(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076438
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】ガイディングカテーテルおよびその操作方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240530BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
A61M25/00 620
A61M25/06 550
A61M25/00 510
A61M25/00 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187938
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敦志
(72)【発明者】
【氏名】金子 和弘
(72)【発明者】
【氏名】本田 紘太
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA15
4C267AA34
4C267BB07
4C267BB11
4C267BB15
4C267BB40
4C267CC08
4C267GG21
4C267HH03
(57)【要約】
【課題】管状シャフトに湾曲した基部湾曲部を備えても、トルク伝達性が良く、かつ回転時のトルクの大きな波の発生を抑制できるガイディングカテーテルおよびその操作方法を提供する。
【解決手段】基端から先端へ延在する長尺な管状シャフト2およびハブ3を有し、管状シャフト2が先端および基端よりも有効長の中央に近い位置に湾曲した基部湾曲部53を有するガイディングカテーテル1であって、管状シャフト2は、管状シャフト2の内周面を形成する内層10と、内層10の外周側を覆う外層30と、内層10および外層30に挟まれて配置される補強体20と、先端チップ40と、を有し、補強体20は、長方形の断面形状を備える複数の金属製の平板線21を編組して形成され、平板線21の少なくとも4分の1がタングステン製である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端から先端へ延在する長尺な管状シャフトおよびハブを有し、前記管状シャフトが先端および基端よりも有効長の中央に近い位置に湾曲した基部湾曲部を有するガイディングカテーテルであって、
前記管状シャフトは、前記管状シャフトの内周面を形成する内層と、前記内層の外周側を覆う外層と、前記内層および前記外層に挟まれて配置される補強体と、先端チップと、を有し、
前記補強体は、長方形の断面形状を備える複数の金属製の平板線を編組して形成され、
前記平板線の少なくとも4分の1がタングステン製であるガイディングカカテーテル。
【請求項2】
前記管状シャフトは、前記基部湾曲部よりも先端側に、湾曲した先端部湾曲部を有する請求項1に記載のガイディングカテーテル。
【請求項3】
全ての前記平板線がタングステン製である請求項1または2に記載のガイディングカテーテル。
【請求項4】
前記基部湾曲部の軸心が湾曲する角度は、175度以上、185度以下である請求項1または2に記載のガイディングカテーテル。
【請求項5】
前記基部湾曲部の軸心の曲率半径は、10mm以上であって50mm以下である請求項1または2に記載のガイディングカテーテル。
【請求項6】
前記基部湾曲部の頂点の位置は、前記管状シャフトの先端から基端側へ前記管状シャフトの有効長に対して40%以上であって60%以下の範囲に配置される請求項1または2に記載のガイディングカテーテル。
【請求項7】
基端から先端へ延在する長尺な管状シャフトおよびハブを有し、前記管状シャフトが先端および基端よりも有効長の中央に近い位置に湾曲した基部湾曲部を有するガイディングカテーテルの操作方法であって、
前記管状シャフトを橈骨動脈から挿入して鎖骨下動脈および大動脈に通して冠動脈に係合させる際、腋窩動脈の小胸筋の後部に位置する第2部よりも末梢側に前記基部湾曲部を配置して、前記ガイディングカテーテルの体外に配置される部位を回転操作して前記管状シャフトの先端部を前記冠動脈に係合させる、ガイディングカテーテルの操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管等の管腔内で使用されるガイディングカテーテルおよびその操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外科的侵襲が非常に低いという理由から、カテーテルを用いた血管等の管腔内の治療が盛んに行われている。治療用のカテーテル等を目的の部位まで挿入するために、カテーテル等の誘導するルーメンを備えたガイディングカテーテルが使用される(例えば、特許文献1を参照)。ガイディングカテーテルは、体外に配置される基端部を操作することで、先端部を目的の部位まで挿入する必要があるため、トルク伝達性等の操作性に優れることが望まれる。
