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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076489
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】乗物用照明装置、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/62 20170101AFI20240530BHJP
   B60Q 3/80 20170101ALI20240530BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20240530BHJP
   B60Q 3/10 20170101ALI20240530BHJP
   B60Q 3/217 20170101ALI20240530BHJP
   B60Q 3/57 20170101ALI20240530BHJP
   B60Q 3/16 20170101ALI20240530BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240530BHJP
   F21W 106/00 20180101ALN20240530BHJP
   F21W 107/20 20180101ALN20240530BHJP
   F21W 107/30 20180101ALN20240530BHJP
【FI】
B60Q3/62
B60Q3/80
F21V17/00 401
B60Q3/10
B60Q3/217
B60Q3/57
B60Q3/16
F21Y115:10
F21W106:00
F21W107:20
F21W107:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188043
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 悟
(72)【発明者】
【氏名】野々山 肇
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 篤彦
【テーマコード(参考)】
3K011
3K040
【Fターム(参考)】
3K011CA10
3K011JA01
3K040AA02
3K040BA00
3K040CA05
3K040EB02
3K040GC01
3K040GC05
(57)【要約】
【課題】製造工程の削減ができる乗物用照明装置、及び乗物用照明装置の製造方法を提供する。
【解決手段】第1光源51が実装された第1基板部21と、第2光源52が実装され、第1基板部21とは高さ位置が異なる第2基板部22と、第1基板部21と第2基板部22とを接続する第3基板部23と、を有する基板20と、第1光源51から生じる光を導光する導光部であって、第1基板部21に接着された第1導光部60と、第2光源52から生じる光を導光する導光部であって、第2基板部22に接着された第2導光部40と、を備える照明装置100。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光源が実装された第1基板部と、第2光源が実装され、前記第1基板部とは高さ位置が異なる第2基板部と、前記第1基板部と前記第2基板部とを接続する第3基板部と、を有する基板と、
前記第1光源から生じる光を導光する導光部であって、前記第1基板部に接着された第1導光部と、
前記第2光源から生じる光を導光する導光部であって、前記第2基板部に接着された第2導光部と、を備える乗物用照明装置。
【請求項2】
前記基板は、第3光源が実装され、前記第2基板部に対し折り曲げられた形で接続する第4基板部を備え、
前記第2基板部は、前記第2導光部の表面に接着し、
前記第4基板部は、前記第2導光部の前記表面に交わる側面に接着し、
前記第2導光部は、前記第2光源及び前記第3光源から生じる光を導光する、請求項1に記載の乗物用照明装置。
【請求項3】
前記基板は、前記第1導光部及び前記第2導光部に対し、射出成形により一体的に成形されている、請求項1または請求項2に記載の乗物用照明装置。
【請求項4】
第1光源が実装された第1基板部と、第2光源が実装され、前記第1基板部とは高さ位置が異なる第2基板部と、を備える基板を、一対の成形型の間に配して前記一対の成形型を型閉じする型閉じ工程と、
前記成形型に設けられた2つの凹部であって、前記第1基板部に対向する第1凹部と、前記第2基板部に対向し、前記第1凹部とは前記高さ位置が異なる第2凹部と、に対し溶融した樹脂を射出することで、前記第1光源から生じる光を導光する導光部であって、前記第1基板部に接着された第1導光部と、前記第2光源から生じる光を導光する導光部であって、前記第2基板部に接着された第2導光部と、を形成する射出工程と、を含む、乗物用照明装置の製造方法。
【請求項5】
前記型閉じ工程の前において、一対のプレス型の間に、前記第1基板部と前記第2基板部とを接続する第3基板部をさらに備える前記基板を配して、前記一対のプレス型を型閉じすることで、前記プレス型に設けられた3つの成形面のうち、第1成形面によって前記第1基板部をプレスし、前記第1成形面とは高さ位置が異なる第2成形面によって前記第2基板部をプレスし、前記第1成形面と前記第2成形面とを接続する第3成形面によって、前記第3基板部をプレスする予備成形工程を含む、請求項4に記載の乗物用照明装置の製造方法。
【請求項6】
前記型閉じ工程の前において、一対のプレス型の間に、第3光源が実装され前記第2基板部に接続する第4基板部をさらに備える前記基板を配して、前記一対のプレス型を型閉じすることで、前記プレス型に設けられた2つの成形面のうち、第2成形面によって前記第2基板部をプレスし、前記第2成形面に対し交わる第4成形面によって、前記第4基板部を、前記第2基板部に対し折り曲げられた形となるようにプレスする予備成形工程を含み、
