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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076427
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】化粧料容器用のブリスター容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
A45D33/00 610Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187915
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(72)【発明者】
【氏名】戸田 珠代
(72)【発明者】
【氏名】安達 忠祐
(57)【要約】
【課題】容器本体と蓋体を連続体で設けたブリスター容器であって、開封操作の容易性、重ね置きができる構成と収納された化粧料容器の安全性を確保できる構成を備えたブリスター容器の開発。
【解決手段】容器本体と蓋体は、一辺に両者を接続する接続部を有し、
容器本体は、容器収納部、裏面に蓋体の上部の外形よりも大きな重合凹部を有し、
容器収納部は、接続部を有する辺の対面側の辺の壁部に低壁部を有し、
蓋体は、接続部を介して容器本体と蓋体とを閉じたときに容器収納部の外周に接する外周部、容器本体の重合凹部より小さな天井部とコーナーに天井部よりも低い段差部を有し、段差部の外壁は蓋体の外周部から天井部方向へ延出されており、
外周部の辺には、天井部の基部が設けられている化粧料容器用のブリスター容器。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料容器を収納する容器本体と蓋体を備えたブリスター容器において、
容器本体と蓋体は、一辺に両者を接続する接続部を有し、
容器本体は、容器収納部、裏面に蓋体の上部の外形よりも大きな重合凹部を有し、
容器収納部は、接続部を有する辺の対面側の辺の壁部に低壁部を有し、
蓋体は、接続部を介して容器本体と蓋体とを閉じたときに容器収納部の外周に接する外周部、容器本体の重合凹部より小さな天井部とコーナーに天井部よりも低い段差部を有し、段差部の外壁は蓋体の外周部から天井部方向へ延出されており、
外周部の辺には、天井部の基部が設けられていることを特徴とする化粧料容器用のブリスター容器。
【請求項2】
低壁部は、容器収納部の接続部側にも設けられていることを特徴とする請求項1記載の化粧料容器用のブリスター容器。
【請求項3】
蓋体の天井部の基部は化粧料容器に当接する高さであることを特徴とする請求項1記載の化粧料容器用のブリスター容器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載された化粧料容器用のブリスター容器に化粧料を充填した化粧料容器をセットした化粧料容器入りブリスター容器。
【請求項5】
次の工程によって包装された化粧料容器入りのブリスター容器を製造する方法。
工程I:化粧料を充填した化粧料容器を準備する工程、
工程II:請求項1~3のいずれかに記載されたブリスター容器を準備する工程、
工程III:ブリスター容器を開き、化粧料容器をブリスター容器にセットして請求項4に記載された化粧料容器入りブリスター容器を製造する工程、
工程IV:化粧料容器入りブリスター容器を、外箱に装填して包装する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形ファンデーション等の化粧料を充填した交換用中皿を収納する収納容器
に関する。
【背景技術】
【0002】
固形ファンデーション等の化粧料を収納した容器を交換自在としたコンパクト容器が用
いられている。このようなコンパクト容器のための交換用の容器は、ファンデーションが
見えるように透明なプラスチック容器に仮収納されて、流通されている。保存安定性や取り出しに各種工夫がなされた収納容器が開発され、実用化されている。
本出願人は、取り出し作業以外では容易に外れることがない安定性に優れた交換用中皿を収納する収納容器を特許文献1(特許第6370549号公報)として提案している。特許文献1は、中皿収納部と膨出リブと土手状の縁部を備えた樹脂製の収納容器であって、中皿収納部は、装着される中皿の上辺に接触する段差部が形成された天面と中皿の外壁に接触する一組の対向の壁面を有し、該壁面には中皿外壁に形成されている凹部に係合する凸部が設けられており、膨出リブは、前記壁面が設けられていない天面の段差部から連続していて、先端が天面よりも高く形成されており、全周囲を取り囲む浅い周壁を備えた縁部が形成されている収納容器である。