【0003】
一方、ガイディングカテーテルは長尺であるため、真っ直ぐな状態のまま包装すると非常に嵩張る。しかしながら、コスト削減や環境への配慮を目的として、ガイディングカテーテルの包装袋を減少させることが望まれている。このため、ガイディングカテーテルの長尺な管状シャフトに湾曲部を形成し、折り曲げた状態で小さな包装袋に包装することが、有効な手段として考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガイディングカテーテルの長尺な管状シャフトに湾曲部が形成されると、管状シャフトが血管内で回転する際に湾曲部が血管で円滑に回転できず、トルク伝達性を低下させる可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、管状シャフトに湾曲した基部湾曲部を備えても、トルク伝達性が良く、かつ回転時のトルクの大きな波の発生を抑制できるガイディングカテーテルおよびその操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、下記(1)に記載の発明により達成される。
【0008】
(1) 本発明に係るガイディングカテーテルは、基端から先端へ延在する長尺な管状シャフトおよびハブを有し、前記管状シャフトが先端および基端よりも有効長の中央に近い位置に湾曲した基部湾曲部を有するガイディングカテーテルであって、前記管状シャフトは、前記管状シャフトの内周面を形成する内層と、前記内層の外周側を覆う外層と、前記内層および前記外層に挟まれて配置される補強体と、先端チップと、を有し、前記補強体は、長方形の断面形状を備える複数の金属製の平板線を編組して形成され、前記平板線の少なくとも4分の1がタングステン製である。
【発明の効果】
【0009】
上記(1)に記載のガイディングカテーテルは、管状シャフトに湾曲した基部湾曲部を備えても、タングステン製の平板線の特性により、トルク伝達性が良く、かつ回転時のトルクの大きな波の発生を抑制できる。
【0010】
(2) 上記(1)に記載のガイディングカテーテルにおいて、前記管状シャフトは、前記基部湾曲部よりも先端側に、湾曲した先端部湾曲部を有してもよい。これにより、ガイディングカテーテルは、先端部湾曲部の湾曲を利用して、係合対象部位(例えば、冠動脈)に係合されることが容易である。また、ガイディングカテーテルは、管状シャフトに湾曲した先端部湾曲部を備えても、タングステン製の平板線の特性により、トルク伝達性が良く、かつ回転時のトルクの大きな波の発生を抑制できる。
【0011】
(3) 上記(1)または(2)に記載のガイディングカテーテルにおいて、全ての前記平板線がタングステン製であってもよい。これにより、ガイディングカテーテルは、管状シャフトに湾曲した基部湾曲部を備えても、血管内でのトルク伝達性が非常に良く、かつ回転時のトルクの大きな波の発生を効果的に抑制できる。
【0012】
(4) 上記(1)~(3)のいずれか1つに記載のガイディングカテーテルにおいて、前記基部湾曲部の軸心が湾曲する角度は、175度以上、185度以下であってもよい。これにより、ガイディングカテーテルは、管状シャフトが基部湾曲部で折り返されて、小さな梱包袋へ梱包することが容易である。
【0013】
(5) 上記(1)~(4)のいずれか1つに記載のガイディングカテーテルにおいて、前記基部湾曲部の軸心の曲率半径は、10mm以上であって50mm以下であってもよい。これにより、カテーテルは、小さな梱包袋へ梱包可能であるとともに、血管への挿入時に真っ直ぐに延びるように変形して血管に追従した形状となりやすく、回転時のトルクの大きな波の発生を抑制できる。
【0014】
(6) 上記(1)~(5)のいずれか1つに記載のガイディングカテーテルにおいて、前記基部湾曲部の軸心に沿う長さの中心である湾曲中心の位置は、前記管状シャフトの先端から基端側へ前記管状シャフトの有効長に対して40%以上であって60%以下の範囲に配置されてもよい。これにより、橈骨動脈から挿入されたガイディングカテーテルを冠動脈口に係合させる際に、基部湾曲部は、湾曲した鎖骨下動脈よりも橈骨動脈に近い側の動脈に配置されることで、管状シャフトの回転時のトルクの大きな波の発生を効果的に抑制できる。より具体的には、鎖骨下動脈は末梢へ向かって脇の下付近にさしかかり、腋窩動脈と呼び名を変える。さらに、動脈は、末梢へ向かって大円筋下縁を通過後、上腕動脈と呼ばれる。腋窩動脈は小胸筋より上部に位置する第1部、小胸筋の後部に位置する第2部、小胸筋より下部に位置する第3部を有するとしたときに、腋窩動脈の第2部よりも末梢側に基部湾曲部の湾曲中心を配置することで、管状シャフトの回転時のトルクの大きな波の発生を効果的に抑制できる。
