(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076420
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】検査装置及びブリスタ包装機
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20240530BHJP
G01B 11/06 20060101ALI20240530BHJP
G01N 21/85 20060101ALN20240530BHJP
【FI】
G01N21/90 Z
G01B11/06 H
G01N21/85 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187898
(22)【出願日】2022-11-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】田口 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】今泉 汐理
(72)【発明者】
【氏名】小田 将蔵
(72)【発明者】
【氏名】神戸 聡
【テーマコード(参考)】
2F065
2G051
【Fターム(参考)】
2F065AA30
2F065BB22
2F065FF04
2F065GG23
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065MM02
2F065PP16
2F065QQ31
2F065RR05
2F065SS04
2G051AA02
2G051AA11
2G051AB04
2G051BA08
2G051BB03
2G051EB01
(57)【要約】
【課題】1台の撮像手段によって、孔部の有無と容器フィルム厚さに係る良否とをより確実に区別して検出すること等が可能な検査装置等を提供する。
【解決手段】検査装置21は、容器フィルムを透過した光を撮像して輝度画像データを得ることが可能な1台のカメラ52と、輝度画像データに基づき、容器フィルム3に係る良否を判定する画像処理装置53とを備える。照明装置51は、容器フィルムに対し、容器フィルムの厚さに応じてカメラ52側への光の透過率が変動する波長λ0の光と、波長λ0よりも低波長であって容器フィルムを透過しない波長λ1の光とを一度に照射する。画像処理装置53は、輝度画像データにおいて、輝度L1よりも高輝度の領域を孔部と判定し、輝度画像データにおける輝度L1以下の領域において、該領域の輝度に基づき、容器フィルムの厚さに係る良否を判定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されるポケット部を備えた樹脂製の容器フィルムに対する検査を行うための検査装置であって、
前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記照射手段とは前記容器フィルムを介して反対側に設けられ、前記照射手段により照射されて前記容器フィルムを透過した光を撮像して輝度画像データを得ることが可能な1台の撮像手段と、
前記撮像手段により得られた輝度画像データに基づき、前記容器フィルムに係る良否を判定する判定手段とを備え、
前記照射手段は、前記容器フィルムに対し、前記容器フィルムの厚さに応じて前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ0の光と、波長λ0よりも低波長であって前記容器フィルムを透過しない波長λ1の光とを一度に照射するように構成され、
前記撮像手段は、少なくとも波長λ0の光及び波長λ1の光を撮像可能に構成され、
前記判定手段は、
前記撮像手段により得られた輝度画像データにおいて、所定の輝度L1よりも高輝度の領域を孔部と判定する孔部判定手段と、
前記輝度画像データにおける輝度L1以下の領域において、該領域の輝度に基づき、前記容器フィルムの厚さに係る良否を判定する厚さ判定手段とを有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記照射手段は、前記容器フィルムに対し、波長λ0の光及び波長λ1の光とともに、波長λ0よりも高波長であって前記容器フィルムを完全に透過する波長λ2の光を一度に照射するように構成され、
前記撮像手段は、少なくとも波長λ0の光、波長λ1の光及び波長λ2の光を撮像可能に構成され、
前記判定手段は、前記輝度画像データにおいて、所定の輝度L4よりも低輝度の領域を異物と判定する異物判定手段を有し、
前記厚さ判定手段は、前記輝度画像データにおける輝度L4以上輝度L1以下の領域において、該領域の輝度に基づき、前記容器フィルムの厚さに係る良否を判定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記容器フィルムは、前記ポケット部の開口周縁に位置し、前記ポケット部よりも厚肉で平坦状のフランジ部を有し、
前記照射手段は、波長λ0の光として、前記ポケット部の厚さに応じて前記ポケット部における前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ01の光と、波長λ01よりも高波長であって、前記フランジ部の厚さに応じて前記フランジ部における前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ02の光とを照射するように構成され、
前記厚さ判定手段は、
前記輝度画像データにおける前記ポケット部に対応する領域の輝度に基づき、前記ポケット部の厚さに係る良否を判定するポケット部厚さ判定手段と、
前記輝度画像データにおける前記フランジ部に対応する領域の輝度に基づき、前記フランジ部の厚さに係る良否を判定するフランジ部厚さ判定手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の検査装置を備え、
前記容器フィルムに形成された前記ポケット部に対し内容物が収容された状態で、該ポケット部を塞ぐように該容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するブリスタ包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製の容器フィルムの検査を行うための検査装置、及び、該検査装置を備えたブリスタ包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に医薬品等の分野において用いられるブリスタシートとしてPTP(プレススルーパック)シートが知られている。PTPシートは、錠剤などの内容物が収容されるポケット部を有する樹脂製の容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとを備えている。
【0003】
上記のようなブリスタシートは、ブリスタ包装機によって製造することができる。ブリスタ包装機は、搬送される帯状の容器フィルムに対しポケット部を形成する手段、ポケット部に内容物を充填する手段、ポケット部の開口側を密封するように容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムを取着する手段、容器フィルム及びカバーフィルムからなる帯状のブリスタフィルムをシート単位に打ち抜く手段等を備えている。
【0004】
ところで、ブリスタシートの製造を進めていくうちに、容器フィルムにおける各部の厚さのバランスが意図せず崩れてしまうことがある。
【0005】
