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特開2024-76434水晶ウエハ、圧電振動片、及び圧電振動子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076434
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】水晶ウエハ、圧電振動片、及び圧電振動子
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20240530BHJP
   H03H 9/215 20060101ALN20240530BHJP
【FI】
H03H9/19 J
H03H9/215
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187926
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】713005174
【氏名又は名称】エスアイアイ・クリスタルテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 友博
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB02
5J108CC06
5J108DD05
5J108EE03
5J108KK01
5J108KK03
(57)【要約】
【課題】水晶ウエハからの振動子の折り取りの容易性を確保しつつ、水晶ウエハからの振動子の脱落を抑制する。
【解決手段】水晶ウエハ100は、圧電振動片3と、圧電振動片3を、連結部60を介して支持するフレーム部50と、を備え、連結部60は、切り欠きが形成された弱化部を有し、連結部60として、第1弱化部61Aを有する第1連結部60Aと、第1弱化部61Aよりも剛性が低い第2弱化部61Bを有する第2連結部60Bと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動片と、
前記圧電振動片を、連結部を介して支持するフレーム部と、を備え、
前記連結部は、切り欠きが形成された弱化部を有し、
前記連結部として、
第1弱化部を有する第1連結部と、
前記第1弱化部よりも剛性が低い第2弱化部を有する第2連結部と、を備える、
水晶ウエハ。
【請求項2】
前記第2弱化部は、前記第1弱化部よりも断面積が小さい、
請求項1に記載の水晶ウエハ。
【請求項3】
前記第2弱化部は、前記第1弱化部よりも幅が狭い、
請求項1に記載の水晶ウエハ。
【請求項4】
前記圧電振動片に形成された励振電極と、
前記励振電極から、前記連結部を通って前記フレーム部まで延伸する延伸電極と、を備え、
前記延伸電極として、
前記第1連結部を通る第1延伸電極と、
前記第2連結部を通る第2延伸電極と、を備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の水晶ウエハ。
【請求項5】
前記圧電振動片は、
前記連結部と連結された基部と、
前記基部から延伸する一対の振動腕部と、を備え、
前記第1連結部は、前記一対の振動腕部の中間位置を通る前記基部の中心線上で、前記基部と連結され、
前記第2連結部は、前記基部の中心線から離間した位置で、前記基部と連結されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の水晶ウエハ。
【請求項6】
前記第2連結部は、前記第1連結部の両側に一対で設けられ、前記基部の中心線から等距離で前記基部と連結されている、
請求項5に記載の水晶ウエハ。
【請求項7】
前記第2連結部は、前記第1連結部の両側に一対で設けられ、前記基部の中心線から互いに異なる距離で前記基部と連結されている、
請求項5に記載の水晶ウエハ。
【請求項8】
前記第1連結部及び前記第2連結部の少なくとも一方は、前記圧電振動片側よりも前記フレーム部側の方が、幅が広い、
請求項1~3のいずれか一項に記載の水晶ウエハ。
【請求項9】
基部と、
前記基部から延伸する一対の振動腕部と、を備え、
前記基部には、第1折り取り痕と、前記第1折り取り痕よりも小さい第2折り取り痕と、が形成されている、
圧電振動片。
【請求項10】
請求項9に記載の圧電振動片と、
前記圧電振動片を封止したパッケージと、を備える、
圧電振動子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水晶ウエハ、圧電振動片、及び圧電振動子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、多数の水晶振動子と、これら振動子をウエハに連結する連結部と、各連結部近傍及び又は連結部自体に設けられ幅が狭く水晶のZ′軸に沿っている切り欠き部とが、フォトリソ技術及びウエットエッチング技術により一体形成されている水晶ウエハから、前記切り欠き部を起点として各水晶振動子を折り取る工程を含む、水晶振動子の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-32197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、水晶ウエハに対して水晶振動子が1箇所で連結されている。この場合、圧電振動子の折り取りは容易になるが、連結部の強度が不足すると、エッチング後のプロセス(例えば電極形成工程)にて、水晶振動子が水晶ウエハから脱落し、歩留まりの低下を招く。また、連結部が1箇所であると、水晶ウエハから水晶振動子への電極引き回し構造の自由度が小さくなる。
