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  • 特開-車両用イルミネーションの制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076444
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】車両用イルミネーションの制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20240101AFI20240530BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187952
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【氏名又は名称】田渕 経雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】田渕 智雄
(72)【発明者】
【氏名】若松 泰律
(72)【発明者】
【氏名】石野 正敏
(72)【発明者】
【氏名】新井 悠生
(72)【発明者】
【氏名】草田 章裕
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA22
3D344AB01
3D344AD01
(57)【要約】
【課題】新規で追加するイルミネーション制御に対する定義量を削減できる、車両用イルミネーションの制御装置の提供。
【解決手段】上位のイルミネーション制御の要素の定義が、該上位のイルミネーション制御の次点のイルミネーション制御の要素の定義と同じ定義を持つ場合に、上位のイルミネーション制御での要素の定義が不要とされる。そのため、上位のイルミネーション制御で要素の全てを定義する必要が無くなる。よって、新規でイルミネーション制御を追加する場合に、優先度で次点のイルミネーション制御の要素の定義と同じ要素の定義が不要になるため、新規で追加されるイルミネーション制御での要素の定義量を削減できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一場所を飾るための複数のイルミネーション制御に優先度を決定し、上位のイルミネーション制御の要素の定義が、該上位のイルミネーション制御の次点のイルミネーション制御の要素の定義と同じ定義を持つ場合に、前記上位のイルミネーション制御での要素の定義が不要とされる、車両用イルミネーションの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用イルミネーションの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002-192983号公報は、自動車情報と搭乗者情報とに応じて、自動車の車内に設置されたイルミネーションを点灯させる、車両用イルミネーションの制御装置を開示している。
【0003】
一般的に、車両はイルミネーションに関する以下の制御を有している。
(a)シーン(乗降中、走行中など)に応じてイルミネーションを制御(例えば、乗車時は視認性確保のため100%でフェード点灯する、など)。
(b)ユーザによる輝度調整が可能。
(c)昼夜判定により輝度調整。
【0004】
従来、イルミネーション制御は、上記(a)×(b)×(c)のバリエーションのそれぞれについて、3つの要素(色・輝度・時間)を定義している。そして、新規でイルミネーション制御を追加する場合にも、上記(a)×(b)×(c)のバリエーションのそれぞれについて、3つの要素(色・輝度・時間)を定義している。これは、イルミネーション制御に対してイルミネーションのふるまい(出力)を1対1で定義しないといけない制御構造になっているためである。そのため、新規でイルミネーション制御を追加する場合に、結果的に色・輝度・時間の定義する項目が膨大となってしまい、開発スピード低下、開発工数の増加、ミスによる品質懸念、ミス防止するための更なる工数増加に繋がってしまう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-192983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新規で追加するイルミネーション制御に対する定義量を削減できる、車両用イルミネーションの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 同一場所を飾るための複数のイルミネーション制御に優先度を決定し、上位のイルミネーション制御の要素の定義が、該上位のイルミネーション制御の次点のイルミネーション制御の要素の定義と同じ定義を持つ場合に、前記上位のイルミネーション制御での要素の定義が不要とされる、車両用イルミネーションの制御装置。
(2) 不要とされた前記上位のイルミネーション制御の要素の定義は、前記次点のイルミネーション制御の要素の定義が援用される、(1)記載の車両用イルミネーションの制御装置。
【発明の効果】
【0008】