【0015】
(7) 本発明に係るガイディングカテーテルの操作方法は、基端から先端へ延在する長尺な管状シャフトおよびハブを有し、前記管状シャフトが先端および基端よりも有効長の中央に近い位置に湾曲した基部湾曲部を有するガイディングカテーテルの操作方法であって、前記管状シャフトを橈骨動脈から挿入して鎖骨下動脈および大動脈に通して冠動脈に係合させる際、腋窩動脈の小胸筋の後部に位置する第2部よりも末梢側の動脈に前記基部湾曲部を配置して、前記ガイディングカテーテルの体外に配置される部位を回転操作して前記管状シャフトの先端部を前記冠動脈に係合させる。これにより、本操作方法は、管状シャフトの湾曲した基部湾曲部を、湾曲した鎖骨下動脈ではなく、鎖骨下動脈よりも橈骨動脈に近い側の真っ直ぐに近い動脈に配置するため、管状シャフトを血管内で回転させる際のトルクの大きな波の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る包装したガイディングカテーテルを示す平面図である。
【
図2】実施形態に係るガイディングカテーテルの先端部を示す断面図である。
【
図4】実施形態に係るガイディングカテーテルの外層を透過して示す平面図である。
【
図5】トルク伝達性評価試験に使用される試験装置による第1評価試験を示す概略図である。
【
図6】トルク伝達性評価試験の第1評価試験の結果を示す、入力角に対する出力角を示すグラフである。
【
図7】トルク伝達性評価試験に使用される試験装置による第2評価試験を示す概略図である。
【
図8】トルク伝達性評価試験の第2評価試験の結果を示す、入力角に対する出力角を示すグラフである。
【
図9】操作性評価試験に使用される試験モデルを示す概略図である。
【
図10】補強体の平板線の材料に応じた、管状シャフトの曲げ剛性に対するトルク伝達性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法は、説明の都合上、誇張されて実際の寸法とは異なる場合がある。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。本明細書において、ガイディングカテーテルの生体管腔に挿入する側を「先端側」、操作する側を「基端側」と称することとする。
【0018】
本実施形態に係るガイディングカテーテル1は、右腕または左腕の橈骨動脈から血管内に導入されて右鎖骨下動脈または左鎖骨下動脈、および大動脈を通って右冠動脈または左冠動脈の入口に係合(エンゲージ)されるガイディングカテーテル1である。ガイディングカテーテル1は、冠動脈内へ治療用のカテーテルを導くために使用される。
【0019】
ガイディングカテーテル1は、
図1に示すように、長尺な管状シャフト2と、管状シャフト2の基端に連結されるハブ3と、管状シャフト2およびハブ3の連結部位に設けられる耐キンクプロテクタ4とを有している。ガイディングカテーテル1は、包装袋6に包装された状態で滅菌され、保管や運搬が行われる。ガイディングカテーテル1は滅菌前に基部湾曲部を形成してもよく、滅菌時の加熱によって基部湾曲部を形成されてもよく、滅菌前の基部湾曲部が滅菌によってさらに折り返す角度が変化してもよい。
【0020】
管状シャフト2は、
図1~4に示すように、可撓性を有する長尺な管状の部材であり、基端から先端にかけて内部にルーメン5が形成されている。ルーメン5は、ガイディングカテーテル1の血管への挿入時に、治療用のカテーテルやガイドワイヤーが挿通される。また、ルーメン5は、薬液、塞栓物質、造影剤、他の医療器具等の通路として用いることもできる。
【0021】
管状シャフト2の有効長は、特に限定されないが、好ましくは800mm~1200mmであり、より好ましくは900mm~1100mm、さらに好ましくは950mm~1050mmである。これにより、ガイディングカテーテル1は、右腕または左腕の橈骨動脈から右鎖骨下動脈または左鎖骨下動脈を通り、大動脈弓および上行大動脈を通って、右冠動脈または左冠動脈の入口に到達可能である。なお、管状シャフト2の有効長は、血管やシース等の挿入対象へ挿入可能な部位の長さである。本実施形態において、有効長は、耐キンクプロテクタ4の最先端から管状シャフト2の最先端までの長さである。なお、有効長は、部分的に湾曲している管状シャフト2の湾曲している軸心Xに沿う長さであり、曲がった部位を真っ直ぐに延ばした状態の管状シャフト2の真っ直ぐな軸心Xの長さでもある。
【0022】
管状シャフト2は、ルーメン5の内表面11を形成する内層10と、内層10の外側に形成される補強体20と、内層10および補強体20の外側に形成される外層30と、先端チップ40とを備えている。管状シャフト2の厚みは、補強体20の厚みよりも大きい。このため、補強体20を、管状シャフト2の内部に完全に埋設することができる。
【0023】