【0005】
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、水晶ウエハからの振動子の折り取りの容易性を確保しつつ、水晶ウエハからの振動子の脱落を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の一態様に係る水晶ウエハは、圧電振動片と、前記圧電振動片を、連結部を介して支持するフレーム部と、を備え、前記連結部は、切り欠きが形成された弱化部を有し、前記連結部として、第1弱化部を有する第1連結部と、前記第1弱化部よりも剛性が低い第2弱化部を有する第2連結部と、を備える。
【0007】
本態様に係る水晶ウエハによれば、第1連結部に加えて、第2連結部を備えるため、第1連結部のみの連結の場合よりも、水晶ウエハからの圧電振動片の脱落を抑制できる。また、第2連結部の第2弱化部は、第1連結部の第1弱化部よりも剛性が低いため、第2連結部を追加したとしても、水晶ウエハからの圧電振動片の折り取り作業への影響は小さい。
【0008】
(2)(1)の態様の水晶ウエハにおいて、前記第2弱化部は、前記第1弱化部よりも断面積が小さくてもよい。
【0009】
この場合には、第1弱化部よりも第2弱化部の断面積が小さいため、第2連結部を破断し易くなる。
【0010】
(3)(1)または(2)の態様の水晶ウエハにおいて、前記第2弱化部は、前記第1弱化部よりも幅が狭くてもよい。
【0011】
この場合には、第1弱化部よりも第2弱化部の幅が小さいため、第2連結部を破断し易くなる。
【0012】
(4)(1)から(3)のいずれかの態様の水晶ウエハにおいて、前記圧電振動片に形成された励振電極と、前記励振電極から、前記連結部を通って前記フレーム部まで延伸する延伸電極と、を備え、前記延伸電極として、前記第1連結部を通る第1延伸電極と、前記第2連結部を通る第2延伸電極と、を備えてもよい。
【0013】
この場合には、水晶ウエハから圧電振動片に電極を引き回しする際に、第1連結部及び第2連結部の2通りのルートで電極を引き回しできるため、水晶ウエハから圧電振動片への電極引き回し構造の自由度が高くなる。
【0014】
(5)(1)から(4)のいずれかの態様の水晶ウエハにおいて、前記圧電振動片は、前記連結部と連結された基部と、前記基部から延伸する一対の振動腕部と、を備え、前記第1連結部は、前記一対の振動腕部の中間位置を通る前記基部の中心線上で、前記基部と連結され、前記第2連結部は、前記基部の中心線から離間した位置で、前記基部と連結されていてもよい。
【0015】
この場合には、剛性の高い第1連結部で、圧電振動片の基部の中心線上を支持できるため、水晶ウエハからの圧電振動片の脱落を抑制できる。また、剛性の低い第2連結部を、基部の中心位置から離れた位置に設け、圧電振動片を補助的に支持することができる。
【0016】
(6)(5)の態様の水晶ウエハにおいて、前記第2連結部は、前記第1連結部の両側に一対で設けられ、前記基部の中心線から等距離で前記基部と連結されていてもよい。
【0017】
この場合には、第2連結部を第1連結部の両側に設け、基部の中心線から等距離で基部を支持するため、圧電振動片の支持安定性を高めることができる。
【0018】
(7)(5)の態様の水晶ウエハにおいて、前記第2連結部は、前記第1連結部の両側に一対で設けられ、前記基部の中心線から互いに異なる距離で前記基部と連結されていてもよい。
【0019】
この場合には、水晶ウエハのエッチング残りを加味し、一対の第2連結部の位置を基部の中心線からずらすことで、エッチング残りの影響を小さくし圧電振動片の折り取り時にかかる応力を最適化できる。
【0020】
(8)(1)から(7)のいずれかの態様の水晶ウエハにおいて、前記第1連結部及び前記第2連結部の少なくとも一方は、前記圧電振動片側よりも前記フレーム部側の方が、幅が広くてもよい。
【0021】
この場合には、連結部がフレーム部側で折れ難くなり、圧電振動片の折り取り時に、連結部が圧電振動片側に残ること抑制することができる。
【0022】
(9)本開示の一態様に係る圧電振動片は、基部と、前記基部から延伸する一対の振動腕部と、を備え、前記基部には、第1折り取り痕と、前記第1折り取り痕よりも小さい第2折り取り痕と、が形成されている。
【0023】
本態様に係る圧電振動片によれば、歩留まりの高い品質のよい圧電振動片が得られる。
【0024】
(10)本開示の一態様に係る圧電振動子は、(9)の態様の圧電振動片と、前記圧電振動片を封止したパッケージと、を備える。
【0025】
本態様に係る圧電振動子によれば、歩留まりの高い品質のよい圧電振動子が得られる。
【発明の効果】
【0026】
上記本開示の一態様によれば、水晶ウエハからの振動子の折り取りの容易性を確保しつつ、水晶ウエハからの振動子の脱落を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係る圧電振動子の分解斜視図である。
図2】第1実施形態に係る圧電振動片の製造方法を示すフローチャートである。
図3】第1実施形態に係る水晶ウエハの平面図である。
図4】第1実施形態に係る水晶ウエハの平面図である。
図5】第2実施形態に係る水晶ウエハの平面図である。
図6】第3実施形態に係る水晶ウエハの平面図である。
図7】第4実施形態に係る水晶ウエハの平面図である。
図8】第5実施形態に係る水晶ウエハの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
