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特開2024-76517昇降機制御プログラム書込みシステムおよび昇降機制御プログラム書込み方法
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  • 特開-昇降機制御プログラム書込みシステムおよび昇降機制御プログラム書込み方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076517
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】昇降機制御プログラム書込みシステムおよび昇降機制御プログラム書込み方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20240530BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B66B3/00 S
B66B5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188084
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】主税 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一朗
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 尊之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
【Fターム(参考)】
3F303BA01
3F303EA03
3F303FA03
3F304BA27
3F304ED16
(57)【要約】
【課題】
昇降機の制御装置に制御プログラムを書込む際に、遠隔監視に対応していない昇降機であっても書込むべき制御プログラムを事前に準備して現地に持ち込む必要なく制御プログラムの書込みができる昇降機制御プログラム書込みシステムを提供する。
【解決手段】
昇降機1が設置されている現地91にて制御装置10に接続されて制御プログラムを制御装置10に書き込むためのプログラム書込み装置2と、プログラム書込み装置2と通信接続し、現地91から離れた隔地92からプログラム書込み装置2を制御するプログラム書込み制御部6と、を備え、プログラム書込み装置2は、通常時は制御装置10に接続されておらず、制御プログラムを制御装置10に書き込む書込み作業時に、現地作業者により制御装置10に接続され、プログラム書込み制御部6は、隔地92からプログラム書込み装置2を制御して制御装置10に制御プログラムの書込みを行わせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降機の運転制御を行う制御装置に対して制御プログラムを書込む昇降機制御プログラム書込みシステムにおいて、
前記昇降機が設置されている現地にて前記制御装置に接続されて前記制御プログラムを前記制御装置に書き込むためのプログラム書込み装置と、
前記プログラム書込み装置と通信接続し、前記現地から離れた隔地から前記プログラム書込み装置を制御するプログラム書込み制御部と、を備え、
前記プログラム書込み装置は、通常時は前記制御装置に接続されておらず、前記制御プログラムを前記制御装置に書き込む書込み作業時に、現地作業者により前記制御装置に接続され、
前記プログラム書込み制御部は、前記隔地から前記プログラム書込み装置を制御して前記制御装置に前記制御プログラムの書込みを行わせることを特徴とする昇降機制御プログラム書込みシステム。
【請求項2】
請求項1において、
前記現地で前記現地作業者が操作する携帯端末と、
前記隔地に設けられた隔地操作用端末と、を備え、
前記携帯端末および前記隔地操作用端末は、前記携帯端末および前記隔地操作用端末に表示される作業指示画面と、音声と、前記制御装置の映像とを共有することを特徴とする昇降機制御プログラム書き込むシステム。
【請求項3】
請求項1において、
前記制御プログラムを格納した昇降機情報データベースを備え、
前記プログラム書込み制御部は、前記昇降機情報データベースから前記制御プログラムを読出し、前記プログラム書込み装置に送信することを特徴とする昇降機制御プログラム書込みシステム。
【請求項4】
請求項1において、
前記プログラム書込み装置と通信接続し、前記現地で前記現地作業者が操作する携帯端末を備え、
前記プログラム書込み制御部は、前記携帯端末を介して前記プログラム書込み装置と通信接続することを特徴とする昇降機制御プログラム書き込むシステム。
【請求項5】
昇降機の運転制御を行う制御装置に対して制御プログラムを書込む昇降機制御プログラム書込み方法において、
