(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007647
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】データ処理装置、推論装置、機械学習装置、データ処理方法、推論方法、及び、機械学習方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0201 20230101AFI20240112BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108847
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】512035815
【氏名又は名称】SENSY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直人
(72)【発明者】
【氏名】岡本 卓
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】人物が行動を起こす動機となる要因と、商品に関して実施される施策との影響を考慮しつつ、人物の商品関心行動を的確に予測することを可能とするデータ処理装置、推論装置を提供する。
【解決手段】データ処理装置4は、1又は複数の観点に基づいて予測対象の人物の行動を記録した人物データ、当該人物が前記行動を起こす動機となる要因を示す行動要因指標、及び、商品に関して当該人物を対象に実施される予測対象の施策を示す施策データを含む入力データを取得するデータ取得部400と、データ取得部400により取得された入力データを、学習済みの学習モデル12に入力することで当該学習モデル12から出力される出力データに基づいて、予測対象の人物が当該施策により起こした行動として商品に対する商品関心行動を予測する商品関心行動予測部401とを備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の観点に基づいて予測対象の人物の行動を記録した人物データ、当該人物が前記行動を起こす動機となる要因を示す行動要因指標、及び、商品に関して当該人物を対象に実施される予測対象の施策を示す施策データを含む入力データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部により取得された前記入力データを、前記観点に基づいて学習対象の人物の行動を記録した前記人物データ、当該人物が前記行動を起こす動機となる要因を示す前記行動要因指標、及び、前記商品に関して当該人物を対象に実施される学習対象の施策を示す前記施策データを含む前記入力データと、当該人物が当該施策により起こした前記行動として前記商品に対する商品関心行動を記録した商品関心行動データを含む出力データとの相関関係を機械学習により学習させた学習モデルに入力することで当該学習モデルから出力される前記出力データに基づいて、前記予測対象の人物の前記商品関心行動を予測する商品関心行動予測部と、を備える、
データ処理装置。
【請求項2】
前記入力データは、
前記施策が実施される時点の外部環境を示す外部環境データをさらに含む、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記商品には、
当該商品の特徴を示す指標であって、前記行動要因指標に対応する商品指標が付与されており、
前記人物データは、
前記商品指標が付与された前記商品に関連付けて前記商品関心行動を記録したものである、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記商品には、
当該商品の特徴を示す指標であって、前記行動要因指標に対応する商品指標が付与されており、
前記施策データは、
前記商品に関して実施される前記施策の内容、及び、当該商品に付与された前記商品指標を含む、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記予測対象の複数の人物を含む人物群と、前記予測対象の施策とを受け付けて、前記データ取得部及び前記商品関心行動予測部と連携することで、前記人物群に含まれる複数の前記人物の各々の商品関心行動を予測し、前記人物毎の前記商品関心行動を統計処理することにより、前記施策の効果を評価する施策評価部をさらに備える、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記予測対象の複数の人物を含む人物群と、前記予測対象の複数の施策を含む施策群とを受け付けて、前記データ取得部及び前記商品関心行動予測部と連携することで、前記施策群に含まれる複数の前記施策の各々に対して、前記人物群に含まれる複数の前記人物の各々の商品関心行動を予測し、前記人物毎の前記商品関心行動を前記施策毎に統計処理することにより、複数の前記施策のうち所定の基準を満たす前記施策を抽出する施策抽出部をさらに備える、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
メモリと、プロセッサとを備える推論装置であって、
前記プロセッサは、
1又は複数の観点に基づいて予測対象の人物の行動を記録した人物データ、当該人物が前記行動を起こす動機となる要因を示す行動要因指標、及び、商品に関して当該人物を対象に実施される予測対象の施策を示す施策データを含む入力データを取得するデータ取得処理と、
前記データ取得処理にて前記入力データを取得すると、
前記予測対象の人物が前記予測対象の施策により起こした前記行動として前記商品に対する商品関心行動を推論する推論処理と、を実行する、
推論装置。
【請求項8】
1又は複数の観点に基づいて学習対象の人物の行動を記録した人物データ、当該人物が前記行動を起こす動機となる要因を示す行動要因指標、及び、商品に関して当該人物を対象に実施される学習対象の施策を示す施策データを含む入力データと、当該人物が当該施策により起こした前記行動として前記商品に対する商品関心行動を記録した商品関心行動データを含む出力データとで構成される学習用データを学習モデルに複数組入力することで、前記入力データと前記出力データとの相関関係を機械学習により前記学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、を備える、
機械学習装置。
【請求項9】
1又は複数の観点に基づいて予測対象の人物の行動を記録した人物データ、当該人物が前記行動を起こす動機となる要因を示す行動要因指標、及び、商品に関して当該人物を対象に実施される予測対象の施策を示す施策データを含む入力データを取得するデータ取得工程と、
前記データ取得工程により取得された前記入力データを、前記観点に基づいて学習対象の人物の行動を記録した前記人物データ、当該人物が前記行動を起こす動機となる要因を示す前記行動要因指標、及び、前記商品に関して当該人物を対象に実施される学習対象の施策を示す前記施策データを含む前記入力データと、当該人物が当該施策により起こした前記行動として前記商品に対する商品関心行動を記録した商品関心行動データを含む出力データとの相関関係を機械学習により学習させた学習モデルに入力することで当該学習モデルから出力される前記出力データに基づいて、前記予測対象の人物の前記商品関心行動を予測する商品関心行動予測工程と、を備える、
データ処理方法。
【請求項10】
メモリと、プロセッサとを備える推論装置により実行される推論方法であって、
前記プロセッサは、
1又は複数の観点に基づいて予測対象の人物の行動を記録した人物データ、当該人物が前記行動を起こす動機となる要因を示す行動要因指標、及び、商品に関して当該人物を対象に実施される予測対象の施策を示す施策データを含む入力データを取得するデータ取得処理と、
前記データ取得処理にて前記入力データを取得すると、
前記予測対象の人物が前記予測対象の施策により起こした前記行動として前記商品に対する商品関心行動を推論する推論処理と、を実行する、
推論方法。
【請求項11】
1又は複数の観点に基づいて学習対象の人物の行動を記録した人物データ、当該人物が前記行動を起こす動機となる要因を示す行動要因指標、及び、商品に関して当該人物を対象に実施される学習対象の施策を示す施策データを含む入力データと、当該人物が当該施
策により起こした前記行動として前記商品に対する商品関心行動を記録した商品関心行動データを含む出力データとで構成される学習用データを学習モデルに複数組入力することで、前記入力データと前記出力データとの相関関係を機械学習により前記学習モデルに学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程により前記相関関係を学習させた前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶する学習済みモデル記憶工程と、を備える、
