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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076491
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】通信制御装置および通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/141 20220101AFI20240530BHJP
   H04M 3/00 20240101ALI20240530BHJP
   H04L 67/104 20220101ALI20240530BHJP
【FI】
H04L67/141
H04M3/00 D
H04L67/104
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188045
(22)【出願日】2022-11-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】柿島 純
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201BB04
5K201BD05
5K201CB12
5K201EC06
5K201FA10
5K201FB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】障害発生時などの非常時において、複数の通信事業者が連携して携帯通信サービスを提供する。
【解決手段】通信制御システムにおいて、P2Pネットワークを構成する通信制御装置1aは、通信事業者AのUDRサーバに登録されているユーザ端末3aの加入者識別情報に基づいて生成されたトランザクションを取得し、トランザクションを含むブロックを生成し、ブロックの採択についての合意形成を行い、合意形成したブロックをブロックチェーンに追加し管理し、UDRサーバ2aにおける障害の発生を示す異常発生通知を取得し、異常発生通知に応じて、ブロックチェーンから加入者識別情報を抽出し、自装置に接続するUDRサーバに登録させる。ユーザ端末から位置登録要求信号を取得すると、UDRサーバに登録された加入者識別情報に基づいて、通信事業者Aの第1ネットワークLとは異なる通信事業者B(c)の第2ネットワークへの接続先を特定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピアツーピアネットワークを構成する通信制御装置であって、
第1通信事業者の統合データレポジトリを備える第1サーバに登録されている、第1ユーザ端末の第1加入者識別情報に基づいて生成された第1トランザクションを、前記ピアツーピアネットワークを介して取得する第1取得部と、
前記第1トランザクションを含むブロックを生成し、前記ブロックの採択についての前記ピアツーピアネットワークにおける合意形成を行い、合意形成した前記ブロックをブロックチェーンに追加するブロックチェーン管理部と、
前記第1サーバにおける障害の発生を示す異常発生通知を取得する第2取得部と、
前記異常発生通知に応じて、前記ブロックチェーンから前記第1加入者識別情報を抽出する抽出部と、
抽出された前記第1加入者識別情報を、自装置に接続する第2通信事業者の統合データレポジトリを備える第2サーバに登録させる設定部と、
前記第1ユーザ端末から位置登録要求信号を取得すると、前記第2サーバに登録された前記第1加入者識別情報に基づいて、前記第1通信事業者の第1ネットワークとは異なる前記第2通信事業者の第2ネットワークへの接続先を特定する通信制御部と
を備える通信制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信制御装置において、
前記第1加入者識別情報は、前記第1ユーザ端末の電話番号と、加入者識別番号と、前記第1通信事業者が提供可能なサービスの種別との項目を含む
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信制御装置において、
前記第1トランザクションは、前記第1通信事業者の識別子に関連付けられた前記第1加入者識別情報を含む
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信制御装置において、
前記第1トランザクションは、さらに、前記第1加入者識別情報に関連付けられた前記第1ユーザ端末の契約に関する属性情報および前記属性情報と過去のトランザクションとの関連性を示す情報を含む
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の通信制御装置において、
さらに、前記ブロックチェーンにおいて、前記第1加入者識別情報に含まれる前記第1ユーザ端末の電話番号および前記加入者識別番号のいずれかに基づいて、前記第1ユーザ端末の契約に関する前記属性情報の不整合の有無を判定する判定部を備え、
前記設定部は、前記判定部が、前記属性情報の不整合があると判定した場合、前記第1加入者識別情報の前記第2サーバへの登録を留保させる
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の通信制御装置において、
前記判定部は、前記ブロックチェーンにおいて、前記第1ユーザ端末の契約に関する前記属性情報に基づいて、前記第1ユーザ端末の電話番号および前記加入者識別番号のいずれかの重複の有無を判定し、
前記設定部は、前記判定部が、前記第1ユーザ端末の電話番号および前記加入者識別番号のいずれかの重複があると判定した場合、前記第1加入者識別情報の前記第2サーバへの登録を留保させる
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の通信制御装置において、
さらに、前記第2サーバに登録されている、第2ユーザ端末の第2加入者識別情報に基づいて、第2トランザクションを生成する生成部と、
前記第2トランザクションを、前記ピアツーピアネットワークを介して、他の通信制御装置に送信する送信部と、
前記第2サーバにおける障害の発生を検出し、異常発生通知を前記他の通信制御装置に送信する異常管理部と
を備える通信制御装置。
【請求項8】
ピアツーピアネットワークを構成する通信制御装置による通信制御方法であって、
第1通信事業者の統合データレポジトリを備える第1サーバに登録されている、第1ユーザ端末の第1加入者識別情報に基づいて生成された第1トランザクションを、前記ピアツーピアネットワークを介して取得する第1ステップと、
前記第1トランザクションを含むブロックを生成し、前記ブロックの採択についての前記ピアツーピアネットワークにおける合意形成を行い、合意形成した前記ブロックをブロックチェーンに追加する第2ステップと、
前記第1サーバにおける障害の発生を示す異常発生通知を取得する第3ステップと、
前記異常発生通知に応じて、前記ブロックチェーンから前記第1加入者識別情報を抽出する第4ステップと、
抽出された前記第1加入者識別情報を、自装置に接続する第2通信事業者の統合データレポジトリを備える第2サーバに登録させる第5ステップと、
前記第1ユーザ端末から位置登録要求信号を取得すると、前記第2サーバに登録された前記第1加入者識別情報に基づいて、前記第1通信事業者の第1ネットワークとは異なる前記第2通信事業者の第2ネットワークへの接続先を特定する第6ステップと