以下、本開示に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0029】
(圧電振動子)
図1は、第1実施形態に係る圧電振動子1の分解斜視図である。
図1に示す圧電振動子1は、内部に気密封止されたキャビティ4を有するパッケージ2と、キャビティ4内に収容された音叉型の圧電振動片3と、を備えたセラミックパッケージタイプの表面実装型振動子とされている。
【0030】
なお、圧電振動子1は、概略直方体状に形成されており、本実施形態では平面視において圧電振動子1の長手方向を長さ方向Lといい、短手方向を幅方向Wといい、これら長さ方向L及び幅方向Wに対して直交する方向を厚み方向Tという。
【0031】
パッケージ2は、パッケージ本体10と、このパッケージ本体10に対して接合されると共に、パッケージ本体10との間にキャビティ4を形成する封口板11と、を備えている。
【0032】
パッケージ本体10は、互いに重ね合わされた状態で接合された第1ベース基板12及び第2ベース基板13と、第2ベース基板13上に接合されたシールリング14と、を備えている。
第1ベース基板12は、平面視略長方形状に形成されたセラミックス製の基板とされている。第2ベース基板13は、第1ベース基板12と同じ外形形状である平面視略長方形状に形成されたセラミックス製の基板とされており、第1ベース基板12上に重ねられた状態で焼結等の方法によって一体的に接合されている。
【0033】
第1ベース基板12及び第2ベース基板13の四隅には、平面視1/4円弧状の切欠部15が、厚み方向Tの全体に亘って形成されている。これら第1ベース基板12及び第2ベース基板13は、例えばウエハ状のセラミック基板を2枚重ねて接合した後、両セラミック基板を貫通する複数のスルーホールを行列状に形成し、その後、各スルーホールを基準としながら両セラミック基板を格子状に切断することで作製される。その際、スルーホールが4分割されることで、切欠部15となる。
また、第2ベース基板13の上面は、圧電振動片3がマウントされる実装面13aとされている。
【0034】
なお、第1ベース基板12及び第2ベース基板13はセラミックス製としたが、その具体的なセラミックス材料としては、例えばアルミナ製のHTCC(High Temperature Co-Fired Ceramic)や、ガラスセラミックス製のLTCC(Low Temperature Co-Fired Ceramic)等が挙げられる。
【0035】
シールリング14は、第1ベース基板12及び第2ベース基板13の外形よりも一回り小さい導電性の枠状部材であり、第2ベース基板13の実装面13aに接合されている。具体的には、シールリング14は、銀ロウ等のロウ材や半田材等による焼付けによって実装面13a上に接合、或いは、実装面13a上に形成(例えば、電解メッキや無電解メッキの他、蒸着やスパッタ等により)された金属接合層に対する溶着等によって接合されている。
【0036】
なお、シールリング14の材料としては、例えばニッケル基合金等が挙げられ、具体的にはコバール、エリンバー、インバー、42-アロイ等から選択すれば良い。特に、シールリング14の材料としては、セラミック製とされている第1ベース基板12及び第2ベース基板13に対して熱膨張係数が近いものを選択することが好ましい。例えば、第1ベース基板12及び第2ベース基板13として、熱膨張係数6.8×10-6/℃のアルミナを用いる場合には、シールリング14としては、熱膨張係数5.2×10-6/℃のコバールや、熱膨張係数4.5~6.5×10-6/℃の42-アロイを用いることが好ましい。
【0037】
封口板11は、シールリング14上に重ねられた導電性基板であり、シールリング14に対する接合によってパッケージ本体10に対して気密に接合されている。そして、この封口板11とシールリング14と第2ベース基板13の実装面13aとで画成された空間が、気密に封止されたキャビティ4として機能する。
【0038】
なお、封口板11の溶接方法としては、例えばローラ電極を接触させることによるシーム溶接や、レーザー溶接、超音波溶接等が挙げられる。また、封口板11とシールリング14との溶接をより確実なものとするため、互いになじみの良いニッケルや金等の接合層を、少なくとも封口板11の下面と、シールリング14の上面とにそれぞれ形成することが好ましい。
【0039】
第2ベース基板13の実装面13aには、圧電振動片3との接続電極である一対の電極パッド16a,16bが幅方向Wに間隔をあけて形成されている。第1ベース基板12の下面には、一対の外部電極17a,17bが長さ方向Lに間隔をあけて形成されている。これら電極パッド16a,16b及び外部電極17a,17bは、例えば蒸着やスパッタ等で形成された単一金属による単層膜、又は異なる金属が積層された積層膜であり、互いにそれぞれ導通している。
【0040】
すなわち、第1ベース基板12及び第2ベース基板13には、一方の電極パッド16aと一方の外部電極17aとを導通させる図示しない導通電極が形成されている。また、第1ベース基板12及び第2ベース基板13には、他方の電極パッド16bと他方の外部電極17bとを導通させる図示しない導通電極が形成されている。これら導通電極は、第1ベース基板12及び第2ベース基板13において厚み方向Tに延在し、第1ベース基板12及び第2ベース基板13の間において平面方向(長さ方向L、幅方向Wを含む方向)に延在している。
【0041】