前記射出工程では、前記第2凹部に対し前記溶融した樹脂を射出することで、前記第2光源及び前記第3光源から生じる光を導光する導光部であって、前記第2基板部がその表面に接着され、前記第4基板部がその表面に交わる側面に接着された前記第2導光部を形成する、請求項4または請求項5に記載の乗物用照明装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗物用照明装置として、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、ランプとスイッチの間をハーネス(配線)により接続している、乗物用照明装置(オーバーヘッドモジュール)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-272409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、乗物用照明装置を製造するにあたり、ハーネスと各部品との両者を組み付ける工程を行う必要があり、その組付け作業が煩雑である。例えば、各部品を基板によって接続することも考えられるが、各部品の高さ位置が異なる等、比較的複雑な構造である場合、各部品の接続にハーネスが用いられ易い。一方で、このような乗物用照明装置においては、部品点数の削減を行うことが望ましい。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成された技術であって、製造工程の削減ができる乗物用照明装置、及び乗物用照明装置の製造方法を提供することを目的の一つとする。また、部品点数の削減ができる乗物用照明装置、及び乗物用照明装置の製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、第1光源が実装された第1基板部と、第2光源が実装され、前記第1基板部とは高さ位置が異なる第2基板部と、前記第1基板部と前記第2基板部とを接続する第3基板部と、を有する基板と、前記第1光源から生じる光を導光する導光部であって、前記第1基板部に接着された第1導光部と、前記第2光源から生じる光を導光する導光部であって、前記第2基板部に接着された第2導光部と、を備える乗物用照明装置である。
【0007】
このような乗物用照明装置によると、1つの基板によって、高さ位置が異なる第1基板部と第2基板部とに実装された2つの光源から光を生じさせ、各基板部にそれぞれ接着された第1導光部と第2導光部とによって、各光を異なる箇所で照明に利用することができるようになる。また、1つの基板の高さ位置が異なる基板部にそれぞれ光源を実装して照明を行うため、異なる箇所で照明を行う場合にも、別々の基板を用意する必要がなく、基板において例えば電源から各光源に通電可能な回路を設ければ、ハーネスといった部品を使用して各光源に電気的に通電するような配策を行う必要もない。これにより、ハーネスやそのコネクタ等、部品点数の削減や、ハーネスの組付け工程の削減を実現できる乗物用照明装置の提供が可能となる。また、仮に、2つの光源が実装された基板が平板状である場合、高さ位置が異なる2つの導光部に、この2つの光源から生じる光がそれぞれ個別に入光され当該2つの導光部によって導光されるように、当該平板状の基板を配することは困難であるところ、上記のように、それぞれ高さ位置が異なる第1基板部と第2基板部とに接続する第3基板部を備える基板であれば、これに回路を設けて各光源に通電させることで、高さ位置が異なる2つの導光部に対し各光源から生じる光をそれぞれ個別に導光させることが可能となる。
【0008】
また、上記構成において、前記基板は、第3光源が実装され、前記第2基板部に対し折り曲げられた形で接続する第4基板部を備え、前記第2基板部は、前記第2導光部の表面に接着し、前記第4基板部は、前記第2導光部の前記表面に交わる側面に接着し、前記第2導光部は、前記第2光源及び前記第3光源から生じる光を導光することとしてもよい。
【0009】
このような乗物用照明装置によると、1つの基板によって、第1基板部と第2基板部と第4基板部とに実装された3つの光源から光を生じさせ、第2光源から生じる光を、第2導光部の表面から入光させ、第3光源から生じる光を、第2導光部の側面から入光させることが可能となる。これにより、部品点数や組付け工程を削減し、第2導光部において複雑な照明態様を呈することができる乗物用照明装置の提供が可能となる。
【0010】
また、上記構成において。前記基板は、前記第1導光部及び前記第2導光部に対し、射出成形により一体的に成形されていてもよい。
【0011】
このような乗物用照明装置によると、各光源から生じる光を各導光部でそれぞれ個別に導光できるような各基板部と各導光部との接着が製造の過程で一挙に行われたものとすることができ、製造工程の削減に寄与することが可能となる。
【0012】
また、本開示は、第1光源が実装された第1基板部と、第2光源が実装され、前記第1基板部とは高さ位置が異なる第2基板部と、を備える基板を、一対の成形型の間に配して前記一対の成形型を型閉じする型閉じ工程と、前記成形型に設けられた2つの凹部であって、前記第1基板部に対向する第1凹部と、前記第2基板部に対向し、前記第1凹部とは前記高さ位置が異なる第2凹部と、に対し溶融した樹脂を射出することで、前記第1光源から生じる光を導光する導光部であって、前記第1基板部に接着された第1導光部と、前記第2光源から生じる光を導光する導光部であって、前記第2基板部に接着された第2導光部と、を形成する射出工程と、を含む、乗物用照明装置の製造方法である。
【0013】
このような乗物用照明装置の製造方法によると、各基板部と各導光部との接着を一挙に行うことができ、製造工程の削減に寄与することが可能となる。
【0014】
