(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076544
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】防音部材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/86 20060101AFI20240530BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
E04B1/86 U
A47C7/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188126
(22)【出願日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 辰夫
【テーマコード(参考)】
2E001
3B084
【Fターム(参考)】
2E001GA28
2E001HD11
3B084JA01
3B084JA02
(57)【要約】
【課題】防音面の表面積を適切に広げることが可能な防音部材及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】防音部材10は、面状の防音材11を備える。防音材11が、防音材11を面直視で見た面内方向において互いに直交する2軸上に蛇腹構造が繰り返される折りパターンLPを持つ防音面を有する。防音部材10にこのような折りパターンLPを設けることで、一方向にのみ蛇腹構造が繰り返される構成と比べて、防音面の表面積を広く確保することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状の防音材を備える防音部材であって、
前記防音材が、前記防音材を面直視で見た面内方向において互いに直交する2軸上に蛇腹構造が繰り返される起伏パターンを持つ防音面を有する防音部材。
【請求項2】
請求項1に記載の防音部材であって、
前記起伏パターンが、前記面内方向に沿う第1方向の複数箇所から前記第1方向と直交する第2方向に面直方向の山谷を反復的に繰り返すように前記面直視で直線状に延びる縦折れ線と、複数の前記縦折れ線を各々の山の頂の間を繋ぐように横切る山の折れと各々の谷の底の間を繋ぐように横切る谷の折れとを成すように前記第2方向の複数箇所から前記第1方向に前記面直視でジグザグ状に延びる横折れ線と、を有し、複数の前記縦折れ線と複数の前記横折れ線とで仕切られる個々の仕切り面が矩形以外の四角形となる起伏のパターンとされる防音部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の防音部材であって、
前記防音面に重ね合わされるように前記防音材に積層されて前記防音部材の防音性能を高める面状の積層材を更に有する防音部材。
【請求項4】
請求項3に記載の防音部材であって、
前記積層材を前記防音面の谷辺には接合するが山辺には接合しない接合部を更に有する防音部材。
【請求項5】
請求項2に記載の防音部材であって、
前記防音材が、座席装置を上方から覆うキャノピー装置の座席前後方向に弛張を伴って展開収納される可動幌とされ、前記起伏パターンが、前記可動幌に山谷の折りぐせを付ける折りパターンとされ、前記可動幌が、収納に伴う弛緩によって前記折りパターンの折り線に沿って折り畳まれる防音部材。
【請求項6】
請求項5に記載の防音部材であって、
前記防音材が、その複数の前記横折れ線がジグザグ状に延びる前記第1方向の縁辺に、該縁辺に臨む各前記仕切り面が前記縁辺と隣る前記縦折れ線に沿った折り畳みにより前記縦折れ線に沿って面一状に連なる形に重ね合わされる重ね合わせ縁面部を有し、該重ね合わせ縁面部が、前記可動幌の取り付け先となるポールに面当接した状態に結合される防音部材。
【請求項7】
請求項6に記載の防音部材であって、
前記重ね合わせ縁面部が、前記ポールに沿って接合される面ファスナへの押し付けにより前記ポールに結合される防音部材。
【請求項8】
請求項2に記載の防音部材であって、
前記防音材が、座席装置を上方から覆うキャノピー装置の展開収納を伴わない固定幌とされ、前記起伏パターンが、前記固定幌に山谷の折りぐせを付ける折りパターンとされ、
前記防音材が、その複数の前記縦折れ線が直線状に延びる前記第2方向の縁辺に、該縁辺を前記面直視で直線状にするよう凹となる部分から張り出す張出部と、該張出部の張り出した先から更に張り出して前記固定幌の取り付け先となるポールに対し前記張出部からの折り曲げを伴って面当接した状態に結合される結合代と、を有する防音部材。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の防音部材の製造方法であって、