そこで、容器フィルムの厚さに係る良否を判定するための検査装置として、ポケット部に対し所定の光を照射する照射手段と、ポケット部を透過した光に基づく透過画像データを得る撮像手段とを備え、該透過画像データに基づき、容器フィルムの厚さに係る良否を判定するものが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。この検査装置において、透過画像データは、容器フィルムにおける光の透過率に応じて各部で輝度が異なる輝度画像データである。この輝度画像データにおける各部の輝度を利用することで、容器フィルムの各部の厚さが算出され、算出された厚さに基づき良否判定が行われる。
【0006】
また、容器フィルムには、孔部(ピンホールと呼ばれる比較的小さな孔や、比較的大きな孔、破れなど)が生じることがあり、孔部がポケット部にある場合には、内容物のシール性が損なわれることになる。
【0007】
そこで、ポケット部に充填された内容物を利用して、ポケット部における孔部の有無を検出する検査装置が提案されている(例えば、特許文献2等参照)。この検査装置は、容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、容器フィルムを介して照射手段とは反対側に設けられた撮像手段とを備えており、撮像手段は、容器フィルムを透過して内容物を反射した光を撮像可能とされている。そして、撮像手段により得られた画像データに基づいて内容物の表面の明暗を判別することにより、孔部の有無を検出することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-31302号公報
【特許文献2】特開2009-36522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、孔部(ピンホール等)は、内容物のシール性を損なうという点で重大な欠陥である。そのため、良否の選別や不良発生に対する対策の上でも、孔部の有無を、容器フィルムの厚さに係る良否とは区別して検出することが求められる。
【0010】
この点、単純に考えると、上記特許文献1に係る検査装置のように輝度画像データを利用すれば、孔部の有無と、容器フィルムの厚さに係る良否とを区別して検出することが可能になるとも考えられる。
【0011】
しかしながら、例えば、ポケット部の底部など、容器フィルムにおける十分に薄い部位は、光の透過率が100%に近いものとなり得る。従って、輝度画像データにおいて、光の透過率が100%となる孔部と、容器フィルムにおける十分に薄い部位とを区別することは難しい。そのため、単に輝度画像データを利用しただけでは、孔部の有無と、容器フィルムの厚さに係る良否とを区別して検出することができないおそれがある。
【0012】
そこで、容器フィルムの厚さに係る良否を判定するための検査装置(例えば特許文献1に係る検査装置)と、孔部の有無を検出する検査装置(例えば特許文献2に係る検査装置)との双方を設けることが考えられる。しかしながら、この場合には、少なくとも撮像手段を複数設ける必要があり、装置の大型化や、製造・メンテナンス等に係るコストの増大を招くおそれがある。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、1台の撮像手段によって、孔部の有無と容器フィルム厚さに係る良否とをより確実に区別して検出することができ、装置の小型化や製造等に係るコストの低減を図ることができる検査装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0015】
手段1.内容物が収容されるポケット部を備えた樹脂製の容器フィルムに対する検査を行うための検査装置であって、
前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記照射手段とは前記容器フィルムを介して反対側に設けられ、前記照射手段により照射されて前記容器フィルムを透過した光を撮像して輝度画像データを得ることが可能な1台の撮像手段と、
前記撮像手段により得られた輝度画像データに基づき、前記容器フィルムに係る良否を判定する判定手段とを備え、
前記照射手段は、前記容器フィルムに対し、前記容器フィルムの厚さに応じて前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ0の光と、波長λ0よりも低波長であって前記容器フィルムを透過しない波長λ1の光とを一度に照射するように構成され、
前記撮像手段は、少なくとも波長λ0の光及び波長λ1の光を撮像可能に構成され、
前記判定手段は、
前記撮像手段により得られた輝度画像データにおいて、所定の輝度L1よりも高輝度の領域を孔部と判定する孔部判定手段と、
前記輝度画像データにおける輝度L1以下の領域において、該領域の輝度に基づき、前記容器フィルムの厚さに係る良否を判定する厚さ判定手段とを有することを特徴とする検査装置。
【0016】
上記手段1によれば、照射手段は、容器フィルムに対し、容器フィルムの厚さに応じて撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ0の光と、波長λ0よりも低波長であって容器フィルムを透過しない波長λ1の光とを一度に照射する。そして、撮像手段は、これら光を撮像することで輝度画像データを得る。
【0017】
ここで、容器フィルムにおける孔部(ピンホール等)のある部位については、波長λ0の光及び波長λ1の光の双方が透過するため、輝度画像データにおける輝度が比較的大きなものとなる。一方、容器フィルムにおける薄肉部位(ポケット部の底部など)については、波長λ1の光は透過せず、波長λ0の光が該部位の厚さに応じた分だけ透過するため、輝度画像データにおける輝度は比較的小さなものとなる。従って、輝度画像データにおいて、孔部の輝度と、容器フィルムにおける薄肉部位の輝度との差を比較的大きなものとすることができる。
【0018】
その結果、孔部判定手段によって、容器フィルムにおける薄肉部位とは十分に区別する形で、孔部の有無を判定することができる。また、厚さ判定手段によって、孔部とは十分に区別する形で、容器フィルムの厚さに係る良否を判定することができる。これにより、孔部の有無と、容器フィルムの厚さに係る良否とをより確実に区別して検出することができる。
【0019】
また、撮像手段が1台で足りるため、装置の小型化や製造等に係るコストの低減を図ることができる。
【0020】
手段2.前記照射手段は、前記容器フィルムに対し、波長λ0の光及び波長λ1の光とともに、波長λ0よりも高波長であって前記容器フィルムを完全に透過する波長λ2の光を一度に照射するように構成され、
前記撮像手段は、少なくとも波長λ0の光、波長λ1の光及び波長λ2の光を撮像可能に構成され、
前記判定手段は、前記輝度画像データにおいて、所定の輝度L4よりも低輝度の領域を異物と判定する異物判定手段を有し、
前記厚さ判定手段は、前記輝度画像データにおける輝度L4以上輝度L1以下の領域において、該領域の輝度に基づき、前記容器フィルムの厚さに係る良否を判定するように構成されていることを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0021】
容器フィルムに対し、何らかの異物が付着するといったことが生じ得る。ここで、異物の有無は、内容物が薬品や食品などである場合には、衛生上における重大な欠陥となる。そのため、良否の選別や不良発生に対する対策の上でも、異物の有無を、容器フィルムの厚さに係る良否とは区別して検出することが求められる。
【0022】
この点、上記手段2によれば、照射手段は、容器フィルムに対し、波長λ0の光及び波長λ1の光とともに、波長λ0よりも高波長であって容器フィルムを完全に透過する波長λ2の光を一度に照射する。そして、撮像手段は、これら光を撮像することで輝度画像データを得る。