上記(1)の車両用イルミネーションの制御装置によれば、同一場所を飾るための複数のイルミネーション制御に優先度を決定し、上位のイルミネーション制御の要素の定義が、該上位のイルミネーション制御の次点のイルミネーション制御の要素の定義と同じ定義を持つ場合に、上位のイルミネーション制御での要素の定義が不要とされるため、上位のイルミネーション制御で要素の全てを定義する必要が無くなる。よって、新規でイルミネーション制御を追加する場合に、優先度で次点のイルミネーション制御の要素の定義と同じ要素の定義が不要になるため、新規で追加されるイルミネーション制御での要素の定義量を削減できる。
【0009】
上記(2)の車両用イルミネーションの制御装置によれば、不要とされた上位のイルミネーション制御の要素の定義は、次点のイルミネーション制御の要素の定義が援用されるため、上位のイルミネーション制御での要素の定義が不要とされても、次点のイルミネーション制御の要素の定義に従って上位のイルミネーション制御を実行できる。よって、新規で追加されるイルミネーション制御の要素の定義が不要とされても、新規で追加されるイルミネーション制御を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明実施例の車両用イルミネーションの制御装置の、システム構成図である。
図2】本発明実施例の車両用イルミネーションの制御装置の、色、輝度、時間の3つの要素が定義される、(シーン)×(ユーザによる輝度調整)×(昼夜判定による輝度調整)のバリエーションを示すマトリックスである。
図3】本発明実施例の車両用イルミネーションの制御装置の、シーン別イルミ制御から新たに追加されたZZZイルミ制御への変化の一例を示している。
図4】本発明実施例の車両用イルミネーションの制御装置の比較例(本発明実施例ではない)における、システム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、本発明実施例の車両用イルミネーションの制御装置(以下、単に制御装置ともいう)10について説明する。
【0012】
本発明実施例の制御装置10は、車両のイルミネーションを制御する装置である。制御装置10は、車両の同一場所を飾るために複数の制御を実行可能となっている。そのため、同一場所を飾るための複数の制御には優先順位(優先度)を付けて、優先順位が高いものと低いものがともに条件成立した場合には優先順位が高いものが出力されて実行されるようになっている。そのため、制御装置10は、図1に示すように、制御部11と、調停部12と、出力部(出力テーブル)13と、を有する。
【0013】
制御装置10は、前述したように同一場所を飾るための複数の制御を実行可能となっている。なお、以下、本発明実施例では、同一場所を飾るための複数の制御として、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b、シーン別イルミ制御11cを有する場合を例にとって説明する。
【0014】
図2に示すように、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b及びシーン別イルミ制御11cのそれぞれについては、従来と同様に、(a)シーン(乗降中、走行中など)に応じてイルミネーションを制御、(b)ユーザによる輝度調整が可能、(c)昼夜判定により輝度調整、の制御があり、上記(a)×(b)×(c)のバリエーションのそれぞれについて、3つの要素(色・輝度・時間)を定義している。なお、図2は、上記(a)-(c)のバリエーションを示すマトリックスであり、(a)については、シーンを列で示し、(b)については、Lv.を2行目で示し、(c)については、昼夜を1行目で示している。各マスについて、それぞれ3つの要素(色・輝度・時間)を定義している。
【0015】
制御部11には、図2に示す各マス毎に、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b及びシーン別イルミ制御11cのそれぞれについて、定義された3つの要素(色・輝度・時間)が記憶されている。
【0016】
図1に示すように、調停部12は、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b及びシーン別イルミ制御11cの優先順位を決定する。なお、図1では、優先順位を高い方から、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b、シーン別イルミ制御11cと決定している場合を示している。
【0017】
この下で、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b、シーン別イルミ制御11cのうち、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11bには条件成立せずイルミ制御の要求がなく、シーン別イルミ制御11cのみが条件成立した場合には、シーン別イルミ制御11cの信号が出力部13からイルミネーション用のLED(発光部)30を点灯駆動させるイルミドライバ20に送られ、該信号に従ってLED30が発光されるようになっている。
【0018】
ここで、上記のXXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b、シーン別イルミ制御11cに加えて、同じ場所を飾るために、さらに新規でZZZイルミ制御11dが追加される場合を考える。なお、ZZZイルミ制御11dは、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b、シーン別イルミ制御11cと同じ場所を飾るために加えられる新規の制御である。そして、ZZZイルミ制御11dの優先順位がYYYイルミ制御11bの下で、シーン別イルミ制御11cの上である場合を考える。