前記昇降機が設置されている現地にて、通常時は前記制御装置に接続されていないプログラム書込み装置を、現地作業者により前記制御装置に接続する準備ステップと、
前記現地から離れた隔地から前記プログラム書込み装置を制御して前記制御装置に前記制御プログラムの書込みを行わせる書込みステップと、を備えることを特徴とする昇降機制御プログラム書込み方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記準備ステップは、前記現地で前記現地作業者が操作する携帯端末と、前記隔地に設けられた隔地操作用端末と、を用いて、前記隔地操作用端末の操作者からの支援を受けながら前記現地作業者が前記制御プログラムを前記制御装置に書き込むための準備作業を行うことを特徴とする昇降機制御プログラム書込み方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降機制御プログラム書込みシステムおよび昇降機制御プログラム書込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターやエスカレーターなどの昇降機を制御する制御装置は、近年、マイコンで制御するものが主流である。この制御装置において,マイコンを実装したプリント板が故障した場合、正常なプリント板に交換した上で、昇降機の仕様に応じた制御プログラムに書き換える必要が生じる。また、エレベーターやエスカレーターなどの昇降機の機能変更や改造作業を実施する場合も、昇降機の仕様に応じて適切な制御プログラムに変更する必要がある。
【0003】
さらに、昇降機の機械部品の取付、動作状態、利用者の利用状況などに応じて、停止位置やドアの開閉制御などの調整を行うが、これらの調整値を確実に保存するために、昇降機の制御プログラムを読出し、バックアップファイルとすることがある。
【0004】
昇降機の制御装置の制御プログラムを書込む技術としては、例えば、特許文献1がある。特許文献1の図1および図2には、エレベーターの運行制御装置(1)と管制センター(5)とを外部保守装置(3)を介して接続し、管制センター(5)から制御プログラムを伝送して運行制御装置(1)に制御プログラムを書込む技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-137654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、常時接続された外部保守装置(3)を介して管制センター(5)から遠隔監視が可能な場合にしか適用できないため、常時接続の遠隔監視に対応していない古い機種などでは適用することができないという課題がある。
【0007】
このような常時接続の遠隔保守に対応していない昇降機への制御プログラムの書込みや読出し作業は、現地で制御プログラムの書込み、読出しを行うための専用装置を用いて実施する必要がある。したがって、書込むべき制御プログラムは事前に準備して現地作業者により現地に持ち込む必要があるという課題がある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、昇降機の制御装置に制御プログラムを書込む際に、遠隔監視に対応していない昇降機であっても書込むべき制御プログラムを事前に準備して現地に持ち込む必要なく制御プログラムの書込みができる昇降機制御プログラム書込みシステムおよび昇降機制御プログラム書込み方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明の昇降機制御プログラム書込みシステムは、例えば、昇降機の運転制御を行う制御装置に対して制御プログラムを書込む昇降機制御プログラム書込みシステムにおいて、前記昇降機が設置されている現地にて前記制御装置に接続されて前記制御プログラムを前記制御装置に書き込むためのプログラム書込み装置と、前記プログラム書込み装置と通信接続し、前記現地から離れた隔地から前記プログラム書込み装置を制御するプログラム書込み制御部と、を備え、前記プログラム書込み装置は、通常時は前記制御装置に接続されておらず、前記制御プログラムを前記制御装置に書き込む書込み作業時に、現地作業者により前記制御装置に接続され、前記プログラム書込み制御部は、前記隔地から前記プログラム書込み装置を制御して前記制御装置に前記制御プログラムの書込みを行わせることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の昇降機制御プログラム書込み方法は、例えば、昇降機の運転制御を行う制御装置に対して制御プログラムを書込む昇降機制御プログラム書込み方法において、前記昇降機が設置されている現地にて、通常時は前記制御装置に接続されていないプログラム書込み装置を、現地作業者により前記制御装置に接続する準備ステップと、前記現地から離れた隔地から前記プログラム書込み装置を制御して前記制御装置に前記制御プログラムの書込みを行わせる書込みステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、昇降機の制御装置に制御プログラムを書込む際に、遠隔監視に対応していない昇降機であっても書込むべき制御プログラムを事前に準備して現地に持ち込む必要なく制御プログラムの書込みができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の昇降機制御プログラム書込みシステムの全体構成を説明する機能ブロック図。
