IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -エンジン及び吸音材 図1
  • -エンジン及び吸音材 図2
  • -エンジン及び吸音材 図3
  • -エンジン及び吸音材 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076464
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】エンジン及び吸音材
(51)【国際特許分類】
   F02F 7/00 20060101AFI20240530BHJP
   F02B 77/13 20060101ALI20240530BHJP
   F02B 67/00 20060101ALI20240530BHJP
   F02B 77/11 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
F02F7/00 G
F02B77/13 G
F02B67/00 E
F02B77/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187989
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】新田 達也
(72)【発明者】
【氏名】杢出 大樹
【テーマコード(参考)】
3G024
【Fターム(参考)】
3G024AA01
3G024AA21
3G024AA71
3G024BA06
3G024FA05
3G024FA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】吸音材が取り付けられた吸気マニホールドをシリンダヘッドに取り付ける作業者が、吸音材が配管に接触したことを容易に気づくことができるエンジン及び吸音材を提供する。
【解決手段】シリンダブロック10とシリンダヘッド20と吸気マニホールド30とに包囲され、弾性を有した吸音材50と、を備え、吸音材は、シリンダブロックに保持されたクランクシャフトの軸方向に垂直でありシリンダブロックからシリンダヘッドへの方向である上方向に沿って連続した、下部、下部よりも上方に位置した中部、及び中部よりも上方に位置した上部、を含み、軸方向及び上方向に垂直な横方向での中部の厚みは、横方向での上部及び下部のそれぞれの厚みよりも薄く、配管は、シリンダブロックと上部と中部と下部とに包囲され、上方向での下部の長さと横方向での中部の厚みとの合計は、横方向での配管と吸気マニホールドとの間の距離よりも大きい、エンジン。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダブロックと、
前記シリンダブロックに取り付けられたシリンダヘッドと、
前記シリンダヘッドに取り付けられた吸気マニホールドと、
前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドと前記吸気マニホールドとに包囲された配管と、
前記吸気マニホールドに取り付けられており、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドと前記吸気マニホールドとに包囲され、弾性を有した吸音材と、を備え、
前記吸音材は、前記シリンダブロックに保持されたクランクシャフトの軸方向に垂直であり前記シリンダブロックから前記シリンダヘッドへの方向である上方向に沿って連続した、下部、前記下部よりも上方に位置した中部、及び前記中部よりも上方に位置した上部、を含み、
前記軸方向及び上方向に垂直な横方向での前記中部の厚みは、前記横方向での前記上部及び下部のそれぞれの厚みよりも薄く、
前記配管は、前記シリンダブロックと前記上部と前記中部と前記下部とに包囲され、
前記上方向での前記下部の長さと前記横方向での前記中部の厚みとの合計は、前記横方向での前記配管と前記吸気マニホールドとの間の距離よりも大きい、エンジン。
【請求項2】
前記上方向での前記下部の長さは、前記横方向での前記中部の厚みよりも大きい、請求項1のエンジン。
【請求項3】
前記下部は、基部、及び前記基部から前記上方向とは反対方向に突出したリブ部、を含む、請求項2のエンジン。
【請求項4】
前記リブ部は、前記軸方向に間隔を空けて複数設けられている、請求項3のエンジン。
【請求項5】
シリンダブロック、前記シリンダブロックに取り付けられたシリンダヘッド、前記シリンダヘッドに取り付けられた吸気マニホールド、及び前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドと前記吸気マニホールドとに包囲された配管、を有したエンジンに用いられ、前記吸気マニホールドに取り付けられており、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドと前記吸気マニホールドとに包囲され、弾性を有した吸音材であって、
前記シリンダブロックに保持されたクランクシャフトの軸方向に垂直であり前記シリンダブロックから前記シリンダヘッドへの方向である上方向に沿って連続した、下部、前記下部よりも上方に位置した中部、及び前記中部よりも上方に位置した上部、を備え、
前記軸方向及び上方向に垂直な横方向での前記中部の厚みは、前記横方向での前記上部及び下部のそれぞれの厚みよりも薄く、
前記配管は、前記シリンダブロックと前記上部と前記中部と前記下部とに包囲され、
