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  • 特開-車両のドア構造 図1
  • 特開-車両のドア構造 図2
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  • 特開-車両のドア構造 図5
  • 特開-車両のドア構造 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076527
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】車両のドア構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20240530BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B60J5/00 501E
B60J5/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188094
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】清水 源太郎
(72)【発明者】
【氏名】永田 勇介
(57)【要約】
【課題】側面衝突の検知性能を向上し易い車両のドア構造を提供する。
【解決手段】サービスホールが設けられたドアインナパネルと前記サービスホールを塞ぐカバーとを有するドア本体と、前記ドア本体の車内側を覆うドアトリムと、を備え、前記ドアトリムは、前記サービスホールに重なるように設けられたアームレストを有し、前記ドア本体は、前記アームレストに重なる箇所で前記サービスホールを跨ぐように前記ドアインナパネルに固定されたブラケットを有し、前記カバーは、前記ブラケットによって車外側に押圧されている、車両のドア構造。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスホールが設けられたドアインナパネルと前記サービスホールを塞ぐカバーとを有するドア本体と、
前記ドア本体の車内側を覆うドアトリムと、を備え、
前記ドアトリムは、前記サービスホールに重なるように設けられたアームレストを有し、
前記ドア本体は、前記アームレストに重なる箇所で前記サービスホールを跨ぐように前記ドアインナパネルに固定されたブラケットを有し、
前記カバーは、前記ブラケットによって車外側に押圧されている、
車両のドア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側面衝突の検知性能を向上し易い車両のドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の車両のサイドドアは、ドアパネルとドアパネルの車内側を覆うドアトリムとを有する。ドアパネルは、ドアアウタパネルとドアインナパネルとを有する。ドアアウタパネルとドアインナパネルの間には空間が形成されている。上記空間には、圧力センサが配置されている。圧力センサは、上記空間の圧力変化を検知する。上記車両は、圧力センサによって検知された圧力変化に基づいて車両の側面衝突が検知されている。ドアインナパネルは、サービスホールが設けられている。サービスホールは、サービスホールカバーによって塞がれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-79044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記車両では、サービスホールカバーによってサービスホールが塞がれていることで、圧力センサが側面衝突時に上記空間の圧力変化を検知し易くしている。側面衝突の検知性能を向上することができるドア構造の開発が望まれている。
【0005】
本発明の目的の一つは、側面衝突の検知性能を向上し易い車両のドア構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両のドア構造は、
サービスホールが設けられたドアインナパネルと前記サービスホールを塞ぐカバーとを有するドア本体と、
前記ドア本体の車内側を覆うドアトリムと、を備え、
前記ドアトリムは、前記サービスホールに重なるように設けられたアームレストを有し、
前記ドア本体は、前記アームレストに重なる箇所で前記サービスホールを跨ぐように前記ドアインナパネルに固定されたブラケットを有し、
前記カバーは、前記ブラケットによって車外側に押圧されている。
【発明の効果】
【0007】
車両のドア構造は、カバーが車外側に押圧されていることによって、カバーによるサービスホールのシール性が向上する。そのため、上述した圧力センサによる側面衝突の検知性能が向上する。その上、水分がサービスホールから車内へ侵入することが抑制される。車両のドア構造は、シール性を向上させるためにブラケットとは別部材を設ける必要がないため、重量化及び高コスト化を招き難い上に生産性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の車両のドア構造の側面図である。
図2図2は、実施形態の車両のドア構造に備えるドア本体の側面図である。
図3図3は、図1のIII-III断面図である。