第2ベース基板13の実装面13aには、圧電振動片3に対向する部分に、落下等による衝撃の影響によって一対の振動腕部21,22等が厚さ方向Tに変位(撓み変形)した際に、圧電振動片3との接触を回避する凹部19が形成されている。この凹部19は、第2ベース基板13を貫通する貫通孔とされているとともに、シールリング14の内側において四隅が丸み帯びた平面視正方形状に形成されている。一対の電極パッド16a,16bは、凹部19の幅方向Wの両側面から幅方向Wの内側に突出した一対の突部13b上に形成されている。
【0042】
そして、圧電振動片3は、図示しない金属バンプや導電性接着剤等を介して、基部20に形成された一対の支持腕部23,24の一対のマウント電極が、一対の電極パッド16a,16bに接触するようにマウントされる。これにより、圧電振動片3は、第2ベース基板13の実装面13a上から浮いた状態で支持されると共に、一対の電極パッド16a,16bにそれぞれ電気的に接続された状態とされている。
【0043】
(圧電振動片)
圧電振動片3は、水晶、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動する。
圧電振動片3は、基部20と、一対の振動腕部21,22と、を備えている。
【0044】
一対の振動腕部21,22は、基部20から長さ方向Lに沿って互いに平行に延在している。一対の振動腕部21,22は、延在方向における先端側が、基端側(基部20側)を固定端として振動する自由端とされている。一対の振動腕部21,22は、先端側の幅寸法が基端側に比べて拡大されたハンマーヘッドタイプである。
【0045】
一対の振動腕部21,22をハンマーヘッドタイプにした場合は、振動腕部21,22の先端側の重量および振動時の慣性モーメントを増大させることができ、それにより、振動腕部21,22を振動し易くすることができる。従って、振動腕部21,22の長さを短くすることができ、小型化が図れるメリットがある。
【0046】
一対の振動腕部21,22は、厚さ方向Tの両表面に、一対の振動腕部21,22の長さ方向L(延在方向)に沿ってそれぞれ形成された溝部25を備えている。溝部25は、例えば、一対の振動腕部21,22の基端側から先端側に至る間に形成されている。
また、一対の振動腕部21,22には、これら振動腕部21,22を幅方向Wに振動させる、互いに絶縁された2系統の励振電極が設けられている。
【0047】
基部20は、一対の振動腕部21,22の基端同士を一体に接続している。また、基部20には、一対の支持腕部23,24が形成されている。一対の支持腕部23,24は、平面視でL字状であり、一対の振動腕部21,22を幅方向Wの外側から取り囲んでいる。具体的に、一対の支持腕部23,24は、幅方向Wの外側に向けて突設された後、長さ方向Lに沿って一対の振動腕部21,22と平行に延在している。
【0048】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、一対の外部電極17a,17bに対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、一対の電極パッド16a,16bを介して、圧電振動片3の一対の振動腕部21,22の励振電極に電流を流すことができる。そして、これら励振電極の相互作用により一対の振動腕部21,22が互いに接近、離間する方向(幅方向W)に所定の共振周波数で振動する。この一対の振動腕部21,22の振動は、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として用いることができる。
【0049】
なお、本実施形態においては、圧電振動片3を用いた圧電振動子1として、セラミックパッケージタイプの表面実装型振動子について説明したが、圧電振動片3を、ガラス材によって形成されるベース基板およびリッド基板が陽極接合によって接合されるガラスパッケージタイプの圧電振動子1に適用することも可能である。
【0050】
また、本実施形態においては、圧電振動片3として、一対の振動腕部21,22に溝部25が形成されているものを用いたが、溝部25が形成されていない圧電振動片を用いてもよい。
【0051】
(圧電振動片の製造方法)
図2は、第1実施形態に係る圧電振動片3の製造方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、圧電振動片3は、外形形成工程(ステップS10)、電極形成工程(ステップS20)、重り金属膜形成工程(ステップS30)、周波数調整工程(ステップS40)、及び個片化工程(ステップS50)を経て製造される。
【0052】
外形形成工程は、水晶ウエハから圧電振動片3の外形を削り出す工程である。外形形成工程は、圧電振動片3に溝部25が無い場合は、メタルスパッタにより水晶ウエハの表面に保護膜を形成し、保護膜の上にフォトリソグラフィーにより圧電振動片3の外形形状に対応するフォトレジスト膜をパターニングする。そして、このフォトレジスト膜をマスクとしてメタルエッチングを行い、マスクされていない保護膜を選択的に除去する。その後、保護膜が除去された部分をエッチングすることにより、水晶ウエハから圧電振動片3の外形を削り出すことができる。
【0053】
圧電振動片3に溝部25が有る場合は、上述した外形形成時と同様に、パターニングされたエッチング保護膜上にフォトレジスト膜を成膜する。そして、フォトリソグラフィー技術によって、溝部25の領域を空けるようにフォトレジスト膜をパターニングする。そして、パターニングされたフォトレジスト膜をマスクとしてエッチングを行い、エッチング保護膜を選択的に除去する。その後、フォトレジスト膜を除去することで、既にパターニングされたエッチング保護膜を、溝部25の領域を空けた状態でさらにパターニングすることができる。次いで、この再度パターニングされたエッチング保護膜をマスクとして、水晶ウエハをエッチングした後、マスクとしていたエッチング保護膜を除去する。これにより、一対の振動腕部21,22の両主面上に溝部25をそれぞれ形成することができる。