また、上記乗物用照明装置の製造方法は、前記型閉じ工程の前において、一対のプレス型の間に、前記第1基板部と前記第2基板部とを接続する第3基板部をさらに備える前記基板を配して、前記一対のプレス型を型閉じすることで、前記プレス型に設けられた3つの成形面のうち、第1成形面によって前記第1基板部をプレスし、前記第1成形面とは高さ位置が異なる第2成形面によって前記第2基板部をプレスし、前記第1成形面と前記第2成形面とを接続する第3成形面によって、前記第3基板部をプレスする予備成形工程を含んでいてもよい。
【0015】
このような乗物用照明装置の製造方法によると、型閉じ工程の前において、予め基板を所定の形に成形しておくことで、射出工程において、2つの凹部と各基板部との間の空間に対し、溶融した樹脂を十分に充填することができ、これにより2つの導光部を好適に形成させることができる。また、第1基板部と第2基板部とを接続する第3基板部をさらに備える基板を用いることで、1つの基板によって、高さ位置が異なる第1基板部と第2基板部とに実装された2つの光源から光を生じさせ、各基板部にそれぞれ接着された第1導光部と第2導光部とによって、各光を異なる箇所で照明に利用できるようになる、乗物用照明装置の製造が可能となる。また、このような乗物用照明装置は、1つの基板の高さ位置が異なる基板部にそれぞれ光源を実装して照明を行うため、異なる箇所で照明を行う場合にも、別々の基板を用意する必要がなく、基板において例えば電源から各光源に通電可能な回路を設ければ、ハーネスといった部品を使用して各光源に電気的に通電するような配策を行う必要もない。従って、ハーネスやそのコネクタ等、部品点数の削減や、ハーネスの組付け工程の削減を実現できる乗物用照明装置を製造することが可能となる。
【0016】
また、上記乗物用照明装置の製造方法は、前記型閉じ工程の前において、一対のプレス型の間に、第3光源が実装され前記第2基板部に接続する第4基板部をさらに備える前記基板を配して、前記一対のプレス型を型閉じすることで、前記プレス型に設けられた2つの成形面のうち、第2成形面によって前記第2基板部をプレスし、前記第2成形面に対し交わる第4成形面によって、前記第4基板部を、前記第2基板部に対し折り曲げられた形となるようにプレスする予備成形工程を含み、前記射出工程では、前記第2凹部に対し前記溶融した樹脂を射出することで、前記第2光源及び前記第3光源から生じる光を導光する導光部であって、前記第2基板部がその表面に接着され、前記第4基板部がその表面に交わる側面に接着された前記第2導光部を形成してもよい。
【0017】
このような乗物用照明装置の製造方法によると、第2光源から生じる光を、第2導光部の表面から入光させ、第3光源から生じる光を、第2導光部の側面から入光させることが可能な乗物用照明装置を製造することができる。そして、部品点数や製造工程を削減し、第2導光部において複雑な照明態様を呈することができる乗物用照明装置の提供が可能となる。また、型閉じ工程の前において、予め基板を所定の形に成形しておくことで、射出工程において、第2凹部と第2基板部及び第4基板部との間の空間に対し、溶融した樹脂を十分に充填することができ、これにより第2導光部を好適に形成させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、製造工程の削減ができる乗物用照明装置、及び乗物用照明装置の製造方法の提供が可能となる。また、部品点数の削減ができる乗物用照明装置、及び乗物用照明装置の製造方法の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る自動車の天井構造を車室内側から視た斜視図
図2】天井構造を上方から視た図
図3】照明装置の右側部分を示す斜視図
図4】照明装置の右側部分の分解斜視図
図5】照明装置の断面図(図2におけるV-V線断面)
図6】開いた状態の一対のプレス型の間に基板を配した態様を示す斜視図
図7】一対のプレス型を閉じた状態にした態様を示す斜視図
図8】一対のプレス型を再び開いた状態にした態様を示す斜視図
図9】開いた状態の一対の成形型において、下型に基板を配した態様を示す断面図
図10】一対の成形型を閉じた状態にした態様を示す断面図
図11】溶融した樹脂を射出した態様を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態>
本開示の実施形態を図1から図11によって説明する。本実施形態では、自動車(乗物)の天井構造10における照明装置(乗物用照明装置)100とその製造方法を説明する。尚、矢印方向FRを前方、矢印方向RRを後方、矢印方向Uを上方、矢印方向Dを下方、矢印方向Lを左方、矢印方向Rを右方として各図を説明する。図3以降の図面においては、車幅方向における内側の方向が、矢印方向Lと同一方向とされ、車幅方向における外側の方向が、矢印方向Rと同一方向される。
【0021】
図1に示すように、自動車の天井を構成する天井構造10は、車両の前後方向に延びた長板状のルーフトリム(乗物用天井材)11と、ルーフトリム11の前側において、車幅方向(左右方向)に並んで設けられた2つのサンバイザ12と、を備える。ルーフトリム11は、2つのサンバイザ12の間に延在した延在部11Aを備える。また、天井構造10は、延在部11Aの端部に沿った下方視門形状をなし、光を透過可能な透過部材13と、サンバイザ12の車室外側(上方)に配され、透過部材13が取り付けられた上壁部14と、を備える。サンバイザ12は、その前端部を回動軸として後端部を上下に回動させることで、板面が上壁部14に近接するように閉じた状態(左側のサンバイザ12参照)と、板面が上壁部14から離間するように開いた状態(右側のサンバイザ12参照)と、に状態を変更することができる。上壁部14には、サンバイザ12を開いた状態にすると車室内側に露出するバニティミラー14Aが設けられている。バニティミラー14Aは、サンバイザ12を開いた状態にして、ツマミ部14Bに指を掛けて下方に開くことで、使用可能となる。
