFET32はNMOSであるがPMOSであってもよい。MOSFET32のゲートには所定の電圧(Vb)が供給されている。MOSFET32のソースはフォトダイオード100のカソード側に接続される。MOSFET32のドレインは、所定の電圧(Vdd)に接続されている。
【0062】
この構成により、フォトダイオード100のカソード電圧が低くなって、MOSFET32のゲートとソースの電圧差が大きくなることで、ドレインからソースに電流が流れる。その結果、フォトダイオード100のカソード電圧の下限値を調整値まで上昇させることができる。
【0063】
次に、図6を参照して、第5変形例及び第6変形例について説明する。図6は、第5変形例及び第6変形例の信号増幅装置1の回路図である。第5変形例及び第6変形例の信号増幅装置1は、抵抗調整素子と調整回路の両方を備える点において、上記実施形態の信号増幅装置1とは異なる。
【0064】
第5変形例の信号増幅装置1は、抵抗調整素子としてアナログスイッチ21を備える。第5変形例のアナログスイッチ21は、第1変形例のアナログスイッチ21と同じ構成及び機能である。第5変形例の信号増幅装置1は、調整回路としてダイオード31を備える。第5変形例のダイオード31は、第3変形例のダイオード31と同じ構成及び機能である。
【0065】
また、第5変形例の信号増幅装置1は、アナログスイッチ21に直列に第3容量素子41が配置されている点において、第1変形例の信号増幅装置1とは異なる。第3容量素子41は、電荷を蓄えることができるキャパシタである。第3容量素子41を配置することにより、ダイオード31が動作してダイオード電流が流れた場合に回路を安定させることができる。そのため、第5変形例では、ダイオードが動作するタイミングでアナログスイッチ21を閉じる指令を送信することが好ましい。
【0066】
第6変形例の信号増幅装置1は、抵抗調整素子としてMOSFET22を備える。第6変形例のMOSFET22は、第2変形例のMOSFET22と同じ構成及び機能である。第6変形例の信号増幅装置1は、調整回路としてダイオード31を備える。第6変形例のダイオード31は、第3変形例のダイオード31と同じ構成及び機能である。また、第6変形例の信号増幅装置1は、MOSFET22に直列に第3容量素子41が配置されている。第6変形例の第3容量素子41は、第5変形例の第3容量素子41と同じ構成及び機能である。
【0067】
次に、図7を参照して、第7変形例及び第8変形例について説明する。図7は、第7変形例及び第8変形例の信号増幅装置1の回路図である。
【0068】
第7変形例及び第8変形例の信号増幅装置1は、調整回路がMOSFET32を備える点において、それぞれ、第5変形例及び第6変形例とは異なる。第7変形例及び第8変形例のMOSFET32の構成及び機能は、第4変形例のMOSFET32と同じ構成及び機能である。
【0069】
次に、図8を参照して、第9変形例及び第10変形例について説明する。図8は、第9変形例及び第10変形例の信号増幅装置1の回路図である。
【0070】
第9変形例及び第10変形例の信号増幅装置1は、比較器51を備える点において、それぞれ、第6変形例及び第8変形例とは異なる。第6変形例及び第8変形例では、フォトダイオード100のカソード電圧がMOSFET22に供給される。そのため、第3容量素子41が有効になるタイミングの設計の自由度が低い。
【0071】
これに対し、比較器51は、フォトダイオード100のカソード電圧と、所定の参照電圧(Vc)と、に接続されている。比較器51は、フォトダイオード100のカソード電圧と、参照電圧と、を比較して、その差分の電圧をMOSFET22に供給する。従って、参照電圧の電圧値を異ならせることにより、第3容量素子41が有効になるタイミングを異ならせることができる。つまり、第3容量素子41が有効になるタイミングの設計の自由度を向上できる。
【0072】
次に、図9を参照して、第11変形例について説明する。図9は、第11変形例の信号増幅装置1の回路図である。
【0073】
第11変形例の信号増幅装置1は、抵抗素子15の代わりにT型帰還回路60を備える点において、上記実施形態とは異なる。
【0074】
T型帰還回路60は、第1抵抗素子61と、第2抵抗素子62と、第3抵抗素子63と、を備える。第1抵抗素子61と第2抵抗素子62は、上述した帰還回路に並べて直列に配置されている。第3抵抗素子63は、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62の間の回路と、グランド(基準電圧)と、を接続するように配置される。T型帰還回路自体は公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0075】