内層10は、内部にルーメン5が形成されている。内層10の内径は、特に限定されないが、好ましくは1.27mm~2.16mmであり、より好ましくは1.50mm~2.06mm、さらに好ましくは1.75mm~1.85mmである。内層10の内径は、管状シャフト2の軸心Xの方向に沿って変化してもよい。
【0024】
内層10の構成材料は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等を適用でき、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)等の低摩擦材料等が好ましい。
【0025】
外層30は、内層10および補強体20の外周囲を覆う管状の部材である。外層30は、管状シャフト2の外表面31を形成する。
【0026】
外層30の構成材料は、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、或いはこれら二種以上の混合物等)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素樹脂等の高分子材料或いはこれらの混合物等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を適用できる。外層30には、X線不透過物質を混合してもよい。
【0027】
先端チップ40は、接触する生体への負担を低減するために、管状シャフト2の最先端に配置される柔軟な管状の部材である。先端チップ40は、内層10および外層30の先端面に接合されている。先端チップ40は、外層30の先端面および内層10の外周面に接合されてもよい。先端チップ40の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、フッ素樹脂系エラストマー、シリコーン樹脂など外層30より柔軟な材料あるいは硬度が低いものが好適に使用できる。
【0028】
補強体20は、複数の金属製の平板線21を編組して形成される。各々の平板線21は、平板線21の延在方向と直交する断面形状が長方形であり、延在方向へ均一な断面形状を有している。各々の平板線21は、長方形断面の長辺が位置する面が、管状シャフト2の径方向の内側または外側を向くように配置されることが好ましい。平板線21は、巻き方向が逆方向である右巻き・左巻きのそれぞれに複数本設けられ、右巻きの平板線21と左巻きの平板線21が同数であることが好ましい。なお、ここで使用される右および左の表現は、管状シャフト2の周方向に沿う逆向きの2方向を区別するために便宜的に使用されるものであり、それ以外の構成を限定するものではない。右巻きの複数の平板線21は、管状シャフト2の周方向に略均等に配置され、左巻きの複数の平板線21は、管状シャフト2の周方向に略均等に配置される。
【0029】
本実施形態において、平板線21は、右巻き・左巻きのそれぞれに8本ずつ設けられ、合計16本のそれぞれの平板線21が、2本毎に交互に編み込まれる。なお、平板線21の編組の形態は、これに限定されない。また、複数の平板線21の巻きピッチ、格子間距離、周方向に対する傾斜角度等を位置によって変更してもよい。
【0030】
平板線21は、ステンレス鋼、白金(Pt)、タングステン(W)等の金属線である。平板線21の総数(本実施形態では16本)に対する少なくとも1本が、タングステン(W)製であることが好ましい。タングステン製の平板線21の数は、平板線21の全数に対する4分の1以上であることが好ましく、より好ましくは2分の1以上であり、さらに好ましくは全てである。平板線21の総数に対する少なくとも1本がタングステン製であり、残りの平板線21がステンレス鋼製であってもよい。
【0031】
なお、本明細書におけるタングステンは、高純度なタングステンのみに限定されず、例えばNi,Fe,Cu等の、不純物を含むタングステン化合物も含まれる。
【0032】
タングステンは、ステンレス鋼よりも密度が高く、ステンレス鋼よりもX線不透過性が高く、ステンレス鋼よりもヤング率が高く、ステンレス鋼よりも靭性(粘り強さ)が低い。
【0033】
平板線21の長方形断面の短辺の長さを平板線21の厚さと定義した場合、平板線21の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.01mm~0.10mmであり、より好ましくは0.02mm~0.08mmであり、さらに好ましくは0.02mm~0.05mmである。平板線21の長方形断面の長辺の長さを平板線21の幅と定義した場合、平板線21の幅は、特に限定されないが、好ましくは0.02mm~1.00mmであり、より好ましくは0.04mm~0.50mmであり、さらに好ましくは0.08mm~0.13mmである。
【0034】
また、管状シャフト2は、先端部近傍に形成される先端部湾曲部51と、先端部湾曲部51の基端側に形成される第1線状部52と、第1線状部52よりも基端側に形成される基部湾曲部53と、基部湾曲部53の基端側に形成される第2線状部54とを備えている。