前記防音材を前記起伏パターンに対応する成形面を有する賦形金型によりプレスして前記防音材に前記起伏パターンに対応する折りパターンを付けると共に、前記防音面に押し込まれて谷折りの折り線を成形する上型及び下型の谷折り成形面による熱圧着により前記防音面に前記折りパターンをくせ付けする賦形工程を有する防音部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音部材及びその製造方法に関する。詳しくは、面状の防音材を備える防音部材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、山折りと谷折りとを交互に繰り返すように幅方向に蛇腹折りされた防音カーテンが開示されている。この蛇腹折りにより、防音カーテンの表面積が拡大されて、入射した音のエネルギを損失させる効果が高められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成では、防音カーテンを一方向に単純に蛇腹折りするだけの構成であるため、防音面の表面積を効果的に拡大させることが難しい。すなわち、防音面を広げるべく蛇腹の折り目を増やすと、山折りと谷折りとを取り違えやすくなって収納性が悪化したり、全体重量が増大したりするからである。そこで、本発明は、防音面の表面積を適切に広げることが可能な防音部材及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する手段として、本発明の防音部材及びその製造方法は、次の手段をとる。
【0006】
すなわち、本発明の第1の発明は、面状の防音材を備える防音部材であって、前記防音材が、前記防音材を面直視で見た面内方向において互いに直交する2軸上に蛇腹構造が繰り返される起伏パターンを持つ防音面を有する防音部材である。
【0007】
第1の発明によれば、防音材の防音面に互いに直交する2軸上に蛇腹構造が繰り返される起伏パターンを設けることで、一方向にのみ蛇腹構造が繰り返される構成と比べて、防音面の表面積を広く確保することができる。
【0008】
本発明の第2の発明は、上記第1の発明において、前記起伏パターンが、前記面内方向に沿う第1方向の複数箇所から前記第1方向と直交する第2方向に面直方向の山谷を反復的に繰り返すように前記面直視で直線状に延びる縦折れ線と、複数の前記縦折れ線を各々の山の頂の間を繋ぐように横切る山の折れと各々の谷の底の間を繋ぐように横切る谷の折れとを成すように前記第2方向の複数箇所から前記第1方向に前記面直視でジグザグ状に延びる横折れ線と、を有し、複数の前記縦折れ線と複数の前記横折れ線とで仕切られる個々の仕切り面が矩形以外の四角形となる起伏のパターンとされる防音部材である。
【0009】
第2の発明によれば、防音面の起伏パターンを、各々の仕切り面が可展面となる起伏のパターンとすることができる。それにより、防音材を、各仕切り面の伸縮を伴うことなく、起伏パターンの折れ目に沿って面内方向に適切に展開・収納することが可能となる。
【0010】
本発明の第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、前記防音面に重ね合わされるように前記防音材に積層されて前記防音部材の防音性能を高める面状の積層材を更に有する防音部材である。
【0011】
第3の発明によれば、積層材を、防音面の起伏パターンに沿わせるように防音材に積層することができる。それにより、防音部材の防音性能をより適切に高めることができる。
【0012】
本発明の第4の発明は、上記第3の発明において、前記積層材を前記防音面の谷辺には接合するが山辺には接合しない接合部を更に有する防音部材である。
【0013】
第4の発明によれば、積層材が防音面の山辺に拘束されなくなる。したがって、防音材を起伏パターンの折れ目に沿って折り畳み状に収納する際に、積層材につっぱりを生じさせることなく積層材を防音材の形に適切に追従させて折り畳むことができる。
【0014】
本発明の第5の発明は、上記第2の発明において、前記防音材が、座席装置を上方から覆うキャノピー装置の座席前後方向に弛張を伴って展開収納される可動幌とされ、前記起伏パターンが、前記可動幌に山谷の折りぐせを付ける折りパターンとされ、前記可動幌が、収納に伴う弛緩によって前記折りパターンの折り線に沿って折り畳まれる防音部材である。
【0015】
第5の発明によれば、防音材を、キャノピー装置の展開・収納される可動幌として適切に機能させることができる。詳しくは、防音材を、可動幌の収納に伴い、折りパターンの折り線に沿って面内方向に適切に折り畳むことができる。また、防音材を、可動幌の展開に伴い、折りパターンの折り線に沿って面内方向に適切に広げて防音機能させることができる。
【0016】
本発明の第6の発明は、上記第5の発明において、前記防音材が、その複数の前記横折れ線がジグザグ状に延びる前記第1方向の縁辺に、該縁辺に臨む各前記仕切り面が前記縁辺と隣る前記縦折れ線に沿った折り畳みにより前記縦折れ線に沿って面一状に連なる形に重ね合わされる重ね合わせ縁面部を有し、該重ね合わせ縁面部が、前記可動幌の取り付け先となるポールに面当接した状態に結合される防音部材である。
【0017】
第6の発明によれば、防音材の折りパターンを利用して、防音材の第1方向の縁辺に、縦折れ線に沿った折り畳みによってポールへの結合面となる重ね合わせ縁面部を広く形成することができる。