上記実施形態の増幅率は、式(1)で示した通りである。増幅率を高くするためには、第1容量素子13の容量又は抵抗素子15の抵抗値を大きくする必要がある。その場合、僅かながら回路面積が増大する。この点、T型帰還回路60を用いることにより、以下の理由により、回路面積の増大を更に抑制できる。即ち、T型帰還回路60を用いる場合の増幅率は、以下の式(4)で示される。
【数4】
/
式(4)に示されるように、第3抵抗素子63の抵抗値を小さくすることにより、増幅率を高くすることができる。そのため、回路面積の増大を更に抑制しつつ、高い増幅率を実現できる。
【0076】
次に、図10を参照して、第12変形例について説明する。図10は、第12変形例の信号増幅装置1の回路図である。
【0077】
第12変形例の信号増幅装置1は、抵抗調整素子及び調整回路を備える点において、第11変形例の信号増幅装置1とは異なる。抵抗調整素子は、第1抵抗素子61及び第2抵抗素子62の両方と並列になるように、配置される。抵抗調整素子としては、他の変形例で示したアナログスイッチ21又はMOSFET22を用いることができる。また、抵抗調整素子に加えて、他の変形例で示した第3容量素子41を配置してもよい。調整回路としては、他の変形例で示したダイオード31又はMOSFET32を用いることができる。また、他の変形例で示した比較器51を更に設けてもよい。
【0078】
次に、図11を参照して、第13変形例について説明する。図11は、第13変形例の信号増幅装置1の回路図である。
【0079】
第13変形例の信号増幅装置1は、抵抗調整素子が配置される位置において、第12変形例の信号増幅装置1とは異なる。第13変形例の抵抗調整素子は、第2抵抗素子62のみと並列になるように配置される(即ち、第1抵抗素子61と平行になるように配置されない)。また、この構成に代えて、抵抗調整素子が、第1抵抗素子61のみと並列になるように配置されてもよい(即ち、第2抵抗素子62と平行になるように配置されない)。このように抵抗調整素子を配置しても第12変形例と同様の効果を発揮できる。
【0080】
以上に説明したように、上記実施形態及び各変形例の信号増幅装置1は、信号変換部11と、多重帰還増幅部12と、を備える。信号変換部11は、電流信号を電圧信号に変換する。多重帰還増幅部12は、信号変換部11の下流に接続されており、電圧信号を第1容量素子13を介して増幅器14に入力するとともに、増幅器14の出力を抵抗素子15を介して増幅器14に帰還させるとともに、増幅器14の出力を第2容量素子16及び第1容量素子13を介して増幅器14に帰還させることにより、電圧信号の直流信号成分をカットしつつ電圧信号を増幅する。
【0081】
電流信号を増幅して、直流成分の除去後に再び増幅する構成と比較して、回路規模を小さくできるので、装置の小型化及び消費電力の低減が実現できる。また、信号を増幅させる回数を減らすことができるので、ノイズの低減が実現できる。
【0082】
上記実施形態及び各変形例の信号増幅装置1において、信号変換部11は、フォトダイオード100が出力する電流信号を電圧信号に変換する。
【0083】
フォトダイオード100の下流に配置される増幅及び直流信号成分のカットに関する回路規模を小さくできる。
【0084】
上記実施形態及び各変形例の信号増幅装置1は、抵抗素子15に並列に配置される抵抗調整素子を備える。抵抗調整素子は、フォトダイオード100のカソード電圧が小さくなったと判定された場合に、抵抗素子15と抵抗調整素子の合成抵抗を下降させる。
【0085】
強い光がフォトダイオードに照射された場合等では、フォトダイオードのカソード電圧が小さくなることに起因して、発振が発生し易い。この点、抵抗調整素子を備えることにより、フォトダイオードのカソード電圧が高くなるため、発振の発生を抑制できる。
【0086】
上記実施形態及び各変形例の信号増幅装置1において、抵抗調整素子は、抵抗素子15に並列に配置されるアナログスイッチ21である。アナログスイッチ21は、フォトダイオード100のカソード電圧が小さくなったと判定された場合に、アナログスイッチ21を閉じることで、抵抗素子15とアナログスイッチ21の合成抵抗を下降させる。
【0087】