【0054】
電極形成工程は、外形形成工程の後、圧電振動片3に電極を形成する工程である。電極形成工程では、メタルスパッタにより圧電振動片3の表面に電極膜を形成し、電極膜の上にフォトリソグラフィーにより所定の電極形状に対応するフォトレジスト膜をパターニングする。そして、このフォトレジスト膜をマスクとしてメタルエッチングを行い、マスクされていない電極膜を選択的に除去する。これにより、圧電振動片3に電極を形成することができる。
【0055】
重り金属膜形成工程は、電極形成工程後、圧電振動片3の一対の振動腕部21,22に周波数調整用の重りとなる金属膜を蒸着する工程である。なお、重り金属膜形成工程は、電極形成工程において同時に行ってもよい。
【0056】
周波数調整工程は、重り金属膜形成工程の後、圧電振動片3の周波数を調整する工程である。周波数調整工程では、圧電振動片3に駆動電圧を印加するため、測定器のプローブを押し当て、一対の振動腕部21,22を振動させる。そして、このとき測定された周波数と、予め設定された目標周波数との差に応じて、一対の振動腕部21,22に蒸着された重りをレーザートリミング等で部分的に除去する。これにより、圧電振動片3の周波数の目標周波数に調整することができる。
【0057】
個片化工程は、水晶ウエハから圧電振動片3を折り取って、圧電振動片3を個片化する工程である。個片化された圧電振動片3には、図1に示すように、その基部20に、第1折り取り痕26A及び第2折り取り痕26Bが形成される。
【0058】
第1折り取り痕26A及び第2折り取り痕26Bは、水晶の自然結晶面とは異なる構造の面(非結晶面)により形成された切断面を有し、例えば波状の凹凸を有する不均一な面となっている。第1折り取り痕26Aは、圧電振動片3の幅方向Wの中心位置に形成されている。また、第2折り取り痕26Bは、圧電振動片3の幅方向Wの中心位置から離間した位置に形成されている。第2折り取り痕26Bは、第1折り取り痕26Aよりも小さい折り取り痕である。
以上により、圧電振動片3を製造することができる。
【0059】
(水晶ウエハ)
図3は、第1実施形態に係る水晶ウエハ100の平面図である。なお、図3は、上記外形形成工程後の水晶ウエハ100を示している。
図3に示すように、水晶ウエハ100は、圧電振動片3と、この圧電振動片3を、連結部60を介して支持するフレーム部50と、を備えている。フレーム部50には、連結部60の他、製造過程に起因する複数の凸部51,52が形成されている。なお、複数の凸部51,52は、無くても構わない。
【0060】
連結部60は、第1連結部60Aと、第2連結部60Bと、を備えている。第1連結部60A及び第2連結部60Bは、それぞれフレーム部50から長さ方向Lに延在して、圧電振動片3の基部20に連結されている。第1連結部60Aは、切り欠きが形成された第1弱化部61Aを有する。第2連結部60Bは、切り欠きが形成され、第1弱化部61Aよりも剛性が低い第2弱化部61Bを有する。
【0061】
第1弱化部61A及び第2弱化部61Bに形成された切り欠きは、例えば、外形形成工程のエッチングによって形成されている。第1連結部60A及び第2連結部60Bは、第1弱化部61A及び第2弱化部61Bを起点として折り取ることができる。つまり、第1弱化部61Aの折り取り痕が、図1に示す第1折り取り痕26Aであり、第2弱化部61Bの折り取り痕が、図1に示す第2折り取り痕26Bとなる。
【0062】
図3に示すように、第1連結部60Aは、一対の振動腕部21,22の中間位置を通る基部20の中心線C上で、基部20と連結されている。第1連結部60Aは、圧電振動片3側よりもフレーム部50側の方が、幅が広い。具体的に、第1連結部60Aは、フレーム部50側において第1幅W1を有し、圧電振動片3側において第1幅W1よりも小さい第2幅W2を有する。さらに、第1連結部60Aは、圧電振動片3側の端部に位置する第1弱化部61Aにおいて、第2幅W2よりも小さい第3幅W3を有している。
【0063】
第1連結部60Aは、フレーム部50側から圧電振動片3側の第1弱化部61Aに至るまでの間、幅方向Wの寸法が第1幅W1から第2幅W2に徐々に小さくなっている。より詳しくは、第1連結部60Aの幅が減少する傾きは、フレーム部50側から圧電振動片3側に向かうに従って漸次小さくなっている。その結果、第1連結部60Aの幅方向Wの両側面は、曲面となっている。第1弱化部61Aにおいては、第1連結部60Aが局所的に括れて(切り欠かれて)おり、第1連結部60Aの最小幅となっている。
【0064】
第2連結部60Bは、基部20の中心線Cから離間した位置で、基部20と連結されている。本実施形態では、基部20に形成された一対の支持腕部23,24のうち、一方の支持腕部24の幅方向Wに直線状に延びる部分に、第2連結部60Bが連結されている。
【0065】
第2連結部60Bは、フレーム部50側から圧電振動片3側に至るまでの間、幅方向Wの寸法が第4幅W4で一定である。そして、第2連結部60Bは、圧電振動片3側の端部に位置する第2弱化部61Bにおいて、第4幅W4よりも小さい第5幅W5を有している。つまり、第2連結部60Bにおいては、フレーム部50側から圧電振動片3側の第2弱化部61Bに至るまで一定幅であり、第2弱化部61Bにおいて局所的に括れて(切り欠かれて)、その部分が最小幅となっている。
【0066】