【0018】
本発明の第7の発明は、上記第6の発明において、前記重ね合わせ縁面部が、前記ポールに沿って結合される面ファスナへの押し付けにより前記ポールに結合される防音部材である。
【0019】
第7の発明によれば、複数の仕切り面が連なるように重ね合わされて成る重ね合わせ縁面部を、面ファスナを用いることで、ポールに対してひとまとめに簡便に着脱可能なように結合することができる。
【0020】
本発明の第8の発明は、上記第2の発明において、前記防音材が、座席装置を上方から覆うキャノピー装置の展開収納を伴わない固定幌とされ、前記起伏パターンが、前記固定幌に山谷の折りぐせを付ける折りパターンとされ、前記防音材が、その複数の前記縦折れ線が直線状に延びる前記第2方向の縁辺に、該縁辺を前記面直視で直線状にするよう凹となる部分から張り出す張出部と、該張出部の張り出した先から更に張り出して前記固定幌の取り付け先となるポールに対し前記張出部からの折り曲げを伴って面当接した状態に結合される結合代と、を有する防音部材である。
【0021】
第8の発明によれば、固定幌を矩形状の面状材から賦形した場合に、張出部がなければギザギザ状となる第2方向の縁辺を、張出部によって直線状の形に仕上げることができる。したがって、固定幌をポールに対して間にギザギザ状の隙間が形成されないように設けることができる。また、張出部から張り出す結合代をポールに結合する構成とすることで、張出部の形状を崩すことなく固定幌をポールに適切に結合することができる。
【0022】
本発明の第9の発明は、上記第1又は第2の発明の防音部材を製造する方法であって、前記防音材を前記起伏パターンに対応する成形面を有する賦形金型によりプレスして前記防音材に前記起伏パターンに対応する折りパターンを付けると共に、前記防音面に押し込まれて谷折りの折り線を成形する上型及び下型の谷折り成形面による熱圧着により前記防音面に前記折りパターンをくせ付けする賦形工程を有する防音部材の製造方法である。
【0023】
第9の発明によれば、賦形工程において、防音材に折りパターンを付けるプレスと共に折りぐせを付ける熱圧着を行うことにより、防音材に合理的かつ適切に折りパターンをくせ付けすることができる。このような製造方法を用いることで、防音材の防音面に広い表面積を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1の実施形態に係る防音部材が適用されたキャノピー装置の展開状態を表す側面図である。
【
図3】キャノピー装置の収納状態を表す側面図である。
【
図4】防音部材の折りパターンを示す模式図である。
【
図6】防音部材の積層構造を表す
図5のVI部拡大図である。
【
図9】防音部材を一方向に単純に蛇腹折りした状態を表す模式図である。
【
図10】
図4の縁辺に重ね合わせ縁面部を形成した状態を表す模式図である。
【
図11】
図9の折り目の角度に変化を付けた模式図である。
【
図12】
図11の折り目を基に折り上げた防音部材の模式図である。
【
図13】縁辺に張出部を付けた防音部材の模式図である。
【
図15】紙で折った防音部材の模型を撮った写真である。
【
図16】電熱線を設けた谷折り成形面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0026】
《第1の実施形態》
(防音部材10の概略構成)
始めに、本発明の第1の実施形態に係る防音部材10の構成について、
図1~
図16を用いて説明する。なお、以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、
図1~
図16のいずれかの図を適宜参照するものとする。
【0027】
図1~
図2に示すように、本実施形態に係る防音部材10は、自動車の座席装置Sを上方から覆うキャノピー装置1の可動幌2(
図1参照)及び固定幌3(
図2参照)として構成される。
図1に示すように、可動幌2は、着座者の頭部をドーム状に覆うように前方に展開されたり後方に収納されたり(
図3参照)する可動式の幌とされる。
【0028】
図2に示すように、固定幌3は、着座者の頭部を後方から定位置で覆う固定式の幌とされる。
図1~
図2に示すように、可動幌2及び固定幌3は、それぞれ、これらの防音性能を適切に高めるべく、複合的な蛇腹構造を成す折りパターンLPを備える構成とされる。ここで、折りパターンLPが、本発明の「起伏パターン」に相当する。
【0029】
可動幌2及び固定幌3は、座席装置Sに組み付けられる複数のアーチ状のポール4の間に架け渡されるように設けられる。
図1及び
図3に示すように、可動幌2が架け渡される前後の各ポール4は、前側に並ぶポール4がその後側のポール4から前方に離間するように展開されたり(
図1参照)、後側のポール4に接近するように収納されたり(
図3参照)する、展開収納を伴う構成とされる。
【0030】
それに伴い、可動幌2は、各ポール4の動きに追従して、前後の各ポール4の間で弛張を伴って展開収納される構成とされる。詳しくは、