機械学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、推論装置、機械学習装置、データ処理方法、推論方法、及び、機械学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から商品の販売状況を予測するための様々な手法が開発されており、商品の販売状況の予測結果は、例えば、商品企画、商品開発、生産管理、仕入れ・発注管理、販売戦略策定、マーケティング、広告等を行う際に有用な情報として活用されている。商品の販売状況を予測するシステムとして、例えば、特許文献1には、過去の商品の販売実績と、商品に関連付けられた注目度情報とに基づいて、商品の販売数を予測するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各人物が商品に対して商品関心行動(例えば、商品の購買行動等)を起こす場合、その行動を起こす動機となる要因を示す行動要因指標(例えば、感性等)が、各人物に内在していると考えられる。また、事業者により商品に関して実施される施策は、各人物による商品に対する商品関心行動に影響を与えるものと考えられる。しかしながら、特許文献1に開示されたシステムでは、そのような各人物に内在する行動要因指標や商品に関して実施される施策が考慮されておらず、行動要因指標や施策に応じて、商品に対する商品関心行動を予測するものではなかった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、人物が行動を起こす動機となる要因と、商品に関して実施される施策との影響を考慮しつつ、人物の商品関心行動を的確に予測することを可能とするデータ処理装置、推論装置、機械学習装置、データ処理方法、推論方法、及び、機械学習方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るデータ処理装置は、
1又は複数の観点に基づいて予測対象の人物の行動を記録した人物データ、当該人物が前記行動を起こす動機となる要因を示す行動要因指標、及び、商品に関して当該人物を対象に実施される予測対象の施策を示す施策データを含む入力データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部により取得された前記入力データを、前記観点に基づいて学習対象の人物の行動を記録した前記人物データ、当該人物が前記行動を起こす動機となる要因を示す前記行動要因指標、及び、前記商品に関して当該人物を対象に実施される学習対象の施策を示す前記施策データを含む前記入力データと、当該人物が当該施策により起こした前記行動として前記商品に対する商品関心行動を記録した商品関心行動データを含む出力データとの相関関係を機械学習により学習させた学習モデルに入力することで当該学習モデルから出力される前記出力データに基づいて、前記予測対象の人物の前記商品関心行動を予測する商品関心行動予測部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係るデータ処理装置によれば、商品関心行動予測部が、1又は複数の観点に基づいて予測対象の人物の行動を記録した人物データ、当該人物が行動を起こす動機となる要因を示す行動要因指標、及び、商品に関して当該人物を対象に実施される予測対象の施策を示す施策データを含む入力データを、学習モデルに入力することで当該学習モデルから出力される出力データに基づいて、当該人物が当該施策により起こした行動として商品関心行動を予測する。したがって、人物が行動を起こす動機となる要因と、商品に関して実施される施策との影響を考慮しつつ、人物の商品関心行動を的確に予測することができる。
【0008】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】施策立案システム1の一例を示す全体構成図である。
【
図2】コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
【
図3】人物データベース20の一例を示すデータ構成図である。
【
図4】施策データベース21の一例を示すデータ構成図である。
【
図5】外部環境データベース22の一例を示すデータ構成図である。
【
図6】機械学習装置3の一例を示すブロック図である。
【
図7】学習用データ11及び学習モデル12の一例を示す図である。
【
図8】各データベース20~22と、学習用データ11との関係を示す図である。
【
図9】データ処理装置4の一例を示すブロック図である。
【
図10】データ処理装置4の一例を示す機能説明図である。
【
図11】機械学習装置3による機械学習方法の一例を示すフローチャートである。
【
図12】データ処理装置4によるデータ処理方法(施策評価処理)の一例を示すフローチャートである。
【
図13】データ処理装置4によるデータ処理方法(施策抽出処理)の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0011】
(施策立案システム1)
図1は、施策立案システム1の一例を示す全体構成図である。施策立案システム1は、人物の行動を記録した人物データと、当該人物が行動を起こす動機となる要因を示す行動要因指標(タグ)と、商品に関して当該人物を対象に実施される施策を示す施策データと、外部環境の状態や外部環境で発生した事象を記録した外部環境データとに基づいて、当該人物の商品関心行動を予測することで、施策の評価・立案を行うシステムとして機能する。
【0012】
人物データは、1又は複数の観点に基づいて人物の行動を記録したデータである。人物の行動を記録するときの観点としては、例えば、人物が店舗や電子商取引サイトで商品を購入したときの購買行動、人物がウェブサイトを閲覧したときのウェブ閲覧行動、人物がウェブサイトで検索したときのウェブ検索行動、人物が任意の移動手段(徒歩、電車、車等)で移動したときの移動行動、人物がウェブサイトや紙面にてアンケートに回答したときのアンケート回答行動等が挙げられる。そのため、人物データには、例えば、購買行動
を記録した購買履歴、ウェブ閲覧行動を記録したウェブ閲覧履歴、ウェブ検索行動を記録したウェブ検索履歴、移動行動を記録した移動履歴、アンケート回答行動を記録したアンケート回答履歴等が含まれる。
【0013】
行動要因指標は、人物が特定の行動を起こすときの動機となる要因を示すものである。行動要因指標は、例えば、感性、嗜好性、属性等で分類される複数の種類を有する。感性、及び、嗜好性としては、例えば、健康志向、オーガニック、産地こだわり派、価格(節約)志向、高級志向、安心・安全、美容感度高め、綺麗好き、和食派、洋食派、甘い物好き(甘党)、辛い物好き(辛党)、濃い味好き、酸味好き、炭酸好き、インドア系、アウトドア系等が挙げられる。属性としては、デモグラフィック、ライフスタイル等に関するものとして、年代、性別、独身、既婚、子供あり、持ち家、賃貸、車所有、ペット飼育、ダイエット中等が挙げられる。
【0014】
行動要因指標は、人物に対して変数の値により付与されるものであり、行動要因指標の種類毎に変数の値がそれぞれ付与される。本実施形態では、行動要因指標が、2クラスの分類(0又は1の二値分類)で定義される場合を中心に説明するため、例えば、「健康志向」の行動要因指標の変数の値は、「0:健康志向でない」及び「1:健康志向である」により付与される。なお、行動要因指標は、多クラスの分類(多値分類)で定義されてもよく、例えば、3クラスの分類で定義される場合には、「健康志向」の行動要因指標の変数の値は、「-1:健康志向でない」、「0:どちらでもない」及び「1:健康志向である」により付与されてもよい。また、行動要因指標の定義は、行動要因指標の種類毎に異なるものでもよい。さらに、行動要因指標は、上記のような、行動要因指標の種類毎の分類値(二値分類及び多値分類のいずれでもよい)に代えて又は加えて、例えば、人物が過去に起こした特定の行動を加工したり集約したりすることで数値化された特徴量として付与されるものでもよい。
【0015】
施策データは、商品に関して特定の人物(複数の人物を含む人物群でもよい)を対象に実施される施策を示すデータである。商品は、人物の商品関心行動の対象となるものであり、モノだけでなく、サービスも含まれる。なお、商品の一部又は全部には、当該商品の特徴を示す指標であって、行動要因指標に対応する商品指標が付与されていてもよい。例えば、素材の産地にこだわった商品「ケーキ」には、「甘党」や「産地こだわり派」という商品指標が付与され、高級な素材を使用した商品「ケーキ」には、「甘党」や「高級志向」という商品指標が付与される。施策は、商品の販売促進を主な目的と実施されるものであり、例えば、セール、広告、販促イベント等が挙げられる。そのため、施策データには、例えば、商品に関して実施される施策の内容が含まれるとともに、当該商品に商品指標が付与されている場合には、当該商品指標が含まれていてもよい。