図4図4は、図1のIV-IV断面図である。
図5図5は、図1のV-V断面図である。
図6図6は、図1のVI-VI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の車両のドア構造の実施形態を図1から図6を参照しつつ以下に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。図中の「UP」は本実施形態の車両のドア構造1が設けられる車両の上方、「LWR」は下方、「FR」は前方、「RR」は後方、「RH」は右方、「LH」は左方を示す。以下の説明の「上」、「下」、「前」、「後」、「右」、および「左」のそれぞれは、上記車両の「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「右方」、および「左方」のそれぞれに対応している。
【0010】
《実施形態》
〔車両のドア構造〕
実施形態の車両のドア構造1は、車両の左右のドア開口を開閉する。ドア構造1は、図1に示されるように、ドア本体2とドアトリム6とを備える。ドア本体2は、サービスホール22が設けられたドアインナパネル21と、サービスホール22を塞ぐカバー3とを有する。ドアトリム6は、ドア本体2の車内側を覆っている。実施形態の車両のドア構造1の特徴の一つは、ドア本体2が有する特定のブラケット4によってカバー3が車外側に押圧されている点にある。
【0011】
[ドアトリム]
ドアトリム6は、ドアインナパネル21の車内側を覆う内装部材である。ドアトリム6は、ドアインナパネル21のベルトラインよりも下方部分の車内側をほぼ全域にわたって覆っている。ドアトリム6は、樹脂成形体である。ドアトリム6は、第一締付部材51と第二締付部材52と図示が省略された複数の係合爪とによってドアインナパネル21に取り付けられている。第一締付部材51は、後述するブラケット4をカバー3と共にドアインナパネル21に固定する。即ち、図3に示されるように、第一締付部材51によって、ドアトリム6とブラケット4とカバー3とドアインナパネル21とが共締めされている。第二締付部材52は、ブラケット4をドアインナパネル21に固定する。即ち、第二締付部材52によって、ドアトリム6とブラケット4とドアインナパネル21とが共締されている。第二締付部材52も第一締付部材51と同様、ドアトリム6とブラケット4とカバー3とドアインナパネル21とを共締してもよい。各係合爪は、ドアインナパネル21に引っ掛けられている。
【0012】
ドアトリム6は、図1に示されるように、スイッチベース61、プルハンドル62、およびアームレスト63を有する。スイッチベース61は、図示は省略されているものの、パワーウインドスイッチ、ロック解除スイッチなどの各種のスイッチが設けられる。スイッチベース61は、ドアトリム6に別途取り付けられる。アームレスト63は、乗員の肘置きである。アームレスト63は、ドアトリム6に別途取り付けられている。アームレスト63は、図1に示されるようにドア構造1を側方視した際、即ちドア構造1を車内側から車外側に向かって見た際、ドアインナパネル21のサービスホール22に重なる位置に設けられている。プルハンドル62は、ドア構造1によって車両のドア開口を閉じる際に乗員によって引っ張られる。プルハンドル62は、図1に示されるように、スイッチベース61とアームレスト63との間に設けられている。プルハンドル62は、図3図4に示されるように、スイッチベース61の延長部610とアームレスト63の延長部630とを組み合わせることで構成されている。延長部610は、図示が省略された前壁、図示が省略された後壁、外壁611、内壁612、および底壁613を備え、上方に開口されている。延長部630は、アームレスト63の後部よりも車内側に偏って配置された幅の狭い領域であり、内壁612の上端を車外側から車内側に覆う湾曲状に構成されている。上方に開口された部分に乗員の指が差し込まれ、延長部630に乗員の手が引っ掛けられる。プルハンドル62は、図1に示されるようにドア構造1を上記側方視した際、後述するブラケット4の第一部分41と重なる位置に設けられている。
【0013】
[ドア本体]
ドア本体2は、図示が省略されたドアアウタパネルとドアインナパネル21とカバー3とブラケット4とを備える。
【0014】
ドアアウタパネルはドア構造1の車外側の意匠面を構成する。ドアインナパネル21はドアアウタパネルの車内側に配置される。ドアアウタパネルとドアインナパネル21との間には空間が設けられている。この空間には、図示が省略された圧力センサが設けられている。圧力センサは、上記空間の圧力変化を検知する。上記空間の圧力変化を検知することで、側面衝突を検知する。ドアインナパネル21には、サービスホール22が設けられている。サービスホール22は、車両のドア構造1の組立時に上記空間内に作業者の手を差し込むための孔である。
【0015】
カバー3は、図2に示されるように、サービスホール22を塞いでいる。カバー3は、サービスホール22に対応している第一領域31と、第一領域31の周囲に設けられた第二領域32とを有する。第一領域31は、図2に示されるようにカバー3を上記側方視した際、サービスホール22に重なっている。即ち、第一領域31は、ドアインナパネル21の車内側の面に向かい合うことなく、サービスホール22に向かい合う領域である。第二領域32は、サービスホール22よりも外側に設けられている。第二領域32は、ドアインナパネル21の車内側の面に向かい合っている。第二領域32は、上述した第一締付部材51と複数の第三締付部材53と複数の樹脂クリップ54とによってドアインナパネル21に固定されている。第二領域32の外周縁部は、全周にわたってシールされている。
