(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076522
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】食品保管庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/12 20060101AFI20240530BHJP
F25D 21/08 20060101ALI20240530BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20240530BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
F25D23/12 D
F25D21/08 A
F25D17/08 306
F25D23/00 302L
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188089
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金子 智則
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 功一
(72)【発明者】
【氏名】京谷 浩平
(72)【発明者】
【氏名】網野 梓
(72)【発明者】
【氏名】堀内 敬介
【テーマコード(参考)】
3L046
3L345
【Fターム(参考)】
3L046BA01
3L046CA06
3L046LA08
3L046LA31
3L046MA03
3L046MA04
3L345AA02
3L345AA18
3L345AA20
3L345BB10
3L345CC01
3L345DD01
3L345DD62
3L345EE13
3L345EE34
3L345EE45
3L345FF12
3L345FF17
3L345GG16
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】本発明は、乾燥貯蔵室に収容された食品の吸湿を未然に防ぎ、乾燥食品の品質の低下を抑えることを目的とする。
【解決手段】本発明の食品保管庫は、例えば、乾燥貯蔵室(50)と、前記乾燥貯蔵室への空気の流入を遮断するダンパ(54、62)と、前記乾燥貯蔵室に前記空気が流入することにより前記乾燥貯蔵室内の絶対湿度が上昇する可能性がある場合に、前記ダンパに前記乾燥貯蔵室への前記空気の流入を遮断させる制御部(31)と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥貯蔵室と、
前記乾燥貯蔵室への空気の流入を遮断するダンパと、
前記乾燥貯蔵室に前記空気が流入することにより前記乾燥貯蔵室内の絶対湿度が上昇する可能性がある場合に、前記ダンパに前記乾燥貯蔵室への前記空気の流入を遮断させる制御部と、
を備える食品保管庫。
【請求項2】
請求項1に記載の食品保管庫であって、
前記乾燥貯蔵室に連通する貯蔵室のドアの開閉を検知するドアセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記ドアセンサからの信号に基づいて、少なくとも前記ドアが開かれている間は前記ダンパに前記乾燥貯蔵室への前記空気の流入を遮断させる
食品保管庫。
【請求項3】
請求項2に記載の食品保管庫であって、
前記制御部は、前記ドアが閉じられてから所定時間が経過するまで前記ダンパに前記乾燥貯蔵室への前記空気の流入を遮断させる
食品保管庫。
【請求項4】
請求項1に記載の食品保管庫であって、
前記乾燥貯蔵室に流入する前記空気の絶対湿度を下げる蒸発器と、
前記蒸発器に付いた霜を溶かす除霜ヒータと、をさらに備え、
前記制御部は、少なくとも前記除霜ヒータが前記蒸発器に付いた霜を溶かしている間は前記ダンパに前記乾燥貯蔵室への前記空気の流入を遮断させる
食品保管庫。
【請求項5】
請求項4に記載の食品保管庫であって、
前記制御部は、前記除霜ヒータの動作が停止してから所定時間が経過するまで前記ダンパに前記乾燥貯蔵室への前記空気の流入を遮断させる
食品保管庫。
【請求項6】
請求項1に記載の食品保管庫であって、
前記乾燥貯蔵室に流入する前記空気の絶対湿度を下げる除湿剤と、
前記除湿剤よりも上流側に配置された再生ヒータと、をさらに備え、
前記制御部は、少なくとも前記再生ヒータが動作中は前記ダンパに前記乾燥貯蔵室への前記空気の流入を遮断させる
食品保管庫。
【請求項7】