【0016】
商品関心行動は、人物が商品に対して関心を持つことで起こす任意の行動である。商品関心行動は、例えば、人物が店舗や電子商取引サイトで商品を購入する購買行動、人物が商品の購入を予約する購買予約行動、人物が商品を購買対象の候補(お気に入り)として登録する候補登録行動、人物がカタログやサービス案内資料を取り寄せたり閲覧したりする情報収集行動、人物が店舗や電子商取引サイトを訪問する店舗訪問行動、人物が商品に関する販促イベントに参加するイベント参加行動、人物が別の人物に商品を推薦する商品推薦行動等が含まれる。
【0017】
外部環境データは、1又は複数の観点に基づいて外部環境の状態や外部環境で発生した事象を記録したデータである。外部環境を記録するときの観点としては、例えば、各時刻(期間でもよい)や各地点(地域でもよい)における気象、トレンド、外部イベント等が挙げられる。そのため、外部環境データには、例えば、天候、気温、湿度、降水量、降雪量、紫外線、花粉等を含む気象データ、各種のランキングやSNS(ソーシャルネットワ
ーキングサービス)での話題等を含むトレンドデータ、エンターテイメント、スポーツ、公共サービス等による外部イベントの詳細を含む外部イベントデータが含まれる。
【0018】
施策立案システム1は、その主要な構成要素として、データベース装置2と、機械学習装置3と、データ処理装置4と、作業者端末装置5と、施策立案者端末装置6とを備える。各装置2~6は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図2参照)で構成されるとともに、有線又は無線のネットワーク7に接続されて、各種のデータを相互に送受信可能に構成される。なお、各装置2~6の数やネットワーク7の接続構成は、
図1の例に限られず、適宜変更してもよい。
【0019】
データベース装置2は、人物データ及び行動要因指標を人物別に登録可能な人物データベース20と、施策データを施策毎に登録可能な施策データベース21と、外部環境データを登録可能な外部環境データベース22とを備える。
【0020】
人物データベース20には、各人物の日々の行動を1又は複数の観点に基づいて行動履歴として記録する外部システム(不図示)と連携することで、1又は複数の観点に基づく行動履歴が人物データとして人物別に登録される。施策データベース21には、事業者等が実施した施策を施策履歴として記録する外部システム(不図示)と連携することで、施策履歴が施策データとして施策別に登録される。外部環境データベース22には、外部環境を1又は複数の観点に基づいて記録する外部システム(不図示)と連携することで、1又は複数の観点に基づく外部環境データが登録される。外部システムは、プッシュ型又はプル型にて各種の情報をデータベース装置2に提供するシステムであり、例えば、販売時点情報管理システム(POSシステム)、コンピュータ操作ログ収集システム、ナビゲーションシステム、アンケートシステム、広告配信サーバ、気象配信サーバ、トレンド配信サーバ、イベント配信サーバ等で構成される。
【0021】
機械学習装置3は、機械学習の学習フェーズの主体として動作する。機械学習装置3は、人物データベース20に登録された人物データ及び行動要因指標と、施策データベース21に登録された施策データと、外部環境データベース22に登録された外部環境データとを組み合わせて学習用データ11として用いることで、学習モデル12の機械学習を行う。学習済みの学習モデル12は、ネットワーク7や記録媒体等を介してデータ処理装置4に提供される。機械学習の手法としては、教師あり学習を採用する。
【0022】
データ処理装置4は、機械学習の推論フェーズの主体として動作する。データ処理装置4は、機械学習装置3により生成された学習済みの学習モデル12を用いて、人物の商品関心行動の予測や施策の評価や抽出を行い、その結果をデータベース装置2や施策立案者端末装置6等に提供する。
【0023】
作業者端末装置5は、機械学習装置3が学習モデル12の機械学習を行う際に、学習用データ11や学習モデル12の生成作業を行う作業者10Aにより使用される端末装置である。作業者端末装置5は、アプリケーションプログラム、ウェブブラウザ等の表示画面を介して各種の入力操作を受け付けるとともに、表示画面を介して各種の情報を表示する。
【0024】
施策立案者端末装置6は、データ処理装置4が人物の商品関心行動の予測や施策の評価や抽出を行う際に、施策の立案作業を行う施策立案者10Bにより使用される端末装置である。施策立案者端末装置6は、アプリケーションプログラム、ウェブブラウザ等の表示画面を介して各種の入力操作を受け付けるとともに、表示画面を介して各種の情報を表示する。
【0025】
(コンピュータ900)
図2は、コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。施策立案システム1の各装置2~6は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0026】
コンピュータ900は、
図2に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0027】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0028】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0029】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(
図1のネットワーク7と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、CD(Compact Disc)ドライブ等のドライブ装置で構成され、DVD、CD等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0030】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ9
12がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA(field-programmable gate array)、ASIC(application specific integrated circuit)等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0031】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。
【0032】
(人物データベース20)
図3は、人物データベース20の一例を示すデータ構成図である。人物データベース20は、各人物にそれぞれ付与された人物識別情報(ユーザID)に基づいて、人物データ及び行動要因指標を管理するためのデータベースである。人物データベース20は、例えば、購買履歴テーブル、ウェブ閲覧履歴テーブル、ウェブ検索履歴テーブル、移動履歴テーブル、アンケート回答履歴テーブル、行動要因指標テーブル、商品マスタ情報、店舗マスタ情報、ウェブサイトマスタ情報、及び、地図情報から構成される。
【0033】
購買履歴テーブルは、購買行動、購買予約行動(商品関心行動の一例)を記録するための複数のレコードを有し、各レコードには、日時、商品、価格、店舗(電子商取引サイトでもよい)等が登録される。商品には、商品IDが登録されるとともに、その商品IDにより商品マスタ情報と紐付けされることで、商品マスタ情報に登録された商品属性(商品名、商品カテゴリー、価格(希望小売価格、オープン価格等)等)が関連付けられる。店舗には、店舗IDが登録されるとともに、その店舗品IDにより店舗マスタ情報と紐付けされることで、店舗マスタ情報に登録された店舗属性(店舗名、店舗カテゴリー等)が関連付けられる。なお、商品には、行動要因指標に対応する商品指標(行動特徴指標)が付与されていてもよく、例えば、商品属性の一部として商品マスタ情報に登録されていてもよい。また、店舗には、行動要因指標に対応する店舗指標(行動特徴指標)が付与されていてもよく、例えば、店舗属性の一部として店舗マスタ情報に登録されていてもよい。
【0034】