第2連結部60Bの第4幅W4は、第1連結部60Aの第2幅W2より小さく、第1弱化部61Aの第3幅W3より大きい。また、第2弱化部61Bの第5幅W5は、第1弱化部61Aの第3幅W3より小さい。なお、本実施形態では、圧電振動片3、フレーム部50、及び連結部60を含む水晶ウエハ100の厚みは、一定である。つまり、第2弱化部61Bは、第1弱化部61Aよりも幅が小さく、また第1弱化部61Aよりも断面積が小さくなっている。
【0067】
このため、第2弱化部61Bは、第1弱化部61Aよりも剛性が低く、折り取り易くなっている。つまり、「剛性」とは、曲げ剛性を示すものである。なお、第2弱化部61Bは、第1弱化部61Aよりも本質的に剛性が低ければよく、例えば、第1弱化部61Aの幅以上であっても、例えば、第1弱化部61Aよりも厚みが薄くなっていればよい。また、第2弱化部61Bは、第1弱化部61Aの断面積以上であっても、例えば、レーザー照射や薬液等によりマイクロポア(細孔)を形成し、第1弱化部61Aよりも剛性が低くなっていればよい。
【0068】
図4は、第1実施形態に係る水晶ウエハ100の平面図である。なお、図4は、上記電極形成工程後の水晶ウエハ100を示している。
図4に示すように、圧電振動片3には、2系統の電極30,40が形成されている。一対の振動腕部21,22は、基部20から長さ方向Lに延伸するアーム部21a,22aと、アーム部21a,22aの先端に連設されたヘッド部21b,22bと、を備えている。
【0069】
アーム部21a,22aの外表面上には、励振電極31,41が形成されている。励振電極31,41は、所定の駆動電圧が印加されたときに、一対の振動腕部21,22を幅方向Wに振動させる。励振電極31,41は、互いに電気的に絶縁された状態でパターニングされている。
【0070】
ヘッド部21b,22bの外表面上には、重り金属膜32,42が形成されている。重り金属膜32,42は、一対の振動腕部21,22の先端における質量を増加させ、一対の振動腕部21,22を短縮したときに、共振周波数の上昇を抑制するために設けられている。本実施形態では、重り金属膜32は、励振電極31と一体で形成され、重り金属膜42は、励振電極41と一体に形成されている。
【0071】
一対の支持腕部23,24の外表面上には、圧電振動片3をパッケージ2に実装する際のマウント部として、マウント電極33,43それぞれ設けられている。具体的に、マウント電極33は、一対の支持腕部23,24のうち一方の支持腕部24に形成されている。マウント電極43は、一対の支持腕部23,24のうち他方の支持腕部23に形成されている。
【0072】
励振電極31,41と、マウント電極33,43は、引き回し電極34,44によりそれぞれ導通されている。引き回し電極34は、支持腕部24から基部20を経由して振動腕部22に至る経路に形成されている。引き回し電極44は、支持腕部23から、基部20を経由して振動腕部21に至る経路に形成されている。
なお、励振電極31,41、マウント電極33,43、及び、引き回し電極34,44は、例えば厚さ方向Tから見た平面視形状が一致するように圧電振動片3の両主面上に形成されている。
【0073】
基部20の主面上には、連結部60を通ってフレーム部50まで延伸する延伸電極35,45が形成されている。延伸電極35は、引き回し電極34から第2連結部60Bを通ってフレーム部50まで延伸している。また、延伸電極45は、引き回し電極44から第1連結部60Aを通ってフレーム部50まで延伸している。これにより、フレーム部50から圧電振動片3に電極を引き回しする際に、第1連結部60A及び第2連結部60Bの2通りのルートで電極を引き回しできる。仮に、連結部60が1本のみの場合は、例えば、連結部60の一方の主面に電極30を形成し、連結部60の他方の主面に電極40を形成して電極を引き回す必要がある。
【0074】
上記周波数調整工程では、フレーム部50上の電極30,40に測定器のプローブを押し当て、延伸電極35,45を介して励振電極31,41間に所定の駆動電圧を印加し、一対の振動腕部21,22を振動させる。これにより、圧電振動片3の周波数を測定することができる。そして、周波数調整工程の後、個片化工程にて水晶ウエハ100から圧電振動片3を折り取る。具体的には、圧電振動片3をフレーム部50に対して折り曲げるようにして、第1連結部60A及び第2連結部60Bを切断する。これにより、図1に示すように、第1連結部60Aに対応する部分には、第1折り取り痕26Aが形成され、第2連結部60Bに対応する部分には、第2折り取り痕26Bが形成される。
【0075】
以上説明したように、本実施形態の水晶ウエハ100は、図3に示すように、圧電振動片3と、圧電振動片3を、連結部60を介して支持するフレーム部50と、を備え、連結部60は、切り欠きが形成された弱化部を有し、連結部60として、第1弱化部61Aを有する第1連結部60Aと、第1弱化部61Aよりも剛性が低い第2弱化部61Bを有する第2連結部60Bと、を備える。
【0076】
本実施形態の水晶ウエハ100によれば、第1連結部60Aに加えて、第2連結部60Bを備えるため、第1連結部60Aのみの連結の場合よりも、水晶ウエハ100からの圧電振動片3の脱落を抑制できる。また、第2連結部60Bの第2弱化部61Bは、第1連結部60Aの第1弱化部61Aよりも剛性が低いため、第2連結部60Bを追加したとしても、水晶ウエハ100からの圧電振動片3の折り取り作業への影響は小さい。
【0077】
また、本実施形態の水晶ウエハ100において、第2弱化部61Bは、第1弱化部61Aよりも断面積が小さい。この構成によれば、第1弱化部61Aよりも第2弱化部61Bの断面積が小さいため、第2連結部60Bを破断し易くなる。
