(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007644
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】解析システムおよび解析装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B25J13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108840
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山村 滉之
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707JU03
3C707KS24
3C707KS33
3C707MS14
3C707MS15
3C707MT04
(57)【要約】
【課題】ロボットの動作毎に適切な解析を行うことができる解析システムおよび解析装置を提供すること。
【解決手段】解析システムは、動作中のロボットの情報を取得するセンサーと、複数の解析方法の中から作業者に選択させた解析方法により前記センサーからの信号を解析処理して実測データを得、前記実測データを参考データと比較する解析装置と、前記ロボットの駆動を制御する制御装置と、を有し、作業者に前記解析方法を提示する。また、前記制御装置は、前記比較の結果に基づいて前記ロボットの駆動を制御する。また、前記解析装置は、前記作業者に前記解析方法を選択させる画像を表示する表示部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作中のロボットの情報を取得するセンサーと、
複数の解析方法の中から作業者に選択させた解析方法により前記センサーからの信号を解析処理して実測データを得、前記実測データを参考データと比較する解析装置と、
前記ロボットの駆動を制御する制御装置と、を有し、
作業者に前記解析方法を提示することを特徴とする解析システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記比較の結果に基づいて前記ロボットの駆動を制御する請求項1に記載の解析システム。
【請求項3】
前記解析装置は、前記作業者に前記解析方法を選択させる画像を表示する表示部を有している請求項1に記載の解析システム。
【請求項4】
前記解析装置は、前記表示部に前記比較結果を表示する請求項3に記載の解析システム。
【請求項5】
前記複数の解析方法には、ユークリッド距離、DTW解析、K近傍法、SST法およびFFT解析のうち少なくとも2つが含まれる請求項1に記載の解析システム。
【請求項6】
前記センサーは、力センサーまたは慣性センサーである請求項1に記載の解析システム。
【請求項7】
複数の解析方法の中から作業者に選択させた解析方法によりロボットに配置されているセンサーからの信号を解析処理して実測データを得、前記実測データを参考データと比較することを特徴とする解析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解析システムおよび解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているロボットは、ロボットアームを動作させ、ハンドで把持した組み付け部材を被組み付け部材に組み付ける作業を行う。また、ロボットは、ロボットアームに装着されている力覚センサーを用いて、当該作業中にハンドに作用する反力を検出し、検出した反力に基づいてロボットアームの動作を制御する。これにより、当該作業の精度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1では、ハンドに作用する反力に基づく制御しかできないため、作業内容によっては、その作業を精度よく行うことができない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解析システムは、動作中のロボットの情報を取得するセンサーと、
複数の解析方法の中から作業者に選択させた解析方法により前記センサーからの信号を解析処理して実測データを得、前記実測データを参考データと比較する解析装置と、
前記ロボットの駆動を制御する制御装置と、を有し、
作業者に前記解析方法を提示する。
【0006】
本発明の解析装置は複数の解析方法の中から作業者に選択させた解析方法によりロボットに配置されているセンサーからの信号を解析処理して実測データを得、前記実測データを参考データと比較する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】好適な実施形態に係る解析システムの全体構成を示す図である。
【
図4】解析システムの変形例を示すブロック図である。
【
