(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076526
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】表示システム、電子機器、および、校正方法
(51)【国際特許分類】
G09G 5/10 20060101AFI20240530BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240530BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20240530BHJP
G09G 5/02 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
G09G5/10 B
G09G5/00 550C
G09G5/10 D
G09G5/36 520P
G09G5/36 520B
G09G5/00 530D
G09G5/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188093
(22)【出願日】2022-11-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】肖 利民
(72)【発明者】
【氏名】楊 学雍
(72)【発明者】
【氏名】土橋 守幸
(72)【発明者】
【氏名】森 英俊
【テーマコード(参考)】
5C182
【Fターム(参考)】
5C182AA02
5C182AB08
5C182BA14
5C182CA21
5C182CA54
5C182CB44
5C182CB47
5C182CC01
(57)【要約】
【課題】画素を点灯させない非表示領域の大きさを必要最小限に定める。
【解決手段】カメラには複数の画素が配置された表示パネルの一部である透過領域を透過した光が入射する。制御部は、透過領域の一部分である点滅領域に配置された第1画素を発光させ、前記透過領域の他の部分である非点滅領域に配置された第2画素を発光させずにカメラに第1画像を撮影させ、第1画素と前記第2画素を発光させずにカメラに第2画像を撮影させ、撮影される画像全体の領域である撮影画像領域のうち、前記第1画像と前記第2画像に有意差が生じる領域である差分領域を検出し、差分領域と点滅領域との対応関係に基づいて、撮影画像領域に対応する透過領域内の領域を、前記カメラにより撮影された画像の表示を主目的とするとき画素を点灯させない非表示領域として定める。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が配置された表示パネルと、カメラと、制御部と、を備え、
前記カメラには前記表示パネルの一部である透過領域を透過した光が入射し、
前記制御部は、
前記透過領域の一部分である点滅領域に配置された第1画素を発光させ、前記透過領域の他の部分である非点滅領域に配置された第2画素を発光させずに前記カメラに第1画像を撮影させ、
前記第1画素と前記第2画素を発光させずに前記カメラに第2画像を撮影させ、
撮影される画像全体の領域である撮影画像領域のうち、前記第1画像と前記第2画像に有意差が生じる領域である差分領域を検出し、
前記差分領域と前記点滅領域との対応関係に基づいて、前記撮影画像領域に対応する前記透過領域内の領域を、前記カメラにより撮影された画像の表示を主目的とするとき画素を点灯させない非表示領域として定める
表示システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記点滅領域に配置された画素のうち所定の色を発光可能な画素を前記第1画素として発光させ、
前記所定の色の信号値に有意差が生じる画素が配置される領域を前記差分領域として定める
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記カメラに前記第1画像と前記第2画像を複数回撮影させ、
前記第1画像と前記第2画像との差分を累積して累積差分を算出し、
前記累積差分の絶対値が所定の差分の閾値を超える画素が配置される領域を前記差分領域として定める
請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記有意差が生じない領域である非差分領域と前記差分領域との境界で画定される画像の領域である部分画像領域を検出し、
前記部分画像領域の重心から前記撮影画像領域の重心への変位、および、
前記部分画像領域の径に対する前記非点滅領域の径の比を算出し、
前記非点滅領域から前記変位および前記比に基づいて、前記非表示領域を定める
請求項1に記載の表示システム。
【請求項5】
前記点滅領域の形状は、前記非点滅領域の外縁を囲む環状である
請求項4に記載の表示システム。
【請求項6】
前記非点滅領域の外縁の形状は、長方形である
請求項4に記載の表示システム。
【請求項7】
請求項1に記載の表示システムを備える
電子機器。
【請求項8】
複数の画素が配置された表示パネルと、カメラと、を備え、
前記カメラには前記表示パネルの一部である透過領域を透過した光が入射する表示システムにおける校正方法であって、
前記表示システムは、
前記透過領域の一部分である点滅領域に配置された第1画素を発光させ、前記透過領域の他の部分である非点滅領域に配置された第2画素を発光させずに前記カメラに第1画像を撮影させるステップと、
前記第1画素と前記第2画素を発光させずに前記カメラに第2画像を撮影させるステップと、
撮影される画像全体の領域である撮影画像領域のうち、前記第1画像と前記第2画像とに有意差が生じる領域である差分領域を検出するステップと、
前記差分領域と前記点滅領域との対応関係に基づいて、前記撮影画像領域に対応する前記透過領域内の領域を、前記カメラにより撮影された画像の表示を主目的とするとき画素を点灯させない非表示領域として定めるステップと、を実行する