【0023】
ここで、容器フィルムにおける異物(遮光異物)の付着した部位については、波長λ0,λ1,λ2の各光が全く又はほとんど透過しないため、輝度画像データにおける輝度が非常に小さなものとなる。一方、容器フィルムにおける厚肉部位(後述する手段3のフランジ部など)については、少なくとも波長λ2の光が透過するため、輝度画像データにおける輝度は比較的大きなものとなる。従って、輝度画像データにおいて、異物の輝度と、容器フィルムにおける厚肉部位の輝度との差を比較的大きなものとすることができる。
【0024】
その結果、異物判定手段によって、容器フィルムにおける厚肉部位とは十分に区別する形で、異物の有無を判定することができる。また、厚さ判定手段によって、異物とは十分に区別する形で、容器フィルムの厚さに係る良否を判定することができる。これにより、異物の有無と、容器フィルムの厚さに係る良否とをより確実に区別して検出することができる。
【0025】
手段3.前記容器フィルムは、前記ポケット部の開口周縁に位置し、前記ポケット部よりも厚肉で平坦状のフランジ部を有し、
前記照射手段は、波長λ0の光として、前記ポケット部の厚さに応じて前記ポケット部における前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ01の光と、波長λ01よりも高波長であって、前記フランジ部の厚さに応じて前記フランジ部における前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ02の光とを照射するように構成され、
前記厚さ判定手段は、
前記輝度画像データにおける前記ポケット部に対応する領域の輝度に基づき、前記ポケット部の厚さに係る良否を判定するポケット部厚さ判定手段と、
前記輝度画像データにおける前記フランジ部に対応する領域の輝度に基づき、前記フランジ部の厚さに係る良否を判定するフランジ部厚さ判定手段とを備えることを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0026】
上記手段3によれば、照射手段は、波長λ0の光として、ポケット部の厚さに応じてポケット部における光の透過率が変動する波長λ01の光と、波長λ01よりも高波長であって、フランジ部の厚さに応じてフランジ部における光の透過率が変動する波長λ02の光とを照射する。そして、撮像手段は、これら光を撮像することで輝度画像データを得る。
【0027】
ここで、ポケット部については、波長λ01の光がポケット部の厚さに応じた分だけ透過するととともに、波長λ01よりも高波長の波長λ02の光が透過するため、輝度画像データにおける輝度は比較的大きなものとなる。一方、フランジ部については、波長λ02の光がフランジ部の厚さに応じた分だけ透過するものの、波長λ02よりも低波長の波長λ01の光が透過しにくいため、輝度画像データにおける輝度は比較的小さなものとなる。従って、輝度画像データにおいて、ポケット部の輝度とフランジ部の輝度との差を比較的大きなものとすることができる。
【0028】
その結果、ポケット部厚さ判定手段によって、フランジ部とは十分に区別する形で、ポケット部の厚さに係る良否を判定することができる。また、フランジ部厚さ判定手段によって、ポケット部とは十分に区別する形で、フランジ部の厚さに係る良否を判定することができる。これにより、ポケット部及びフランジ部の各厚さに係る良否判定の精度を高めることができる。
【0029】
手段4.手段1に記載の検査装置を備え、
前記容器フィルムに形成された前記ポケット部に対し内容物が収容された状態で、該ポケット部を塞ぐように該容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するブリスタ包装機。
【0030】
上記手段4によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0031】
尚、上記各手段に係る技術事項を適宜組み合わせてもよい。例えば、上記手段2に係る技術事項に対し、上記手段3に係る技術事項を組み合わせてもよい。また、例えば、上記手段4に係る技術事項に対し、上記手段2及び3のうちの少なくとも一方に係る技術事項を組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図4】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
【
図5】検査装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図6】照明装置などの概略構成を示す模式図である。
【
図7】容器フィルムの厚さをT1,T2,T3,T4としたときにおける、照射される光の波長及び容器フィルムの透過率の関係と、光源から照射される光の波長λ0,λ1,λ2とを示すグラフである。
【
図8】ポケット部、フランジ部、異物及び孔部に係る受光量を説明するための表図である。
【
図10】別の実施形態において、照明装置などの概略構成を示す模式図である。
【
図11】別の実施形態において、容器フィルムの厚さをT1,T2,T3,T4としたときにおける、照射される光の波長及び容器フィルムの透過率の関係と、光源から照射される光の波長λ0,λ1とを示すグラフである。
【
図12】別の実施形態において、フランジ部、ポケット部及び孔部に係る受光量を説明するための表図である。
【
図13】別の実施形態において、照明装置などの概略構成を示す模式図である。
【
図14】別の実施形態において、容器フィルムの厚さをT1,T2,T3,T4としたときにおける、照射される光の波長及び容器フィルムの透過率の関係と、光源から照射される光の波長λ01,λ02,λ1,λ2とを示すグラフである。
【
図15】別の実施形態において、フランジ部、ポケット部、異物及び孔部に係る受光量を説明するための表図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、「ブリスタシート」としてのPTPシートの構成について説明する。
【0034】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0035】
容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。容器フィルム3の厚さは、比較的小さなもの(例えば、120μm以上300μm以下)である。
【0036】
また、容器フィルム3は、ポケット部2の開口側端部から外側に延出形成されており、カバーフィルム4の取着対象となる平坦状のフランジ部3aを有している。フランジ部3aは、ポケット部2よりも厚肉となっている。
【0037】
一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。
【0038】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された、「ブリスタフィルム」としての帯状のPTPフィルム6(
図3参照)がシート状に打抜かれることによって製造されるものであり、平面視略矩形状に形成されている。
【0039】
PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、「内容物」としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0040】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機10の概略構成について説明する。本実施形態では、PTP包装機10が「ブリスタ包装機」に相当する。