図2】実施例1の昇降機制御プログラム書込みシステムによる書込み手順を説明するフローチャート。
図3】実施例1の作業手順データの一例。
図4】実施例1の携帯端末の表示画面の一例。
図5】実施例1の隔地操作用端末の表示画面の一例。
図6】実施例2の昇降機制御プログラム書込みシステムの全体構成を説明する機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。各図、各実施例において、同一または類似の構成要素については同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【実施例0014】
図1は、実施例1の昇降機制御プログラム書込みシステムの全体構成を説明する機能ブロック図である。
【0015】
昇降機制御プログラム書込みシステムは、昇降機1の運転制御を行う制御装置10に対して制御プログラムを書込む機能を備える。
【0016】
図1において、昇降機制御プログラム書込みシステムは、プログラム書込み装置2と、携帯端末3と、隔地操作用端末5と、プログラム書込み制御部6と、昇降機情報データベース7とを備える。
【0017】
昇降機1は、昇降機1の運転制御を行う制御装置10を有する。制御装置10は、マイコンを実装したプリント板101と、制御プログラム書込み用ポート111とを有する。
【0018】
プログラム書込み装置2は、携帯端末3と接続して通信を行う通信部21と、プリント板101と接続して制御プログラムの書込みを行う制御プログラム書込み用ポート22と、制御プログラムを一時的に格納する記憶部23とを有する。プログラム書込み装置2は、昇降機1が設置されている現地91にて制御装置10に接続されて制御プログラムを制御装置10に書き込む。なお、プログラム書込み装置2は、制御プログラム書込み用ポート22を介して制御装置10から制御プログラムを読出すこともできる。
【0019】
携帯端末3は、プログラム書込み装置2と通信接続し、現地で現地作業者が操作する携帯可能な端末である。携帯端末3は、通信回線8と接続して現地91から離れた隔地92の通信処理部4を通じて隔地操作用端末5やプログラム書込み制御部6と各種の通信を行う通信部31と、プログラム書込み装置2と接続して通信を行う通信部32と、携帯端末3の周囲の状況を撮影するカメラ33と、現地作業者に各種の情報を表示する表示部34と、現地作業者が各種の操作を行う操作部35と、通信部31や通信部32や操作部35などの情報を処理する処理部36と、各種の情報を記憶する記憶部37と、携帯端末3を操作する現地作業者や周囲の音声が入力されるマイク38とを有する。
【0020】
ここではプログラム書込み制御部6などの隔地の機器は、携帯端末3を介してプログラム書込み装置2と通信接続する構成を示したが、接続方法はこれに限られない。例えば後述する実施例2で示すようにプログラム書込み装置2は携帯端末3を介さずに通信処理部4と通信接続する構成としてもよい。
【0021】
通信処理部4は、隔地で通信回線8からの情報の授受を行う。
【0022】
隔地操作用端末5は、隔地92に設けられており、隔地92の専門技術者が操作者となって使用する端末である。隔地操作用端末5は、通信処理部4を通して携帯端末3やプログラム書込み制御部6や昇降機情報データベース7などと通信を行う通信部51と、各種の情報を表示する表示部52と、専門技術者が各種の操作を行う操作部53と、通信部51や操作部53などの情報を処理する処理部54と、各種の情報を記憶する記憶部55と、専門技術者の音声が入力されるマイク56とを有する。隔地操作用端末5は、プログラム書込み制御部6に通信接続し、プログラム書込み制御部6を操作することができる。
【0023】
ここで、携帯端末3および隔地操作用端末5は、携帯端末3および隔地操作用端末5に表示される作業指示画面と、音声と、制御装置10の映像とを共有することができる。これにより、隔地操作用端末5の操作者である専門技術者からの支援を受けながら現地作業者が制御プログラムを制御装置10に書き込むための準備作業を行うことができる。プログラム書込み装置2や制御装置10の取扱いには専門知識が必要であり、十分な事前訓練、教育が必要であるが、本実施例によれば、隔地92の専門技術者からの支援を受けながら現地作業者が準備作業を行えるので、現地作業者の専門知識が十分でない場合でも作業を行うことができる。