校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示システム、電子機器、および、校正方法、例えば、カメラが設置された表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置には、カメラを備えるものがある。カメラは、表示面の一部の領域をなす透過領域の裏面に設置されることがある。これら複数の画素を用いて画像が表示される。透過領域では、個々の画素の間隙から被写体から投影される光の一部が透過される。かかる表示装置は、CUD(Camera Under Display)システムと呼ばれることがある。透過領域は、少なくともカメラの視野(FOV:Field of View)内に入射される光を透過する部分を含む。
【0003】
例えば、特許文献1には、第1の表示領域と第2表示領域とを含むOLEDアレイ基板、表示パネルおよび表示装置について記載されている。第1の表示領域は、第2の表示領域に隣接し、アレイ状に配列された第1のOLED画素を含む。第2の表示領域は、アレイ状に配列された第2のOLED画素を含む。第2のOLED画素の画素密度は、第1のOLED画素の画素密度よりも小さい。第2の表示領域の背面には画像撮像用のカメラが配置される。
【0004】
CUDシステムにおいて、カメラを動作させる場合、透過領域に配置された画素を消灯し、画像を表示させない。画像を表示させない領域は、非表示領域(black-out area)とも呼ばれる。非表示とすることでカメラへの画素から放射される光の入射が防止される。画素が発光した光がカメラに入射されると鮮明な画像が得られないためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CUDシステムを備える情報機器では、非表示領域のサイズを小さくすることが期待されることがある。非表示領域を小さくすることは、主に次のような場合に期待される。例えば、一度に複数のウィンドウ(multiple windows)が表示される場合、ランドスケープウィンドウ(landscape window)が用いられる場合、ユーザインタフェース(UI:User Interface)の設計がOS(Operating System)の制約に拘束される場合、などである。なお、ランドスケープウィンドウとは、縦長のポートレートウィンドウ(portrait window)とは異なり、水平方向よりも垂直方向の高さの方が短い横長のウィンドウを指す。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は上記の課題を解決するためになされたものであり、第1態様に係る表示システムは、複数の画素が配置された表示パネルと、カメラと、制御部と、を備え、前記カメラには前記表示パネルの一部である透過領域を透過した光が入射し、前記制御部は、前記透過領域の一部分である点滅領域に配置された第1画素を発光させ、前記透過領域の他の部分である非点滅領域に配置された第2画素を発光させずに前記カメラに第1画像を撮影させ、前記第1画素と前記第2画素を発光させずに前記カメラに第2画像を撮影させ、撮影される画像全体の領域である撮影画像領域のうち、前記第1画像と前記第2画像に有意差が生じる領域である差分領域を検出し、前記差分領域と前記点滅領域との対応関係に基づいて、前記撮影画像領域に対応する前記透過領域内の領域を、前記カメラにより撮影された画像の表示を主目的とするとき画素を点灯させない非表示領域として定める。
【0008】
上記の表示システムにおいて、前記制御部は、前記点滅領域に配置された画素のうち所定の色を発光可能な画素を前記第1画素として発光させ、前記所定の色の信号値に有意差が生じる画素が配置される領域を前記差分領域として定めてもよい。
【0009】
上記の表示システムにおいて、前記制御部は、前記カメラに前記第1画像と前記第2画像を複数回撮影させ、前記第1画像と前記第2画像との画素ごとの差分を累積して累積差分を算出し、前記累積差分の絶対値が所定の差分の閾値を超える画素が配置される領域を前記差分領域として定めるとして定めてもよい。
【0010】
上記の表示システムにおいて、前記制御部は、前記有意差が生じない領域である非差分領域と前記差分領域との境界で画定される画像の領域である部分画像領域を検出し、前記部分画像領域の重心から前記撮影画像領域の重心への変位、および、前記部分画像領域の径に対する前記非点滅領域の径の比を算出し、前記非点滅領域から前記変位および前記比に基づいて、前記非表示領域を定めてもよい。
【0011】
上記の表示システムにおいて、前記点滅領域の形状は、前記非点滅領域の外縁を囲む環状であってもよい。
【0012】
上記の表示システムにおいて、前記非点滅領域の外縁の形状は、長方形であってもよい。
【0013】
第2態様に係る電子機器は、上記の表示システムを備えていてもよい。
【0014】
第3態様に係る校正方法は、複数の画素が配置された表示パネルと、カメラと、を備え、前記カメラには前記表示パネルの一部である透過領域を透過した光が入射する表示システムにおける校正方法であって、前記表示システムは、前記透過領域の一部分である点滅領域に配置された第1画素を発光させ、前記透過領域の他の部分である非点滅領域に配置された第2画素を発光させずに前記カメラに第1画像を撮影させるステップと、前記第1画素と前記第2画素を発光させずに前記カメラに第2画像を撮影させるステップと、撮影される画像全体の領域である撮影画像領域のうち、前記第1画像と前記第2画像とに有意差が生じる領域である差分領域を検出するステップと、前記差分領域と前記点滅領域との対応関係に基づいて、前記撮影画像領域に対応する前記透過領域内の領域を、前記カメラにより撮影された画像の表示を主目的とするとき画素を点灯させない非表示領域として定めるステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0015】