図3に示すように、可動幌2は、その収納に伴う弛緩によって、折りパターンLPの各折り線に沿って折り畳まれるようになっている。これに対して、
図2に示す固定幌3は、上記のような展開収納を伴わない定位置に張られた構成とされる。
【0031】
可動幌2及び固定幌3は、互いに同一の折りパターンLPを備える防音部材10によって構成される。次に、防音部材10の基本構成について説明する。
図4~
図6に示すように、防音部材10は、面状の防音材11と、防音材11の表裏各面に積層される面状の積層材12と、を有する積層構造とされる。
【0032】
防音材11は、ポリエステル繊維(PEs)の織物から成る。各積層材12は、それぞれ、ポリエステル繊維の不織布から成る。なお、防音材11は、ナイロン繊維等のポリエステル繊維以外の合成繊維もしくは天然繊維から成るものであっても良い。また、防音材11は、編物や不織布、フィルム等の織物以外の面状の部材から成るものであっても良い。
【0033】
各積層材12も同様に、ナイロン繊維等のポリエステル繊維以外の合成繊維もしくは天然繊維から成るものであっても良い。また、各積層材12は、織物や編物、フィルム等の不織布以外の面状の部材から成るものであっても良い。また、各積層材12は、EVA発泡体や発泡ウレタン、発泡ゴムのような発泡体から成るものであっても良い。なお、防音部材10は、積層材12が防音材11の表裏いずれかの面にのみ設けられるもの、或いはいずれの面にも設けられないものであっても良い。
【0034】
図6に示すように、防音材11と各積層材12とは、防音材11の表裏面である各防音面11Aの谷折りされた各谷辺において、互いに熱溶着されている(接合部13)。詳しくは、防音材11と各積層材12とは、各防音面11Aの谷辺では熱溶着されているが、各防音面11Aの山折りされた山辺など、それ以外の箇所では熱溶着されていない。
【0035】
上記構成により、各積層材12が、各防音面11Aの山辺など、谷辺以外の箇所では拘束されなくなる。したがって、防音材11を折りパターンLPの各折り線(縦折れ線L1及び横折れ線L2)に沿って折り畳み状に収納する際に、各積層材12につっぱりを生じさせることなく、各積層材12を防音材11の形に適切に追従させて折り畳むことができる。
【0036】
防音部材10は、次の手順により形成されている。すなわち、先ず、防音材11と各積層材12とを、個別に
図7に示す賦形装置20を用いて同一の折りパターンLPを付けた同一の形及び大きさとなるように賦形する。次いで、
図6に示すように、賦形した防音材11と各積層材12とを互いの折りパターンLPが合致するように重ね合わせて、各防音面11Aの谷折りされた各谷辺において各々の間を熱溶着する。
【0037】
図7に示すように、賦形装置20は、防音材11を原反のロールから繰り出して順送する順送型21と、順送型21から送られる帯状の防音材11を熱プレス加工により賦形するロール式の賦形金型22と、を有する。順送型21は、内蔵される不図示のローラにより、原反のロールから繰り出された防音材11を上流側から内部に引き込んで下流側へと流す。その際、順送型21は、内蔵される不図示の折り込みガイドにより、防音材11を幅方向(流れ方向と直交する方向)に蛇腹折り状に緩く折り込んで下流側へ流すようになっている。
【0038】
賦形金型22は、順送型21から送られる防音材11をロール式の上型22Aと下型22Bとの間に通すことで、防音材11に折りパターンLPを付ける。具体的には、ロール式の上型22Aと下型22Bには、それぞれ、防音材11に付けられる折りパターンLPに対応する凹凸形状を備えた成形面A1,B1が形成されている。各成形面A1,B1には、それらの防音材11の表裏の防音面11Aに押し込まれて谷折り線を成形する谷折り成形面A2,B2に、電熱線がそれぞれ内蔵されている。例えば
図16に示すように、成形面A2には、防音材11の片面(表面)に対して谷折り線を成形する電熱線A3が設けられている。また、成形面B2には、防音材11のもう一方の面(裏面)に対して谷折り線を成形する電熱線B3が設けられている。
図16は、ロール式の上型22Aと下型22Bの各成形面A2,B2を平面状に広げた展開図として示している。
【0039】
賦形金型22は、上型22Aと下型22Bの回転に伴い、これらの間に通された防音材11を各成形面A1,B1により表裏両側からプレスして、防音材11に折りパターンLPを付ける。更に、賦形金型22は、上記防音材11の表裏の防音面11Aに押し込まれる各谷折り成形面A2,B2に内蔵された電熱線(
図16参照)により、各谷折り成形面A2,B2を各防音面11Aに熱圧着させて、各防音面11Aに折りパターンLPをくせ付けする(賦形工程SS)。
【0040】
なお、図示は省略されているが、各積層材12も、上記賦形装置20を用いた同様の手順によって賦形される。上記の賦形方法は、数ある賦形方法のうちの一例であり、これ以外の工法を用いて賦形を行っても良い。例えば、防音材11と各積層材12とを重ね合わせたうえで賦形装置20による順送、賦形をそれぞれ実施しても良い。その際、防音材11と各積層材12の各谷辺同士の熱溶着をこれらの賦形に合わせて同時に実施しても良い。上記手順により、