を備える通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置および通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯通信サービスは経済活動や国民生活に不可欠なライフラインである。このため、障害発生時などの非常時においても確実に端末装置のデータ通信、音声通話等の各種サービスを利用できる仕組みが求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、同一の加入者識別番号で事業者間のローミングを図る技術が開示されている。特許文献1に開示された技術では、ホーム側の通信事業者における移動通信網から移動先の移動通信網に移動してローミングを要求したときに、移動先の交換機はローミング番号を割り当てする。ホーム側のメモリ局は、ローミング番号を格納し、ローミング中の加入者に対する着呼接続があったとき、加入者識別番号に対するローミング番号を移動先の交換局に送出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-14271号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Satoshi Nakamoto,“Bitcoin:A peer-to-peer Electronic Cash System.”(2008).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術では、ホーム側のメモリ局が動作していることが必要であり、ホーム側の通信事業者において障害などが発生したときに、事業者間でローミングを図ることができない。
【0007】
このように、従来の技術によれば、障害発生時などの非常時において、複数の通信事業者が連携して携帯通信サービスを提供することが困難であった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、障害発生時などの非常時において、複数の通信事業者が連携して携帯通信サービスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明に係る通信制御装置は、ピアツーピアネットワークを構成する通信制御装置であって、第1通信事業者の統合データレポジトリを備える第1サーバに登録されている、第1ユーザ端末の第1加入者識別情報に基づいて生成された第1トランザクションを、前記ピアツーピアネットワークを介して取得する第1取得部と、前記第1トランザクションを含むブロックを生成し、前記ブロックの採択についての前記ピアツーピアネットワークにおける合意形成を行い、合意形成した前記ブロックをブロックチェーンに追加するブロックチェーン管理部と、前記第1サーバにおける障害の発生を示す異常発生通知を取得する第2取得部と、前記異常発生通知に応じて、前記ブロックチェーンから前記第1加入者識別情報を抽出する抽出部と、抽出された前記第1加入者識別情報を、自装置に接続する第2通信事業者の統合データレポジトリを備える第2サーバに登録させる設定部と前記第1ユーザ端末から位置登録要求信号を取得すると、前記第2サーバに登録された前記第1加入者識別情報に基づいて、前記第1通信事業者の第1ネットワークとは異なる前記第2通信事業者の第2ネットワークへの接続先を特定する通信制御部とを備えるとを備える。
【0010】
また、本発明に係る通信制御装置において、前記第1加入者識別情報は、前記第1ユーザ端末の電話番号と、加入者識別番号と、前記第1通信事業者が提供可能なサービスの種別との項目を含んでいてもよい。
【0011】
また、本発明に係る通信制御装置において、前記第1トランザクションは、前記第1通信事業者の識別子に関連付けられた前記第1加入者識別情報を含んでいてもよい。
【0012】
また、本発明に係る通信制御装置において、前記第1トランザクションは、さらに、前記第1加入者識別情報に関連付けられた前記第1ユーザ端末の契約に関する属性情報および前記属性情報と過去のトランザクションとの関連性を示す情報を含んでいてもよい。
【0013】
また、本発明に係る通信制御装置において、さらに、前記ブロックチェーンにおいて、前記第1加入者識別情報に含まれる前記第1ユーザ端末の電話番号および前記加入者識別番号のいずれかに基づいて、前記第1ユーザ端末の契約に関する前記属性情報の不整合の有無を判定する判定部を備え、前記設定部は、前記判定部が、前記属性情報の不整合があると判定した場合、前記第1加入者識別情報の前記第2サーバへの登録を留保させいてもよい。
【0014】
また、本発明に係る通信制御装置において、前記判定部は、前記ブロックチェーンにおいて、前記第1ユーザ端末の契約に関する前記属性情報に基づいて、前記第1ユーザ端末の電話番号および前記加入者識別番号のいずれかの重複の有無を判定し、前記設定部は、前記判定部が、前記第1ユーザ端末の電話番号および前記加入者識別番号のいずれかの重複があると判定した場合、前記第1加入者識別情報の前記第2サーバへの登録を留保させてもよい。
【0015】
また、本発明に係る通信制御装置において、さらに、前記第2サーバに登録されている、第2ユーザ端末の第2加入者識別情報に基づいて、第2トランザクションを生成する生成部と、前記第2トランザクションを、前記ピアツーピアネットワークを介して、他の通信制御装置に送信する送信部と、前記第2サーバにおける障害の発生を検出し、異常発生通知を前記他の通信制御装置に送信する異常管理部とを備えていてもよい。
【0016】
上述した課題を解決するために、本発明に係る通信制御方法は、ピアツーピアネットワークを構成する通信制御装置による通信制御方法であって、第1通信事業者の統合データレポジトリを備える第1サーバに登録されている、第1ユーザ端末の第1加入者識別情報に基づいて生成された第1トランザクションを、前記ピアツーピアネットワークを介して取得する第1ステップと、前記第1トランザクションを含むブロックを生成し、前記ブロックの採択についての前記ピアツーピアネットワークにおける合意形成を行い、合意形成した前記ブロックをブロックチェーンに追加する第2ステップと、前記第1サーバにおける障害の発生を示す異常発生通知を取得する第3ステップと、前記異常発生通知に応じて、前記ブロックチェーンから前記第1加入者識別情報を抽出する第4ステップと、抽出された前記第1加入者識別情報を、自装置に接続する第2通信事業者の統合データレポジトリを備える第2サーバに登録させる第5ステップと前記第1ユーザ端末から位置登録要求信号を取得すると、前記第2サーバに登録された前記第1加入者識別情報に基づいて、前記第1通信事業者の第1ネットワークとは異なる前記第2通信事業者の第2ネットワークへの接続先を特定する第6ステップとを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1ユーザ端末の第1加入者識別情報に基づいて生成された第1トランザクションを、ピアツーピアネットワークを介して取得し、第1トランザクションを含むブロックを生成する。そのため、障害発生時などの非常時において、複数の通信事業者が連携して携帯通信サービスを継続して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る通信制御装置を含む通信制御システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施の形態に係る通信制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、本実施の形態に係る通信制御装置が記憶するブロックチェーンのデータ構造を示すブロック図である。
図4図4は、本実施の形態に係る通信制御システムの動作シーケンスである。
図5図5は、本実施の形態に係る通信制御システムの動作シーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1から図5を参照して詳細に説明する。
[通信制御システムの構成]