本実施形態によれば、画素を点灯させない非表示領域の大きさを必要最小限に定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る電子機器の外観構成例を示す正面図である。
【
図2】本実施形態に係る電子機器の内部構成例を示す断面図である。
【
図3】本実施形態に係る電子機器のハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る電子機器の機能構成例を示す概略ブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る点滅領域と非点滅領域の設定例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る第1画像と第2画像を例示する図である。
【
図8】本実施形態に係る点滅領域と非点滅領域の他の設定例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る非表示領域の設定方法を説明するための説明図である。
【
図10】本実施形態に係る非表示領域の校正処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る電子機器1の外観構成例を示す正面図である。
図1に例示される電子機器1は、ノートブック型パーソナルコンピュータ(ノートPC:Personal Computer)として構成されている。電子機器1は、表示システム1dを備える。表示システム1dは、表示パネル14、カメラモジュール35および制御部100(後述)を備える。制御部100は、筐体BD01またはBD03に内蔵され、
図1には表れていない。
【0018】
筐体BD01の主面には、表示パネル14が設置される。カメラモジュール35は、表示パネル14の背面に設置される。筐体BD03の主面には、キーボード34kと、タッチセンサ34tが設置されている。筐体BD01、BD03それぞれの一辺は、ヒンジ機構121a、121bを用いて結合される。その一辺を回転軸として、筐体BD01、BD03の一方は、他方に対して回動可能としている。
【0019】
表示パネル14は、ほぼ平板の形状を有する表示デバイスである。表示パネル14には、複数の画素と基板を有し、基板の主面の大部分をなす表示領域において複数の画素が一定間隔で二次元配列されている。表示領域の一部には、透過領域CAが設けられている。透過領域CAでは、その周囲の領域である標準領域とは異なり画素間に間隙が設けられている。透過領域CAに到来する光は、画素間の間隙を通過し、その一部がカメラモジュール35に入射される。透過領域CAは、カメラ設置表示領域(CUD:Camera Under Display area)とも呼ばれる。
【0020】
カメラモジュール35には、透過領域CAを通過した光が入射され、入射された光が撮像面に投影されてなる画像が撮影される。透過領域CAの一部には、非表示領域(Black-out Area)BAが設けられる。カメラモジュール35により撮影された画像の表示を主目的とするとき非表示領域BAに配置された画素を点灯させない。その場合には、非表示領域BAでは、カメラモジュール35が撮影した画像は表示されない。非表示領域BAに配置された画素が消灯することで、画素から放射される光がカメラモジュール35に入射される事象が防止される。非表示領域BAを設けずに撮影される画像(
図5参照)のようにコントラストが低く被写体の輪郭が不明瞭にならずに済む。なお、「撮影された画像の表示を主目的とするとき」とは、その画像の表示を本来の目的とする場合を意味し、後述するように最小限領域MBAを非表示領域BAとして設定する場合を含まない。
【0021】
透過領域CAは、通例、カメラモジュール35の視野に対応する範囲(以下の説明では、「投影視野領域」(projected FOV)と呼ぶことがある)よりも大きくなるように設定されている。表示パネル14とカメラモジュール35とのわずかな位置関係の変動が生じても、近接する画素からの光がカメラモジュール35に入射される可能性があるためである。
図2に例示されるように、カメラモジュール35は、表示パネル14の背面に接着剤35aを用いて付着され、表示パネル14ともに治具35jの側面に支持される。表示パネル14の表面は、保護膜14gに覆われる。保護膜14gは、例えば、ガラスなどの透明な素材からなる。但し、治具35jの表面には、さらにマスクプリント14mが施されている。マスクプリント14mにより治具35jを覆い隠すためである。
図2の例では、マスクプリント14mは、黒色に塗付されている。
【0022】
比較例では、透過領域CAの全体を非表示領域BAとして設定されることがあった。非表示領域BAは、表示領域のうち、カメラモジュール35の光学中心OCから光軸OAを中心とする視野FOV(Field of View)で画定される領域MBA(投影視野領域に相当、以下の説明では、「最小限領域(Minimum Black-out Area)」と呼ぶことがある)を少なくとも含んでいれば十分である。視野FOVは、カメラモジュール35の光学系に透過領域CAからの透過光が入射される範囲に相当する。そのため、非表示領域BAの大きさが必要最小限の大きさよりも大きくなりがちである。非表示領域BAは、いかなる画像も表示しないうえ、黒色の斑点状の外観を呈する。これに対し、本実施形態では、制御部100が後述の手順を実行して最小限領域MBAを非表示領域BAとして定める。
【0023】
次に、本実施形態に係る電子機器1のハードウェア構成例について説明する。
