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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076493
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】製砂設備及び製砂方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 21/00 20060101AFI20240530BHJP
   B02C 17/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B02C21/00 B
B02C17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188047
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】503245465
【氏名又は名称】株式会社アーステクニカ
(71)【出願人】
【識別番号】522461446
【氏名又は名称】京阪砕石株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】倉岡 昭二郎
(72)【発明者】
【氏名】師岡 将義
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 淳
【テーマコード(参考)】
4D063
4D067
【Fターム(参考)】
4D063FF35
4D063GA07
4D063GC05
4D063GC08
4D063GC17
4D063GD04
4D063GD27
4D067DD02
4D067DD08
4D067DD11
4D067DD12
4D067DD13
4D067DD14
4D067GA02
4D067GA03
4D067GB05
(57)【要約】
【課題】湿式砕砂を野積みすることなく水切りすることで、広大なスペースおよび重機による積込み出荷を不要とした湿式砕砂の製砂設備を提供する湿式砕砂の製砂設備を提供する。
【解決手段】製砂機と、コンベアと、ホッパ30と、排水構造と、を備える。製砂機には水と原料が投入され、製砂機は原料を粉砕して湿式砕砂を生成する。コンベアは、製砂機が生成した湿式砕砂を搬送する。ホッパ30は、コンベアが搬送した湿式砕砂を一時的に貯留して水切りして、製品砂として排出する。排水構造は、ホッパ30に貯留されている湿式砕砂から生じた水を排出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と原料が投入され、前記原料を粉砕して湿式砕砂を生成する製砂機と、
前記製砂機が生成した前記湿式砕砂を搬送するコンベアと、
前記コンベアが搬送した前記湿式砕砂を一時的に貯留して水切りして、製品砂として排出するホッパと、
前記ホッパに貯留されている前記湿式砕砂から生じた水を排出する排水構造と、
を備える、製砂設備。
【請求項2】
請求項1に記載の製砂設備であって、
前記ホッパを複数備える、製砂設備。
【請求項3】
請求項1に記載の製砂設備であって、
前記ホッパは、前記湿式砕砂を貯留する貯留部と、前記貯留部が貯留した前記湿式砕砂を排出する排出部と、を有し、
前記貯留部の高さ方向の中央よりも下方である貯留下部、又は、前記排出部に前記排水構造が設けられる、製砂設備。
【請求項4】
請求項1に記載の製砂設備であって、
前記排水構造は、水を透過させるとともに前記湿式砕砂を透過させない透水体を含み、
前記排水構造は、前記透水体を透過した水を排水する、製砂設備。
【請求項5】
請求項4に記載の製砂設備であって、
前記透水体は、前記製品砂を排出する排出経路に配置されており、
前記透水体は、前記排出経路を閉鎖する閉鎖位置と、前記排出経路を開放する開放位置と、の間で位置を切替可能である、製砂設備。
【請求項6】
請求項1に記載の製砂設備であって、
前記ホッパは、前記湿式砕砂を貯留する貯留部と、前記貯留部が貯留した前記湿式砕砂を排出する排出部と、を有し、
高さ方向で見たときの前記貯留部の下端の開口の流路面積が、前記排出部の上端の開口の流路面積以下である、製砂設備。
【請求項7】
請求項1に記載の製砂設備であって、
前記排水構造としての、第1排水構造と、第2排水構造と、第3排水構造と、を備え、
前記ホッパは、前記湿式砕砂を貯留する貯留部と、前記貯留部が貯留した前記湿式砕砂を排出する排出部と、を有し、
前記第1排水構造は、前記貯留部に設けられ、当該貯留部に貯留されている前記湿式砕砂から生じた水を排出し、
前記第2排水構造は、前記排出部のうち、前記湿式砕砂が通過する領域の外側に設けられ、