まず、本発明の実施の形態に係る通信制御装置1a、1b、1cを備える通信制御システムの概要について説明する。図1に示すように、通信制御システムは、ピアツーピア(P2P)ネットワークNWに、予め許可された参加ノードとして複数の通信制御装置1a、1b、1cが接続している。通信制御装置1a、1b、1cの各々には、UDR(統合データレポジトリ:Unified Data Repository)サーバ2a、2b、2cが接続されている。
【0020】
通信制御装置1a、1b、1cは、携帯電話、データ通信サービス等を提供する通信事業者A、B、Cが備える顧客システムに設けられる。顧客システムとは、通信サービスの提供に係る契約情報など、顧客管理のための加入者情報を管理および記憶するシステムである。また、UDRサーバ2a、2b、2cは、通信事業者A、B、Cがそれぞれのユーザに通信サービスを提供するために必要となる加入者プロファイルを記憶管理するサーバである。通信事業者A、B、Cは、それぞれが同じ通信規格、例えば、4G(LTE)通信規格または5G通信規格に準拠する通信サービスを提供する。
【0021】
通信制御装置1a、1b、1cとUDRサーバ2a、2b、2cとは、それぞれLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのネットワークLを介して接続されている。例えば、通信事業者Aは、自己が備えるUDRサーバ2aにアクセスすることができるが、他の通信事業者B、CのUDRサーバ2b、2cにはアクセスすることができない。以下、通信制御装置1a、1b、1cは、それぞれ同じ構成を有し、通信制御装置1と総称する場合がある。UDRサーバ2a、2b、2cについても同様に、それぞれが同じ構成を有し、UDRサーバ2と総称する場合がある。
【0022】
ここで、図1に示すように、通信事業者Aは、ユーザ端末3aのユーザが通信サービスの契約をしているホーム側の事業者である。同様に、通信事業者Bは、ユーザ端末3bのユーザが通信サービスの契約をしている事業者であり、通信事業者Cは、ユーザ端末3cのユーザが通信サービスの契約をしている事業者である。
【0023】
通信事業者Aが備える通信制御装置1aは、ユーザ端末3aのユーザにおける通信サービスの契約や個人情報を含む加入者情報を記憶する加入者情報記憶部11を備える。UDRサーバ2aは、通信事業者Aがユーザ端末3aのユーザに通信サービスを提供するために必要な加入者プロファイル(第1加入者識別情報)を記憶する第1記憶部21を備える。また、通信事業者Aは、図示されない基地局を備える。
【0024】
ユーザ端末3a、3b、3cは、SIM30を備え、スマートフォンなどの携帯通信端末、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ(いわゆる、ノートパソコン)などとして実現される。ユーザ端末3a、3b、3cは、同様の構成を有し、これらを総称して「ユーザ端末3」ということがある。また、以下において、ユーザ端末3aを例に挙げて説明する。
【0025】
例えば、ユーザ端末3aに搭載されるSIM30には、通信事業者Aと契約するユーザの契約プロファイルが格納されている。SIM30の契約プロファイルには、ユーザの加入者識別情報が格納され、携帯電話の回線契約に割り当てられる加入者識別番号(IMSI:International Mobile Subscriber Identity)、加入者であるユーザの電話番号(MSISDN:Mobile Subscriber International Subscriber Directory Number)、SIMカード番号(ICCID:Integrated Circuit Card Identifier)、共通秘密鍵/共有鍵暗号といった個別の識別子情報が含まれる。
【0026】
ユーザ端末3aのユーザが通信事業者Aと、例えば、4G(LTE)通信の契約をすると、通信事業者Aの顧客システムからのサービスオーダ(SO)がUDRサーバ2aに投入される。すると、UDRサーバ2aにおいて、契約プロファイルとしてMSISDNキーと移動管理プロファイルとしてIMSIキーが作成される。これら契約プロファイルおよび移動管理プロファイルは、通信事業者Aがユーザ端末3aにおいて通信サービスを利用可能とするための加入者プロファイルを構成する。ユーザ端末3aのユーザは、通信事業者Aと契約していればよく、通信事業者Bまたは通信事業者Cとは契約していなくてもよい。
【0027】
UDRサーバ2aの第1記憶部21には、IMSIをキーとするテーブルが作成され、属性として、MSISDN/共通秘密鍵/共有鍵暗号/契約情報(音声/データ通信/SMS)/在圏情報の欄にユーザ端末3aのIMSIが在圏しているMME(Mobility Management Entity)のアドレス情報が書き込まれる。
【0028】
その後、ユーザ端末3aに対して、UDRサーバ2aから位置登録完了信号が送信されると、ユーザ端末3aには、加入者プロファイルに基づいたデータ通信や音声等の通信サービスが通信事業者Aによって提供される。
【0029】
より具体的には、通信事業者Aと契約するユーザの加入者プロファイルが格納されているSIM30がユーザ端末3aに差し込まれると、位置登録要求信号が、通信事業者Aの4G(LTE)通信規格に対応する基地局、MME(Mobility Management Entity)サーバ、HSS(Home Subscriber Server)サーバを介して、UDRサーバ2aに到達する。その後、UDRサーバ2aにおいて、ユーザ端末3aの加入者プロファイルの在圏情報にMMEサーバのアドレス情報が書き込まれる。すると、UDRサーバ2aからHSSサーバ、MMEサーバ、および基地局を経て、ユーザ端末3aに、位置登録完了信号が到達する。これらの処理が完了すると、ユーザ端末3aは加入者プロファイルに基づいたデータ通信や音声などの通信が可能となる。
【0030】
なお、5G通信の契約についても4G(LTE)通信と同様に行われる。5G通信の場合には、位置登録要求信号は、5G通信規格に対応する基地局から、AMF(Access and Mobility Management Function)サーバ、UDM(Unified Data Management)サーバを経て、UDRサーバ2aに到達する。
【0031】
ここで、ホーム側のUDRサーバ2aにおいて、何らかの原因による障害が発生し、UDRサーバ2aにアクセスできない状態となった場合、通信事業者Aは、データ通信、音声通信、および緊急呼通信を含むサービスをユーザ端末3aのユーザに提供することができなくなる。このようなサービス断が発生すると、社会的にも多大な影響を及ぼすことになる。なお、UDRサーバ2aの障害や故障の発生により、一時的にUDRサーバ2aにアクセスできない状態を、異常が発生した状態という。
【0032】
そこで、本実施の形態では、P2PネットワークNWを通じて、通信事業者A、B、C間でユーザ端末3a、3b、3cの加入者プロファイルに含まれる情報を共有する。そして、ある通信事業者AのUDRサーバ2aで障害が発生し、一時的にシステム断となった場合、他の通信事業者B、Cがユーザ端末3aの加入者プロファイルを一時的にUDRサーバ2b、2cに登録し、通信事業者Aのユーザ端末3aのユーザに対して同等の通信サービスを提供することを可能とする。
【0033】
通信事業者A、B、C間での加入者プロファイルに含まれる情報の共有は、暗号学的ハッシュブロックの連鎖であるブロックチェーンにより実現する。ブロックチェーンは、例えば、非特許文献1に開示される仮想通貨の一つであるビットコイン等で用いられている公知の技術である。
【0034】
本実施の形態に係る通信制御システムでは、各参加ノードの通信制御装置1a、1b、1cがP2PネットワークNW全体の加入者プロファイルを含むトランザクションを共有および管理する。
【0035】