図3は、本実施形態に係る電子機器1のハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。電子機器1は、CPU11、メインメモリ12、ビデオサブシステム13、表示パネル14、チップセット21、BIOS(Basic Input Output System、基本入出力システム)メモリ22、SSD(Solid State Drive)23、USB(Universal Serial Bus)コネクタ24、オーディオシステム25、ネットワークカード26、RTC(Real Time Clock)27、エンベデッドコントローラ(EC:Embedded Controller)30、電源回路31、バッテリ33、入力I/F(Interface)34、および、カメラモジュール35を備える。
【0024】
CPU11は、電子機器1の各部の機能を制御する中核となる演算処理装置である。CPU11は、メインメモリ12に展開されたプログラムに記述された指令で指示される処理を実行し、その機能を実現する。なお、本願では、プログラムに記述された指令で指示される処理を実行することを、「プログラムの実行」または「プログラムを実行する」などと呼ぶことがある。
【0025】
メインメモリ12は、CPU11により実行される各種のプログラムの読み込み領域を有する。メインメモリ12は、CPU11により取得された各種のデータ、CPU11により実行される処理に用いられる各種のデータを記憶するための作業領域を有する。CPU11により実行されるプログラムには、例えば、OS(Operating System、オペレーティングシステム)、周辺機器を操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム(本願では、「アプリ」と呼ぶことがある)などがある。また、CPU11とメインメモリ12は、電子機器1のコンピュータシステムをなすシステムデバイスに相当する。
【0026】
ビデオサブシステム13は、CPU11からの制御に従い描画処理を行って各種の表示データを生成し、表示パネル14に出力する。ビデオサブシステム13は、例えば、ビデオコントローラとビデオメモリを備える。ビデオコントローラは、CPU11から入力される描画指令に従って描画情報を生成し、生成した描画情報をビデオメモリに書き込む。ビデオコントローラは、ビデオメモリから描画情報を読み出し、読み出した描画情報を示す表示データを表示パネルに出力する。
表示パネル14は、ビデオサブシステムから入力される表示データで指示される表示画面を表示する。
【0027】
チップセット21には、各種のデバイスが接続され、個々のデバイスの動作または入出力を制御する。チップセット21は、各種のデータバスのコントローラを備える。チップセット21は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、LPC(Low Pin Connect)バスなどを有する。
図3の例では、チップセット21には、BIOSメモリ22、SSD23、USBコネクタ24、オーディオシステム25、ネットワークカード26、RTC27、エンベデッドコントローラ30およびカメラモジュール35が接続されている。
【0028】
BIOSメモリ22は、BIOS、エンベデッドコントローラ30などの各種デバイスの制御に用いられるシステムファームウェアなどが記憶される。BIOSメモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROMなど、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを含んで構成される。
SSD23は、補助記憶装置の一例である。SSD23には、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリ、などのプログラムの他、各種のデータを記憶する。電子機器1には、SSD23に代えて、または、SSD23とともに、HDD(Hard Disk Drive)などの他の種類の補助記憶装置が備わってもよい。
【0029】
オーディオシステム25は、各種の音声データの記録、符号化、復号、入出力などを行う。
ネットワークカード26は、無線または有線でネットワークに接続し、データ通信を行う。ネットワークカード26は、例えば、無線LAN(Local Area Network)を経由して、直接または他のネットワークを経由して他の機器と接続する。
RTC27は、その時点における日時を計測する。RTC27は、バックアップ用バッテリ(図示せず)から供給される電力を消費する。バックアップ用バッテリは、バッテリ33とは別個に設けられる。よって、RTC27は、電子機器1のシャットダウンにより電源回路31から電力の供給が停止されても定常的に日時を計測することができる。
【0030】
エンベデッドコントローラ30は、電源回路31を制御する電源管理機能と、入力I/F34からの入力データの入力制御機能を有する。エンベデッドコントローラ30は電源管理機能として、システムデバイスから通知される動作状態に基づいて電源回路31を制御し、CPU11を含む各デバイスに供給する電力を制御する。エンベデッドコントローラ30は、入力制御機能として、入力I/F34からの入力データの入力の要否を制御する。エンベデッドコントローラ30は、CPU11とメインメモリ12とは別個のCPUとメインメモリを有するマイクロコンピュータである。エンベデッドコントローラ30は、CPU11とメインメモリ12の動作状態に関わらず定常的に動作可能とする。
【0031】