前記第3排水構造は、前記製品砂を排出する排出経路に設けられている、製砂設備。
【請求項8】
水分を含む原料を粉砕して湿式砕砂を生成し、
生成した前記湿式砕砂をホッパまでコンベアを用いて搬送し、
前記ホッパで前記湿式砕砂を一時的に貯留して水切りし、前記ホッパに貯留されている湿式砕砂から生じた水を排水構造により排出した後に、生成された製品砂を排出する、製砂方法。
【請求項9】
請求項8に記載の製砂方法であって、
前記ホッパとして、少なくとも第1ホッパと第2ホッパが設けられ、
前記第1ホッパに湿式砕砂を搬送する間において、第2ホッパに貯留された湿式砕砂を水切りする、製砂方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、主として、湿式砕砂を生成した後に水切りして製品砂を製造する製砂設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、製砂機及び分級機を用いることにより、湿式砕砂を製造する設備が従来から知られている。製造された湿式砕砂には大量の水分が含まれているため、コンベアにより搬送された湿式砕砂を敷地に野積みすることにより、湿式砕砂が水切りされる。その後、水切りされた湿式砕砂は製品砂として出荷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-102610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、湿式砕砂を野積みする場合は広大なスペースが必要となる。更に、出荷の際には重機を用いて湿式砕砂をトラック等へ積み込む必要があるため、重機の手配、運用のコスト、及び運転者のコスト等が掛かる。
【0005】
本出願は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、湿式砕砂を野積みすることなく水切りすることで、広大なスペースおよび重機による積込み出荷を不要とした湿式砕砂の製砂設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本出願の第1の観点によれば、以下の構成の製砂設備が提供される。即ち、製砂設備は、製砂機と、コンベアと、ホッパと、排水構造と、を備える。前記製砂機には水と原料が投入され、前記製砂機は前記原料を粉砕して湿式砕砂を生成する。前記コンベアは、前記製砂機が生成した前記湿式砕砂を搬送する。前記ホッパは、前記コンベアが搬送した前記湿式砕砂を一時的に貯留して水切りして、製品砂として排出する。前記排水構造は、前記ホッパに貯留されている前記湿式砕砂から生じた水を排出する。
【0008】
本出願の第2の観点によれば、以下の製砂方法が提供される。即ち、水分を含む原料を粉砕して湿式砕砂を生成する。生成した前記湿式砕砂を、ホッパまでコンベアを用いて搬送する。前記ホッパで前記湿式砕砂を一時的に貯留して水切りし、前記ホッパに貯留されている湿式砕砂から生じた水を排水構造により排出した後に、生成された製品砂を排出する。
【発明の効果】
【0009】
本出願によれば、湿式砕砂を野積みすることなく水切りすることで、広大なスペースおよび重機による積込み出荷を不要とした湿式砕砂の製砂設備を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】製砂設備の構成を示す概要図。
図2】ホッパ及び排水構造を示す側面図。
図3】第3排水構造の側面図。
図4】第3排水構造の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して本出願の実施形態を説明する。
【0012】
図1に示す製砂設備1は、路盤材等の砕石を原料として製品としての砂を製造する設備である。以下では、製品としての砂を製品砂と称する。
【0013】
製砂設備1は、投入容器11を備える。投入容器11には、原料が投入される。投入容器11は、所定量ずつ原料を排出する。投入容器11が排出した原料は、コンベア20によって搬送される。コンベア20は、例えば、ベルトコンベア、振動コンベア、又は、ローラコンベアである。
【0014】
コンベア20によって搬送された原料は、第1振動篩12及び第2振動篩14によって粒径に応じて分類される。第1振動篩12には、原料と水が供給される。第1振動篩12は、原料を小径の原料と大径の原料に分類する。第1振動篩12によって分類された大径の原料は、粗骨材原料として、コンベア20を介して貯留場13に貯留される。第1振動篩12によって分類された小径の原料は、第2振動篩14によって更に分類される。第2振動篩14は、原料を極小径の石状の原料と砂状の原料とに分類する。