前記上方向での前記下部の長さと前記横方向での前記中部の厚みとの合計は、前記横方向での前記配管と前記吸気マニホールドとの間の距離よりも大きい、吸音材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン及び吸音材に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンに吸音材が取り付けられる場合がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-176543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような吸音材が取り付けられた吸気マニホールドをシリンダヘッドに取り付ける際には、作業者は吸音材がシリンダブロック周辺の配管に接触しないようにして作業を行う必要がある。吸音材が配管に接触して圧縮された状態で吸気マニホールドがシリンダヘッドに取り付けられると、吸音材の反力が配管や、シリンダヘッドと吸気マニホールドとを締結する部材に作用して、これらの部材への負荷が増大するおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、吸音材が取り付けられた吸気マニホールドをシリンダヘッドに取り付ける作業者が、吸音材が配管に接触したことを容易に気づくことができるエンジン及び吸音材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、シリンダブロックと、前記シリンダブロックに取り付けられたシリンダヘッドと、前記シリンダヘッドに取り付けられた吸気マニホールドと、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドと前記吸気マニホールドとに包囲された配管と、前記吸気マニホールドに取り付けられており、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドと前記吸気マニホールドとに包囲され、弾性を有した吸音材と、を備え、前記吸音材は、前記シリンダブロックに保持されたクランクシャフトの軸方向に垂直であり前記シリンダブロックから前記シリンダヘッドへの方向である上方向に沿って連続した、下部、前記下部よりも上方に位置した中部、及び前記中部よりも上方に位置した上部、を含み、前記軸方向及び上方向に垂直な横方向での前記中部の厚みは、前記横方向での前記上部及び下部のそれぞれの厚みよりも薄く、前記配管は、前記シリンダブロックと前記上部と前記中部と前記下部とに包囲され、前記上方向での前記下部の長さと前記横方向での前記中部の厚みとの合計は、前記横方向での前記配管と前記吸気マニホールドとの間の距離よりも大きい、エンジンによって達成できる。
【0007】
前記上方向での前記下部の長さは、前記横方向での前記中部の厚みよりも大きくてもよい。
【0008】
前記下部は、基部、及び前記基部から前記上方向とは反対方向に突出したリブ部、を含んでもよい。
【0009】
前記リブ部は、前記軸方向に間隔を空けて複数設けられていてもよい。
【0010】
上記目的は、シリンダブロック、前記シリンダブロックに取り付けられたシリンダヘッド、前記シリンダヘッドに取り付けられた吸気マニホールド、及び前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドと前記吸気マニホールドとに包囲された配管、を有したエンジンに用いられ、前記吸気マニホールドに取り付けられており、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドと前記吸気マニホールドとに包囲され、弾性を有した吸音材であって、前記シリンダブロックに保持されたクランクシャフトの軸方向に垂直であり前記シリンダブロックから前記シリンダヘッドへの方向である上方向に沿って連続した、下部、前記下部よりも上方に位置した中部、及び前記中部よりも上方に位置した上部、を備え、前記軸方向及び上方向に垂直な横方向での前記中部の厚みは、前記横方向での前記上部及び下部のそれぞれの厚みよりも薄く、前記配管は、前記シリンダブロックと前記上部と前記中部と前記下部とに包囲され、前記上方向での前記下部の長さと前記横方向での前記中部の厚みとの合計は、前記横方向での前記配管と前記吸気マニホールドとの間の距離よりも大きい、吸音材によっても達成できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、吸音材が取り付けられた吸気マニホールドをシリンダヘッドに取り付ける作業者が、吸音材が配管に接触したことを容易に気づくことができるエンジン及び吸音材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、エンジンの一部分の概略構成図である。
図2図2は、吸音材の三面図である。
図3図3は、吸音材の側面図である。
図4図4は、吸音材が配管に接触した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[エンジンの概略構成]