電源回路31は、エンベデッドコントローラ30の制御に従って、各デバイスへの電力の供給を制御する。電源回路31は、例えば、DC(Direct Current)/DCコンバータ、充放電ユニット、AC(Alternating Current)/DCアダプタなどを含んで構成される。DC/DCコンバータは、充放電ユニットから供給される直流電力の電圧を、各デバイスで要求される電圧に変換し、変換した電圧を有する電力を当該デバイスに供給する。充放電ユニットは、AC/DCアダプタから供給される電力のバッテリ33への充電またはバッテリ33からの放電を制御する。充放電ユニットは、例えば、AC/DCアダプタから供給される電力の一部または全部をDC/DCコンバータに供給する。充放電ユニットは、AC/DCアダプタから供給される電力のうち消費されずに余った電力をバッテリ33に充電する。充放電ユニットは、AC/DCアダプタから電力が供給されないとき、またはAC/DCアダプタからの電力が不足するとき、バッテリ33から放電される電力をDC/DCコンバータに供給する。AC/DCアダプタは、外部の商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換された直流電力を充放電ユニットに供給する。
【0032】
バッテリ33は、電源回路31から供給される電力を充電可能とし、または、充電された電力を電源回路31の制御に従って放電する蓄電池である。
入力I/F34は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に応じて操作データを取得する入力デバイスを備える。
図1に例示されるキーボード34kとタッチセンサ34tは、入力I/F34の一部を構成する。入力I/F34は、タッチセンサ34tとは別個に、または、タッチセンサ34tに代えて、別個のタッチセンサを備えてもよい。別個のタッチセンサは、表示パネル14と重なり合うように一体化し、タッチパネルとして構成されてもよい。
【0033】
カメラモジュール35は、光学系に入射される光で表される画像を撮影する。カメラモジュール35は、撮影した画像を示す画像データをCPU11にチップセット21を経由して出力する。本実施形態では、カメラモジュール35の光学系には、透過領域CAの一部を透過した光が入射される。
【0034】
次に、本実施形態に係る電子機器1の機能構成例について説明する。
図4は、本実施形態に係る電子機器1の機能構成例を示す概略ブロック図である。電子機器1は、制御部100と、記憶部200と、表示パネル14と、カメラモジュール35とを有する。
制御部100は、表示パネル14に非表示領域BAを設定する。制御部100の機能は、グラフィックコントローラ、ビデオサブシステム13、CPU11のいずれか1個またはいずれかのコントローラの組み合わせにより実現される。グラフィックコントローラは、表示パネル14に付随し、表示パネル14への画像の輝度、色調、タイミングなどの制御を主目的とするものであってもよい。
制御部100の機能の一部または全部は、グラフィックコントローラまたはビデオサブシステム13が所定のプログラムを実行して実現される。制御部100の一部または全部は、グラフィックコントローラもしくはビデオサブシステム13に専用のデバイスドライバまたは所定のアプリケーションプログラムをCPU11が実行して実現されてもよい。
【0035】
記憶部200には、制御部100により実行されるプログラム、制御部100で用いられるデータ、制御部100により生成されるデータなどが記憶される。記憶部200は、制御部100の機能の実行主体となるコントローラに備わる記憶媒体(メモリ)を用いて実現される。CPU11が実行主体となる場合には、メインメモリ12またはSSD23などの補助記憶媒体により記憶部200の機能が実現されてもよい。
【0036】
制御部100は、表示制御部102と、撮影制御部104と、画像分析部106と、設定処理部108とを備える。
表示制御部102は、表示パネル14の表示領域のうち、点滅領域BLに配置された画素を点滅させる。表示制御部102は、画素の点滅において点灯期間と消灯期間を繰り返す。点灯期間と消灯期間として、それぞれ1フレームの画像の撮影に十分な期間(例えば、0.1~1.0秒)を予め表示制御部102に設定しておく。表示制御部102には、点滅領域BLとして透過領域CAの一部の領域を予め設定しておく。非点滅領域TAは、透過領域CAのうち点滅領域BL以外の領域に相当する。表示制御部102は、現時刻が点灯期間内の時刻であるか消灯期間内の時刻であるかに関わらず非点滅領域TAにおける画素を消灯したままにする。
【0037】
撮影制御部104は、点灯期間においてカメラモジュール35に画像を撮影させ、撮影させた画像を第1画像として示す第1画像データを取得する。撮影制御部104は、消灯期間においてカメラモジュール35に画像を撮影させ、撮影させた画像を第2画像として示す第2画像データを取得する。撮影制御部104は、点灯期間と消灯期間からなる制御周期ごとに第1画像データと第2画像データを取得する処理を繰り返してもよい。撮影制御部104は、取得した第1画像データと第2画像データを記憶部200に記憶する。
【0038】
画像分析部106は、記憶部200に記憶された第1画像データと第2画像データを読み出す。画像分析部106は、読み出した第1画像データに示される第1画像の輝度と第2画像データに示される第2画像の輝度に有意差が生じる領域を差分領域として検出する。画像分析部106は、第1画像を表す輝度値と第2画像を表す輝度値との差分を画素ごとに算出し、算出した差分の絶対値が所定の差分の閾値以上となる画素を有する領域を差分領域として検出することができる。
【0039】
第1画像は点灯期間内に撮影された画像であり、第2画像は消灯期間内に撮影された画像であるため、カメラモジュール35の視野FOVのうち点滅領域BLに対応する部分が差分領域として検出される。他方、カメラモジュール35の視野FOVのうち非点滅領域TAに対応する部分において、第1画像と第2画像の間で輝度の有意差は生じない。画像分析部106は、検出した差分領域を示す差分領域データを記憶部200に記憶する。