請求項6に記載の食品保管庫であって、
前記制御部は、前記再生ヒータの動作が停止してから所定時間が経過するまで前記ダンパに前記乾燥貯蔵室への前記空気の流入を遮断させる
食品保管庫。
【請求項8】
請求項1に記載の食品保管庫であって、
前記制御部は、前記乾燥貯蔵室内に載置された食品の乾燥が完了した場合に前記ダンパに前記乾燥貯蔵室への前記空気の流入を遮断させる
食品保管庫。
【請求項9】
請求項1に記載の食品保管庫であって、
前記制御部は、前記乾燥貯蔵室内に載置された食品の乾燥進行中には、前記乾燥貯蔵室のドアをロックする、
食品保管庫。
【請求項10】
請求項1に記載の食品保管庫であって、
前記空気を温める乾燥ヒータをさらに備える
食品保管庫。
【請求項11】
請求項1に記載の食品保管庫であって、
前記乾燥貯蔵室を有する冷蔵庫として機能する
食品保管庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品保管庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫を用いた乾燥食品の保存に関する技術として特許文献1が知られている。特許文献1の要約および
図3には「冷蔵室102内に設置された乾燥室104は、送風ファン121により強制的に送風された冷気の風量を調節する乾燥室用ダンパ122と、乾燥室104内の湿度を検出する湿度センサーと、ヒータとを有し、冷蔵室102および乾燥室104は送風ファン121により強制送風された冷気で冷却され、乾燥室104は、湿度センサーと乾燥室用ダンパ122とヒータとにより所定の湿度に制御されるので、乾燥室104内に保存される乾燥食品の品質を高めることができる」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち、特許文献1に記載の技術では、乾燥室(以下「乾燥貯蔵室」と呼ぶ。)に備えられた湿度センサの値が所定値となるように、あるいは所定範囲内となるように湿度のフィードバック制御が行われる。
【0005】
しかしながら、このようなフィードバック制御では、乾燥貯蔵室の湿度が高くなってしまった後に湿度を低下させる処理が実行されるため、湿度が低下しきるまでの間に、乾燥貯蔵室に収容された食品が吸湿してしまい、乾燥食品の品質が低下するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、乾燥貯蔵室に収容された食品の吸湿を未然に防ぎ、乾燥食品の品質の低下を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の食品保管庫は、例えば、乾燥貯蔵室と、前記乾燥貯蔵室への空気の流入を遮断するダンパと、前記乾燥貯蔵室に前記空気が流入することにより前記乾燥貯蔵室内の絶対湿度が上昇する可能性がある場合に、前記ダンパに前記乾燥貯蔵室への前記空気の流入を遮断させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、乾燥貯蔵室に収容された食品の吸湿を未然に防ぎ、乾燥食品の品質の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】実施例1の冷蔵庫に関する制御フローチャート
【
図4】実施例1の冷蔵庫に関する制御フローチャート
【
図5】実施例1の冷蔵庫に関する制御フローチャート
【
図6】実施例1の冷蔵庫に関する制御フローチャート
【
図11】実施例5の食品乾燥専用機の側方視点断面図
【
図12】実施例6の食品乾燥専用機の側方視点断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施例1~4では食品保管庫の一例として冷蔵庫を例示し、実施例5および6では食品保管庫の他の一例として食品乾燥専用機を例示する。
【実施例0011】
図1は実施例1の冷蔵庫の正面図、
図2は
図1のA-A断面図、
図3から
図6は実施例1の冷蔵庫に関する制御フローチャートである。冷蔵庫1の箱体10は、上方から冷蔵室2、左右に併設された製氷室3と上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順番で貯蔵室を有している。冷蔵庫1は各貯蔵室の開口を開閉するドアを備えている。具体的には、冷蔵庫1の箱体10は、冷蔵室2の開口を開閉する左右に分割された回転式の冷蔵室ドア2aおよび2bと、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア3aと、上段冷凍室ドア4aと、下段冷凍室ドア5aと、野菜室ドア6aとを備える。以下、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5をまとめて指す際には、冷凍室7と呼ぶ。