ウェブ閲覧履歴テーブルは、例えば、候補登録行動、情報収集行動、店舗訪問行動、商品推薦行動(商品関心行動の一例)を含むウェブ閲覧行動を記録するための複数のレコードを有し、各レコードには、日時、ウェブサイト、閲覧時間等が登録される。ウェブ検索履歴テーブルは、ウェブ検索行動を記録するための複数のレコードを有し、各レコードには、日時、検索ワード等が登録される。ウェブサイトには、そのウェブサイトにアクセスするためのURLが登録されるとともに、そのURLによりウェブサイトマスタ情報と紐付けされることで、ウェブサイトマスタ情報に登録されたウェブサイト属性(管理者名、ウェブサイトカテゴリー等)が関連付けられる。なお、ウェブサイトには、行動要因指標に対応するウェブサイト指標(行動特徴指標)が付与されていてもよく、例えば、ウェブサイト属性の一部としてウェブサイトマスタ情報に登録されていてもよい。
【0035】
移動履歴テーブルは、例えば、店舗訪問行動、イベント参加行動(商品関心行動の一例)を含む移動行動を記録するための複数のレコードを有し、各レコードには、日時、位置、移動手段等が登録される。位置には、例えば、所定の時間以上滞在したときの滞在地点や滞在地域が登録されるとともに、その滞在地点や滞在地域により地図情報と紐付けされることで、地図情報に登録された地点属性(地点名、地点カテゴリー等)や地域属性(地域名、地域カテゴリー等)が関連付けられる。なお、地点や地域には、行動要因指標に対応する地点指標(行動特徴指標)や地域指標(行動特徴指標)が付与されていてもよく、例えば、地点属性や地域属性の一部として地図情報に登録されていてもよい。
【0036】
アンケート回答履歴テーブルは、アンケート回答行動を記録するための複数のレコード
を有し、各レコードには、日時、質問内容、回答内容等が登録される。
【0037】
行動要因指標テーブルは、人物に付与された行動要因指標を記録するための複数のレコードを有し、各レコードには、日時、行動要因指標の変数の値(二値分類の例では、0又は1)等が登録される。
図3の例では、「健康志向」、「甘党」及び「車所有」という3つの行動要因指標に対応する3つのフィールドが示されているが、他の行動要因指標についても同様に、フィールドがそれぞれ設けられる。また、日時としては、各行動要因指標が変更された日時がそれぞれ登録され、例えば、二値分類の例では、「1」が付与された日時と、「0」が付与された日時とが登録される。
【0038】
人物データベース20では、各テーブルの情報がユーザIDにより関連付けられることで、複数の観点に基づいて人物の行動を記録した人物データと、行動要因指標とが人物毎に管理される。そして、人物データベース20に登録された情報は、各種の統計処理が実行可能に構成される。なお、人物データは、行動の特徴を示す指標であって行動要因指標に対応する行動特徴指標(本実施形態では、商品指標、店舗指標、ウェブサイト指標、地点指標、地域指標)が付与された特徴データ(本実施形態では、商品、店舗、ウェブサイト、地点、地域)に関連付けて記録したものでもよい。行動特徴指標は、上記以外にも、例えば、時間帯、曜日、季節等の特徴に対しても付与されてもよい。
【0039】
なお、人物に対する行動要因指標と、商品、店舗、ウェブサイト、地点及び地域に対する行動特徴指標は、例えば、作業者端末装置5が人物データベース20に登録された人物データを表示し、その表示された人物データを確認した作業者10Aが入力操作(アノテーション作業)により付与してもよいし、データ処理装置4が人物データベース20に登録された人物データを参照し、その人物データに対して所定のデータ処理を行うことで付与してもよい。所定のデータ処理としては、判定規則や学習モデル等が用いられるものであり、例えば、本願出願人が出願済みの特願2021-213643号に開示された技術を適用可能であり、特願2021-213643号の明細書及び図面に開示された内容全体は、本願明細書に参照として取り込まれる。また、人物に対する行動要因指標と、商品、店舗、ウェブサイト、地点及び地域に対する行動特徴指標は、人物データベース20に登録された人物データを、所定の加工条件に従って加工したり所定の集約条件に従って集約したりすることで数値化された特徴量として付与してもよい。
【0040】
(施策データベース21)
図4は、施策データベース21の一例を示すデータ構成図である。施策データベース21は、各施策にそれぞれ付与された施策識別情報(施策ID)に基づいて、施策データを管理するためのデータベースである。施策データベース21は、例えば、セールテーブル、広告テーブル、及び、販促イベントテーブルから構成される。
【0041】
セールテーブルは、商品のセールに関する情報を記録するための複数のレコードを有し、各レコードには、日時、商品、店舗、セール内容、セール対象ユーザ等が登録される。商品には、商品IDが登録されるとともに、その商品IDにより商品マスタ情報と紐付けされることで、商品マスタ情報に登録された商品属性(商品名、商品カテゴリー、商品指標等)が関連付けられる。店舗には、店舗IDが登録されるとともに、その店舗品IDにより店舗マスタ情報と紐付けされることで、店舗マスタ情報に登録された店舗属性(店舗名、店舗カテゴリー、店舗指標等)が関連付けられる。セール内容には、例えば、商品の販売価格、値引率、値引額、セール期間等が含まれる。セール対象ユーザには、セールの対象とする人物を示す人物IDや特徴(行動要因指標でもよい)が登録される。
【0042】
広告テーブルは、商品の広告に関する情報を記録するための複数のレコードを有し、各レコードには、日時、商品、店舗、広告媒体、広告内容、広告対象ユーザ等が登録される
。広告は、テレビ、ラジオ、新聞、チラシ、雑誌、交通機関、ダイレクトメール、リスティング、バナー、動画サイト、SNS等の任意の広告媒体により実施される。広告内容には、広告媒体の種類、広告頻度、広告期間等が登録される。広告対象ユーザには、広告の対象とする人物を示す人物IDや特徴(行動要因指標でもよい)が登録される。なお、商品及び店舗には、セールテーブルと同様に、商品ID及び店舗IDがそれぞれ登録される。
【0043】
販促イベントテーブルは、例えば、実演販売、展示会、プレゼント企画、ファンサービス等の販促イベントに関する情報を記録するための複数のレコードを有し、各レコードには、日時、商品、店舗、イベント内容、イベント対象ユーザ等が登録される。イベント内容は、販促イベントの種類、プレゼントの詳細(商品、価格)等が登録される。イベント対象ユーザには、販促イベントの対象とする人物を示す人物IDや特徴(行動要因指標でもよい)が登録される。なお、商品及び店舗には、セールテーブルと同様に、商品ID及び店舗IDがそれぞれ登録される。
【0044】
(外部環境データベース22)
図5は、外部環境データベース22の一例を示すデータ構成図である。外部環境データベース22は、外部環境データを管理するためのデータベースであり、例えば、気象テーブル、トレンドテーブル、及び、外部イベントテーブルから構成される。
【0045】
気象テーブルは、例えば、気象に関する情報を記録するための複数のレコードを有し、各レコードには、日時、位置、天候、気温、湿度、降水量、降雪量、紫外線、花粉等が登録される。
【0046】
トレンドテーブルは、例えば、各種のランキングやSNSでの話題等のトレンドに関する情報を記録するための複数のレコードを有し、各レコードには、日時、位置、トレンド内容、イベント対象ユーザ等が登録される。トレンド内容には、トレンドの種類、傾向等が登録される。トレンド対象ユーザには、トレンドの対象とする人物を示す人物IDや特徴(行動要因指標でもよい)が登録される。
【0047】
外部イベントテーブルは、例えば、エンターテイメント、スポーツ、公共サービス等の外部イベントに関する情報を記録するための複数のレコードを有し、各レコードには、日時、位置、イベント内容、イベント対象ユーザ等が登録される。イベント内容には、外部イベントの種類等が登録される。イベント対象ユーザには、外部イベントの対象とする人物を示す人物IDや特徴(行動要因指標でもよい)が登録される。
【0048】
なお、各データベース20~22のデータ構成は適宜変更してもよく、上記以外のデータが登録可能であってもよいし、上記のデータの一部が省略されていてもよい。また、
図3乃至
図5には、各データベース20~22が有するフィールドがそれぞれ示されているが、レコードによってはフィールドの値が全て登録される必要はなく、一部のフィールドの値が省略されていてもよい。
【0049】
(機械学習装置3)
図6は、機械学習装置3の一例を示すブロック図である。機械学習装置3は、プロセッサ等により構成される制御部30と、HDD、SSD、メモリ等により構成される記憶部31と、ネットワーク7との通信インターフェースである通信部32と、キーボード、マウス等により構成される入力部33と、ディスプレイ等により構成される表示部34とを備える。なお、入力部33及び表示部34は省略されてもよい。
【0050】
記憶部31は、学習用データ11、学習モデル12、及び、機械学習プログラム310
を記憶するとともに、オペレーティングシステム、他のプログラム、各種のデータ等を記憶する。記憶部31は、学習用データ11を記憶する学習用データ記憶部、及び、学習モデル12を記憶する学習済みモデル記憶部として機能する。