【0015】
石状の原料は、コンベア20を介して中間容器15に一時的に貯留される。中間容器15は、石状の原料を所定量ずつ排出する。中間容器15が排出した石状の原料はコンベア20を介して製砂機16に供給される。
【0016】
製砂機16には、石状の原料と水が供給される。本実施形態の製砂機16は、ボールミルである。ボールミルとは、内部に所定量のボールが投入されており、攪拌することにより原料とボールを衝突させて原料を粉砕する装置である。なお、製砂機16はボールミルに限られず、例えばハンマ等により原料を粉砕する装置であってもよい。
【0017】
また、製砂機16はトロンメル等の分級装置を含む。製砂機16は、粉砕後の原料を分級装置を用いて、砂状の原料と石状の原料とに分類する。砂状の原料は分級機17に搬送され、石状の原料は再び中間容器15に搬送されて、再び製砂機16によって粉砕される。
【0018】
分級機17には、第2振動篩14によって分類された砂状の原料と、製砂機16によって分類された砂状の原料と、が供給される。分級機17には、更に水が供給される。分級機17は、砂用の分級機であり、例えばハイメッシュセパレータである。分級機17は、ハイメッシュセパレータに限られず、スクリュークラシファイア等の他の分級機であってもよい。原料のうち規格サイズよりも小径のものは、水とともに濁水として処理される。原料のうち規格サイズを満たすものはコンベア20によりホッパ30に搬送される。ホッパ30に搬送される原料は、分級機17等を経由することにより水分を含むため、以下では湿式砕砂と称する。
【0019】
製砂設備1は、複数のホッパ30、詳細には3つのホッパ30を備える。ホッパ30に湿式砕砂を搬送するコンベア20は、例えば、プーリの回転向きを変更したり、プーリの駆動の有無を変更することにより、湿式砕砂の搬送先を切り替えることができる。従って、分級機17から排出された湿式砕砂は選択された1つのホッパ30のみに供給される。
【0020】
ホッパ30は、貯留部31と、排出部32と、を備える。貯留部31は供給された湿式砕砂を一時的に貯留する。ホッパ30が湿式砕砂を貯留することにより、湿式砕砂が水切りされる。水切りとは、湿式砕砂に含まれる水を分離して排出することで湿式砕砂の含水量を低下させることである。排出部32は、貯留部31に貯留されて水切りされた湿式砕砂を製品砂として所定量ずつ排出する。製品砂はコンベア20により出荷待機場等へ搬送される。なお、ホッパ30の詳細な構造は後述する。
【0021】
上述したように、分級機17から排出された湿式砕砂は選択された1つのホッパ30のみに供給される。そして、ホッパ30が湿式砕砂で満たされた場合又は所定時間が経過した後に、湿式砕砂の供給先のホッパ30が切り替えられる。供給先のホッパ30の切替えは、製砂設備1のオペレータが手動で行ってもよいし、ホッパ30に設けた容量センサ又はタイマに基づいてコンベア20の制御装置が自動で行ってもよい。
【0022】
例えば、3つのホッパ30をそれぞれ、第1ホッパ、第2ホッパ、第3ホッパと称した場合、第1ホッパを湿式砕砂で満たした後に、第2ホッパ及び第3ホッパに湿式砕砂を供給している間において、第1ホッパの湿式砕砂を水切りできる。言い換えれば、湿式砕砂の水切りと湿式砕砂の供給を並行して行うことができる。これにより、湿式砕砂の水切りを効率的に行うことができる。なお、ホッパ30の数は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。また、ホッパ30を複数のグループに区分し、第1のグループのホッパ30に湿式砕砂を供給している間に、第2のグループのホッパ30に貯留されている湿式砕砂を水切りしてもよい。
【0023】
本実施形態では、湿式砕砂の貯留と湿式砕砂の水切りを並行して行うことができるため、効率的に砕石を処理できる。更に、湿式砕砂を野積みする場合は出荷の際に重機を必要とするが、ホッパ30に湿式砕砂を貯留し出荷する場合は排出部32からコンベア20を使用すれば良いため、重機に関するコストを低減できる。また、湿式砕砂を野積みする場合、湿式砕砂が水平方向に広がるため広いスペースが必要となる。それに対してホッパ30を用いる場合は高さを活かすことができるので、野積みと比較して水平方向の必要面積を抑えることができる。
【0024】
次に、図2を参照して、ホッパ30の構成及び排水構造について説明する。
【0025】