【0012】
ドア2aには庫内の温度設定の操作を行う操作部26を設けている。冷蔵庫1とドア2aおよび2bを固定するためにドアヒンジ(図示せず)が冷蔵室2上部および下部に設けてあり、上部のドアヒンジはドアヒンジカバー16で覆われている。
【0013】
図2に示すように、外箱10aと内箱10bとの間に断熱材を有して形成される箱体10により、冷蔵庫1の庫外と庫内は隔てられている。冷蔵室2と、上段冷凍室4および製氷室3は断熱仕切壁28によって隔てられ、同様に下段冷凍室5と野菜室6は断熱仕切壁29によって隔てられている。また、製氷室3、上段冷凍室4、および下段冷凍室5の各貯蔵室の前面側には、ドア3aおよび4aとドア5aとの隙間から冷凍室7内の空気が庫外へ漏れないように、かつ、庫外の空気が各貯蔵室に侵入しないよう、断熱仕切壁30を設けている。
【0014】
冷蔵室2のドア2aおよび2bの庫内側には複数のドアポケット33a、33bおよび33cを設けている。また、冷蔵室2の庫内には、複数の棚34a、34b、34cおよび34dを設け、複数の貯蔵スペースに区画されている。また、冷蔵室2の最下段には乾燥貯蔵室50が備えられている。乾燥貯蔵室50は、例えば乾燥貯蔵室ドア51と一体に引き出される乾燥貯蔵室トレイ52、および乾燥貯蔵室筐体53で構成される。なお、乾燥貯蔵室50の位置は冷蔵室2の最下段に限定されず、冷蔵室2の最上段から最下段までのいずれの高さに備えられていてもよい。
【0015】
冷凍室7には、ドア3aと一体に引き出される製氷室容器(図示せず)が備えられている。また、冷凍室7および野菜室6には、それぞれドア4a、5a、6aと一体に引き出される上段冷凍室容器4b、下段冷凍室容器5b、野菜室容器6bが備えられている。
【0016】
蒸発器14は下段冷凍室5の略背部に備えた蒸発器室8内に設けられる。蒸発器14の上方に設けられ、送風部として機能する庫内ファン9は、蒸発器14と熱交換した乾燥冷気を冷蔵室送風風路11、冷凍室送風風路12および冷蔵室-野菜室風路(図示せず)を介して、冷蔵室2、乾燥貯蔵室50、冷凍室7および野菜室6の各貯蔵室へ送る。冷蔵室2、乾燥貯蔵室50、および冷凍室7への乾燥冷気の送風は、冷蔵室ダンパ20、乾燥貯蔵室ダンパ54、冷凍室ダンパ21の開閉により制御される。
【0017】
野菜室6を冷却した空気は、野菜室戻り口(図示せず)から野菜室戻り風路(図示せず)を介して蒸発器室8に戻り、再び蒸発器14に冷却される。なお、本実施例では冷蔵室2と野菜室6とは風路が直列に配置されて連動して冷却される方式を採用しているが、例えば野菜室6専用のダンパと風路を設け、蒸発器14で熱交換して発生した乾燥冷気を直接野菜室6に送る方式を採用してもよい。
【0018】
蒸発器14の下部には、例えばラジアントヒータ等の除霜ヒータ22を設けている。除霜時に発生したドレン水(融解水)は樋(図示せず)に一旦落下し、ドレン孔(図示せず)を介して圧縮機24の上部に設けた蒸発皿(図示せず)に排出される。
【0019】
冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、野菜室温度センサ43を設け、蒸発器14の上部には蒸発器温度センサ40を設け、これらのセンサにより、冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6、および蒸発器14の温度を検知している。また、乾燥貯蔵室50内には乾燥貯蔵室温度センサ44および乾燥貯蔵室湿度センサ45を設け、乾燥貯蔵室内の温度および湿度を検知している。さらに、冷蔵庫1の天井部のドアヒンジカバー16の内部には、外気(庫外空気)の温度、湿度を検知する外気温湿度センサ37を設けている。
【0020】
冷蔵庫1には、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知するドアセンサを設けている。ドアセンサは例えば、ドア側に設けられた磁石80と断熱仕切壁側に設けられたホール素子81で構成すればよい。
【0021】
冷蔵庫1の上部には、制御装置の一部であるCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板31(制御部)を配置している。制御基板31は、各温度センサおよび湿度センサと接続され、前述のCPUは、これらの出力値や操作部26の設定、前述のROMに予め記録されたプログラム等を基に、圧縮機24や庫内ファン9、冷蔵室ダンパ20、乾燥貯蔵室ダンパ54、冷凍室ダンパ21の制御等を行っている。