【0024】
プログラム書込み制御部6は、例えばサーバなどに組み込まれており、制御プログラムなどを格納する記憶部61と、各種の情報を処理する処理部62と、通信処理部4に接続される図示しない通信部とを有する。プログラム書込み制御部6は、プログラム書込み装置2と通信接続し、現地から離れた隔地からプログラム書込み装置2を制御する。また、プログラム書込み制御部6は、昇降機情報データベース7から制御装置10の型式などの昇降機の構成に対応した制御プログラムを読出し、記憶部61に格納する。そして、プログラム書込み制御部6は、制御プログラムをプログラム書込み装置2に送信する。このように、プログラム書込み制御部6と通信接続が可能になっていることで、遠隔監視に対応していない昇降機であっても書込むべき制御プログラムを事前に準備して現地に持ち込む必要なく制御プログラムの書込みができる。なお、プログラム書込み制御部6は、隔地操作用端末5に組み込まれた構成であってもよい。
【0025】
昇降機情報データベース7は、例えばサーバなどに組み込まれており、制御プログラム、関連データ、部品情報、昇降機の構成などの各種の情報を記憶する記憶部71と、昇降機の構成、部品情報などのデータを検索、処理するデータ検索処理部72と、通信処理部4に接続される図示しない通信部とを有する。なお、昇降機情報データベース7は、隔地操作用端末5またはプログラム書込み制御部6に組み込まれた構成であってもよい。
【0026】
通信回線8は、プログラム書込み装置2と携帯端末3と通信処理部4と隔地操作用端末5とプログラム書込み制御部6と昇降機情報データベース7とを相互に通信接続可能にする回線である。
【0027】
図2は、実施例1の昇降機制御プログラム書込みシステムによる書込み手順を説明するフローチャートである。図3は、実施例1の作業手順データの一例である。
【0028】
図2に示す手順No.1-12は、図3に示す手順No.1-12に対応している。図3に示す作業手順データは、昇降機情報データベース7の記憶部71に格納されており、制御装置10の型式に対応したデータをデータ検索処理部72を介して読出し、隔地操作用端末5の記憶部55とプログラム書込み制御部6の記憶部61に格納して利用する。ここでは、昇降機1の制御装置10のプリント板101が故障し、正常品に交換の上、制御プログラムの書込みを行う手順を一例として説明する。
【0029】
準備ステップS1では、昇降機1が設置されている現地91にて、通常時は制御装置10に接続されていないプログラム書込み装置2を、現地作業者により制御装置10に接続する。このとき、現地91で現地作業者が操作する携帯端末3と、隔地92に設けられた隔地操作用端末5と、を用いて、隔地操作用端末5の操作者からの支援を受けながら現地作業者が制御プログラムを制御装置10に書き込むための準備作業を行う。より具体的には、準備ステップS1では、携帯端末3の通信接続と、作業準備と、手順No.1-3が実施される。
【0030】
まず、現地作業者は、携帯端末3の表示部34に表示される手順に従い、操作部35を操作してプログラム書込み制御部6に接続要求を行い、プログラム書込み制御部6と携帯端末3とを通信接続する。携帯端末3は、通信接続中は、携帯端末3のカメラ33の画像データとマイク38の音声データをプログラム書込み制御部6に常時送信する。
【0031】
次に、作業準備を開始する。
【0032】
プログラム書込み制御部6は、隔地92において制御プログラムの書込み操作を行う専門技術者を選定し、専門技術者の隔地操作用端末5に対して呼出し信号を発信する。専門技術者が隔地操作用端末5で呼出し信号を受信すると、隔地操作用端末5はプログラム書込み制御部6との通信接続を行う。これにより、隔地操作用端末5は、プログラム書込み制御部6に通信接続し、プログラム書込み制御部6を操作することができる。また、通信接続中は、プログラム書込み制御部6に送られている携帯端末3のカメラ33の画像データとマイク38の音声データが隔地操作用端末5にも送信される。また、隔地操作用端末5のマイク56の音声データは、プログラム書込み制御部6を介して携帯端末3に送信される。これにより、専門技術者と現地作業者はカメラ33に映った制御装置10の映像を共有しながら相互に音声通話を行うことが可能となる。
【0033】
次に、プログラム書込み制御部6は、現地作業者に対して、制御プログラムの書込み作業対象となる昇降機1の製造番号などの対象固有の情報、および、作業に使用するプログラム書込み装置2の個体識別コードなどの情報を要求する。現地作業者は、携帯端末3を用いて要求された情報を入力し、送信する。ここでは、制御装置10の型式がAである場合を想定して説明する。