以下において、P2PネットワークNWでの加入者プロファイルの共有について具体的に説明する。まず、UDRサーバ2の障害が発生していない正常な状態を考える。この状況で、通信事業者A、B、Cが、ユーザ端末3a、3b、3cの加入者プロファイルをUDRサーバ2a、2b、2cにそれぞれ登録する。すると、UDRサーバ2a、2b、2cに登録された、ユーザ端末3a、3b、3cの加入者プロファイルを含む情報をトランザクションとしたブロックが生成される。さらに、生成されたブロックは公知の合意形成アルゴリズムにより検証されて、そのブロックが、過去に登録された加入者プロファイルを含むトランザクションを記憶しているブロックチェーンに連結して、通信制御装置1a、1b、1c間で共有される。
【0036】
ブロックチェーンの特徴としては、分散型データベースであること、書き込み専用であり改ざんが困難であること、さらに、非中央集権型であること等が挙げられる。ブロックチェーンは、参加ノードが同じデータを共有するため、ある参加ノード等に障害が発生してもネットワーク全体としては動き続けることができる。本実施の形態に係る通信制御システムでは、このようなブロックチェーンの特徴を利用して、より安全に、かつ、信頼性の高い加入者プロファイルの共有を実現する。
【0037】
このようなブロックチェーンに代表される分散型台帳技術では、分散型台帳あるいはブロックチェーンによってP2PネットワークNW上に保持された情報を公開し、誰でもアクセス可能とすることができる。一方、本実施の形態に係る通信制御システムでは、特定の通信事業者A、B、Cの通信制御装置1a、1b、1cのみに加入者プロファイルに係る情報のアクセスを可能とするパーミッション型のコンソーシアム・ブロックチェーンを扱うものとする。なお、参加ノードの数は、3つに限らない。
【0038】
[UDRサーバの機能ブロック]
図1に示すように、UDRサーバ2a、2b、2cは、登録部20、第1記憶部21、第2記憶部22、検出部23、および通知部24を備える。UDRサーバ2は、ネットワークLを介して通信制御装置1に接続されている。なお、以下の説明では、通信事業者Aが備えるUDRサーバ2aを例に挙げて説明する。
【0039】
登録部20は、ユーザ端末3aのユーザが、通信事業者Aと通信サービスの契約を行った場合などに、後述の通信制御装置1aが備える第1設定部10によるサービスオーダ(SO)の投入を受けて、ユーザ端末3aの加入者プロファイルを登録する。登録部20は、ユーザ端末3aの加入者プロファイルを、第1記憶部21に記憶することができる。
【0040】
第1記憶部21は、ユーザ端末3aの加入者プロファイルを記憶する。加入者プロファイルは、通信事業者Aと契約するユーザがユーザ端末3aでの通信サービスを利用可能とするために必要な情報(第1加入者識別情報)である。加入者プロファイルには、加入者識別番号(IMSI)、ユーザの電話番号(MSISDN)等が含まれ、契約プロファイルとしてMSISDNキーと移動管理プロファイルとしてIMSIキーが作成される。MSISDNをキーとした契約プロファイルテーブルには、契約サービスの詳細として、データ通信、音声、SMSや、サービスの種別を示す項目が含まれる。また、IMSIをキーとした移動管理プロファイルテーブルには、在圏情報としてMMEアドレスが書き込まれる。
【0041】
第2記憶部22は、他の通信事業者B、Cと契約するユーザのユーザ端末3b、3cの加入者プロファイル(第2加入者識別情報)を記憶する。これらの加入者プロファイルは、UDRサーバ2b、2cでの異常が発生してから復旧するまでの間、一時的に第2記憶部22に記憶される。
【0042】
検出部23は、UDRサーバ2aにおいて障害や故障が発生した場合に、異常の発生を検出する。
【0043】
通知部24は、検出部23がUDRサーバ2aにおける異常の発生を検出すると、異常発生通知を生成し、ネットワークLを介して通信制御装置1aに通知する。異常発生通知には、通信事業者Aの識別子が付加される。
【0044】
[通信制御装置の機能ブロック]
図1に示すように、通信制御装置1a、1b、1cは、例えば、第1設定部10、加入者情報記憶部11、トランザクション生成部12、ブロックチェーン管理部13、ブロックチェーン記憶部14、異常管理部15、抽出部16、第2設定部17、判定部18、および通信制御部19を備える。以下では、通信事業者Aが備える通信制御装置1aとして説明する。
【0045】
第1設定部10は、ユーザ端末3aのユーザが、通信事業者Aと通信サービスの契約を行うと、UDRサーバ2aに対してサービスオーダ(SO)を投入する。第1設定部10は、ユーザ端末3aの加入者プロファイルをUDRサーバ2aに登録させる。
【0046】
加入者情報記憶部11は、ユーザ端末3aの契約やユーザの個人情報などを含む加入者情報が記憶される。加入者情報には、契約の種別など加入者プロファイルには含まれない顧客管理に関する情報も含まれる。契約の種別とは、ユーザの契約が新規契約であるか契約変更であるか、ポートイン契約であるか、ポートアウト契約であるか、解約であるかの情報を含む。また、加入者情報は、加入者プロファイル(第1加入者識別情報)あるいはその一部の情報を含んでいてもよい。加入者情報記憶部11は、例えば、ユーザの識別情報に契約の種別などの情報を関連付けて記憶する。
【0047】
トランザクション生成部12は、生成部120および送信部121を備える。生成部120は、通信事業者Aと契約するユーザ端末3aへの通信サービスの提供に必要な加入者プロファイルに含まれる情報に基づいて、トランザクションを生成する。
【0048】
生成部120は、ユーザ端末3aの加入者プロファイルがUDRサーバ2aの第1記憶部21に記憶され、加入者情報記憶部11に、ユーザ端末3aのユーザの加入者情報が記憶されると、これらの情報の登録に応じてトランザクションを生成する。具体的には、生成部120は、通信事業者Aの事業者識別子、加入者プロファイルに含まれる加入者識別番号(IMSI)、ユーザの電話番号(MSISDN)、属性情報、およびサービスに関する情報に基づいてトランザクションを生成する。属性情報は、加入者識別番号(IMSI)およびユーザの電話番号(MSISDN)に関連付けられた情報であり、共通秘密鍵/共有鍵暗号、契約に関する情報、およびサービスに関する情報等が含まれる。
【0049】
生成部120は、加入者識別番号(IMSI)、ユーザの電話番号(MSISDN)、共通秘密鍵/共有鍵暗号、およびサービスに関する情報を、第1記憶部21から読み出すことができる。また、生成部120は、属性情報のうち契約に関する属性情報を加入者情報記憶部11から読み出す。生成部120は、第1記憶部21および加入者情報記憶部11から読み出したトランザクションの内容に係る情報をハッシュ関数により暗号化し、自装置の秘密鍵による電子署名を付し、さらに、自装置の秘密鍵に対応する公開鍵を付して、トランザクションを生成する。
【0050】
ここで、生成部120が生成するトランザクションの例として、図3の「通信事業者Aのトランザクション(TX)#1」を用いて説明する。図3に例示するように、生成部120が生成するトランザクションには、「事業者識別子」に関連付けられた「加入者識別番号(IMSI)」および「ユーザの電話番号(MSISDN)」が格納されている。
【0051】
また、「加入者識別番号(IMSI)」、ユーザの「電話番号(MSISDN)」の属性情報として、共通鍵/共有鍵暗号、およびユーザの契約が契約変更によるものであるか、新規契約であるのか、ポートイン契約であるのか、ポートアウト契約であるのか、あるいは解約しているのかを示す契約の種別(以下、「契約パターン」という。)が格納される。さらに、トランザクションには、属性情報と過去のトランザクションとの関連性を示す情報が格納される。
【0052】