【0022】
冷蔵室2へ送風する場合、冷蔵室ダンパ20を開ける。蒸発器14により冷却除湿された蒸発器室8の空気は、庫内ファン9により昇圧され、冷蔵室ダンパ20から冷蔵室送風風路11へと流れる。冷蔵室送風風路11に至った空気は、冷蔵室吐出口11aから冷蔵室2へ送風される。また、乾燥貯蔵室50へ送風する場合は、冷蔵室ダンパ20と乾燥貯蔵室ダンパ54をともに開ける。このとき、吐出口11bから吐出した空気が乾燥貯蔵室50へ送風され、乾燥貯蔵室50内に載置された食品(図示せず)の乾燥が進行する。
【0023】
ここで、乾燥貯蔵室ダンパ54の近傍に例えばラジアントヒータである乾燥ヒータ55を設けてもよい。乾燥ヒータ55への電力供給を前述のCPUで制御することで、吐出口11bから吐出された空気と乾燥ヒータ55とを適切に熱交換させ、すなわち、吐出口11bから吐出された空気を乾燥ヒータ55で温め、乾燥貯蔵室50に送風される乾燥空気を所望の温度とすることができる。
【0024】
冷凍室7を冷却する場合、冷凍室ダンパ21を開ける。蒸発器14により冷却除湿された蒸発器室8の空気は、庫内ファン9により昇圧され、冷凍室吐出口12aから冷凍室7に吐出され、冷凍室7へ送風される。冷凍室7へ送風された空気は冷凍室戻り口17から蒸発器室8に戻り、再び蒸発器14で冷却除湿される。
【0025】
一般的に、冷蔵庫1内の空気を冷却除湿する蒸発器14の温度は外気(庫外空気)の温度よりも十分に低く、冷蔵庫1内の空気の絶対湿度は外気の絶対湿度よりも低い。したがって、乾燥貯蔵室50と連通している冷蔵室2のドア2aまたは2bが開けられた際、乾燥貯蔵室ダンパ54が「開」状態であると、庫外からの空気が乾燥貯蔵室50に流入することにより、少なくとも乾燥貯蔵室50の絶対湿度が上昇する可能性がある。
【0026】
本発明はこの状況を解決するものであり、
図3を用いて本実施例における冷蔵庫1の制御について説明する。制御基板31は、運転制御を開始(ステップS101)したのち、初期状態として乾燥貯蔵室ダンパ54を閉めておく(ステップS102)。次に、ドアセンサの状態出力を参照してドア2aの開閉状態をチェックする(ステップS103)。ドア2aが「開」状態である場合は、ステップS102に戻り、乾燥貯蔵室ダンパ54の「閉」状態を維持する。これにより、乾燥貯蔵室50への空気の流入を遮断する。一方、ドア2aが「閉」状態である場合は、ステップS105へ進み、乾燥貯蔵室ダンパ54を開ける。その後ステップS103へ移り、常時ドア2aの開閉状態をチェックして乾燥貯蔵室ダンパ54の開閉を制御する。
【0027】
上述の通り、本実施例においては、制御基板31は、庫外からの空気が乾燥貯蔵室50に流入することにより乾燥貯蔵室50の絶対湿度が上昇する可能性がある場合をドアセンサの信号で判断し、ドアセンサの信号に基づいて乾燥貯蔵室ダンパ54の開閉を制御する。具体的には、制御基板31は、ドアセンサの信号に基づいて、ドア2aが開放されている際には乾燥貯蔵室ダンパ54を閉じて乾燥貯蔵室50への空気の流入を遮断させる。その結果、庫外からの空気が乾燥貯蔵室50に流入することにより乾燥貯蔵室50の絶対湿度が上昇することを防止することができ、食品の吸湿を防止して乾燥食品の品質の低下を抑えることができる。
【0028】
なお、
図3の説明では開閉状態をチェックするドアの対象をドア2aとしたが、各ダンパの開閉状態によっては、乾燥貯蔵室50が、冷凍室7および野菜室6の一方または両方と物理的に連通する場合もある。例えば、乾燥貯蔵室50が冷凍室7および野菜室6の両方と連通している場合、ドア3a、4a、5aおよび6aも開閉状態をチェックするドアの対象とし、これらのドアの少なくとも1つがが「開」状態の場合にも乾燥貯蔵室ダンパ54を閉める制御を行う。
【0029】
より望ましくは、
図4の通り冷蔵庫1を制御してもよい。
図4では、
図3のステップS103とS105との間にステップS204を設けており、ドア2aが閉じてから一定時間(TthDoor[秒])が経過するまでは乾燥貯蔵室ダンパ54が「開」状態とならないようにしている。ドア2aが開放され、庫外の湿気が冷蔵室2に流入した場合、ドア2aが閉じられて一定時間は、冷蔵室2内の空気の絶対湿度が高い状態となると考えられる。すなわち、冷蔵室2内の空気が蒸発器14に達して冷却除湿され、ふたたび冷蔵室2内に送風されるまでは、冷蔵室2内の空気の絶対湿度が下がり切っておらず、この最中に乾燥貯蔵室ダンパ54が「開」状態となると、乾燥貯蔵室50へ湿気が流入する可能性がある。