【0041】
図4に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0042】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0043】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0044】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、検査装置21、充填装置22及び充填後検査装置23が順に配設されている。
【0045】
検査装置21は、ポケット部2の形成後であってポケット部2に対する錠剤5の充填前に、容器フィルム3に対する検査を行う。検査装置21の詳細については後述する。
【0046】
充填装置22は、錠剤5をポケット部2に充填する機能を有する。充填後検査装置23は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に収容されているか、錠剤5に破損等の異常が生じていないか、などに関する検査を行う。
【0047】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。
【0048】
加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。
【0049】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0050】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
【0051】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。刻印装置34は、PTPフィルム6の所定位置に刻印を付す機能を有する。尚、
図1等では、切離用スリットや刻印の図示を省略している。
【0052】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く機能、つまりPTPフィルム6からPTPシート1を切離す機能を有する。
【0053】
シート打抜装置37によって得られたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。但し、検査装置21又は充填後検査装置23によって不良判定がなされた場合、この不良判定に係るPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0054】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断する。裁断された不要フィルム部42(スクラップ)はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0055】
次に、検査装置21について説明する。
図5及び
図6に示すように、検査装置21は、照明装置51、カメラ52及び画像処理装置53を備えている。本実施形態では、照明装置51が「照射手段」を構成し、カメラ52が「撮像手段」を構成し、画像処理装置53が「判定手段」を構成する。
【0056】
照明装置51は、容器フィルム3のポケット部2突出側に配置されている。照明装置51は、第一光源51a、第二光源51b、第三光源51c、第一ハーフミラー51d、第二ハーフミラー51e及び拡散板51fを有している。以下では、第一光源51a、第二光源51b及び第三光源51cを「光源51a~51c」と表記することがある。
【0057】
第一光源51aは、容器フィルム3に対し、容器フィルム3の厚さに応じてカメラ52側への光の透過率が変動する波長λ0(
図7参照)の光(本実施形態では紫外光)を照射する。
図7では、容器フィルム3の厚さをT1,T2,T3,T4(T1<T2<T3<T4)としたときにおける、容器フィルム3に照射される光の波長と容器フィルム3の透過率との関係などを示す。
【0058】
第二光源51bは、容器フィルム3に対し、波長λ0よりも低波長であって容器フィルム3を透過しない波長λ1(
図7参照)の光(本実施形態では紫外光)を照射する。
【0059】
第三光源51cは、容器フィルム3に対し、波長λ0よりも高波長であって容器フィルム3を完全に透過する波長λ2(
図7参照)の光(本実施形態では紫外光)を照射する。
【0060】
第一ハーフミラー51dは、第二光源51bから照射される光を容器フィルム3側に反射する一方、第一光源51aから照射される光を透過させる機能を有する。
【0061】
第二ハーフミラー51eは、第三光源51cから照射される光を容器フィルム3側に反射する一方、第一光源51a及び第二光源51bから照射される各光を透過させる機能を有する。
【0062】
拡散板51fは、光源51a~51cから出射された光を拡散させる。これにより、光源51a~51cから照射された各光が、容器フィルム3の下面全域に対し略均一に照射される。
【0063】
上記のように構成された照明装置51は、波長λ0の光、波長λ1の光及び波長λ2の光を、容器フィルム3に対し一度に照射する。尚、本実施形態における照明装置51は、波長λ2よりも高波長の光、及び、波長λ1よりも低波長の光を容器フィルム3に対し照射しないものである。
【0064】
カメラ52は、容器フィルム3のポケット部2開口側に配置されており、少なくとも紫外光に感度のあるカメラ(例えばCCDカメラやCMOSカメラ等)によって構成されている。尚、照明装置51及びカメラ52の各位置を入れ替えてもよい。カメラ52は、容器フィルム3を透過した波長λ0,λ1,λ2の各光を撮像する。カメラ52により得られる画像データは、各画素の輝度についての情報を有する輝度画像データである。
【0065】
ここで、得られる輝度画像データについて説明する。まず、容器フィルム3の厚さをT1,T2,T3,T4(T1<T2<T3<T4)としたとき、容器フィルム3に照射される光の波長と容器フィルム3の透過率との関係について、容器フィルム3の厚さが小さいほど低波長の光でも透過率が比較的大きなものになり、容器フィルム3の厚さが大きいほど高波長の光でも透過率が比較的小さなものになるという関係となる(
図7参照)。
【0066】
従って、
図8,9に示すように、容器フィルム3に孔部HBが生じている場合、孔部HBを波長λ0,λ1,λ2の各光が透過するため、カメラ52における孔部HBに係る受光量の合計は非常に大きなものとなり、輝度画像データにおける孔部HBの輝度も非常に大きなものとなる。尚、孔部HBとは、ピンホールと呼ばれる比較的小さな孔や、比較的大きな孔、破れなどをいう。
【0067】
一方、ポケット部2(特にポケット部2の底部)など、容器フィルム3における厚さがT2程度の薄肉部位では、波長λ2の光が完全に透過するとともに、波長λ0の光が透過しやすくなる一方、波長λ1の光は透過しない。従って、孔部HBに係る受光量の合計と比べて、カメラ52における前記薄肉部位(ポケット部2など)に係る受光量の合計は十分に小さなものとなる。そのため、輝度画像データにおける前記薄肉部位の輝度は、孔部HBの輝度と比べて、十分に小さなものとなる。
【0068】
また、容器フィルム3に異物IB(
図9参照)が付着している場合、異物IBでは波長λ0,λ1,λ2の各光がほとんど透過しないため、カメラ52における異物IBに係る受光量の合計は非常に小さなものとなり、輝度画像データにおける異物IBの輝度も非常に小さなものとなる。尚、異物IBとしては、波長がλ1以上λ2以下の光が透過しにくい遮光異物などを挙げることができる。
【0069】