簡単な回路構成で必要に応じて合成抵抗を下降させることができる。
【0088】
上記実施形態及び各変形例の信号増幅装置1において、抵抗調整素子は、フォトダイオード100のカソード電圧が小さくなるに連れて、抵抗素子15と抵抗調整素子の合成抵抗が徐々に下降する。
【0089】
これにより、合成抵抗が急に下降しないので、出力される電圧信号の電圧値のオーバーシュート又はアンダーシュートを抑制できる。
【0090】
上記実施形態及び各変形例の信号増幅装置1において、抵抗調整素子は、抵抗素子15に並列に配置されるMOSFET22である。フォトダイオード100のカソード電圧がゲート電圧としてMOSFET22に印加されており、フォトダイオード100のカソード電圧の低下に応じて、抵抗素子15とMOSFET22の合成抵抗が徐々に下降する。
【0091】
これにより、簡単な回路構成で必要に応じて合成抵抗を徐々に下降させることができる。
【0092】
上記実施形態及び各変形例の信号増幅装置1において、増幅器14には、電圧信号と、基準電圧と、が入力されている。フォトダイオード100のカソード電圧と、基準電圧と、が異なる値である。
【0093】
これにより、基準電圧とは異なる適切なカソード電圧を選択できる。
【0094】
上記実施形態及び各変形例の信号増幅装置1において、フォトダイオード100のカソード電圧は、フォトダイオード100に逆バイアスが掛かる電圧である。
【0095】
これにより、フォトダイオード100の接合容量を小さくすることができる。
【0096】
上記実施形態及び各変形例の信号増幅装置1において、フォトダイオード100への光の照射に伴う、フォトダイオード100のカソード電圧の低下の下限値をフォトダイオード100の順方向電圧から、調整値まで上昇させる調整回路を備える。
【0097】
これにより、強い光が入力された場合のフォトダイオード100のカソード電圧の低下を小さくすることができるので、強い光が入力されなくなった場合のフォトダイオードの復帰時間を短縮できる。
【0098】
上記実施形態及び各変形例の信号増幅装置1において、調整回路は、ダイオード31を備える。ダイオード31は、光入力がゼロのときのフォトダイオード100のカソード電圧の下限値よりも高い電圧に接続されている。ダイオード31は、フォトダイオード100のカソード側に接続される。
【0099】
これにより、ダイオード31を用いて、カソード電圧の下限値の低下量を抑えることができる。
【0100】
上記実施形態及び各変形例の信号増幅装置1において、調整回路は、MOSFET32を備える。MOSFET32には、光入力がゼロのときのフォトダイオード100のカソード電圧の下限値よりも高いゲート電圧が供給される。
【0101】
これにより、MOSFET32を用いて、カソード電圧の下限値の低下量を抑えることができる。
【0102】
上記実施形態及び各変形例の信号増幅装置1は、抵抗素子15に並列に配置される抵抗調整素子を備える。抵抗調整素子は、フォトダイオード100のカソード電圧が小さくなったと判定された場合に、抵抗素子15と抵抗調整素子の合成抵抗を下降させる。
【0103】
これにより、強い光がフォトダイオード100に照射された場合における、発振の抑制と、復帰時間の短縮と、を両立することができる。
【0104】
上記実施形態及び各変形例の信号増幅装置1において、多重帰還増幅部12は、増幅器14の出力を、抵抗素子15を含むT型帰還回路60を介して増幅器14に帰還させる。
【0105】
これにより、回路規模の増大を抑えつつ、増幅率を高くすることができる。
【0106】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0107】
上記実施形態及び各変形例で示した信号増幅装置1の回路は一例であり、信号増幅装置1の回路の少なくとも一部を、等価な回路又は同じ機能を有する回路に置き換えてもよい。また、上記実施形態及び各変形例の特徴を組み合わせてもよい。
【0108】
上記実施形態及び各変形例では、Vrefの電圧値はグランドとは異なる値であるが、Vrefの電圧値をグランドに一致させてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 信号増幅装置
11 信号変換部
12 多重帰還増幅部
13 第1容量素子
14 増幅器
15 抵抗素子
16 第2容量素子
100 フォトダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11