属性情報と過去のトランザクションとの関連性とは、特に、契約に関する属性情報である契約の種別を示す「契約パターン」が、「新規契約」、「新規契約」、または「解約」であるかに応じて存在し得る、同一の電話番号(MSISDN)での加入者プロファイルのポートインまたはポートアウトの過去の登録の有無をいう。以下、このような、契約に関する属性情報と過去のトランザクションとの関連性を格納する領域を、「対象トランザクション」という。
【0053】
例えば、ユーザ端末3aの「契約パターン」が「新規契約」である場合、過去のトランザクションは存在しないため、「対象トランザクション」の領域には過去のトランザクションのポインタは格納されない。また、ユーザ端末3における属性情報の「契約パターン」が「解約」の場合にも、過去のトランザクションは存在し得るため、「契約変更」の場合と同様となる。
【0054】
ここで、対象トランザクションの有無の場合分けは以下の通りである:
(1)新規契約のトランザクション
対象トランザクション:なし
(2)契約変更のトランザクション
対象トランザクション:新規契約
(3)解約のトランザクション
対象トランザクション:新規契約or契約変更
(4)ポートイン契約のトランザクション
対象トランザクション:なし
(5)対象トランザクション:ポートアウト契約
対象トランザクション:なし
【0055】
「加入者識別番号(IMSI)」およびユーザの「電話番号(MSISDN)」に関連付けられた「サービス」の領域には、契約に応じた通信サービスの内容に係る属性情報として、「データ通信」「音声」「SMS」等の詳細が格納される。なお、「サービス」には、異常発生時において通信事業者間で予め提供することが定められている共通の基本サービスのみが規定されていてもよい。基本サービスとは、通信事業者が独自に提供する付加的なネットワークサービスを含まないものをいい、緊急呼の発信、一般呼の発信、SMSサービス、データ通信サービスなどの少なくとも一部を含む。
【0056】
また、トランザクションには、トランザクションを生成した通信制御装置1aの電子署名が格納される。さらには、例えば、トランザクションを生成した通信制御装置1aの公開鍵を格納することができる。
【0057】
このように、本実施の形態では、加入者プロファイルのUDRサーバ2における登録をトランザクションとして扱う。また、トランザクションには、属性情報として、共通鍵/共有鍵暗号、契約の種別である「契約パターン」、および契約の種別と過去のトランザクションとの関連性を示す情報として、「対象トランザクション」の有無が格納される。ポインタで指定された関連する過去のトランザクションによって、同一の加入者識別番号(IMSI)およびユーザの電話番号(MSISDN)ついてのトランザクションの内容の確認ができる。
【0058】
送信部121は、生成部120が生成したトランザクションを、P2PネットワークNWを介して、他の通信制御装置1b、1cに送信する。送信部121は、ブロードキャストにより他の通信制御装置1b、1cにトランザクションを送信する。
【0059】
ブロックチェーン管理部13は、取得部(第1取得部)130および管理部131を備える。取得部130は、P2PネットワークNWにブロードキャストされた他の通信制御装置1b、1cで生成されたトランザクションを取得する。
【0060】
管理部131は、取得部130が取得したトランザクションを含むブロックを生成し、生成したブロックの採択についてのP2PネットワークNWにおける合意形成を行う。管理部131は、合意形成したブロックをブロックチェーンに追加する。
【0061】
より詳細には、管理部131は、一定期間に取得部130が取得した通信制御装置1a、1b、1cでのトランザクションをまとめた1つのブロックを生成する。図3は、通信制御システムで管理および保持されるブロックチェーン4の構造を示すブロック図である。ブロックチェーン4は、複数のブロックを備え、過去のブロックN-1、現在のブロックN、および次に続くブロックN+1として表される。ブロックN-1のハッシュ値40aは次のブロックNに供給され、ブロックNのハッシュ値40bはさらに次のブロックN+1に供給される。
【0062】
例えば、ブロックNのハッシュ値40bは、前のブロックN-1のハッシュ値40a、ブロックNのトランザクション41bのハッシュ値、およびブロックNのナンスをハッシュ関数に入力することで求めることができる。
【0063】
図3に示すように、各ブロックには、ハッシュ値を格納する領域、およびトランザクションが格納されるブロックヘッダ領域が含まれる。ブロックヘッダ領域は、さらに、ブロックの識別子、ブロックの生成時刻、直前のブロックのハッシュ値、当該ブロックに格納されるトランザクションのハッシュ値、ナンス値、ブロックのサイズ等を格納する領域を有する。ブロックの識別子は、ブロックチェーンにブロックが追加されるたびに加算される一連の番号である。また、ブロックチェーンの最新のブロックのハッシュ値を参照することにより、ブロックチェーンが改ざんされているか否かを検証することができる。
【0064】
各ブロックのトランザクションを格納する領域には、通信制御装置1a、1b、1cの各々が備える生成部120によって、例えば、10分など一定の期間に生成された各通信事業者A、B、Cのトランザクションがまとめて格納される。例えば、図3に示すBlock#:N-1のトランザクション41aは、通信事業者Aのトランザクション(TX)#1、通信事業者Bのトランザクション(TX)#1、および通信事業者Cのトランザクション(TX)#1を格納する領域を有する。
【0065】
ここで、例えば、ビットコインなどに利用されるトランザクションの格納領域には、過去のトランザクションにおいてアウトプットされた送金等の情報が、現在のトランザクションにおける入金等のインプットとして示され、このような取引の履歴がひとつなぎになっている(非特許文献1参照)。
【0066】
これに対して、本実施の形態に係る各ブロックにおけるトランザクションの格納領域には、一定期間に各通信事業者A、B、CのUDRサーバ2に登録されたすべての加入者プロフィルに対応する加入者識別番号(IMSI)およびユーザの電話番号(MSISDN)が事業者識別子と関連付けて格納されている。さらに、加入者識別番号(IMSI)およびユーザの電話番号(MSISDN)の属性情報として、共通鍵/共有鍵暗号、契約の種別を示す「契約パターン」および「契約パターン」と過去のトランザクションとの関連性を示す「対象トランザクション」が格納されている。
【0067】
管理部131は、ブロックを生成する際に、直前のブロックのハッシュ値と、一定期間に生じたトランザクションとを合わせてハッシュ化し、出力されたハッシュ値とナンス値とが予め定められた条件に合う値となるまで計算する。なお、実際には、予め定められた条件に合うナンス値を最も早く見つけた参加ノードが新しいブロックを生成することになる。
【0068】
管理部131は、さらに、生成したブロックの採択についてP2PネットワークNWの全ての参加ノードである通信制御装置1a、1b、1c間で合意形成を行う。管理部131は、例えば、公知のPoW(Proof of Work)(非特許文献1参照)やPoS(Proof of Stake)により合意形成を行うことができる。
【0069】
ブロックチェーン記憶部14は、合意形成がなされたブロックを、ブロックチェーンに追加して記憶する。ブロックチェーン記憶部14には、通信制御システムに含まれるすべての通信制御装置1a、1b、1cで同じデータが記憶され、ブロックが生成され合意形成されるたびに新たなブロックが追加される。
【0070】
異常管理部15は、取得部(第2取得部)150および送信部151を備える。取得部150は、通信制御システム内の他の通信事業者B、Cが備えるUDRサーバ2b、2cのいずれかで障害が発生したことを示す異常発生通知を取得する。また、取得部150は、自装置に接続するUDRサーバ2aで障害が発生したことを示す異常発生通知を、UDRサーバ2aの通知部24から取得する。さらに、取得部150は、障害が発生していたUDRサーバ2b、2cが復旧したことを示す復旧通知を他の通信制御装置1b、1cから取得する。また、取得部150は、UDRサーバ2aが復旧した場合においても、復旧通知を通知部24から取得する。