【0003】
化粧料が充填された中皿は、交換用のみならず、気に入った色などの化粧料が充填された中皿と気に入ったコンパクトを選んで、最初にセットして購入する方法もある。
本発明では、交換用中皿用の収納容器に限ることがない透明プラスチック製の収納容器を発明の対象とし、ブリスター容器と称することとする。そして、中皿を化粧料容器と称することとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6370549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、台紙を使用しないブリスター容器であって、ブリスター容器の重ね置きができ、ブリスター容器を片手開きが可能なブリスター容器を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器本体と蓋体を連続体で設けたブリスター容器であって、重ね置きができる構成と収納された化粧料容器の安全性を確保できる構成と開封操作の容易性を実現する構成を備えたブリスター容器である。
【0007】
本発明の主な構成は次のとおりである。
1.化粧料容器を収納する容器本体と蓋体を備えたブリスター容器において、
容器本体と蓋体は、一辺に両者を接続する接続部を有し、
容器本体は、容器収納部、裏面に蓋体の上部の外形よりも大きな重合凹部を有し、
容器収納部は、接続部を有する辺の対面側の辺の壁部に低壁部を有し、
蓋体は、接続部を介して容器本体と蓋体とを閉じたときに容器収納部の外周に接する外周部、容器本体の重合凹部より小さな天井部とコーナーに天井部よりも低い段差部を有し、段差部の外壁は蓋体の外周部から天井部方向へ延出されており、
外周部の辺には、天井部の基部が設けられていることを特徴とする化粧料容器用のブリスター容器。
2.低壁部は、容器収納部の接続部側にも設けられていることを特徴とする1.記載の化粧料容器用のブリスター容器。
3.蓋体の天井部の基部は化粧料容器に当接する高さであることを特徴とする1.記載の化粧料容器用のブリスター容器。
4.1.~3.のいずれかに記載された化粧料容器用のブリスター容器に化粧料を充填した化粧料容器をセットした化粧料容器入りブリスター容器。
5.次の工程によって包装された化粧料容器入りのブリスター容器を製造する方法。
工程I:化粧料を充填した化粧料容器を準備する工程、
工程II:1.~3.のいずれかに記載されたブリスター容器を準備する工程、
工程III:ブリスター容器を開き、化粧料容器をブリスター容器にセットして4.に記載された化粧料容器入りブリスター容器を製造する工程、
工程IV:化粧料容器入りブリスター容器を、外箱に装填して包装する工程。
【発明の効果】
【0008】
1.容器本体と蓋体を一体に設けたブリスター容器なので、台紙が不要で包装材料の簡素化、再資源化ができる容器である。
2.蓋体を容器本体の裏面の重合凹部に天井部を被嵌することができるので、ブリスター容器を重ね置きすることができ、省スペース化ができる。ブリスター容器を重ねる場合、天井部の基部がリブ機能を有するので、蓋体の押圧つぶれを防止することができる。さらに、加えて段差部もリブ機能を発揮する。
3.容器収納部に設けられた低壁部の前側の蓋体の外周部を前方から押すことによって、蓋体が上方に押し上げられるので、片手で蓋体を開くことができる。特に、化粧料容器をセットする場合、ブリスター容器を片手で開けて、化粧料容器を他の片手で装填することができるので、作業性が向上する。
4.コーナーに設けた段差部が蓋体のリブ機能を有し、ブリスター容器の変形防止機能を果たしている。化粧料容器入りのブリスター容器の天井部を押した場合、段差部がつぶれを防止するので、収納されている化粧料に傷がつかず安全である。
前側外周部を押すと、前面が変形して(側面は変形しない)、前側低壁部のU型の側縁に沿って蓋体が開き方向へ付勢されるので、開封動作が容易になる。
ブリスター容器を重ね置きした場合、下側の化粧料入りのブリスター容器の蓋体が備えているリブ機能により、つぶれることなく上側の化粧料入りのブリスター容器を支えることができる。
5.本発明のブリスター容器は、化粧料容器をブリスター容器にセットする作業を効率化し、作業スペースを省スペース化することができる。