図7】実測データと参考データとの比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の解析システムおよび解析装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1は、好適な実施形態に係る解析システムの全体構成を示す図である。
図2および
図3は、それぞれ、解析システムの変形例を示す図である。
図4は、解析システムの変形例を示すブロック図である。
図5は、解析システムのブロック図である。
図6は、表示部に表示される画像を示す図である。
図7は、実測データと参考データとの比較を示すグラフである。
図8および
図10は、それぞれ、ロボット動作の一例を示す図である。
【0010】
図1に示す解析システム1は、ロボット2と、ロボット2の駆動を制御する制御装置3と、解析装置4と、センサー5と、を有している。
【0011】
≪ロボット2≫
図1に示すように、ロボット2は、駆動軸を6つ有する垂直多関節ロボットである。また、ロボット2は、基台21と、基台21に回動自在に連結されているロボットアーム22と、ロボットアーム22の先端部に装着されているエンドエフェクター23と、を有している。
【0012】
また、ロボットアーム22は、複数のアーム221、222、223、224、225、226が回動自在に連結されたロボティックアームであり、6つの関節J1~J6を備えている。このうち、関節J2、J3、J5は、曲げ関節であり、関節J1、J4、J6は、ねじり関節である。また、関節J1、J2、J3、J4、J5、J6には、それぞれ、関節を動かす駆動源としてのモーター、モーターの回転を減速して出力する減速機、関節の回転量を検出するエンコーダー、関節に加わるトルクを検出するトルクセンサー等が設置されている。
【0013】
エンドエフェクター23は、アーム226に装着されている。エンドエフェクター23は、アーム226に着脱自在であり、ロボット2に実行させる作業に適したものを選択して装着できる。
【0014】
以上、ロボット2について説明したが、ロボット2の構成は、特に限定されない。例えば、ロボット2は、スカラロボット(水平多関節ロボット)、双腕ロボット等であってもよい。また、ロボット2は、床等に固定されて移動不可となっていてもよいし、無人搬送車(AGV)等の移動装置に固定されて移動可能となっていてもよい。
【0015】
≪センサー5≫
センサー5は、動作中のロボット2の状態を検出することができる。検出対象としては、特に限定されず、解析の目的に応じて適宜設定することができ、例えば、エンドエフェクター23に加わる力、エンドエフェクター23に加わる慣性、ロボット動作時に生じる音、光、振動等が挙げられる。
【0016】
例えば、エンドエフェクター23に加わる力を検出する場合、
図1に示すように、センサー5として力センサー51を用い、力センサー51をエンドエフェクター23とアーム226との間に配置する。ただし、力センサー51の配置は、エンドエフェクター23に加わる力を検出することができれば、特に限定されない。また、力センサー51としては、特に限定されないが、例えば、直交する3軸の各軸方向の並進力と各軸まわりのトルクとを検出できる構成とすることが好ましい。これにより、エンドエフェクター23に加わる力を精度よく検出することができる。
【0017】
また、例えば、エンドエフェクター23に加わる慣性を検出する場合、
図2に示すように、センサー5として慣性センサー52を用い、慣性センサー52をエンドエフェクター23に配置する。ただし、慣性センサー52の配置は、エンドエフェクター23に加わる慣性を検出することができれば、特に限定されない。また、慣性センサー52としては、特に限定されないが、例えば、直交する3軸の各軸方向の加速度と、各軸まわりの角速度とを検出できる構成とすることが好ましい。これにより、エンドエフェクター23に加わる力を精度よく検出することができる。
【0018】
また、例えば、作業時の音、特に、ワークWに生じる音を検出する場合、
図3に示すように、センサー5として集音装置としてのマイク53を用い、マイク53をエンドエフェクター23に配置することができる。ただし、マイク53の配置は、作業時の音を検出することができれば、特に限定されず、例えば、ロボット2とは別に配置してもよい。
【0019】
なお、
図1ないし
図3の構成では、センサー5と制御装置3との間に解析装置4が接続されているが、解析装置4の接続方法は、特に限定されない。例えば、
図4に示すように、解析装置4と制御装置3とが共にセンサー5と接続されていてもよい。
【0020】
≪解析装置4≫
解析装置4は、センサー5からの信号を解析処理する。解析装置4は、例えば、コンピューターから構成され、情報を処理するプロセッサーと、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、外部装置との接続を行う外部インターフェースと、を有する。メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。
【0021】