【0035】
先端部湾曲部51は、外力が作用しない自然状態において、管状シャフト2の先端部の進行方向を変更できるように、湾曲して形状付けられている。先端部湾曲部51は、内部に補強体20が配置されている。先端部湾曲部51に位置する軸心Xは、湾曲している。さらに、先端部湾曲部51は、管状シャフト2の先端部を係合対象部位(例えば、左冠動脈や右冠動脈の冠動脈口)に挿入して係合(エンゲージ)するために適した所望の形状で湾曲している。なお、先端部湾曲部51の湾曲形状は、特に限定されない。
【0036】
第1線状部52は、外力が作用しない自然状態において、先端部湾曲部51の基端から基部湾曲部53の先端まで略直線的に延びる部位である。第1線状部52に位置する軸心Xは、直線的に延びている。
【0037】
基部湾曲部53は、外力が作用しない自然状態において、管状シャフト2の軸心Xが略逆方向へ折り返すように湾曲して形状付けられている。基部湾曲部53は、管状シャフト2の先端および基端よりも、当該管状シャフト2の有効長の中央に近い位置に形成される。基部湾曲部3は、内部に補強体20が配置されている。基部湾曲部53に位置する軸心Xは、湾曲している。自然状態において、基部湾曲部53の軸心Xが折り返す角度は、特に限定されないが、好ましくは60度~225度であり、より好ましくは90度~200度であり、さらに好ましくは130度~190度であり、さらに好ましくは175度~185度以下であり、本実施形態では180度である。基部湾曲部53の軸心Xが折り返す角度が0度の場合、軸心Xは折り返されずに真っ直ぐであり、基部湾曲部53の軸心Xが折り返す角度が180度の場合、軸心Xは反対方向へ折り返される。
【0038】
基部湾曲部53における管状シャフト2の軸心Xの曲率半径は、特に限定されないが、好ましくは10mm~50mmであり、より好ましくは15mm~40mmであり、さらに好ましくは20mm~30mmである。基部湾曲部53の湾曲中心55、すなわち、基部湾曲部53に位置する軸心Xの長さ方向の中心が配置される部位は、管状シャフト2の先端から基端側へ管状シャフト2の有効長に対して40%以上であって60%以下の範囲に配置されることが好ましい。また、湾曲中心55は、管状シャフト2の先端から基端側へ管状シャフト2の有効長に対して50%以上の範囲に配置されることが好ましい。
【0039】
基部湾曲部53に位置する軸心Xの先端と基端との間の直線距離Lは、特に限定されないが、好ましくは20mm~100mmであり、より好ましくは30mm~80mmであり、さらに好ましくは40mm~60mmである。
【0040】
第2線状部54は、外力が作用しない自然状態において、基部湾曲部53の基端からハブ3まで略直線的に延びる部位である。第2線状部54に位置する軸心Xは、直線的に延びている。
【0041】
ハブ3は、管状シャフト2の基端部が接着剤、熱融着または止具(図示せず)等により液密に固着されている。ハブ3は、ルーメン5内への治療用のカテーテルやガイドワイヤー等の挿入口、ルーメン5内への薬液や塞栓物質、造影剤等の注入口等として機能し、また、ガイディングカテーテル1を操作する際の把持部としても機能する。ハブ3の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート-ブチレン-スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。
【0042】
耐キンクプロテクタ4は、管状シャフト2の周囲を囲むように設けられる弾性材料からなり、管状シャフト2とハブ3の連結部位における管状シャフト2のキンクを抑制する。耐キンクプロテクタ4の構成材料は、例えば、天然ゴム、シリコーン樹脂等が好適に使用できる。
【0043】
<トルク伝達性評価試験>
図5および7に示す試験装置100を使用して、ガイディングカテーテル1のトルク伝達性を評価する試験を行った。試験装置100は、ハブ3にトルクを作用させる入力部110と、ガイディングカテーテル1の先端の出力角を検出する検出部120と、血管内腔を模擬した湾曲した通路131を備える治具130とを有していた。入力部110は、ガイディングカテーテル1の基端部が鉛直下方へ向かうように、ハブ3を把持した。検出部120は、鉛直上方へ向かって延びるガイディングカテーテル1の先端部を受けるように、ガイディングカテーテル1の先端部を把持した。治具130の通路131は、ガイディングカテーテル1が挿入される第1開口部132と、第1開口部132から鉛直下方へ真っ直ぐに延びる直状通路133と、一定の曲率半径(70mm)で湾曲し、下方へ向かう通路131を上方へ向かうように180度の角度で折り返す湾曲通路134と、ガイディングカテーテル1が導出される第2開口部135と、を備えていた。湾曲通路134の一端は直状通路133に連通し、湾曲通路134の他端は第2開口部135に連通した。直状通路133の長さは360mmであり、通路131の内径は6mmであった。治具130の通路131は、第1開口部132から第2開口部135の間の全体を常温の水道水で満たされていた。なお、治具130の湾曲通路134は、湾曲した血管である鎖骨下動脈を模擬し、直状通路133は、鎖骨下動脈よりも橈骨動脈に近い側の動脈を模擬した。