図4に示す通りステップS204を設けることにより、冷蔵室2内の空気が除湿されるまでの間に乾燥貯蔵室50へ湿気が流入することを防止でき、乾燥食品の品質の低下を抑えることができる。
【0030】
なお、ステップS204におけるTthDoorは、冷蔵庫1の各貯蔵室の内容量および単位時間あたりの空気循環量を参考に設定すればよく、例えば10秒から600秒の間で設定すればよい。また、冷蔵室2内に湿度センサ(図示せず)を設け、所定の水準まで冷蔵室2内の湿度が低下したことを検知した後に、ステップS105へ進む制御としてもよい。
【0031】
次に、空気が乾燥貯蔵室50に流入することにより乾燥貯蔵室50の絶対湿度が上昇する可能性ある場合を除霜運転の実施の有無で判断する場合について、
図2、
図5、
図6を用いて説明する。なお、
図5は、
図3のステップS103をステップS303に変更した制御フローチャートである。
【0032】
本実施例の冷蔵庫1においては、庫内空気が含んだ水分(水蒸気)が蒸発器14に霜として回収される。蒸発器14への着霜量が過大となると、各貯蔵室の冷却効率が低下するため、制御基板31は、除霜ヒータ22を発熱させて蒸発器14の除霜が実施される場合がある。この際、蒸発器14上の霜が水滴・水蒸気になって蒸発器室8内の空気の絶対湿度が増大し、この空気が冷蔵庫1内を対流することにより、乾燥貯蔵室50へ湿気が流入する可能性があった。そこで、具体的には、
図5のステップS303では、除霜運転中であるか否かを制御基板31によって検知し、除霜運転中である場合はステップS102に戻って乾燥貯蔵室ダンパ54を「閉」とすることで、除霜運転に起因する乾燥貯蔵室50への湿気流入により乾燥貯蔵室50の絶対湿度が上昇することを防止でき、乾燥食品の品質の低下を抑えることができる。
【0033】
より望ましくは、
図6の通りに冷蔵庫1を制御してもよい。
図6は、
図5のステップS303とS105との間にステップS404を設けた制御フローチャートである。
図6の制御は
図4の制御と同様に、除霜運転が終了してから一定時間(TthDef[秒])が経過するまでは乾燥貯蔵室ダンパ54が「開」状態とならないようにしている(ステップS404)。この制御により、除霜運転の終了後、冷蔵庫1の庫内に残留した湿気が乾燥貯蔵室50に流入することにより乾燥貯蔵室50の絶対湿度が上昇することを防止でき、乾燥食品の品質の低下を抑えることができる。
【0034】
なお、ステップS404におけるTthDefは、冷蔵庫1の各貯蔵室の内容量および単位時間あたりの空気循環量を参考に設定すればよく、例えば10秒から600秒の間で設定すればよい。また、冷蔵室2内に湿度センサ(図示せず)を設け、所定の水準まで冷蔵室2内の湿度が低下したことを検知した後に、ステップS105へ進む制御としてもよい。
【0035】
図3から
図6の制御フローチャートを実施する場合において、乾燥貯蔵室50に載置された食品の乾燥が完了した場合、乾燥貯蔵室ダンパ54を常時「閉」としてもよい。すなわち、食品の乾燥が完了した後には、乾燥貯蔵室に空気が流入しないようにしてもよい。この場合、ドア開閉や除霜運転に伴って冷蔵室2内の空気の絶対湿度が増大しても、乾燥貯蔵室50内の食品には影響を及ぼさないので、乾燥食品の品質を高い状態で維持することができる。なお、食品の乾燥終了判定については、例えば乾燥貯蔵室50内に食品の水分量検知手段や重量検知手段を設け、所定の水分量や重量を下回った時点で乾燥終了と判定すればよい。
【0036】
また、制御基板31は、
図3から
図6の制御フローチャートを実施しない場合においても、乾燥貯蔵室50に載置された食品の乾燥が完了した場合、乾燥貯蔵室ダンパ54を常時「閉」としてもよい。
【0037】
なお、本実施例では、制御基板31が
図3から
図6のいずれか1つを実施する例について説明したが、制御基板31は、
図3または
図4の一方に示す制御フローチャートと、
図5または
図6の一方に示す制御フローチャートとを平行して実施することもできる。
本実施例においては、乾燥貯蔵室50を冷凍室7内に設けている。乾燥貯蔵室50へ送風する場合は、冷凍室ダンパ21と乾燥貯蔵室ダンパ54とをともに開ける。このとき、冷凍室吐出口12aから吐出した空気が乾燥貯蔵室50へ送風され、乾燥貯蔵室50内に載置された食品(図示せず)の乾燥が進行する。