【0019】
従来であれば、ZZZイルミ制御11dについても、上記(a)×(b)×(c)のバリエーションのそれぞれについて、3つの要素(色・輝度・時間)を定義する必要がある。しかし、これでは定義量が膨大になってしまう。そこで、本発明実施例では、ZZZイルミ制御11dでは優先順位で次点にあるシーン別イルミ制御11cの要素の定義と同じ定義を持つ場合には、ZZZイルミ制御11dでの要素の定義を不要とし、次点にあるシーン別イルミ制御11cの要素の定義を援用するようにしている。
【0020】
たとえば、ZZZイルミ制御11dは、色、輝度、時間の3つの要素のうち、色と時間は変化させるが輝度はシーン別イルミ制御11cと同じとする場合(現状キープとする場合)、ZZZイルミ制御11dの輝度は新たに定義不要であり、次点にあるシーン別イルミ制御11cの要素の定義を援用する。
【0021】
次点にあるシーン別イルミ制御11cの要素の定義を上位の制御の要素の定義に援用するため、シーン別イルミ制御11cは優先順位では最下位であるが、出力部13まで常時入るようにされている。そして、シーン別イルミ制御11cより上位のXXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b又はZZZイルミ制御11dの条件が成立していない場合には、そのままシーン別イルミ11cの信号が出力部13からイルミドライバ20に出力される。その状態で、シーン別イルミ制御11cより上位のXXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b又はZZZイルミ制御11dの条件が成立した場合には、優先順位に従って、シーン別イルミ制御11cに代わってXXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b又はZZZイルミ制御11dの信号が出力部13からイルミドライバ20に出力される。
【0022】
たとえば、車両の走行中において、シーン別イルミ制御11cの条件が成立している状態で、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11bの条件は成立していないが、ZZZイルミ制御11dの条件が成立した場合、優先順位に従ってシーン別イルミ制御11cに代わってZZZイルミ制御11dが優先されるが、その際にZZZイルミ制御11dの輝度は定義されていないため、シーン別イルミ制御11cの走行中の輝度が援用される。
【0023】
図3は、シーン別イルミ制御11cからZZZイルミ制御11dへの変化の一例を示している。図3では、次の条件下でシーン別イルミ制御11cからZZZイルミ制御11dに変化する場合を示している。
・新規で追加されるZZZイルミ制御11dが、3要素のうち、色、時間については定義されるが、輝度については定義されておらず、シーン別イルミ制御11cの輝度が援用される。
・走行中等にシーン別イルミ制御11cのみが条件成立していたが、ZZZイルミ制御11dも条件成立した。
・シーン別イルミ制御11cでは色が青であったが、ZZZイルミ制御11dでは色が緑であり900msでカラーチェンジする。
図3に示すように、新たに追加されるZZZイルミ制御11dについて、色と時間のみを定義し、輝度を定義していなくても、次点のシーン別イルミ制御11cの輝度を援用することで、ZZZイルミ制御11dを実行可能となっている。
【0024】
つぎに、本発明実施例の作用、効果を説明する。
【0025】
図4は、本発明実施例の比較例(本発明実施例ではない)の制御装置10´を示している。図4では、本発明実施例と同様に、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b、シーン別イルミ制御11cに加えて、同じ場所を飾るために、さらに新規でZZZイルミ制御11dが追加される場合を考える。なお、本発明実施例と区別するために、図4の比較例においては、本発明実施例に対応する構成には本発明実施例と同じ符号に´(ダッシュ)を付けて説明する。
【0026】
比較例では、ZZZイルミ制御11d´についても、次点のシーン別イルミ制御11c´の制御に拘わらず、上記(a)×(b)×(c)のバリエーションのそれぞれについて、3つの要素(色・輝度・時間)を全て定義している。すなわち、イルミ制御に対してイルミのふるまい(出力)を1対1で全て定義している。
そのため、図4に示す制御装置10´では、シーン別イルミ制御11c´のみが条件成立している状態で、ZZZイルミ制御11d´も条件成立した場合には、優先順位に従ってシーン別イルミ制御11c´の出力に代わってZZZイルミ制御11d´が出力される。
【0027】
図4に示す制御装置10´では、新たに追加される上位のイルミネーション制御(ZZZイルミ制御11d´)についても、次点のイルミネーション制御(シーン別イルミ制御11c´)と無関係に、上記(a)×(b)×(c)のバリエーションのそれぞれについて、3つの要素(色・輝度・時間)を全て定義しているため、新たに追加される上位のイルミネーション制御(ZZZイルミ制御11d´)の定義量が膨大になってしまう。