図4~
図5に示すように、複合的な蛇腹構造を持つ折りパターンLPの付けられた防音部材10が成形される。
【0041】
(折りパターンLPの詳細)
次に、この折りパターンLPの詳細について説明する。
図4に示す防音部材10は、実際の形を単純化したもので、矩形状にカットして折りパターンLPを付けたものを各折り線(縦折れ線L1及び横折れ線L2)に沿って折り上げたものである。以下、この単純化した防音部材10を用いて、折りパターンLPの詳細について説明する。
【0042】
なお、
図4に対応する防音部材10を紙で折って作った模型の写真を
図15に示す。以下の説明において、
図4を参照する際には、適宜、
図15も併せて参照することで構成がより分かりやすくなる。
【0043】
図4(
図15)に示すように、折りパターンLPは、防音部材10を面直視で見た面内方向において、互いに直交する2軸上(第1方向D1と第2方向D2)に蛇腹構造が繰り返される折りのパターンとされる。具体的には、折りパターンLPは、面直視で矩形状を成す防音部材10の図示上下方向(第2方向D2)に直線状に延びる複数の縦折れ線L1と、図示左右方向(第1方向D1)にジグザグ状に延びる複数の横折れ線L2と、から成る。
【0044】
各縦折れ線L1は、防音部材10の矩形の一辺の延びる方向である第1方向D1(図示左右方向)の複数の箇所から、第1方向D1と直交する第2方向D2(図示上下方向)に面直視で直線状に延びる折り線とされる。各縦折れ線L1は、第1方向D1に等間隔に並ぶ配置とされる。各縦折れ線L1は、詳しくは、第2方向D2に面直方向(厚さ方向)の山谷を反復的に繰り返しながら延びる折り線とされる。
【0045】
各横折れ線L2は、防音部材10の第2方向D2の複数の箇所から、第1方向D1に面直視でジグザグ状に延びる折り線とされる。各横折れ線L2は、第2方向D2に等間隔に並ぶ配置とされる。各横折れ線L2は、詳しくは、各縦折れ線L1の各々の山の頂の間を繋ぐように横切る山の折れと、各々の谷の底の間を繋ぐように横切る谷の折れと、を成すように延びる折り線とされる。
【0046】
このような折りパターンLPは、日本古来よりある折り紙の手法である蛇腹折りを活用して発案した。
図8には、この折りパターンLPを持つ防音部材10の展開図が示されている。
図8において、山折りの折り線は一点鎖線で示され、谷折りの折り線は破線で示される。このような折りパターンLPの折り目は、次の手法によって得ることができる。
【0047】
先ず、
図9に示すように、矩形状にカットした面材を、矩形の一辺の延びる方向に山谷を交互に繰り返すように反復的に蛇腹折りする。蛇腹折りは、山折り・谷折りが等間隔となるように行う。この蛇腹折りによって、面材に各縦折れ線L1の折り目が付けられる。
【0048】
次に、この蛇腹折りした横長状の面材を、
図9に示すように、45度の角度θの付いた山折り・谷折りの各折り線に沿って山谷を交互に繰り返すように反復的に蛇腹折りする。この蛇腹折りも、山折り・谷折りが等間隔となるように行う。この蛇腹折りによって、面材に各横折れ線L2の折り目が付けられる。
【0049】
これにより、矩形状にカットした面材に複合的な蛇腹折りの折り目が付けられる。次に、この蛇腹折りした面材を平面状に広げる。それにより、
図8の展開図に示すような折りパターンLPの折り目の付いた面材を得ることができる。しかし、これによって得られる折り目は、一部、
図8の展開図に示すような折り目とは、山折り・谷折りの折り目が逆となるものが含まれる。
【0050】
そこで、次に、この折り目を
図8の展開図に示す折り目と合うように折り直す。この折り直しにより、防音部材10を、
図4(
図15)に示すような折りパターンLPに折り上げることができる。このような折り目を持つ折りパターンLPは、各縦折れ線L1と各横折れ線L2とで仕切られる個々の仕切り面PAが平行四辺形の可展面となる特徴を持つ。
【0051】
このような折りパターンLPを付けた防音部材10は、その折り目に沿って折られることで、
図4(
図15)~
図5に示すような複合的な蛇腹構造を持つ形に折り上げられる。このような折りパターンLPを付けた防音部材10は、その折り目に沿って折り畳み状に収納したり折り目を広げるように展開したりすることが可能となる。
【0052】
具体的には、
図4(
図15)に示すように、防音部材10は、各横折れ線L2が面直視でジグザグ状に延びる第1方向D1において、各縦折れ線L1を折り目として、対向する仕切り面PA同士を重ね合わせるように小さく折り畳むことが可能とされる。その理由は、折り目となる各縦折れ線L1が、面直視で第1方向D1に直線状に延びる折り線とされているからである。
【0053】
このような特徴を利用して、防音部材10は、その第1方向D1の縁辺E1に、この縁辺E1に臨む各仕切り面PAを、図示左端の縦折れ線L1に沿って折り畳むことで、この縦折れ線L1に沿って各仕切り面PAを面一状に連ねる形に重ね合わせた重ね合わせ縁面部Fを形成することが可能とされる(