【0034】
プログラム書込み制御部6は、携帯端末3から送信された情報に基づいて、昇降機情報データベース7に通信接続し、対応する制御プログラムと、図3に示す作業手順データのうち、制御装置10の型式などの情報に対応するAの作業手順を取得する。なお、昇降機情報データベース7から図3に示す作業手順データをそのまま取得し、プログラム書込み制御部6側で対応するAの作業手順を選択して取得するようにしてもよい。
【0035】
以上で作業準備が終了する。次に、手順No.1を実施する。
【0036】
プログラム書込み制御部6は、現地作業者が次に行うべき作業である手順No.1のプリント板101の交換作業要領データを現地作業者の携帯端末3および専門技術者の隔地操作用端末5に発信する。交換作業要領データは、例えば、「プリント板101Aを交換」という作業内容と、それに必要な関連情報などのデータである。
【0037】
昇降機1の制御装置10は、昇降機1の構造や揚程、速度、製造時期などで複数の型式が存在し、制御装置10の型式に応じてプリント板101の型式もそれぞれ異なる。また、制御プログラムの書込み手順は、プリント板101の交換、プログラム書込み装置2の取付、電源投入など、作業の手順は制御装置10やプリント板101の型式に関わらず概ね同じであるが、それぞれの作業の詳細、例えばプログラム書込み装置2の取付先のコネクタの名称や、操作するスイッチの名称、番号、表示灯の点灯状態などは制御装置10やプリント板101の型式によって異なる。そのため、現地作業者の携帯端末3の表示部34に表示する作業指示画面の内容は、現地91の制御装置10の型式に対応した指示内容とする必要があり、現地作業者は作業や操作の内容を正確に把握して作業や操作を行う必要がある。そこで、図3に示すように、制御装置10の型式毎に、プリント板101の型式とプログラム書込み作業手順毎の具体的な作業指示内容をテーブルファイルとして昇降機情報データベース7またはプログラム書込み制御部6に格納しておき、昇降機1のプリント板101の型式と、プログラム書込み作業手順の進捗状況に応じて、次の作業指示内容を適切に選択して提示するようにしている。
【0038】
図4は、実施例1の携帯端末の表示画面の一例である。
【0039】
携帯端末3は、受信したプリント板101の交換作業要領データを処理部36で処理し、表示部34に交換作業要領を示した作業指示画面を表示する。
【0040】
図4に示すように、携帯端末3で入力した昇降機1の製造番号、現地作業者が所持しているプログラム書込み装置2の個体識別コード、昇降機1の製造番号によって昇降機情報データベース7から割り出されたプリント板101の型式が表示されている。また、プリント板101へのプログラム書込み作業ステップの進捗状況および現在の作業内容が表示されている。さらに、プログラム書込み制御部6から送信されたプリント板101の交換作業要領を作業手順表示エリアに表示する。他には、カメラ33の映像に切り替えるためのカメラ画面の切替ボタンや、マイク38のオン/オフを切り替えるボタンや、作業完了ボタンなどが表示されている。
【0041】
現地作業者は、表示部34の表示に従い、プリント板101の交換作業を行い、現地作業者が交換作業を終えたら、操作部35で作業完了ボタンを押すことで交換作業完了処理を行う。
【0042】
図5は、実施例1の隔地操作用端末の表示画面の一例である。
【0043】
現地作業者が作業している間、隔地92の専門技術者は、共有されたカメラ画面を確認して、交換作業をチェックする。また、必要に応じて現地作業者に指示を出す。交換作業が問題なく完了したと判断したら操作部53にて作業完了ボタンを押すことで交換作業完了操作を行う。
【0044】
図5に示すように、図4で示した現地91の携帯端末3の画面と同じ、昇降機1の製造番号、現地作業者が所持しているプログラム書込み装置2の個体識別コード、プリント板101の型式、プリント板101へのプログラム書込み作業ステップの進捗状況および現在の作業内容、プリント板101の交換作業要領を表示するとともに、現地画像表示エリアに、携帯端末3のカメラ33で撮影された現地91の画像を表示する。このように、携帯端末3および隔地操作用端末5は、携帯端末3および隔地操作用端末5に表示される作業指示画面と、音声と、制御装置10の映像とを共有することで、専門技術者の支援を受けて現地作業者が作業を行うことが可能となる。なお、隔地操作用端末5には、他に、制御プログラムファイルの名称、昇降機情報データベース検索ボタン、プログラム書込み装置2の接続状況、プリント板101の電源の状況、マイク56のオン/オフの切り替えボタン、作業完了ボタンも表示されている。
【0045】