【0022】
図2に示すように、透過部材13の車室外側には、天井構造10の構成要素の一つである照明装置100が設けられている。図2から図4に示すように、照明装置100は、図示しない電源からの給電を可能とする接続部分としてのコネクタ70に接続し、フィルム状の基板が所定形状に折り曲げられてなる基板20と、基板20の車室内側(下側)に配された第1導光部60、仕切り部材75、及び第2導光部40と、を備える。第1導光部60、仕切り部材75、第2導光部40、及びコネクタ70は、1つの基板20に対し、車幅方向において左右対称となる形でそれぞれ2つずつ設けられている。図3以降の図面を用いた本技術の説明では、便宜上、照明装置100の右側の部分(基板20の右側部分と、右側に配された第1導光部60、仕切り部材75、第2導光部40、及びコネクタ70)について説明する。これらの構成は、照明装置100の左側の部分においても、左右対称となる形で表れる。
【0023】
図2から図4に示すように、基板20は、第1光源としてのLED51が実装され、前後方向に延びた第1基板部21と、第2光源としてのLED52が複数(4つ)実装され、第1基板部21とは高さ位置が異なる(第1基板部21に対し車室外側である上方に配された)第2基板部22と、第1基板部21から上方に立ち上がる立壁をなし、第1基板部21と第2基板部22とを接続する第3基板部23と、を備える。また、基板20は、第3光源としてのLED53が複数(2つ)実装され、第2基板部22の前端部に対し下方に折り曲げられた形で接続する第4基板部24と、車幅方向に2つ配された第1基板部21同士を接続するように、車幅方向に延びた第5基板部25と、第5基板部25からクランク状に折れ曲がり、2つのコネクタ70と第5基板部25とそれぞれ個別に接続する2つの第6基板部26と、を備える。
【0024】
基板20には、コネクタ70から給電される電気を、各光源51,52,53,54へ通電させるための回路(不図示)が形成されている。この回路の形は、特に限定されないが、例えば、コネクタ70から第6基板部26、第5基板部25、及び第1基板部21を経てLED51に電気的に接続されるように配策され、第1基板部21から第3基板部23、及び第2基板部22を経て複数のLED52に電気的に接続されるように配策され、第2基板部22から第4基板部24を経て複数のLED53に電気的に接続されるように配策された形をなす回路であってもよい。
【0025】
第1基板部21は、LED51が実装され、前後方向に延びた長方形状の本体部21Aと、本体部21Aの後端部に接続し、後方に向かうほど上方に傾きつつ右方に曲がった曲げ部21Bと、曲げ部21Bの外周端部から上方に立ち上がった立壁部21Cと、を備える。本体部21Aの前端部には、第5基板部25が接続されている。本体部21Aの右端部には、第3基板部23の下端部が接続されている。第3基板部23は、本体部21Aに対し垂直に交わるように折れ曲がった形で接続されている。
【0026】
第2基板部22は、当該第2基板部22の大部分をなし前後方向を長辺とする本体部22Aと、本体部22Aの左端部と第3基板部23の上端部とを接続し、前後方向を長辺とする長方形状の接続片部22Bと、を備える。本体部22Aの左端部には、4つのLED52が、接続片部22Bの延びる方向に沿って前後方向に並ぶように配されている。第2基板部22は、上下方向を高さ方向とした場合に、第1基板部21よりも高い位置である上方に配されている。第2基板部22は、第1基板部21の本体部21Aと平行となる形で配されている。第2基板部22は、第3基板部23に対し垂直に交わるように折れ曲がった形で接続されている。
【0027】
第4基板部24は、第2基板部22の本体部22Aの前端部に接続し、第2基板部22に対し垂直に交わるように折れ曲がった形で接続されている。第4基板部24は、第3基板部23に対し垂直に交わる。第4基板部24には、2つのLED53が車幅方向に並ぶように配されている。
【0028】
図3から図5に示すように、第1導光部60は、第1基板部21に対し後述する射出成形(射出工程)により一体的に成形されることで接着されており、LED51から生じる光を導光する。第1導光部60は、前後方向に延びた長板状をなす導光本体部61と、導光本体部61の後端部に接続し、後方に向かうほど上方に傾きつつ右方に曲がった導光曲げ部62と、導光曲げ部62の外周端部から上方に立ち上がった導光立壁部63と、を備える。導光本体部61の前側部分には、LED51が嵌め込まれる凹部であって、LED51から生じる光を入光させて導光する本体凹部61Aが設けられている。導光本体部61、導光曲げ部62、及び導光立壁部63は、それぞれ、第1基板部21の本体部21A、曲げ部21B、及び立壁部21Cに対し車室内側から接着している。
【0029】
第1導光部60は、LED51から生じて本体凹部61Aから入光する光を、導光本体部61の板面方向(前後方向)に導光し、導光曲げ部62及び導光立壁部63に至るまで、導光させる。第1導光部60に導光され外部に出光する光(図5において鎖線の矢印で示す)は、一部の光が透過部材13の第1透過部13A,13Bを照らし出すとともに、一部の光が当該第1透過部13A,13Bを透過する。第1導光部60から外部に出光する光は、例えば、第1透過部13A,13Bにおいて文字、図形、模様等の特定の意匠を浮かび上がらせることができる。
【0030】