【0078】
また、本実施形態の水晶ウエハ100において、第2弱化部61Bは、第1弱化部61Aよりも幅が狭い。この構成によれば、第1弱化部61Aよりも第2弱化部61Bの幅が小さいため、第2連結部60Bを破断し易くなる。
【0079】
また、本実施形態の水晶ウエハ100において、図4に示すように、圧電振動片3に形成された励振電極31,41と、励振電極31,41から、連結部60を通ってフレーム部50まで延伸する延伸電極35,45と、を備え、当該延伸電極として、第1連結部60Aを通る延伸電極45(第1延伸電極)と、第2連結部60Bを通る延伸電極35(第2延伸電極)と、を備える。この構成によれば、水晶ウエハ100から圧電振動片3に電極30,40を引き回しする際に、第1連結部60A及び第2連結部60Bの2通りのルートで電極30,40を引き回しできるため、水晶ウエハ100から圧電振動片3への電極引き回し構造の自由度が高くなる。
【0080】
また、本実施形態の水晶ウエハ100において、図3に示すように、圧電振動片3は、連結部60と連結された基部20と、基部20から延伸する一対の振動腕部21,22と、を備え、第1連結部60Aは、一対の振動腕部21,22の中間位置を通る基部20の中心線C上で、基部20と連結され、第2連結部60Bは、基部20の中心線Cから離間した位置で、基部20と連結されている。この構成によれば、剛性の高い第1連結部60Aで、圧電振動片3の基部20の中心線C上を支持できるため、水晶ウエハ100からの圧電振動片3の脱落を抑制できる。また、剛性の低い第2連結部60Bを、基部20の中心位置から離れた位置に設け、圧電振動片3を補助的に支持することができる。
【0081】
また、本実施形態の水晶ウエハ100において、第1連結部60A及び第2連結部60Bの少なくとも一方(本実施形態では第1連結部60A)は、圧電振動片3側よりもフレーム部50側の方が、幅が広い。この構成によれば、連結部60がフレーム部50側で折れ難くなり、圧電振動片3の折り取り時に、連結部60が圧電振動片3側に残ること抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態の圧電振動片3は、図1に示すように、基部20と、基部20から延伸する一対の振動腕部21,22と、を備え、基部20には、第1折り取り痕26Aと、第1折り取り痕26Aよりも小さい第2折り取り痕26Bと、が形成されている。本態様に係る圧電振動片3によれば、歩留まりの高い品質のよい圧電振動片3が得られる。
【0083】
また、本実施形態の圧電振動子1は、圧電振動片3と、圧電振動片3を封止したパッケージ2と、を備える。本態様に係る圧電振動子1によれば、歩留まりの高い品質のよい圧電振動子が得られる。
【0084】
このように、本実施形態によれば、水晶ウエハ100からの振動子の折り取りの容易性を確保しつつ、水晶ウエハ100からの振動子の脱落を抑制し、歩留まりの高い品質のよい圧電振動片3、圧電振動子1を製造することができる。
【0085】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0086】
図5は、第2実施形態に係る水晶ウエハ100の平面図である。
図5に示すように、第2実施形態に係る水晶ウエハ100は、第1連結部60Aの両側に一対の第2連結部60Bを備えている点で、上記実施形態と異なる。
【0087】
一対の第2連結部60Bは、基部20の中心線Cから離間した位置で、それぞれ基部20と連結されている。第2本実施形態では、支持腕部23の幅方向Wに直線状に延びる部分と、支持腕部23の幅方向Wに直線状に延びる部分のそれぞれに第2連結部60Bが連結されている。基部20の中心線Cから支持腕部23側の第2連結部60Bまで距離D1は、基部20の中心線Cから支持腕部24側の第2連結部60Bまで距離D1と同じである。
【0088】
このように、第2実施形態の水晶ウエハ100において、第2連結部60Bは、第1連結部60Aの両側に一対で設けられ、基部20の中心線Cから等距離で基部20と連結されている。この構成によれば、第2連結部60Bを第1連結部60Aの両側に設け、基部20の中心線Cから等距離で基部20を支持するため、圧電振動片3の支持安定性を高めることができる。
【0089】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0090】
図6は、第3実施形態に係る水晶ウエハ100の平面図である。
図6に示すように、第3実施形態に係る水晶ウエハ100は、一対の第2連結部60Bの位置を、基部20の中心線Cからずらしている点で、上記実施形態と異なる。
【0091】
一対の第2連結部60Bは、基部20の中心線Cから離間した位置で、それぞれ基部20と連結されている。第2本実施形態では、支持腕部23の幅方向Wに直線状に延びる部分と、支持腕部23の幅方向Wに直線状に延びる部分のそれぞれに第2連結部60Bが連結されている。基部20の中心線Cから支持腕部23側の第2連結部60Bまで距離D2は、基部20の中心線Cから支持腕部24側の第2連結部60Bまで距離D1より小さい。
【0092】
このように、第3実施形態の水晶ウエハ100において、第2連結部60Bは、第1連結部60Aの両側に一対で設けられ、基部20の中心線Cから互いに異なる距離で基部20と連結されている。この構成によれば、水晶ウエハ100のエッチング残りを加味し、一対の第2連結部60Bの位置を基部20の中心線Cからずらすことで、エッチング残りの影響を小さくし圧電振動片3の折り取り時にかかる応力を最適化できる。