ホッパ30の貯留部31は、高さ方向の上側が大径であり下側に近づくにつれて径が小さくなる形状、または、高さ方向によらず同径の容器である。高さ方向は、言い換えれば上下方向又は鉛直方向である。図2に示すように、貯留部31のうち、高さ方向の中央を境界として上側を貯留上部31aと定義し、上側を貯留下部31bと定義する。貯留下部31bの下端(底面)は開口しており、この開口を介して、貯留部31から排出部32へ湿式砕砂が供給される。
【0026】
排出部32は、貯留部31から供給された湿式砕砂を所定量ずつ排出する。排出部32は、例えば円筒形状のフィーダ又は振動フィーダであり、各々の排出機構(回転する羽根あるいは振動等)により、製品砂を排出する。排出部32により排出された製品砂は、排出経路61を介して、コンベア20に排出される。排出経路61は、パイプ又はホース等により構成される筒状の搬送路である。
【0027】
湿式砕砂はスムーズに流れにくいため、堆積や詰まりが発生し易い。そのため、貯留部31から排出部32に流れる経路において段差があることは好ましくない。この点、本実施形態では、貯留部31の下端(底面)の開口の流路面積は、排出部32の上端の開口の流路面積以下であるため、段差が生じない。なお、ホッパ30は上下に湿式砕砂が流れるため、流路面積とは、高さ方向で見たときの面積である。
【0028】
製砂設備1は、ホッパ30に貯留された湿式砕砂から生じた水を排出する排水構造を備える。本実施形態の製砂設備1は3つの排水構造を有しており、それぞれを、第1排水構造40、第2排水構造50、及び第3排水構造60と称する。本実施形態では3つの排水構造が設けられるが、これらのうち1つ又は2つの排水構造を省略することもできる。以下、これらの排水構造について説明する。
【0029】
第1排水構造40は、貯留部31の貯留下部31bに設けられている。第1排水構造40は、排水パイプ41と、透水体42と、を備える。排水パイプ41は、貯留下部31bの内壁に接続されている。排水パイプ41は貯留下部31bの径方向外側へ延びるように配置されている。本実施形態では複数の排水パイプ41が設けられるが、排水パイプ41が1つのみ設けられてもよい。貯留部31に貯留されている湿式砕砂から生じた水の一部は、貯留部31の内壁に沿って流れたり、貯留部31の下部に貯まったりする。そのため、湿式砕砂から生じた水の一部は排水パイプ41を流れる。これにより、湿式砕砂から生じた水を排水することができる。
【0030】
また、排水パイプ41には、水だけでなく湿式砕砂が流れ込む可能性もある。湿式砕砂が排水パイプ41を介して排出されることを防止するため、排水パイプ41には透水体42が設けられている。透水体42は多孔性の部材であり、水を透過させるとともに、湿式砕砂を透過させない性質を有している。透水体42に加えて、透水体42を固定するための部材が設けられてもよい。透水体42を設けることにより、排水パイプ41を介して湿式砕砂が排出されることを防止できる。なお、透水体42は必須の構成要素ではなく省略することもできる。
【0031】
第2排水構造50は、排出部32に設けられている。第2排水構造50は、突出部51と、排水ホース52と、を備える。突出部51は、排出部32から径方向外側に突出する部分である。湿式砕砂から生じた水は排出部32の底面を広がるように貯まるため、突出部51に到達する。排水構造50は、排水構造40に準じる方法で、湿式砕砂を排出させることなく水切りを実施するものである。
【0032】
排水ホース52は突出部51に取り付けられている。突出部51に到達した水は排水ホース52を介して排出される。排水ホース52に代えて、排水パイプを設けてもよい。排水構造40または排水構造50から排水された水を、排水ホース52または排水パイプにて集水してもよい。
【0033】
また、突出部51には、空気孔51aが形成されている。ホッパ30から湿式砕砂及び水が排出されることにより、ホッパ30内の気圧が下がる。それにより、ホッパ30からの湿式砕砂及び水の排出速度が低下する懸念がある。この点、空気孔51aを形成することにより、ホッパ30内の気圧を大気圧に維持することができる。そのため、ホッパ30からの湿式砕砂及び水の排出速度を維持できる。空気孔51aは、排水構造40に設けてもよい。なお、空気孔51aは必須の構成要素ではなく、省略することもできる。
【0034】
次に、図2から図4を参照して、第3排水構造60について説明する。
【0035】
第3排水構造60は、排出経路61に設けられている。上述したように、排出経路61は水切りを終えた湿式砕砂である製品砂を排出する経路である。即ち、本実施形態では、排出経路61は、製品砂を排出可能であるとともに、湿式砕砂から生じた水を排出可能である。
【0036】
図3には、第3排水構造60の詳細な構造が示されている。図3に示すように、排出経路61の内部には、内経路62が形成されている。内経路62の下流端には透水プレート66が配置されている。透水プレート66は、上述した透水体42と同じ材質の部材を含んでおり、水を透過させるとともに、製品砂を透過させない性質を有している。