図3から図5に示すように、第2導光部40は、第2基板部22及び第4基板部24に対し、後述する射出成形(射出工程)により一体的に成形されることで接着されており、複数のLED52,53から生じる光を導光する。第2導光部40は、前後方向に延びた長板状をなす導光本体部41と、導光本体部41の左側部分から下方に延在した延在部42と、を備える。導光本体部41は、上方を向く面であって、第2基板部22の本体部22Aが接着された表面41Aと、下方(透過部材13側)を向く裏面であって、凹凸状をなした第3出光面41Bと、当該導光本体部41の表面41Aに配され、LED52が嵌め込まれる凹部であって、LED52から生じる光を入光させて導光する表面凹部41Cと、を備える。また、導光本体部41は、第4基板部24が接着された面であって当該導光本体部41の表面41Aに対し交わる面である側面41Dと、側面41Dに配され、LED53が嵌め込まれる凹部であって、LED53から生じる光を入光させて導光する側面凹部41Eと、を備える。延在部42は、その先端部において下方(透過部材13側)を向く先端面であって、凹凸状をなした第2出光面42Bを備える。
【0031】
導光本体部41は、LED52から生じて表面凹部41Cから入光する光を、その板厚方向(上下方向)に導光して延在部42に導光させる。延在部42に導光された光は、第2出光面42Bから下方に出光し(図5において鎖線の矢印で示す)、一部の光が透過部材13の第2透過部13Cを照らし出すとともに、一部の光が当該第2透過部13Cを透過する。第2出光面42Bから出光する光は、例えば、第2透過部13Cにおいて文字、図形、模様等の特定の意匠を浮かび上がらせることができる。
【0032】
また、導光本体部41は、LED53から生じて側面凹部41Eから入光する光を、その板面方向(前後方向)に導光して第3出光面41Bから下方に出光させる(この出光された光を、図5において鎖線の矢印で示す)。第3出光面41Bから出光した光は、一部の光が透過部材13の第3透過部13Dを照らし出すとともに、一部の光が当該第3透過部13Dを透過する。第3出光面41Bから出光する光は、サンバイザ12が開いた状態(図5においてサンバイザ12が鎖線で示す位置に無い状態)のときに、例えば、乗員の顔を照らし出すことができる。
【0033】
仕切り部材75は、前後方向を長辺とする長板状であり、その前後方向における両側端部が、右方に曲がっている。仕切り部材75は、第1導光部60と第2導光部40との間に配されており、両者を隔てる仕切りとされている。仕切り部材75の左側の板面には、第3基板部23が対向している。
【0034】
図2に示すように、第5基板部25には、車幅方向における中央部分において、第4光源としてのLED54が複数実装されている。また、第5基板部25において各LED54の周囲部分には、後述する射出成形(射出工程)によって一体的に成形されることで接着された第3導光部80が複数設けられている。第3導光部80は、LED54から生じる光を入光させて面状に導光し、これを車室内側に出光することで、当該第3導光部80の車室内側に配された透過部材13に、文字、記号、模様等の特定の意匠を浮かび上がらせる。照明装置100は、LED54の発光及び第3導光部80の導光により、透過部材13に浮かび上がった意匠が例えば乗員に押圧されることで、他のLED51,52,53のON/OFFをそれぞれ個別に切り替えることができる。
【0035】
続いて、照明装置100を製造する製造装置について説明する。図6及び図9に示すように、製造装置は、平板状の基板20を間に挟んで成形する一対のプレス型30と、所定の形に成形された基板20を間に挟みつつ溶融した樹脂を射出して基板20に接着された各導光部40,60,80を一体的に成形する一対の成形型90と、を備える。尚、以下の説明では、便宜上、照明装置100の右側の部分(基板20の右側部分と、右側に配された第1導光部60、仕切り部材75、第2導光部40)を製造する製造装置と、照明装置100の当該右側の部分を製造する製造方法ついて説明する。これらの構成や製造工程は、照明装置100の左側の部分においても、左右対称となる形で表れ、その製造工程が実行される。また、図9以降の図面では、矢印の上下方向を一対の成形型90の上下方向に合わせて示しており、基板20は、その上下方向が反転している(例えば図9では、矢印方向Dが、基板20における上方とされ、矢印方向Uが、基板20における下方とされる)。
【0036】
図6に示すように、一対のプレス型30は、下成形面(下プレス面)32Aを有する下プレス型32と、下成形面32Aに対向する上成形面(上プレス面)31Aを有し、下プレス型32の上方に配された上プレス型31と、を備える。上プレス型31は、下プレス型32に対し近接及び離間が可能とされる。下成形面32Aは、第1成形面33と、第1成形面33の上方に配され(第1成形面33とは高さ位置が異なり)、第1成形面33に対し段違いとなった第2成形面34と、第1成形面33と第2成形面34とを接続し、第1成形面33の右端部から上方に立ち上がる立壁をなす第3成形面35と、第2成形面34と第3成形面35とに交わる向きに配され、第2成形面34の前端部から折れ曲がった第4成形面36と、を備える。
【0037】
第1成形面33は、前後方向に延びた成形本体面33Aと、成形本体面33Aの後端部に接続し、後方に向かうほど上方に傾きつつ右方に曲がった成形曲げ面33Bと、成形曲げ面33Bの外周端部から上方に立ち上がった成形立壁面33Cと、を備える。成形本体面33Aには、凹部33Dが設けられている。第2成形面34には、左端部(第3成形面35側の端部)に沿って前後方向に複数(4つ)並んで配された凹部34Aが設けられている。第4成形面36には、車幅方向に複数(2つ)並んで配された凹部36Aが設けられている。上成形面31Aは、凹部33D,34A,36Aに倣う構造を有しないこと以外は、下成形面32Aに倣う形の成形面をなしている。
【0038】
図9に示すように、一対の成形型90は、下成形面91Aを有する下型91と、下成形面91Aに対向する上成形面92Aを有し、下型91の上方に配された上型92と、を備える。上型92は、下型91に対し近接又は離間が可能とされる。下成形面91Aは、第1面93と、第1面93の下方に配され(第1面93とは高さ位置が異なり)、第1面93に対し段違いとなった第2面94と、第1面93と第2面94とを接続し、第1面93の右端部から下方に立ち下がる立壁をなす第3面95と、を備える。