【0093】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0094】
図7は、第4実施形態に係る水晶ウエハ100の平面図である。
図7に示すように、第4実施形態に係る水晶ウエハ100は、第1連結部60Aと同様に、第2連結部60Bの幅も、圧電振動片3側よりフレーム部50側の方が広くなっている点で、上記実施形態と異なる。
【0095】
具体的に、第2連結部60Bは、フレーム部50側において第6幅W6を有し、圧電振動片3側において第6幅W6よりも小さい第7幅W7を有する。さらに、第2連結部60Bは、圧電振動片3側の端部に位置する第2弱化部61Bにおいて、第7幅W7よりも小さい第5幅W5を有している。
【0096】
第2連結部60Bは、フレーム部50側から圧電振動片3側の第2弱化部61Bに至るまでの間、幅方向Wの寸法が第6幅W6から第7幅W7に徐々に小さくなっている。より詳しくは、第2連結部60Bの幅が減少する傾きは、フレーム部50側から圧電振動片3側に向かうに従って漸次小さくなっている。その結果、第2連結部60Bの幅方向Wの両側面は、曲面となっている。第2弱化部61Bにおいては、第2連結部60Bが局所的に括れて(切り欠かれて)おり、第2連結部60Bの最小幅となっている。
【0097】
このように、第4実施形態の水晶ウエハ100において、第1連結部60A及び第2連結部60Bの少なくとも一方(第1連結部60A及び第2連結部60Bの両方)は、圧電振動片3側よりもフレーム部50側の方が、幅が広い。この構成によれば、連結部60がフレーム部50側で折れ難くなり、圧電振動片3の折り取り時に、連結部60が圧電振動片3側に残ること抑制することができる。
【0098】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0099】
図8は、第5実施形態に係る水晶ウエハ100の平面図である。
図8に示すように、第5実施形態に係る水晶ウエハ100は、第2連結部60Bの幅が段階的に、圧電振動片3側よりフレーム部50側の方が広くなっている点で、上記実施形態と異なる。
【0100】
具体的に、第2連結部60Bは、フレーム部50側において第8幅W8を有し、圧電振動片3側において第8幅W8よりも小さい第9幅W9を有する。さらに、第2連結部60Bは、圧電振動片3側の端部に位置する第2弱化部61Bにおいて、第9幅W9よりも小さい第5幅W5を有している。
【0101】
第2連結部60Bは、フレーム部50側から第2連結部60Bの長さ方向Lの中間位置に至るまでの間、幅方向Wの寸法が第8幅W8で一定である。そして、第2連結部60Bは、第2連結部60Bの長さ方向Lの中間位置から圧電振動片3側に至るまでの間、幅方向Wの寸法が第9幅W9で一定である。つまり、第2連結部60Bの長さ方向Lの中間位置には、段差部62Bが形成されている。第2連結部60Bにおいては、フレーム部50側から圧電振動片3側に至るまでの間に段階的に幅が小さくなり、第2弱化部61Bにおいて局所的に括れて(切り欠かれて)、その部分が最小幅となっている。
【0102】
このように、第5実施形態の水晶ウエハ100において、第2連結部60Bは、圧電振動片3側よりもフレーム部50側の方が、幅が広くなっている。この構成によれば、第2連結部60Bがフレーム部50側で折れ難くなり、圧電振動片3の折り取り時に、第2連結部60Bが圧電振動片3側に残ることを抑制することができる。
【0103】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらの開示は本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【0104】
例えば、上記実施形態では、上記実施形態では、圧電振動片3として、基部20から延設された一対の支持腕部23,24(サイドアーム)を備えた、いわゆるサイドアームタイプを例示したが、サイドアームが無いものであっても構わない。この場合、基部20をマウント部として、パッケージ2内に圧電振動片3を実装してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…圧電振動子、2…パッケージ、3…圧電振動片、4…キャビティ、10…パッケージ本体、11…封口板、12…第1ベース基板、13…第2ベース基板、13a…実装面、13b…突部、14…シールリング、15…切欠部、16a…電極パッド、16b…電極パッド、17a…外部電極、17b…外部電極、19…凹部、20…基部、21…振動腕部、21a…アーム部、21b…ヘッド部、22…振動腕部、22a…アーム部、22b…ヘッド部、23…支持腕部、24…支持腕部、25…溝部、26A…第1折り取り痕、26B…第2折り取り痕、30…電極、31…励振電極、32…重り金属膜、33…マウント電極、34…引き回し電極、35…延伸電極(第2延伸電極)、40…電極、41…励振電極、42…重り金属膜、43…マウント電極、44…引き回し電極、45…延伸電極(第1延伸電極)、50…フレーム部、51…凸部、52…凸部、60…連結部、60A…第1連結部、60B…第2連結部、61A…第1弱化部、61B…第2弱化部、62B…段差部、100…水晶ウエハ、C…中心線、D1…距離、D2…距離、W1…第1幅、W2…第2幅、W3…第3幅、W4…第4幅、W5…第5幅、W6…第6幅、W7…第7幅、W8…第8幅、W9…第9幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8