一方、フランジ部3aなど、容器フィルム3における厚さがT3程度の厚肉部位では、波長λ0,λ2の各光が透過するため、異物IBに係る受光量の合計と比べて、カメラ52における前記厚肉部位(フランジ部3aなど)に係る受光量の合計は十分に大きなものとなる。そのため、輝度画像データにおける前記厚肉部位の輝度は、異物IBの輝度と比べて、十分に大きなものとなる。
【0070】
このように輝度画像データでは、孔部HBと容器フィルム3の薄肉部位(ポケット部2)との輝度差、及び、異物IBと容器フィルム3の厚肉部位(フランジ部3a)との輝度差がそれぞれ十分に大きなものとなる(
図9参照)。
【0071】
カメラ52により得られた輝度画像データは、カメラ52の内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で画像処理装置53(特に後述の画像取得部53e)に転送され記憶される。
【0072】
画像処理装置53は、所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、各種プログラムや固定値データ等を記憶するROM(Read Only Memory)、各種演算処理の実行に際して各種データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)及びこれらの周辺回路等を含んだコンピュータなどからなる。
【0073】
画像処理装置53は、
図5に示すように、CPUが各種プログラムに従って動作することで、後述するメイン制御部53a、照明制御部53b、カメラ制御部53c、表示制御部53d、画像取得部53e、判定部53fなどの各種機能部として機能する。
【0074】
但し、上記各種機能部は、上記CPU、ROM、RAMなどの各種ハードウェアが協働することで実現されるものであり、ハード的又はソフト的に実現される機能を明確に区別する必要はなく、これらの機能の一部又は全てがICなどのハードウェア回路により実現されてもよい。
【0075】
さらに、画像処理装置53には、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される入力部531、液晶ディスプレイ等で構成され、各種情報を表示可能な表示画面を備えた表示部532、各種データやプログラム、演算結果、検査結果等を記憶可能な記憶部533、外部と各種データを送受信可能な通信部534などが設けられている。
【0076】
まず、画像処理装置53を構成する上記各種機能部に先立って、表示部532、記憶部533及び通信部534について説明する。
【0077】
表示部532は、記憶部533に記憶された各種情報を表示可能に構成されている。従って、表示部532では、カメラ52により得られた輝度画像データや良否判定に用いられる輝度閾値(例えば、後述する輝度L1,L4など)、容器フィルム3の良否判定結果などを表示可能である。
【0078】
記憶部533は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成されており、例えば、輝度画像データや、容器フィルム3の良否判定結果を記憶する。また、記憶部533には、良否判定に用いられる輝度閾値である輝度L1,L4や、輝度画像データ中における容器フィルム3やポケット部2、フランジ部3aの占める領域を特定するための情報(領域特定用情報)なども記憶されている。
【0079】
通信部534は、例えば有線LAN(Local Area Network)や無線LAN等の通信規格に準じた無線通信インターフェースなどを備え、外部と各種データを送受信可能に構成されている。例えば判定部53fにより行われた良否判定結果などが通信部534を介して外部に出力される。
【0080】
次いで、画像処理装置53を構成する上記各種機能部についてより詳しく説明する。
【0081】
メイン制御部53aは、検査装置21全体の制御を司る機能部であり、照明制御部53bやカメラ制御部53cなど他の機能部と各種信号を送受信可能に構成されている。
【0082】
照明制御部53bは、メイン制御部53aからの指令信号に基づき、光源51a~51cを制御する機能部である。
【0083】
カメラ制御部53cは、カメラ52を制御する機能部であり、メイン制御部53aからの指令信号に基づき、カメラ52による撮像タイミングなどを制御する。
【0084】
表示制御部53dは、記憶部533に記憶された情報に基づき、表示部532における表示内容を制御する。
【0085】
画像取得部53eは、カメラ52により撮像され取得された輝度画像データを取り込むための機能部である。
【0086】
判定部53fは、カメラ52により得られた輝度画像データに基づき、容器フィルム3に係る良否を判定する機能部である。判定部53fは、孔部判定部53g、異物判定部53h及び厚さ判定部53jを備えている。
【0087】
孔部判定部53gは、カメラ52により得られた輝度画像データにおいて、輝度閾値である輝度L1よりも高輝度の領域を孔部HBと判定する。より詳しくは、孔部判定部53gは、記憶部533に記憶された前記領域特定用情報を用いて、輝度画像データの中から容器フィルム3が占める領域を特定するとともに、その領域内における輝度L1よりも高輝度の領域を特定する。その上で、孔部判定部53gは、その高輝度の領域の面積(画素数)が所定値以上である場合に、該高輝度の領域を孔部HBと判定する。尚、輝度L1は、例えば、カメラ52の受光量の「2.9」に相当するものとされる。
【0088】
異物判定部53hは、輝度画像データにおいて、輝度閾値である輝度L4よりも低輝度の領域を異物IBと判定する。より詳しくは、異物判定部53hは、前記領域特定用情報を用いて、輝度画像データの中から容器フィルム3が占める領域を特定するとともに、その領域内における輝度L4よりも低輝度の領域を特定する。その上で、異物判定部53hは、その低輝度の領域の面積(画素数)が所定値以上である場合に、該低輝度の領域を異物IBと判定する。尚、輝度L4は、例えば、カメラ52の受光量の「0.1」に相当するものとされる。
【0089】
厚さ判定部53jは、輝度画像データにおける輝度L4以上輝度L1以下の領域において、該領域の輝度に基づき、容器フィルム3の厚さに係る良否を判定する。厚さ判定部53jは、ポケット部厚さ判定部53k及びフランジ部厚さ判定部53mを備えている。
【0090】
ポケット部厚さ判定部53kは、輝度画像データにおけるポケット部2に対応する領域の輝度に基づき、ポケット部2の厚さに係る良否を判定する。より詳しくは、ポケット部厚さ判定部53kは、前記領域特定用情報を用いて、輝度画像データにおける輝度L4以上輝度L1以下の領域の中から、ポケット部2が占める領域(例えばポケット部2の底部が占める領域)を特定する。その上で、ポケット部厚さ判定部53kは、特定した領域内のうち、輝度が予め設定された第一輝度範囲内にない領域の面積(画素数)を算出する。そして、ポケット部厚さ判定部53kは、算出した面積が所定値以上である場合に、ポケット部2の厚さを「不良」と判定する。一方、ポケット部厚さ判定部53kは、算出した面積が所定値未満である場合に、ポケット部2の厚さを「良」と判定する。尚、第一輝度範囲とは、例えば、カメラ52の受光量の「1.8」に相当する輝度以上であって、同受光量の「2.0」に相当する輝度以下の範囲をいう。
【0091】