図1は、エンジン1の一部分の概略構成図である。図1には、互いに直交するX方向、Y方向、及びZ方向を示している。エンジン1は、シリンダブロック10、シリンダヘッド20、吸気マニホールド30、配管40、及び吸音材50を含む。シリンダブロック10は、クランクシャフトを保持している。クランクシャフトの軸方向はY方向に平行である。従って図1は、クランクシャフトの軸方向から見た場合でのエンジン1の一部分を示している。+Z方向は上方向に相当する。-Z方向は下方向に相当する。X方向は横方向に相当する。
【0014】
シリンダヘッド20は、シリンダヘッド20の内部空間とシリンダブロック10のシリンダとが対応して燃焼室を画定するように、シリンダブロック10の上面に取り付けられている。吸気マニホールド30は、吸気通路が開口したシリンダヘッド20の側面に取り付けられている。配管40及び吸音材50は、シリンダブロック10、シリンダヘッド20、及び吸気マニホールド30により包囲されている。
【0015】
配管40には、シリンダブロック10やシリンダヘッド20を循環する冷却水が流れる。配管40の一端は、シリンダブロック10又はシリンダヘッド20に取り付けられ、他端はラジエータに取り付けられている。配管40はY方向に沿って延びている。
【0016】
吸音材50は、多孔質状の発泡ウレタン製であり弾性を有している。吸音材50は、+Z方向に連続した下部51、中部55、及び上部58を含む。中部55は下部51よりも+Z方向側に位置している。上部58は中部55よりも+Z方向側に位置している。下部51は、Y方向から見て中部55の下端から-X方向に突出している。上部58は、Y方向から見て中部55の上端から-X方向に突出している。換言すれば吸音材50は、下部51、中部55、及び上部58により略コ字状に形成されている。配管40は、吸音材50に接触しない状態で、下部51、中部55、及び上部58とシリンダブロック10とに包囲されている。
【0017】
図1には、X方向での配管40と吸気マニホールド30との距離Dを示している。エンジン1の各部材は以下のようにして取り付けられる。最初にシリンダブロック10にシリンダヘッド20が取り付けられる。次に吸気マニホールド30に吸音材50が取り付けられる。このようにして吸音材50が取り付けられた吸気マニホールド30が、シリンダヘッド20に取り付けられる。吸音材50はシリンダブロック10、シリンダヘッド20、及び吸気マニホールド30の間で共鳴音を吸収して、騒音を低減させる。
【0018】
[吸音材の構成]
吸音材50の構成について説明する。図2は、吸音材50の三面図である。図3は、吸音材50の側面図である。図3に示すように、X方向での中部55の厚みT5は、X方向での下部51の厚みT1及び上部58の厚みT8よりも薄い。このため、図1に示したように、吸音材50と配管40との接触が回避されている。
【0019】
下部51は、図2及び図3に示すように基部52、及び基部52から-Z方向に突出した2つのリブ部53を含む。基部52は、中部55から-X方向に突出した平板状である。+Z方向での下部51の長さL1と中部55の厚みT5との合計は、図1に示した距離Dよりも大きい。また長さL1は厚みT5よりも大きい。
【0020】
図4は、吸音材50が配管40に接触した場合の説明図である。下部51の一部が配管40に接触して乗り上げて、下部51が中部55に向けて折りたたまれた状態を示している。作業者が、吸音材50が取り付けられた吸気マニホールド30をシリンダヘッド20に斜め上方向から取り付けようとすると、図4に示すように下部51が中部55に向けて折りたたまれるおそれがある。
【0021】
このような状態で吸気マニホールド30をシリンダヘッド20に接近させると、下部51が配管40と吸気マニホールド30との間で圧縮され、下部51の+X方向の反力が増大する。これは図3に示したように、長さL1と厚みT5との合計が距離Dよりも大きいため、圧縮時の反力が確保されているからである。この反力は吸気マニホールド30に作用する。このため作業者はこのような取り付け最中に吸気マニホールド30に作用する反力により、下部51が配管40に接触していることに容易に気が付くことができる。従って、このような状態での取り付けを未然に防止することができる。このため吸音材50の反力が配管40や、シリンダヘッド20と吸気マニホールド30とを締結する部材に作用することも防止できる。また、取付作業の完了後に下部51が折りたたまれた状態となっているかどうかの確認作業も不要となる。
【0022】
図2に示したように下部51には2つのリブ部53が設けられている。例えば、リブ部53を設けずに、基部52の+Z方向での長さを図3に示した長さL1と同等とすることも考えられる。しかしながらこの場合、吸音材50全体の重量が増す。従って、基部52にリブ部53を設けることにより重量の増大が抑制されている。
【0023】
また、2つのリブ部53がY方向に間隔を空けて設けられている。このため、例えば図4に示したように配管40により下部51が圧縮された際に、下部51の反力が配管40の一か所に集中することを抑制できる。
【0024】
上記実施例ではリブ部53は2つ設けられているが、3つ以上設けられていてもよい。上記実施例では配管40と中部55とが接触していないが、接触していてもよい。
【0025】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 エンジン
10 シリンダブロック
20 シリンダヘッド
30 吸気マニホールド
40 配管
50 吸音材
51 下部
52 基部
53 リブ部
55 中部
58 上部
D 距離
T1、T5、T8 厚み
L1 長さ
図1
図2
図3
図4