図5に示すように、解析装置4は、解析部41と、表示部42と、を有している。解析部41は、センサー5からの信号Soを解析処理して実測データDgを得、得られた実測データDgと予め記録されている参考データDrとを比較し、ロボット動作の正常/異常を判定する。そして、解析部41は、その判定結果を制御装置3に送信する。制御装置3は、解析装置4から受け取った判定結果に基づいてロボット2の駆動を制御する。ここで、参考データDrは、ロボット動作が正常に行われた際に得られるデータである。そのため、実測データDgと参考データDrとを比較することにより、実際のロボット動作の正常/異常を精度よく判定することができる。
【0022】
また、解析部41は、信号Soの解析方法を複数備えており、どの解析方法で信号Soを解析処理するかは作業者であるユーザーにより決定される。表示部42は、例えば、ディスプレイであり、
図6に示すように、解析部41が有する複数の処理方法の中から任意の処理方法を選択させる画像Gを表示する。ユーザーは、例えば、解析装置4に接続されている図示しないキーボード、マウス(ポインティングデバイス)等の入力装置を用いて、画像Gに表示されている複数の解析方法の中から任意の解析方法を選択する。なお、表示部42がタッチパネル式の画面を備える場合には、前記入力装置を用いずに画面に触れることでも任意の解析方法を選択することができる。
【0023】
なお、選択できる解析方法の数としては、特に限定されず、1つであってもよいし、2つ以上であってもよいし、全部であってもよい。このように、解析方法を複数の中から選択できることにより、ロボット動作毎に適した解析方法を用いることができ、ロボット動作の正常/異常を的確に判定することができる。また、この他、ロボット動作の内容に基づいて解析装置4に自動で選択させる選択指があってもよい。
【0024】
解析部41が備える解析方法としては、特に限定されないが、例えば、ユークリッド距離、DTW(動的時間伸縮)解析、K近傍法、SST(特異スペクトル変換)法、FFT(高速フーリエ変換)解析等が挙げられ、これらのうち少なくとも2つが含まれることが好ましい。これら解析方法は、対応できるロボット動作が多いため、ロボット動作の内容に応じて適切な解析方法を選択できる可能性が高まる。したがって、ロボット動作の状態を精度よく検出することができる。なお、本実施形態の解析部41は、これら全ての解析方法を備えている。そのため、上述の効果がより顕著となる。
【0025】
ユークリッド距離では、
図7に示すように、2つの時系列つまり実測データDgおよび参考データDrの距離から2つの時系列の類似度を算出する。そして、算出した類似度の値に基づいて、ロボット2が行うロボット動作の正常/異常を判定することができる。ユークリッド距離によれば、例えば、DTW解析と比べて処理負荷が小さく、より短時間でロボット動作の正常/異常を判定することができる。
【0026】
また、DTW解析では、2つの時系列つまり実測データDgおよび参考データDrの各データ点の距離を総当たりで求め、全て求めた上で2つの時系列の距離が最短となるパスを抽出し、抽出したパスに基づいて2つの時系列の類似度を決定する。そして、算出した類似度の値に基づいて、ロボット動作の正常/異常を判定することができる。DTW解析によれば、時系列同士の長さや周期が違っても類似度を求めることができる。
【0027】
また、K近傍法では、得られた実測データDgの各データ点について、参考データDrの各データ点との距離を全て計算し、計算した距離のうち最も短いものを任意のk個選び、その平均を異常度とする。K近傍法によれば、異常箇所付近で異常度が大きくなってピークが立つため、ピークの大きさやピークの位置に基づいて、ロボット動作の正常/異常を判定することができる。
【0028】
また、SST法では、あるデータ点の前後の波形を比較して類似度を計算する。そして、算出した類似度の値に基づいて、ロボット動作の正常/異常を判定することができる。
【0029】
また、FFT解析では、実測データDgの波形にどの周波数成分がどのぐらい含まれているかを解析する。そして、実測データDgと参考データDrとで周波数成分を比較することにより、ロボット動作の正常/異常を判定することができる。
【0030】
次に、ロボット動作と、その動作に好適なセンサー5および解析方法の組み合わせについて、いくつか例を挙げて説明する。
【0031】
まず、
図8に示すように、ロボット動作として、雄コネクターC1とメスコネクターC2とをスナップフィットにより接続する動作について説明する。なお、
図8では、雄コネクターC1をエンドエフェクター23で把持しているが、これに限定されない。
【0032】
例えば、接続時にメスコネクターC2の爪C21と雄コネクターC1の突起C11とが係合する際に生じる「カチッ」という音の有無でコネクター接続が正常に行われたかを判定する方法がある。この場合、センサー5としては、マイク53を用いることが好ましい。また、解析方法としては、FFT解析を用いることが好ましい。これにより、実測データDgと参考データDrとの比較によりコネクター接続時の音の有無を精度よく検出することができる。解析装置4は、例えば、コネクター接続時の音があれば正常と判定し、コネクター接続時の音がない、音が小さい、音の周波数が異なる等の場合には異常と判定する。