フランジ部厚さ判定部53mは、輝度画像データにおけるフランジ部3aに対応する領域の輝度に基づき、フランジ部3aの厚さに係る良否を判定する。より詳しくは、フランジ部厚さ判定部53mは、前記領域特定用情報を用いて、輝度画像データにおける輝度L4以上輝度L1以下の領域の中から、フランジ部3aが占める領域を特定する。その上で、フランジ部厚さ判定部53mは、特定した領域内のうち、輝度が予め設定された第二輝度範囲内にない領域の面積(画素数)を算出する。そして、フランジ部厚さ判定部53mは、算出した面積が所定値以上である場合に、フランジ部3aの厚さを「不良」と判定する。一方、フランジ部厚さ判定部53mは、算出した面積が所定値未満である場合に、フランジ部3aの厚さを「良」と判定する。尚、第二輝度範囲とは、例えば、カメラ52の受光量の「1.0」に相当する輝度以上であって、同受光量の「1.2」に相当する輝度以下の範囲をいう。
【0092】
以上詳述したように、本実施形態によれば、輝度画像データにおいて、孔部HBと容器フィルム3の薄肉部位との輝度差を十分に大きなものとすることができる。これにより、孔部判定部53gによって、容器フィルム3の薄肉部位とは十分に区別する形で、孔部HBの有無を判定することができる。また、厚さ判定部53j(ポケット部厚さ判定部53k)によって、孔部HBとは十分に区別する形で、容器フィルム3の薄肉部位における厚さに係る良否を判定することができる。これにより、孔部HBの有無と、容器フィルム3の薄肉部位における厚さに係る良否とをより確実に区別して検出することができる。
【0093】
また、本実施形態によれば、輝度画像データにおいて、異物IBと容器フィルム3の厚肉部位との輝度差を十分に大きなものとすることができる。従って、異物判定部53hによって、容器フィルム3における厚肉部位とは十分に区別する形で、異物の有無IBを判定することができる。また、厚さ判定部53j(フランジ部厚さ判定部53m)によって、異物IBとは十分に区別する形で、容器フィルム3の厚肉部位における厚さに係る良否を判定することができる。これにより、異物IBの有無と、容器フィルム3の厚肉部位における厚さに係る良否とをより確実に区別して検出することができる。
【0094】
さらに、カメラ52が1台で足りるため、検査装置21の小型化や検査装置21の製造等に係るコストの低減を図ることができる。
【0095】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0096】
(a)上記実施形態において、照明装置51は第二光源51cを備えており、該第二光源51cから容器フィルム3に対し波長λ2の光を照射するように構成されている。これに対し、
図10に示すように、第二光源51cを設けない(省略する)こととして、容器フィルム3に対し波長λ0,λ1の各光が一度に照射されるように構成してもよい。
【0097】
この構成において、容器フィルム3に孔部HBが生じている場合、孔部HBでは、波長λ0,λ1の各光が透過するため、カメラ52における孔部HBに係る受光量の合計は非常に大きなものとなる(
図12参照)。そのため、輝度画像データにおける孔部HBの輝度は、非常に大きなものとなる。
【0098】
一方、ポケット部2の底部など、容器フィルム3における厚さがT2程度の薄肉部位では、波長λ1の光が透過せず、波長λ0の光が該部位の厚さに応じた分だけ透過する(
図11参照)。そのため、孔部HBに係る受光量の合計と比べて、カメラ52における前記薄肉部位(ポケット部2など)に係る受光量の合計は十分に小さなものとなる(
図12参照)。その結果、輝度画像データにおける薄肉部位の輝度は、孔部HBの輝度と比べて、十分に小さなものとなる。
【0099】
従って、孔部判定部53gによって、容器フィルム3における薄肉部位(例えばポケット部2の底部)とは十分に区別する形で、孔部HBの有無を判定することができる。また、厚さ判定部53j(ポケット部厚さ判定部53k)によって、孔部HBとは十分に区別する形で、容器フィルム3の厚さに係る良否を判定することができる。これにより、孔部HBの有無と、容器フィルム3の厚さに係る良否とをより確実に区別して検出することができる。尚、上記例では、異物の検査が省略されることとなる。
【0100】
(b)上記実施形態において、照明装置51は、第一光源51aによって、容器フィルム3に対し波長λ0の光を照射するように構成されている。
【0101】
これに対し、
図13に示すように、照明装置51は、それぞれ第一光源に相当する、低波長第一光源51g及び高波長第一光源51hを備えるものであってもよい。つまり、照明装置51は、第一光源として、2つの第一光源51g,51hを備えるものであってもよい。そして、低波長第一光源51gによって、容器フィルム3に対し、ポケット部2の厚さに応じてポケット部2における光の透過率が変動する波長λ01の光(紫外光)を照射し、高波長第一光源51fによって、波長λ01よりも高波長であって、フランジ部3aの厚さに応じてフランジ部3aにおける光の透過率が変動する波長λ02の光(紫外光)が照射されるように構成してもよい。すなわち、容器フィルム3に対し、波長λ0の光として、波長λ01,λ02の各光が照射される構成としてもよい。尚、
図13に示す例では、第三ハーフミラー51jによって高波長第一光源51hから照射される光が容器フィルム3側に反射される一方、低波長第一光源51gからの光が第三ハーフミラー51jを透過して容器フィルム3に照射される。
【0102】
上記のように構成した場合、ポケット部2の底部など、容器フィルム3における厚さがT2程度の薄肉部位については、波長λ01の光がポケット部2の厚さに応じた分だけ透過するととともに、波長λ01よりも高波長の波長λ02の光が透過する(
図14参照)。そのため、輝度画像データにおける前記薄肉部位(ポケット部2など)の輝度は比較的大きなものとなる(
図15参照)。
【0103】
一方、フランジ部3aなど、容器フィルム3における厚さがT3程度の厚肉部位については、波長λ02の光がフランジ部3aの厚さに応じた分だけ透過するものの、波長λ02よりも低波長の波長λ01の光が透過しにくい(
図14参照)。そのため、輝度画像データにおけるフランジ部3a輝度は比較的小さなものとなる(
図15参照)。
【0104】
従って、輝度画像データにおいて、ポケット部2の輝度とフランジ部3aの輝度との差を比較的大きなものとすることができる。その結果、ポケット部厚さ判定部53kによって、フランジ部3aとは十分に区別する形で、ポケット部2の厚さに係る良否をより精度よく判定することができる。また、フランジ部厚さ判定部53mによって、ポケット部2とは十分に区別する形で、フランジ部3aの厚さに係る良否をより精度よく判定することができる。これにより、ポケット部2及びフランジ部3aの各厚さに係る良否判定の精度をより高めることができる。
【0105】
(c)上記実施形態において、照明装置51は、複数の光源51a,51b,51cによって波長λ0,λ1,λ2の各光を照射するように構成されている。これに対し、照明装置として、複数の波長の光を一度に照射する光源(例えばランプ光源など)と、該光源から容器フィルム3へと照射される光の波長を調節するバンドパスフィルタとを備えるものを用いてもよい。この場合、バンドパスフィルタによって、容器フィルム3に対し、波長λ0,λ1,λ2(又は波長λ0,λ1)の各光を含む光(つまり、複数の波長の光を含む光)が一度に照射される構成としてもよいし、波長λ0,λ1,λ2(又は波長λ0,λ1)の各光のみが一度に照射される構成としてもよい。また、照明装置として、容器フィルム3に対し、波長λ0,λ1,λ2(又は波長λ0,λ1)の各光を含む白色光を照射するものを用いてもよい。
【0106】
勿論、照明装置に合わせて、カメラの構成(例えば光の感度など)を適宜変更してもよい。
【0107】
(d)上記実施形態では、「内容物」として錠剤5を挙げているが、内容物は錠剤に限定されるものではない。
【0108】
