(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076482
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】冷却ユニット
(51)【国際特許分類】
F25D 21/08 20060101AFI20240530BHJP
F25D 21/10 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
F25D21/08 H
F25D21/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188030
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】593064490
【氏名又は名称】水谷 忍
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】水谷 忍
【テーマコード(参考)】
3L046
【Fターム(参考)】
3L046AA02
3L046AA04
3L046BA01
3L046CA06
3L046CA12
3L046EA05
3L046LA02
3L046LA09
3L046MA04
3L046MA06
(57)【要約】
【課題】 冷凍庫や冷蔵庫内の天井への霜付きや結露を格段に減少させ、床面や庫内商品への着霜や氷の落下を抑制し、庫内の作業環境を良好にするとともに、庫内温度の上昇を抑制し、庫内冷却物の劣化を防止することが可能な冷却ユニットを提供する。
【解決手段】 冷凍庫9内に設置される冷却ユニット1であって、筐体10と、該筐体内に設けられた通風路11と、空気の流入口12及び流出口13と、熱交換器2と、送風機3と、除霜用ヒーター4とを備え、流入口には、筐体内に空気を導入する方向に開閉可能な流入口ダンパー14が設けられるとともに、流出口には、筐体外に空気を排出する方向に開閉可能な流出口ダンパー15が設けられ、筐体には、通風路から冷凍庫外に繋がるダクト5が設けられ、該ダクトの冷凍庫外側には、風圧で開閉可能な排出ダンパー50が設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍庫内に設置される冷却ユニットであって、
筐体と、該筐体内に設けられた通風路と、空気の流入口及び流出口と、熱交換器と、送風機と、除霜用ヒーターとを備え、
前記流入口には、前記筐体内に空気を導入する方向に開閉可能な流入口ダンパーが設けられるとともに、前記流出口には、前記筐体外に空気を排出する方向に開閉可能な流出口ダンパーが設けられ、
前記筐体には、前記通風路から前記冷凍庫外に繋がるダクトが設けられ、該ダクトの冷凍庫外側には、風圧で開閉可能な排出ダンパーが設けられていることを特徴とする冷却ユニット。
【請求項2】
前記除霜用ヒーターの稼働時に、前記送風機の送風方向が前記流出口側から前記流入口側になるように切り替え制御が可能であることを特徴とする請求項1に記載の冷却ユニット。
【請求項3】
前記筐体内に、前記通風路とは異なる、入口及び出口を有する復通風路が設けられており、該復送風路の前記入口は、前記通風路の流入口側に開口するともに、前記出口は前記流出口側の通風路に開口し、
前記出口側には、前記除霜用ヒーターの稼働時に開く復通風路ダンパーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷却ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却ユニットに関し、詳しくは、冷凍庫内の着霜を防止する冷却ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫や冷凍庫内に設置される冷却ユニットは、通常、庫内温度より低い温度の冷媒が流れる配管と、多数の熱交換金属板とで構成された熱交換器を有しており、その周りをアルミやステンレス又は鋼板からなり、少なくも2か所以上の開口部を備える箱状の筐体で覆われ、該筐体内の熱交換器を空気が通り抜け冷却する構造となっている。そして、その開口部のいずれかに送風機を取り付け強制的に通風させることで、冷却能力を発現させるようになっている。
【0003】
ここで、冷蔵庫等の庫内温度が0℃以上に保持される場合には、冷却ユニットの構造を工夫することで庫内天井や壁の結露を防ぐことができるが、低温の冷凍庫や冷凍倉庫の場合には、庫内の各部に付着した結露が霜となり、さらに霜が次第に高密度となって蓄積して氷状に固着する現象が起こる。
【0004】
このような冷凍庫内の壁や天井への着霜については、主に以下(1)~(3)の原因が考えられる。