化粧料を化粧料容器に詰める場所とブリスター容器を成形する場所は別々で、これらを集めてセッティングする場所、さらに化粧用の外箱に装填する場所が異なる場合が想定される。例えば、化粧品のセールスルートや販売地域によって、外装が異なることがあり、その場合、種類ごとの5個などを重ね搬送するときに搬送安定性を確保することができる。
本発明では、特に、セッティング工程、搬送工程、外箱装填工程において、省力化と省スペース化、姿勢の安定を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ブリスター容器を展開した状態の平面、正面、側面を示す。
図2】ブリスター容器を開いた斜視図を示す。
図3図2の反対側から見た斜視図を示す。
図4】ブリスター容器の半開きの状態を示す。
図5】化粧料容器をセットした状態の半開き状態を示す。
図6】化粧料容器をセットした状態の断面を示す。(a)化粧料容器をセットした断面図、(b)積み重ね状態を示す図。
図7】工程図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、台紙を使用しないブリスター容器であって、ブリスター容器の重ね置きができ、収納された化粧料容器の安定性が確保でき、開封動作が容易なブリスター容器である。
本ブリスター容器の基本構成は、化粧料容器を収納する容器本体と蓋体を備えたブリスター容器である。容器本体と蓋体は、一辺に両者を接続する接続部で連続している。
容器本体には、容器収納部、蓋体の上部が重なる重合凹部が裏面側に設けられている。容器収納部は、接続部を有する辺の対面側の辺の壁部に低壁部が設けられている。
蓋体は、本体側の容器収納部の外周に接する外周部、外周部よりも小さな天井部とコーナーに天井部よりも低い段差部を有している。段差部の外壁は蓋体の外周部から延出されていて、蓋体の天井部は容器収納部の重合凹部に被篏する大きさである。
【0011】
容器本体と蓋体を接続部で一体に設けたブリスター容器なので、全体が同一プラスチック素材であり、包装材料の簡素化、再資源化が容易にできる容器である。
蓋体の天井部を容器本体の裏面の重合凹部に被嵌することができるので、ブリスター容器を重ね置きすることができ、種類ごとのまとめ置き等省スペース化ができるブリスター容器である。
容器本体側に低壁部が設けられているため、蓋体を被せた状態で、低壁部側から蓋体を押すと、蓋体が内側に変形しつつ上側に力を受けて、蓋体を開放しやすくなる。このため、本発明は、片手で持って、低壁部側を押すことによって、蓋体を容易に開けることができるブリスター容器である。
【0012】
本発明のブリスター容器は、化粧料容器をブリスター容器にセットする作業を効率化し、作業スペースを省スペース化することができる。化粧料を化粧料容器に詰める場所とブリスター容器を成形する場所は別々で、これらを集めてセッティングする場所、さらに化粧用の外箱に装填する場所が異なる場合が想定される。例えば、化粧品のセールスルートや販売地域によって、外装が異なることがあり、その場合、種類ごとの5個重ね搬送するとき等に搬送時などの姿勢の安定性を確保することができる。本発明では、特に、セッティング工程、搬送工程、外箱装填工程において、省力化と省スペース化、姿勢の安定を図ることができる。
ブリスター容器は、一般的に使用されるブリスタ―容器製造用のプラスチックを用いて成形することができ、透明なプラスチックを用いることができる。プラスチックは、透明であると化粧料が視認できるので適しており、植物性プラスチックや生分解性プラスチックを用いることにより、環境負荷を低減できる。
【0013】
実施態様を図1図6に示す。
容器本体2と蓋体3が半開き状態のブリスター容器1を図4に示し、さらに、化粧料容器100を容器本体2に収納した半開き状態のブリスター容器11を図5に示しており、ブリスター容器1の概要を図4、5を用いて説明する。
ブリスター容器1は、化粧料容器100を収納される容器本体2と蓋体3を備えた角型の容器である。本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料容器100の形状に合わせて角型以外の形状にすることも可能である。
容器本体2と蓋体3は、一辺に両者を接続する接続部4を有し、他の3辺は分離されていて、容器本体2と蓋体3は接続部をヒンジとして開閉可能である。
【0014】
容器本体2は、化粧料容器を収納する容器収納部21、裏面に蓋体の上部と重なる重合凹部22を有している。