また、錠剤の種別や形状等については、上記実施形態に限定されるものではない。例えば錠剤には、医薬のみならず、飲食用に用いられる錠剤なども含まれる。また、錠剤には、素錠、糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶錠及びゼラチン被包錠などが含まれるのは勿論のこと、硬カプセルや軟カプセルなどの各種カプセル錠なども含まれる。
【0109】
さらに、錠剤の形状に関しては、平面視円形状のみならず、例えば、平面視多角形状、平面視楕円形状、平面視長円形状等であってもよい。
【0110】
(e)製造されるPTPシートの構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えばPTPシート1単位のポケット部2の配列や個数は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【0111】
また、上記実施形態において、PTPフィルム6は、その幅方向に沿って1シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅方向に沿って複数シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。
【0112】
(f)上記実施形態において、検査装置21は、PTP包装機10に適用されているが、検査装置21をPTPシート1以外のブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0113】
1…PTPシート(ブリスタシート)、2…ポケット部、3…容器フィルム、3a…フランジ部、4…カバーフィルム、5…錠剤(内容物)、10…PTP包装機(ブリスタ包装機)、21…検査装置、51…照明装置(照射手段)、52…カメラ(撮像手段)、53…画像処理装置(判定手段)、53g…孔部判定部(孔部判定手段)、53h…異物判定部(異物判定手段)、53j…厚さ判定部(厚さ判定手段)、53k…ポケット部厚さ判定部(ポケット部厚さ判定手段)、53m…フランジ部厚さ判定部(フランジ部厚さ判定手段)、IB…異物、HB…孔部。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されるポケット部を備えた樹脂製の容器フィルムに対する検査を行うための検査装置であって、
前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記照射手段とは前記容器フィルムを介して反対側に設けられ、前記照射手段により照射されて前記容器フィルムを透過した光を撮像して輝度画像データを得ることが可能な1台の撮像手段と、
前記撮像手段により得られた輝度画像データに基づき、前記容器フィルムに係る良否を判定する判定手段とを備え、
前記照射手段は、前記容器フィルムに対し、前記容器フィルムの厚さに応じて前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ0の光、及び、波長λ0よりも低波長であって前記容器フィルムを透過しない波長λ1の光のみを一度に照射するように構成され、
前記撮像手段は、少なくとも波長λ0の光及び波長λ1の光を撮像可能に構成され、
前記判定手段は、
前記撮像手段により得られた輝度画像データにおいて、所定の輝度L1よりも高輝度の領域を孔部と判定する孔部判定手段と、
前記輝度画像データにおける輝度L1以下の領域において、該領域の輝度に基づき、前記容器フィルムの厚さに係る良否を判定する厚さ判定手段とを有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
内容物が収容されるポケット部を備えた樹脂製の容器フィルムに対する検査を行うための検査装置であって、
前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記照射手段とは前記容器フィルムを介して反対側に設けられ、前記照射手段により照射されて前記容器フィルムを透過した光を撮像して輝度画像データを得ることが可能な1台の撮像手段と、
前記撮像手段により得られた輝度画像データに基づき、前記容器フィルムに係る良否を判定する判定手段とを備え、
前記照射手段は、前記容器フィルムに対し、前記容器フィルムの厚さに応じて前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ0の光、波長λ0よりも低波長であって前記容器フィルムを透過しない波長λ1の光、及び、波長λ0よりも高波長であって前記容器フィルムを完全に透過する波長λ2の光のみを一度に照射するように構成され、
前記撮像手段は、少なくとも波長λ0の光、波長λ1の光及び波長λ2の光を撮像可能に構成され、
前記判定手段は、
前記撮像手段により得られた輝度画像データにおいて、所定の輝度L1よりも高輝度の領域を孔部と判定する孔部判定手段と、
前記輝度画像データにおける輝度L1以下の領域において、該領域の輝度に基づき、前記容器フィルムの厚さに係る良否を判定する厚さ判定手段とを有し、さらに、
前記判定手段は、前記輝度画像データにおいて、所定の輝度L4よりも低輝度の領域を異物と判定する異物判定手段を有し、
前記厚さ判定手段は、前記輝度画像データにおける輝度L4以上輝度L1以下の領域において、該領域の輝度に基づき、前記容器フィルムの厚さに係る良否を判定するように構成されていることを特徴とする検査装置。
【請求項3】
内容物が収容されるポケット部を備えた樹脂製の容器フィルムに対する検査を行うための検査装置であって、
前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記照射手段とは前記容器フィルムを介して反対側に設けられ、前記照射手段により照射されて前記容器フィルムを透過した光を撮像して輝度画像データを得ることが可能な1台の撮像手段と、
前記撮像手段により得られた輝度画像データに基づき、前記容器フィルムに係る良否を判定する判定手段とを備え、
前記照射手段は、前記容器フィルムに対し、前記容器フィルムの厚さに応じて前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ0の光と、波長λ0よりも低波長であって前記容器フィルムを透過しない波長λ1の光とを一度に照射するように構成され、
前記撮像手段は、少なくとも波長λ0の光及び波長λ1の光を撮像可能に構成され、
前記判定手段は、
前記撮像手段により得られた輝度画像データにおいて、所定の輝度L1よりも高輝度の領域を孔部と判定する孔部判定手段と、
前記輝度画像データにおける輝度L1以下の領域において、該領域の輝度に基づき、前記容器フィルムの厚さに係る良否を判定する厚さ判定手段とを有し、
前記容器フィルムは、前記ポケット部の開口周縁に位置し、前記ポケット部よりも厚肉で平坦状のフランジ部を有し、
前記照射手段は、波長λ0の光として、前記ポケット部の厚さに応じて前記ポケット部における前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ01の光と、波長λ01よりも高波長であって、前記フランジ部の厚さに応じて前記フランジ部における前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ02の光とを照射するように構成され、
前記厚さ判定手段は、
前記輝度画像データにおける前記ポケット部に対応する領域の輝度に基づき、前記ポケット部の厚さに係る良否を判定するポケット部厚さ判定手段と、
前記輝度画像データにおける前記フランジ部に対応する領域の輝度に基づき、前記フランジ部の厚さに係る良否を判定するフランジ部厚さ判定手段とを備えることを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検査装置を備え、