【0040】
設定処理部108は、記憶部200に記憶された差分領域データを読み出し、読み出した差分領域データに示される差分領域を特定する。設定処理部108は、特定した差分領域と予め設定された点滅領域BLとの幾何的関係に基づいて、第1画像または第2画像の全体をなす撮影画像領域に対応する透過領域CA内の領域を非表示領域BAとして定める。表示パネル14は、非表示領域BAに配置された画素を消灯し、ビデオサブシステム13から入力される表示データに示される表示画像を表示しない。設定処理部108は、例えば、定めた非表示領域BAを示す非表示領域情報を表示制御部102に出力する。表示制御部102は、表示画像のうち非表示領域情報で指示される非表示領域BA内に配置される画素ごとに消灯に相当する輝度値(例えば、0)を設定し、それ以外の画素ごとの輝度値を変更せずに維持する。表示制御部102は、画素ごとの輝度値を示す表示データを表示パネル14に出力する。設定処理部108は、表示パネル14の表示領域に配置された画素のうち、非表示領域BA内に配置された画素に対する電力の供給を停止して、消灯させてもよい。その場合、設定処理部108は、表示制御部102に対する非表示領域BAの画素に対する輝度値の設定を要しない。
【0041】
次に、本実施形態に係る点滅領域BLと非点滅領域TAの設定例について説明する。
図6は、本実施形態に係る点滅領域BLと非点滅領域TAの一設定例を示す図である。点滅領域BLは、その一部または全部と、非点滅領域TAの一部または全部とがカメラモジュール35の既知の視野FOVに対応する領域に含まれるように表示制御部102に予め設定しておく。
図6の例では、点滅領域BLの形状は非点滅領域TAの外縁を囲む環状である。点滅領域BLと非点滅領域TAそれぞれの外縁の形状は、それぞれ矩形である。点滅領域BLの外縁は視野FOVに対応する領域を含み、点滅領域BLの内縁もしくは非点滅領域TAの外縁は視野FOVに対応する領域に含まれる。この配置によりカメラモジュール35により撮影される画像には、点滅領域BLに対応する領域と非点滅領域TAに対応する領域が含まれる。
【0042】
次に、本実施形態に係る第1画像と第2画像の例について説明する。
図7(a)、(b)は、それぞれ第1画像、第2画像を例示する。図示される第1画像と第2画像は、共通の被写体および背景を示す。第1画像は点滅領域BLにおける画素の発光期間において撮影されている。そのため、点滅領域BLに対応する部分において第1画像と第2画像との間で輝度に有意差が生じる。これに対し、非点滅領域TAに対応する部分では第1画像と第2画像との間で輝度に有意差は生じない。従って、輝度に有意差が生じる差分領域と視野FOV内の点滅領域BLとの幾何的関係に基づいて、第1画像もしくは第2画像の全体である撮影画像領域に対応する透過領域CA内の領域を最小限領域MBAとして定まる。この最小限領域MBAを非表示領域BAとして採用することで、非表示領域BAの大きさが必要最小限となる。
【0043】
次に、点滅領域BLと非点滅領域TAの他の設定例について説明する。
図8は、本実施形態に係る点滅領域BLと非点滅領域TAの他の設定例を示す図である。
図8に例示される非点滅領域TAは、表示パネル14の表示領域のうち視野FOVに対応する最小限領域MBAに相当する。カメラモジュール35から取得される第1画像もしくは第2画像の全体である撮影画像領域が非点滅領域TAに対応する。この例では、非点滅領域TAが非表示領域BAに対応するので、非点滅領域TAの周囲に設定される点滅領域BLに対応する差分領域が検出されない。しかしながら、非点滅領域TAが非表示領域BAより大きい場合も差分領域が検出されない。そのため、設定処理部108は、差分領域を検出できないことをもって、直ちに非点滅領域TAを非表示領域BAとして定めることはできない。そこで、設定処理部108は、差分領域を検出できない場合には、より小さい非点滅領域TAを設定する。そして、画像分析部106は、非点滅領域TAの設定後に撮影された第1画像と第2画像から差分領域が検出されるか否かを判定する。設定処理部108は、差分領域の検出に成功するとき、検出した差分領域に基づいて非表示領域BAを定めればよい。
【0044】
次に、本実施形態に係る非表示領域BAの設定方法の具体例について説明する。
図9は、本実施形態に係る非表示領域BAの設定方法を説明するための説明図である。
図9の例では、非点滅領域TAに対応する部分画像領域の幅、高さがそれぞれw1、h1、撮影画像領域の幅、高さがそれぞれw2、h2、部分画像領域の重心から撮影画像領域の重心までの変位が(Δx,Δy)、その時点における非点滅領域TAの幅、高さ、重心の座標がそれぞれW、H、(X,Y)である場合を仮定する。
その場合、設定処理部108は、非表示領域BAの幅、高さ、中心を、それぞれ
W・w2/w1、H・h2/h1、(X+Δx・W/w1,Y+Δy・H/h1)
と定めることができる。部分画像領域は、撮影画像領域のうち、差分領域と輝度に有意差が生じない非差分領域との境界で画定される領域に相当する。
【0045】
即ち、非表示領域BAの幅は、部分画像領域の幅に対する撮影画像領域の幅の比を非点滅領域TAの幅に乗じて得られる。非表示領域BAの高さは、部分画像領域の高さに対する撮影画像領域の高さの比を非点滅領域TAの高さに対して乗じて得られる。非表示領域BAの中心座標は、部分画像領域の中心座標から撮影画像領域の中心までの変位を換算して得られる透過領域CA上の変位を加算して得られる。透過領域CA上の変位は、部分画像領域の中心から撮影画像領域の中心までの水平方向、垂直方向それぞれの変位に対して、部分画像領域の幅に対する非点滅領域TAの幅の比と部分画像領域の高さに対する非点滅領域TAの高さの比を乗じて得られる。なお、設定処理部108は、非表示領域BAを定める際、カメラモジュール35におけるレンズの歪み補正、レンズの焦点距離、などの要件を、さらに考慮した手法を用いてもよい。