容器収納部21は収納壁部23で形成された容器を収納する凹部を有し、接続部4を有する辺の対面側の辺の壁部に前側低壁部23aを有している。
蓋体3は、接続部4を介して容器本体2と蓋体3とを閉じたときに容器収納部21の外周面21aに接する外周部31、外周部よりも小さな天井部32とコーナーに天井部よりも低い段差部33を有している。蓋体3の天井部32は容器本体2の重合凹部22に被篏する大きさである。
容器収納部21の外周面21aである収納壁部の外側にロック凹部51があり、蓋体3の外周部31の内側にあるロック凸部52が係合して、容器本体2と蓋体3が閉じられる構成である。
図5に化粧料容器100が容器収納部21に収納された状態の化粧料容器入ブリスター容器11が示されている。
化粧料容器100の高さと容器収納部21の深さ(収納壁部23の内側の高さ)は、同程度であり、天井部32の基部32aで押さえられるようになっている。
【0015】
蓋体3を閉じた状態で、容器本体2の前側低壁部23aに相当する蓋体3の前側外周部31aを押圧すると、前側外周部31aが大きく凹むことができ、蓋体3を上側に押し上げる力が働いて、蓋体3が開く方向に付勢され、楽に蓋体を開けることができる。このとき、蓋体3のコーナーにある段差部33がリブの機能を果して、凹み変形は前側外周部31aに制限されるので、上側に押し上げる力は容器収納部21側にある前側低壁部23aの傾斜面に案内されて蓋体3が開くことになる。
【0016】
以下に、図1、2、3にしたがって、ブリスター容器1の構造の詳細を説明する。
図1は、ブリスター容器1を展開した状態の平面、正面、側面を示す。図2はブリスター容器を開いた斜視図を示しており、図3図2の反対側から見た斜視図を示している。
ブリスター容器1は、プラスチックシートを熱圧成形する一般的なブリスターパックの成形で製造される。
ブリスター容器1は、容器本体2と蓋体3からなり、両者は一辺が接続部4で接続している。
【0017】
容器本体2は、容器収納部21、裏面に蓋体の上部と重なる重合凹部22を有している。容器収納部21は、化粧料容器を収納できる収納壁部23で形成された凹みを有している。なお、説明上、接続部4側を「後」、接続部の対面側を「前」と称することとする。収納壁部23の前後辺にU状に湾曲した前側低壁部23a、接続部側低壁部23bが設けられている。
収納壁部23は、外周面21a、内周面21b、壁上面23cから形成され、壁上面23cより下方が広がっており、内側の内周面21bはほぼ鉛直に形成され、外側の外周面21aには傾斜面が設けられている。なお、本発明のブリスター容器は、一枚のプラスチックシートをプレス成型するので、収納壁部23は、図6の断面に示すように屈曲形成されて、外周面21a、内周面21b、壁上面23cが形成されている。
【0018】
内周面21bは、化粧料容器の外形に近い形状であって、ほぼ垂直に形成している。容器収納部21のコーナー部21cで化粧料容器をきつく圧接する形状にして、化粧料容器を保持している。
外周面21aは、テーパを設けてある。また、外周面21aには、二つのロック凹部51が4辺に設けられている。このロック凹部51は蓋体側のロック凸部52と係合する。なお、ロック凹部51は、各辺に1個あるいは3個以上でも良い。
内周面21bの高さは外周面21aの高さよりも小さくなっており、内周面21bの高さは化粧料容器の高さとほぼ同じである。外周面21aを内周面21bよりも高くして、容器本体2の裏側に重合凹部22が形成されている。外周面21aをより高くすると、重合凹部22は深くなって、蓋体3との被りは大きくなる。重合凹部22の深さによって、蓋体3の天井部32から外周部31まで被りの範囲を調整することができる。
収納壁部23の前後辺に設けられているU状に湾曲した前側低壁部23a、接続部側低壁部23bは、化粧料容器100を指で持って、容器収納部21への着脱を容易にすることができる。また、閉じた状態で蓋体3を前側低壁部23a部分から押すと、蓋体3が内側に変形してU字状の湾曲した縁に案内されて、上方へ開く方向に付勢される。蓋体の開き動作は、後述するように、蓋体3側にある段差部33のリブ作用によっても開き方向への付勢があるので、蓋体の開き動作は蓋体側と容器収納部の双方の働きによって容易になる。
容器本体2の外縁には収納部フランジ24が形成されている。この収納部フランジ24から接続部4を介して蓋部フランジ34へ連続している。なお、本例では、収納部フランジ24の前辺24aは蓋部フランジ34の前辺34aより小さく形成され、収納部フランジ24のコーナー24bは大きく角ばって形成されている。