(1)冷却ユニットの熱交換器の着霜を取り除くための除霜機能によって温められた空気が庫内へ漏れ出ることによる着霜。
(2)冷凍庫内温度が変化して空気が膨張収縮することにより発生する気圧変化を制御するための庫内気圧調整弁から侵入する外気中の湿気による着霜。
(3)冷凍庫内に冷却物を出し入れするときの冷凍庫の扉の開閉時の外気の侵入による着霜。なお、前室設置型の冷凍庫であっても、外気は庫内の空気に比べ多くの水蒸気を含み温度が庫内に比べて高いために軽く、冷凍庫内の天井部に広がり着霜する。
【0005】
これら冷凍庫天井部や壁への着霜は繰り返されて積み重なり、やがて落下して庫内の床面に降り積もり、踏み固められて氷塊となり、その凸凹により庫内の移動に支障をきたし危険でもある。また、これら氷塊の除去作業も大きな負担となる。
【0006】
一方、これらの冷蔵庫や冷凍庫内の結露や着霜を防ぐ方法として、周囲の壁面や扉の周囲に電気ヒーター等を敷設する提案がなされている。
【0007】
しかしながら、人が中で作業するような大規模な低温の冷凍倉庫の着霜を防ぐ方法としての電気ヒーターの敷設は、冷凍庫自体の構造物の膨張、収縮による断線、漏電が起こる危険性があることや、大きな電気量を消費するため、扉枠やリリーフ弁等の気圧調節装置や、出入り口床を温める場合を除くと使用されることは殆どない。
【0008】
また、電気ヒーターの熱量がそのまま冷却負荷となるため、冷凍庫内が低温になるほど、庫内温度と霜を溶かすための温度との差が大きくなり、その熱量を冷却するために必要な冷却能力と電気量が大きくなる。
【0009】
また、冷却ユニットにおいても、熱交換器の冷媒温度が概ね-5℃を下回ると、熱交換器自体に霜が付着し始める。熱交換器に付着した霜は空気の流通を妨げるため、加熱して溶かして流し去る除霜を行う必要がある。庫内温度がマイナス温度帯の冷凍倉庫となると、例えば、冷却を停止して送風のみを行なうオフサイクル除霜を行っても完全に霜を除去できない。その場合の除霜は電気ヒーターや冷凍機の吐出ガスなどで加熱して溶かし、水として庫外へ排出することが行われる。
【0010】
さらに庫内温度を低く設定する場合には、冷却運転中の熱交換器温度を低くする必要があるため、霜を溶かす除霜温度との差が大きくなり、除霜時に冷却ユニット内で暖められた空気の膨張率が大きくなる。そのため、除霜時に加熱され膨張した空気は冷却ユニットを覆う筐体の中には納まり切らず、開口部や隙間を通して庫内の上部に広がって行く。
除霜時に冷却ユニットの筐体から流れ出した湿気を多く含んだ空気は、その湿気が冷たい庫内の各部に霜となって付着する着霜が発生する。また、流れ出した空気は加熱されているため、庫内温度を上昇させ、庫内の商品等の劣化を生じさせるという問題がある。
【0011】
このような除霜時の問題に対して、これまでに、湿気を冷却ユニットの筐体から外に漏れ出させない方法が提案されている(例えば、特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2017-219256号公報
【特許文献2】実開昭36-011676号公報
【特許文献3】実開昭63-194282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1では、冷却ユニットの送風機と熱交換器の間にダンパーを設置し除霜時の庫内への湿気拡散を防ぐ方法が示されている。この方法は一般に行われる方法であるが、空気の流入口側の密閉が不完全で、除霜時の庫内への湿気の拡散防止はできていない。
また、この提案では除霜時に冷却ユニットの空気流入口から庫内へと漏れる湿気を抑止しきれないため、空気の流入口側にもダンパーを取り付ける必要がある。
【0014】
また、特許文献2では、冷凍庫と冷却器室と庫外とを壁で隔て、その間の壁に開閉扉を設置して、冷却時と除霜時で開閉を変えることで、除霜時に発生する暖かい空気が冷凍庫内に流れ込まないようにしている。また、その開閉扉の氷付きを防ぐために、扉の回転軸にヒータを内蔵することが開示されている。
【0015】
しかしながら、この方法では、冷却器室の熱容量が大きく、冷凍庫の温度が低温になる程除霜時に失う冷却熱量が無駄になる。また、開閉扉を動かす動力については何ら記載されていない。
【0016】
特許文献3には、冷却ユニットの熱交換器の空気流入口と流出口にダンパーを備えた冷却ユニットが開示されている。このダンパーは送風機の風圧で開くが、閉じるのはダンパー羽根の自重によるものである。また運転に関しては2つの系統が1体となっており、一方の系統が冷却運転、もう一方の系統が除霜運転となっており、除霜運転では小型の送風機を運転し、除霜用の風洞に空気を循環させている。送風機と熱交換器がダンパーに挟まれた閉塞空間となるので空調、高温冷蔵の温度帯であれば庫内への湿気拡散防止効果を有するものと考えられる。