【0039】
上成形面92Aは、第1面93に対向する第1凹部96と、第1凹部96の右端部から下方に立ち下がる立壁面97と、立壁面97の右方に配され、第2面94に対向する第3凹部99と、第3凹部99の右方であって、第1凹部96よりも下方(第1凹部96とは高さ位置が異なる位置)に配され、第2面94に対向する第2凹部98と、を備える。第2凹部98は、第2面94と同じ平面方向に広がる凹本体部98Aと、凹本体部98Aの左端部からその窪みが上方に延在する形をなす凹延在部98Bと、を、備える。凹本体部98Aは、奥側(上側)に位置する底面であって凹凸状をなす凹凸面98Cと、凹凸面98Cから立ち上がった側面98Dと、を備える。凹延在部98Bは、奥側に位置する底面であって凹凸状をなす凹凸面98Eを備える。
【0040】
上型92には、溶融した樹脂を射出可能な射出装置92Bが設けられている。射出装置92Bから射出される樹脂としては、例えば、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を採用することができる。上型92の内部には、射出装置92Bと各凹部96,98,99とをつなぐ空洞である通路部92Cが設けられている。射出装置92Bは、溶融した樹脂を、通路部92Cを通して各凹部96,98,99に射出することができる。尚、射出装置92Bの構成や通路部92Cの経路は適宜変更してもよい。例えば、第3凹部99に射出する樹脂を、第1凹部96及び第2凹部98に射出する樹脂とは異なる樹脂にしたい場合は、射出装置92B及び通路部92Cとは異なる射出装置及び通路部を上型92に設け、それらから第3凹部99に個別に樹脂を射出する構成にしてもよい。また、他の実施形態として、上型92に第3凹部99が設けられていなくてもよい。その場合、本実施形態の製造工程において第3凹部99により成形される仕切り部材75は、本実施形態の製造工程とは別の工程で製造されて、各導光部40,60,80が接着された基板20と共に透過部材13等に組付けられることで、照明装置100を形成してもよい。
【0041】
続いて、照明装置100の製造方法について説明する。照明装置100の製造方法は、大別すると、一対のプレス型30によって基板20を予備成形する予備成形工程と、予備成形工程の後に行われ、一対の成形型90によって基板20を本成形する本成形工程と、を含む。本成形工程は、一対の成形型90を型閉じする型閉じ工程と、一対の成形型90を型閉じした状態において、溶融した樹脂を射出する射出工程と、を含む。
【0042】
図6に示すように、予備成形工程では、まず、各LED51,52,53が予め実装された平板状の基板20を、開いた状態の一対のプレス型30の間に配する。基板20において、各基板部21,22,23,24,25は、互いに同一平面上に配されており、折れ曲がっていない。第1基板部21には、LED51が実装され、第2基板部22には、複数のLED52が実装され、第4基板部には、複数のLED53が実装されている。第3基板部23は、第1基板部21と第2基板部22とに接続している。第4基板部24は、第2基板部22に接続している。このとき、複数のLED52を複数の凹部34Aに嵌め込み、第2基板部22を第2成形面34に載置するように、基板20を下プレス型32の下成形面32Aに載置してもよい。
【0043】
次に、図7に示すように、上プレス型31を下プレス型32に近接させて、一対のプレス型30を型閉じすることで、上成形面31Aと下成形面32Aとにより基板20を挟んでプレスし、基板20を所定形状に折り曲げる。具体的には、第1成形面33の成形本体面33A、成形曲げ面33B、及び成形立壁面33Cと、上成形面31Aと、によって第1基板部21をプレスすることで、LED51を凹部33Dに嵌め込みつつ、第1基板部21に本体部21A、曲げ部21B、及び立壁部21Cが形成されるように成形する。また、第1成形面33と上成形面31Aとによって第1基板部21をプレスし、第3成形面35と上成形面31Aとによって第3基板部23をプレスすることで、第3基板部23を第1基板部21に対し折り曲げられた形となるように成形する。さらに、第3成形面35と上成形面31Aとによって第3基板部23をプレスし、第2成形面34と上成形面31Aとによって第2基板部22をプレスすることで、第3基板部23を第2基板部22に対し折り曲げられた形となるように成形する。また、第2成形面34と上成形面31Aとによって第2基板部22をプレスし、第4成形面36と上成形面31Aとによって第4基板部24をプレスすることで、複数のLED53をそれぞれ複数の凹部36Aに嵌め込みつつ、第4基板部24を第2基板部22に対し折り曲げられた形となるように成形する。
【0044】
この状態で、所定時間経過後、上プレス型31を下プレス型32から離間させ、一対のプレス型30を型開きすると、図8に示すように、各基板部21,22,23,24が互いに折り曲げられて予備成形された基板20を得ることができる。
【0045】
続いて、図9に示すように、本成形工程のうちの型閉じ工程では、型開き状態にした一対の成形型90のうち、下型91の下成形面91Aに基板20を載置する(一対の成形型90の間に基板20を配する)。このとき、LED51が第1凹部96に対向するように、第1面93に第1基板部21を載置する。また、LED52が第2凹部98に対向するように、第2面94に第2基板部22を載置する。このとき、第4基板部24は、第2面94から立ち上がった状態となる。さらに、第3面95に第3基板部23を当接させる。尚、下型91に設けられた図示しない真空装置によって基板20を真空引きし、基板20を下成形面91Aに貼り付けた状態にして、以降の工程を行ってもよい。
【0046】