前記容器フィルムに形成された前記ポケット部に対し内容物が収容された状態で、該ポケット部を塞ぐように該容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するブリスタ包装機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
手段1.内容物が収容されるポケット部を備えた樹脂製の容器フィルムに対する検査を行うための検査装置であって、
前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記照射手段とは前記容器フィルムを介して反対側に設けられ、前記照射手段により照射されて前記容器フィルムを透過した光を撮像して輝度画像データを得ることが可能な1台の撮像手段と、
前記撮像手段により得られた輝度画像データに基づき、前記容器フィルムに係る良否を判定する判定手段とを備え、
前記照射手段は、前記容器フィルムに対し、前記容器フィルムの厚さに応じて前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ0の光、及び、波長λ0よりも低波長であって前記容器フィルムを透過しない波長λ1の光のみを一度に照射するように構成され、
前記撮像手段は、少なくとも波長λ0の光及び波長λ1の光を撮像可能に構成され、
前記判定手段は、
前記撮像手段により得られた輝度画像データにおいて、所定の輝度L1よりも高輝度の領域を孔部と判定する孔部判定手段と、
前記輝度画像データにおける輝度L1以下の領域において、該領域の輝度に基づき、前記容器フィルムの厚さに係る良否を判定する厚さ判定手段とを有することを特徴とする検査装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
上記手段1によれば、照射手段は、容器フィルムに対し、容器フィルムの厚さに応じて撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ0の光、及び、波長λ0よりも低波長であって容器フィルムを透過しない波長λ1の光のみを一度に照射する。そして、撮像手段は、これら光を撮像することで輝度画像データを得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
手段2.内容物が収容されるポケット部を備えた樹脂製の容器フィルムに対する検査を行うための検査装置であって、
前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記照射手段とは前記容器フィルムを介して反対側に設けられ、前記照射手段により照射されて前記容器フィルムを透過した光を撮像して輝度画像データを得ることが可能な1台の撮像手段と、
前記撮像手段により得られた輝度画像データに基づき、前記容器フィルムに係る良否を判定する判定手段とを備え、
前記照射手段は、前記容器フィルムに対し、前記容器フィルムの厚さに応じて前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ0の光、波長λ0よりも低波長であって前記容器フィルムを透過しない波長λ1の光、及び、波長λ0よりも高波長であって前記容器フィルムを完全に透過する波長λ2の光のみを一度に照射するように構成され、
前記撮像手段は、少なくとも波長λ0の光、波長λ1の光及び波長λ2の光を撮像可能に構成され、
前記判定手段は、
前記撮像手段により得られた輝度画像データにおいて、所定の輝度L1よりも高輝度の領域を孔部と判定する孔部判定手段と、
前記輝度画像データにおける輝度L1以下の領域において、該領域の輝度に基づき、前記容器フィルムの厚さに係る良否を判定する厚さ判定手段とを有し、さらに、
前記判定手段は、前記輝度画像データにおいて、所定の輝度L4よりも低輝度の領域を異物と判定する異物判定手段を有し、
前記厚さ判定手段は、前記輝度画像データにおける輝度L4以上輝度L1以下の領域において、該領域の輝度に基づき、前記容器フィルムの厚さに係る良否を判定するように構成されていることを特徴とする検査装置。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
この点、上記手段2によれば、照射手段は、容器フィルムに対し、容器フィルムの厚さに応じて撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ0の光、波長λ0よりも低波長であって容器フィルムを透過しない波長λ1の光、及び、波長λ0よりも高波長であって容器フィルムを完全に透過する波長λ2の光のみを一度に照射する。そして、撮像手段は、これら光を撮像することで輝度画像データを得る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
手段3.内容物が収容されるポケット部を備えた樹脂製の容器フィルムに対する検査を行うための検査装置であって、
前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記照射手段とは前記容器フィルムを介して反対側に設けられ、前記照射手段により照射されて前記容器フィルムを透過した光を撮像して輝度画像データを得ることが可能な1台の撮像手段と、
前記撮像手段により得られた輝度画像データに基づき、前記容器フィルムに係る良否を判定する判定手段とを備え、
前記照射手段は、前記容器フィルムに対し、前記容器フィルムの厚さに応じて前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ0の光と、波長λ0よりも低波長であって前記容器フィルムを透過しない波長λ1の光とを一度に照射するように構成され、
前記撮像手段は、少なくとも波長λ0の光及び波長λ1の光を撮像可能に構成され、
前記判定手段は、
前記撮像手段により得られた輝度画像データにおいて、所定の輝度L1よりも高輝度の領域を孔部と判定する孔部判定手段と、
前記輝度画像データにおける輝度L1以下の領域において、該領域の輝度に基づき、前記容器フィルムの厚さに係る良否を判定する厚さ判定手段とを有し、
前記容器フィルムは、前記ポケット部の開口周縁に位置し、前記ポケット部よりも厚肉で平坦状のフランジ部を有し、
前記照射手段は、波長λ0の光として、前記ポケット部の厚さに応じて前記ポケット部における前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ01の光と、波長λ01よりも高波長であって、前記フランジ部の厚さに応じて前記フランジ部における前記撮像手段側への光の透過率が変動する波長λ02の光とを照射するように構成され、
前記厚さ判定手段は、
前記輝度画像データにおける前記ポケット部に対応する領域の輝度に基づき、前記ポケット部の厚さに係る良否を判定するポケット部厚さ判定手段と、
前記輝度画像データにおける前記フランジ部に対応する領域の輝度に基づき、前記フランジ部の厚さに係る良否を判定するフランジ部厚さ判定手段とを備えることを特徴とする検査装置。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
手段4.手段1乃至3のいずれかに記載の検査装置を備え、
前記容器フィルムに形成された前記ポケット部に対し内容物が収容された状態で、該ポケット部を塞ぐように該容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するブリスタ包装機。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】削除
【補正の内容】