本例では、壁上面23cは、収納されている化粧料容器と同じ高さであって、蓋体3側の天井部32の基部32aと当接するように形成されているが、この関係に限定されるものではない。
【0019】
蓋体3には、外縁部の蓋部フランジ34、蓋部フランジ34から立ち上がっている外周部31、外周部31の上部に天井部32を有している。
外周部31には、コーナーに段差部33、辺の中間に天井部32の基部32aが設けられている。外周部31は、容器収納部21の重合凹部22を形成する外周面21aに接するようにテーパが形成されている。外周部31には、二つのロック凸部52が4辺に設けられている。このロック凸部52は容器収納部側のロック凹部51と係合する。なお、ロック凸部52は、各辺に1個あるいは3個以上でも良い。
天井部32は、外周部31の中間に設けた基部32aから立ち上がっており、外周部31より小さく形成されている。基部32aは、収納壁部23の壁上面23cよりも内側まで広く形成されていて、化粧料容器の縁を押さえることができる大きさを備えている。天井部32の縁に上側に小さく湾曲した盛上周縁部32bが形成されている。段差部33は、外周部31のコーナーに設けられており、天井部32の基部32aから立ち上がっている。段差部33の外壁33aは蓋体3の外周部31から天井方向に延出されている。
蓋体の外縁に蓋部フランジ34が形成されている。この蓋部フランジ34から接続部4を介して収納部フランジ24へ連続している。なお、本例では、蓋部フランジ34の前辺34aは収納部フランジ24の前辺24aより大きく形成され、蓋部フランジ34のコーナー34bは小さく形成されている。
【0020】
蓋体3は、天井部32の盛上周縁部32b、段差部33、天井部32の基部32aなどによって、凹凸が形成されて、全体としてリブ機能が発揮されているので、これらが形成されていない一様な場合と比べて、対変形強度が高くなっている。このため、重ねても変形を防止できる。
天井部32の基部32aは、収納されている化粧料容器100の上縁を押えることができ、化粧料容器100の収納姿勢を安定させている(図6参照)。また、化粧料容器100に充填されている化粧料101の表面と天井部32とは、コーナーにある段差部33と段差部よりも高い位置にある天井部32によって隙間が形成され、さらに、天井部32の外周にある盛上周縁部32bによって、天井部32を上から押しても、変形が抑制されて、天井部32が化粧料101に接触して傷がつくことを防止できる。
【0021】
蓋体3を容器本体2に被嵌したときには、収納部フランジ24に蓋部フランジ34が当接している。この状態で、ロック凸部52とロック凹部51が係合して、蓋体3と容器本体2はロックされる。ただし、このロックは、手でアンロックできる程度の係合力である。アンロックは前述したように前側低壁部23a側を押す、あるいは、収納部フランジ24から蓋部フランジ34を持ち上げて引き離すことでできる。
蓋体3と容器本体2のフランジの前辺とコーナーの大きさが違うので、容器本体2のフランジのコーナー24bを押えて、蓋体3の前辺34aを持ち上げることで、利用者は本ブリスター容器1を容易に安全に開けることもできる。
【0022】
接続部4は、収納部フランジ24と蓋部フランジ34の1辺間に設けられている。図1の正面図に示されるように、接続部4は蓋体3側にU状に湾曲して形成されたU状湾曲41が設けられている。このU状湾曲41に閉方向に付勢させるばね作用をもたせることもできる。化粧料容器を容器収納部21にセットしたときに、蓋体3を閉めやすくなる。
【0023】
図6に化粧料容器をセットした状態の断面を示す。図6(a)は断面図、図6(b)は重ねた状態の断面を示す。
容器本体2の容器収納部21に化粧料容器100が収納されており、蓋体3が被嵌している。
蓋体3は、天井部32の縁に設けられている盛上周縁部32bから低い基部32a、外側に張り出した外周部31、外周部31の下端に蓋部フランジ34が設けられている。
容器本体2は、容器収納部21の底部から内周面21bが立ち上がり、壁上面23cを経て外周面21aが設けられ、外周面21aの下端に収納部フランジ24が設けられている。容器収納部21の底部よりも収納部フランジ24が低くなっていて、重合凹部22が形成されている。
蓋体3の基部32a、外周部31、蓋部フランジ34は、容器本体2の壁上面23c、外周面21a、収納部フランジ24と当接している。