【0046】
次に、本実施形態に係る非表示領域BAの校正処理(calibration)の例について説明する。
図10は、本実施形態に係る非表示領域BAの校正処理を例示するフローチャートである。
(ステップS102)表示制御部102は、点灯期間において点滅領域BLに配置された画素を点灯させる。
(ステップS104)撮影制御部104は、点灯期間においてカメラモジュール35に第1画像を撮影させる。
【0047】
(ステップS106)表示制御部102は、消灯期間において点滅領域BLに配置された画素を消灯させる。
(ステップS108)撮影制御部104は、消灯期間においてカメラモジュール35に第2画像を撮影させる。
【0048】
(ステップS110)表示制御部102は、点滅領域BLに対する点滅の繰り返し回数に1加算し、その繰り返し回数を計数する。表示制御部102には、
図10の処理の開始前に、繰り返し回数の初期値として0を設定しておく。
表示制御部102は、計数した繰り返し回数が所定の繰り返し回数の基準値(例えば、5~10回)に達したか否かを判定する。達したと判定するとき(ステップS110 YES)、ステップS112の処理に進む。達していないと判定するとき(ステップS110 NO)、ステップS102の処理に戻る。
【0049】
(ステップS112)画像分析部106は、第1画像の輝度値から第2画像の輝度値を差し引いて得られる差分を点滅の繰り返し間で累積して累積差分を算出する。画像分析部106は、累積差分の絶対値が所定の差分の閾値を超える画素を特定し、特定した画素を含む領域を差分領域として検出する。
(ステップS114)画像分析部106は、検出した差分領域と点滅領域との対応関係に基づいて、撮影画像領域に対する透過領域CA内の領域を非表示領域BAとして定める。その後、
図10の処理を終了する。
【0050】
なお、上記の説明では、点滅領域BLに含まれる全ての画素を一斉に点滅させることを前提としたが、これには限られない。表示パネル14に複数の色の光を発光する画素が配列されている場合には、表示制御部102は、特定の色の光を発光可能な画素を点滅させ、他の色の光を発光可能な画素を消灯したままにしてもよい。撮影される画像において用いられる可能性が少ない色(例えば、赤)を画素の点滅対象とする色として設定しておくことで、点滅による輝度に有意差が生じる差分領域を的確に検出することができる。
【0051】
また、電子機器1は、ノートPCに限られず、タブレット端末装置、携帯電話機、など、他の形態の情報機器として構成されてもよい。また、表示システム1dは、表示パネル14、カメラモジュール35およびグラフィックコントローラが一体化した表示装置として構成されてもよい。また、表示システム1dにおいて、その一部であるコントローラが、表示パネル14とカメラモジュール35と別体に構成されてもよい。
【0052】
上記の説明では、点滅領域BLの形状が非点滅領域TAを囲む環状である場合を例にしたが、これには限られない。カメラモジュール35の視野FOV内に点滅領域BLの少なくとも一部と非点滅領域TAの少なくとも一部が含まれ、第1画像と第2画像から得られる差分画像と点滅領域BLとの幾何的関係を導出できれば、点滅領域BL、非点滅領域TAそれぞれの形状、大きさ、位置、個数、および、点滅領域BLの非点滅領域TAに対する包含関係の有無などは任意である。例えば、カメラモジュール35の視野内の三角形の頂点のそれぞれに1画素からなる点滅領域BLが設定され、その他の領域が非点滅領域TAとして設定されてもよい。
【0053】
以上に説明したように、本実施形態に係る表示システム1dは、複数の画素が配置された表示パネル14と、カメラ(例えば、カメラモジュール35)と、制御部100と、を備える。カメラには表示パネル14の一部である透過領域CAを透過した光が入射する。制御部100は、透過領域CAの一部分である点滅領域BLに配置された第1画素を発光させ、透過領域CAの他の部分である非点滅領域TAに配置された第2画素を発光させずカメラに第1画像を撮影させ、第1画素と第2画素を発光させずにカメラに第2画像を撮影させ、撮影される画像全体の領域である撮影画像領域のうち、第1画像と第2画像に有意差が生じる領域である差分領域を検出し、差分領域と点滅領域との対応関係に基づいて、撮影画像領域に対応する透過領域内の領域を、前記カメラにより撮影された画像の表示を主目的とするとき画素を点灯させない非表示領域BAとして定める。
この構成によれば、点滅領域BLに配置された第1画素の点滅により輝度に有意差が生じる差分領域と既知の点滅領域BLとの関係を用い、透過領域CAのうち撮影画像領域に対応するカメラの視野内の領域を非表示領域BAとして定めることができる。そのため、非表示領域BAを画素からカメラへの入射光の防止に必要最小限の大きさに限定することができる。
【0054】
また、制御部100は、点滅領域BLに配置された画素のうち所定の色(例えば、赤)を発光可能な画素を第1画素として発光させ、所定の色の信号値に有意差が生じる画素が配置される領域を差分領域として定めてもよい。
この構成によれば、第1画像と第2画像との間で所定の色に生じる輝度の差異に基づいて差分領域が定まる。そのため、第2画像で用いられる可能性が少ない色を所定の色として採用することで、差分領域を的確に検出することができる。
【0055】
また、制御部100は、カメラに第1画像と第2画像を複数回撮影させ、第1画像と第2画像との画素ごとの差分を累積して累積差分を算出し、累積差分の絶対値が所定の差分の閾値を超える画素が配置される領域を差分領域として定めてもよい。