【0017】
しかしながら、冷凍庫に特許文献3の提案を適用した場合、除霜時に膨張する空気が庫内へ漏れ出るのを防止することは困難である。これは、冷凍庫では除霜時の空気の膨張が大きくなり、空気流入口側のダンパー板の自重では抑えきれないためである。
【0018】
このように、従来公知の提案においても、冷却ユニット内や冷凍庫内の着霜の防止に関する技術に関しては望ましい形態には至っていないのが現状である。
【0019】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、冷凍庫や冷蔵庫内の天井への霜付きや結露を格段に減少させ、床面や庫内商品への着霜や氷の落下を抑制し、庫内の作業環境を良好にするとともに、庫内温度の上昇を抑制し、庫内冷却物の劣化を防止することが可能な冷却ユニットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によれば、上記目的を達成するため、下記の形態を有する冷却ユニットが提供される。
【0021】
第1に、本発明の冷却ユニットは、冷凍庫内に設置される冷却ユニットであって、筐体と、該筐体内に設けられた通風路と、空気の流入口及び流出口と、熱交換器と、送風機と、除霜用ヒーターとを備え、
前記流入口には、前記筐体内に空気を導入する方向に開閉可能な流入口ダンパーが設けられるとともに、前記流出口には、前記筐体外に空気を排出する方向に開閉可能な流出口ダンパーが設けられ、
前記筐体には、前記通風路から前記冷凍庫外に繋がるダクトが設けられ、該ダクトの冷凍庫外側には、風圧で開閉可能な排出ダンパーが設けられていることを特徴とする。
第2に、上記第1の発明の冷却ユニットにおいて、前記除霜用ヒーターの稼働時に、前記送風機の送風方向が前記流出口側から前記流入口側になるように切り替え制御が可能であることが好ましい。
第3に、上記第1又は第2の発明の冷却ユニットにおいて、前記筐体内に、前記通風路とは異なる、入口及び出口を有する復通風路が設けられており、該復送風路の前記入口は、前記通風路の流入口側に開口するともに、前記出口は前記流出口側の通風路に開口し、
前記出口側には、前記除霜用ヒーターの稼働時に開くダンパーが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の冷却ユニットは、上記の構成により、冷凍庫や冷蔵庫内の天井への霜付きや結露を格段に減少させ、床面や庫内商品への着霜や氷の落下を抑制し、庫内の作業環境を良好にするとともに、庫内温度の上昇を抑制し、庫内冷却物の劣化を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の冷却ユニットの一実施形態を示す概略平面図である。
【
図2】本発明の冷却ユニットの一実施形態を示す概略上視面図である。
【
図3】冷却運転時と除霜運転時の空気の流れを示す概略説明図である。
【
図4】送風機の電気配線の実施形態を示す配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の冷却ユニットを実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の冷却ユニットの一実施形態を示す概略平面図であり、
図2は、概略上視面図である。
【0025】
本発明の冷却ユニット1は、冷凍庫9内に設置される冷却ユニットであり、筐体10と、該筐体10内に設けられた通風路11と、空気の流入口12及び流出口13と、熱交換器2と、送風機3と、除霜用ヒーター4とを備えている。
【0026】
また、流入口12には、筐体10内に空気を導入する方向のみに開閉可能な流入口ダンパー14が設けられ、流出口13には、筐体10外に空気を排出する方向のみに開閉可能な流出口ダンパー15が設けられている。さらに、筐体10には、通風路11から冷凍庫9外に繋がるダクト5が設けられている。
【0027】
本実施形態の冷却ユニット1における筐体10の形状や大きさは、設置する冷凍庫9の大きさや規模、また、筐体10内に設置する各装置の構成により適宜設定することができ特に限定されない。なお、筐体10の外側は、冷凍庫9内の温度に影響を及ぼさないように断熱材で覆われていることが好ましい。
【0028】
また、筐体10の内部に設けられる熱交換器2の能力も必要な冷却能力に応じて適宜決定することができる。なお、熱交換器2は、通常の冷却ユニットに用いられている従来公知の熱交換器を用いることができる。