【0037】
透水プレート66は、開閉可能である。具体的には、透水プレート66は、内経路62を閉鎖する閉鎖位置と、内経路62を開放する開放位置との間で位置を切替可能である。図3には、閉鎖位置が点線で示され、開放位置が鎖線で示されている。透水プレート66を開閉させるための部材として、第3排水構造60は回転軸63を備える。図4に示すように、回転軸63には、連結部材65を介して透水プレート66が連結されている。これにより、透水プレート66は回転軸63と一体的に回転する。透水プレート66が回転軸63を回転中心として回転することで、閉鎖位置と開放位置とが切り替わる。なお、透水プレート66を回転して位置を切り替える構造に代えて、透水プレート66をスライドして位置を切り替える構造を採用することもできる。
【0038】
透水プレート66は、以下のように動力が供給されることにより、回転軸63を回転中心として回転することで、閉鎖位置と開放位置とが切り替わる。即ち、第3排水構造60は、透水プレート66の位置を切り替えるための動力を供給する駆動源であるシリンダ70を備える。シリンダ70は、シリンダチューブ71とピストンロッド72とを備える。シリンダ70は、シリンダチューブ71に対してピストンロッド72を進退させることができる。
【0039】
ピストンロッド72の先端は回転部材64に取り付けられている。回転部材64は回転軸63に固定されており、回転部材64は回転軸63と一体的に回転する。以上の構成により、シリンダチューブ71に対してピストンロッド72を進退させることにより回転軸63が回転し、それにより透水プレート66の位置を切り替えることができる。本実施形態ではシリンダ70及び回転部材64等を用いて透水プレート66の位置を切り替えるが、モータ、カム、及びリンク機構等を用いる等、他の機構のシリンダ又は手動で透水プレート66の位置を切り替えてもよい。
【0040】
透水プレート66は、透水体66bを備える。透水体66bは、透水体42と同様、多孔性の部材であり、水を透過させるとともに、湿式砕砂及び製品砂を透過させない性質を有している。透水体66bは可撓性を有しており、単体では内経路62を閉鎖できない。そのため、透水体66bは、保持板66aとパンチングメタル66cに挟み込まれている。保持板66a及びパンチングメタル66cは、それぞれ開口を有しており剛性が高い部材である。これにより、透水プレート66を保持しつつ、水を透過させるとともに、製品砂を透過させない性質を維持できる。なお、保持板66aとパンチングメタル66cの何れか一方を省略することもできる。
【0041】
透水プレート66は、更に、パッキン用プレート66dと、パッキン66eと、を備える。パッキン用プレート66dはパッキン66eを固定するための部材である。パッキン用プレート66dは、他の部材、例えばパンチングメタル66cに固定されている。パッキン66eは内経路62の下流端の縁部に接触するように配置されている。この構成により、パッキン66eが潰れることにより内経路62をより確実に閉鎖できる。なお、パッキン用プレート66d及びパッキン66eは必須の構成要素ではなく省略することもできる。
【0042】
製砂設備1には、水を循環使用するルートが設けられている。第1排水構造40、第2排水構造50、及び第3排水構造60により排出された水は、循環使用するルートによって、第1振動篩12、製砂機16、又は分級機17に供給される。これにより、水を循環させるので水の消費量を低減できる。なお、第1排水構造40、第2排水構造50、及び第3排水構造60により排出された水を廃棄してもよい。
【0043】
以上に説明したように、本実施形態の製砂設備1は、製砂機16と、コンベア20と、ホッパ30と、排水構造と、を備え、以下の製砂方法を行う。製砂機16には水と原料が投入され、製砂機16は原料を粉砕して湿式砕砂を生成する。コンベア20は、製砂機16が生成した湿式砕砂を搬送する。ホッパ30は、コンベア20が搬送した湿式砕砂を一時的に貯留して水切りして、製品砂として排出する。排水構造(第1排水構造40、第2排水構造50、第3排水構造60)は、ホッパ30に貯留されている湿式砕砂から生じた水を排出する。以上が特徴1である。
【0044】
ホッパ30及び排水構造を用いて湿式砕砂を水切りすることにより、湿式砕砂を野積みすることなく、湿式砕砂を水切りできる。また、水切りされた製品砂をコンベア20を用いてトラック等へ積み込むことができるため、積込みの際の重機が不要である。以上により、従来の湿式砕砂を敷地に野積みする方法と比較して、必要なスペース及び重機の運用コストを大幅に低減できる。