【0071】
送信部151は、自装置に接続するUDRサーバ2aの通知部24から異常発生通知を取得すると、他の通信制御装置1b、1cに異常発生通知を送信する。送信部151は、P2PネットワークNWに異常発生通知をブロードキャストすることができる。異常発生通知には、通信事業者Aの事業者識別子が関連付けられている。また、送信部151は、自装置に接続するUDRサーバ2aが復旧したことを示す復旧通知を他の通信制御装置1b、1cに送信する。復旧通知にも同様に、事業者識別子が関連付けられている。
【0072】
抽出部16は、取得部150が取得した異常発生通知に応じて、ブロックチェーン記憶部14に記憶されているブロックチェーンから、異常発生通知に関連付けられている通信事業者のトランザクションを抽出する。具体的には、抽出部16は、異常発生通知に係る事業者識別子をキーとして、ブロックチェーンから該当するトランザクションをすべて抽出する。また、抽出部16は、異常発生通知に係る他の通信事業者BまたはCのトランザクションから、加入者識別番号(IMSI)、ユーザの電話番号(MSISDN)、共通秘密鍵/共有鍵暗号、およびサービスに関する情報(図3の「サービス」)のみを抽出してもよい。抽出される識別情報は、ユーザ端末3bまたは3cに関するものである。
【0073】
第2設定部17は、抽出部16が抽出した、ユーザ端末3bまたは3cの加入者識別番号(IMSI)およびユーザの電話番号(MSISDN)に基づいて加入者プロファイルを作成し、自装置に接続するUDRサーバ2aに登録する。具体的には、第2設定部17は、UDRサーバ2aの登録部20に対し、第2記憶部22に、ユーザ端末3bまたは3cの加入者プロファイルを一時的に記憶させる。
【0074】
また、第2設定部17は、異常管理部15で復旧通知を取得した場合には、第2記憶部22に記憶されているユーザ端末3bまたは3cの加入者プロファイルを削除する指示を、UDRサーバ2aに送出する。削除指示に応じて、UDRサーバ2aは、第2記憶部22に記憶されている、他の通信事業者BまたはCのユーザ端末3b、3cの加入者プロファイルを削除する。
【0075】
判定部18は、ブロックチェーン記憶部14に記憶されているブロックチェーンにおいて、抽出部16が抽出したトランザクションに含まれる加入者識別番号(IMSI)およびユーザの電話番号(MSISDN)のいずれかに基づいて、属性情報の不整合の有無を判定する。
【0076】
より詳細は、判定部18は、属性情報の「契約パターン」が、「契約変更」、または「解約」である加入者識別番号(IMSI)またはユーザの電話番号(MSISDN)が存在するにもかかわらず、同じ加入者識別番号(IMSI)またはユーザの電話番号(MSISDN)の「契約パターン」が「新規契約」である別のトランザクションが存在しない場合、これらのトランザクションの少なくともいずれかは改ざんされていると判定する。
【0077】
また、判定部18は、ブロックチェーンにおいて、抽出部16が抽出したトランザクションに含まれる属性情報に基づいて、加入者識別番号(IMSI)およびユーザの電話番号(MSISDN)のいずれかの重複の有無を判定する。
【0078】
より詳細には、判定部18は、ブロックチェーンの同一のブロック、または異なるブロックに、属性情報の「契約パターン」が「新規契約」、「契約変更」、または「解約」であるが、加入者識別番号(IMSI)またはユーザの電話番号(MSISDN)が、対象トランザクションがないにもかかわらず、2つ以上のトランザクションで重複していた場合、該当する加入者識別番号(IMSI)またはユーザの電話番号(MSISDN)のトランザクションが改ざんされていると判定する。ただし、ポートイン及びポートアウト契約の場合、対象トランザクションがないので、MSISDNが重複していても改ざんされていないと判断する。
【0079】
判定部18が改ざんされていると判定したトランザクションに係る加入者識別番号(IMSI)またはユーザの電話番号(MSISDN)に係る加入者プロファイルは、UDRサーバ2aにおいての登録を留保する。例えば、ブロックチェーン管理部13は、さらに、改ざんの可能性がある複数のトランザクションのうちいずれが改ざんされているのかを、さらに検証してもよい。
【0080】
例えば、ブロックチェーン管理部13は、改ざんの可能性があると判定されたトランザクションに含まれている電子署名が正しいかをさらに検証することができる。トランザクションに含まれる電子署名は、トランザクションの識別子を秘密鍵で暗号化したものである。ブロックチェーン管理部13は、トランザクションの識別子を算出して、電子署名を作成する際に用いられた秘密鍵に対応する公開鍵で復号し、算出されたトランザクションの識別子と、復号結果とが一致しているかを確認すればよい。
【0081】
なお、判定部18は、抽出部16が抽出した異常発生通知に係る事業者識別子のトランザクションについてのみ判定を行う場合だけでなく、全てのトランザクションについても判定処理を行ってもよい。
【0082】
通信制御部19は、異常発生通知に係る通信事業者(例えば、通信事業者Bとする)と契約するユーザのユーザ端末3bから位置登録要求信号を取得すると、UDRサーバ2aの第2記憶部22に記憶されているユーザ端末3bの加入者プロファイルに基づいて、通信事業者Bのネットワーク(第1ネットワーク)とは異なる通信事業者A(第2通信事業者)のネットワーク(第2ネットワーク)への接続先を特定する。
【0083】
[通信制御装置のハードウェア構成]
次に、上述した機能を有する通信制御装置1を実現するハードウェア構成の一例について、図2を用いて説明する。
【0084】
図2に示すように、通信制御装置1は、例えば、バス101を介して接続されるプロセッサ102、主記憶装置103、通信インターフェース104、補助記憶装置105、入出力I/O106を備えるコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。
【0085】
主記憶装置103には、プロセッサ102が各種制御や演算を行うためのプログラムが予め格納されている。プロセッサ102と主記憶装置103とによって、図1に示したトランザクション生成部12、ブロックチェーン管理部13、異常管理部15、抽出部16、判定部18、通信制御部19など通信制御装置1の各機能が実現される。
【0086】
通信インターフェース104は、通信制御装置1と各種外部電子機器との間をネットワーク接続するためのインターフェース回路である。通信インターフェース104によって図1で示した取得部130、150、送信部121、151が実現される。
【0087】
補助記憶装置105は、読み書き可能な記憶媒体と、その記憶媒体に対してプログラムやデータなどの各種情報を読み書きするための駆動装置とで構成されている。補助記憶装置105には、記憶媒体としてハードディスクやフラッシュメモリなどの半導体メモリを使用することができる。
【0088】
補助記憶装置105は、通信制御装置1が実行する通信制御プログラムを格納するプログラム格納領域を有する。また、補助記憶装置105は、ブロックチェーンの管理を行うための合意形成プロフラム、およびトランザクション生成ブログラムを格納する領域を有する。補助記憶装置105によって、図1で説明した加入者情報記憶部11、およびブロックチェーン記憶部14が実現される。さらには、例えば、上述したデータやプログラムなどをバックアップするためのバックアップ領域などを有していてもよい。
【0089】
入出力I/O106は、外部機器からの信号を入力したり、外部機器へ信号を出力したりする入出力装置である。