【0029】
送風機3は、冷凍庫9内の空気を冷却ユニット1内に導入するために、また、除霜運転時に冷却ユニット1内で温風を循環させるために設けられるものであり、その構造や性能もまた冷却ユニット1の性能や大きさに応じて適宜決定することができる。また、送風機3のタイプとしては、通常のプロペラ式の送風機を好適に用いることができる。
【0030】
除霜用ヒーター4は、冷却ユニット1内に付着した霜を溶かすための温風を発生させるために設置するものであり、所望の温度に発熱して空気を加熱できるヒーターであれば特に限定されるものではなく、例えば、赤外線ヒーター、セラミックヒーター、ニクロム線ヒーター等、従来公知のヒーターを用いることができる。
【0031】
また、上記各構成要素の動作は制御装置6により制御される。具体的な制御としては、例えば、熱交換器2の動作制御、冷却温度制御、霜の付着状況に応じて稼働させる除霜用ヒーター4の稼働制御や温度制御、送風機3の正転・逆転の稼働制御等を挙げることができる。また、筐体10内に温度センサーを配設し、これらセンサーからの情報に応じて制御装置6により除霜用ヒーター4や送風機3の動作を制御することもできる。なお、制御装置6は冷凍庫9外に設置され、制御装置6からのケーブルのみが冷凍庫9内に引き込まれて冷却ユニット1に設けられた端子台60を介して接続されている。
【0032】
なお、送風機3の冷却時とは逆方向の動作、即ち、送風機3の正転・逆転の動作制御は、例えば、
図4に示す電気配線の実施形態により実現することができる。本実施形態の配線では、R・S・Tの三相交流電源から、送風機正転用マグネットスイッチ52F1又は送風機逆転用マグネットスイッチ52F2を経由して、電気がU・V・Wの出力端子からモーターに出力され、2基の送風機モーター(FM1、FM2)を駆動する回路になっており、双投切り替えタイマースイッチDTを用いたリレー回路により正転・逆転の制御を行っている。また、本実形態の回路に除霜用ヒーター4のON/OFF制御回路を接続することもできる。なお、送風機モーターFM1、FM2の回転方向を正逆切り替え可能とするために、R・S・Tの三相交流電源から出力側端子U・V・Wとの間にインバータを設置して、タイマースイッチDTの出力端子信号によってインバータの正転逆転制御を行うことも可能である。
【0033】
上記構成の冷却ユニット1は、除霜時に除霜用ヒーター4を稼働させるとともに送風機3の動作を制御して逆転させ、筐体10内を密閉状態とし、温風を循環させることにより筐体10内の霜を除去することができる。この際、筐体10内で霜を除去し、高温多湿となった空気は、通風路11から冷凍庫9外に繋がるように設けられたダクト5により冷凍庫9外に排出される。ダクト5の配設位置は特に限定されないが、より効率的かつ短い距離で通風路11から冷凍庫9外に排出する観点から、
図1、
図2に示すように、熱交換器2近傍の冷却ユニット1上部に設けるのが好ましい。
【0034】
なお、ダクト5の冷凍庫9外側には、風圧で開閉可能な排出ダンパー50が設けられており、加熱により膨張した筐体10内の高温多湿の空気の圧力により排出ダンパー50が開くことにより高温多湿の空気を冷凍庫9外に排出させることができる。
【0035】
また、本実施形態の冷却ユニット1では、除霜時に筐体10内の温風の循環を確実かつ効率的に行うために、
図2、
図3に示すように、筐体10内に通風路11とは異なる復通風路7を設けることが好ましい。復通風路7は循環する空気の入口及び出口を有しており、入口は、通風路11の流入口12側に開口しており、出口は流出口13側の通風路11に開口している。また、出口側には、除霜用ヒーター4の稼働時に、循環する空気の圧力により開く復通風路ダンパー70を設けることができる。さらに、出口には、温風の循環及びダクト5への排気をよりスムーズにするために風向制御スリット71を設けることができる。
【0036】
筐体10内に通風路11とは別の復通風路7を設けることにより、除霜時に除霜用ヒーター4により加熱された空気を滞留させることなく効率的に循環させることが可能となる。また、出口側に除霜用ヒーター4の稼働時に開く復通風路ダンパー70を設けることにより、通常の冷却稼働時には通風路11のみに空気を通風させることができる。
【0037】
以下、本実施形態の冷却ユニット1による除霜の機序について図を用いて詳細に説明する。
図3は、冷却運転時と除霜運転時の空気の流れを示す概略説明図である。
【0038】