【0044】
試験では、タングステン製の平板線21の比率が異なる後述の第1実施例、第2実施例および第1比較例のガイディングカテーテル1を準備し、各々のガイディングカテーテル1で、入力部110によりハブ3に時計回りに3回転のトルクを作用させて、入力部110における入力角(度(degree))と、検出部120における出力角(度(degree))とを検出した。各々のガイディングカテーテル1は、管状シャフト2を基部湾曲部53で湾曲させた状態で包装袋6に包装され、エチレンオキサイド(EO)滅菌を行われた後に、包装袋6から取り出された。包装された状態のガイディングカテーテル1の基部湾曲部53の曲率はR2.5(曲率半径は400mm)であった。
【0045】
第1比較例、第1実施例および第2実施例の平板線21の条件は、表1の通りであった。
【0046】
【0047】
<第1比較例>
16本のステンレス鋼製の平板線21を準備し、右巻き8本、左巻き8本の合計16本の平板線21を、2本毎に交互に編み込んだ補強体20を備えるガイディングカテーテル1を作成し、第1比較例とした。平板線21の幅は0.110mmであり、厚さは0.035mmであった。ガイディングカテーテル1の外径は6フレンチであった。
【0048】
<第1実施例>
12本のステンレス鋼製の平板線21と、4本のタングステン製の平板線21を準備し、右巻き8本(ステンレス鋼製6本、タングステン製2本)、左巻き8本(ステンレス鋼製6本、タングステン製2本)の合計16本の平板線21を、2本毎に交互に編み込んだ補強体20を備えるガイディングカテーテル1を作成し、第1実施例とした。平板線21の幅は0.110mmであり、厚さは0.035mmであった。右巻きおよび左巻きのそれぞれにおいて、タングステン製の平板線21は、周方向に均等に配置されるようにステンレス鋼製の平板線21に挟まれて配置された。ガイディングカテーテル1はHRIIであり、ガイディングカテーテル1の外径は6フレンチ(2.05mm)であった。
【0049】
<第2実施例>
16本のタングステン製の平板線21を準備し、右巻き8本、左巻き8本の合計16本の平板線21を、2本毎に交互に編み込んだ補強体20を備えるガイディングカテーテル1を作成し、第2実施例とした。平板線21の幅は0.110mmであり、厚さは0.035mmであった。ガイディングカテーテル1の外径は6フレンチであった。
【0050】
トルク伝達性評価試験は、
図5に示すように、ガイディングカテーテル1の基部湾曲部53を治具130の湾曲通路134に配置した状態での第1評価試験と、
図7に示すように、ガイディングカテーテル1の基部湾曲部53を治具130の直状通路133に配置した状態での第2評価試験とを行った。第1評価試験では、検出部120が入力部110と略同じ高さに位置し、治具130から検出部120までの高さHが約200mmであったのに対し、第2評価試験では、検出部120が入力部110よりも低く、治具130から検出部120までの高さHが900mmであった。
【0051】
図5に示す第1評価試験の結果を、
図6に、入力角(度(degree))に対する出力角(度(degree))のグラフで示す。この結果より、第1比較例、第1実施例および第2実施例のいずれにおいても、出力角にトルクの大きな波が発生した。トルクの大きな波は、ガイディングカテーテル1の基部湾曲部53が、鎖骨下動脈を模擬した湾曲通路134の内部で滑らかに回転できず、ガイディングカテーテル1の先端部の回転が基端部の回転に良好に追従できないことにより生じると考えられる。
【0052】
図7に示す第2評価試験の結果を、
図8に、入力角(度(degree))に対する出力角(度(degree))のグラフで示す。なお、直状通路133は、を鎖骨下動脈よりも橈骨動脈に近い側の、直線状に近い動脈を模擬している。この結果より、第1比較例では、出力角にトルクの大きな波が発生したが、第1実施例および第2実施例では、トルクの大きな波が発生しなかった。また、全ての平板線21がタングステン製である第2実施例の方が、平板線21の1/4がタングステン製である第1実施例よりも理想線(出力角が入力角と等しい線)に近かった。これにより、第1実施例よりも第2実施例において、ガイディングカテーテル1の先端部の回転が基端部の回転に良好に追従することが確認された。
【0053】
したがって、
図6に示す第1評価試験および