【0090】
[UDRサーバのハードウェア構成]
UDRサーバ2についても、通信制御装置1と同様に、バスを介して接続されるプロセッサ、主記憶装置、通信インターフェース、補助記憶装置、入出力I/Oを備えるコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。
【0091】
[通信制御システムの動作シーケンス]
次に、上述した構成を有する通信制御装置1を備える通信制御システムの動作を、図4および図5のシーケンス図を参照して説明する。図4は、通信制御システムにおけるトランザクションおよびブロックの生成までの処理を示すシーケンス図である。図5は、通信制御システムにおいてUDRサーバ2の障害が発生した場合の、通信制御処理を示すシーケンス図である。
【0092】
まず、ユーザ端末3a、3b、3cのユーザが、それぞれ通信事業者A、B、Cと通信サービスの契約を行う。すると、図4に示すように、通信事業者A、B、Cの通信制御装置1a、1b、1cの各々の第1設定部10は、ユーザ端末3a、3b、3cの加入者プロファイルを作成しUDRサーバ2a、2b、2cに登録させる(ステップS1)。次に、UDRサーバ2a、2b、2cの登録部20は、第1記憶部21にユーザ端末3a、3b、3cの加入者プロファイルを記憶する(ステップS2)。
【0093】
その後、UDRサーバ2a、2b、2cは、通信制御装置1a、1b、1cに加入者プロファイルの登録が完了したことを通知する(ステップS3)。通信制御装置1a、1b、1cの生成部120は、登録されたユーザ端末3a、3b、3cの加入者プロファイルに含まれる加入者識別番号(IMSI)、ユーザの電話番号(MSISDN)、属性情報、およびサービスに関する情報に基づいてトランザクションを生成する(ステップS4)。このように、それぞれの通信事業者A、B、Cは、自己と契約するユーザのサービスオーダ(SO)を投入し、UDRサーバ2a、2b、2cに各ユーザの加入者プロファイルを作成する。
【0094】
続いて、通信制御装置1a、1b、1cの送信部121は、ステップS4で生成されたトランザクションをP2PネットワークNWにブロードキャストする(ステップS5)。次に、通信制御装置1a、1b、1cの取得部130は、ブロードキャストされたトランザクションを取得する。さらに、管理部131は、取得したトランザクションを含むブロックを生成する。管理部131は、例えば、一定期間の間に取得したトランザクションを集めた1つのブロックを生成する。そして、管理部131は、生成されたブロックの採択についてP2PネットワークNWにおける合意形成を行い、合意形成されたブロックを、ブロックチェーンに追加する(ステップS6)。ブロックチェーンは、ブロックチェーン記憶部14に記憶される。
【0095】
以上の処理によって、P2PネットワークNWにおいて通信事業者A、B、C間で加入者プロファイルの情報が共有される。
【0096】
ここで、図5を参照し、通信事業者AのUDRサーバ2aに障害が発生した場合の通信制御処理を説明する。まず、通信事業者AのUDRサーバ2aの検出部23は、異常の発生を検出し、通知部24が通信制御装置1aに異常発生通知を送信する(ステップS10)。通信制御装置1aの取得部150は、異常発生通知を取得する。そして、送信部151は、異常発生通知を通信制御装置1b、1cに送信する(ステップS11)。
【0097】
続いて、通信制御装置1b、1cの取得部150は、通信制御装置1aからの異常発生通知を取得する。その後、通信制御装置1b、1cの抽出部16は、異常発生通知に付されている通信事業者Aの事業者識別子をキーとして、ブロックチェーンから通信事業者Aに関連付けられているトランザクションを抽出する(ステップS17)。
【0098】
次に、通信制御装置1b、1cの判定部18は、ブロックチェーン記憶部14に記憶されているブロックチェーンにおいて、通信事業者Aに関連付けられているトランザクションに含まれる加入者識別番号(IMSI)および電話番号(MSISDN)のいずれかに基づいて、属性情報の不整合の有無を判定する(ステップS12)。また、判定部18は、通信事業者Aに関連付けられているトランザクションに含まれる加入者識別番号(IMSI)および電話番号(MSISDN)の属性情報に基づいて、加入者識別番号(IMSI)および電話番号(MSISDN)のいずれかが、対象トランザクションがないにもかかわらず、同一または異なるブロックのトランザクションで重複するか否かを判定する(ステップS13)。
【0099】
ステップS12において、属性情報の不整合が存在する、または、加入者識別番号(IMSI)および電話番号(MSISDN)のいずれかが重複すると判定された場合、判定に係るトランザクションの加入者識別番号(IMSI)および電話番号(MSISDN)に基づく加入者プロファイルは、次のステップS14において用いられない。情報の改ざんが存在するため、どちらのトランザクションに係る情報が改ざんされているのかをさらに検証することができる。例えば、ブロックチェーン管理部13は、改ざんの可能性があると判定された各トランザクションに含まれている電子署名が正しいかを検証することで各トランザクションが改ざんされているか否かをさらに検証することができる。
【0100】
一方、ステップS12において、属性情報の不整合が存在せず、かつ、加入者識別番号(IMSI)および電話番号(MSISDN)のいずれも重複していないと判定した場合、通信制御装置1b、1cの第2設定部17は、抽出されたトランザクションに含まれる加入者識別番号(IMSI)および電話番号(MSISDN)に基づいてUDRサーバ2b、2cに加入者プロファイルを登録させる(ステップS14)。その後、通信事業者B、CのUDRサーバ2b、2cの登録部20は、第2記憶部22に加入者プロファイルを記憶する(ステップS15)。
【0101】
その後、通信制御装置1b、1cの通信制御部19は、異常発生通知に係る通信事業者Aと契約するユーザのユーザ端末3aから位置登録要求信号を取得すると、UDRサーバ2b、2cの第2記憶部22に記憶されているユーザ端末3aの加入者プロファイルに基づいて、通信事業者Aのネットワークとは異なる通信事業者B、Cのネットワークへの接続先を特定する(ステップS16)。
【0102】
具体的には、UDRサーバ2b、2cにおいて、ユーザ端末3aの加入者プロファイルの在圏情報にMMEサーバのアドレス情報が書き込まれる。その後、UDRサーバ2b、2cからHSSサーバ、MMEサーバ、および基地局を経て、ユーザ端末3aに、位置登録完了信号が到達する。
【0103】
このように、通信事業者間の連携により、ユーザが契約しているホーム側の通信事業者Aのサービスが利用できないときでも、ユーザ端末3aが、提携先の他の通信事業者B、Cのカバレッジエリア内にあれば、ホーム側の通信事業者Aの提供するサービスを継続して利用することができる。
【0104】
その後、通信事業者AのUDRサーバ2aが復旧すると、通知部24は、復旧通知を通信制御装置1aに送信する(ステップS17)。通信制御装置1aの送信部151は、通信事業者B、Cの通信制御装置1b、1cに復旧通知を送信する(ステップS18)。その後、通信事業者B、Cの通信制御装置1b、1cの第2設定部17は、UDRサーバ2b、2cに対して、代理通信を行っていた通信事業者Aに係る加入者プロファイルを第2記憶部22から削除する指示を送出する(ステップS19)。
【0105】
続いてUDRサーバ2b、2cは、第2記憶部22から削除指示に係る加入者プロファイルを削除する(ステップS20)。
【0106】
以上説明したように、本実施の形態に係る通信制御装置1によれば、P2PネットワークNWを構成する複数の通信事業者間で加入者プロファイルを共有することができるため、障害発生時などの非常時において、複数の通信事業者が連携して携帯通信サービスを提供することができる。