【0016】
ブラケット4は、ドアインナパネル21を補強している。本実施形態のブラケット4は、細長い板状片で構成されている。本実施形態のブラケット4は、ブラケット4の長手に沿った方向が車両の前後に沿うように設けられている。なお、本実施形態とは異なり、ブラケット4は、ブラケット4の長手に沿った方向が上下方向に沿うように設けられていてもよいし、上下方向および前後方向の両方向に交差する方向に沿うように設けられていてもよい。ブラケット4は、図1に示されるようにブラケット4を上記側方視した際、アームレスト63に重なる箇所でサービスホール22を跨ぐようにドアインナパネル21に固定されている。
【0017】
ブラケット4は、図2に示されるように、前方から後方に向かって順に第一部分41、第二部分42、第三部分43、および第四部分44を有する。第一部分41は、図2に示されるようにブラケット4を上記側方視した際、サービスホール22よりも前方に位置するカバー3の第二領域32に重なる。第一部分41は、第一締付部材51によってドアインナパネル21に固定されている。第一部分41は、図1に示されるようにドア構造1を上記側方視した際、図3図4に示されるようにプルハンドル62に重なっている。第二部分42は、図2に示されるようにブラケット4を上記側方視した際、図5に示されるようにカバー3の第一領域31に重なる。即ち、第二部分42は、図2に示されるようにブラケット4を上記側方視した際、図5に示されるようにサービスホール22に重なる。第三部分43は、図2に示されるようにブラケット4を上記側方視した際、図6に示されるようにサービスホール22よりも後方に位置するカバー3の第二領域32に重なる。第四部分44は、図2に示されるようにブラケット4を上記側方視した際、カバー3から露出するドアインナパネル21に重なっている。第四部分44は、第二締付部材52によってドアインナパネル21に固定されている。
【0018】
本実施形態のブラケット4は、図3から図6に示されるように、カバー3を車外側へ押圧する押圧部45を有する。押圧部45がカバー3を車外側に押圧することによって、カバー3によるサービスホール22のシール性が向上する。そのため、上述した圧力センサによる側面衝突の検出性能が向上する。その上、水分がサービスホール22から車内へ侵入することが抑制される。車両のドア構造1は、シール性を向上させるためにブラケット4とは別部材を設ける必要がないため、重量化及び高コスト化を招き難い上に生産性に優れる。
【0019】
本実施形態の押圧部45は、ブラケット4の下部から車外側に向かって突出するように設けられている。押圧部45は、断面形状がC字状に構成されている。押圧部45は、図2に示されるようにブラケット4を上記側方視した際、ブラケット4におけるカバー3と重なる領域に設けられている。本実施形態の押圧部45は、図2に示されるようにブラケット4を上記側方視した際、ブラケット4の第四部分44を除き、ブラケット4の第一部分41、第二部分42、および第三部分43の全域にわたって設けられている。本実施形態の押圧部45は、図3図4に示されるようにサービスホール22の前方に位置するカバー3の第二領域32を車外側に押圧し、図5に示されるようにカバー3の第一領域31を車外側に押圧し、図6に示されるようにサービスホール22の後方に位置するカバー3の第二領域32を車外側に押圧している。図6に示されるように、押圧部45はカバー3の外周縁を車外側に押圧している。本実施形態とは異なり、押圧部45は、ブラケット4におけるカバー3の第一領域31または第二領域32に重なる領域にのみ設けられていてもよい。その場合、押圧部45は、カバー3の第一領域31または第二領域32のみを車外側に押圧する。
【0020】
本発明は、これらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
例えば、ブラケットは上記第一締付部材と上記第二締付部材ではなく樹脂クリップによってドアインナパネルに取り付けられていてもよい。
【0022】
例えば、カバーが押圧部を有していてもよい。この押圧部は、カバーの一部が車内側に向かって突出するように設けられている。ブラケットをカバーの押圧部に押し付けるように取り付ければ、押圧部がブラケットを押圧する反力によってカバーが車内側に押圧される。
【符号の説明】
【0023】
1 車両のドア構造
2 ドア本体
21 ドアインナパネル
22 サービスホール
3 カバー
31 第一領域
32 第二領域
4 ブラケット
41 第一部分
42 第二部分
43 第三部分
44 第四部分
45 押圧部
51 第一締付部材
52 第二締付部材
53 第三締付部材
54 樹脂クリップ
6 ドアトリム
61 スイッチベース
610 延長部
611 外壁
612 内壁
613 底壁
62 プルハンドル
63 アームレスト
630 延長部
図1
図2
図3
図4
図5
図6