【0045】
本実施形態の製砂設備1は、ホッパ30を複数備える。以上が特徴2である。
【0046】
これにより、1つのホッパ30に湿式砕砂を搬送して貯留する間において、他のホッパ30に貯留された湿式砕砂が十分に水切りされるので、湿式砕砂の搬送と水切りを並行して行うことができる。
【0047】
本実施形態の製砂設備1において、ホッパ30は、湿式砕砂を貯留する貯留部31と、貯留部31が貯留した湿式砕砂を排出する排出部32と、を有する。貯留部31の高さ方向の中央よりも下方である貯留下部31b、又は、排出部32に排水構造(第1排水構造40、第2排水構造50)が設けられる。以上が特徴3である。
【0048】
これにより、湿式砕砂から生じた水は下方に流れるので、ホッパ30の比較的下方に排水構造を設けることにより、効率的に水抜きできる。
【0049】
本実施形態の製砂設備1において、排水構造(第1排水構造40、第3排水構造60)は、水を透過させるとともに湿式砕砂を透過させない透水体42,66bを含む。排水構造は、透水体42,66bを透過した水を排水する。以上が特徴4である。
【0050】
これにより、湿式砕砂の流出を抑制しつつ、湿式砕砂を水切りできる。
【0051】
本実施形態の製砂設備1において、透水体66bは、製品砂を排出する排出経路61に配置されている。透水体66bは、排出経路61を閉鎖する閉鎖位置と、排出経路61を開放する開放位置と、の間で位置を切替可能である。以上が特徴5である。
【0052】
これにより、透水体66bが閉鎖位置にある状態で水切りを行った後に、透水体66bを開放位置にすることで湿式砕砂を排出できる。
【0053】
本実施形態の製砂設備1において、ホッパ30は、湿式砕砂を貯留する貯留部31と、貯留部31が貯留した湿式砕砂を排出する排出部32と、を有する。高さ方向で見たときの貯留部31の下端の開口の流路面積が、排出部32の上端の開口の流路面積以下である。以上が特徴6である。
【0054】
これにより、ホッパ30の下端に湿式砕砂が残りにくいので、湿式砕砂の残存又はホッパ30の排出部32の詰まりが発生しにくい。
【0055】
本実施形態の製砂設備1は、排水構造としての、第1排水構造40と、第2排水構造50と、第3排水構造60と、を備える。ホッパ30は、湿式砕砂を貯留する貯留部31と、貯留部31が貯留した湿式砕砂を排出する排出部32と、を有する。第1排水構造40は、貯留部31に設けられ、貯留部31に貯留されている湿式砕砂から生じた水を排出する。第2排水構造50は、排出部32のうち、湿式砕砂が通過する領域の外側に設けられる。第3排水構造60は、製品砂を排出する排出経路61に設けられている。以上が特徴7である。
【0056】
これにより、複数の排水構造を有するため、湿式砕砂を効率的に水切りできる。
【0057】
上述した特徴1から特徴7は矛盾が生じない限り、適宜組み合わせることができる。例えば、特徴3には、特徴1,2の少なくとも1つを組み合わせることができる。特徴4には、特徴1から3の少なくとも1つを組み合わせることができる。特徴5には、特徴1から4の少なくとも1つを組み合わせることができる。特徴6には、特徴1から5の少なくとも1つを組み合わせることができる。特徴7には、特徴1から6の少なくとも1つを組み合わせることができる。
【0058】
以上に本出願の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0059】
図1に示す製砂設備1は一例であり、一部の構成を省略してもよい。例えば、投入容器11、第1振動篩12、貯留場13、第2振動篩14、中間容器15、分級機17は必須の構成要素ではなく省略することができる。また、製砂設備1に設けられるホッパ30の数は、複数に限られず、1つであってもよい。
【0060】
上記実施形態の透水プレート66は排出経路61のうち高さ方向に対して傾斜した部分に設けられているが、排出経路61のうち高さ方向に平行な部分に設けられていてもよい。また、上記実施形態では、製品砂の排出経路と排水のための経路が共通であるが、両者が個別に設けられていてもよい。
【0061】
上記実施形態では、貯留下部31b、排出部32、及び排出経路61に排水構造が設けられているが、それ以外の箇所に排水構造が設けられてもよい。例えば、貯留上部31aに排水構造が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 製砂設備
16 製砂機
20 コンベア
30 ホッパ
40 第1排水構造
50 第2排水構造
60 第3排水構造
図1
図2
図3
図4