【0033】
また、接続時に爪C21と突起C11とが係合する際に生じる振動の有無でコネクター接続が正常に行われたかを判定する方法がある。この場合、センサー5としては、力センサー51または慣性センサー52を用いることが好ましい。また、解析方法としては、FFT解析を用いることが好ましい。これにより、実測データDgと参考データDrとの比較によりコネクター接続時の振動の有無を精度よく検出することができる。解析装置4は、例えば、コネクター接続時に振動が生じていれば正常と判定し、コネクター接続時の振動がない、振動が小さい、振動の周波数が異なる等の場合には異常と判定する。
【0034】
また、コネクター接続時にエンドエフェクター23に加わる力に基づいてコネクター接続が正常に行われたかを判定する方法がある。この場合、センサー5としては、力センサー51を用いることが好ましい。また、解析方法としては、ユークリッド距離またはDTW解析を用いることが好ましい。解析装置4は、実測データDgと参考データDrとを比較し、これらの類似度が所定値以下であれば、すなわち、両データDg、Drが似ていれば正常と判定し、類似度が前記所定値を超えていれば、すなわち、両データDg、Drが似ていなければ異常と判定する。
【0035】
また、爪C21の破損を検出することもできる。この場合、センサー5としては、力センサー51、慣性センサー52またはマイク53を用いることが好ましい。また、解析方法としては、FFT解析を用いることが好ましい。これにより、実測データDgと参考データDrとの比較によりコネクター接続時の音や振動の有無を精度よく検出することができる。解析装置4は、例えば、コネクター接続時に音や振動が生じていれば正常と判定し、コネクター接続時の音や振動がない、音や振動が小さい、音や振動の周波数が異なる等の場合には異常と判定する。
【0036】
次に、
図9に示すように、ロボット動作として、筐体70にコイルバネ7を引っ掛ける動作について説明する。
【0037】
この場合、コイルバネ7の両側を筐体70に引っ掛けた後、コイルバネ7が正しく引っ掛かっているかを確認するためにコイルバネ7を引っ張る確認動作を行うことがある。この場合、センサー5としては、力センサー51および慣性センサー52を用いることが好ましい。また、解析方法としては、ユークリッド距離、DTW解析またはK近傍法を用いることが好ましい。ユークリッド距離またはDTW解析を用いる場合、解析装置4は、実測データDgと参考データDrとを比較し、これらの類似度が所定値以下であれば、すなわち、両データDg、Drが似ていれば正常と判定し、類似度が前記所定値を超えていれば、すなわち、両データDg、Drが似ていなければ異常と判定する。また、K近傍法を用いる場合、解析装置4は、ピークの大きさやピークの位置が許容範囲内であれば正常と判定し、許容範囲外であれば異常と判定する。
【0038】
ここで、上記の確認動作中にコイルバネ7が外れてしまう場合がある。この事象を検出する場合、センサー5としては、力センサー51を用いることが好ましい。また、解析方法としては、FFT解析を用いることが好ましい。これにより、実測データDgと参考データDrとの比較により、コイルバネ7が外れた拍子に生じる振動を精度よく検出することができ、確認動作中のコイルバネ7の外れの有無を精度よく判定することができる。
【0039】
また、コイルバネ7の片側を筐体70に引っ掛けた後、反対側を筐体70に引っ掛けようとする際に、引っ掛けた前記片側が外れてしまう場合もある。この事象を検出する場合、センサー5としては、力センサー51または慣性センサー52を用いることが好ましい。力センサー51を用いる場合、解析方法としては、ユークリッド距離、DTW解析またはK近傍法を用いることが好ましい。
【0040】
ユークリッド距離またはDTW解析を用いる場合、解析装置4は、実測データDgと参考データDrとを比較し、これらの類似度が所定値以下であれば前記事象が起きておらず正常と判定し、類似度が前記所定値を超えていれば前記事象が起きており異常と判定する。また、K近傍法を用いる場合、解析装置4は、ピークの大きさやピークの位置が許容範囲内であれば正常と判定し、許容範囲外であれば異常と判定する。
【0041】
また、慣性センサー52を用いる場合、解析方法としては、ユークリッド距離、DTW解析またはK近傍法を用いることが好ましい。ユークリッド距離またはDTW解析を用いる場合、解析装置4は、実測データDgと参考データDrとを比較し、これらの類似度が所定値以下であれば前記事象が起きておらず正常と判定し、類似度が前記所定値を超えていれば前記事象が起きており異常と判定する。また、K近傍法を用いる場合、解析装置4は、ピークの大きさやピークの位置が許容範囲内であれば正常と判定し、許容範囲外であれば異常と判定する。
【0042】
次に、