図10参照)。したがって、この重ね合わせ縁面部Fにより、防音部材10をその取り付け先となる部材(
図1~
図2に示すポール4)に対して、面当接させた状態に結合することが可能となる。各ポール4は、横断面逆T字状を成すアーチ状の部材とされ、それぞれのアーチの内周面や前後の側面に防音部材10を面状に当てて結合することが可能とされる。
【0054】
また、
図11に示すように、防音部材10の折りパターンLPは、
図9で前述した一方向に蛇腹折りした面材を更に横方向に蛇腹折りする際に、その山折り・谷折りの折り目の角度θを45度に揃えず変化を付けた形に設定しても良い。そうすることで、
図12に示すように、防音部材10を、このような折り目を基に折り上げた際の形を面全体が面直方向に折れ曲がる形に仕上げることができる。したがって、このような特徴を利用して、防音部材10をその取り付け先となる部材(
図1に示すポール4)の形に合わせて折り曲げた形に仕上げることができる。
【0055】
防音部材10は、
図1で前述した可動幌2として適用される際には、その各横折れ線L2がジグザグ状に延びる方向である第1方向D1が可動幌2の展開収納方向に向けられた状態として、前後のアーチ状の各ポール4の間に張り付けられる。その際、防音部材10は、その第1方向D1の各縁辺E1に
図10で前述した重ね合わせ縁面部Fを形成して、各重ね合わせ縁面部Fが各ポール4に沿って設けられた面ファスナVにそれぞれ押し付けられて面当接した状態に結合される。
【0056】
それにより、防音部材10は、複数の仕切り面PA(
図10参照)が連なるように重ね合わされて成る各重ね合わせ縁面部Fを、各ポール4の面ファスナVへの押し付けによって、それぞれの仕切り面PAをひとまとめに面ファスナVに簡便に着脱可能なように結合できるようになっている。また、防音部材10は、
図1で前述した可動幌2として適用される際には、その取り付け先となるアーチ状の各ポール4の形に合わせて、
図12で前述したように面全体がアーチ状に折り曲げられた形に折り上げられる。なお、その際の防音部材10を横方向に蛇腹折りする山折り・谷折りの各角度θは、各ポール4のアーチの曲率に合わせて適宜設定されるものであるため、具体的な説明は省略する。
【0057】
また、防音部材10は、
図2で前述した固定幌3として適用される際には、その各縦折れ線L1が直線状に延びる方向である第2方向D2が高さ方向に向けられた状態としてアーチ状のポール4の枠内に張られる。その際、防音部材10は、その左右の各縁辺E1に
図10で前述した重ね合わせ縁面部Fを形成して、各重ね合わせ縁面部Fがポール4の高さ方向に延びる各脚部の内周面に沿って設けられた面ファスナVにそれぞれ押し付けられて面当接した状態に結合される。それによる効果は、
図1で前述した可動幌2の場合と同様である。
【0058】
また、防音部材10は、その上側の縁辺E2が、アーチ状のポール4の上部中央の天井部分の内周面に沿って設けられた面ファスナVに図示下方から押し付けられて結合される。面ファスナVが設けられるポール4の上部中央の天板部分は、左右方向に直線状に延びる形状とされる。防音部材10の左右の上角部分は、ポール4のアーチ形状に沿うように斜めにカットされている。
【0059】
図4(
図15)に示すように、防音部材10の上側の縁辺E2は、矩形状の面材から折り上げた場合、ギザギザ状となってしまう。その場合、防音部材10の上側の縁辺E2を、ポール4(
図2参照)の直線状を成す天板部分に設けられた面ファスナVに面当接させることができない。そこで、
図13に示すように、防音部材10の上側の縁辺E2には、縁辺E2を面直視で直線状にするように縁辺E2のギザギザの凹となる部分(
図4(
図15)参照)から張り出す複数の張出部Gが形成されている。
【0060】
更に、各張出部Gに対し、それぞれの張り出した先の縁部から更に張り出す結合代Hが形成されている。
図14に示すように、各張出部Gは、上記縁辺E2のギザギザの凹となる部分(
図4(
図15)参照)から、各々の凹の中央を通る縦折れ線L1に沿って山状に張り出す形に形成されている。各張出部Gは、各縦折れ線L1の1本に注目したときの山谷の1/2ピッチに相当する長さ分だけ各縦折れ線L1に沿って各縦折れ線L1上に山の頂点がくるように山状に張り出す形状とされる。
【0061】
図13に示すように、各張出部Gにより、防音部材10の上側の縁辺E2は、ギザギザ状とならず、直線状を成す形に折り上げられる。このような張出部Gは、防音部材10のポール4(
図2参照)のアーチ形状に沿うように斜めにカットされた左右の上角部分にも形成されている。各張出部Gは、上記のような斜めにカットされた縁辺E2に形成される場合も同様に、各縦折れ線L1の1本に注目したときの山谷の1/2ピッチに相当する長さ分だけ各縦折れ線L1に沿って各縦折れ線L1上に山の頂点がくるように山状に張り出す形状とされる。
【0062】
このような張出部Gは、防音部材10の下側の縁辺E2にも同様に形成されている。また、このような張出部Gは、図示は省略されているが、