【0051】
制御部30は、
図6に示すように、記憶部41に記憶された機械学習プログラム310を実行することにより、学習用データ取得部300、及び、機械学習部301として機能する。
【0052】
学習用データ取得部300は、学習用データ11の取得条件を、作業者10Aの入力操作として作業者端末装置5から受け付けたとき、その取得条件に基づいて、各データベース20~22を参照することで、入力データと出力データとで構成される学習用データ11を取得する。そして、学習用データ取得部300は、複数組の学習用データ11を機械学習部301に提供したり、記憶部31に記憶したりする。
【0053】
機械学習部301は、入力データと出力データとで構成される学習用データ11を学習モデル12に複数組入力することで、入力データと出力データとの相関関係を機械学習により学習モデル12に学習させる。そして、機械学習部301は、学習済みの学習モデル12(具体的には、調整済みのパラメータ群)を記憶部31に記憶する。なお、機械学習部301は、機械学習を実施する際、例えば、オンライン学習、バッチ学習、ミニバッチ学習等の任意の手法を採用することができる。
【0054】
図7は、学習用データ11及び学習モデル12の一例を示す図である。
図8は、各データベース20~22と、学習用データ11との関係を示す図である。
【0055】
学習用データ11は、入力データと出力データとで構成される。学習用データ11は、教師あり学習における教師データ(トレーニングデータ)、検証データ及びテストデータとして用いられるデータである。学習用データ11に含まれる出力データは、教師あり学習における正解ラベルとして用いられるデータである。
【0056】
入力データには、
図7に示すように、1又は複数の観点に基づいて学習対象の人物の行動を記録した人物データと、当該人物が行動を起こす動機となる要因を示す行動要因指標と、商品に関して当該人物を対象に実施される学習対象の施策を示す施策データと、当該施策が実施される時点の外部環境を示す外部環境データとが含まれる。
【0057】
出力データには、
図7に示すように、学習対象の人物が学習対象の施策により起こした行動として商品に対する商品関心行動を記録した商品関心行動データが含まれる。商品関心行動データには、例えば、人物が商品を購入したか否かを示す購買行動、人物が商品の購入を予約したか否かを示す購買予約行動、人物が商品を購買対象の候補として登録したか否かを示す候補登録行動、人物がカタログやサービス案内資料を取り寄せたり閲覧したりしたかを示す情報収集行動、人物が店舗や電子商取引サイトを訪問したか否かを示す店舗訪問行動、人物が販促イベントに参加したか否かを示すイベント参加行動、人物が別の人物に商品を推薦したか否かを示す商品推薦行動等のうち、少なくとも1つが含まれる。
【0058】
入力データに含まれる人物データは、学習対象の施策が実施される時点を学習基準時点(
図8参照)としたとき、学習基準時点又はその学習基準時点よりも過去の期間において学習対象の人物の行動を記録した人物データであり、人物データベース20から取得される。
【0059】
入力データに含まれる行動要因指標は、学習基準時点において学習対象の人物に付与されている行動要因指標であり、人物データベース20から取得される。
図8の例では、学
習基準時点において、「甘党」及び「車所有」という行動要因指標が付与された状態であるため、「甘党」及び「車所有」の行動要因指標に対して「1」が入力され、「健康志向」に対して「0」が入力される。
【0060】
入力データに含まれる施策データは、学習基準時点に実施された施策を示す施策データであり、施策データベース21から取得される。
図8の例では、施策データには、学習対象の施策は、「セール」であり、例えば、「甘党」及び「産地こだわり派」の商品指標が付与された商品「ケーキ」に対して、セール内容が「値引率20%」であることが記録されている。
【0061】
入力データに含まれる外部環境データは、学習基準時点の外部環境を示す外部環境データであり、外部環境データベース22から取得される。
図8の例では、外部環境データには、学習基準時点及び施策データに含まれる店舗の位置(学習基準地点)における気象データが記録されている。
【0062】
出力データに含まれる商品関心行動データは、学習基準時点又はその学習基準時点よりも将来の期間において学習対象の人物の商品関心行動(例えば、購買行動等)を記録した商品関心行動データであり、人物データベース20の各テーブル(例えば、購買履歴テーブル等)から取得される。商品関心行動データには、上記のように、購買行動、購買予約行動、候補登録行動、情報収集行動、舗訪問行動、イベント参加行動、商品推薦行動等のうち、少なくとも1つが含まれ、例えば、商品関心行動を起こした場合には、「1」、商品関心行動を起こさなかった場合には「0」が記録される。
図7及び
図8の例では、商品関心行動データには、学習対象の人物が商品を購入したという購買行動(「1」)が記録されている場合が示されている。
【0063】
学習用データ取得部300は、学習用データ11の取得条件として、例えば、過去に実施された学習対象の施策(
図8の例では、「セール」の施策)を受け付けると、施策データベース21を参照することで、その学習対象の施策を示す施策データ(入力データの一部)を取得し、その施策データにおける商品を学習対象の商品に設定し、その施策データにおける対象ユーザを学習対象の人物に設定し、その施策データにおける施策の日時を学習基準時点に設定し、その施策データにおける店舗の位置を学習基準地点に設定する(学習基準地点の設定は省略されてもよい)。そして、学習用データ取得部300は、人物データベース20を参照することで、学習基準時点よりも過去の期間における学習対象の人物の人物データ(入力データの一部)を取得するとともに、学習基準時点における学習対象の人物の行動要因指標(入力データの一部)を取得する。また、データ取得部400は、外部環境データベース22を参照することで、学習基準時点及び学習基準地点における外部環境データ(入力データの一部)を取得する。さらに、学習用データ取得部300は、人物データベース20の各テーブルを参照することで、学習基準時点よりも将来の期間において学習対象の人物が学習対象の商品に対する商品関心行動を起こしたか否かを示す情報(
図7及び
図8に示す購買行動の例では、購入した場合には「1」、購入していない場合には「0」)を、商品関心行動データ(出力データ)として取得する。
【0064】
学習用データ取得部300は、上記一連の処理により取得した入力データと出力データとを組み合わせることで、
図8の一点鎖線で示すように、学習用データ11を生成する。その際、対象ユーザが複数の人物である場合には、学習用データ取得部300は、各人物に対して上記一連の処理をそれぞれ行うことで、複数組の学習用データ11を生成する。また、学習用データ11の取得条件として、複数の学習対象の施策を受け付けた場合には、各施策に対して、上記一連の処理をそれぞれ行うことで、複数組の学習用データ11を生成する。
【0065】
学習モデル12は、例えば、ニューラルネットワークの構造を採用したものであり、
図7に示すように、入力層120、中間層121、及び、出力層122を備える。各層の間には、各ニューロンをそれぞれ接続するシナプス(不図示)が張られており、各シナプスには、重みがそれぞれ対応付けられている。
【0066】
入力層120は、入力データとしての人物データ、行動要因指標、施策データ及び外部環境データ(各データは前処理にて各データから変換された特徴量でもよい)に対応する数のニューロンを有し、入力データの各値が各ニューロンにそれぞれ入力される。出力層122は、出力データとしての商品関心行動データに対応するニューロンを有し、入力データに対する商品関心行動の予測結果(推論結果)が、出力データ(本実施形態では、0~1の範囲の値)として出力される。学習用データ11を構成する出力データ(正解ラベル)と、出力層122から出力された出力データ(推論結果)とを比較し、各シナプスの重み等のパラメータ群を調整する処理(バックプロパゲーション等)を実施することで、学習モデル12の機械学習が行われる。
【0067】
機械学習部301は、学習用データ11を構成する入力データを学習モデル12の入力層120に入力する際、ワンホットエンコーディングやラベルエンコーディング等の任意の変換手法により、入力データを学習モデル12に入力するための所定の特徴量に変換する前処理を行うようにしてもよい。その場合の前処理としては、例えば、入力データの人物データに含まれる購買履歴、ウェブ閲覧履歴、ウェブ検索履歴、移動履歴及びアンケート回答履歴に対して、比較、割合、頻度、期間、カテゴリー、行動特徴指標(商品指標、店舗指標、ウェブサイト指標、地点指標、地域指標)等に各種の数値演算を適宜組み合わせることで、人物データを特徴量に変換するようにすればよい。また、入力データの施策データ及び外部環境データに対しても、人物データと同様に、各種の数値演算を適宜組み合わせることで、施策データ及び外部環境データを特徴量にそれぞれ変換するようにすればよい。