【0028】
しかし、本発明実施例では、上位のイルミネーション制御の要素の定義が、該上位のイルミネーション制御の次点のイルミネーション制御の要素の定義と同じ定義を持つ場合に、上位のイルミネーション制御での要素の定義が不要とされるため、上位のイルミネーション制御で要素の全てを定義する必要が無くなる。よって、新規でイルミネーション制御を追加する場合に、優先度で次点のイルミネーション制御の要素の定義と同じ要素の定義が不要になるため、新規で追加されるイルミネーション制御での要素の定義量を削減できる。
【0029】
なお、不要とされた上位のイルミネーション制御の要素の定義は、次点のイルミネーション制御の要素の定義が援用されるため、上位のイルミネーション制御での要素の定義が不要とされても、次点のイルミネーション制御の要素の定義に従って上位のイルミネーション制御を実行できる。よって、新規で追加されるイルミネーション制御の要素の定義が不要とされても、新規で追加されるイルミネーション制御を実行できる。
【符号の説明】
【0030】
10 制御装置
11 制御部
12 調停部
13 出力部(出力テーブル)
20 イルミドライバ
30 LED(発光部)
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用イルミネーションの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002-192983号公報は、自動車情報と搭乗者情報とに応じて、自動車の車内に設置されたイルミネーションを点灯させる、車両用イルミネーションの制御装置を開示している。
【0003】
一般的に、車両はイルミネーションに関する以下の制御を有している。
(a)シーン(乗降中、走行中など)に応じてイルミネーションを制御(例えば、乗車時は視認性確保のため100%でフェード点灯する、など)。
(b)ユーザによる輝度調整が可能。
(c)昼夜判定により輝度調整。
【0004】
従来、イルミネーション制御は、上記(a)×(b)×(c)のバリエーションのそれぞれについて、3つの要素(色・輝度・時間)を定義している。そして、新規でイルミネーション制御を追加する場合にも、上記(a)×(b)×(c)のバリエーションのそれぞれについて、3つの要素(色・輝度・時間)を定義している。これは、イルミネーション制御に対してイルミネーションのふるまい(出力)を1対1で定義しないといけない制御構造になっているためである。そのため、新規でイルミネーション制御を追加する場合に、結果的に色・輝度・時間の定義する項目が膨大となってしまい、開発スピード低下、開発工数の増加、ミスによる品質懸念、ミス防止するための更なる工数増加に繋がってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-192983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新規で追加するイルミネーション制御に対する定義量を削減できる、車両用イルミネーションの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 同一場所を飾るための複数のイルミネーション制御に優先度を決定し、上位のイルミネーション制御の要素の定義が、該上位のイルミネーション制御の次点のイルミネーション制御の要素の定義と同じ定義を持つ場合に、前記上位のイルミネーション制御での要素の定義が不要とされる、車両用イルミネーションの制御装置。
(2) 不要とされた前記上位のイルミネーション制御の要素の定義は、前記次点のイルミネーション制御の要素の定義が援用される、(1)記載の車両用イルミネーションの制御装置。
【発明の効果】
【0008】
上記(1)の車両用イルミネーションの制御装置によれば、同一場所を飾るための複数のイルミネーション制御に優先度を決定し、上位のイルミネーション制御の要素の定義が、該上位のイルミネーション制御の次点のイルミネーション制御の要素の定義と同じ定義を持つ場合に、上位のイルミネーション制御での要素の定義が不要とされるため、上位のイルミネーション制御で要素の全てを定義する必要が無くなる。よって、新規でイルミネーション制御を追加する場合に、優先度で次点のイルミネーション制御の要素の定義と同じ要素の定義が不要になるため、新規で追加されるイルミネーション制御での要素の定義量を削減できる。
【0009】
上記(2)の車両用イルミネーションの制御装置によれば、不要とされた上位のイルミネーション制御の要素の定義は、次点のイルミネーション制御の要素の定義が援用されるため、上位のイルミネーション制御での要素の定義が不要とされても、次点のイルミネーション制御の要素の定義に従って上位のイルミネーション制御を実行できる。よって、新規で追加されるイルミネーション制御の要素の定義が不要とされても、新規で追加されるイルミネーション制御を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明実施例の車両用イルミネーションの制御装置の、システム構成図である。
図2】本発明実施例の車両用イルミネーションの制御装置の、色、輝度、時間の3つの要素が定義される、(シーン)×(ユーザによる輝度調整)×(昼夜判定による輝度調整)のバリエーションを示すマトリックスである。