【0107】
また、本実施の形態に係る通信制御装置1によれば、ブロックチェーンに格納されるトランザクションに、加入者識別番号(IMSI)および電話番号(MSISDN)の属性情報、ならびに属性情報と過去のトランザクションとの関連性を示す情報が格納されている。そのため、ブロックチェーンに格納されている加入者識別番号(IMSI)および電話番号(MSISDN)と属性情報との整合性の有無によりトランザクションの改ざんを判定することができる。その結果として、より信頼性の高い加入者プロファイルの共有が実現される。
【0108】
なお、説明した実施の形態では、通信サービスの切り替え先の通信事業者が2つである場合を例示したが、切り替え先の通信事業者は1つであってもよい。
【0109】
また、説明した実施の形態では、P2PネットワークNWを構成する通信制御装置1a、1b、1cのうちのどのノードがブロックを生成するかについては、ナンス値を用いて決める場合を例示した。しかし、ブロックの生成および合意形成の処理については、他の仕組みを採用してもよい。例えば、時刻情報により一定の条件を満たした通信制御装置1a、1b、1cがブロックを生成することもできる。あるいは、予め設定されたリーダの参加ノードとしていずれかの通信制御装置1a、1b、1cを指定し、あるいは別のマイニング装置を用いてブロックを生成してもよい。
【0110】
以上、本発明の通信制御装置および通信制御方法における実施の形態について説明したが、本発明は説明した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した発明の範囲において当業者が想定し得る各種の変形を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0111】
1、1a、1b、1c…通信制御装置、2、2a、2b、2c…UDRサーバ、3、3a、3b、3c…ユーザ端末、30…SIM、4…ブロックチェーン、10…第1設定部、11…加入者情報記憶部、12…トランザクション生成部、120…生成部、121、151…送信部、13…ブロックチェーン管理部、130、150…取得部、131…管理部、14…ブロックチェーン記憶部、16…抽出部、17…第2設定部、18…判定部、19…通信制御部、20…登録部、21…第1記憶部、22…第2記憶部、23…検出部、24…通知部、40a、40b、40c…ハッシュ値、41a、41b、41c…トランザクション、101…バス、102…プロセッサ、103…主記憶装置、104…通信インターフェース、105…補助記憶装置、106…入出力I/O、NW…P2Pネットワーク、L…ネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信制御装置が接続されたピアツーピアネットワークにおける各々の通信制御装置であって、
第1通信事業者の統合データレポジトリを備える第1サーバに登録されている、第1ユーザ端末の第1加入者識別情報に基づいて生成された第1トランザクションを、前記ピアツーピアネットワークを介して取得する第1取得部と、
前記第1トランザクションを含むブロックを生成し、前記ブロックの採択についての前記ピアツーピアネットワークにおける合意形成を行い、合意形成した前記ブロックをブロックチェーンに追加するブロックチェーン管理部と、
前記第1サーバにおける障害の発生を示す異常発生通知を取得する第2取得部と、
前記異常発生通知に応じて、前記ブロックチェーンから前記第1加入者識別情報を抽出する抽出部と、
抽出された前記第1加入者識別情報を、自装置に接続する第2通信事業者の統合データレポジトリを備える第2サーバに登録させる設定部と、
前記第1ユーザ端末から位置登録要求信号を取得すると、前記第2サーバに登録された前記第1加入者識別情報に基づいて、前記第1通信事業者の第1ネットワークとは異なる前記第2通信事業者の第2ネットワークへの接続先を特定する通信制御部と
を備える通信制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信制御装置において、
前記第1加入者識別情報は、前記第1ユーザ端末の電話番号と、加入者識別番号と、前記第1通信事業者が提供可能なサービスの種別との項目を含む
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信制御装置において、
前記第1トランザクションは、前記第1通信事業者の識別子に関連付けられた前記第1加入者識別情報を含む
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信制御装置において、
前記第1トランザクションは、さらに、前記第1加入者識別情報に関連付けられた前記第1ユーザ端末の契約に関する属性情報および前記属性情報と過去のトランザクションとの関連性を示す情報を含む
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の通信制御装置において、
さらに、前記ブロックチェーンにおいて、前記第1加入者識別情報に含まれる前記第1ユーザ端末の電話番号および前記加入者識別番号のいずれかに基づいて、前記第1ユーザ端末の契約に関する前記属性情報の不整合の有無を判定する判定部を備え、
前記設定部は、前記判定部が、前記属性情報の不整合があると判定した場合、前記第1加入者識別情報の前記第2サーバへの登録を留保させる
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の通信制御装置において、
前記判定部は、前記ブロックチェーンにおいて、前記第1ユーザ端末の契約に関する前記属性情報に基づいて、前記第1ユーザ端末の電話番号および前記加入者識別番号のいずれかの重複の有無を判定し、
前記設定部は、前記判定部が、前記第1ユーザ端末の電話番号および前記加入者識別番号のいずれかの重複があると判定した場合、前記第1加入者識別情報の前記第2サーバへの登録を留保させる
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の通信制御装置において、
さらに、前記第2サーバに登録されている、第2ユーザ端末の第2加入者識別情報に基づいて、第2トランザクションを生成する生成部と、
前記第2トランザクションを、前記ピアツーピアネットワークを介して、他の通信制御装置に送信する送信部と、
前記第2サーバにおける障害の発生を検出し、異常発生通知を前記他の通信制御装置に送信する異常管理部と
を備える通信制御装置。
【請求項8】
複数の通信制御装置が接続されたピアツーピアネットワークにおける各々の通信制御装置による通信制御方法であって、
第1通信事業者の統合データレポジトリを備える第1サーバに登録されている、第1ユーザ端末の第1加入者識別情報に基づいて生成された第1トランザクションを、前記ピアツーピアネットワークを介して取得する第1ステップと、
前記第1トランザクションを含むブロックを生成し、前記ブロックの採択についての前記ピアツーピアネットワークにおける合意形成を行い、合意形成した前記ブロックをブロックチェーンに追加する第2ステップと、
前記第1サーバにおける障害の発生を示す異常発生通知を取得する第3ステップと、
前記異常発生通知に応じて、前記ブロックチェーンから前記第1加入者識別情報を抽出する第4ステップと、
抽出された前記第1加入者識別情報を、自装置に接続する第2通信事業者の統合データレポジトリを備える第2サーバに登録させる第5ステップと、
前記第1ユーザ端末から位置登録要求信号を取得すると、前記第2サーバに登録された前記第1加入者識別情報に基づいて、前記第1通信事業者の第1ネットワークとは異なる前記第2通信事業者の第2ネットワークへの接続先を特定する第6ステップと
を備える通信制御方法。