図8に示す第2評価試験の結果から、基部湾曲部53を鎖骨下動脈よりも橈骨動脈に近い側の動脈に配置し、平板線21の1/4以上をタングステン製とすることで、ガイディングカテーテル1の先端部の回転が基端部の回転に良好に追従することが確認された。
【0054】
<操作性評価試験>
図9に示す試験モデル200に使用して、操作者の感覚により操作性を評価する試験を行った。試験モデル200は、柔軟で透明または半透明の材料により、血管を模擬して形成されたモデルであった。試験モデル200は、血管内腔を模擬する通路201が形成されていた。通路201は、右鎖骨下動脈を模擬する湾曲した湾曲通路202と、右鎖骨下動脈よりも右橈骨動脈に近い側の動脈を模擬する直線状に近い直状通路203と、大動脈を模擬する、直状通路203よりも大きな内径を備えた大径通路204と、左冠動脈口を模擬する第1挿入口205と、右冠動脈口を模擬する第2挿入口206とを有していた。直状通路203は、湾曲通路202に連通する側の反対側に、外部へ開口する開口部207が形成されていた。試験モデル200の材料は、シリコーン樹脂であった。湾曲通路202および直状通路203の内径は、5mmであった。試験モデル200の通路201内は、常温の水道水で満たされていた。
【0055】
試験では、上述の実施例1、実施例2および第1比較例に加えて、基部湾曲部53を備えない点以外は第1比較例と同様の構成を備える第2比較例を準備した。次に、試験者は、各々のガイディングカテーテル1を、試験モデル200の開口部207から通路201に挿入し、直状通路203、湾曲通路202、大径通路204を通して、第1挿入口205にガイディングカテーテル1の先端部を係合させる試験を行い、操作性を評価した。第1挿入口205にガイディングカテーテル1の先端部を係合させる際に、実施例1、実施例2および第1比較例の基部湾曲部53は、直状通路203に配置された。
【0056】
評価は、ダイレクト感(操作する手の力の、ガイディングカテーテル1の先端への伝達感)、滑らかさ(トルクの大きな波の有無)、プッシュ感(ガイディングカテーテル1の血管内搬送時のへたりの少なさ)で行った。ダイレクト感が良い場合、操作者の手の力をガイディングカテーテル1の先端部へ効率よく伝達できる。したがって、操作者は、ガイディングカテーテル1の先端部の動作を手によってダイレクトに感じることができる。滑らかさが良い場合、トルクの大きな波が発生しにくいため、操作者は、ガイディングカテーテル1の回転を滑らかに操作できる。プッシュ感が良い場合、ガイディングカテーテル1の血管内搬送時に管状シャフト2にへたりが生じにくいため、操作者は、ガイディングカテーテル1を押し込む操作を滑らかに行うことができる。結果を、表2に示す。表2において、“○”は”非常に良い”、“△”は”良い”を表している。
【0057】
【0058】
表2に示すように、基部湾曲部53を有する第1比較例、第1実施例および第2実施例であっても、基部湾曲部53を有さない第2比較例と比較して、操作性の大きな低下は見られず、手技が行えないなどの支障は発生しなかった。また、全ての平板線21がタングステン製である第2実施例は、総じて良い結果を得た。すなわち、全ての平板線21がタングステン製である第2実施例は、操作性に影響を与えやすい基部湾曲部53を有するにもかかわらず、基部湾曲部53を有さない第2比較例よりもよい結果を得た。また、第2実施例は、全ての平板線21がステンレス鋼製であって基部湾曲部53を有する第1比較例よりも、ダイレクト感においてよい結果を得た。
【0059】
1/4の平板線21がタングステン製であって基部湾曲部53を有する第1実施例は、全ての平板線21がステンレス鋼製であって基部湾曲部53を有する第1比較例と比較して、ダイレクト感およびプッシュ感では大きな差は発生せず、滑らかさが多少劣ったが、十分な操作性を示す結果を得た。
【0060】
<考察>
全ての平板線21がタングステン製である第2実施例は、ステンレス鋼よりもヤング率が高いタングステンの特性により、
図10に示すように、第1比較例と比較してトルク伝達性が非常に良いが、ステンレス鋼よりも靭性が低いタングステンの特性により、第1比較例と比較して管状シャフト2の曲げ剛性は低くなり得る。
【0061】
また、1/4の平板線21がタングステン製である第1実施例は、ステンレス鋼よりも高いヤング率を有するタングステンの特性により、全ての平板線21がステンレス鋼製である第1比較例と比較してトルク伝達性が少し良いが、ステンレス鋼よりもヤング率が高く靭性が低いタングステンの特性により、第1比較例と比較して管状シャフト2の曲げ剛性は高くなり得る。したがって、意図的に
図10に示す特性を有すように、ガイディングカテーテル1を設計することが可能と考えられる。
【0062】