【0068】
例えば、人物データが、
図3に示すように、行動の特徴を示す特徴データ(商品、店舗、ウェブサイト、地点、地域)と、当該特徴データに関連付けて付与された行動特徴指標(商品指標、店舗指標、ウェブサイト指標、地点指標、地域指標)を含むものである場合には、機械学習部301は、人物データに含まれる特徴データに付与された行動特徴指標に基づいて、人物データを特徴量に変換する前処理を行うようにしてもよい。その場合の前処理としては、例えば、購買履歴の一部として記録されている、ユーザが過去に購入した商品に付与された商品指標に基づいて、「健康志向」の行動要因指標が付与された商品の購入額、「甘党」の行動要因指標が付与された商品の購入額、「車所有」の行動要因指標が付与された商品の購入額等をそれぞれ集計し、その集計した各購入額を0~1の範囲の値にそれぞれ正規化することで、特徴量に変換するようにすればよい。
【0069】
また、施策データが、
図4に示すように、商品に関して実施される施策の内容(日時、商品、店舗、セール内容、広告内容、イベント内容等)と、当該商品に関連付けて付与された商品指標とを含むものである場合には、機械学習部301は、施策データに含まれる施策の内容と、商品に付与された商品指標とに基づいて、施策データを特徴量に変換する前処理を行うようにしてもよい。その場合の前処理としては、例えば、施策の内容が「値引率20%」であり、商品に対して「甘党」及び「産地こだわり派」の商品指標が付与されている場合には、例えば、「甘党」及び「産地こだわり派」の商品指標に対して「0.2」、それら以外の商品指標に対して「0」の値をそれぞれ設定することで、特徴量に変換するようにすればよい。
【0070】
なお、機械学習部301により機械学習が行われて記憶部31に記憶される学習モデル12の数や種類は適宜変更してもよく、例えば、機械学習の手法、人物データに含まれる
データの種類、行動要因指標に含まれるデータの種類、施策データに含まれるデータの種類、外部環境データに含まれるデータの種類、入力データに対する前処理の手法、商品関心行動データに含まれるデータの種類等のように、条件が異なる複数の学習モデル12が記憶されてもよい。その場合には、条件が異なる複数の学習モデル12にそれぞれ対応するデータ構成を有する複数の種類の学習用データ11を用いるようにすればよい。
【0071】
(データ処理装置4)
図9は、データ処理装置4の一例を示すブロック図である。
図10は、データ処理装置4の一例を示す機能説明図である。データ処理装置4は、プロセッサ等により構成される制御部40と、HDD、SSD、メモリ等により構成される記憶部41と、ネットワーク7との通信インターフェースである通信部42と、キーボード、マウス等により構成される入力部43と、ディスプレイ等により構成される表示部44とを備える。なお、入力部43及び表示部44は省略されてもよい。
【0072】
記憶部41は、学習モデル12、及び、データ処理プログラム410を記憶するとともに、オペレーティングシステム、他のプログラム、各種のデータ等を記憶する。記憶部41は、学習済みの学習モデル12を記憶する学習済みモデル記憶部として機能する。
【0073】
制御部40は、記憶部41に記憶されたデータ処理プログラム410を実行することにより、データ取得部400、商品関心行動予測部401、施策評価部402、施策抽出部403、及び、出力処理部404として機能する。
【0074】
データ取得部400は、例えば、予測対象の人物と、予測対象の施策とを含む商品関心行動の予測条件を、施策立案者10Bの入力操作として作業者端末装置5から受け付けたときや、施策評価部402及び施策抽出部403と連携することで施策評価部402及び施策抽出部403から受け付けたとき、その予測条件に基づいて、人物データ、行動要因指標、施策データ、及び、外部環境データを含む入力データを取得する。
【0075】
具体的には、予測対象の施策として、例えば、施策の内容(日時、商品、店舗、セール内容、広告内容、イベント内容等)が特定されることで、データ取得部400は、その施策の内容に基づいて、その予測対象の施策を示す施策データを取得する。また、データ取得部400は、その予測対象の施策における商品を予測対象の商品に設定し、その予測対象の施策における施策の日時を予測基準時点に設定し、その予測対象の施策における店舗の位置を予測基準位置に設定する(予測基準位置の設定は省略されてもよい)。そして、データ取得部400は、人物データベース20を参照することで、予測基準時点よりも過去の期間における予測対象の人物の人物データ(入力データの一部)を取得する。さらに、データ取得部400は、外部環境データベース22を参照することで、予測基準時点及び予測基準位置における外部環境データ(入力データの一部)を取得する。
【0076】
上記一連の処理により、データ取得部400は、予測条件に対する、人物データ、行動要因指標、施策データ、及び、外部環境データを含む入力データを取得する。そして、データ取得部400は、その予測対象の入力データを商品関心行動予測部401に提供したり、記憶部41に記憶したりする。
【0077】
商品関心行動予測部401は、記憶部41に記憶された学習済みの学習モデル12に、データ取得部400により取得された、人物データ、行動要因指標、施策データ、及び、外部環境データを含む入力データ(各データは前処理にて各データから変換された特徴量でもよい)を入力することで学習モデル12から出力された出力データに基づいて、人物の商品関心行動を予測する。なお、
図9の例では、商品関心行動として、
図7に合わせて、購買行動を起こすか否か、すなわち、商品を購入するか否かを予測する場合が示されて
いる。
【0078】
その際、商品関心行動予測部401は、学習モデル12から出力データ(本実施形態では、0~1の範囲の値)として出力された商品関心行動の予測結果(推論結果)に対する後処理として、その出力データの変数の値(
図10では、購買行動に対する値「0.9」)と、所定の閾値(例えば、「0.5」)とを比較し、閾値以上である場合には、「1:購入する」という購買行動(商品関心行動の一例)の予測結果を出力し、閾値未満である場合には、「0:購入しない」という購買行動(商品関心行動の一例)の予測結果を出力する。なお、商品関心行動予測部401は、入力データを学習モデル12の入力層120に入力する際、機械学習部301と同様の前処理を行うことで、前処理後の入力データ、すなわち、前処理にて入力データから変換された特徴量を学習モデル12に入力するようにしてもよい。
【0079】
施策評価部402は、予測対象の複数の人物を含む人物群と、予測対象の施策とを施策評価条件として受け付けて、データ取得部400及び商品関心行動予測部401と連携することで、人物群に含まれる複数の人物の各々の商品関心行動を予測し、人物毎の商品関心行動を統計処理することにより、施策の効果を評価する。施策の効果は、例えば、商品の購入率、販売量、売上高、購入予約率、購入予約量、候補登録率、候補登録人数、情報収集率、情報収集量、店舗訪問率、店舗訪問人数、イベント参加率、イベント参加人数、商品推薦率、商品推薦人数等により評価される。なお、施策の効果の評価結果は、各種のサービス(商品企画、商品開発、生産管理、仕入れ・発注管理、販売戦略策定、マーケティング、広告等)にて利用することができる。
【0080】
施策抽出部403は、予測対象の複数の人物を含む人物群と、予測対象の複数の施策を含む施策群とを施策抽出条件として受け付けて、データ取得部400及び商品関心行動予測部401と連携することで、施策群に含まれる複数の施策の各々に対して、人物群に含まれる複数の人物の各々の商品関心行動を予測し、人物毎の商品関心行動を施策毎に統計処理することにより、複数の施策のうち所定の基準を満たす施策を抽出する。所定の基準としては、例えば、施策の効果(商品の購入率、販売量、売上高、購入予約率、購入予約量、候補登録率、候補登録人数、情報収集率、情報収集量、店舗訪問率、店舗訪問人数、イベント参加率、イベント参加人数、商品推薦率、商品推薦人数等)が最も高い施策を抽出したり、施策の効果が高い順に所定の抽出数を抽出したり、施策の効果が所定の抽出基準値を超える施策を抽出したりするものとして定められる。
【0081】