次に、図10に示すように、上型92を下型91に近接させて、一対の成形型90を型閉じすることで、上成形面92Aと下成形面91Aとにより基板20を挟んでプレスする。このとき、第1基板部21に第1凹部96が対向し、第2基板部22に第2凹部98及び第3凹部99が対向する。第4基板部24は、第2凹部98と第2基板部22との間に入り、凹本体部98Aの側面98Dに当接(又は近接)する。また、LED51は、第1凹部96と第1基板部21との間に入る。LED52,53は、第2凹部98と第2基板部22及び第4基板部24との間に入る。
【0047】
次に、図11に示すように、射出工程では、一対の成形型90を型閉じしつつ、射出装置92Bから通路部92Cを通して各凹部96,98,99に対し溶融した樹脂を射出する。これにより、第1凹部96と第1基板部21との間、第2凹部98と第2基板部22及び第4基板部24との間、及び、第3凹部99と第2基板部22との間に、溶融した樹脂が充満するとともに、各基板部21,22,24に樹脂が溶着する。この状態を所定時間維持し、一対の成形型90を冷却することで、溶融した樹脂が固化する。
【0048】
これにより、第1凹部96において固化した樹脂により、第1基板部21に接着された第1導光部60が形成される。また、第2凹部98において固化した樹脂により、第2基板部22がその表面41Aに接着され、第4基板部24がその側面41Dに接着された第2導光部40が形成される。さらに、第3凹部99において固化した樹脂により、仕切り部材75が形成される。その後、上型92を下型91から離間させて型開き状態にすることで、一対の成形型90の間から、基板20と各導光部40,60と仕切り部材75とを備える照明装置100を離型する。
【0049】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、第1光源51が実装された第1基板部21と、第2光源52が実装され、第1基板部21とは高さ位置が異なる第2基板部22と、第1基板部21と第2基板部22とを接続する第3基板部23と、を有する基板20と、第1光源51から生じる光を導光する導光部であって、第1基板部21に接着された第1導光部60と、第2光源52から生じる光を導光する導光部であって、第2基板部22に接着された第2導光部40と、を備える照明装置100を示した。
【0050】
このような照明装置100によると、1つの基板20によって、高さ位置が異なる第1基板部21と第2基板部22とに実装された2つの光源から光を生じさせ、各基板部にそれぞれ接着された第1導光部60と第2導光部40とによって、各光を異なる箇所で照明に利用することができるようになる。また、1つの基板20の高さ位置が異なる基板部にそれぞれ光源を実装して照明を行うため、異なる箇所で照明を行う場合にも、別々の基板20を用意する必要がなく、基板20において電源から各光源に通電可能な回路を設ければ、ハーネスといった部品を使用して各光源に電気的に通電するような配策を行う必要もない。これにより、ハーネスやそのコネクタ等、部品点数の削減や、ハーネスの組付け工程の削減を実現できる照明装置100の提供が可能となる。また、仮に、2つの光源が実装された基板が平板状である場合、高さ位置が異なる2つの導光部40,60に、この2つの光源から生じる光がそれぞれ個別に入光され当該2つの導光部40,60によって導光されるように、当該平板状の基板を配することは困難であるところ、上記のように、それぞれ高さ位置が異なる第1基板部21と第2基板部22とに接続する第3基板部23を備える基板20であれば、これに回路を設けて各光源に通電させることで、高さ位置が異なる2つの導光部40,60に対し各光源から生じる光をそれぞれ個別に導光させることが可能となる。
【0051】
基板20は、第3光源53が実装され、第2基板部22に対し折り曲げられた形で接続する第4基板部24を備え、第2基板部22は、第2導光部40の表面41Aに接着し、第4基板部24は、第2導光部40の表面41Aに交わる側面41Dに接着し、第2導光部40は、第2光源52及び第3光源53から生じる光を導光する。
【0052】
このような照明装置100によると、1つの基板20によって、第1基板部21と第2基板部22と第4基板部24とに実装された3つの光源から光を生じさせ、第2光源52から生じる光を、第2導光部40の表面41Aから入光させ、第3光源53から生じる光を、第2導光部40の側面41Dから入光させることが可能となる。これにより、部品点数や組付け工程を削減し、第2導光部40において複雑な照明態様を呈することができる照明装置100の提供が可能となる。
【0053】
基板20は、第1導光部60及び第2導光部40に対し、射出成形により一体的に成形されている。
【0054】
このような照明装置100によると、各光源から生じる光を各導光部でそれぞれ個別に導光できるような各基板部21,22と各導光部60,40との接着が製造の過程で一挙に行われたものとすることができ、製造工程の削減に寄与することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態では、第1光源51が実装された第1基板部21と、第2光源52が実装され、第1基板部21とは高さ位置が異なる第2基板部22と、を備える基板20を、一対の成形型90の間に配して一対の成形型90を型閉じする型閉じ工程と、成形型90に設けられた2つの凹部であって、第1基板部21に対向する第1凹部96と、第2基板部22に対向し、第1凹部96とは高さ位置が異なる第2凹部98と、に対し溶融した樹脂を射出することで、第1光源51から生じる光を導光する導光部であって、第1基板部21に接着された第1導光部60と、第2光源52から生じる光を導光する導光部であって、第2基板部22に接着された第2導光部40と、を形成する射出工程と、を含む、照明装置100の製造方法を示した。
【0056】
このような照明装置100の製造方法によると、各基板部21,22と各導光部60,40との接着を一挙に行うことができ、製造工程の削減に寄与することが可能となる。