図3】本発明実施例の車両用イルミネーションの制御装置の、シーン別イルミ制御から新たに追加されたZZZイルミ制御への変化の一例を示している。
図4】本発明実施例の車両用イルミネーションの制御装置の比較例(本発明実施例ではない)における、システム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、本発明実施例の車両用イルミネーションの制御装置(以下、単に制御装置ともいう)10について説明する。
【0012】
本発明実施例の制御装置10は、車両のイルミネーションを制御する装置である。制御装置10は、車両の同一場所を飾るために複数の制御を実行可能となっている。そのため、同一場所を飾るための複数の制御には優先順位(優先度)を付けて、優先順位が高いものと低いものがともに条件成立した場合には優先順位が高いものが出力されて実行されるようになっている。そのため、制御装置10は、図1に示すように、制御部11と、調停部12と、出力部(出力テーブル)13と、を有する。
【0013】
制御装置10は、前述したように同一場所を飾るための複数の制御を実行可能となっている。なお、以下、本発明実施例では、同一場所を飾るための複数の制御として、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b、シーン別イルミ制御11cを有する場合を例にとって説明する。
【0014】
図2に示すように、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b及びシーン別イルミ制御11cのそれぞれについては、従来と同様に、(a)シーン(乗降中、走行中など)に応じてイルミネーションを制御、(b)ユーザによる輝度調整が可能、(c)昼夜判定により輝度調整、の制御があり、上記(a)×(b)×(c)のバリエーションのそれぞれについて、3つの要素(色・輝度・時間)を定義している。なお、図2は、上記(a)-(c)のバリエーションを示すマトリックスであり、(a)については、シーンを列で示し、(b)については、Lv.を2行目で示し、(c)については、昼夜を1行目で示している。各マスについて、それぞれ3つの要素(色・輝度・時間)を定義している。
【0015】
制御部11には、図2に示す各マス毎に、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b及びシーン別イルミ制御11cのそれぞれについて、定義された3つの要素(色・輝度・時間)が記憶されている。
【0016】
図1に示すように、調停部12は、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b及びシーン別イルミ制御11cの優先順位を決定する。なお、図1では、優先順位を高い方から、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b、シーン別イルミ制御11cと決定している場合を示している。
【0017】
この下で、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b、シーン別イルミ制御11cのうち、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11bには条件成立せずイルミ制御の要求がなく、シーン別イルミ制御11cのみが条件成立した場合には、シーン別イルミ制御11cの信号が出力部13からイルミネーション用のLED(発光部)30を点灯駆動させるイルミドライバ20に送られ、該信号に従ってLED30が発光されるようになっている。
【0018】
ここで、上記のXXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b、シーン別イルミ制御11cに加えて、同じ場所を飾るために、さらに新規でZZZイルミ制御11dが追加される場合を考える。なお、ZZZイルミ制御11dは、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b、シーン別イルミ制御11cと同じ場所を飾るために加えられる新規の制御である。そして、ZZZイルミ制御11dの優先順位がYYYイルミ制御11bの下で、シーン別イルミ制御11cの上である場合を考える。
【0019】
従来であれば、ZZZイルミ制御11dについても、上記(a)×(b)×(c)のバリエーションのそれぞれについて、3つの要素(色・輝度・時間)を定義する必要がある。しかし、これでは定義量が膨大になってしまう。そこで、本発明実施例では、ZZZイルミ制御11dでは優先順位で次点にあるシーン別イルミ制御11cの要素の定義と同じ定義を持つ場合には、ZZZイルミ制御11dでの要素の定義を不要とし、次点にあるシーン別イルミ制御11cの要素の定義を援用するようにしている。
【0020】
たとえば、ZZZイルミ制御11dは、色、輝度、時間の3つの要素のうち、色と時間は変化させるが輝度はシーン別イルミ制御11cと同じとする場合(現状キープとする場合)、ZZZイルミ制御11dの輝度は新たに定義不要であり、次点にあるシーン別イルミ制御11cの要素の定義を援用する。
【0021】