まず、通常の冷却モードとして、送風機3が流入口12側から流出口13側の方向に送風するように駆動させることにより、流入口ダンパー14が内側に開状態となり、流入口12から通風路11に空気80が送り込まれる。また、これに伴い流出口ダンパー15も開状態となり、熱交換器2を通過して冷却された冷気80が流出口13から排出され、排出された冷気80により冷凍庫9内は所定の温度に冷却される。
【0039】
一方、冷却ユニット1内に霜が付着した場合の除霜モードでは、まず、熱交換器2を停止させたうえで、送風機3を冷却時とは逆方向に動作させるとともに除霜用ヒーター4を稼働させる。送風機3による送風を冷却時とは逆方向にすることにより、流入口ダンパー14及び流出口ダンパー15は閉状態となり筐体10内は密閉状態となる。また、除霜用ヒーター4で温められた空気81は筐体10内を循環して付着した霜を溶かす。なお、可能な限り早い除霜を目指す観点から、冷却ユニット1の除霜用ヒーター4は、容量(能力)が冷凍機動力と同程度の容量のものを用いるのが好ましい。
【0040】
また、除霜モードの際には、除霜用ヒーター4により温められた空気81が、上記送風機3の逆転動作により通風路11を流出口13側から流入口12側に流れるとともに、復通風路7の入口に流入し、風圧により出口近傍に設けられた復通風路ダンパー70を押し開かせることにより通風路11と復通風路7の循環経路が形成される。この温風の循環により霜は溶かされ、蒸発して高温多湿の水蒸気を含む空気となる。
【0041】
そして、高温多湿の空気は膨張し、この状態において筐体10内で最も圧力がかかり、唯一の空気の逃げ道となるダクト5に流入し、ダクト5の冷凍庫9外側に設けられた排出ダンパー50が開いて高温多湿の空気が冷凍庫9外に排出される。即ち、本実施形態の冷却ユニット1においては、冷凍庫9外に繋がるダクト5を設けることにより、除霜時の冷却ユニット1外への水蒸気拡散を防止することができ、冷凍庫9内の更なる霜の発生を確実に防止することができる。
【0042】
このように、本実施形態の冷却ユニット1では、除霜時の送風機3の逆転動作によって、冷却ユニット1の流入口ダンパー14と流出口ダンパー15は、送風機3が順方向に送風するときとは逆の圧力を受けて、冷却ユニット1内の密閉の度合いが高まる。そして強く密閉された冷却ユニット1から除霜用ヒーター4の熱で膨張した分の空気だけがダクト5を通って冷凍庫9外へ排気される。
【0043】
ここで、除霜時の冷却ユニット1の内部温度に関しては、素早い除霜を考慮して、より高温の空気を冷却ユニット1内で循環させるのが好ましい。しかしながら、例えば、送風機3のモーターのシャフトベアリングの寿命等、通常の電気機器の環境上限温度を考慮した場合、除霜時の冷却ユニット1の内部温度は40℃以下に抑えるのが好ましく、35℃を目標に制御するのがより好ましい。
【0044】
そして、熱交換器2の周囲も含めて、冷却ユニット1の内部で温風81を十分に循環させることにより、特に霜残りが発生しやすい分配器やキャピラリー管、Uベンド等を素早く確実に温めることができる。
【0045】
通常、冷凍倉庫等の大規模な冷凍庫9には、冷凍庫9内の温度の変動による気圧の変化を抑制するために庫内気圧調整弁が設けられているが、この庫内気圧調整弁を通じて冷凍庫9外の温かく湿った空気が侵入する。また、冷凍庫9に物の出し入れをする場合の人の出入りに伴う扉90の開閉時にも湿った暖かい外気が大量に流入する。これら冷凍庫9内に流入した温かい空気は、冷凍庫9内で上昇して天井に滞留し、空気に含まれる水蒸気により霜を発生させる。
【0046】
このような原因で侵入する外気による冷凍庫9内の霜の付着を可能な限り抑制するために、本発明の冷却ユニット1は冷凍庫9の天井近くで、かつ、庫内気圧調整弁や扉90の付近に設置するのが好ましい。即ち、冷凍庫9内に霜が発生する前に冷却ユニット1に外気を取り込み、冷却ユニット1内に霜を発生させて、これを本発明の除霜機能により効率的に霜を除去する。
【0047】
以上の説明のとおり、上記構成の冷却ユニットによれば、冷凍庫や冷蔵庫内の天井への霜付きや結露を格段に減少させ、床面や庫内商品への着霜や氷の落下を抑制し、庫内の作業環境を良好にするとともに、庫内温度の上昇を抑制し、庫内冷却物の劣化を防止することが可能な冷却ユニットとすることが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 冷却ユニット
10 筐体
11 通風路
12 流入口
13 流出口
14 流入口ダンパー
15 流出口ダンパー
2 熱交換器
3 送風機
4 除霜用ヒーター
5 ダクト
50 排出ダンパー
6 制御装置
60 端子台
7 復通風路
70 復通風路ダンパー
71 風向制御スリット
80 冷却モードの空気(冷気)の流れ
81 除霜モードの空気(温風)の流れ