図1で前述した可動幌2の下縁の縁辺E2にも、縁辺E2を直線状に折り上げるべく形成されている。
図14に示すように、各結合代Hは、防音部材10の上側の縁辺E2に形成される各張出部Gの山の各斜面に沿って、それぞれ台形状に張り出す形に形成されている。各結合代Hは、各張出部Gから折り曲げられて、
図2に示すポール4の直線状を成す天板部分に設けられた面ファスナVにそれぞれ面当接するように図示下方から押し当てられて結合される。
【0063】
以上に示したように、防音部材10は、互いに直交する2軸上(第1方向D1と第2方向D2)に蛇腹構造が繰り返される折りパターンLPを持つ構成とされる。それにより、蛇腹折りの個々の折り目の間隔を狭くすることなく、防音部材10の表面積を広げて、防音性能を適切に高めることができる。
【0064】
また、防音部材10に付けられる折りパターンLPが、上記のような各縦折れ線L1と各横折れ線L2との組み合わせから成ることで、防音部材10をこれらの折り目に沿って折り畳んだ時に、これらの折り目が防音部材10の面直視で重ならない。したがって、防音部材10を、展開収納に伴う弛張が繰り返されても折り目に負荷が掛かりにくく、破れにくい構成とすることができる。
【0065】
以上をまとめると、本実施形態に係る防音部材10及びその製造方法は、次のような構成とされている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0066】
すなわち、防音部材(10)は、面状の防音材(11)を備える。防音材(11)が、防音材(11)を面直視で見た面内方向において互いに直交する2軸上に蛇腹構造が繰り返される起伏パターン(LP)を持つ防音面(11A)を有する。このように、防音材(11)の防音面(11A)に互いに直交する2軸上に蛇腹構造が繰り返される起伏パターン(LP)を設けることで、一方向にのみ蛇腹構造が繰り返される構成と比べて、防音面(11A)の表面積を広く確保することができる。
【0067】
また、起伏パターン(LP)が、上記の面内方向に沿う第1方向(D1)の複数箇所から第1方向(D1)と直交する第2方向(D2)に面直方向の山谷を反復的に繰り返すように面直視で直線状に延びる縦折れ線(L1)と、複数の縦折れ線(L1)を各々の山の頂の間を繋ぐように横切る山の折れと各々の谷の底の間を繋ぐように横切る谷の折れとを成すように第2方向(D2)の複数箇所から第1方向(D1)に上記面直視でジグザグ状に延びる横折れ線(L2)と、を有し、複数の縦折れ線(L1)と複数の横折れ線(L2)とで仕切られる個々の仕切り面(PA)が矩形以外の四角形となる起伏のパターンとされる。
【0068】
上記構成によれば、防音面(11A)の起伏パターン(LP)を、各々の仕切り面(PA)が可展面となる起伏のパターンとすることができる。それにより、防音材(11)を、各仕切り面(PA)の伸縮を伴うことなく、起伏パターン(LP)の折れ目に沿って面内方向に適切に展開・収納することが可能となる。
【0069】
また、防音部材(10)が、防音面(11A)に重ね合わされるように防音材(11)に積層されて防音部材(10)の防音性能を高める面状の積層材(12)を更に有する。上記構成によれば、積層材(12)を、防音面(11A)の起伏パターン(LP)に沿わせるように防音材(11)に積層することができる。それにより、防音部材(10)の防音性能をより適切に高めることができる。
【0070】
また、防音部材(10)が、積層材(12)を防音面(11A)の谷辺には接合するが山辺には接合しない接合部(13)を更に有する。上記構成によれば、積層材(12)が防音面(11A)の山辺に拘束されなくなる。したがって、防音材(11)を起伏パターン(LP)の折れ目に沿って折り畳み状に収納する際に、積層材(12)につっぱりを生じさせることなく積層材(12)を防音材(11)の形に適切に追従させて折り畳むことができる。
【0071】
また、防音材(11)が、座席装置(S)を上方から覆うキャノピー装置(1)の座席前後方向に弛張を伴って展開収納される可動幌(2)とされる。起伏パターン(LP)が、可動幌(2)に山谷の折りぐせを付ける折りパターン(LP)とされる。可動幌(2)が、収納に伴う弛緩によって折りパターン(LP)の折り線に沿って折り畳まれる。
【0072】
上記構成によれば、防音材(11)を、キャノピー装置(1)の展開・収納される可動幌(2)として適切に機能させることができる。詳しくは、防音材(11)を、可動幌(2)の収納に伴い、折りパターン(LP)の折り線に沿って上記の面内方向に適切に折り畳むことができる。また、防音材(11)を、可動幌(2)の展開に伴い、折りパターン(LP)の折り線に沿って上記の面内方向に適切に広げて防音機能させることができる。
【0073】
また、防音材(11)が、その複数の横折れ線(L2)がジグザグ状に延びる第1方向(D1)の縁辺(E1)に、この縁辺(E1)に臨む各仕切り面(PA)が縁辺(E1)と隣る縦折れ線(L1)に沿った折り畳みにより縦折れ線(L1)に沿って面一状に連なる形に重ね合わされる重ね合わせ縁面部(F)を有する。重ね合わせ縁面部(F)が、可動幌(2)の取り付け先となるポール(4)に面当接した状態に結合される。