次点にあるシーン別イルミ制御11cの要素の定義を上位の制御の要素の定義に援用するため、シーン別イルミ制御11cは優先順位では最下位であるが、出力部13まで常時入るようにされている。そして、シーン別イルミ制御11cより上位のXXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b又はZZZイルミ制御11dの条件が成立していない場合には、そのままシーン別イルミ11cの信号が出力部13からイルミドライバ20に出力される。その状態で、シーン別イルミ制御11cより上位のXXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b又はZZZイルミ制御11dの条件が成立した場合には、優先順位に従って、シーン別イルミ制御11cに代わってXXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b又はZZZイルミ制御11dの信号が出力部13からイルミドライバ20に出力される。
【0022】
たとえば、車両の走行中において、シーン別イルミ制御11cの条件が成立している状態で、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11bの条件は成立していないが、ZZZイルミ制御11dの条件が成立した場合、優先順位に従ってシーン別イルミ制御11cに代わってZZZイルミ制御11dが優先されるが、その際にZZZイルミ制御11dの輝度は定義されていないため、シーン別イルミ制御11cの走行中の輝度が援用される。
【0023】
図3は、シーン別イルミ制御11cからZZZイルミ制御11dへの変化の一例を示している。図3では、次の条件下でシーン別イルミ制御11cからZZZイルミ制御11dに変化する場合を示している。
・新規で追加されるZZZイルミ制御11dが、3要素のうち、色、時間については定義されるが、輝度については定義されておらず、シーン別イルミ制御11cの輝度が援用される。
・走行中等にシーン別イルミ制御11cのみが条件成立していたが、ZZZイルミ制御11dも条件成立した。
・シーン別イルミ制御11cでは色が青であったが、ZZZイルミ制御11dでは色が緑であり900msでカラーチェンジする。
図3に示すように、新たに追加されるZZZイルミ制御11dについて、色と時間のみを定義し、輝度を定義していなくても、次点のシーン別イルミ制御11cの輝度を援用することで、ZZZイルミ制御11dを実行可能となっている。
【0024】
つぎに、本発明実施例の作用、効果を説明する。
【0025】
図4は、本発明実施例の比較例(本発明実施例ではない)の制御装置10´を示している。図4では、本発明実施例と同様に、XXXイルミ制御11a、YYYイルミ制御11b、シーン別イルミ制御11cに加えて、同じ場所を飾るために、さらに新規でZZZイルミ制御11dが追加される場合を考える。なお、本発明実施例と区別するために、図4の比較例においては、本発明実施例に対応する構成には本発明実施例と同じ符号に´(ダッシュ)を付けて説明する。
【0026】
比較例では、ZZZイルミ制御11d´についても、次点のシーン別イルミ制御11c´の制御に拘わらず、上記(a)×(b)×(c)のバリエーションのそれぞれについて、3つの要素(色・輝度・時間)を全て定義している。すなわち、イルミ制御に対してイルミのふるまい(出力)を1対1で全て定義している。
そのため、図4に示す制御装置10´では、シーン別イルミ制御11c´のみが条件成立している状態で、ZZZイルミ制御11d´も条件成立した場合には、優先順位に従ってシーン別イルミ制御11c´の出力に代わってZZZイルミ制御11d´が出力される。
【0027】
図4に示す制御装置10´では、新たに追加される上位のイルミネーション制御(ZZZイルミ制御11d´)についても、次点のイルミネーション制御(シーン別イルミ制御11c´)と無関係に、上記(a)×(b)×(c)のバリエーションのそれぞれについて、3つの要素(色・輝度・時間)を全て定義しているため、新たに追加される上位のイルミネーション制御(ZZZイルミ制御11d´)の定義量が膨大になってしまう。
【0028】
しかし、本発明実施例では、上位のイルミネーション制御の要素の定義が、該上位のイルミネーション制御の次点のイルミネーション制御の要素の定義と同じ定義を持つ場合に、上位のイルミネーション制御での要素の定義が不要とされるため、上位のイルミネーション制御で要素の全てを定義する必要が無くなる。よって、新規でイルミネーション制御を追加する場合に、優先度で次点のイルミネーション制御の要素の定義と同じ要素の定義が不要になるため、新規で追加されるイルミネーション制御での要素の定義量を削減できる。
【0029】
なお、不要とされた上位のイルミネーション制御の要素の定義は、次点のイルミネーション制御の要素の定義が援用されるため、上位のイルミネーション制御での要素の定義が不要とされても、次点のイルミネーション制御の要素の定義に従って上位のイルミネーション制御を実行できる。よって、新規で追加されるイルミネーション制御の要素の定義が不要とされても、新規で追加されるイルミネーション制御を実行できる。
【符号の説明】
【0030】
10 制御装置
11 制御部
12 調停部
13 出力部(出力テーブル)
20 イルミドライバ
30 LED(発光部)