出力処理部404は、商品関心行動予測部401による商品関心行動の予測結果、施策評価部402による施策の評価結果、施策抽出部403による施策の抽出結果等を任意の出力先に出力するための出力処理を行う。出力先としては、データベース装置2、施策立案者端末装置6等が挙げられるが、これらに限られない。その際、出力処理部404は、商品関心行動予測部401による予測結果として、後処理が行われた後の商品関心行動の予測結果(0又は1)に加えて又は代えて、後処理が行われる前の商品関心行動の予測結果(0~1の範囲の値)を出力してもよい。また、出力処理部404は、施策の評価結果や施策の抽出結果を、表や図等の形式に加工して出力してもよい。
【0082】
なお、記憶部41に記憶される学習モデル12の数は1つに限定されず、例えば、機械学習の手法、人物データに含まれるデータの種類、行動要因指標に含まれるデータの種類、外部環境データに含まれるデータの種類、入力データに対する前処理の手法、商品関心行動データに含まれるデータの種類等のように、条件が異なる複数の学習モデル12が記憶され、選択的に利用可能としてもよい。また、学習モデル12は、外部コンピュータ(例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータ)の記憶部に記憶されていてもよく、その場合には、データ処理装置4は、その外部コンピュータにアクセスすればよい
。
【0083】
(機械学習方法)
図11は、機械学習装置3による機械学習方法の一例を示すフローチャートである。以下では、作業者10Aが、作業者端末装置5を用いて入力操作を行うことで、機械学習装置3が、各データベース20~22を参照し、学習モデル12の機械学習を行う場合について説明する。
【0084】
まず、ステップS100にて、作業者端末装置5が、学習用データ11の取得条件を含む機械学習指示を作業者10Aから受け付けると、ステップS101にて、その機械学習指示を機械学習装置3に送信する。なお、機械学習指示では、例えば、機械学習のパラメータや終了条件が指定されていてもよい。
【0085】
次に、ステップS110にて、機械学習装置3が、ステップS101で送信された学習モデル12の機械学習指示を受信すると、学習用データ取得部300は、その機械学習指示に含まれる学習用データ11の取得条件に基づいて、データベース20~22を参照し、学習用データ11の取得条件を満たす複数組の学習用データ11(
図7乃至
図8参照)を取得する。
【0086】
次に、ステップS120にて、機械学習部301は、ステップS110で取得された複数組の学習用データ11(前処理後の学習用データ11でもよい)を用いて、入力データ(人物データ、行動要因指標、施策データ、及び、外部環境データ)と、出力データ(商品関心行動データ)との相関関係を学習モデル12に学習させる。
【0087】
そして、ステップS130にて、機械学習部301が、学習済みの学習モデル12として、記憶部31に記憶する。これにより、
図11に示す一連の処理が終了する。機械学習方法において、ステップS110がデータ取得工程、ステップS120が機械学習工程、ステップS130が学習済みモデル記憶工程に相当する。なお、上記では、作業者端末装置5が、作業者10Aから機械学習指示を受け付けたときに、
図11に示す一連の処理が実行されるものとして説明したが、機械学習装置3が、所定の実行条件(例えば、前回の実行時から一定時間経過時や人物データベース20の更新時等)を満たすときと判断したときに、
図11に示す一連の処理を実行するようにしてもよい。
【0088】
以上のように、本実施形態に係る機械学習装置3及び機械学習方法によれば、人物データ、行動要因指標、施策データ、及び、外部環境データを含む入力データに基づいて、人物の商品関心行動を予測(推論)することが可能な学習モデル12を提供することができる。したがって、この学習モデル12をデータ処理装置4が利用することにより、人物の商品関心行動を適切に予測(推論)することできる。
【0089】
(データ処理方法)
図12及び
図13は、データ処理装置4によるデータ処理方法の一例を示すフローチャートである。以下では、施策立案者10Bが、施策立案者端末装置6を用いて入力操作を行うことで、データ処理装置4が、学習済みの学習モデル12に基づいて、施策の評価(
図12)と、施策の抽出(
図13)とを行う場合について説明する。
【0090】
図12に示す施策評価処理では、まず、ステップS200にて、施策立案者端末装置6が、予測対象の複数の人物を含む人物群と、予測対象の施策とからなるデータ処理指示を施策立案者10Bから受け付けると、ステップS201にて、そのデータ処理指示をデータ処理装置4に送信する。なお、人物群としては、例えば、人物IDのリストでもよいし、人物IDのリストを作成するための条件でもよい。
【0091】
次に、ステップS210にて、データ処理装置4が、ステップS201で送信されたデータ処理指示を受信すると、施策評価部402は、そのデータ処理指示に基づいて、予測対象の複数の人物を含む人物群と、予測対象の施策とを施策評価条件として受け付ける。
【0092】
そして、ステップS220にて、施策評価部402は、人物群から予測対象の人物を順次選択し、ステップS230~S232を繰り返すループ処理をデータ取得部400及び商品関心行動予測部401と連携して行うことで、その選択した予測対象の人物の各々の商品関心行動を予測する。
【0093】
ステップS230にて、データ取得部400は、ステップS220で選択した予測対象の人物と、ステップS210で受け付けられた予測対象の施策とを含む商品関心行動の予測条件を施策評価部402から受け付ける。
【0094】
そして、ステップS231にて、データ取得部400は、その予測条件(予測対象の人物と、予測対象の施策)に基づいて人物データベース20及び外部環境データベース22を参照し、その予測条件に対する、人物データ、行動要因指標、施策データ、及び、外部環境データを含む入力データを取得する。
【0095】
次に、ステップS232にて、商品関心行動予測部401は、ステップS231で取得された入力データを学習モデル12に入力し、その推論結果として学習モデル12から出力された出力データに基づいて、人物の商品関心行動を予測する。
【0096】
次に、ステップS240にて、施策評価部402は、ステップS220によるループ処理の結果として、予測対象の人物の各々に対する商品関心行動の予測結果を商品関心行動予測部401から受け取ると、その人物毎の商品関心行動を統計処理することにより、施策の効果を評価する。
【0097】
次に、ステップS250にて、出力処理部404は、ステップS240での評価結果として、施策の効果を表示画面に表示するための画面情報を施策立案者端末装置6に送信する。その際、出力処理部404は、施策の評価結果だけでなく、人物毎の商品関心行動の予測結果を画面情報に含ませるようにしてもよい。
【0098】
次に、ステップS260にて、施策立案者端末装置6は、その画面情報を受信すると、その画面情報に基づいて、予測対象の施策の評価結果を表示画面上に表示する。これにより、
図12に示す一連の処理が終了する。データ処理方法において、ステップS231がデータ取得工程、ステップS232が商品関心行動予測工程、ステップS210~S240が施策評価工程、ステップS250が出力処理工程に相当する。
【0099】
図13に示す施策抽出処理では、まず、ステップS300にて、施策立案者端末装置6が、予測対象の複数の人物を含む人物群と、予測対象の複数の施策を含む施策群とからなるデータ処理指示を施策立案者10Bから受け付けると、ステップS301にて、そのデータ処理指示をデータ処理装置4に送信する。なお、人物群としては、例えば、人物IDのリストでもよいし、人物IDのリストを作成するための条件でもよい。また、施策群としては、施策の内容が異なる複数の施策のリストでもよいし、施策のリストを作成するための条件でもよい。
【0100】
次に、ステップS310にて、データ処理装置4が、ステップS301で送信されたデータ処理指示を受信すると、施策抽出部403は、そのデータ処理指示に基づいて、予測対象の複数の人物を含む人物群と、予測対象の複数の施策を含む施策群とを施策評価条件
として受け付ける。
【0101】
次に、ステップS320にて、施策抽出部403は、施策群から予測対象の施策を順次選択し、ステップS321を繰り返すループ処理を行う。そして、ステップS321にて、施策抽出部403は、人物群から予測対象の人物を順次選択し、ステップS330~S332を繰り返すループ処理をデータ取得部400及び商品関心行動予測部401と連携して行うことで、その選択した予測対象の人物の各々の商品関心行動を予測する。
【0102】
ステップS330にて、データ取得部400は、ステップS321で選択した予測対象の人物と、ステップS320で選択した予測対象の施策とを含む商品関心行動の予測条件を施策抽出部403から受け付ける。
【0103】