以上のように、本実施形態に係るガイディングカテーテル1は、基端から先端へ延在する長尺な管状シャフト2およびハブ3を有し、管状シャフト2が先端および基端よりも有効長の中央に近い位置に湾曲した基部湾曲部53を有するガイディングカテーテル1であって、管状シャフト2は、管状シャフト2の内周面を形成する内層10と、内層10の外周側を覆う外層30と、内層10および外層30に挟まれて配置される補強体20と、先端チップ40と、を有し、補強体20は、長方形の断面形状を備える複数の金属製の平板線21を編組して形成され、平板線21の少なくとも4分の1がタングステン製である。これにより、ガイディングカテーテル1は、管状シャフト2に湾曲した基部湾曲部53を備えても、ヤング率が高く靭性が低いタングステン製の平板線21の特性により、トルク伝達性が良く、かつ回転時のトルクの大きな波の発生を抑制できる。
【0063】
管状シャフト2は、基部湾曲部53よりも先端側に、湾曲した先端部湾曲部51を有する。これにより、ガイディングカテーテル1は、先端部湾曲部51の湾曲を利用して、係合対象部位(例えば、冠動脈)に係合されることが容易である。また、ガイディングカテーテル1は、管状シャフト2に湾曲した先端部湾曲部51を備えても、ヤング率が高く靭性が低いタングステン製の平板線21の特性により、トルク伝達性が良く、かつ回転時のトルクの大きな波の発生を抑制できる。
【0064】
ガイディングカテーテル1の全ての平板線21がタングステン製であってもよい。これにより、ガイディングカテーテル1は、管状シャフト2に湾曲した基部湾曲部53を備えても、血管内でのトルク伝達性が非常に良く、かつ回転時のトルクの大きな波の発生を効果的に抑制できる。
【0065】
基部湾曲部53の軸心Xが湾曲する角度は、特に限定されないが、好ましくは175度以上、185度以下であり、本実施形態は180度である。。これにより、ガイディングカテーテル1は、管状シャフト2が基部湾曲部53で折り返さえて、小さな梱包袋へ梱包することが容易である。
【0066】
基部湾曲部53の軸心Xの曲率半径は、10mm以上であって50mm以下である。これにより、カテーテルは、小さな梱包袋へ梱包可能であるとともに、血管への挿入時に血管に追従した形状となりやすく、回転時のトルクの大きな波の発生を抑制できる。
【0067】
基部湾曲部53の軸心Xに沿う長さの中心である湾曲中心55の位置は、管状シャフト2の先端から基端側へ管状シャフト2の有効長に対して40%以上であって60%以下の範囲に配置される。これにより、橈骨動脈から挿入されたガイディングカテーテル1を冠動脈口に係合させる際に、基部湾曲部53は、湾曲した鎖骨下動脈よりも橈骨動脈に近い側の動脈に配置されることで、管状シャフト2の回転時のトルクの大きな波の発生を効果的に抑制できる。より具体的には、鎖骨下動脈は末梢へ向かって脇の下付近にさしかかり、腋窩動脈と呼び名を変える。さらに、動脈は、末梢へ向かって大円筋下縁を通過後、上腕動脈と呼ばれる。腋窩動脈は小胸筋より上部に位置する第1部、小胸筋の後部に位置する第2部、小胸筋より下部に位置する第3部を有するとしたときに、腋窩動脈の第2部よりも末梢側に基部湾曲部53の湾曲中心55を配置することで、管状シャフト2の回転時のトルクの大きな波の発生を効果的に抑制できる。なお、解剖学的に、上部は頭に近い部位、下部は足に近い部位、後部は背側の部位を意味する。
【0068】
また、本実施形態に係るガイディングカテーテル1の操作方法は、基端から先端へ延在する長尺な管状シャフト2およびハブ3を有し、管状シャフト2が先端および基端よりも有効長の中央に近い位置に湾曲した基部湾曲部53を有するガイディングカテーテル1の操作方法であって、管状シャフト2を橈骨動脈から挿入して鎖骨下動脈および大動脈に通して冠動脈に係合させる際、腋窩動脈の小胸筋の後部に位置する第2部よりも末梢側の動脈に基部湾曲部53を配置して、ガイディングカテーテル1の体外に配置される部位を回転操作して管状シャフト2の先端部を冠動脈に係合させる。より具体的には、腋窩動脈の小胸筋の後部に位置する第2部よりも末梢側の動脈に基部湾曲部53の湾曲中心55を配置することが好ましい。これにより、本操作方法は、管状シャフト2の湾曲した基部湾曲部53を、湾曲した鎖骨下動脈ではなく、鎖骨下動脈よりも橈骨動脈に近い側の真っ直ぐに近い動脈に配置するため、管状シャフト2を血管内で回転させる際のトルクの大きな波の発生を抑制できる。
【0069】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、管状シャフト2は、X線不透過性のマーカーを有してもよい。
【0070】
1 ガイディングカテーテル
2 管状シャフト
5 ルーメン
6 包装袋
10 内層
11 内表面
20 補強体
30 外層
31 外表面
40 先端チップ
51 先端部湾曲部
53 基部湾曲部
55 湾曲中心
100 試験装置
110 入力部
120 検出部
130 治具
200 試験モデル
X 軸心