【0057】
型閉じ工程の前において、一対のプレス型30の間に、第1基板部21と第2基板部22とを接続する第3基板部23をさらに備える基板20を配して、一対のプレス型30を型閉じすることで、プレス型30に設けられた3つの成形面のうち、第1成形面33によって第1基板部21をプレスし、第1成形面33とは高さ位置が異なる第2成形面34によって第2基板部22をプレスし、第1成形面33と第2成形面34とを接続する第3成形面35によって、第3基板部23をプレスする予備成形工程を含んでいる。
【0058】
このような照明装置100の製造方法によると、型閉じ工程の前において、予め基板20を所定の形に成形しておくことで、射出工程において、2つの凹部と各基板部との間の空間に対し、溶融した樹脂を十分に充填することができ、これにより2つの導光部を好適に形成させることができる。また、第1基板部21と第2基板部22とを接続する第3基板部23をさらに備える基板20を用いることで、1つの基板20によって、高さ位置が異なる第1基板部21と第2基板部22とに実装された2つの光源から光を生じさせ、各基板部にそれぞれ接着された第1導光部60と第2導光部40とによって、各光を異なる箇所で照明に利用できるようになる、照明装置100の製造が可能となる。また、このような照明装置100は、1つの基板20の高さ位置が異なる基板部21,22にそれぞれ光源を実装して照明を行うため、異なる箇所で照明を行う場合にも、別々の基板を用意する必要がなく、基板20において例えば電源から各光源に通電可能な回路を設ければ、ハーネスといった部品を使用して各光源に電気的に通電するような配策を行う必要もない。従って、ハーネスやそのコネクタ等、部品点数の削減や、ハーネスの組付け工程の削減を実現できる照明装置100を製造することが可能となる。
【0059】
型閉じ工程の前において、一対のプレス型30の間に、第3光源53が実装され第2基板部22に接続する第4基板部24をさらに備える基板20を配して、一対のプレス型30を型閉じすることで、プレス型30に設けられた2つの成形面のうち、第2成形面34によって第2基板部22をプレスし、第2成形面34に対し交わる第4成形面36によって、第4基板部24を、第2基板部22に対し折り曲げられた形となるようにプレスする予備成形工程を含み、射出工程では、第2凹部98に対し溶融した樹脂を射出することで、第2光源52及び第3光源53から生じる光を導光する導光部であって、第2基板部22がその表面41Aに接着され、第4基板部24がその表面に交わる側面41Dに接着された第2導光部40を形成する。
【0060】
このような照明装置100の製造方法によると、第2光源52から生じる光を、第2導光部40の表面41Aから入光させ、第3光源53から生じる光を、第2導光部40の側面41Dから入光させることが可能な照明装置100を製造することができる。そして、部品点数や製造工程を削減し、第2導光部40において複雑な照明態様を呈することができる照明装置100の提供が可能となる。また、型閉じ工程の前において、予め基板20を所定の形に成形しておくことで、射出工程において、第2凹部98と第2基板部22及び第4基板部24との間の空間に対し、溶融した樹脂を十分に充填することができ、これにより第2導光部40を好適に形成させることができる。
【0061】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0062】
(1)上記実施形態以外にも、第1基板部と第2基板部の相対的な高さ位置は適宜変更可能である。例えば、第2基板部は、第1基板部に比して下方(乗物室内側)となる位置に配されていてもよい。
【0063】
(2)上記実施形態以外にも、第3基板部の形は適宜変更可能である。例えば、第3基板部は、湾曲していてもよく、複数の折り目が設けられていてもよい。第3基板部と第1基板部との間や、第3基板部と第2基板部との間は、折れ曲がっておらず、ラウンド状をなしていてもよい。
【0064】
(3)照明装置は、仕切り部材を備えていなくてもよい。その場合、例えば、第3基板部に第2導光部の延在部が接着されていてもよい。
【0065】
(4)上記実施形態では、各光源が予め実装された基板を用いて予備成形工程を行ったが、これに限定されない。例えば、各光源が実装されていない基板を用いて予備成形工程を行い、その後、所定形状に折り曲げられた基板に対し各光源を実装し、次いで、本成形工程を行ってもよい。
【0066】
(5)上記実施形態で例示した乗物用照明装置、及び乗物用照明装置の製造方法は、他にも、車両のセンターランプ、リアサイドランプ、ラゲッジランプ、又はドアトリムやインストルメントパネル等に設けられた照明装置等、様々な車両用照明装置に対しても適用することができる。
【0067】
(6)上記実施形態で例示した乗物用照明装置、及び乗物用照明装置の製造方法は、車両用に限定されず、種々の乗物において提供されてもよい。例えば、地上の乗物としての列車や遊戯用車両、飛行用乗物としての飛行機やヘリコプター、海上や海中用乗物としての船舶や潜水艇等の乗物に対しても、上記乗物用照明装置、及び乗物用照明装置の製造方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
10…天井構造、20…基板、21…第1基板部、22…第2基板部、23…第3基板部、24…第4基板部、30…プレス型、33…第1成形面、34…第2成形面、35…第3成形面、36…第4成形面、40…第2導光部、41A…第2導光部の表面、41D…第2導光部の側面、51…LED(第1光源)、52…LED(第2光源)、53…LED(第3光源)、60…第1導光部、90…成形型、96…第1凹部、98…第2凹部、100…照明装置(乗物用照明装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11