プログラム書込み制御部6は、携帯端末3からの交換作業完了信号と、専門技術者の隔地操作用端末5からの交換作業完了信号の両方を受信すると、手順No.1を終了し、次の手順No.2を開始する。手順No.2以降も手順No.12まで、手順No.1と同様の要領で専門技術者の支援を受けながら現地作業者が作業を実施する。手順No.2以降は、重複する説明は適宜省略しながら説明する。
【0046】
手順No.2では、プログラム書込み装置2の取付を実施する。手順No.3では、プログラム書込み装置2および制御装置10の電源投入を実施する。
【0047】
書込みステップS2では、現地91から離れた隔地92からプログラム書込み装置2を制御して制御装置10に制御プログラムの書込みを行わせる。より具体的には、手順No.4-8が実施される。
【0048】
手順No.4では、プログラム書込み制御部6は、プログラム書込み装置2との通信接続を実施する。
【0049】
手順No.5では、プログラム書込み制御部6は、制御プログラムをプログラム書込み装置2に送信する。プログラム書込み装置2は、制御プログラムを受信し、記憶部23に一時的に格納する。
【0050】
手順No.6では、書込み作業準備を実施する。具体的には、現地作業者は、表示部34の表示に従い、制御プログラムをプリント板101に書き込む処理を実行するために必要な準備作業、例えばプログラム書込み装置2、あるいは制御装置10、あるいはプリント板101のスイッチ操作や表示の確認などの作業を行う。
【0051】
手順No.7では、書込み処理開始する。具体的には、プログラム書込み制御部6は、プログラム書込み装置2に対し、記憶部23に一時的に格納した制御プログラムをプリント板101に書き込む処理の開始指令を送信する。プログラム書込み装置2は、開始指令を受信すると、制御プログラム書込み用ポート22から制御プログラム書込み用ポート111を通じて、プログラム書込み装置2の記憶部23に一時的に格納した制御プログラムをプリント板101に書き込む。プログラム書込み装置2は、すべての制御プログラムをプリント板101に書き込むと、書込み完了通知をプログラム書込み制御部6に返信する。
【0052】
手順No.8では、書込み終了作業を実施する。具体的には、現地作業者は、表示部34の表示に従い、書込み処理を完了するために必要な作業として、手順No.6で実施したプログラム書込み装置2、あるいは制御装置10、あるいはプリント板101などのスイッチを戻す操作や表示の確認などの作業を行う。
【0053】
後処理ステップS3では、書込みステップS2終了後に必要な作業を実施する。より具体的には、手順No.9-12が実施される。
【0054】
手順No.9では、プログラム書込み装置2と制御装置10の電源遮断を実施する。手順No.10では、プログラム書込み装置2の取外しを実施する。手順No.11では、制御装置10の電源投入を実施する。手順No.12では、昇降機1の調整、試運転を実施する。
【0055】
以上により、昇降機1の制御装置10に制御プログラムを書込む際に、遠隔監視に対応していない昇降機1であっても書込むべき制御プログラムを事前に準備して現地に持ち込む必要なく制御プログラムの書込みができる。また、隔地92の専門技術者からの支援を受けながら現地作業者が作業を行えるので、現地作業者の専門知識が十分でない場合でも作業を行うことができる。
【実施例0056】
図6は、実施例2の昇降機制御プログラム書込みシステムの全体構成を説明する機能ブロック図である。
【0057】
実施例2において実施例1と異なる点は、プログラム書込み装置2は携帯端末3を介さずに通信処理部4と通信接続する構成となっている点である。これ以外は実施例1と同じであるため重複説明を省略する。
【0058】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例に記載された構成に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変更が可能である。また、各実施例で説明した構成の一部または全部を組み合わせて適用してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 昇降機
10 制御装置
101 プリント板
111 制御プログラム書込み用ポート
2 プログラム書込み装置
21 通信部
22 制御プログラム書込み用ポート
23 記憶部
3 携帯端末
31 通信部
32 通信部
33 カメラ
34 表示部
35 操作部
36 処理部
37 記憶部
38 マイク
4 通信処理部
5 隔地操作用端末
51 通信部
52 表示部
53 操作部
54 処理部
55 記憶部
56 マイク
6 プログラム書込み制御部
61 記憶部
62 処理部
7 昇降機情報データベース
71 記憶部
72 データ検索処理部
8 通信回線
91 現地
92 隔地
図1
図2
図3
図4
図5
図6