82 膨張空気の流れ
9 冷凍庫
90 冷凍庫扉
DT 双投切り替えタイマースイッチ
52F1 送風機正転用マグネットスイッチ
52F2 送風機逆転用マグネットスイッチ
FM1 送風機モーター1
FM2 送風機モーター2
【手続補正書】
【提出日】2023-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
また、流入口12には、筐体10内に空気を導入する方向のみに開閉可能な流入口ダンパー14が設けられ、流出口13には、筐体10外に空気を排出する方向のみに開閉可能な流出口ダンパー15が設けられている。さらに、筐体10には、通風路11から冷凍庫9外に繋がるダクト5が設けられている。なお、上記ダクト5は、筐体10内で膨張した空気を排出するために設けられることから、以後、膨張ダクトともいう。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
上記構成の冷却ユニット1は、除霜時に除霜用ヒーター4を稼働させるとともに送風機3の動作を制御して逆転させ、筐体10内を密閉状態とし、温風を循環させることにより筐体10内の霜を除去することができる。この際、筐体10内で霜を除去し、高温多湿となった空気は、通風路11から冷凍庫9外に繋がるように設けられた
膨張ダクト5により冷凍庫9外に排出される。
膨張ダクト5の配設位置は特に限定されないが、より効率的かつ短い距離で通風路11から冷凍庫9外に排出する観点から、
図1、
図2に示すように、熱交換器2近傍の冷却ユニット1上部に設けるのが好ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
なお、膨張ダクト5の冷凍庫9外側には、風圧で開閉可能な排出ダンパー50が設けられており、加熱により膨張した筐体10内の高温多湿の空気の圧力により排出ダンパー50が開くことにより高温多湿の空気を冷凍庫9外に排出させることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
また、本実施形態の冷却ユニット1では、除霜時に筐体10内の温風の循環を確実かつ効率的に行うために、
図2、
図3に示すように、筐体10内に通風路11とは異なる復通風路7を設けることが好ましい。復通風路7は循環する空気の入口及び出口を有しており、入口は、通風路11の流入口12側に開口しており、出口は流出口13側の通風路11に開口している。また、出口側には、除霜用ヒーター4の稼働時に、循環する空気の圧力により開く復通風路ダンパー70を設けることができる。さらに、出口には、温風の循環及び
膨張ダクト5への排気をよりスムーズにするために風向制御スリット71を設けることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
そして、高温多湿の空気は膨張し、この状態において筐体10内で最も圧力がかかり、唯一の空気の逃げ道となる膨張ダクト5に流入し、膨張ダクト5の冷凍庫9外側に設けられた排出ダンパー50が開いて高温多湿の空気が冷凍庫9外に排出される。即ち、本実施形態の冷却ユニット1においては、冷凍庫9外に繋がる膨張ダクト5を設けることにより、除霜時の冷却ユニット1外への水蒸気拡散を防止することができ、冷凍庫9内の更なる霜の発生を確実に防止することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
このように、本実施形態の冷却ユニット1では、除霜時の送風機3の逆転動作によって、冷却ユニット1の流入口ダンパー14と流出口ダンパー15は、送風機3が順方向に送風するときとは逆の圧力を受けて、冷却ユニット1内の密閉の度合いが高まる。そして強く密閉された冷却ユニット1から除霜用ヒーター4の熱で膨張した分の空気だけが膨張ダクト5を通って冷凍庫9外へ排気される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
1 冷却ユニット
10 筐体
11 通風路
12 流入口
13 流出口
14 流入口ダンパー
15 流出口ダンパー
2 熱交換器
3 送風機
4 除霜用ヒーター
5 ダクト(膨張ダクト)
50 排出ダンパー
6 制御装置
60 端子台
7 復通風路
70 復通風路ダンパー
71 風向制御スリット
80 冷却モードの空気(冷気)の流れ
81 除霜モードの空気(温風)の流れ
82 膨張空気の流れ
9 冷凍庫
90 冷凍庫扉
DT 双投切り替えタイマースイッチ
52F1 送風機正転用マグネットスイッチ
52F2 送風機逆転用マグネットスイッチ
FM1 送風機モーター1
FM2 送風機モーター2