また、蓋体3の基部32aは化粧料容器100の縁に当接して、化粧料容器100を安定させている。蓋体3の天井部32と化粧料容器100との間に空間があり、天井部32が凹んでも、化粧料に接触しないようになっている。なお、押圧などに対する天井部32の凹みに対しては、図示の盛上周縁部32bの他に段差部が抵抗している。なお、段差部は蓋体のコーナーに設けられているので、この断面図には現れない。
【0024】
図6(b)に、化粧料容器入りブリスター容器11を重ねた状態の断面が示されている。この例では、蓋体3の基部32aより上が重合凹部22に納まる状態に重合凹部22の深さが設定されている。この状態では、下側のブリスター容器11-1の天井部32に上側のブリスター容器11-2の重さが加わることになるので、本発明の蓋体の強度は、リブ機能によって、十分に保たれることになる。
また、上側のブリスター容器11-2の容器収納部21の外周面21aが下側のブリスター容器11-1の蓋体3の外周部31に接する深さに重合凹部22の深さを設定することによって、上側のブリスター容器11-2の重さを下側のブリスター容器11-1の蓋体3の外周部31に伝えることができる。
【0025】
次の工程によって包装された交換用の化粧料容器がセットされたブリスター容器を製造する。この技術は、化粧料の調製、化粧料容器への化粧料の充填、ブリスター容器の成形、化粧料容器とブリスター容器のセット、化粧料容器入りのブリスター容器の外箱への装填などの作業が必要になる。
工程I:化粧料を充填した化粧料容器110を準備する工程、
工程II:ブリスター容器1を準備する工程、
工程III:ブリスター容器1を開き、化粧料を充填した化粧料容器110をブリスター容器1にセットして化粧料容器110をセットしたブリスター容器11を製造する工程、
工程IV:化粧料容器110をセットしたブリスター容器11を、外箱に装填して包装する工程。
【0026】
工程Iは、調製された化粧料を化粧料容器110に充填する工程である。
空の化粧料容器が納品され、調製された化粧料を化粧料容器に充填する。
工程IIは、本発明のブリスター容器を成形する工程である。
工程IIIは、工程Iで得られた化粧料容器を工程IIで得られたブリスター容器にセットする工程である。搬入されたブリスター容器を開く動作が必要になるが、本発明のブリスター容器は、前面を押すと蓋体が開きやすいので、開き動作が容易であり、化粧料容器のセットが簡単にできる。化粧料容器がセットされたブリスター容器を積み重ねることができるので、置くスペースを省スペース化できる。複数の色がある化粧料ごとに分別して置くなど、管理も容易になる。
工程IVは、化粧料容器がセットされたブリスター容器を外箱に装填する工程である。販売ルート、販売地域、季節などで変化する外箱の種類に応じて、装填することになる。
【0027】
本発明のブリスター容器は、工程III以降の作業性を向上させることに有効である。
開閉の容易性によるセッティング効率が向上し、積み重ねによる置き場所の省スペース化、蓋体が押圧による凹み変形に強いので移動などの取り扱い時に化粧料に傷がつかない安全性の向上を図ることができる。客が陳列品を触っても、化粧料に傷がつきにくいので、店頭による汚損廃棄が減少する。
これらの結果、不慣れな作業員でも、安全に効率的に工程III以降の作業をすることができる。工程III以降の工程は、別々の場所で行われることが多いので、省スペース化、耐久性、作業効率性、搬送安全性、展示安全性を向上させることができることは重要なことである。
そして、ブリスタ―容器は、蓋体と容器本体が一体であるので、分別することなく、廃棄することができる。
【符号の説明】
【0028】
1、11 ブリスター容器
2 容器本体
21 容器収納部
21a 外周面(収納壁部の外周)
21b 内周面(収納壁部の内周)
21c コーナー部(収納壁部のコーナー)
22 重合凹部
23 収納壁部
23a 前側低壁部
23b 接続部側低壁部
23c 壁上面
24 収納部フランジ
24a 前辺
24b コーナー

3 蓋体
31 外周部
31a 前側外周部
32 天井部
32a 基部
32b 盛上周縁部
33 段差部
33a 外壁
34 蓋部フランジ
34a 前辺
34b コーナー

4 接続部
41 U状湾曲
51 ロック凹部
52 ロック凸部
100、110 化粧料容器
101 化粧料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7