図10に示すように、ロボット動作として、軸部材61を穴62に挿入する動作について説明する。
【0043】
この場合、センサー5としては、力センサー51を用いることが好ましい。また、解析方法としては、ユークリッド距離またはDTW解析を用いることが好ましい。解析装置4は、実測データDgと参考データDrとを比較し、これらの類似度が所定値以下であれば正常と判定し、類似度が前記所定値を超えていれば異常と判定する。
【0044】
以上、ロボット動作、センサー5および解析方法の組み合わせについて、いくつか例を挙げて説明した。解析装置4は、以上のような解析結果を表示部42に表示し、ユーザーに報知する。これにより、ユーザーは、ロボット動作の正常/異常を容易に確認することができる。また、解析装置4は、解析結果を制御装置3に送信する。
【0045】
≪制御装置3≫
制御装置3は、例えば、図示しないホストコンピューターからの指令に基づいてロボット2の駆動を制御する。制御装置3は、例えば、コンピューターから構成され、情報を処理するプロセッサーと、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、外部装置との接続を行う外部インターフェースと、を有する。メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。
【0046】
また、制御装置3は、解析装置4の解析結果に基づいてロボット2の駆動を制御する。具体的には、解析装置4の解析結果が正常の場合、制御装置3は、そのままの条件でロボット動作を継続する。これに対して、解析装置4の解析結果が異常の場合、制御装置3は、ロボット動作を定める制御プログラムを修正する。修正内容としては、特に限定されず、例えば、エンドエフェクター23の移動軌跡、エンドエフェクター23の移動速度等が挙げられる。このように、解析装置4の解析結果を制御装置3にフィードバックすることにより、ロボット動作を安定して行うことができる。ただし、これに限定されず、例えば、解析装置4の解析結果を受けて、ユーザーが制御プログラムを修正してもよい。
【0047】
以上、解析システム1について説明した。このような解析システム1は、前述したように、動作中のロボット2の情報を取得するセンサー5と、複数の解析方法の中から作業者に選択させた解析方法によりセンサー5からの信号Soを解析処理して実測データDgを得、実測データDgを参考データDrと比較する解析装置4と、ロボット2の駆動を制御する制御装置3と、を有し、作業者であるユーザーに解析方法を提示する。これにより、ロボット2の動作毎に適した解析方法を用いることができ、ロボット2の動作の状態(正常/異常)を的確に判定することができる。
【0048】
また、前述したように、制御装置3は、比較の結果に基づいてロボット2の駆動を制御する。このように、解析装置4の解析結果を制御装置3にフィードバックすることにより、ロボット動作を安定して行うことができる。
【0049】
また、前述したように、解析装置4は、作業者に解析方法を選択させる画像を表示する表示部42を有している。これにより、作業者は、解析方法の選択を容易に行うことができる。
【0050】
また、前述したように、解析装置4は、表示部に比較結果を表示する。これにより、作業者は、ロボット動作の状態(正常/異常)を容易に確認することができる。
【0051】
また、前述したように、複数の解析方法には、ユークリッド距離、DTW解析、K近傍法、SST法、FFT解析のうち少なくとも2つが含まれる。これにより、ロボット動作の状態を精度よく判定することができる。
【0052】
また、前述したように、センサー5は、力センサー51または慣性センサー52である。これにより、ロボット動作の状態を精度よく判定することができる。
【0053】
また、前述したように、解析装置4は、複数の解析方法の中から作業者に選択させた解析方法によりロボット2に配置されているセンサー5からの信号Soを解析処理して実測データDgを得、実測データDgを参考データDrと比較する。これにより、ロボット動作毎に適した解析方法を用いることができ、ロボット動作の状態(正常/異常)を的確に判定することができる。
【0054】
以上、本発明の解析システムおよび解析装置を図示の実施形態に基づいて説明した。ただし、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…解析システム、2…ロボット、21…基台、22…ロボットアーム、221…アーム、222…アーム、223…アーム、224…アーム、225…アーム、226…アーム、23…エンドエフェクター、3…制御装置、4…解析装置、41…解析部、42…表示部、5…センサー、51…力センサー、52…慣性センサー、53…マイク、61…軸部材、62…穴、7…コイルバネ、70…筐体、C1…雄コネクター、C11…突起、C2…メスコネクター、C21…爪、Dg…実測データ、Dr…参考データ、G…画像、J1…関節、J2…関節、J3…関節、J4…関節、J5…関節、J6…関節、So…信号、W…ワーク