そして、ステップS331にて、データ取得部400は、その予測条件(予測対象の人物と、予測対象の施策)に基づいて人物データベース20及び外部環境データベース22を参照し、その予測条件に対する、人物データ、行動要因指標、施策データ、及び、外部環境データを含む入力データを取得する。
【0104】
次に、ステップS332にて、商品関心行動予測部401は、ステップS331で取得された入力データを学習モデル12に入力し、その推論結果として学習モデル12からそれぞれ出力された出力データに基づいて、人物の商品関心行動を予測する。
【0105】
次に、ステップS340にて、施策抽出部403は、ステップS320、S321によるループ処理の結果として、予測対象の施策の各々及び予測対象の人物の各々に対する商品関心行動の予測結果を施策抽出部403から受け取ると、複数の施策の各々に対して、その人物毎の商品関心行動を施策毎に統計処理することにより、各施策の効果を評価する。そして、施策抽出部403は、複数の施策のうち、例えば、施策の効果が所定の基準を満たす施策を抽出する。
【0106】
次に、ステップS350にて、出力処理部404は、ステップS341での抽出結果として、所定の基準を満たす施策を表示画面に表示するための画面情報を施策立案者端末装置6に送信する。その際、出力処理部404は、施策の抽出結果だけでなく、施策毎の効果や人物毎の商品関心行動の予測結果を画面情報に含ませるようにしてもよい。
【0107】
次に、ステップS360にて、施策立案者端末装置6は、その画面情報を受信すると、その画面情報に基づいて、予測対象の複数の施策のうち、施策の効果が所定の基準を満たす施策の抽出結果を表示画面上に表示する。これにより、
図13に示す一連の処理が終了する。データ処理方法において、ステップS331がデータ取得工程、ステップS332が商品関心行動予測工程、ステップS310~S340が施策抽出工程、ステップS350が出力処理工程に相当する。
【0108】
以上のように、本実施形態に係るデータ処理装置4及びデータ処理方法によれば、人物データ、行動要因指標、施策データ、及び、外部環境データを含む入力データを、学習済みの学習モデル12に入力することで当該学習モデル12から出力される出力データに基づいて、当該人物が当該施策により起こした行動として商品に対する商品関心行動を予測(推論)することができる。したがって、人物が行動を起こす動機となる要因と、商品に関して実施される施策とが人物の感情に与える影響を考慮しつつ、人物の商品関心行動を的確に予測することができる。また、各人物の商品関心行動の予測結果は、統計処理されることにより、各種のサービス(商品企画、商品開発、生産管理、仕入れ・発注管理、販売戦略策定、マーケティング、広告等)にて利用することができる。
【0109】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0110】
上記実施形態では、データベース装置2、機械学習装置3及びデータ処理装置4は、別々の装置で構成されたものとして説明したが、それら3つの装置が、単一の装置で構成されていてもよいし、それら3つの装置のうち任意の2つの装置が、単一の装置で構成されていてもよい。また、機械学習装置3及びデータ処理装置4の少なくとも一方は、作業者端末装置5又は施策立案者端末装置6に組み込まれていてもよい。
【0111】
上記実施形態では、機械学習部301による機械学習を実現する学習モデルとして、ニューラルネットワークを採用した場合について説明したが、他の機械学習のモデルを採用してもよい。他の機械学習のモデルとしては、例えば、決定木、回帰木等のツリーモデル、バギング、ブースティング等のアンサンブル学習モデル、再帰型ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、LSTM等のニューラルネットモデル(ディープ
ラーニングを含む)、階層型クラスタリング、非階層型クラスタリング、k近傍法、k平
均法等のクラスタリングモデル、主成分分析、因子分析、ロジスティク回帰等の多変量解析モデル、サポートベクターマシン等が挙げられる。
【0112】
上記実施形態では、学習用データ11を構成し、学習モデル12に入力される入力データは、人物データ、行動要因指標、施策データ、及び、外部環境データを含む場合について説明したが、入力データが含むデータから外部環境データを省略してもよい。すなわち、入力データは、人物データ、行動要因指標、及び、施策データを含むものでもよく、その場合には、機械学習装置3の機械学習部301は、入力データ(人物データ、行動要因指標、及び、施策データ)と出力データ(商品関心行動データ)とで構成される学習用データ11を学習モデル12に複数組入力することで、入力データと出力データとの相関関係を機械学習により学習モデル12に学習させるようにすればよい。また、データ処理装置4のデータ取得部400は、人物データ、行動要因指標、及び、施策データを含む入力データを取得し、商品関心行動予測部401は、データ取得部400により取得された入力データ(人物データ、行動要因指標、及び、施策データ)を学習済みの学習モデル12に入力することで、学習モデル12から出力された出力データに基づいて、人物の商品関心行動を予測するようにすればよい。
【0113】
上記実施形態では、機械学習装置3及びデータ処理装置4にて各種のデータを扱うときの処理単位として、1人の人物が、予測対象及び学習対象の人物である場合について説明したが、複数の人物からなる人物群を1人の人物とみなすことで、複数の人物からなる人物群を予測対象及び学習対象の人物として、データ処理方法及び機械学習方法を行うようにしてもよい。その場合、例えば、入力データに含まれる人物データは、複数の人物の各々における人物データの集合や集計値とし、入力データに含まれる行動要因指標は、複数の人物の各々における人物データの集合や集計値に基づいて付与されたものとし、施策データは、複数の人物を対象に実施される施策を示すものとすればよい。また、出力データに含まれる商品関心行動データは、複数の人物の各々における商品関心行動の集合や集計値(例えば、複数の人物が購買行動を起こした回数の合計値や頻度、複数の人物のうち購買行動を起こした人物の比率等)とすればよい。
【0114】
上記のように、複数の人物からなる人物群を1人の人物とみなすことにより、機械学習装置3及び機械学習方法によれば、複数の人物(人物群)に関する入力データに基づいて、複数の人物(人物群)の商品関心行動を予測(推論)することが可能な学習モデル12を提供することができる。また、データ処理装置4及びデータ処理方法によれば、複数の
人物(人物群)に関する入力データを学習済みの学習モデル12に入力することで当該学習モデル12から出力される出力データに基づいて、当該複数の人物(人物群)の商品関心行動を予測(推論)することができる。
【0115】
(推論装置、推論方法又は推論プログラム)
本発明は、上記実施形態に係るデータ処理装置4(データ処理方法又はデータ処理プログラム)の態様によるもののみならず、推論装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することもできる。その場合、推論装置(推論方法又は推論プログラム)としては、メモリと、プロセッサとを含み、このうちのプロセッサが、一連の処理を実行するものとすることができる。当該一連の処理とは、入力データを取得するデータ取得処理(データ取得工程)と、データ取得処理にて入力データを取得すると、当該入力データに対して出力データを推論する推論処理(推論工程)とを含む。
【0116】
推論装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することで、データ処理装置4を実装する場合に比して簡単に種々の装置への適用が可能となる。推論装置(推論方法又は推論プログラム)が行動要因指標を推論する際、上記実施形態に係る機械学習装置3及び機械学習方法により生成された学習済みの学習モデルを用いて、指標付与部が実施する推論手法を適用してもよいことは、当業者にとって当然に理解され得るものである。
【符号の説明】
【0117】
1…施策立案システム、2…データベース装置、3…機械学習装置、
4…データ処理装置、5…作業者端末装置、6…施策立案者端末装置、
7…ネットワーク、10A…作業者、10B…施策立案者、
11…学習用データ、12…学習モデル、
20…人物データベース、21…施策データベース、22…外部環境データベース、
30…制御部、31…記憶部、32…通信部、33…入力部、34…表示部、
40…制御部、41…記憶部、42…通信部、43…入力部、44…表示部、
120…入力層、121…中間層、122…出力層、
300…学習用データ取得部、301…機械学習部、310…機械学習プログラム、
400…データ取得部、401…商品関心行動予測部、402…施策評価部、
403…施策抽出部、404…出力処理部、410…データ処理プログラム