この構成によれば、複数回撮影された第1画像と第2画像との差分を累積して得られた累積差分が著しい領域が差分領域として得られる。累積差分において各回の撮影で生じうるノイズ成分が信号成分に対して相対的に低減するため、差分領域を的確に検出することができる。
【0056】
また、制御部100は、第1画像と第2画像の有意差が生じない領域である非差分領域と差分領域との境界で画定される画像の領域である部分画像領域を検出し、部分画像領域の重心から撮影画像領域の重心への変位、および、部分画像領域の径に対する非点滅領域の径の比を算出し、算出した変位および比に基づいて、非点滅領域から非表示領域BAを定めてもよい。
この構成によれば、部分画像領域の重心から撮影画像領域の重心への変位と部分画像領域の径に対する非点滅領域TAの径の比を用いて、簡素な演算により非表示領域BAを定めることができる。
【0057】
また、点滅領域BLの形状は、非点滅領域TAの外縁を囲む環状であってもよい。
この構成によれば、点滅領域BLの少なくとも一部と非点滅領域TAの全体を含むようにカメラの視野を設定することができる。そのため、部分画像領域と非点滅領域TAに基づいて非表示領域BAを容易に設定することができる。
【0058】
非点滅領域の外縁の形状は、長方形(例えば、矩形)であってもよい。
この構成によれば、部分画像領域の径、非表示領域の径として、それぞれ幅と高さを用いることができる。そのため、簡素な演算により非表示領域BAを定めることができる。
【0059】
本実施形態は、制御部100の機能を有するグラフィックコントローラと、第1画素と第2画素を配置した表示パネル14を備える表示装置として構成されてもよい。表示装置は、透過領域CAの裏面にカメラモジュール35を備えてもよい。
【0060】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0061】
1…電子機器、1d…表示システム、12…メインメモリ、13…ビデオサブシステム、14…表示パネル、21…チップセット、22…BIOSメモリ、23…SSD、24…USBコネクタ、25…オーディオシステム、26…ネットワークカード、27…RTC、30…エンベデッドコントローラ、31…電源回路、33…バッテリ、34…入力I/F、35…カメラモジュール、100…制御部、102…表示制御部、104…撮影制御部、106…画像分析部、108…設定処理部、200…記憶部、CA…透過領域、BA…非表示領域、BL…点滅領域、TA…非点滅領域
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が配置された表示パネルと、カメラと、制御部と、を備え、
前記カメラには前記表示パネルの一部である透過領域を透過した光が入射し、
前記制御部は、
前記透過領域の一部分である点滅領域に配置された第1画素を発光させ、前記透過領域の他の部分である非点滅領域に配置された第2画素を発光させずに前記カメラに第1画像を撮影させ、
前記第1画素と前記第2画素を発光させずに前記カメラに第2画像を撮影させ、
撮影される画像全体の領域である撮影画像領域のうち、前記第1画像と前記第2画像に有意差が生じる領域である差分領域を検出し、
前記差分領域と前記点滅領域との対応関係に基づいて、前記撮影画像領域に対応する前記透過領域内の領域を、画素を点灯させない非表示領域として定め、前記カメラにより撮影された画像を前記表示パネルに表示させる
表示システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記点滅領域に配置された画素のうち所定の色を発光可能な画素を前記第1画素として発光させ、
前記所定の色の信号値に有意差が生じる画素が配置される領域を前記差分領域として定める
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記カメラに前記第1画像と前記第2画像を複数回撮影させ、
前記第1画像と前記第2画像との差分を累積して累積差分を算出し、
前記累積差分の絶対値が所定の差分の閾値を超える画素が配置される領域を前記差分領域として定める
請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記有意差が生じない領域である非差分領域と前記差分領域との境界で画定される画像の領域である部分画像領域を検出し、
前記部分画像領域の重心から前記撮影画像領域の重心への変位、および、
前記部分画像領域の径に対する前記非点滅領域の径の比を算出し、
前記非点滅領域から前記変位および前記比に基づいて、前記非表示領域を定める
請求項1に記載の表示システム。
【請求項5】
前記点滅領域の形状は、前記非点滅領域の外縁を囲む環状である
請求項4に記載の表示システム。
【請求項6】
前記非点滅領域の外縁の形状は、長方形である
請求項4に記載の表示システム。
【請求項7】
請求項1に記載の表示システムを備える
電子機器。
【請求項8】
複数の画素が配置された表示パネルと、カメラと、を備え、
前記カメラには前記表示パネルの一部である透過領域を透過した光が入射する表示システムにおける校正方法であって、
前記表示システムは、
前記透過領域の一部分である点滅領域に配置された第1画素を発光させ、前記透過領域の他の部分である非点滅領域に配置された第2画素を発光させずに前記カメラに第1画像を撮影させるステップと、
前記第1画素と前記第2画素を発光させずに前記カメラに第2画像を撮影させるステップと、
撮影される画像全体の領域である撮影画像領域のうち、前記第1画像と前記第2画像とに有意差が生じる領域である差分領域を検出するステップと、
前記差分領域と前記点滅領域との対応関係に基づいて、前記撮影画像領域に対応する前記透過領域内の領域を、画素を点灯させない非表示領域として定め、前記カメラにより撮影された画像を前記表示パネルに表示させるステップと、を実行する
校正方法。