【0074】
上記構成によれば、防音材(11)の折りパターン(LP)を利用して、防音材(11)の第1方向(D1)の縁辺(E1)に、縦折れ線(L1)に沿った折り畳みによってポール(4)への結合面となる重ね合わせ縁面部(F)を広く形成することができる。
【0075】
また、重ね合わせ縁面部(F)が、ポール(4)に沿って接合される面ファスナ(V)への押し付けによりポール(4)に結合される。上記構成によれば、複数の仕切り面(PA)が連なるように重ね合わされて成る重ね合わせ縁面部(F)を、面ファスナ(V)を用いることで、ポール(4)に対してひとまとめに簡便に着脱可能なように結合することができる。
【0076】
また、防音材(11)が、座席装置(S)を上方から覆うキャノピー装置(1)の展開収納を伴わない固定幌(3)とされる。起伏パターン(LP)が、固定幌(3)に山谷の折りぐせを付ける折りパターン(LP)とされる。防音材(11)が、その複数の縦折れ線(L1)が直線状に延びる第2方向(D2)の縁辺(E2)に、この縁辺(E2)を上記の面直視で直線状にするよう凹となる部分から張り出す張出部(G)と、張出部(G)の張り出した先から更に張り出して固定幌(3)の取り付け先となるポール(4)に対し張出部(G)からの折り曲げを伴って面当接した状態に結合される結合代(H)と、を有する。
【0077】
上記構成によれば、固定幌(3)を矩形状の面状材から賦形した場合に、張出部(G)がなければギザギザ状となる第2方向(D2)の縁辺(E2)を、張出部(G)によって直線状の形に仕上げることができる。したがって、固定幌(3)をポール(4)に対して間にギザギザ状の隙間が形成されないように設けることができる。また、張出部(G)から張り出す結合代(H)をポール(4)に結合する構成とすることで、張出部(G)の形状を崩すことなく固定幌(3)をポール(4)に適切に結合することができる。
【0078】
また、上記の防音部材(10)を製造する方法は、防音材(11)を起伏パターン(LP)に対応する成形面(A1,B1)を有する賦形金型(22)によりプレスして防音材(11)に起伏パターン(LP)に対応する折りパターン(LP)を付けると共に、防音面(11A)に押し込まれて谷折りの折り線を成形する上型(22A)及び下型(22B)の谷折り成形面(A2,B2)による熱圧着により防音面(11A)に折りパターン(LP)をくせ付けする賦形工程(SS)を有する。
【0079】
上記構成によれば、賦形工程(SS)において、防音材(11)に折りパターン(LP)を付けるプレスと共に折りぐせを付ける熱圧着を行うことにより、防音材(11)に合理的かつ適切に折りパターン(LP)をくせ付けすることができる。このような製造方法を用いることで、防音材(11)の防音面(11A)に広い表面積を確保することができる。
【0080】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態の他、各種の形態で実施することができるものである。
【0081】
1.本発明の防音部材は、キャノピー装置の幌の他、車両等の乗物や建物の内装材としても広く適用することができるものである。また、パーティションパネルやカーテン等の調度品にも適用可能である。また、防音部材は、防音材が織物等の面材から成るものの他、樹脂成形されたパネル材から成るものであっても良い。防音部材は、展開収納される用途の他、展開収納を伴わない用途に用いられても良い。
【0082】
2.防音材に付けられる起伏パターンのうち、ジグザグ状に延びる横折れ線の角度θは、第2方向に対して45度を成す角度に限らず、その他の角度であっても良い。この角度θが直角に向かって大きくなるほど、防音部材を折り目に沿って折り畳んだ(収納した)際の縦折れ線の山や谷の折り畳み角が小さくなる(開き角が小さくなる)。
【0083】
具体的には、上記角度θが45度の場合、完全に折り畳まれた(収納された)際の折り畳み角度は90度となる。上記角度θが45度より大きくなるに連れて、防音部材を折り目に沿って折り畳んだ(収納した)際の縦折れ線の山や谷の折り畳み角(開き角)が90度より小さくなる。
【0084】
3.積層材を防音面の谷辺に接合する接合部は、熱溶着の他、接着剤や両面テープ、縫い合わせにより接合するものであっても良い。
【符号の説明】
【0085】
S 座席装置
1 キャノピー装置
2 可動幌
3 固定幌
4 ポール
10 防音部材
11 防音材
11A 防音面
12 積層材
13 接合部
LP 折りパターン(起伏パターン)
L1 縦折れ線
L2 横折れ線
PA 仕切り面
D1 第1方向
D2 第2方向
E1 縁辺
E2 縁辺
F 重ね合わせ縁面部
G 張出部
H 結合代
V 面ファスナ
20 賦形装置
21 順送型
22 賦形金型
22A 上型
A1 成形面
A2 谷折り成形面
A3 電熱線
22B 下型
B1 成形面
B2 谷折り成形面
B3 電熱線
θ 角度
SS 賦形工程